以下、本発明の一実施形態を図1〜図22を用いて説明する。図1には、一実施形態に係るレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。
このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、図1における矢印方向に回転するようになっている。
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面を、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束により走査し、感光体ドラム1030の表面に画像情報に対応した潜像を形成する。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。該レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、該記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。
この光走査装置1010は、一例として図2に示されるように、偏向器側走査レンズ11a、像面側走査レンズ11b、ポリゴンミラー13、2つの光源(14a、14b)、2つのカップリングレンズ(15a、15b)、液晶素子16、シリンドリカルレンズ17、光検知センサ18、光検知用ミラー19、及び走査制御装置30(図2では図示省略、図21参照)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジングの所定位置に組み付けられている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、シリンドリカルレンズ17の光軸に沿った方向をX軸方向、ポリゴンミラー13の回転軸に平行な方向をZ軸方向として説明する。また、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源14a及び光源14bは、いずれも発振波長が780nm帯の半導体レーザである。
カップリングレンズ15aは、光源14aから射出された光束を略平行光とする。また、カップリングレンズ15bは、光源14bから射出された光束を略平行光とする。
2つの光源(14a、14b)と2つのカップリングレンズ(15a、15b)は、一例として図3に示されるように、円筒部21aを有するベース部材21に所定の位置関係で保持され、ユニット化されている。以下では、このユニットを「光源ユニット」という。
液晶素子16は、一例として図4(A)及び図4(B)に示されるように、第1のガラス板16aと第2のガラス板16bとの間に液晶が狭持され、シール材で密封されている。ここでは、液晶素子16は、2つの有効領域(有効領域A、有効領域B)を有している。そして、有効領域Aには、カップリングレンズ15aを介した光束が入射し、有効領域Bには、カップリングレンズ15bを介した光束が入射するように配置されている。なお、図4(B)は、図4(A)を、XZ面に平行な面でいずれかの有効領域を切断したときの断面図である。
第2のガラス板16bは、第1のガラス板16aよりも外形形状が大きい。そして、ここでは、一例として図5に示されるように、第2のガラス板16bにおける第1のガラス板16aに対向している面(ここでは、−X側の面)には、+Z側端部近傍に、X軸方向に関して、第1のガラス板16aが重なっていない領域がある。
また、一例として図6に示されるように、第2のガラス板16bの−X側の面における第1のガラス板16aが重なっていない領域に、フラットケーブル21が固定されている。このフラットケーブル21は、第2のガラス板16bに対して着脱可能である。
有効領域A及び有効領域Bは、フラットケーブル21を介して外部から入力される電気信号により駆動され、入射する光束の位相を変調することが可能な領域である。ここでは、有効領域A及び有効領域Bは、個別に駆動することが可能である。各有効領域には、入射する光束の光路を副走査対応方向(ここでは、Z軸方向)に偏向可能なように、すなわち、副走査対応方向に電位勾配が発生するように電極パターンが形成されている(例えば、特開2003−233094号公報参照)。
第2のガラス板16bは、位置決め用の3つの基準面(基準面A、基準面B、基準面C)を有している。基準面Aは、一例として図7(A)に示されるように、第2のガラス板16bにおける第1のガラス板16aに対向していないほうの面(ここでは、+X側の面)である。基準面Bは、一例として図7(B)に示されるように、第2のガラス板16bの−Z側の側面(底面)である。基準面Cは、一例として図7(C)に示されるように、第2のガラス板16bの+Y側の側面である。
液晶素子16は、一例として図8及び図9に示されるような保持部材22に保持されている。
この保持部材22は、底板22a、壁板22b、及び2つの側板(22c_1、22c_2)を有している。ここでは、底板22a、壁板22b、及び2つの側板(22c_1、22c_2)は、一体化されているが、底板22a、壁板22b、及び2つの側板(22c_1、22c_2)をそれぞれ個別に、例えばステンレス鋼板のプレス加工等により製作した後、それらを接合しても良い。
底板22aは、XY平面に平行な長方形状の板部材である。底板22aの+X側端部近傍には、3つの貫通孔(貫通孔A、貫通孔B、貫通孔C)がY軸方向に沿って形成されている。なお、貫通孔Cは長穴である。
壁板22bは、YZ平面に平行な長方形状の板部材である。壁板22bは、底板22aの−X側端部近傍に固定されている。壁板22bの−X側の面には外形が長方形状で−X方向に突出し、その表面がYZ平面に平行な取付け基準部23が形成されている。そして、この取付け基準部23内には、液晶素子16の有効領域Aを介した光束の断面形状を整形するための開口部A、液晶素子16の有効領域Bを介した光束の断面形状を整形するための開口部Bが設けられている。
また、壁板22bの−X側の面には、取付け基準部23の−Z側に、液晶素子16を固定する際に接着剤が塗布される接着部24が形成されている。この接着部24は、図10に示されるように、−X方向に突出し、その表面がYZ平面に平行である。そして、接着部24の表面の突出量は、取付け基準部23の表面の突出量と同じである。すなわち、取付け基準部23の表面及び接着部24の表面は、YZ平面に平行な同一面上にある。
取付け基準部23及び接着部24は、図11に示されるように、いずれも開口部Aと開口部Bの中心を通りZ軸に平行な中心軸に対して対称となるように形成されている。
図9に戻り、2つの側板(22c_1、22c_2)は、いずれもXZ平面に平行な三角形状の板部材である。側板22c_1は、壁板22b及び底板22aの+Y側端部に固定され、側板22c_2は、壁板22b及び底板22aの−Y側端部に固定されている。各側板は、壁板22bと底板22aの接合を補強している。
液晶素子16を保持部材22に固定する際には、保持部材22の接着部24に紫外線硬化型の接着剤を適量塗布し、不図示の位置決め用治具を用いて液晶素子16の基準面Aを保持部材の取付け基準部23と接着部24に当接させ、液晶素子16側から紫外線を照射して接着剤を硬化させる(図12参照)。
なお、紫外線硬化型の接着剤を使用するメリットとして、(1)板ばねで固定する方法と比較して部品点数が少なくなるので低コスト化が図れること、(2)紫外線照射により硬化を開始すること、及び、紫外線照射により数秒から数十秒程度で硬化する(通常の接着剤より短時間で硬化するが、瞬間接着剤ほど短時間ではない)ため作業性が良好であること、(3)紫外線照射装置があれば十分であり、設備投資が少ないこと、等がある。
ここでは、液晶素子16と保持部材22とを接着剤によって固定する際に、液晶素子16に形成されている有効領域A及び有効領域Bへ接着剤が回り込まないようにするために、図13に示されるように、第2のガラス板16bの+X側の面における接着部24に当接される部分が含まれる領域W1は、接着剤の濡れ性を高める処理がなされている。これにより、有効領域A及び有効領域Bに、接着剤が流れ込むのを防ぐことができる。また、領域W1に接着剤が引き寄せられるため、接着面積を正確に制御でき、接着剤と液晶素子との密着性を高めることができる。
なお、接着剤の濡れ性を高める処理として、濡れ性を高める物質を蒸着することが考えられる。例えば、接着剤が親水性であれば、親水性の物質が蒸着され、接着剤が疎水性であれば、疎水性の物質が蒸着される。
また、有効領域Aを取り囲む領域W2、及び有効領域Bを取り囲む領域W3は、接着剤の濡れ性を低下させる処理がなされている。これにより、有効領域A及び有効領域Bに、接着剤が流れ込むのを防ぐことができる。
なお、接着剤の濡れ性を低下させる処理として、濡れ性を低下させる物質を蒸着することが考えられる。例えば、接着剤が親水性であれば、疎水性の物質が蒸着され、接着剤が疎水性であれば、親水性の物質が蒸着される。
ところで、光源ユニットは、一例として図14に示されるように、円筒部21aが、光学ハウジングの円形の開口部に挿入されている。そして、光源ユニットは、X軸に平行な回転軸回りに回動が可能であり、この回動により、感光体ドラム1030上に形成される光源14aから射出された光束による光スポットと光源14bから射出された光束による光スポットの副走査方向に関する間隔(ピッチあるいは走査線間隔)を所望の値に調整することができる。なお、光源ユニットは、調整後、締結ネジあるいはスプリング部材等によって保持される。
また、保持部材22は、光源ユニットとの位置関係が所望の位置関係となるように、底板22aの貫通孔Bに挿入された締結ネジによって、光学ハウジング25にネジ止めされている。なお、底板22aの貫通孔A及び貫通孔Cは位置決め用の貫通孔であり、それらには光学ハウジングに設けられている2つの円柱状の突起部が挿入されるようになっている。
図2に戻り、シリンドリカルレンズ17は、保持部材22の開口部Aを通過した光束及び開口部Bを通過した光束を、それぞれポリゴンミラー13の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。すなわち、線像を形成する。
各光源とポリゴンミラー13との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器前光学系は、2つのカップリングレンズ(15a、15b)と液晶素子16とシリンドリカルレンズ17とから構成されている。
ポリゴンミラー13は、一例として内接円の半径が18mmの6面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。このポリゴンミラー13は、Z軸方向に平行な軸の周りを等速回転しながら、シリンドリカルレンズ17からの光束を偏向する。
偏向器側走査レンズ11aは、ポリゴンミラー13で偏向された光束の光路上に配置されている。
像面側走査レンズ11bは、偏向器側走査レンズ11aを介した光束の光路上に配置されている。そして、この像面側走査レンズ11bを介した光束が感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー13の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。また、感光体ドラム1030の回転方向が「副走査方向」である。
ポリゴンミラー13と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bとから構成されている。なお、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bの間の光路上、及び像面側走査レンズ11bと感光体ドラム1030の間の光路上の少なくとも一方に、少なくとも1つの折り返しミラーが配置されても良い。
光検知センサ18には、ポリゴンミラー13で偏向され、走査光学系を介した光束のうち画像情報の書き込み開始前の光束の一部が、検知用光束として、光検知用ミラー19を介して入射する。光検知センサ18における検知用光束の入射位置は、ポリゴンミラー13の回転に伴って、主走査対応方向(ここでは、便宜上、m方向とする)に移動する。
光検知センサ18は、一例として図15に示されるように、その受光面が光学的に像面(設計上の像面)に略平行となるように配置されている。これにより、検知用光束は、主走査方向に関して感光体ドラム1030の延長上を移動することと等価になり、検知用光束に対する走査光学系のリニアリティ(走査等速性)を確保しておけば、光検知センサ18を通過する検知用光束の移動速度を、感光体ドラム1030の画像形成領域(有効走査領域)での走査速度と同じにすることができ、検知精度を向上させることができる。
なお、図15における符号18´は、光検知用ミラー19がないと仮定したときの光検知センサ18の位置を示している。
また、光検知センサ18の受光面の法線方向は、受光面での反射光が光源に戻らないように、検知用光束の入射方向に対して傾斜している(図15参照)。これにより、光検知センサ18の受光面での反射光が、光量制御に影響を与えることを回避できる。
光検知センサ18は、一例として図16に示されるように、2つの受光部(第1受光部181、第2受光部182)を有する受光素子、該受光素子からの受光量に応じた信号(光電変換信号)が入力されるアンプ(AMP)183、該アンプ183の出力信号レベルと予め設定されている基準レベルVsとを比較し、その比較結果を出力する比較器(CMP)184を有している。この比較器184の出力信号は走査制御装置30に供給される。
受光素子の各受光部は、副走査対応方向(ここでは、便宜上、s方向とする)の位置によってm方向の互いの間隔が異なっている。
第1受光部181は、一例として長方形の受光部であり、長手方向がs方向と一致するように配置されている。すなわち、検知用光束が通過する2辺がいずれもs方向に平行である。
第2受光部182は、一例として平行四辺形の受光部であり、第1受光部181の+m側に配置されている。そして、第2受光部182の長手方向は、受光面内において第1受光部181の長手方向に対して角度α(0<α<90°)だけ傾斜している。すなわち、検知用光束が通過する2辺がいずれもs方向に対して傾斜している。
アンプ183では、入力信号の反転及び増幅が行われる。従って、受光素子の受光量が多いほど、アンプ183の出力信号レベルは低くなる。
前記基準レベルVsは、検知用光束が受光素子で受光されたときのアンプ183の出力信号レベル(最低値)よりも若干高いレベルに設定されている。そこで、各受光部のいずれかが検知用光束を受光したときに、比較器184での判断結果が変化し、それに応じて比較器184の出力信号が変化する。
なお、以下では、便宜上、光源14aから射出された光束による検知用光束を「検知用光束A」といい、光源14bから射出された光束による検知用光束を「検知用光束B」という。
また、一例として図17に示されるように、感光体ドラム1030の表面における光源14aから射出された光束の入射位置が設計上の位置のときに、光検知センサ18における検知用光束Aの入射位置の移動経路を「経路A」とする。同様に、感光体ドラム1030の表面における光源14bから射出された光束の入射位置が設計上の位置のときに、光検知センサ18における検知用光束の入射位置の移動経路を「経路B」とする。
そこで、s方向に関する経路Aと経路Bの差Psは、設計上のピッチ(走査線間隔)に対応している。
このときに、検知用光束Aが第1受光部181で検知されてから第2受光部182で検知されるまでの時間は、基準時間Tas(図18(A)参照)として予め得られている。同様に、検知用光束Bが第1受光部181で検知されてから第2受光部182で検知されるまでの時間は、基準時間Tbs(図18(B)参照)として予め得られている。
ところで、上記各光学素子を光学ハウジングに取り付ける際の取り付け位置の誤差や、経年変化等により、感光体ドラム1030に向かう光束の光路が設計上の光路に対して副走査対応方向(ここでは、Z軸方向)にずれることがある。この場合には、検知用光束も、感光体ドラム1030に向かう光束と同様に、設計上の光路に対して副走査対応方向(ここでは、s方向)にずれることとなる。
例えば、図19(A)に示されるように、光検知センサ18における検知用光束Aの入射位置の移動経路が経路aに変化すると、このときの移動経路のずれ量Δhaは、次の(1)式から求めることができる。ここで、ΔTaは、図19(B)に示されるように、比較器184の出力信号における立下りから次の立下りまでの時間Taと前記基準時間Tasとの差であり、Vは検知用光束の移動速度(走査速度)である。このずれ量Δhaは、感光体ドラム1030に向かう光源14aから射出された光束の光路の設計上の光路に対する副走査対応方向(ここでは、Z軸方向)のずれ量(以下では、便宜上、「副走査ずれ量」と略述する)と相関関係がある。
Δha=(V/tanα)×ΔTa ……(1)
同様に、例えば、図20(A)に示されるように、光検知センサ18における検知用光束Bの入射位置の移動経路が経路bに変化すると、このときの移動経路のずれ量Δhbは、次の(2)式から求めることができる。ここで、ΔTbは、図20(B)に示されるように、比較器184の出力信号における立下りから次の立下りまでの時間Tbと前記基準時間Tbsとの差である。このずれ量Δhbは、感光体ドラム1030に向かう光源14bから射出された光束の光路の設計上の光路に対する副走査ずれ量と相関関係がある。
Δhb=(V/tanα)×ΔTb ……(2)
また、第1受光部181が検知用光束を受光したときの、比較器184の出力信号における立下りタイミングは、s方向における検知用光束の入射位置の影響を受けない。そこで、第1受光部181が検知用光束を受光したときの、比較器184の出力信号における立下りタイミングから書込開始のタイミングを求めることができる。
走査制御装置30は、一例として図21に示されるように、CPU210、フラッシュメモリ211、RAM212、液晶素子駆動回路213、IF(インターフェース)214、画素クロック生成回路215、画像処理回路216、フレームメモリ217、ラインバッファ2181、ラインバッファ2182、及び書込制御回路219などを有している。なお、図21における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
画素クロック生成回路215は、画素クロック信号を生成する。
フレームメモリ217は、CPU210によってラスター展開された画像データ(以下、便宜上「ラスターデータ」と略述する)を一時的に格納する。
画像処理回路216は、フレームメモリ217に格納されているラスターデータを読み出し、所定の中間調処理などを行った後、光源毎のドットデータ(画素データ)を作成し、光源それぞれに対応したラインバッファ2181及びラインバッファ2182へ出力する。
書込制御回路219は、光検知センサ18の出力信号に基づいて、第1受光部181が検知用光束を受光したときの、比較器184の出力信号における立下りを監視する。そして、該立下りを検出すると、書込開始のタイミングを求める。そして、書込開始のタイミングに合わせて、各ラインバッファから各光源のドットデータを読み出し、画素クロック生成回路215からの画素クロック信号に重畳させるとともに、光源毎にそれぞれ独立した変調データを生成する。ここで生成された変調データは、各光源の駆動回路にそれぞれ出力される。
フラッシュメモリ211には、CPU210にて解読可能なコードで記述された各種プログラムが格納されている。
RAM212は、作業用のメモリである。
CPU210は、フラッシュメモリ211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置1010の全体を制御する。
例えば、CPU210は、所定のタイミング毎に、光源14aのみを点灯させ、光検知センサ18の出力信号に基づいて、前記ずれ量Δhaを求める。そして、CPU210は、Δhaがほぼ0となるように、液晶素子16の有効領域Aへの印加電圧(電圧Aという)を決定する。
また、CPU210は、所定のタイミング毎に、光源14bのみを点灯させ、光検知センサ18の出力信号に基づいて、前記ずれ量Δhbを求める。そして、CPU210は、Δhbがほぼ0となるように、液晶素子16の有効領域Bへの印加電圧(電圧Bという)を決定する。
液晶素子駆動回路213は、CPU210で決定された電圧Aを液晶素子16の有効領域Aに印加し、電圧Bを液晶素子16の有効領域Bに印加する。
IF(インターフェース)214は、プリンタ制御装置1060との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。上位装置からの画像データは、IF(インターフェース)214を介して供給される。
光学ハウジングは、支持板を介してプリンタ筐体1044に固定されている。
ところで、本実施形態では、一例として図22に示されるように、開口部Aの中心と接着部24の中心との距離L1、及び開口部Bの中心と接着部24の中心との距離L2を用いて、L1=L2の関係が満足されている。
また、ポリゴンミラー13の回転軸に平行で保持部材22における壁板22bの中心を通る軸(中心軸)と開口部Aの中心との距離L3、及び該壁板22bの中心軸と開口部Bの中心との距離L4を用いて、L1>L3、及びL2>L4の関係が満足されている。なお、距離L1及び距離L2が距離L3と同等もしくは短い場合には、液晶素子16と保持部材22とを固定させた際に生じる力(板バネなどの弾性部材の押圧力や、接着剤の硬化収縮力)によって、有効領域A及び有効領域Bの波面収差を劣化させるおそれがある。
さらに、接着部24の中心は、上記壁板22bの中心軸上に位置している。
このように、L1=L2、L1>L3、及びL2>L4の関係が満足されるように、点、または線、または面での接触によって、液晶素子16と保持部材22とを固定することで、液晶素子16と保持部材22とを固定させた際に生じる力(板バネなどの弾性部材の押圧力や、接着剤の硬化収縮力)の影響を小さくして、有効領域A及び有効領域Bの波面収差の劣化を抑制している。また、光走査装置の内部温度が上昇したときに、液晶素子16及び保持部材22の自由な熱膨張又は熱収縮が許容され、液晶素子16の変形を抑制することができる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光走査装置1010では、第1のガラス板16aと第2のガラス板16bによって、本発明の2枚の透明板が構成され、第2のガラス板16bが一方の透明板である。
また、CPU210によるプログラムに従う処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置1010によると、光源ユニットとシリンドリカルレンズ17との間の光路上に、第1のガラス板16aと第2のガラス板16bとの間に液晶が狭持されている液晶素子16が配置されている。そして、液晶素子16は、第2のガラス板16bが、Z軸に平行で液晶素子16の中心を通る軸方向に関して、−Z側の端部近傍の一カ所で保持部材22に固定されている。この場合には、液晶素子16が強固に接着されるとともに、光学ハウジングの内部温度が上昇したときに、液晶素子16及び保持部材22の自由な熱膨張又は熱収縮が許容され、液晶素子16の変形を抑制することができる。その結果、安定して高い精度の光走査を行うことが可能となる。
また、液晶素子16の固定に接着剤を用いているため、板バネなどの弾性部材や締結部材などの固定部材が不要になる。この結果、光走査装置が小型化でき、且つ、部品点数が減少するため、部品コストを低減することができる。
また、保持部材22は、第2のガラス板16bの一部が当接される取付け基準部23、及び第2のガラス板16bが固定される接着部24を有している。この場合には、有効領域A及び有効領域Bに、接着剤が流れ込むのを防ぐことができる。
また、取付け基準部23の表面及び接着部24の表面は、YZ平面に平行な同一面上にある。この場合には、接着剤層の厚さを薄く、しかも均一にすることができるため、接着剤の硬化収縮の影響を小さくすることが可能である。また、液晶素子16における液晶層の厚さの均一性(平行性)が維持され、通過する光束における波面収差の劣化を抑制することができる。
また、第2のガラス板16bの+X側の面における接着部24に当接される部分が含まれる領域W1は、接着剤の濡れ性を高める処理がなされている。これにより、有効領域A及び有効領域Bに、接着剤が流れ込むのを防ぐことができる。また、領域W1に接着剤が引き寄せられるため、接着面積を正確に制御でき、接着剤と液晶素子との密着性を高めることができる。
また、第2のガラス板16bの+X側の面における有効領域Aを取り囲む領域W2、及び有効領域Bを取り囲む領域W3は、接着剤の濡れ性を低下させる処理がなされている。これにより、有効領域A及び有効領域Bに、接着剤が流れ込むのを防ぐことができる。
また、取付け基準部23及び接着部24は、いずれも開口部Aと開口部Bの中心を通りZ軸に平行な中心軸に対して対称となるように形成されている。この場合には、光学ハウジングの内部温度が上昇しても、有効領域Aと開口部Aの位置関係、及び有効領域Bと開口部Bの位置関係に対する温度上昇の影響を極めて小さくすることが可能である。
また、CPU210は、所定のタイミング毎に、光源14aから射出された光束の副走査ずれ量、及び光源14bから射出された光束の副走査ずれ量が、いずれもほぼ0となるように、液晶素子16の各有効領域への印加電圧を決定し、液晶素子駆動回路213を介して液晶素子16の各有効領域に印加している。この場合、光源14aから射出された光束及び光源14bから射出された光束は、いずれも感光体ドラム1030上のほぼ所望の位置に集光される。その結果、感光体ドラム1030上での走査線間隔をほぼ所望の走査線間隔とすることができる。
また、保持部材22は、液晶素子16の各有効領域から射出される光束の断面形状をそれぞれ整形する2つの開口部を有している。この場合には、液晶素子16の各有効領域と各開口部の位置合わせ精度を担保することができる。また、部品点数の増加を抑制することができる。
また、フラットケーブル21は、第2のガラス板16bに対して着脱可能である。この場合には、液晶素子16が劣化したときの部品交換を容易に行うことができる。さらに、分解が容易となり、リサイクル性を向上させることができる。
また、保持部材22は、光学ハウジングにネジ止めされている。この場合には、光源ユニットと液晶素子16との位置関係を所望の位置関係とすることが容易にできる。
ところで、通常、光学ハウジングはアルミダイキャストやモールド成形等により製造されることが多く、複雑な形状に成形することは金型の構成上困難な場合が多い。上記実施形態では、保持部材22と光学ハウジングを別部材としているため、光学ハウジングの形状(すなわち、金型の構成あるいは金型の形状)を簡略化することができ、低コスト化や成形精度の向上を図ることが可能である。
また、2つの光源を有しているため、同時に複数の走査を行うことができる。
また、走査密度の切替要求があったとき、CPU210は、要求された走査密度に応じて液晶素子16の各有効領域への印加電圧を決定し、液晶素子駆動回路213を介して液晶素子16の各有効領域に印加することができる。これにより、例えば、600dpiから1200dpiへの走査密度の変更、あるいは、1200dpiから600dpiへの走査密度の変更が容易に可能となる。
また、本実施形態に係るレーザプリンタ1000によると、光走査装置1010を備えているため、結果として、安定して高品質の画像を形成することが可能である。
さらに、光走査装置1010が2つの光源を備えているため、高速で画像を形成することが可能である。また、形成される画像の高密度化を図ることも可能である。
また、ネットワークを介して、レーザプリンタ1000と、電子演算装置(コンピュータ等)、画像情報通信システム(ファクシミリ等)等とを接続することにより、1台の画像形成装置で複数の機器からの出力を処理することができる情報処理システムを形成することができる。また、ネットワーク上に複数の画像形成装置を接続すれば、各出力要求から各画像形成装置の状態(ジョブの混み具合、電源が入っているかどうか、故障しているかどうか等)を知ることができ、一番状態の良い(使用者の希望に一番適した)画像形成装置を選択し、画像形成を行うことができる。
なお、上記実施形態では、接着部24が取付け基準部23の−Z側に設けられる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、接着剤の硬化収縮に起因してフラットケーブル21の電極パターンが変形するおそれが少ないときは、接着部24が取付け基準部23の+Z側に設けられても良い。
また、上記実施形態では、取付け基準部23及び接着部24が−X方向に突出している場合について説明したが、これに限定されるものではなく、取付け基準部23及び接着部24が突出していなくても良い。この場合は、壁板22bの−X側の面の全面が第2のガラス板16bの当接面となる。
また、上記実施形態において、一例として図23に示されるように、壁板22bの−X側の面における取付け基準部23と接着部24の間の領域に溝を形成しても良い。これにより、有効領域A及び有効領域Bに、接着剤が流れ込むのを防ぐことができる。
また、上記実施形態において、図24に示されるように、前記保持部材22が光学ハウジングと一体化されても良い。この場合は、各光源と液晶素子16の各有効領域と保持部材22の各開口部との相対的な位置関係をさらに高精度に維持することが可能となる。
また、上記実施形態では、接着剤が、紫外線硬化型の接着剤である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、シアノアクリレート系の、いわゆる瞬間接着型の接着剤であっても良い。
また、上記実施形態では、液晶素子16が接着剤で保持部材22に固定される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、板バネなどの押圧を作用させる弾性部材で固定されても良い。
また、上記実施形態では、光検知センサ18が、書込の開始情報と移動経路のずれ量(Δha、Δhb)に関する情報とを含む信号を出力する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、書込の終了を検知するための光検知センサが別に設けられているときには、該光検知センサに移動経路のずれ量(Δha、Δhb)に関する情報を出力する機能を持たせても良い。
また、書込の開始を検知するための光検知センサ及び書込の終了を検知するための光検知センサの両方を設け、2つの光検知センサに、移動経路のずれ量(Δha、Δhb)に関する情報を出力する機能を持たせても良い。この場合には、走査線の傾き情報を得ることが可能となる。
また、書込の開始を検知するための光検知センサ及び書込の終了を検知するための光検知センサの両方を設け、2つの光検知センサでの光検知の時間差から走査速度の変化を検出し、該検出された走査速度の変化に対して、画素クロック信号の基準周波数を再設定することができる。
また、上記実施形態では、前記第1受光部181が長方形の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、検知用光束が通過する2辺がs方向に平行な形状であれば良い。
また、上記実施形態では、前記第2受光部182が、平行四辺形の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、検知用の光束が通過する2辺がs方向に対して傾斜している形状であれば良い。
また、上記実施形態では、2つの光源を有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、1つの光源あるいは3つ以上の光源を有しても良い。また、前記2つの光源に代えて、複数の発光部を有する半導体レーザアレイを含む1つの光源を用いても良い。この場合には、前記液晶素子は、光源ユニットから射出される光束の数と同数の有効領域を有することとなる。
また、上記実施形態では、第2のガラス板16bの+Y側端部に、第1のガラス板16aが重なっていない領域がある場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態では、開口部Aと開口部Bの中心を通りZ軸に平行な中心軸上又は中心軸近傍で、−Z側に接着部を設ける場合について説明したが、これに限定されるものではなく、接着部を+Z側に設けても良い。
また、−Z側と+Z側の両方に固定部を設けても良い。但し、両方の固定部を接着剤で固定すると液晶素子16及び保持部材22の自由な熱膨張又は熱収縮が阻害されて剥がれが生じるおそれがあるため、−Z側又は、+Z側のどちらか一方を接着部で固定し、他方を伸縮自在に固定するのが好ましい。
また、上記実施形態では、接着部が1カ所の場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図25に示されるように、2つの接着部(24A、24B)が設けられても良い。そして、図25では、開口部Aの中心と接着部24Aの中心との距離L5、及び開口部Bの中心と接着部24Bの中心との距離L6を用いて、L5=L6の関係が満足されている。また、接着部24A及び接着部24Bは、ポリゴンミラー13の回転軸に平行で保持部材22における壁板22bの中心を通る軸(中心軸)に対して、対称関係(ここでは、左右対称)となる位置に設けられている。
なお、中心軸に対して、左右対称に接着部を設けないと、液晶素子16と保持部材22とを固定させた際に生じる力(板バネなどの弾性部材の押圧力や、接着剤の硬化収縮力)の影響により、有効領域A及び有効領域Bの波面収差を劣化させてしまうおそれがあるため、中心軸上に接着部を設けない場合は、中心軸に対して、左右対称な位置に接着部を設けるのが好ましい。
上記実施形態では、第2のガラス板16bの+X側の面における接着部24に当接される部分が含まれる領域W1は、接着剤の濡れ性を高める処理がなされている(図13参照)。しかしながら、接着剤の濡れ性を高める処理が施されていても、液晶素子毎に濡れ性を高める処理の程度が異なる。
そこで、一定量の接着剤を滴下しても、液晶素子毎に接着剤の拡がり具合が異なり、ある液晶素子では、接着領域の全領域に接着剤が拡がるが、別の液晶素子では、接着領域の一部領域に接着剤が拡がることがある。これは、接着面積のばらつきとなり、その結果、接着強度のばらつきとなる。
このおそれがある場合には、一例として図26に示されるように、接着領域の中心における接着剤の接触角を測定すると良い。このときの測定装置の一例が、図27に示されている。この装置を用いた接触角を測定方法について説明する。
(1)液晶素子16を第2のガラス板16bの+X側の面が上になるようにステージ30上にセットする。
(2)液晶素子16の接着領域の中心部に接着剤が塗布できるように、ステージ30の位置を調整する。
(3)塗布器31にて所定量の接着剤を塗布する。
(4)塗布された接着剤の状態をカメラ32で捉えて接触角を算出する。接触角は一般的に知られているように、接着剤の幅(2r)と高さ(h)を計測し、θ/2法によって算出している。
ところで、接着剤の塗布量が同じである場合、一例として図28(A)に示されるように、接着剤の接触角が小さいと、接着剤は接着領域の全域に拡がるが、一例として図28(B)に示されるように、接着剤の接触角が大きいと、接着剤はあまり拡がらない。
そこで、一定の接着面積を得るには、接触角に応じて、接着剤の塗布量を調整する必要がある(図29参照)。
従って、接触角が大きいときには、液晶素子に塗布する接着剤の塗布量を多くし、接触角が小さいときには、液晶素子に塗布する接着剤の塗布量を少なくすることにより、接着面積のばらつき、すなわち、接着強度のばらつきを低減することができる。なお、接触角と塗布量の関係は、予め実験等により求めておけば良い。
また、接触角の測定に使用する接着剤は、液晶素子16と保持部材を固定するために用いられる接着剤と同じものを用いる。これは、使用する液体によって接触角が異なるため、実際に使用する接着剤を用いることで、誤差をなくすことができ、精度の良い接触角が得られる。
そして、接触角に応じて、適切な接着剤の塗布量が算出されると、その情報を塗布器31にフィードバックし、接着領域内の複数箇所に接着剤を塗布する。一例として図30には、接着剤の塗布位置が2箇所の場合が示されている。この場合には、中心軸に対して、左右対称な位置で、かつ、左側領域と右側領域のそれぞれの中心位置に同量の接着剤を塗布することで、液晶素子と保持部材とを重ね合わせた時に、図30に示されるように、塗布位置から矢印方向に接着剤が拡がり、接着領域の全域に接着剤を付着させることができる。
このように、接着領域における接着剤の接触角を直接測定することにより、接着領域の全域に接着剤を付着させるための塗布量を精度良く算出できる。そして、接着面積を一定にし、強固で安定した接着強度が得られるため、温度変動及び衝撃・振動などの外乱による液晶素子と保持部材の位置ずれを抑制することができる。その結果、温度変化や衝撃・振動などの外乱に強く、安定した光走査を行うことができる光走査装置が実現できる。そして、この光走査装置を搭載する画像形成装置では、安定して高画質な画像を作成することができる。
なお、上記実施形態では、画像形成装置がレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、光走査装置1010を備えた画像形成装置であれば良い。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、例えば、図32に示されるように、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000であっても良い。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用のステーション(感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6)と、シアン用のステーション(感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6)と、マゼンタ用のステーション(感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6)と、イエロー用のステーション(感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6)と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
各感光体ドラムは、図32中の矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転方向に沿って、帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットがそれぞれ配置されている。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。この帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光走査が行われ、各感光体ドラムに潜像が形成される。
そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、転写ベルト2080上の記録紙に各色のトナー像が順次転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
光走査装置2010は、前記光源14、前記液晶素子16及び前記保持部材22と同様な光源、液晶素子及び保持部材を色毎に有している。従って、前記光走査装置1010と同様な効果を得ることができる。
そして、カラープリンタ2000は、前記レーザプリンタ1000と同様な効果を得ることができる。
また、このカラープリンタ2000において、光走査装置を1色毎に設けても良いし、2色毎に設けても良い。
また、上記実施形態では、光走査装置1010がプリンタに用いられる場合について説明したが、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機にも好適である。