JP2007093764A - フェニレンジアミン化合物および電子写真感光体 - Google Patents

フェニレンジアミン化合物および電子写真感光体 Download PDF

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Abstract

【課題】高い感度を有する電子写真感光体を提供する。
【解決手段】導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、感光層が、一般式(1)で表されるフェニレンジアミン化合物を含有する。

【選択図】なし

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置に使用される電子写真感光体に関する。
画像形成装置においては、当該装置に用いられる光源の波長領域に感度を有する種々の有機感光体が使用されている。この有機感光体は、従来の無機感光体に比べて製造が容易であり、電荷輸送剤、電荷発生剤、結着樹脂等の感光体材料の選択肢が多様で、機能設計の自由度が高いという利点を有することから、近年、広く用いられている。
有機感光体には、電荷輸送剤を電荷発生剤とともに同一の感光層中に分散させた単層型感光体と、電荷発生剤を含有する電荷発生層と電荷輸送剤を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光体とがある。一般に、有機感光体は被膜形成能を有しないために、適当なバインダ、例えば樹脂に含有させて用いられる。特許文献1には下記一般式(90)のフェニレンジアミン化合物を含む有機感光体が開示されている。
(式中、R91,R92,R93およびR94は同一または異なって水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアルコキシ基を示し、xは1〜5の整数である。)
特開平5−117212
しかしながら、上記公報に開示されているフェニレンジアミン化合物はバインダー樹脂との相溶性は良く感光層中に均一に分散されるが、電荷輸送剤として感光体に使用した際には、感光体の残留電位が高くなり光感度が十分なものではないという問題があった。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねていくなかで、フェニレンジアミン化合物に特定の置換基を導入することで、フェニレンジアミン化合物の電荷移動度が大きく、さらに十分な光感度を有する感光体を得るという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のフェニレンジアミン化合物は、一般式(1)で表されるフェニレンジアミン化合物であることを特徴とする。
(式中、R1、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を示し、少なくとも一つが下記一般式(1a)で示される置換基である。l、m、n、及びoは1〜5の整数を表し、pは1〜4の整数を表す。
(式中、Rは同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。qは1〜5の整数を表し、rは1〜2の整数を表す。)
また、本発明における電子写真感光体の別の態様は、導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、前記感光層が、一般式(1)で表されるフェニレンジアミン化合物を含有することを特徴とする。
(式中、R1、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を示し、少なくとも一つが下記一般式(1a)で示される置換基である。l、m、n、及びoは1〜5の整数を表し、pは1〜4の整数を表す。
(式中、Rは同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。qは1〜5の整数を表し、rは1〜2の整数を表す。
また、本発明における電子写真感光体の別の態様は、前記感光層が、前記一般式(1)で表されるフェニレンジアミン化合物と共に、電荷発生剤と電子輸送剤とを含有した単層型の感光層であることを特徴とする。
本発明のフェニレンジアミン化合物は特定の置換基を有することから、従来のフェニレンジアミンよりもπ電子の共役系が広がり、電荷移動度を大きくすることができる。
また、本発明の電子写真感光体は、一般式(1)で表されるフェニレンジアミン化合物を感光層中に含有することから、電荷発生剤で発生した電荷(正孔)を輸送する速度が従来のフェニレンジアミン化合物よりも速く、露光時の光感度が優れている。その結果、本発明の電子写真感光体によれば、従来のフェニレンジアミン化合物を正孔輸送剤として使用したときよりも、高い感度が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に、少なくとも正孔輸送剤、電荷発生剤およびバインダ樹脂を含有し、さらに必要に応じて電子輸送剤を含有した感光層を設けたものである。この感光層には、単層型感光層と積層型感光層とがあるが、本発明には、いずれの感光層も適用可能である。
本発明において使用する正孔輸送剤は、前記一般式(1)で表される化合物である。この化合物は、特定の位置に置換基を有するため、溶解性が高いのでバインダ樹脂等との相溶性に優れると共に、長い共役結合を有しているので、高い電荷移動度を示す。
前記一般式(1)において、炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
前記一般式(1)において、炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシまたはヘキシルオキシ等が挙げられる。
前記一般式(1)において、アリール基としては、例えばフェニル、トリル、キシリル、ビフェニリル、ナフチル等の炭素数6〜20のアリール基等が挙げられる。このアリール基は、置換基として炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基を有していてもよく、このアルキル基としては、前記で例示したものと同様のアルキル基が挙げられる。
前記一般式(1)において、アラルキル基としては、例えばベンジル、α−メチルベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル等の炭素数6〜20のアラルキル基が挙げられる。
〜Rに相当するアリール基またはアラルキル基は置換基を有していてもよく、具体的には炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルコキシ基が挙げられる。炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基および炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルコキシ基としては、上述した基と同様の基が挙げられる。
前記一般式(1a)において、炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルキル基としては上述した基と同様の基が挙げられる。前記一般式(1a)において、炭素数1〜6の直鎖または分岐したアルコキシ基としては上述した基と同様の基が挙げられる。前記一般式(1a)において、アリール基としては上述した基と同様の基が挙げられる。前記一般式(1a)において、アラルキル基としては上述した基と同様の基が挙げられる。
また、本発明のフェニレンジアミン化合物におけるRが、一般式(1a)で示される置換基であることが好ましい。この理由はこの理由は、フェニレンジアミン化合物のバインダ樹脂への相溶性を向上させ感光体の感度を向上することができるとともに、このような置換基であれば、比較的導入が容易であって所定のフェニレンジアミン化合物を、比較的高い収率で生産することができるためである。
一般式(1)で表されるフェニレンジアミン化合物の具体例を示す。
本発明であるフェニレンジアミン化合物(1)の合成方法を、下記反応式(1)に従って説明する。本発明のフェニレンジアミン誘導体は、種々の方法で合成することが可能であり、例えば、下記反応式に示す方法により合成することができる。すなわち、本発明に使用されるフェニレンジアミン化合物は、Wittig反応によって得られたスチルベン誘導体と、ジフェニルアミンを反応させることにより、得ることができる。
次に、本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。本発明の電子写真感光体は、一般式(1)で表されるフェニレンジアミン化合物を含有した感光層を、導電性基体上に設けたものである。感光体には、前述のように単層型と積層型とがあるが、本発明はこのいずれにも適用可能である。
単層型感光体は、導電性基体上に単一の感光層を設けたものである。この感光層は、一般式(1)で表されるフェニレンジアミン化合物(正孔輸送剤)、電荷発生剤、結着樹脂、さらに必要に応じて電子輸送剤を適当な溶媒に溶解または分散させ、得られた塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることで形成される。かかる単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単で生産性に優れている。
本発明の単層型電子写真感光体は、従来の単層型電子写真感光体に比べて、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度が向上している。一方、積層型感光体は、まず導電性基体上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層を形成し、次いでこの電荷発生層上に、一般式(1)で表されるフェニレンジアミン化合物(正孔輸送剤)の少なくとも1種と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて電荷輸送層を形成することによって作製される。また、上記とは逆に、導電性基体上に電荷輸送層を形成し、その上に電荷発生層を形成してもよい。但し、電荷発生層は電荷輸送層に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成するのが好ましい。
積層型感光体は、上記電荷発生層および電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。例えば、上記のように、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した場合において、電荷輸送層における電荷輸送剤として、本発明のフェニレンジアミン化合物(1)のような正孔輸送剤を使用した場合には、感光体は負帯電型となる。
本発明の積層型電子写真感光体は、従来のフェニレンジアミン化合物を正孔輸送剤として使用した積層型電子写真感光体に比べて、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度が向上している。前述のように、本発明の電子写真感光体は、単層型および積層型のいずれにも適用できるが、特に正負いずれの帯電型にも使用できること、構造が簡単で製造が容易であること、層を形成する際の被膜欠陥を抑制できること、層間の界面が少なく、光学的特性を向上できること等の観点から、単層型が好ましい。
次に、本発明の電子写真感光体に用いられる種々の材料について説明する。
《電荷発生剤》本発明に用いられる電荷発生剤としては、例えば下記の一般式(CG1) 〜(CG2)で表される化合物があげられる。
(CG1) 無金属フタロシアニン
(CG2) オキソチタニルフタロシアニン
《正孔輸送剤》本発明の電子写真感光体においては、正孔輸送剤である本発明のフェニレンジアミン化合物(1)とともに、従来公知の他の正孔輸送剤を感光層に含有させてもよい。
かかる正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を有する種々の化合物、例えば下記の一般式(HT1) 〜 (HT13)で表される化合物等があげられる。
(式中、Rh1、Rh2、Rh3、Rh4、Rh5およびRh6は同一または異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。aおよびbは同一または異なって0〜4の整数を示し、c、d、eおよびfは同一または異なって0〜5の整数を示す。但し、a、b、c、d、eまたはfが2以上のとき、各Rh1、Rh2、Rh3、Rh4、Rh5およびRh6は異なっていてもよい。)
(式中、Rh7、Rh8、Rh9、Rh10およびRh11は同一または異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。g、h、iおよびjは同一または異なって0〜5の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。但し、g、h、i、jまたはkが2以上のとき、各Rh7、Rh8、Rh9、Rh10およびRh11は異なっていてもよい。)
(式中、Rh12、Rh13、Rh14およびRh15は同一または異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。Rh16はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有しても
よいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。m、n、oおよびpは同一または異なって、0〜5の整数を示す。qは0〜6の整数を示す。但し、m、n、o、pまたはqが2以上のとき、各Rh12、Rh13、Rh14、Rh15およびRh16は異なっていてもよい。)
(式中、Rh17、Rh18、Rh19およびRh20は同一または異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。r、s、tおよびuは同一または異なって、0〜5の整数を示す。但し、r、s、tまたはuが2以上のとき、各Rh17、Rh18、Rh19およびRh20は異なっていてもよい。
(式中、Rh21およびRh22は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。Rh23、Rh24、Rh25およびRh26は同一または異なって、水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。)
(式中、Rh27、Rh28およびRh29は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、ア
ルキル基またはアルコキシ基を示す。)
(式中、Rh34、Rh35、Rh36、Rh37およびRh38は同一または異なって、水素原子、ハ
ロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。)
(式中、Rh39は水素原子またはアルキル基を示し、Rh40、Rh41およびRh42は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。)
(式中、Rh43、Rh44およびRh45は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、ア
ルキル基またはアルコキシ基を示す。)
(式中、Rh46およびRh47は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアルコキシ基を示す。Rh48およびRh49は同一または異なって、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。)
(式中、Rh50、Rh51、Rh52、Rh53、Rh54およびRh55は同一または異なって、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基または置換基を有してもよいアリール基を示す。αは1〜10の整数を示し、v、w、x、y、zおよびβは同一または異なって0〜2の整数を示す。但し、v、w、x、y、zまたはβが2のとき、各Rh50、Rh51、Rh52、Rh53、Rh54およびRh55は異なっていてもよい。)
(式中、Rh56、Rh57、Rh58およびRh59は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示し、Φは次式:
上記例示の正孔輸送剤において、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、およびアラルキル基としては、前述と同様な基があげられる。
上記基に置換してもよい置換基としては、例えばハロゲン原子、アミノ基、水酸基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アリール基を有することのある炭素数2〜6のアルケニル基等があげられる。置換基の置換位置については特に限定されない。
また本発明においては、上記例示の正孔輸送剤(HT1) 〜(HT13)とともに、またはこれに
代えて、従来公知の正孔輸送物質、すなわち2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等を用いることもできる。
本発明において、正孔輸送剤は1種のみを用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。
また、ポリビニルカルバゾール等の成膜性を有する正孔輸送剤を用いる場合には、結着樹脂は必ずしも必要でない。
《電子輸送剤》本発明に用いられる電子輸送剤としては、高い電子輸送能を有する種々の化合物、例えば下記の一般式(ET1) 〜(ET17)で表される化合物等があげられる。
(式中、Re1、Re2、Re3、Re4およびRe5は同一または異なって、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいフェノキシ基またはハロゲン原子を示す。)
(式中、Re6はアルキル基、Re7は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、ハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基を示す。
γは0〜5の整数を示す。但し、γが2以上のとき、各Re7は互いに異なっていてもよい。)
(式中、Re8およびRe9は同一または異なって、アルキル基を示す。δは1〜4の整数を示し、εは0〜4の整数を示す。但し、δおよびεが2以上のとき、各Re8およびRe9は異なっていてもよい。)
(式中、Re10はアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子を示す。ζは0〜4、ηは0〜5の整数を示す。但し、ηが2以上のとき、各Re10は異なっていてもよい。)
(式中、Re11はアルキル基を示し、σは1〜4の整数を示す。但し、σが2以上のとき
、各Re11は異なっていてもよい。)
(式中、Re12およびRe13は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシ基、水酸基、ニトロ基またはシアノ基を示す。Xは酸素原子、=N−CN基または=C(CN)2 基を示す。)
(式中、Re14は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基または置換基を有してもよいフェ
ニル基を示し、Re15はハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有し
てもよいフェニル基、アルコキシカルボニル基、N−アルキルカルバモイル基、シアノ基またはニトロ基を示す。λは0〜3の整数を示す。
但し、λが2以上のとき、各Re15は互いに異なっていてもよい。)
(式中、θは1〜2の整数を示す。)
(式中、Re16およびRe17は同一または異なって、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基を示す。
νおよびξは0〜3の整数を示す。但し、νまたはξが2以上のとき、各Re16およびRe17は互いに異なっていてもよい。)
(式中、Re18およびRe19は同一または異なって、フェニル基、縮合多環式基または複素環式基を示し、これらの基は置換基を有していてもよい。)
(式中、Re20はアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アルキル基またはフェニル基を示し、πは1〜2の整数を示す。但し、πが2のとき、各Re20は互いに異なっ
ていてもよい。)
(式中、Re21は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基またはアラルキル基
を示す。)
(式中、Re22はハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、アルコキシカルボニル基、N−アルキルカルバモイル基、シアノ基またはニトロ基を示す。μは0〜3の整数を示す。但し、μが2以上のとき、各Re22は互いに
異なっていてもよい。)
(式中、Re23は置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示し、Re24は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または基:
−O−Re24aを示す。
上記基中のRe24aは、置換基を有してもよいアルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示す。
(式中、Re25、Re26、Re27、Re28、Re29、Re30およびRe31は同一または異なって
アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基を示す。χおよびφは同一または異なって0〜4の整数を示す。
(式中、Re32およびRe33は同一または異なってアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはハロゲン化アルキル基を示す。
τおよびψは同一または異なって0〜4の整数を示す。)
(式中、Re34、Re35、Re36およびRe37は同一または異なって水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アラルキル基、シクロアルキル基またはアミノ基を示す。但し、Re34、Re35、Re36、Re37のうち少なくとも2つは、水素原子でない同一の基である。)
アラルキルオキシカルボニル基としては、アラルキル部分が前述した各種のアラルキル基であるものがあげられる。N−アルキルカルバモイル基としては、アルキル部分が前述した各種のアルキル基であるものがあげられる。ジアルキルアミノ基としては、アルキル部分が前述した各種のアルキル基であるものがあげられる。なおアミノに置換する2つのアルキルは同一でも、互いに異なっていてもよい。
上記各基に置換してもよい置換基としては、例えばハロゲン原子、アミノ基、水酸基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アリール基を有することのある炭素数2〜6のアルケニル基等があげられる。置換基の置換位置については特に限定されない。
また本発明においては、上記例示のほかに従来公知の電子輸送物質、すなわち例えばベンゾキノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等を用いることができる。
本発明において、電子輸送剤は1種のみを用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。
《結着樹脂》上記各成分を分散させるための結着樹脂は、従来、感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。
例えばスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂;エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
感光層には、上記各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。
また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
単層型感光体において、電荷発生剤は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合すればよい。
本発明のスチルベン誘導体(1)正孔輸送剤)は、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好ましくは30〜200重量部の割合で配合すればよい。
電子輸送剤を含有させる場合、電子輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部とするのが適当である。
また、単層型感光体における感光層の厚さは5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
積層型感光体において、電荷発生層を構成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用することができるが、結着樹脂100重量部に対して電荷発生剤を5〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部の割合で配合するのが適当である。電荷発生層に正孔輸送剤を含有させる場合は、正孔輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して10〜500重量部、好ましくは50〜200重量部とするのが適当である。
電荷輸送層を構成する正孔輸送剤と結着樹脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しない範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるように、結着樹脂100重量部に対して、本発明のスチルベン誘導体(1) (正孔輸送剤)を10〜500重量部、好ましくは25〜200樹脂の割合で配合するのが適当である。
電荷輸送層に電子輸送剤を含有させる場合は、電子輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部とするのが適当である。
積層型感光体における感光層の厚さは、電荷発生層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは5〜50μm程度である。
単層型感光体においては、導電性基体と感光層との間に、また積層型感光体においては、導電性基体と電荷発生層との間、導電性基体と電荷輸送層との間または電荷発生層と電荷輸送層との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層が形成されていてもよい。また、感光体の表面には、保護層が形成されていてもよい。
上記感光層が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。
また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。
前記感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
上記分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
本発明を合成例、実施例および比較例に基づいてさらに説明する。(合成例1)上記式(1-1)で表わされる化合物の合成を、下記反応式(i)を用いて説明する。
[リンイリドの合成]500mlのフラスコに、式(22)で示されるジクロロベンゼン誘導体25g(0.128mol)と亜リン酸トリエチル30g(0.18mol)を加え、180℃で8時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を冷却し、過剰な亜リン酸トリエチルを減圧留去し、式(23)で表されるリンイリドを得た。(収率90% 、収量34.2g)
[ジクロロベンゼン誘導体の合成]式(24)で示される化合物をWittig反応により得た。すなわち上記反応にて得られた式(23)で表されるリンイリド10g(0.034mol)を、200mlの2口フラスコに入れ、アルゴン雰囲気下0℃に冷却する。そこに、50mlの脱水したテトラヒドロフラン50mlと、ナトリウムメトキシド(28%)7.7g(0.04mol)を加えて、30分攪拌した。そこにベンズアルデヒド4g(0.038mol/THF200ml))を加えて室温で12時間攪拌した。反応終了後反応溶液をイオン交換水に注ぎ、トルエンにて抽出後、有機層をイオン交換水にて洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルムにて展開)により精製し、式(24)で示されるジクロロベンゼン誘導体を得た。(収率85% 、収量7.1g 白色結晶)
[スチルベンアミンの合成]1Lのフラスコに酢酸パラジウム0.1g(0.05mmol)とトリブチルホスフィン0.1g(0.05mmol)を加えて、減圧下2時間加熱攪拌した。そこに、得られた式(24)で示される化合物12.4g(0.05mol)と、ジフェニルアミン16.9g(0.05mmol)を加えて、140℃で8時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を冷却し、トルエン500mlを加えて、反応溶液をろ過した。ろ液に水を加えて有機層を抽出し、有機層を乾燥、白土処理し、ろ過した後に溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(クロロホルムにて展開)により精製し、式(1−1)で示される化合物を得た。(収率75% 、収量19.2g 白色結晶)
(合成例2)(合成例1)において、ベンズアルデヒド4gの代わりに、式(27)で示されるアルデヒド5gを使用した以外は、合成例1と同様に行い化合物(1−2)を得た。(収率70%)
比較例で使用した正孔輸送剤、実施例および比較例で使用したバインダ樹脂は以下の通りである。
<比較例で使用した正孔輸送剤>
<電子輸送剤>
<バインダ樹脂>
[実施例1〜4]
[比較例1〜4]
<電子写真感光体の作製>
上記の電子輸送剤、電荷発生剤、バインダ樹脂および正孔輸送剤を表1に示す組み合わせで用いた。すなわち、溶媒であるテトラヒドロフラン800質量部に対して、バインダ樹脂(resin−1:粘度平均分子量50,000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂)100重量部、正孔輸送剤(HT−1〜HT−3、HT−A、HT−B)60重量部、表1に示す電荷発生剤(CG1またはCG2)5重量部、および表1に示す電子輸送剤(ET−1、ET−2)50重量部を添加した。この混合物をボールミルで50時間混合分散して、単層型感光層用の分散液を作製した。ついで、得られた分散液を導電性基材(アルミニウム素管)上にディップコート法にて塗布し、100℃で30分間で熱風乾燥して、膜厚25μmの単層型感光層を有する電子写真感光体を得た。
次に、上記で得られた電子写真感光体の感度特性を以下のようにして評価した。すなわち、電子写真感光体について、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて、約700Vになるように帯電させ、ついでハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:1.5μJ/cm2)を露光[照射時間:1.5秒]した。そして、露光開始から0.5秒経過した時点での表面電位(残留電位)を測定し、それを感度とした。結果を表1に示す。
表2より明らかなように、本発明のフェニレンジアミン化合物は、従来のフェニレンジアミン化合物に比べて、感度が優れている。
本発明の電子写真感光体はバインダ樹脂との相溶性が高く、かつ高い電荷輸送能(正孔輸送能)を有する上記フェニレンジアミン化合物(1)を正孔輸送剤として用いることから、高感度である。従って、本発明の電子写真感光体は、静電式複写機やレーザービームプリンタ等の各種画像形成装置の高速化、高性能化等に寄与するという特有の作用効果を有する。
式(1−1)で表されるフェニレンジアミン化合物のプロトン−NMRチャートを説明するための図である。

Claims (3)

  1. 一般式(1)で表されるフェニレンジアミン化合物。
    一般式(1):

    (式中、R1、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を示し、少なくとも一つが下記一般式(1a)で示される置換基である。l、m、n、及びoは1〜5の整数を表し、pは1〜4の整数を表す。

    (式中、Rは同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。qは1〜5の整数を表し、rは1〜2の整数を表す。)
  2. 導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、前記感光層が、一般式(1)で表されるフェニレンジアミン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    一般式(1):

    (式中、R1、R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を示し、少なくとも一つが下記一般式(1a)で示される置換基である。l、m、n、及びoは1〜5の整数を表し、pは1〜4の整数を表す。

    (式中、Rは同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を示す。qは1〜5の整数を表し、rは1〜2の整数を表す。)
  3. 前記感光層が、前記一般式(1)で表される化合物と共に、電荷発生剤と電子輸送剤とを含有した単層型の感光層である請求項2記載の電子写真感光体。
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