次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
図1乃至図7を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る発光装置及びマルチビーム光源装置を説明する。
始めに、図1乃至図3を参照し、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置の概略の構成を説明する。
図1は、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置の概略の構成を模式的に示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置に含まれる発光装置の構成を模式的に示す分解斜視図である。図3は、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置の構成を示す主走査断面図である。
本実施の形態に係るマルチビーム光源装置107は、図1に示されるように、発光装置201、カップリングレンズ202、アパーチャミラー203、収束レンズ204、光検知センサ210、制御基板206及び光束分割プリズム108から構成される。
発光装置201は、図2に示されるように、発光素子アレイ245、フラットパッケージ246、ガラス窓247から構成される。また、本実施の形態に係る発光装置201において、発光素子アレイ245は、面発光型半導体レーザアレイ(以下、面発光型半導体レーザアレイ245という)である。
面発光型半導体レーザアレイ245は、同一平面に面発光型半導体レーザ素子がモノリシックに2次元配列されてなるチップである。また、フラットパッケージ246は、放射状にリード端子が設けられてなる実装用パッケージである。面発光型半導体レーザアレイ245は、フラットパッケージ246内に、面発光型半導体レーザ素子の配列された平面がパッケージの上面(出射面)と平行となるように、平面視におけるパッケージ内の中央部に実装される。また、パッケージ内は、不活性ガスを封入した状態でガラス窓247で封止される。
カップリングレンズ202は、図1及び図3に示されるように、発光装置201から出射される複数の光ビームを平行光束にする。即ち、発光装置201の面発光型半導体レーザアレイ245の各面発光型半導体レーザ素子から出射される複数の光ビームは、カップリングレンズ202の光軸(X軸)に直交する面内(YZ平面)において、光軸に対して対称に配列するように、また、平行光束となるように調整され、射出される。
アパーチャミラー203は、図1及び図3に示されるように、板状に形成され、発光装置201側の面を反射面となし、光軸と直交する面から主走査方向に所定角度、45°傾けられ配備される。アパーチャミラー203の中央部には、発光装置201から出射される光束の径よりも小さい径の開口が設けられる。収束レンズ204は、発光装置201から出射された光ビームの光軸がアパーチャミラー203で反射され、直角に折曲された後の光路上に設けられる。光検知センサ210は、図3に示されるように、アパーチャミラー203で反射され、収束レンズ204を透過した光ビームを検知するためのもので、ミラー205を介して折曲された光ビームが結像する点に設けられる。本実施の形態では、光検知センサ210は、制御基板206上に、発光装置201と並ぶような配置で実装され、外部ノイズ等による検出信号への影響がないようにしている。
発光装置201から出射され、アパーチャミラー203の開口を通過した光束はカップリングレンズ202を通過した後、図示しないポリゴンミラーへと向かう。一方、発光装置201から出射され、アパーチャミラー203の開口を通過せず反射された周辺光は、収束レンズ204を介して光検知センサ210に導かれる。
本実施の形態に係るマルチビーム光源装置を後述するマルチビーム走査装置に組み込んで使用する場合、発光装置201から出射される光ビームを図示しないポリゴンミラー各面による走査を開始した後、画像領域に至るまでの時間を利用し、発光装置201の各面発光レーザ素子を順次点灯させて各々のビーム強度を検出し、基準値と比較して、各面発光レーザ素子の出力が所定値になるように注入電流を調整する。調整された注入電流は次の検出時まで保持されるため、ビーム強度を一定に保つことができる。
制御基板206は、発光素子201、光検知センサ210が実装される基板であると共に、発光素子201の各面発光型半導体レーザ素子の発光出力を一定に保持するパワー制御回路及び画像情報に応じて発光源を各々変調する駆動回路が形成される回路基板であり、カップリングレンズ202と共に一体的に取付基板に取付けられて保持され、マルチビーム光源装置を構成する。
光束分割プリズム108は、第3の実施の形態において後述されるように、ハーフミラー面241とハーフミラー面241と平行なミラー面242とを有し、出射した出射光がカップリングレンズ202で収束され、ポリゴンミラーへ導入される光学系を構成する。
次に、図2乃至図5を参照し、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置の全体の詳細な構成を説明する。
図4は、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置の分解斜視図である。図5は、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置のベース部材から付勢部材までの部分を拡大して示す分解斜視図である。
本実施の形態に係るマルチビーム光源装置107は、図4に示されるように、制御基板206、ベース部材207、ホルダ部材208、付勢部材209、ブラケット部材211を有する。
なお、ベース部材207及びホルダ部材208は、請求項に記載される取付部材に相当し、ベース部材207及びホルダ部材208に発光装置201を取付ける際に用いられる付勢部材209は、請求項に記載される付勢手段に相当する。
マルチビーム光源装置107は、カップリングレンズ202を保持するホルダ部材208と、発光装置201を実装した制御基板206を保持するベース部材207とをカップリングレンズ202の光軸に直交する基準面で接合し、ねじ締結することで一体化した構成としている。
ベース部材207とホルダ部材208とは、いずれもアルミダイキャストにより形成しているが、略同一の熱膨張係数であれば別材質であってもよい。ベース部材207には、発光装置201からのビーム強度を検出するためのアパーチャミラー203、収束レンズ204及び制御基板206上に実装される光検知センサ210へとビームを折り返すミラー205が設けられる。
制御基板206のベース部材207への取付けは、図4及び図5に示されるように、ベース部材207に形成された取付面221(当接面248と同じ)に、発光装置201のフラットパッケージ246の表面であって後述する凸部310を設けた表面301側を当接し、光軸と直交する面内での位置決めを行い、発光装置201の側面のうち、図2に示されるように、隣接する2面320、321を、予め決められた基準面である内側面に突き当て、光軸と直交方向の位置決めを行う。更に、取付面222には、光検知センサ210の上面が当接される。
本実施の形態では、板金で成型された付勢部材209の板ばね部220により制御基板206を裏側から押圧するとともに、3点のアンカー部(折り曲げ部)218を制御基板206の穴219に嵌合して制御基板206を矢印方向223に寄せ組みすることで、ベース部材207に対する発光装置201の位置決めがなされる。
ベース部材207には、3箇所のスタッド216が形成され、制御基板206に開けた貫通穴217を貫通して、スタッド216に付勢部材209をネジ232で締結することで、制御基板206を支持する。付勢部材209にて制御基板206を裏側から押圧しており、制御基板206をベース部材207等に直接締結しない構成なので、制御基板206に負荷をかけずに、発光装置201をベース部材207に確実に位置決めし、支持することができる。
尚、付勢部材209は、弾性を有する材質であれば樹脂等で形成してもよく、板ばね部の代わりにゴム等の弾性部材を挟み込んでもよい。
こうして組み立てたられたベース部材207は、ネジにより互いの受け面を接合してホルダ部材208と一体化される。
カップリングレンズ202は、図4に示されるように、ホルダ部材208に形成された円筒面230に、コバ部との隙間に接着剤を充填して固定される。図3に示されるように、カップリングレンズ202の光軸251に直交する面250と発光装置201の配列面との平行性を合わせるため、図2に示されるように、予め発光装置201の面発光型半導体レーザアレイ245の配列面とフラットパッケージ246の表面301との平行度の誤差を測定しておき、その誤差を補正するような凸部310をフラットパッケージ246の表面301上に設け、当接面248(当接面248はカップリングレンズ202の光軸251に直交する面250と平行になるようあらかじめ設計されている)にフラットパッケージ246(発光装置201)の表面301側を突き当てて搭載する。
以上のような構造を有することにより、光軸方向の位置が決まり、光ビームの射出方向を補正することができ、光ビームの射出方向を当接面248と直交させることができる。
次に、図6及び図7を参照し、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置に含まれる発光装置のフラットパッケージの表面に設けられる凸部の構造について説明する。
図6及び図7は、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置を説明するための図であり、発光装置のパッケージ上に凸部が設けられた構成を示す斜視図である。
本実施の形態における発光装置201は、図6に示されるように、フラットパッケージ246の表面301上に凸部312を有する。
凸部312は、フラットパッケージ246の表面301上に312−1、312−2及び312−3の3つが設けられる。3つの凸部312−1、312−2及び312−3は、3つの凸部312のうち、どの2つの凸部312も互いに略等しい距離で離間するように分散し、フラットパッケージ246の平面視における重心が、3つの凸部312を頂点とする三角形の略重心付近にあるように設けられる。
このようにフラットパッケージ246の重心と3つの凸部312を頂点とする三角形の重心が略一致するように凸部312を設けた場合、フラットパッケージ246をフラットパッケージ246の表面301と反対側の面から押圧して固定する際、パッケージの中央部付近であればどこでも安定して押さえることができる。
凸部312は、縦横1mm以下の板状の円形状の部材が接着されて構成される。凸部312の材質は、特に限定されるものではないが、板状の部材として、打抜加工、エッチング等の公知の手法で作製したSUS(ステンレス)の部材を用いることができる。上述したように、高低差をつけるために厚みの異なるSUS材を用いる場合には、種々の厚みを有するSUSの部材を用いることができ、この場合の凸部312の厚みは、特に限定されるもではないが、例えば40〜120μmの間で調整可能である。
この場合、板状の部材を接着するための接着剤の材質は、特に限定されるものではなく、例えば熱硬化型エポキシ樹脂を用いることができる。また、例えば接着剤の厚さは10μm程度に薄くすることができ、接着剤の厚さのばらつきも2〜3μm以下に抑えることができるため、SUSの部材の厚さに比べ、接着剤の厚さのばらつきはさほど問題にならない。
更に、凸部312の厚さを更に薄くする場合は、電着法によりあらかじめパターン化した状態で作製したニッケルの部材等を用いることができ、凸部312の厚さは、例えば10〜40μmの間で調整可能である。
ここで、凸部312の、発光装置201から出射される光ビームの光軸とカップリングレンズ202の光軸との角度差を補正する作用について説明する。
3つの凸部312−1、312−2及び312−3に当接する平面は、その平面がフラットパッケージ246の表面301に接触しない範囲で、一義的に決定することができ、フラットパッケージ246の凸部312以外の部分がベース部材207に形成された取付面221(当接面248)に接触しない範囲で、フラットパッケージ246を任意の角度だけ傾けて取付面221(当接面248)に取付けることができる。ここで、3つの凸部312は、3つの凸部312に当接する平面と、取付面221(当接面248)とのなす角度が、発光装置201から出射される光ビームの光軸と、カップリングレンズ202の光軸251とのずれの角度に等しくなるように、設けられる。
具体的には、3つの凸部312のうち、位置決め基準となる第1の凸部312−1の位置及び高さ、第2の凸部312−2の位置並びに第3の凸部312−3の位置を予め決定し、3つの凸部312が形成される前の発光装置201から出射される光ビームの光軸と、フラットパッケージ246の表面301の法線方向とのずれの角度を測定し、その角度差を補正するための第2の凸部312−2の高さ及び第3の凸部312−3の高さを算出して決定し、決定された位置及び高さを有する3つの凸部312をフラットパッケージ246の表面301上に形成する。
又は、3つの凸部312のうち、位置決め基準となる第1の凸部312−1の位置及び高さ、第2の凸部312−2の高さ並びに第3の凸部312−3の高さを予め決定し、3つの凸部312が形成される前に、発光装置201から出射される光ビームの光軸と、フラットパッケージ246の表面301の法線方向とのずれの角度を測定し、その角度差を補正するための第2の凸部312−2の位置及び第3の凸部312−3の位置を算出して決定し、決定された位置及び高さを有する3つの凸部312をフラットパッケージ246の表面301上に形成する。
後述するように、発光装置201の複数の発光源は、主走査方向、副走査方向に配列数n、mにて2次元に配列されているため、各発光源がカップリングレンズ202の光軸251に直交する面250内に揃っていないと、カップリングレンズ202から射出されたビームの集束状態が各発光源で均一にならない。
しかし、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置においては、図6に示されるように、パッケージの表面に3つの凸部312を設けるため、その高低差により射出方向を補正することができる。
なお、凸部312のフラットパッケージ246の表面301上へ設けられる位置は、フラットパッケージ246の表面301上に略等しい距離で離間するように分散し、フラットパッケージ246の平面視における重心が、3つの凸部312を頂点とする三角形の略重心付近にあるように設けられるのであれば、特に限定されるものではなく、例えば図7に示されるように配置されてもよい。更に、3つの凸部312の高さは、フラットパッケージ246の表面301を光軸に対して所定の角度傾けることができるならば、特に限定されるものではなく、3つの凸部312の各々の位置と高低差は、種々に組み合わせてもよい。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
次に、図8を参照し、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る発光装置及びマルチビーム光源装置を説明する。
図8は、本変形例に係る発光装置を説明するための図であり、発光装置のパッケージ上に凸部が設けられた構成を示す斜視図である。ただし、以下の文中では、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある(以下の変形例、実施の形態についても同様)。
本変形例に係る発光装置は、凸部の少なくとも1つがパッケージの表面の角部付近の領域に設けられ、凸部が矩形である点で、第1の実施の形態に係る発光装置と相違する。
図8を参照するに、第1の実施の形態において、パッケージの平面視における重心が、3つの凸部を頂点とする三角形の略重心付近にあり、凸部が平面視において円形であるのと相違し、本変形例においては、凸部の少なくとも1つは、パッケージの表面の角部付近の領域に設けられ、凸部は平面視において矩形である。
ここで、パッケージの表面の角部付近の領域とは、パッケージ表面に垂直方向に存在するパッケージの位置決め用側面2面の交差する近傍の表面に相当する。
本変形例に係る発光装置201aは、図8に示されるように、フラットパッケージ246aの表面301a上に凸部311を有する。X軸をパッケージ表面に垂直な光軸方向とし、Y軸及びZ軸の方向に平行な辺を有するフラットパッケージ246aにおいて、Y方向及びZ方向の位置決め基準として、フラットパッケージ246aの側面のうち隣接する2面を基準面320、321とした場合に、基準面320、321の交差する近傍のフラットパッケージ246aの表面301aに、1つの凸部(第1の凸部311−1)、凸部311−1と同じY軸上に1つの凸部(第2の凸部311−2)、及び凸部311−1と同じZ軸上に1つの凸部(第3の凸部311−3)が設けられる。
Y軸(又は略Y軸方向の回転軸)を回転中心としてフラットパッケージ246aの表面301aを回転させることによって面発光型半導体レーザアレイ245から出射される光軸方向を補正する場合は、第1の凸部311−1に対する第3の凸部311−3の高低差を調整する。同様に、Z軸(又は略Z軸方向の回転軸)を回転中心として回転させることによって光軸方向を補正する場合は、第1の凸部311−1に対する第2の凸部311−2の高低差を調整する。このように、Y軸(又は略Y軸方向の回転軸)及びZ軸(又は略Z軸方向の回転軸)の2つの軸を回転中心としてフラットパッケージ246aの表面301aを任意の方向に傾けることができるため、面発光型半導体レーザアレイ245から出射される光ビームの射出方向を任意の方向に調整することができる。
凸部311は、第1の実施の形態における円形状の部材に代わり、本変形例において矩形状の部材が用いられること以外は、縦横1mm以下の板状の矩形状の部材が接着されて構成されること、凸部311の材質、製造方法、接着剤の材質は、第1の実施の形態と同様である。
本変形例では、位置決め基準となる第1の凸部311−1の位置及び高さ、第2の凸部311−2の位置並びに第3の凸部311−3の位置を予め決定し、3つの凸部311が形成される前の発光装置201aから出射される光ビームの光軸と、フラットパッケージ246aの表面301aとのずれの角度を測定し、その角度差を補正するための第2の凸部311−2の高さ及び第3の凸部311−3の高さを算出して決定し、決定された高さを有する3つの凸部311をフラットパッケージ246aの表面301a上に形成することができる。
これにより、発光装置201aが、フラットパッケージ246aの表面301aに形成された凸部311で当接するようにベース部材207の取付面221(当接面248)に取付けられた場合に、発光装置201から出射される光ビームの光軸とカップリングレンズ202の光軸が平行となり、カップリングレンズ202から射出されたビームの集束状態が各発光源で均一となる。
以上のように、本変形例に係る発光装置及びこの発光装置を含むマルチビーム光源装置においては、1つの凸部を角部付近の領域に設け、その1つの凸部からY軸及びZ軸方向に各々1つずつ高低差調整可能な凸部を設けることによって、Y軸及びZ軸の周りの回転方向に任意に傾けることが可能であり、第1の実施の形態に係る発光装置及びマルチビーム光源装置と同様に、光ビームの射出方向を補正することができる。
なお、本変形例において、3つの凸部のうち1つが角部付近の領域(パッケージ表面に垂直方向に存在する側面2面の交差する近傍の表面)に設けられるが、他の2つの凸部も、パッケージの表面の角部付近の領域に設けられる1つの凸部からY軸及びZ軸の方向に離間した別の角部付近の領域(別の側面2面の交差する近傍の表面)に設けることができる。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
次に、図9を参照し、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係る発光装置及びマルチビーム光源装置を説明する。
図9は、本変形例に係る発光装置を説明するための図であり、発光装置のパッケージ上に凸部が設けられた構成を示す斜視図である。
本変形例に係る発光装置は、3つの凸部のうち、パッケージの表面の角部付近の領域に設けられた1つ以外の残りの2つの凸部について、高さではなく位置を調整する点で、第1の実施の形態の第1の変形例に係る発光装置と相違する。
図9を参照するに、第1の実施の形態の第1の変形例において、パッケージの表面の角部付近の領域に設けられた1つ以外の残りの2つの凸部の高さを調整するのと相違し、本変形例においては、残りの2つの凸部の高さは予め決められており、残りの2つの凸部の設ける位置を調整する。
ここで、パッケージの表面の角部付近の領域が、パッケージ表面に垂直方向に存在するパッケージの位置決め用側面2面の交差する近傍の表面に相当するのは、第1の実施の形態の第1の変形例と同様である。
本変形例に係る発光装置201bは、図9に示されるように、フラットパッケージ246bの表面301b上に凸部311を有し、X軸をパッケージ表面に垂直な光軸方向とし、Y軸及びZ軸の方向に平行な辺を有するフラットパッケージ246bにおいて、Y方向及びZ方向の位置決め基準として、パッケージの側面のうち隣接する2面を基準面320、321とした場合に、基準面320、321の交差する近傍のフラットパッケージ246bの表面301bに、1つの凸部(第1の凸部311−1)、凸部311−1と同じY軸上に1つの凸部(第2の凸部311−2)、及び凸部311−1と同じZ軸上に1つの凸部(第3の凸部311−3)が設けられるのは、第1の実施の形態の第1の変形例と同様である。
また、本変形例においては、Y軸(又は略Y軸方向の回転軸)を回転中心としてフラットパッケージ246bの表面301bを回転させることによって面発光型半導体レーザアレイ245から出射される光軸方向を補正する場合は、第1の凸部311−1に対して高低差を有する第3の凸部311−3の位置を調整する。同様に、Z軸(又は略Z軸方向の回転軸)を回転中心として回転させることによって光軸方向を補正する場合は、第1の凸部311−1に対して高低差を有する第2の凸部311−2の位置を調整する。このように、Y軸(又は略Y軸方向の回転軸)及びZ軸(又は略Z軸方向の回転軸)の2つの軸を回転中心としてフラットパッケージ246bの表面301bを任意の方向に傾けることができるため、面発光型半導体レーザアレイ245から出射される光ビームの射出方向を任意の方向に調整することができる。
凸部311は、縦横1mm以下の板状の矩形状の部材が接着されて構成されること、凸部311の材質、製造方法、接着剤の材質は、第1の実施の形態の第1の変形例と同様である。
本変形例では、第1の実施の形態の第1の変形例と異なり、位置決め基準となる第1の凸部311−1の位置及び高さ、第2の凸部311−2の高さ並びに第3の凸部311−3の高さを予め決定した後、3つの凸部311が形成される前の発光装置201bから出射される光ビームの光軸と、フラットパッケージ246bの表面301bとのずれの角度を測定し、その角度差を補正するための第2の凸部311−2の高さ及び第3の凸部311−3の高さを算出して決定し、決定された高さを有する3つの凸部311をフラットパッケージ246bの表面301b上に形成することができる。
これにより、発光装置201bを組み込んだマルチビーム光源装置において、カップリングレンズ202から射出されたビームの集束状態が各発光源で均一となる。
以上のように、本変形例に係る発光装置及びこの発光装置を含むマルチビーム光源装置においては、1つの凸部を角部付近の領域に設け、その1つの凸部からY軸及びZ軸方向に各々1つずつ設置位置調整可能な凸部を設けることによって、Y軸及びZ軸の周りの回転方向に任意に傾けることが可能であり、第1の実施の形態に係る発光装置及びマルチビーム光源装置と同様に、光ビームの射出方向を補正することができる。
(第1の実施の形態の第3の変形例)
次に、図10を参照し、本発明の第1の実施の形態の第3の変形例に係る発光装置及びマルチビーム光源装置を説明する。
図10は、本変形例に係る発光装置を説明するための図であり、発光装置のパッケージ上に凸部が設けられた構成を示す斜視図である。
本変形例に係る発光装置は、凸部が矩形状ではなく円板状である点で、第1の実施の形態の第1の変形例に係る発光装置と相違する。
図10を参照するに、第1の実施の形態の第1の変形例において、凸部は矩形であるのと相違し、本変形例においては、凸部は円板状である。
本変形例に係る発光装置201cは、図10に示されるように、フラットパッケージ246cの表面301c上に凸部312を有し、X軸をパッケージ表面に垂直な光軸方向とし、Y軸及びZ軸の方向に平行な辺を有するフラットパッケージ246cにおいて、Y方向及びZ方向の位置決め基準として、パッケージの側面のうち隣接する2面を基準面320、321とした場合に、基準面320、321の交差する近傍のフラットパッケージ246cの表面301cに、1つの凸部(第1の凸部312−1)、凸部312−1と同じY軸上に1つの凸部(第2の凸部312−2)、及び凸部312−1と同じZ軸上に1つの凸部(第3の凸部312−3)が設けられるのは、第1の実施の形態の第1の変形例と同様である。
また、第1の実施の形態の第1の変形例と同様に、第1の凸部312−1に対する第3の凸部312−3及び第2の凸部312−2の高低差を調整することによって、光ビームの射出方向を任意の方向に調整することができる。あるいは、第1の実施の形態の第2の変形例と同様に、第1の凸部312−1に対する第3の凸部312−3及び第2の凸部312−2の位置を調整することによっても、面発光型半導体レーザアレイ245から出射される光ビームの射出方向を任意の方向に調整することができる。
ただし、本変形例において、凸部312は、第1の実施の形態と同様に、縦横1mm以下の円板状の部材が接着されて構成される。凸部312が矩形状ではなく円板状であるため、凸部312の設置する際の形状の方向を調整する必要がない。
本変形例においても、第1の実施の形態の第1の変形例と同様に、発光装置から射出される光ビームの射出方向を補正することができ、この発光装置を含むマルチビーム光源装置においても、カップリングレンズから射出されたビームの集束状態を各発光源で均一とすることができる。
(第1の実施の形態の第4の変形例)
次に、図11を参照し、本発明の第1の実施の形態の第4の変形例に係る発光装置及びマルチビーム光源装置を説明する。
図11は、本変形例に係る発光装置を説明するための図であり、発光装置のパッケージ上に凸部が設けられた構成を示す斜視図である。
本変形例に係る発光装置は、凸部の表面が略球面状である点で、第1の実施の形態の第3の変形例に係る発光装置と相違する。
図11を参照するに、第1の実施の形態の第3の変形例において、凸部の表面は平坦であるのと相違し、本変形例においては、凸部の表面は略球面状である。
本変形例に係る発光装置201dは、図11に示されるように、フラットパッケージ246dの表面301d上に凸部313を有し、第1の実施の形態の第3の変形例と同様に、基準面320、321の交差する近傍のフラットパッケージ246dの表面301dに、1つの凸部(第1の凸部313−1)、凸部313−1と同じY軸上に1つの凸部(第2の凸部313−2)、及び凸部313−1と同じZ軸上に1つの凸部(第3の凸部313−3)が設けられる。
ただし、本変形例において、凸部313は、表面が略球面状である。凸部313は、表面が略球面状であるため、凸部とパッケージの接触する位置がほとんど変わらず、高精度な補正が可能となる。
本変形例では、凸部313は、樹脂系の接着剤を塗布することによって形成され、表面張力を利用して表面を略球面状にしている。凸部313の材質は、特に限定されるものではないが、例えば熱硬化型エポキシ樹脂系の接着剤を用いることができ、凸部313の形成方法も、特に限定されるものではないが、例えば熱硬化型エポキシ樹脂をディスペンサで塗布する方法を用いることができる。
この場合、凸部313は、樹脂系の接着剤を塗布する塗布量を調整することによって、高さを調整することができる。従って、第1の実施の形態の第1の変形例と同様に、第1の凸部313−1に対する第3の凸部313−3及び第2の凸部313−2の高低差を調整することによって、光ビームの射出方向を任意の方向に調整することができる。
また、凸部313は、樹脂系の接着剤を塗布する塗布量を調整する代わりに、樹脂を塗布する位置を変えて調整することもできる。この場合は、第1の実施の形態の第2の変形例と同様に、第1の凸部313−1に対する第3の凸部313−3及び第2の凸部313−2の位置を調整することによって、光ビームの射出方向を任意の方向に調整することができる。
本変形例においても、第1の実施の形態の第3の変形例と同様に、発光装置から射出される光ビームの射出方向を補正することができ、この発光装置を含むマルチビーム光源装置においても、カップリングレンズから射出されたビームの集束状態が各発光源で均一となる。
なお、本変形例では、樹脂系の接着剤の代わりに、樹脂系の接着剤より硬い無機系の接着剤を用いることができる。
また、本変形例では、熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤をディスペンサで塗布することによって凸部を形成するが、低融点金属であるペースト状の半田をメタルマスクで印刷し、炉で溶融させることによって、その表面張力を利用して表面を球面状にした凸部を形成することもできる。凸部の高低差の調整は、メタルマスクの厚さまたは穴径を調整することによって行うことができる。更に、ペースト状の半田を塗布する方法として、ディスペンサ、インクジェット等の公知の塗布方法を用いることができ、塗布量を調整することによって、凸部の高低差を調整することができる。
また、本変形例では、パッケージの隣接する2つの側面が交差する近傍の表面に設けた第1の凸部313−1と同じY軸上、Z軸上に第2の凸部313−2、第3の凸部313−3を設けているが、第2の凸部313−2、第3の凸部313−3は、第1の凸部313−1と同一軸上になくても、パッケージ表面301d上であれば、任意の場所に設けることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図12乃至図17を参照し、本発明の第2の実施の形態に係るマルチビーム光源装置を説明する。
始めに、図12乃至図15を参照し、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置の概略の構成を説明する。
図12は、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置に含まれる発光装置の構成を模式的に示す分解斜視図である。図13は、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置の構成を示す主走査断面図である。図14は、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置の分解斜視図である。図15は、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置のベース部材から付勢部材までの部分を拡大して示す分解斜視図である。
本実施の形態に係るマルチビーム光源装置は、フラットパッケージが当接されるベース部材側に凸部が設けられる点で、第1の実施の形態に係るマルチビーム光源装置と相違する。
図12乃至図15を参照するに、第1の実施の形態において、発光装置のフラットパッケージの表面に凸部が設けられ、その高低差により発光装置から出射される光ビームの射出方向が補正されるのと相違し、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置107aは、フラットパッケージ246eが当接されるベース部材207a側に凸部が設けられ、その高低差により射出方向が補正される。
マルチビーム光源装置107aが、図13乃至図15に示されるように、発光装置201e、カップリングレンズ202、アパーチャミラー203、収束レンズ204、光検知センサ210、制御基板206、ベース部材207a、ホルダ部材208、付勢部材209、ブラケット部材211及び光束分割プリズム108から構成されるのは、第1の実施の形態と同様である。
発光装置201eが、図12に示されるように、発光素子アレイ245、フラットパッケージ246e、ガラス窓247から構成され、発光素子アレイ245が、面発光型半導体レーザアレイ245であるのは、第1の実施の形態と同様である。
マルチビーム光源装置107aは、図14に示されるように、カップリングレンズ202を保持するホルダ部材208と、発光装置201eを実装した制御基板206を保持するベース部材207aとをカップリングレンズ202の光軸に直交する基準面で接合し、ねじ締結することで一体化した構成としているのは、第1の実施の形態と同様である。
ベース部材207aとホルダ部材208とが、例えばアルミダイキャスト又は略同一の熱膨張係数を有する別材質よりなること、ベース部材207aには、上記した発光装置201eからのビーム強度を検出するためのアパーチャミラー203、収束レンズ204及び制御基板206上に実装される光検知センサ210へとビームを折り返すミラー205が設けられること、も第1の実施の形態と同様である。
しかしながら、制御基板206のベース部材207aへの取付け方法は、第1の実施の形態と異なる。
制御基板206のベース部材207aへの取り付けは、図15に示されるように、ベース部材207aに形成された取付面221a(当接面248a)に凸部330を設け、発光装置201eのフラットパッケージ246eの表面301e側を凸部330に当接し、光軸と直交する面内での位置決めを行い、発光装置201eの側面のうち、隣接する2面320、321を予め決められた基準面である内側面に突き当てて、光軸と直交方向の位置決めを行う。ここで、本実施の形態においては、当接面248aは、第1の実施の形態と異なり、取付面248aから僅かに傾けられている。また、更に、取付面222には光検知センサ210の上面が当接される。
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、板金で成型された付勢部材209の板ばね部220により制御基板206を裏側から押圧するとともに、3点のアンカー部(折り曲げ部)218を制御基板206の穴219に嵌合して制御基板206を矢印方向223に寄せ組みすることで、ベース部材207aに対する発光装置201eの位置決めがなされる。
ベース部材207aには、第1の実施の形態と同様に、3箇所のスタッド216が形成され、制御基板206に開けた貫通穴217を貫通して、スタッド216に付勢部材209をネジ232で締結することで、制御基板206を支持する。付勢部材209にて制御基板206を裏側から押圧しており、制御基板206をベース部材207a等に直接締結しない構成なので、制御基板206に負荷をかけずに、発光装置201eをベース部材207aに確実に位置決めし、支持することができる。
尚、付勢部材209は、第1の実施の形態と同様に、弾性を有する材質であれば樹脂等で形成してもよく、板ばね部の代わりに、ゴム等の弾性部材を挟み込んでもよい。
こうして組み立てられたベース部材207aが、ネジにより互いの受け面を接合してホルダ部材208と一体化されるのは、第1の実施の形態と同様である。
カップリングレンズ202は、図14に示されるように、第1の実施の形態と同様に、ホルダ部材208に形成された円筒面230に、コバ部との隙間に接着剤を充填して固定される。図13に示されるように、カップリングレンズ202の光軸251に直交する面250と発光装置201eの配列面との平行性を合わせるため、予め発光装置201eの面発光型半導体レーザアレイ245の配列面とフラットパッケージ246eの表面301eの平行度の誤差を測定しておき、図15に示されるように、その誤差を補正するような凸部330をベース部材207aに形成された取付面221aに設け、凸部330に発光装置201eのフラットパッケージ246eの表面301e側を突き当てるように、発光装置201eを取付面221aに搭載する。
以上のような構造を有することにより、光軸方向の位置が決まり、光ビームの射出方向が補正でき、光ビームの射出方向を取付面221aと直交させることができる。
次に、図16及び図17を参照し、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置に含まれる発光装置のパッケージについて説明する。
図16及び図17は、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置を説明するための図であり、ベース部材の取付面上に凸部が設けられた構成を示す斜視図である。
図16を参照するに、本実施の形態において、マルチビーム光源装置107aは、ベース部材207aの取付面221a上に凸部334を有する。
凸部334は、ベース部材207aの取付面221a上に334−1、334−2及び334−3の3つが設けられる。3つの凸部334−1、334−2及び334−3は、3つの凸部334のうち、どの2つの凸部334も互いに略等しい距離で離間するように分散し、取付面221a上に取付けられる(図2に示される)フラットパッケージ246eの平面視における重心が、3つの凸部334を頂点とする三角形の略重心付近にあるように設けられる。
このようにフラットパッケージ246eの重心と3つの凸部334を頂点とする三角形の重心が略一致するように凸部334を設けた場合、フラットパッケージ246eをフラットパッケージ246eの表面301eと反対側の面から押圧して固定する際、パッケージの中央部付近であればどこでも安定して押さえることができる。
凸部334は、縦横1mm以下の板状の円形状の部材が接着されて構成される。凸部334の材質は、特に限定されるものではないが、板状の部材として、打抜加工、エッチング等の公知の手法で作製したSUS(ステンレス)の部材を用いることができる。上述したように、高低差をつけるために厚みの異なるSUS材を用いる場合には、種々の厚みを有するSUSの部材を用いることができ、この場合の凸部312の厚みは、特に限定されるもではないが、例えば40〜120μmの間で調整可能である。
この場合、板状の部材を接着するための接着剤の材質は、特に限定されるものではなく、例えば熱硬化型エポキシ樹脂を用いることができる。また、例えば接着剤の厚さは10μm程度に薄くすることができ、接着剤の厚さのばらつきも2〜3μm以下に抑えることができるため、SUSの部材の厚さに比べ、接着剤の厚さのばらつきはさほど問題にならない。
更に、凸部334の厚さを更に薄くする場合は、電着法によりあらかじめパターン化した状態で作製したニッケルの部材等を用いることができ、凸部334の厚さは、例えば10〜40μmの間で調整可能である。
ここで、凸部334の、発光装置201eから出射される光ビームの光軸とカップリングレンズ202の光軸との角度差を補正する作用について説明する。
3つの凸部334−1、334−2及び334−3に当接する平面は、フラットパッケージ246eの表面301eがベース部材207aの取付面221a上に接触しない範囲において、一義的に決定することができ、フラットパッケージ246eを任意の角度だけ傾けて取付面221aに取付けることができる。ここで、3つの凸部334は、3つの凸部334に当接する平面と、取付面221aとのなす角度が、発光装置201eから出射される光ビームの光軸と、カップリングレンズ202の光軸251とのずれの角度に等しくなるように、設けられる。
具体的には、3つの凸部334のうち、位置決め基準となる第1の凸部334−1の位置及び高さ、第2の凸部334−2の位置並びに第3の凸部334−3の位置を予め決定し、発光装置201eを3つの凸部334が形成される前のベース部材207aの取付面221aに当接させ、発光装置201eから出射される光ビームの光軸と、カップリングレンズ202の光軸251とのずれの角度を測定し、その角度差を補正するための第2の凸部334−2の高さ及び第3の凸部334−3の高さを算出して決定し、決定された位置及び高さを有する3つの凸部334をベース部材207aの取付面221a上に形成する。
又は、3つの凸部334のうち、位置決め基準となる第1の凸部334−1の位置及び高さ、第2の凸部334−2の高さ並びに第3の凸部334−3の高さを予め決定し、発光装置201eを3つの凸部334が形成される前のベース部材207aの取付面221aに当接させ、発光装置201eから出射される光ビームの光軸と、カップリングレンズ202の光軸251とのずれの角度を測定し、その角度差を補正するための第2の凸部334−2の位置及び第3の凸部334−3の位置を算出して決定し、決定された位置及び高さを有する3つの凸部334をフラットパッケージ246eのベース部材207aの取付面221a上に形成する。
後述するように、発光装置201eの複数の発光源は、主走査方向、副走査方向に配列数n、mにて2次元に配列されているため、各発光源がカップリングレンズ202の光軸251に直交する面250内に揃っていないと、カップリングレンズ202から射出されたビームの集束状態が各発光源で均一にならない。
しかし、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置においては、図16に示されるように、パッケージの表面に3つの凸部334を設けるため、その高低差により射出方向を補正することができる。
なお、凸部334のベース部材207aの取付面221aへ設けられる位置は、ベース部材207aの取付面221a上に略等しい距離で離間するように分散し、フラットパッケージ246eの平面視における重心が、3つの凸部334を頂点とする三角形の略重心付近にあるように設けられるのであれば、特に限定されるものではなく、例えば図17に示されるように配置されてもよい。更に、3つの凸部334の高さは、ベース部材207aの取付面221aを光軸に対して所定の角度傾けることができるならば、特に限定されるものではなく、3つの凸部334の各々の位置と高低差は、種々に組み合わせてもよい。
(第2の実施の形態の第1の変形例)
次に、図18(a)及び図18(b)を参照し、本発明の第2の実施の形態の第1の変形例に係るマルチビーム光源装置を説明する。
図18(a)及び図18(b)は、本変形例に係るマルチビーム光源装置を説明するための図であり、ベース部材の取付面上に凸部が設けられた構成を模式的に示す平面図及び断面図である。
本変形例に係るマルチビーム光源装置は、凸部がネジの先端であり、ネジの少なくとも1つがベース部材の取付面上の角部付近の領域に設けられる点で、第2の実施の形態に係るマルチビーム光源装置と相違する。
図18を参照するに、第2の実施の形態において、凸部が板状の矩形状の部材であり、フラットパッケージの平面視における重心が、3つの凸部を頂点とする三角形の略重心付近にあるのと相違し、本変形例においては、凸部はベース部材207bを貫通するネジの先端であり、ネジの少なくとも1つは、ベース部材207bの取付面221b上であって、発光装置201eのフラットパッケージ246eの表面の角部付近に対応する領域に設けられる。
図18(a)及び図18(b)を参照するに、本変形例において、ベース部材207bの取付面221bに3つのネジ穴が設けられ、その3つのネジ穴に螺合されたネジ331を有する。ネジ穴にはネジ溝が形成されており、ネジ331は、螺入出することにより、光軸方向に移動できる。また、フラットパッケージ側のネジの先端は球面状になっている。
本変形例において、図18(a)及び図18(b)に示されるように、X軸を取付面に垂直な光軸方向とし、Y軸及びZ軸の方向に平行な辺を有する取付面221bにおいて、Y方向及びZ方向の位置決め基準として、取付面221bの側面のうち隣接する2面を基準面340、341とした場合に、基準面340、341の交差する近傍の取付面221に、1本のネジ(第1のネジ331−1)、第1のネジ331−1と同じY軸上に1本のネジ(第2のネジ331−2)、及び第1のネジ331−1と同じZ軸上に1つのネジ(第3のネジ331−3)が設けられる。
Y軸(又は略Y軸方向の回転軸)を回転中心として当接面を回転させることによって光軸方向を補正する場合は、第1のネジ331−1の先端に対する第3のネジ331−3の先端の高低差を調整する。同様に、Z軸(又は略Z軸方向の回転軸)を回転中心として回転させることによって光軸方向を補正する場合は、第1のネジ331−1の先端に対する第2のネジ331−2の高低差を調整する。このように、Y軸(又は略Y軸方向の回転軸)及びZ軸(又は略Z軸方向の回転軸)の2つの軸を回転中心として当接面を任意の方向に傾けることができるため、発光装置201eから出射される光ビームの射出方向を任意の方向に調整することができる。
本変形例では、3本のネジ331を設け、発光装置201eをベース部材207bに取付けた後、発光装置201eから出射される光ビームの光軸と、カップリングレンズ202との光軸とのずれの角度を測定し、その角度差を補正するために、3本のネジ331を螺入出してネジの先端の高さを調整することによって、容易に発光装置201eから出射される光ビームの光軸の方向を調整することができる。
これにより、発光装置201eが、ベース部材207bの取付面221bに設けられたネジ331の先端で形成される当接面248bで当接するようにベース部材207bの取付面221bに取付けられた場合に、発光装置201eから出射される光ビームの光軸とカップリングレンズ202の光軸が平行となり、カップリングレンズ202から射出されたビームの集束状態が各発光源で均一となる。
以上のように、本変形例に係るマルチビーム光源装置においては、1本のネジを角部付近の領域に設け、その1つのネジからY軸及びZ軸方向に各々1本ずつ高低差調整可能なネジをベース部材の取付面に設けることによって、Y軸及びZ軸の周りの回転方向において任意に傾けることが可能であり、第2の実施の形態に係るマルチビーム光源装置と同様に、光ビームの射出方向を補正することができる。
なお、本変形例において、3つの凸部のうち1つが角部付近の領域(パッケージ表面に垂直方向に存在する側面2面の交差する近傍の表面)に対応した箇所に設けられるが、他の2つの凸部も、角部付近の領域に対応した箇所に設けられる1つの凸部からY軸及びZ軸の方向に離間した別の角部付近の領域(別の側面2面の交差する近傍の表面)に対応した箇所に設けることができる。
(第2の実施の形態の第2の変形例)
次に、図19(a)及び図19(b)を参照し、本発明の第2の実施の形態の第2の変形例に係るマルチビーム光源装置を説明する。
図19(a)及び図19(b)は、本変形例に係るマルチビーム光源装置を説明するための図であり、ベース部材の取付面上に凸部が設けられた構成を模式的に示す平面図及び断面図である。
本変形例に係るマルチビーム光源装置は、3本のネジのうちの2本が、ベース部材の取付面に形成された貫通溝を貫通して係止される2組のネジとナットの組合わせである点で、第2の実施の形態の第1の変形例に係るマルチビーム光源装置と相違する。
図19(a)及び図19(b)を参照するに、第2の実施の形態の第1の変形例において、ベース部材207bの取付面221bに3つのネジ穴が設けられ、3本のネジがその3つのネジ穴に螺合されるのと相違し、本変形例においては、3本のうち2本のネジ332−2及び332−3のネジ穴は、ネジ穴の代わりに形成された貫通溝であり、その2本のネジ332−2及び332−3は、ネジとナットとの組合せによって係止される。
図19(a)及び図19(b)を参照するに、本変形例において、ベース部材207cの取付面221cであって、パッケージの表面の角部付近に対応する領域に1つのネジ穴が設けられて第1のネジ332−1が螺合されると共に、そのネジ穴からY軸方向及びZ軸方向に、各々の軸方向に延在する2箇所の貫通溝が設けられ、第2のネジ332−2及び第3のネジ332−3は、ネジ及びナットの組合せによって、貫通溝に貫通した状態でベース部材207cを挟持するようにその貫通溝に係止される。ネジ穴にはネジ溝が形成されており、第1のネジ332−1は、螺入出することにより、光軸方向に移動できる。また、ナットを緩めることにより、第2のネジ332−2及び第3のネジ332−3は、Y軸方向及びZ軸方向に移動できる。また、3本のネジのフラットパッケージ側の先端は球面状になっている。
本変形例において、図19(a)及び図19(b)に示されるように、X軸を取付面に垂直な光軸方向とし、Y軸及びZ軸の方向に平行な辺を有する取付面221cにおいて、Y方向及びZ方向の位置決め基準として、取付面221cの側面のうち隣接する2面を基準面340、341とした場合に、基準面340、341の交差する近傍の取付面221に、1本のネジ(第1のネジ332−1)、第1のネジ332−1と同じY軸上に1本のネジ(第2のネジ332−2)、及び第1のネジ332−1と同じZ軸上に1本のネジ(第3のネジ332−3)が設けられる。
Y軸(又は略Y軸方向の回転軸)を回転中心として当接面を回転させることによって光軸方向を補正する場合は、第3のネジ331−3のボルトを緩め、貫通溝の中での第3のネジ331−3の位置を変えることによって行う。同様に、Z軸(又は略Z軸方向の回転軸)を回転中心として回転させることによって光軸方向を補正する場合は、第2のネジ331−2のボルトを緩め、貫通溝の中での第2のネジ333−2の位置を変えることによって行う。このように、Y軸(又は略Y軸方向の回転軸)及びZ軸(又は略Z軸方向の回転軸)の2つの軸を回転中心として当接面を任意の方向に傾けることができるため、発光装置201eから出射される光ビームの射出方向を任意の方向に調整することができる。
本変形例では、3本のネジ332を設け、発光装置201eをベース部材207cに取付けた後、発光装置201eから出射される光ビームの光軸と、カップリングレンズ202との光軸とのずれの角度を測定し、その角度差を補正するために、第1のネジ332−1を螺入出してネジの先端の高さを調整し、第2のネジ332−2及び第3のネジ332−3の位置を調整することによって、容易に発光装置201eから出射される光ビームの光軸の方向を調整することができる。
これにより、発光装置201eが、ベース部材207cの取付面221cに設けられたネジ332の先端で形成される当接面で当接するようにベース部材207cの取付面221cに取付けられた場合に、発光装置201eから出射される光ビームの光軸とカップリングレンズ202の光軸が平行となり、カップリングレンズ202から射出されたビームの集束状態が各発光源で均一となる。
以上のように、本変形例に係るマルチビーム光源装置においては、1本のネジを角部付近の領域に設け、その1つのネジからY軸及びZ軸方向に各々1本ずつ位置調整可能なネジをベース部材の取付面に設けることによって、Y軸及びZ軸の周りの回転方向において任意に傾けることが可能であり、第2の実施の形態に係るマルチビーム光源装置と同様に、光ビームの射出方向を補正することができる。
(第2の実施の形態の第3の変形例)
次に、図20を参照し、本発明の第2の実施の形態の第3の変形例に係るマルチビーム光源装置を説明する。
図20は、本変形例に係るマルチビーム光源装置を説明するための図であり、ベース部材の取付面上に凸部が設けられた構成を示す斜視図である。
本変形例に係るマルチビーム光源装置は、凸部の少なくとも1つがベース部材の取付面上の角部付近の領域に設けられ、凸部が矩形である点で、第2の実施の形態に係るマルチビーム光源装置と相違する。
図20を参照するに、第2の実施の形態において、パッケージの平面視における重心が、3つの凸部を頂点とする三角形の略重心付近にあり、凸部が平面視において円形であるのと相違し、本変形例においては、凸部の少なくとも1つは、ベース部材207dの取付面221d上であって、発光装置201eのパッケージの表面の角部付近に対応する領域に設けられ、凸部は平面視において矩形である。
本変形例において、ベース部材207dは、図20に示されるように、取付面221d上に凸部333を有する。X軸を取付面221dに垂直な光軸方向とし、Y軸及びZ軸の方向に平行な辺を有する取付面221dにおいて、Y方向及びZ方向の位置決め基準として、取付面の側面のうち隣接する2面を基準面340、341とした場合に、基準面340、341の交差する近傍の取付面221dに、1つの凸部(第1の凸部333−1)、凸部333−1と同じY軸上に1つの凸部(第2の凸部333−2)、及び凸部333−1と同じZ軸上に1つの凸部(第3の凸部333−3)が設けられる。
Y軸(又は略Y軸方向の回転軸)を回転中心として当接面を回転させることによって光軸方向を補正する場合は、第1の凸部333−1に対する第3の凸部333−3の高低差を調整する。同様に、Z軸(又は略Z軸方向の回転軸)を回転中心として当接面を回転させることによって光軸方向を補正する場合は、第1の凸部333−1に対する第2の凸部333−2の高低差を調整する。このように、Y軸(又は略Y軸方向の回転軸)及びZ軸(又は略Z軸方向の回転軸)の2つの軸を回転中心として当接面を任意の方向に傾けることができるため、面発光型半導体レーザアレイ245から出射される光ビームの射出方向を任意の方向に調整することができる。
凸部333は、第2の実施の形態における円形状の部材に代わり、本変形例において矩形状の部材が用いられること以外は、縦横1mm以下の板状の矩形状の部材が接着されて構成されること、凸部333の材質、製造方法、接着剤の材質は、第2の実施の形態と同様である。
本変形例では、位置決め基準となる第1の凸部333−1の位置及び高さ、第2の凸部333−2の位置並びに第3の凸部333−3の位置を予め決定し、発光装置201eを3つの凸部333が形成される前のベース部材207dの取付面221dに取付け、発光装置201eから出射される光ビームの光軸と、カップリングレンズ202の光軸251とのずれの角度を測定し、その角度差を補正するための第2の凸部333−2の高さ及び第3の凸部333−3の高さを算出して決定し、決定された位置及び高さを有する3つの凸部333をベース部材207dの取付面221d上に形成する。
又は、3つの凸部333のうち、位置決め基準となる第1の凸部333−1の位置及び高さ、第2の凸部333−2の高さ並びに第3の凸部333−3の高さを予め決定し、発光装置201eを3つの凸部333が形成される前のベース部材207dの取付面221dに取付け、発光装置201eから出射される光ビームの光軸と、カップリングレンズ202の光軸251とのずれの角度を測定し、その角度差を補正するための第2の凸部333−2の位置及び第3の凸部333−3の位置を算出して決定し、決定された位置及び高さを有する3つの凸部333をフラットパッケージ246eのベース部材207dの取付面221d上に形成する。
後述するように、発光装置201eの複数の発光源は、主走査方向、副走査方向に配列数n、mにて2次元に配列されているため、各発光源がカップリングレンズ202の光軸251に直交する面250内に揃っていないと、カップリングレンズ202から射出されたビームの集束状態が各発光源で均一にならない。
しかし、本実施の形態に係るマルチビーム光源装置においては、図20に示されるように、パッケージの表面に3つの凸部333を設けるため、その高低差により射出方向を補正することができる。
(第2の実施の形態の第4の変形例)
次に、図21を参照し、本発明の第2の実施の形態の第4の変形例に係るマルチビーム光源装置を説明する。
図21は、本変形例に係るマルチビーム光源装置を説明するための図であり、ベース部材の取付面上に凸部が設けられた構成を示す斜視図である。
本変形例に係るマルチビーム光源装置は、凸部が矩形状ではなく円板状である点で、第2の実施の形態の第3の変形例に係るマルチビーム光源装置と相違する。
図21を参照するに、第2の実施の形態の第3の変形例において、凸部は矩形であるのと相違し、本変形例においては、凸部は円板状である。
本変形例において、ベース部材207eは、図21に示されるように、取付面221e上に凸部334を有する。X軸を取付面221eに垂直な光軸方向とし、Y軸及びZ軸の方向に平行な辺を有する取付面221eにおいて、Y方向及びZ方向の位置決め基準として、取付面の側面のうち隣接する2面を基準面340、341とした場合に、基準面340、341の交差する近傍の取付面221eに、1つの凸部(第1の凸部334−1)、凸部334−1と同じY軸上に1つの凸部(第2の凸部311−2)、及び凸部311−1と同じZ軸上に1つの凸部(第3の凸部334−3)が設けられるのは、第2の実施の形態の第3の変形例と同様である。
また、第2の実施の形態の第3の変形例と同様に、第1の凸部334−1に対する第3の凸部334−3及び第2の凸部334−2の高低差を調整することによって、面発光型半導体レーザアレイ245から出射される光ビームの射出方向を任意の方向に調整することができる。あるいは、第1の凸部334−1に対する第3の凸部334−3及び第2の凸部334−2の位置を調整することによっても、面発光型半導体レーザアレイ245から出射される光ビームの射出方向を任意の方向に調整することができる。
ただし、本変形例において、凸部334は、縦横1mm以下の円板状の部材が接着されて構成される。凸部334が矩形状ではなく円板状であるため、凸部334の設置する際の形状の方向を調整する必要がない。それ以外の、凸部334の材質、製造方法、接着剤の材質は、第2の実施の形態の第3の変形例と同様である。
本変形例においても、第2の実施の形態の第3の変形例と同様に、発光装置から射出される光ビームの射出方向を補正することができ、この発光装置を含むマルチビーム光源装置においても、カップリングレンズから射出されたビームの集束状態を各発光源で均一とすることができる。
(第2の実施の形態の第5の変形例)
次に、図22を参照し、本発明の第2の実施の形態の第5の変形例に係るマルチビーム光源装置を説明する。
図22は、本変形例に係るマルチビーム光源装置を説明するための図であり、ベース部材の取付面上に凸部が設けられた構成を示す斜視図である。
本変形例に係るマルチビーム光源装置は、凸部の表面が略球面状である点で、第2の実施の形態の第4の変形例に係るマルチビーム光源装置と相違する。
図22を参照するに、第2の実施の形態の第4の変形例において、凸部の表面は平坦であるのと相違し、本変形例においては、凸部の表面は略球面状である。
本変形例において、ベース部材207fは、図22に示されるように、取付面221f上に凸部335を有する。第2の実施の形態の第4の変形例と同様に、基準面340、341の交差する近傍の取付面221fに、1つの凸部(第1の凸部335−1)、凸部335−1と同じY軸上に1つの凸部(第2の凸部311−2)、及び凸部335−1と同じZ軸上に1つの凸部(第3の凸部335−3)が設けられる。
ただし、本変形例において、凸部335は、表面が略球面状である。凸部335は、表面が略球面状であるため、凸部とパッケージの接触する位置がほとんど変わらず、高精度な補正が可能となる。
本変形例では、凸部335は、第1の実施の形態の第4の変形例と同様に、樹脂系の接着剤を塗布することによって形成され、表面張力を利用して表面を略球面状にしている。凸部335の材質は、特に限定されるものではないが、例えば熱硬化型エポキシ樹脂系の接着剤を用いることができ、凸部335の形成方法も、特に限定されるものではないが、例えば熱硬化型エポキシ樹脂をディスペンサで塗布する方法を用いることができる。
凸部335が、樹脂系の接着剤を塗布する塗布量を調整することによって、高さを調整することができること、また、樹脂系の接着剤を塗布する塗布量を調整する代わりに、樹脂を塗布する位置を変えて調整することもできることは、第1の実施の形態の第4の変形例と同様である。
従って、本変形例においても、発光装置から射出される光ビームの射出方向を補正することができ、この発光装置を含むマルチビーム光源装置においても、カップリングレンズから射出されたビームの集束状態を各発光源で均一とすることができる。
なお、本変形例では、樹脂系の接着剤の代わりに、樹脂系の接着剤より硬い無機系の接着剤を用いることができる。
また、第1の実施の形態の第4の変形例と同様に、本変形例では、熱硬化型エポキシ樹脂系接着剤をディスペンサで塗布することによって凸部を形成するが、低融点金属であるペースト状の半田をメタルマスクで印刷し、炉で溶融させることによって、その表面張力を利用して表面を球面状にした凸部を形成することもできる。凸部の高低差の調整は、メタルマスクの厚さまたは穴径を調整することによって行うことができる。更に、ペースト状の半田を塗布する方法として、ディスペンサ、インクジェット等の公知の塗布方法を用いることができ、塗布量を調整することによって、凸部の高低差を調整することができる。
また、本変形例では、パッケージの隣接する2つの側面が交差する近傍の表面に設けた凸部335−1と同じY軸上、Z軸上に他の凸部335−2、335−3を設けているが、凸部335−2、335−3は、凸部335−1と同一軸上になくても、パッケージ表面301e上であれば、任意の場所に設けることができる。
(第3の実施の形態)
次に、図23を参照し、本発明の第3の実施の形態に係るマルチビーム走査装置を説明する。本実施の形態に係るマルチビーム走査装置は、第1の実施の形態に係るマルチビーム光源装置を用いたマルチビーム走査装置である。
図23は、本実施の形態に係るマルチビーム走査装置の構成を示す斜視図である。
図23に示されるように、本実施の形態に係るマルチビーム走査装置は、4つの感光体ドラム101、102、103、104、ポリゴンミラー106、光源ユニット107、109、光束分割プリズム108、110、シリンダレンズ113、114、115、116、液晶偏向素子117、118を有する。なお、105は転写体の移動方向を示す。
図23に示されるマルチビーム走査装置は、4ステーションを走査する光走査装置の一実施の形態である。即ち、図23に示されるマルチビーム走査装置は、マルチビーム光源装置からの4ステーション分に相当する複数の光ビームを、単一のポリゴンミラーで走査し、対向する方向に偏向、走査することで各感光体ドラムを走査するように一体化された光走査ユニットの構成を有する。
4つの感光体ドラム101、102、103、104は、転写体の移動方向105に沿って等間隔で配列され、順次異なる色のトナー像を転写し重ね合わせることでカラー画像を形成する。
図23に示されるように、感光体ドラム101〜104の各感光体ドラムを走査する光走査装置は一体的に構成され、2段に構成されたポリゴンミラー106により各々光ビームを走査する。
光源ユニット107、109は、同一方向に走査する2ステーションに対し各1ずつ配備され、光束分割プリズム108、110を用い、ポリゴンミラー106の上下面に対応して上下2段に光ビームを分岐し、各感光体ドラムに交互に各ステーションに対応した画像を形成していく。光源ユニット107、109は、第1の実施の形態に係るマルチビーム光源装置である。
光源ユニット107、109、結像光学系を構成するfθレンズ120、121、及びトロイダルレンズ124、125は、ポリゴンミラー106の回転軸を含み感光体ドラム軸に平行な対称面に対し対称に配備され、ポリゴンミラー106により、各マルチビーム光源装置107、109からの光ビームは相反する方向に偏向され、各感光体ドラム101〜104に導かれる。
従って、各ステーションにおける走査方向は、対向する各感光体ドラムで相反する方向となり、記録領域の幅、言いかえれば主走査方向の倍率を合わせ、一方の走査開始端ともう一方の走査終端とが一致するように静電像を書き込んでいく。
図24は、本実施の形態に係るマルチビーム走査装置を説明するための図であり、発光装置に格納される面発光型半導体レーザアレイの発光源の配置を模式的に示す図である。
図24において、符号dは発光源相互の間隔、mは副走査方向の行数、nは主走査方向の列数、pは副走査方向の走査ラインピッチ、βsは光学系全体の副走査倍率、γは発光源の配列方向と主走査方向とのなす角を示す。
本実施の形態では、各感光体に対して、図24に示すように主副にマトリクス状に等間隔dで配列したn列×m行、実施例では8×4にわたって2次元に配列した32個の発光源を有する面発光型半導体レーザアレイを配備し、マルチビーム光源装置全体をγだけ傾けることにより、感光体ドラム上の副走査方向におけるビームスポット間ピッチpが記録密度に相当する走査ラインピッチに合うように傾きが調整され、ステーション毎に32ラインが同時に走査されるようにしている。
ここで、光学系全系の副走査倍率βsを用いると、傾け量γは以下の式で表される。
sinγ=(cosγ)/n=p/d・βs
当然、面発光型半導体レーザアレイの加工プロセスの段階で、予め発光源の配列方向が所定角度だけ傾くようにレイアウトしてもよい。
尚、液晶偏向素子117では、液晶の配列方向に合った偏光成分のみが偏向されるため、発光源の偏光方向は一方向に揃えられる。
光束分割プリズム108は、ハーフミラー面241とハーフミラー面241と平行なミラー面242とを有し、マルチビーム光源装置107からの複数のビーム201eは、各々ハーフミラー面で1/2の光量が反射され、残りの1/2は透過して上下に2分岐され、方向を揃えて副走査方向に所定間隔をもって射出される。本実施の形態では、この上下に2分岐される部分の間隔を、ポリゴンミラー106、fθレンズ120、121の上下間隔とともに6mmとしている。
液晶偏向素子117は、光束分割プリズム108の射出面の上下に各々設けられ、電圧を印可すると、副走査方向に電位分布を生じて液晶の配向が変化し、屈折率分布を発生して光線の方向を傾けることができ、印可電圧に応じて感光体ドラム面上の走査位置を可変できる。
シリンダレンズ113、114は、分岐された各光ビームに対応して2段に設けられ、その一方は光軸を中心に回動調整可能に取り付けられ、各々の焦線が平行となるように調節できるようにしており、副走査方向に6mm間隔に2段に構成されたポリゴンミラー106の各々に入射される。シリンダレンズ113、114は、少なくとも副走査方向に正の曲率を有し、ポリゴンミラー面上で、一旦ビームを収束させることで、後述するトロイダルレンズ124、125とにより偏向点と感光体面上とを副走査方向に共役関係とする面倒れ補正光学系をなす。
ポリゴンミラー106は、4面を有し、同一の偏向面により各発光源列からの複数のビームを一括で偏向、走査する。上下のポリゴンミラー106の位相は45°ずつずれており、光ビームの走査は上下段で交互に行われる。
結像光学系はfθレンズ120、121とトロイダルレンズ124、125とからなり、いずれもプラスチック成形によるもので、fθレンズ120は主走査方向にはポリゴンミラー106の回転に伴って感光体面上でビームが等速に移動するようにパワーを持たせた非円弧面形状となし、層状に2段に積み重ねて一体に構成される。
トロイダルレンズ124、125を通った走査ビームは各々、走査開始側に配備された光検知センサ138、140、走査終端側に配備された光検知センサ139、141に入射され、光検知センサ138、140の検出信号を基に各々発光源毎の同期検知信号を生成し、書込み開始のタイミングをとる。
一方、走査終端側に配備された光検知センサ139、141の検出信号は、各々走査開始側に配備された光検知センサ138、140からの光ビームの検出時間差を計測し、予め定められた基準値と比較して、各発光源を変調する画素クロックを可変することで、後述するように、主走査方向の倍率のずれを補正している。
図25に副走査断面における光線の経路を示す。
発光装置201中のマルチ発光源から出射される各光線は、カップリングレンズ202の光軸251に対して対称に配置される。カップリングレンズ202によって平行光束に変換された各光線は、マルチビーム光源装置107から射出された後、カップリングレンズ202の後側焦点の近傍で一旦収束し、主走査方向には光線間隔を広げつつfθレンズ120に入射され、副走査方向にはシリンダレンズ113、114により、ポリゴンミラー偏向面の近傍で再度収束されてfθレンズ120に入射される。
また、上記したように、マルチビーム光源装置107からの複数の光ビームは光束分割プリズム108によって副走査方向上下に2分岐され、各ステーションに対応する感光体ドラムに導かれる。
光束分割プリズム108の下段から射出した複数の発光源からのビーム261は、シリンダレンズ113を介してポリゴンミラー106の下段で偏向、走査され、fθレンズ120の下段を通って折返しミラー129によりトロイダルレンズ123に入射され、折返しミラー130を介して感光体ドラム101上にスポット状に結像し、第1の画像形成ステーションとしてイエロー色の画像情報に対応した潜像を形成する。
光束分割プリズム108の上段から射出した複数の発光源からのビーム262は、シリンダレンズ114を介してポリゴンミラー106の上段で偏向、走査され、fθレンズ120の上段を通って折返しミラー127によりトロイダルレンズ124に入射され、折返しミラー128を介して感光体ドラム102上にスポット状に結像し、第2の画像形成ステーションとしてマゼンタ色の画像情報に対応した潜像を形成する。
同様に、対向するステーションにおいても、マルチビーム光源装置109からの複数の光ビームは、光束分割プリズム110によって上下に2分岐され、各ステーションに対応する感光体ドラムに導かれる。
光束分割プリズム110の下段から射出した複数の発光源からのビーム263は、シリンダレンズ115を介してポリゴンミラー106の下段で偏向、走査され、fθレンズ121の下段を通って折返しミラー132によりトロイダルレンズ126に入射され、折返しミラー133を介して感光体ドラム104上にスポット状に結像し、第4の画像形成ステーションとしてブラック色の画像情報に対応した潜像を形成する。また、光束分割プリズム110の上段から射出した複数の発光源からのビーム264は、シリンダレンズ116を介してポリゴンミラー106の上段で偏向、走査され、fθレンズ121の上段を通って折返しミラー135によりトロイダルレンズ125に入射され、折返しミラー136を介して感光体ドラム103上にスポット状に結像し、第3の画像形成ステーションとしてシアン色の画像情報に対応した潜像を形成する。
本実施の形態に係るマルチビーム走査装置においては、光源ユニット107、109として、第1の実施の形態に係るマルチビーム光源装置を用いている。光源ユニット107、109においては、図2に示されるように、フラットパッケージ246の表面301に3つの凸部を設け、面発光型半導体レーザアレイ245から出射される光ビームの光軸と、カップリングレンズ202の光軸とが平行になるように補正がされている。
ここで、図24に示されるように、発光装置201の複数の発光源は、主走査方向、副走査方向に配列数n、mにて2次元に配列されているため、図3に示されるように、各発光源がカップリングレンズ202の光軸251に直交する面250内に揃っていないと、カップリングレンズ202から射出されたビームの集束状態が各発光源で異なり、結像位置(ビームウェスト位置)が感光体面上からずれて、ビームスポット径の偏差となり周期的な濃度むらが発生する。あるいは、先頭行をどの発光源から記録するかによって色味が変るといった画像劣化を生じる。
しかしながら、本実施の形態に係るマルチビーム走査装置においては、各発光源がカップリングレンズ202の光軸251に直交する面250内で揃うため、カップリングレンズ202から射出されたビームが感光体面上で結像する結像位置がずれたり周期的な濃度むらが発生することがない。
なお、本実施の形態に係るマルチビーム走査装置においては、光源ユニットとして第1の実施の形態に係るマルチビーム光源装置を用いているが、第1の実施の形態に係るマルチビーム光源装置の代わりに、第1の実施の形態の第1乃至第4の変形例、第2の実施の形態及び第2の実施の形態の第1乃至第5の変形例に係るマルチビーム光源装置を用いた場合にも、同様の効果が得られる。
(第4の実施の形態)
次に、図26を参照し、本発明の第4の実施の形態に係る画像形成装置を説明する。
図26は、本実施の形態に係る画像形成装置の構成を模式的に示す断面図である。本実施の形態に係る画像形成装置は、第3の実施の形態に係るマルチビーム走査装置を用いた画像形成装置である。
本実施の形態に係る画像形成装置は、光走査装置900、感光体ドラム901、帯電チャージャ902、現像ローラ903、トナーカートリッジ904、クリーニングケース905、転写ベルト906、給紙トレイ907、給紙コロ908、レジストローラ対909、定着ローラ910、排紙トレイ911、排紙ローラ912を有する。
感光体ドラム901の周囲には、感光体を高圧に帯電する帯電チャージャ902、光走査装置900により記録された静電潜像に帯電したトナーを付着して顕像化する現像ローラ903、現像ローラにトナーを補給するトナーカートリッジ904、ドラムに残ったトナーを掻き取り備蓄するクリーニングケース905が配置される。感光体ドラム901へは、第3の実施の形態で記載したように、ポリゴンミラー1面毎の走査により、複数ライン(第3の実施の形態では4ライン)で同時に画像記録が行われる。
上記した画像形成ステーションは、転写ベルト906の移動方向に並列され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が転写ベルト上にタイミングを合わせて順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。各画像形成ステーションは、トナー色が異なるだけで、基本的には同一構成である。
一方、記録紙は給紙トレイ907から給紙コロ908により供給され、レジストローラ対909により副走査方向の記録開始のタイミングに合わせて送りだされ、転写ベルトよりカラー画像が転写されて、定着ローラ910で定着して排紙ローラ912により排紙トレイ911に排出される。
ここで、図24に示されるように、発光装置201の複数の発光源は、主走査方向、副走査方向に配列数n、mにて2次元に配列されているため、各発光源がカップリングレンズの光軸に直交する面内に揃っていないと、カップリングレンズから射出されたビームの集束状態が各発光源で異なり、結像位置(ビームウェスト位置)が感光体面上からずれて、ビームスポット径の偏差となり周期的な濃度むらが発生する。あるいは、先頭行をどの発光源から記録するかによって色味が変るといった画像劣化を生じる。
しかしながら、本実施の形態に係るマルチビーム走査装置においては、各発光源がカップリングレンズの光軸に直交する面内で揃うため、カップリングレンズから射出されたビームが感光体面上で結像する結像位置がずれたり周期的な濃度むらが発生することがない。
なお、本実施の形態に係る画像形成装置においては、マルチビーム走査装置の光源ユニットとして第1の実施の形態に係るマルチビーム光源装置を用いているが、第1の実施の形態に係るマルチビーム光源装置の代わりに、第1の実施の形態の第1乃至第4の変形例、第2の実施の形態及び第2の実施の形態の第1乃至第5の変形例に係るマルチビーム光源装置を用いた場合にも、同様の効果が得られる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
また、本発明において、凸部311〜313、331〜335の個数は、当接してできる基準面を一義的に決めるためには、3つであるのが最良の実施の形態であるが、3つの凸部により一義的に決められた基準面より上方に突出しないような凸部を追加するのであれば、凸部の個数を4つ以上とすることも可能であり、逆に、パッケージの表面の一部に当接させることによって凸部の機能を代用するのであるならば、凸部の個数を1又は2個とすることも可能である。