JP4157283B2 - アリールアミン組成物、その製造方法、及びそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

アリールアミン組成物、その製造方法、及びそれを用いた電子写真感光体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真用感光体用の電荷輸送材、その製造方法及び該電荷輸送材を用いた電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機系の光導電性物質を電子写真用感光体の感光層に用いる研究が進み、そのいくつかが実用化された。有機系の光導電性物質は無機系のものに比し、軽量である、成膜が容易である、感光体の製造が容易である、種類によっては透明な感光体を製造できる材料が無公害である等の利点を有する。
最近は、電荷キャリヤーの発生と移動の機能を別々の化合物に分担させる、いわゆる機能分離型の感光体が高感度化に有効であることから、開発の主流となっており、このタイプによる有機系感光体の実用化も行なわれている。
電荷キャリヤー輸送媒体としては、ポリビニルカルバゾールなどの高分子光導電性化合物を用いる場合と低分子光導電性化合物をバインダーポリマー中に分散溶解する場合とがある。
【0003】
特に、有機系の低分子光導電性化合物は、バインダーとして皮膜性、可とう性、接着性などのすぐれたポリマーを選択することができるので容易に機械的特性の優れた感光体を得ることができる(例えば、特開昭60−196767号公報、特開昭60−218652号公報、特開昭60−233156号公報、特開昭63−48552号公報、特開平1−267552号公報、特公平3−39306号公報、特開平3−113459号公報、特開平3−123358号公報、特開平3−149560号公報、特開平6−273950号公報、特開昭62−36674号公報、特開平7−036203号公報、特開平6−11854、特開昭63−48553号公報、等参照)。しかしながら、高感度な感光体を作るのに適した化合物を見出すことが困難であった。
【0004】
更に、絶え間ない高感度化の要請の中で、電気特性的には残留電位が不十分、光応答性が悪い、繰り返し使用した場合帯電性が低下し、残留電位が蓄積する等種々の問題を抱えており、こうした問題に対し、例えば特定の2種類のヒドラゾン化合物を併用し、感光体の他の特性をあまり損わずに残留電位上昇を防止する技術(特開昭61−134767号公報)等が報告されている。しかしながら、特性のバランスの点では必ずしも十分ではなく、感光体全体としての特性をバランスよく向上させる技術が求められていた。
更に又、光源として半導体レーザーがプリンター分野において積極的に応用されてきており、この場合該光源の波長は800nm前後である事から800nm前後の長波長光に対しても高感度な特性を有する感光体の開発が強く望まれている。
【0005】
この目的に合致する材料として特開昭59−49544号公報、特開昭59−214034号公報、特開昭61−109056号公報、特開昭61−171771号公報、特開昭61−217050号公報、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報、特開昭62−134651号公報、特開昭62−275272号公報、特開昭63−198067号公報、特開昭63−198068号公報、特開昭63−210942号公報、特開昭63−218768、特開平6−273950、特開平8−36268、特開平9−244278号公報等に記載された材料が挙げられ、それぞれ電子写真感光体用材料として好適な結晶型を有するオキシチタニウムフタロシアニン類が種々知られている。しかしながら、更に、長波長光に対して高感度でかつ他の電気特性も良好な電子写真用感光体が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものでありその目的の第1は、高感度および高耐久性の電子写真用感光体を提供することにある。
目的の第2は、高感度であって、膜厚を厚くした場合においても残留電位が充分低く、繰り返し使用しても特性の変動が少なく、かつ耐久性に非常に優れた電子写真用感光体を提供することにある。
目的の第3は、800nm前後の長波長においても高感度でかつ帯電性、暗減衰、残留電位等が良好なバランスの取れた電子写真用感光体を提供することにある。
目的の第4は、応答性の良い、キャリヤー移動度の速い感光体を提供することにある。
目的の第5は、溶解安定性の高い塗布溶液を得ることができる電荷移動物質を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、上記の問題点を解決するために、先に、電荷移動材として特定のアリールアミン化合物およびそれを用いた電子写真感光体を提案した(特開平10−282698号公報、特開平10−312070号公報、特開2000−66420号公報、特開2000−47405号公報等)。これらのアリールアミン化合物について更に検討した結果、アリールアミン化合物に存在する二重結合の幾何異性によって、電子写真感光体の電荷移動材として用いた場合の性能が変化することを見出し本発明に到達した。
【0008】
即ち,本発明の要旨は、下記一般式(I)で表され、かつ二重結合の幾何異性に依ってC2空間群またはCs空間群に属し得るアリールアミン組成物であって、Gに直結する二重結合の幾何異性がZ体である割合が30%以上85%以下である事(但し、下記一般式(I)が下記構造式αであり、該構造式αの二カ所の二重結合部の幾何異性が、トランス−トランス体:15%、トランス−シス体およびシス−シス体:85%となる場合を除く。)を特徴とするアリールアミン組成物に存する。
【0009】
【化3−1】
Figure 0004157283
【0010】
(一般式(I)中、Gは2価又は4価のアリールアミン残基を表し、R1〜R4は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。n1、n2は各々独立して0乃至4の整数を表す。但し、n1=0の場合はR1が水素原子であり、n2=0の場合はR3が水素原子である。また、mは0又は1を表す。)
【化3−2】
Figure 0004157283
本発明の他の要旨は、上記一般式(I)で表され、かつ二重結合の幾何異性に依ってC 2 空間群またはCs空間群に属し得るアリールアミン組成物であって、Gに直結する二重結合の幾何異性がZ体である割合が30%以上85%以下である事を特徴とするアリールアミン組成物に存する。
(一般式(I)中、Gは2価又は4価のアリールアミン残基を表し、R 1 〜R 4 は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。n 1 、n 2 は各々独立して0乃至4の整数を表す(但し、n 1 =0の場合を除く)。但し、n 2 =0の場合はR 3 が水素原子である。また、mは0又は1を表す)
本発明のさらに他の要旨は、下記一般式(II)で表され、かつ二重結合の幾何異性に依ってC 2 空間群またはCs空間群に属し得るアリールアミン組成物であって、Ar 2 及びAr 3 に直結する二重結合の幾何異性がZ体である割合が30%以上85%以下である事(但し、下記一般式(II)が上記構造式αであり、該構造式αの二カ所の二重結合部の幾何異性が、トランス−トランス体:15%、トランス−シス体およびシス−シス体:85%となる場合を除く。)を特徴とするアリールアミン組成物に存する。
【化3−3】
Figure 0004157283
(一般式(II)中、Ar 1 、Ar 2 は各々独立して、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Ar 3 は、m=0の時は置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い1価の複素環基を表し、m=1の時は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Qは直接結合または2価の残基を表す。R 1 〜R 4 は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。n 1 、n 2 は各々独立して0乃至4の整数を表す。但し、n 1 =0の場合はR 1 が水素原子であり、n 2 =0の場合はR 3 が水素原子である。また、mは0又は1を表す。また、Ar 1 〜Ar 3 は互いに結合して環状構造を形成しても良い。)
本発明のさらに他の要旨は、上記一般式(II)で表され、かつ二重結合の幾何異性に依ってC 2 空間群またはCs空間群に属し得るアリールアミン組成物であって、Ar 2 及びAr 3 に直結する二重結合の幾何異性がZ体である割合が30%以上85%以下である事を特徴とするアリールアミン組成物に存する。
(一般式(II)中、Ar 1 、Ar 2 は各々独立して、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Ar 3 は、m=0の時は置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い1価の複素環基を表し、m=1の時は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Qは直接結合または2価の残基を表す。R 1 〜R 4 は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。n 1 、n 2 は各々独立して0乃至4の整数を表す(但し、n 1 =0の場合を除く)。但し、n 2 =0の場合はR 3 が水素原子である。また、mは0又は1を表す。また、Ar 1 〜Ar 3 は互いに結合して環状構造を形成しても良い。)
【0011】
本発明の別の要旨は、ホルミル基を有する前駆体(前駆体A)とカルバニオンを有する前駆体(前駆体B)を縮合反応する工程を含む、前記アリールアミン化合物の製造方法であって、1)縮合反応終了後、−20℃〜20℃の温度範囲で吸着剤処理する、2)縮合反応における溶媒として、PM−3パラメーターを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による(以下半経験的分子軌道計算とする)双極子モーメントの計算値が、2.0(D)以上の化合物を使用する、又は3)縮合反応時の反応温度が−20℃〜20℃である、事を特徴とするアリールアミンの製造方法に存する。
【0012】
また、本発明の別の要旨は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体であって、該感光層に前記アリールアミン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体に存する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を詳細に説明する。
本発明のアリールアミン化合物は、下記一般式(I)で表されるものである。
【0014】
【化4】
Figure 0004157283
【0015】
(一般式(I)中、Gは2価又は4価のアリールアミン残基を表し、R1〜R4は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。n1、n2は各々独立して0乃至4の整数を表す。但し、n1=0の場合はR1が水素原子であり、n2=0の場合はR3が水素原子である。また、mは0又は1を表す)
【0016】
また、本発明のアリールアミン化合物は、前記一般式(I)で表されるものの内、二重結合の幾何異性に依ってシェーンフリースの記号においてC2空間群またはCs空間群に属し得る化合物である。なお、Cs空間群はSI空間群と表されることもあるが、これらは同義である。
ここで、「二重結合の幾何異性に依ってC2空間群に属し得る化合物」について、式(III)〜式(V)の化合物を例に取り説明する。式(III)の化合物において、フェニレン基に直結していない二重結合の幾何異性を便宜上E体に固定すると、フェニレン基に直結する2つの二重結合の幾何異性に依り、ZZ体、ZE体、EE体の3種の異性体が存在しうる(なお、下式(III)はこれらのうちEE体を示す)。このうち、ZZ体とEE体は、C2対称軸を有し、ZE体はC2対称軸を有さない。即ち、式(III)の化合物は、ZZ体とEE体がC2対称軸を有するので、「二重結合の幾何異性に依ってC2空間群に属し得る化合物」に含まれる。
【0017】
【化5】
Figure 0004157283
【0018】
式(IV)の化合物は、末端のフェニル基上にメチル基を1つ有しており、二重結合の幾何異性がどのような組み合わせになろうともC2対称軸を有さない。従って、式(IV)の化合物は、「二重結合の幾何異性に依ってC2空間群に属し得る化合物」に含まれない。
式(V)の化合物は、メチル基2つ有しているが、その位置がC2対称であるので、式(III)の化合物と同様に、「二重結合の幾何異性に依ってC2空間群に属し得る化合物」に含まれる。
【0019】
次に、「二重結合の幾何異性に依ってCs空間群に属し得る化合物」について、式(VI)の化合物を例に取り説明する。式(VI)の化合物において、フェニレン基に直結していない二重結合の幾何異性を便宜上Z体に固定すると、フェニレン基に直結する2つの二重結合の幾何異性に依り、ZZ体、ZE体、EE体の3種の異性体が存在しうる。このうち、ZZ体とEE体は、鏡映面を有し(窒素上に置換したm−トリル基は鏡映面上に位置する)、ZE体は鏡映面を有さない。即ち、式(VI)の化合物は、ZZ体とEE体が鏡映面を有するので、「二重結合の幾何異性に依ってCs空間群に属し得る化合物」に含まれる。
【0020】
【化6】
Figure 0004157283
【0021】
このようなアリールアミン化合物は、電子写真感光体における電荷移動剤として有用である。
ところで、この様なアリールアミン化合物は公知の方法を用いてを製造することができるが、その場合、C2空間群またはCs空間群に属する化合物と属さない化合物とでは、C2空間群またはCs空間群に属する化合物の方が、製造の容易性から有利である。
即ち、アリールアミン化合物は典型的には例えば、ホルミル基を有する前駆体(以下、前駆体Aと称することがある)と、カルバニオンを有する前駆体(以下、前駆体Bと称することがある)とを例えばWittig反応により縮合して得ることができる。
【0022】
【化7】
Figure 0004157283
【0023】
ここで、前述の式(III)、(V)、(VI)の化合物では、カルバニオンを有する前駆体(典型的にはWittig試薬)が1種類であるので、一段階の縮合反応で足りるのに対し、式(IV)の化合物を製造するには、まず、一つ目のWittig試薬と、前駆体Aとの反応を行った後、次いで別の種類のWittig試薬とを反応させる2段の反応を行う必要がある。
【0024】
上述のように、C2空間群またはCs空間群に属する化合物は、製造上有利であるが、一方、対称性を有するが為に、別の不都合があることがわかった。
即ち、電荷移動剤として電子写真感光体に用いる場合、通常バインダー樹脂に分散又は溶解した塗布液を浸漬塗布等により導電性支持体上に塗布し、乾燥して電荷移動層(単層の場合は感光層)を作成するが、C2空間群またはCs空間群に属する化合物は、その対称性のために結晶性が高く、塗布液中あるいは、電荷移動層の作成途中等で結晶が析出し、均一な感光層が得られないという不都合が生じやすい。
【0025】
例えば、式(III)の化合物のうち、ZZ体と、EE体の2種が、C2対称軸を有するが、このなかでもEE体のほうが、より結晶性が高い。この理由は必ずしも明らかではないが、次のように推定される。
ZZ体では、アリールアミン残基との立体障害のために、アリールアミンに直結した二重結合と、その二重結合につながった二重結合(直結しない二重結合)が、平面構造を取ることができない。一方、EE体ではこのような立体障害が無く、しかも連続した二重結合が平面構造を取った方が共役により安定化するために、平面構造をとるものと考えられ、そうすると分子同士の重ね合わせが容易に起こりやすく、結晶性が上がるものと考えられる。
従って、アリールアミン化合物の結晶性は高い順に、EE体、ZZ体、EZ体となる。
【0026】
本発明のアリールアミン化合物は、化合物の合成上の有利さと、電荷移動材として用いる場合の電荷移動層の製造上の有利さを兼ね備えたものであり、二重結合の幾何異性に依ってC2空間群またはCs空間群に属し得るアリールアミン化合物であって、アリールアミン残基に直結する二重結合の幾何異性がZ体である割合が30%以上85%以下である事を特徴とするアリールアミン化合物である。
【0027】
幾何異性体が上記範囲にあれば、EE体、ZZ体、EZ体の幾何異性混合物におけるEE体の割合が十分少なくなり、結晶の析出を押さえることができる。
アリールアミン残基に直結する二重結合の幾何異性としては、塗布液の調整上Z体の割合が40%〜80%が好ましく、50%〜75%が更に好ましい。
本発明のアリールアミン化合物は、アリールアミン残基に直結する二重結合は、2つの場合と4つの場合がある。アリールアミン残基に直結する二重結合が2つである化合物においては、アリールアミン化合物のEE体の存在割合としては、40%以下が好ましく、30%以下が更に好ましく、20%以下が特に好ましい。
【0028】
一般式(I)中、Gは2価又は4価のアリールアミン残基を表すが、2価のアリールアミン残基であることが好ましい。
アリールアミン残基は、アリール基と窒素原子が直接結合した部分を有する有するものであればいずれでもよく、例えば、トリフェニルアミン構造、エチルジフェニルアミン構造、ナフチルジフェニルアミン構造等を有する基が挙げられる。
また、本発明のアリールアミン化合物は、上述のアリールアミン残基に、2個又は4個の二重結合がアリール部位に直接結合している。
本発明のアリールアミン化合物の好ましいものは、下記一般式(II)で表される化合物である。
【0029】
【化8】
Figure 0004157283
【0030】
(一般式(II)中、Ar1、Ar2は各々独立して、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Ar3は、m=0の時は置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い1価の複素環基を表し、m=1の時は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Qは直接結合または2価の残基を表す。R1〜R4は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。n1、n2は各々独立して0乃至4の整数を表す。但し、n1=0の場合はR1が水素原子であり、n2=0の場合はR3が水素原子である。また、mは0又は1を表す。また、Ar1〜Ar3は互いに結合して環状構造を形成しても良い。)
【0031】
一般式(I)及び一般式(II)中、R1〜R4は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表すが、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの内炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0032】
また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられ、炭素数6〜12のアリール基が好ましい。
また、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましい。
また、複素環基は、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基等のが挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましい。
また、R1〜R4において、最も好ましいものは、メチル基及びフェニル基である。
【0033】
また、一般式(II)中、Ar1、Ar2は各々独立して、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表し、Ar3は、m=0の時は置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い1価の複素環基を表し、m=1の時は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表すが、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられ、炭素数6〜14のアリール基が好ましく;アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が好ましく;1価の複素環基としては、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基等のが挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましく;2価の複素環基としては、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えばピリジレン基、チエニレン基等が挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましい。
これらの内、最も好ましいものは、Ar1及びAr2はフェニレン基であり、Ar3はフェニル基である。
【0034】
これらR1〜R5、Ar1〜Ar3で表される基の内、アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基はさらに置換基を有していても良いが、その置換基としては、シアノ基;ニトロ基;水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基,エトキシ基,プロピルオキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基,フェネチルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基,ナフチル基等のアリール基;スチリル基,ナフチルビニル基等のアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキルアミノ基、ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基、又、上記のアミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミノ基等の置換アミノ基等が挙げられる。
【0035】
また、これらの置換基は互いに結合して、単結合、メチレン基、エチレン基、カルボニル基、ビニリデン基、エチレニレン基等を介した環状炭化水素基や複素環基を形成してもよい。
【0036】
これらの内好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数6〜12のアリールチオ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基が挙げられ、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基が更に好ましく、メチル基、フェニル基が特に好ましい。
【0037】
一般式(I)及び(II)中、n1、n2は各々独立して0乃至4の整数を表すが、製造上の観点から0乃至2が好ましく、1が最も好ましい。mは0又は1を表すが、0が好ましい。
一般式(II)中、Qは、直接結合又は2価の残基を表すが、2価の残基として好ましいものは、16族原子、置換基を有しても良いアルキレン、置換基を有しても良いアリーレン基、置換基を有しても良いシクロアルキリデン基、またはこれらが互いに結合した、例えば[−O−A−O−]、[−A−O−A−]、[−S−A−S−]、[−A−A−]等が挙げられる(但し、Aは置換基を有しても良いアリーレン基または置換基を有しても良いアルキレン基を表す)。
【0038】
Qを構成するアルキレン基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、中でもメチレン基及びエチレン基が更に好ましい。また、シクロアルキリデン基としては、炭素数5〜8のものが好ましく、中でもシクロペンチリデン基及びシクロヘキシリデン基が更に好ましい。アリーレン基としては、炭素数6〜14のものがこのましく、中でもフェニレン基及びナフチレン基が更に好ましい。
【0039】
また、これらアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキリデン基は置換基を有してもよいが、好ましい置換基としては、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
【0040】
以下に一般式(I)で表わされるアリールアミン系化合物についてその代表例を挙げるが、これら代表例は例示の為にしめされるのであって本発明に用いるアリールアミン系化合物はこれら代表例に限定されるものではない。
【0041】
【表1】
Figure 0004157283
【0042】
【表2】
Figure 0004157283
【0043】
【表3】
Figure 0004157283
【0044】
【表4】
Figure 0004157283
【0045】
【表5】
Figure 0004157283
【0046】
【表6】
Figure 0004157283
【0047】
【表7】
Figure 0004157283
【0048】
【表8】
Figure 0004157283
【0049】
【表9】
Figure 0004157283
【0050】
【表10】
Figure 0004157283
【0051】
【表11】
Figure 0004157283
【0052】
【表12】
Figure 0004157283
【0053】
【表13】
Figure 0004157283
【0054】
次に、本発明のアリールアミン化合物の製造方法についてさらに詳しく説明すると、前駆体Cのアリールアミン系化合物をオキシ塩化リンの存在下にN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド等のホルミル化剤と反応させると前駆体Aのアルデヒド体が得られる。
【0055】
【化9】
Figure 0004157283
【0056】
ホルミル化剤を大過剰に用いて反応溶媒を兼ねることもできるが、O−ジクロロベンゼン,ベンゼン等の反応に不活性な溶媒を用いることもできる。
次いで得られた前駆体Bのアルデヒド体(又はケトン体)と、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン等の反応に不活性な公知の有機溶媒中、一般式[CH2T−CH=CR12](但し、Tはハロゲン原子を表し、R1、R2は一般式(I)におけるR1、R2と同義である)で表されるハロゲン化合物と、トリフェニルホスフィンとを作用させて得られるWittig試薬(前駆体B)とを、−20〜20℃好ましくは−10〜10℃の温度範囲で、ブチルリチウム、フェニルリチウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド等の公知の塩基の存在下反応させることにより一般式(I)で表わされる化合物が得られる。
【0057】
特に、この二重結合生成工程においては、極性の高い溶媒を使用する事は、Z体比向上、溶解性の点から、好ましい。この尺度としては、PM−3パラメーターを使った半経験的分子軌道計算を用いた、構造最適化計算による、双極子モーメントの計算値が、2.00(D)以上の分子を二重結合生成時の溶媒をとして使用する事を特徴とする事は、好ましい。安定な塗布液を作成する為には、さらに好ましくは、 2.50(D)以上であり、さらに好ましくは、3.10以上である事が好ましい。
これらの溶媒は、ウィッティッヒ試薬、ホルミル体の溶解性等を考え、反応に不活性な他の溶媒と兼用しても構わない。好ましい溶媒としては、例えばジメチルホルムアミド(双極子モーメントの計算値:3.06(D))、N−メチルピロリドン(双極子モーメントの計算値:3.30(D))が、挙げられる
【0058】
このようにして得られた、一般式(I)で表されるアリールアミン化合物は、アリールアミン残基(一般式(I)において、Gで表される残基)に直結した二重結合の幾何異性において、ZZ体、ZE体、EE体、及びそれらの混合物が得られる。
【0059】
これらの反応行程終了後、あるいは全行程終了後、再結晶精製、再沈精製、昇華精製、カラム精製等の公知な精製手段により高純度体を得ることも可能である。
全行程終了後の精製においては、精製後の化合物の溶解性の点から、温度が20℃以下で、アルミナ、シリカゲル、活性白土、活性炭等で吸着材処理をする事が好ましく、15℃以下である事はさらに好ましく、さらに好ましくは、10℃以下である。又、吸着効率、溶解度等を考え、−30℃以上である事が好ましく、−20℃以上である事が更に好ましい。
【0060】
本発明の電子写真感光体は,上記一般式(I)で表わされる,アリールアミン系化合物を1種、または、2種以上含有する感光層を有する。
一般式(I)で表わされるアリールアミン系化合物は、有機光伝導体として極めて優れた性能を示す。特に、電荷輸送媒体として用いた場合には高感度で耐久性に優れた感光体を与える。
【0061】
電子写真感光体の感光層の形態としては、種々のものが知られているが、本発明の電子写真感光体の感光層としてはそのいずれであっても良い。
感光層(光伝導層)は,電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層したもの、あるいは、逆に積層したものである積層型、さらには電荷輸送媒体中に電荷発生材料(電荷発生物質)の粒子を分散したいわゆる分散型など、いずれの構成も用いることができる。
【0062】
また、たとえばバインダー中にアリールアミン系化合物と必要に応じ、増感剤となる色素や電子受容性化合物を添加した感光層、光を吸収すると極めて高い効率で電荷キャリヤーを発生する電荷発生材料(光伝導性粒子)と、アリールアミン系化合物をバインダー中に添加した感光層、アリールアミン系化合物とバインダーからなる電荷発生層と光を吸収すると極めて高い効率で電荷キャリヤーを発生する電荷発生材料からなるあるいはこれとバインダーからなる電荷発生層を積層した感光層等があげられる。
【0063】
これらの感光層には,一般式(I)で表わされるアリールアミン化合物とともに有機光伝導体として優れた性能を有する公知の他のアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物を混合してもよい。
本発明においては,上記一般式(I)で表わされる,アリールアミン系化合物を電荷発生層と電荷輸送層(電荷移動層)の2層からなる感光層の電荷輸送層中に用いる場合に、特に感度が高く、残留電位が小さく、かつ、繰り返し使用した場合に表面電位の変動や感度の低下、残留電位の蓄積等が少なく、耐久性に優れた感光体を得ることができる。
【0064】
具体的には通常,電荷発生材料を直接蒸着あるいはバインダーとの分散液として塗布して電荷発生層を作成し、その上に前記アリールアミン化合物を含む有機溶剤溶液をキャストするか、あるいは前記アリールアミン系化合物をバインダー等とともに溶解し、その分散液を塗布することにより、前記一般式(I)で表わされるアリールアミン系化合物を含む電荷輸送材料を含有する電荷輸送層を作成してなる積層型感光体であるが、電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆の構成でも良い。
【0065】
また電荷発生材料と電荷輸送材料とが、バインダー中に分散、溶解した状態で伝導性支持体上に塗布した一層型感光体であってもよい。
電荷発生材料としては、セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、硫化カドミウム、アモルファスシリコン等の無機光伝導性粒子;無金属フタロシアニン、金属含有フタロシアニン、ペリノン系顔料、チオインジゴ、キナクリドン、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、アゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキス系アゾ顔料、シアニン系顔料等の有機光伝導性粒子が挙げられる。
【0066】
更に、多環キノン、ピリリウム塩、チオピリリウム塩、インジゴ、アントロン、ピラントロン等の各種有機顔料、染料が使用できる。中でも無金属フタロシアニン、銅、塩化インジウム、塩化ガリウム、錫、オキシチタニウム、亜鉛、ナジウム等の金属又は、その酸化物、塩化物の配位したフタロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料が好ましい。
【0067】
中でも、金属含有及び無金属フタロシアニンと前記一般式(I)で示されるアリールアミン誘導体とを組合せるとレーザー光に対する感度が向上した感光体が得られ、特に、導電性支持体上に、少なくとも、電荷発生材料と電荷輸送材料とを含有する感光層を有する電子写真用感光体において、電荷発生材料として、CuKα線によるX線回折においてブラック角(2θ±0.2°)27.3°に明瞭な回折ピークを有するY型オキシチタニウムフタロシアニン等のオキシチタニウムフタロシアニン化合物、ブラッグ角2θ(±0.3°)9.2°、14.1°、15.3°、19.7°、 27.1°に回折ピークを有するジヒドロキシシリコンフタロシアニン等の、ジヒドロキシシリコンフタロシアニン化合物、ブラック角(2θ±0.2°)8.5°、12.2°、13.8°、16.9°、22.4°、28.4°、30.1°に回折ピークを示すジクロロスズフタロシアニン等のジクロロスズフタロシアニン化合物を含有する感光層を有することが好ましい。
【0068】
この様にして得られる電子写真用感光体は高感度で、残留電位が低く帯電性が高く、かつ、繰返しによる変動が小さく、特に、画像濃度に影響する帯電安定性が良好であることから、高耐久性感光体として用いることができる。又、上述のフタロシアニン化合物を用いた場合には600〜850nmの領域の感度が高いことから、特に半導体レーザープリンター用感光体に適している。
【0069】
前記のフタロシアニン粒子はバインダーポリマーおよび必要に応じ他の有機光導電性化合物、色素、電子受容性化合物等と共に溶剤に溶解あるいは分散し、こうして得られる塗布液を塗布乾燥して電荷発生層を得る。
次に本発明において必要に応じて添加される染料色素としては、例えばメチルバイオレット、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット等のトリフェニルメタン染料、メチレンブルーなどのチアジン染料、キニザリン等のキノン染料及びシアニン染料やビリリウム塩、チアビリリウム塩、ベンゾビリリウム塩等が挙げられる。
【0070】
また、アリールアミン系化合物と電荷移動錯体を形成する電子受容性化合物としては、例えばクロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3′,5,5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等の電子受容性化合物が挙げられる。
【0071】
積層型感光層における電荷発生層はこれらの物質の微粒子を、例えばポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形の分散層で使用してもよい。更に、バインダー樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体および共重合体、ポリアミド、けい素樹脂等が挙げられる。
【0072】
この場合の電荷発生材料(電荷発生物質)の使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して通常20から2000重量部、好ましくは30から500重量部、より好ましくは33から500重量部の範囲より使用され、電荷発生層の膜厚は通常0.05〜5μm、好ましくは0.1μmから2μm、より好ましくは0.15μmから0.8μmが好適である。また電荷発生層は必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。更にまた電荷発生層は上記電荷発生材料の蒸着膜であってもよい。
【0073】
分散型感光層の場合の電荷発生材料の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生材料の量は例えば0.5〜50重量%の範囲であるが少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、より好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。
【0074】
分散型感光層の膜厚は通常5〜50μm、より好ましくは10〜45μmで使用される。またこの場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコーンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていても良い。
【0075】
更に、本発明の電子写真用感光体の感光層は成膜性、可撓性、機械的強度を向上させるために周知の可塑剤を含有していてもよい。そのために上記塗布液中に添加する可塑剤としては、フタル酸エステル、りん酸エステル、エポキシ化合物、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、メチルナフタレンなどの芳香族化合物などが挙げられる。アリールアミン系化合物を電荷輸送層中の電荷輸送材料として用いる場合の塗布液は、前記組成のものでもよいが、光導電性粒子、染料色素、電子吸引性化合物等は除くか、少量の添加でよい。この場合の電荷発生層としては上記光導電性粒子と必要に応じバインダーポリマーや他の有機光導電性物質、染料色素、電子吸引性化合物等の溶媒に溶解乃至分散させて得られる塗布液を塗布乾燥した薄層、あるいは前記光導電性粒子を蒸着等の手段により製膜とした層が挙げられる。
【0076】
このようにして形成される感光体にはまた、必要に応じ、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層、あるいは保護層など、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよいことはいうまでもない。
【0077】
感光層が形成される導電性支持体としては周知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には例えばアルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料からなるドラム、シートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物、あるいは表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化すず、酸化インジウム等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙等の絶縁性支持体が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。又、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。
なかでもアルミニウム等の金属のエンドレスパイプが好ましい支持体である。
【0078】
バリアー層、中間層としては、例えばアルミニウム陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機層、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、等の有機層が使用される。
【0079】
本発明の電子写真用感光体は常法に従って上記一般式(I)で表わされるアリールアミン誘導体をバインダーと共に適当な溶剤中に溶解し、必要に応じ、適当な電荷発生材料、増感染料、電子吸引性化合物、他の電荷輸送材料、あるいは、可塑剤、顔料等との周知の添加剤を添加して得られる塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥し、通常、数μm〜数十μm、好ましくは10〜45μm、特に好ましくは20μm以上の膜厚の感光層を形成させることにより製造することができる。電荷発生層と電荷輸送層の二層からなる感光層の場合は、電荷発生層の上に上記塗布液を塗布するか、上記塗布液を塗布して得られる電荷輸送層の上に電荷発生層を形成させることにより、製造することができる。
【0080】
塗布液調製用の溶剤としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素などのアリールアミン系化合物を溶解させる溶剤が挙げられる。勿論これらの中からバインダーを溶解するものを選択する必要がある。
【0081】
積層型感光層の場合の電荷輸送層に使用されるバインダー樹脂、あるいは分散型感光層の場合のマトリックスとして使用されるバインダー樹脂としては、電荷輸送材料との相溶性が良く、塗膜形成後に電荷輸送材料が結晶化したり、相分離することのないポリマーが好ましく、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ブタジエン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、けい素樹脂、エポキシ樹脂等の各種ポリマーが挙げられ、またこれらの部分的架橋硬化物も使用できる。バインダーの使用量は通常アリールアミン系化合物に対し、0.5〜30重量倍、好ましくは0.7〜10重量倍の範囲である。
【0082】
積層型感光層の場合の電荷輸送層には、必要に応じて酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤並びに他の電荷輸送材料を含んでいてもよい。電荷輸送層の膜厚は通常、10〜60μm、好ましくは10〜45μm、更に好ましくは27〜40μmの厚みで使用されるのがよい。最表面層として従来公知の例えば熱可塑性或いは熱硬化性ポリマーを主体とするオーバーコート層を設けても良い。通常は、電荷発生層の上に電荷移動層を形成するが、逆も可能である。各層の成形方法としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。電荷輸送層にはこの他に、塗膜の機械的強度や、耐久性向上のための種々の添加剤を用いることができる。
この様な添加剤としては、周知の可塑剤や、種々の安定剤、流動性付与剤、架橋剤等が挙げられる。
【0083】
感光層の塗布方法としては、スプレー塗布法、スパイラル塗布法、リング塗布法、浸漬塗布法等がある。
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
【0084】
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機またはカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
【0085】
以下、浸漬塗布法について説明する。
前述した一般式(I)で示されるアリールアミン誘導体、バインダー、溶剤等を用いて好適な全固形分濃度が25%以上であってより好ましくは40%以下の、かつ粘度が通常50センチポアーズ〜300センチポアーズ以下、好ましくは100センチポアーズ〜200センチポアーズ以下の電荷輸送層形成用の塗布液を調整する。ここで実質的に塗布液の粘度はバインダーポリマーの種類及びその分子量により決まるが、あまり分子量が低い場合にはポリマー自身の機械的強度が低下するためこれを損わない程度の分子量を持つバインダーポリマーを使用することが好ましい。この様にして調整された塗布液を用いて浸漬塗布法により電荷輸送層が形成される。
【0086】
その後塗膜を乾燥させ、必要且つ充分な乾燥が行われる様に乾燥温度時間を調整すると良い。乾燥温度は通常100〜250℃好ましくは、110〜170℃さらに好ましくは、120〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機及び遠赤外線乾燥機等を用いることができる。
【0087】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の製造例、実施例に限定されるものではない。なお、実施例中「部」とあるは「重量部」を示す。
(実施例1)
下記ビスホルミル化合物(F1)27gをN−メチルピロリドン(以下、NMPと称す:双極子モーメントの計算値=3.30(D))200mlに懸濁させ、シンナミルトリフェニルホスホニウムクロライド52gを添加した。系を10℃に保ち、ここにナトリウムメトキシド(28%メタノール溶液)17.0gを10℃〜0℃で滴下した。3.5時間、室温にて攪拌後、メタノール−水(800ml−100ml)中に放出した。析出した固体を濾取し、減圧下乾燥させた。生成した固体をトルエン200mlに溶解させ、10℃で、吸着剤(活性白土、及び活性炭)による吸着剤処理による精製を行って、黄色固体15gを得た。
【0088】
【化10】
Figure 0004157283
【0089】
得られた生成物を液体クロマトグラフィー、1H−NMRにて解析したところ、第1表における化合物1(EE体5%)、2(EZ体、44%)、3(ZZ体、51%)であり、アリールアミンに結合する、各々の二つの二重結合部位の幾何異性は、平均して、73%Zであることがわかった。
得られたアリールアミン化合物を用い、下記方法に従い電気特性の測定を行った。結果を第2表に記す。
【0090】
[電気特性の測定]
X線回折スペクトルにおいて、ブラック角(2θ±0.2°)9.3°,10.6°,13.2°,15.1°,15.7°,16.1°,20.8°,23.3°,27.1°に強い回折ピークを示すチタニウムオキシフタロシアニン顔料1.0部をジメトキシエタン14部に加え、サンドグラインダーで分散処理をした後、ジメトキシエタン14部と4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2(三菱化学(株)社製)14部を加え希釈し、さらに、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)社製、商品名デンカブチラール#6000−C)0.5部と、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド(株)社製、商品名UCAR(商標登録)PKHH)0.5部をジメトキシエタン6部、4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2 6部の混合溶媒に溶解した液と混合し、分散液を得た。
【0091】
この分散液を75μmに膜厚のポリエステルフィルムに蒸着されたアミノ蒸着層の上に乾燥後の重量が0.4g/m2になる様にワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成させた。
この上に前記アリールアミン 70部と下記に示すポリカーボネート樹脂(PC1)100部をテトラヒドロフラン900部との混合溶媒に溶解した塗布液を塗布、乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成させた。
【0092】
【化11】
Figure 0004157283
【0093】
このようにして得た2層からなる感光層を有する電子写真感光体によって感度すなわち半減露光量を測定したところ0.35μJ/cm2であった。
半減露光量はまず、感光体を暗所で50μAのコロナ電流により負帯電させ、次いで20ルックスの白色光を干渉フィルターに通して得られた780nmの光(露光エネルギー10μW/cm2 )で露光し、表面電位が−550Vから−275Vまで減衰するのに要する露光量を測定することにより求めた。さらに露光時間を9.9秒とした時の表面電位を残留電位として測定したところ、−5Vであった。この操作を2000回繰り返したが、残留電位の上昇は、ほとんどみられなかった。
【0094】
(実施例2)
溶媒として、NMPの代わりにジメチルホルムアミド(以下、DMFと称す:双極子モーメントの計算値=3.06(D))を利用する以外は、実施例1と同様に電荷輸送物質を作成した。得られた生成物を液体クロマトグラフィー、1H−NMRにて解析したところ、第1表における化合物1(EE体10%)、2(EZ体、48%)、3(ZZ体、42%)であり、アリールアミンに結合する、各々の二つの二重結合部位の幾何異性は、平均して、66%Zであることがわかった。
次に、実施例1と同様に、感光体を作成し、電気特性の測定を行った。結果を第2表に記す。
【0095】
(実施例3)
X線回折スペクトルにおいて、ブラック角(2θ±0.2°)27.3°に明瞭な回折ピークを有するY型オキシチタニウムフタロシアニンを用いた以外は実施例1と同様に感光体を作成し、電気特性の測定を行った。結果を第2表に示す。
【0096】
(実施例4)
実施例1で用いたビスホルミル体の代わりに、下記ホルミル体(F2)を用いる以外は実施例1と同様にしてアリールアミンを合成した。得られた生成物を液体クロマトグラフィー、1H−NMRにて解析したところ、第1表における化合物10(EE体、28%)、11(ZE体、42%)、12(ZZ体30%)であり、アリールアミンに結合する、各々の二つの二重結合部位の幾何異性は、平均して、それぞれ51%Zであることがわかった。
得られたアリールアミン化合物を用い、実施例1と同様にして電子写真感光体を得、電気特性を測定した。結果を第2表に記す。
【0097】
【化12】
Figure 0004157283
【0098】
(実施例5)
下記ホルミル体を用いる以外は実施例4と同様にしてアリールアミンを得た。得られた生成物をLC,NMRにて解析したところ、第1表における化合物4(EE体、20%)、5(ZE体、42%)、6(ZZ体38%)であり、アリールアミンに結合する、各々の二つの二重結合部位の幾何異性は、平均して、それぞれ59%Zであることがわかった。
得られたアリールアミン化合物を用い、実施例1と同様にして電子写真感光体を得、電気特性を測定した。結果を第2表に記す。
【0099】
【化13】
Figure 0004157283
【0100】
参考例1)実施例1で用いたシンナミルトリフェニルホスホニウムクロライドの代わりに、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドを用いる以外は実施例1と同様にしてアリールアミンを得た。得られた生成物を液体クロマトグラフィー、1H−NMRにて解析したところ、表1における化合物7(EE体、16%)、8(ZE体、46%)、9(ZZ体38%)であり、アリールアミンに結合する、各々の二つの二重結合部位の幾何異性は、平均して、それぞれ61%Zであることがわかった。得られたアリールアミン組成物を用い、実施例1と同様にして電子写真感光体を得、電気特性を測定した。結果を表2に記す。
【0101】
参考例2)溶媒に(DMF/THF=1/1)溶液を用いる以外は参考例1と同様にしてアリールアミンを得た。得られた生成物を液体クロマトグラフィー、1H−NMRにて解析したところ、表1における化合物7(EE体、27%)、8(ZE体、40%)、9(ZZ体33%)であり、アリールアミンに結合する、各々の二つの二重結合部位の幾何異性は、平均して、それぞれ53%Zであることがわかった。得られたアリールアミン組成物を用い、実施例1と同様にして電子写真感光体を得、電気特性を測定した。結果を第2表に記す。
【0102】
【表14】
Figure 0004157283
【0103】
(比較例1)
実施例1で用いたNMPの代わりに、THF(双極子モーメントの計算値=1.69(D))/トルエン(双極子モーメントの計算値=0.26(D))混合溶液を用い、かつ精製時の処理温度を40℃で、処理を行ったところ、途中結晶が析出し、精製が不可能となった。
【0104】
(比較例2)
比較例1での、処理温度を30℃で、行ったところ、途中結晶が析出し、精製が不可能となった。
【0105】
(比較例3)
比較例1での、処理温度を20℃で、行った(幾何異性、35%Z)。塗布溶液に溶解させたところ、完溶せず、感光体を作成できなかった。
【0106】
(比較例4)
実施例2での、シンナミルトリフェニルホスホニウムクロライドの代わりに、ジエチルベンジルホスホネートを利用し、アリールアミンを作成した(幾何異性、0%Z)。塗布溶液に溶解させたところ、完溶せず、感光体を作成できなかった。
【0107】
(比較例5)
実施例3での、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドの代わりに、ジエチルベンジルホスホネートを利用し、アリールアミンを作成した(幾何異性、0%Z)が、精製時に、不溶性の結晶が育つ時がある事が判明し、問題がある事がわかった。
【0108】
明らかに実施例1、2、3の幾何異性を有するアリールアミンは比較例1、2、3の化合物に比べ、特に溶解性、製造安定性にすぐれている事がわかる。
【0109】
【発明の効果】
本発明のアリールアミンは特に溶解性に優れる。
本発明に用いる化合物を電子写真用感光体用として利用すると、塗布溶液に対する溶解性、バインダーとの相溶性に優れ、安定して感光体を製造することができる。
又、かぶりの原因となる残留電位が小さく、とくに光疲労が少ないために繰返し使用による残留電位の蓄積や、表面電位および感度の変動が小さく耐久性に優れるという特徴を有する。又、現代の高速化の要求に見合った、高感度、高移動度においても、特に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたアリールアミン誘導体の赤外吸収スペクトル図。
【図2】実施例3で得られたアリールアミン誘導体の赤外吸収スペクトル図。
【図3】実施例4で得られたアリールアミン誘導体の赤外吸収スペクトル図。
【図4】実施例5で得られたアリールアミン誘導体の赤外吸収スペクトル図。
【図5】実施例6で得られたアリールアミン誘導体の赤外吸収スペクトル図。

Claims (17)

  1. 下記一般式(I)で表され、かつ二重結合の幾何異性に依ってC2空間群またはCs空間群に属し得るアリールアミン組成物であって、Gに直結する二重結合の幾何異性がZ体である割合が30%以上85%以下である事(但し、下記一般式(I)が下記構造式αであり、該構造式αの二カ所の二重結合部の幾何異性が、トランス−トランス体:15%、トランス−シス体およびシス−シス体:85%となる場合を除く。)を特徴とするアリールアミン組成物
    Figure 0004157283
    (一般式(I)中、Gは2価又は4価のアリールアミン残基を表し、R1〜R4は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。n1、n2は各々独立して0乃至4の整数を表す。但し、n1=0の場合はR1が水素原子であり、n2=0の場合はR3が水素原子である。また、mは0又は1を表す)
    Figure 0004157283
  2. 下記一般式(I)で表され、かつ二重結合の幾何異性に依ってC 2 空間群またはCs空間群に属し得るアリールアミン組成物であって、Gに直結する二重結合の幾何異性がZ体である割合が30%以上85%以下である事を特徴とするアリールアミン組成物。
    Figure 0004157283
    (一般式(I)中、Gは2価又は4価のアリールアミン残基を表し、R 1 〜R 4 は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。n 1 、n 2 は各々独立して0乃至4の整数を表す(但し、n 1 =0の場合を除く)。但し、n 2 =0の場合はR 3 が水素原子である。また、mは0又は1を表す)
  3. 一般式(I)において、Gに直結する二重結合の幾何異性のZ体である割合が40%以上80%以下である請求項1又は2に記載のアリールアミン組成物
  4. 一般式(I)において、m=0であり、Gに直結する2つの二重結合の幾何異性がいずれもE体である割合が、30%以下である請求項1又は2に記載のアリールアミン組成物
  5. 下記一般式(II)で表され、かつ二重結合の幾何異性に依ってC2空間群またはCs空間群に属し得るアリールアミン組成物であって、Ar2及びAr3に直結する二重結合の幾何異性がZ体である割合が30%以上85%以下である事(但し、下記一般式(II)が下記構造式αであり、該構造式αの二カ所の二重結合部の幾何異性が、トランス−トランス体:15%、トランス−シス体およびシス−シス体:85%となる場合を除く。)を特徴とするアリールアミン組成物
    Figure 0004157283
    (一般式(II)中、Ar1、Ar2は各々独立して、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Ar3は、m=0の時は置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い1価の複素環基を表し、m=1の時は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Qは直接結合または2価の残基を表す。R1〜R4は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。n1、n2は各々独立して0乃至4の整数を表す。但し、n1=0の場合はR1が水素原子であり、n2=0の場合はR3が水素原子である。また、mは0又は1を表す。また、Ar1〜Ar3は互いに結合して環状構造を形成しても良い。)
    Figure 0004157283
  6. 下記一般式(II)で表され、かつ二重結合の幾何異性に依ってC 2 空間群またはCs空間群に属し得るアリールアミン組成物であって、Ar 2 及びAr 3 に直結する二重結合の幾何異性がZ体である割合が30%以上85%以下である事を特徴とするアリールアミン組成物。
    Figure 0004157283
    (一般式(II)中、Ar 1 、Ar 2 は各々独立して、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Ar 3 は、m=0の時は置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良い1価の複素環基を表し、m=1の時は、置換基を有していても良いアルキレン基、置換基を有していても良いアリーレン基又は置換基を有していても良い2価の複素環基を表す。Qは直接結合または2価の残基を表す。R 1 〜R 4 は各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。n 1 、n 2 は各々独立して0乃至4の整数を表す(但し、n 1 =0の場合を除く)。但し、n 2 =0の場合はR 3 が水素原子である。また、mは0又は1を表す。また、Ar 1 〜Ar 3 は互いに結合して環状構造を形成しても良い。)
  7. 一般式(II)において、Qが、原子数が1〜20の残基であり、Ar1及びAr2が置換基を有しても良いアリーレン基である請求項5又は6に記載のアリールアミン組成物
  8. 一般式(II)において、Qが、2つのAr1の共役系を接続する残基である請求項5乃至7のいずれか1項に記載のアリールアミン組成物
  9. 一般式(II)において、Qが直接結合である請求項に記載のアリールアミン組成物
  10. 一般式(II)において、Ar3が、置換基を有していても良いフェニル基であり、Ar1及びAr2が置換基を有しても良いフェニレン基である請求項5乃至9のいずれか1項に記載のアリールアミン組成物
  11. ホルミル基を有する前駆体(前駆体A)とカルバニオンを有する前駆体(前駆体B)を縮合反応する工程を含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のアリールアミン組成物の製造方法であって、縮合反応終了後、−20℃〜20℃の温度範囲で吸着剤処理する事を特徴とするアリールアミン組成物の製造方法。
  12. ホルミル基を有する前駆体(前駆体A)とカルバニオンを有する前駆体(前駆体B)を縮合反応する工程を含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のアリールアミン組成物の製造方法であって、縮合反応における溶媒として、PM−3パラメーターを使った半経験的分子軌道計算を用いた構造最適化計算による双極子モーメントの計算値が、2.0(D)以上の化合物を使用する事を特徴とするアリールアミン組成物の製造方法。
  13. ホルミル基を有する前駆体(前駆体A)とカルバニオンを有する前駆体(前駆体B)を縮合反応する工程を含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のアリールアミン組成物の製造方法であって、縮合反応時の反応温度が−20℃〜20℃である事を特徴とするアリールアミン組成物の製造方法。
  14. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体であって、該感光層に請求項1乃至10のいずれか1項に記載のアリールアミン組成物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  15. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体であって、該感光層に請求項11乃至13のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたアリールアミン組成物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  16. 前記感光層が、電荷発生層及び電荷移動層が積層してなり、該電荷発生層に、オキシチタニウムフタロシアニン化合物を含有することを特徴とする請求項14又は15に記載の電子写真感光体。
  17. オキシチタニウムフタロシアニンが、CuKα線を用いた粉末X線回折において回折角2θ±0.2°が27.3°に明瞭なピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンである請求項16に記載の電子写真感光体。
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