JP4249730B2 - アミンスチルベン誘導体、その製造方法、および電子写真感光体 - Google Patents
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Description
このような有機感光体材料のうち、所定の電荷移動度を有する電荷輸送剤として、下記一般式(66)で表されるアミンスチルベン誘導体およびそれを用いた電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
すなわち、本発明の目的は、上述した技術的な問題を解決し、電子写真感光体等の電荷輸送剤として好適に用いることのできる特定のアミンスチルベン誘導体、その製造方法、および優れた感度特性および耐久性を有する電子写真感光体を提供することにある。
すなわち、一般式(1)で表されるアミンスチルベン誘導体は、分子末端のフェニルアミノ基におけるフェニルのオルト位、メタ位、あるいはパラ位に、所定のエテニル基および所定の置換基を導入することにより、立体障害が生じるため、結着樹脂への相溶性および溶剤への溶解性を向上させることができる。
したがって、このようなアミンスチルベン誘導体を、電子写真感光体における電荷輸送剤(正孔輸送剤)として使用することにより、かかるアミンスチルベン誘導体を感光層中に均一に分散することができ、優れた感度特性および耐久性を有する電子写真感光体を提供することができる。
なお、分子末端のフェニルアミノ基におけるフェニルのオルト位およびメタ位に所定のエテニル基を有するアミンスチルベン誘導体であれば、ヨウ化ベンゼン誘導体等との反応を介して、より製造しやすいという利点もある。
より具体的には、本発明のアミンスチルベン誘導体によれば、一般式(1)および(1´)中のR 2 、R 6 、R 9 およびR 13 が炭素数1〜10の置換または非置換のアルキル基であることにより、結着樹脂への相溶性、および溶剤に対する溶解性をさらに向上させることができ、電荷移動度を高めるとともに、結晶化をより効果的に防ぐことができる。
したがって、このような置換基を有するアミンスチルベン誘導体を、電子写真感光体における電荷輸送剤(正孔輸送剤)として使用することにより、さらに優れた感度特性および耐久性を有する電子写真感光体を提供することができる。また、このような置換基であれば、比較的導入が容易であって所定のアミンスチルベン誘導体を、比較的高い収率で生産することができる。
また、本発明のアミンスチルベン誘導体によれば、一般式(1)および(1´)中のAおよびB、あるいはいずれか一方が、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、CおよびD、あるいはいずれか一方が、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、A、B、CおよびDのうちアリール基でないものは、水素原子であることにより、分子内共役が広がり、電荷移動度を高めることができる。
したがって、このようなアミンスチルベン誘導体を、電子写真感光体における電荷輸送剤(正孔輸送剤)として使用することにより、優れた感度特性を有した電子写真感光体を提供することができる。また、このような構造であれば、比較的導入が容易であるため、所定のアミンスチルベン誘導体を、比較的高い収率で生産することができる。
すなわち、一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体は、分子末端のフェニルアミノ基におけるフェニルのパラ位に、所定のエテニル基および所定の置換基を導入することにより、立体障害が生じるため、結着樹脂への相溶性および溶剤への溶解性を向上させることができる。
したがって、このようなアミンスチルベン誘導体を、電子写真感光体における電荷輸送剤(正孔輸送剤)として使用することにより、かかるアミンスチルベン誘導体を感光層中に均一に分散することができ、優れた感度特性および耐久性を有する電子写真感光体を提供することができる。
また、分子末端のフェニルアミノ基におけるフェニルのパラ位に所定のエテニル基を有する化合物であれば、ホルミル化等の反応を介して、より製造しやすいという利点もある。
第1の実施形態は、下記一般式(1)又は一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体である。
第2の実施形態は、下記反応式(1)に示すように、一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(3)および(4)で表されるリンイリド誘導体とを、エーテル類、ハロゲン化炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒中において、ナトリウムアルコキシド、金属水素化物および金属塩からなる群より選択される少なくとも一種の触媒の存在下に反応させて、一般式(1)で表されるアミンスチルベン誘導体を得ることを特徴とするアミンスチルベン誘導体の製造方法である。
また、反応式(1)中の、A〜D、R1〜R14およびa〜dは特に断りがない限り、第1の実施形態において説明した内容である。
なお、反応式(1)において、下記に示すように、一般式(2´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(3)および(4)で表されるリンイリド誘導体とを、エーテル類、ハロゲン化炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒中において、ナトリウムアルコキシド、金属水素化物および金属塩からなる群より選択される少なくとも一種の触媒の存在下に反応させて、一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体を得る反応を反応式(1´)として言及する場合があるが、反応条件等については、全く同様の内容とすることができる。
まず、反応式(1)を実施するための反応条件について詳細に説明する。
すなわち、一般式(1)で表されるアミンスチルベン誘導体は、上述した反応式(1)に示すように、ウィッティヒ(Wittig)法を用いて合成することができる。
また、一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(3)および(4)で表されるリンイリド誘導体との反応は、通常−20〜30℃で行うことが好ましく、その反応時間を5〜30時間の範囲内の値とすることが好ましい。
また、一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(3)および(4)で表されるリンイリド誘導体との反応に使用する好適な溶媒としては、当該反応に影響を及ぼさないものであれば良いが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
また、かかる反応に使用する触媒としては、例えば、ナトリウムメトキシドやナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシド、水素化ナトリウムや水素化カリウム等の金属水素化物、n−ブチルリチウム等の金属塩の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
ここで、かかる触媒の添加量を、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体1モルに対して、2〜5モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる触媒の添加量が2モル未満の値となると、一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(3)および(4)で表されるリンイリド誘導体と、の間の反応性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる触媒の添加量が5モルを超えると、一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(3)および(4)で表されるリンイリド誘導体と、の間の反応を制御することが著しく困難になる場合があるためである。
また、一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(3)および(4)で表されるリンイリド誘導体(合計量)との添加割合を、モル比で1:2〜1:5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、リンイリド誘導体との添加割合が、1:2未満の値になると、中間体が生成しやすくなり、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、リンイリド誘導体とが、適切に対応して反応することが困難になる場合があるためである。また、かかる添加割合が、1:5を超えると、未反応のリンイリド誘導体が多く残留し、精製を困難にする場合があるためである。
したがって、一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(3)および(4)で表されるリンイリド誘導体(合計量)と、の添加割合を、モル比で1:2〜1:5の範囲内の値とすることが好ましい。
次いで、反応式(1)を実施する上で、原材料となる一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体の合成方法について、第1工程および第2工程を含む反応式(3)に沿って説明する。
すなわち、一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体は、下記反応式(3)に示すように、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(14)および(15)で表されるヨードベンゼン誘導体とを、反応させて一般式(16)で表されるトリフェニルアミン誘導体を得た後、フィルスマイヤー(Vilsmeier)法によりホルミル化して合成することが好ましい。
なお、反応式(3)中のA〜D、R1〜R14およびa〜dは、反応式(1)中のA〜D、R1〜R14、a〜dと同様の内容である。
第1工程は、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(14)および(15)で表されるヨードベンゼン誘導体とを、反応させて一般式(16)で表されるトリフェニルアミン誘導体を合成する工程である。
そして、第1工程において、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、式(14)および(15)で表されるヨードベンゼン誘導体(合計量)の添加割合を、モル比で1:2〜1:4の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるジフェニルアミン誘導体と、ヨードベンゼン誘導体との反応割合が、1:2未満の値になると、目的物であるトリフェニルアミン誘導体の生成量が低下する場合があるためである。一方、かかるジフェニルアミン誘導体と、ヨードベンゼン誘導体との反応割合が、1:4を超えると、未反応のヨードベンゼン誘導体が多く残留するため、目的物であるトリフェニルアミン誘導体の精製が困難になる場合があるためである。
なお、一般式(14)および(15)で表されるヨードベンゼン誘導体の添加割合をモル比で約1:1の値にすることが好ましい。
この理由は、このような反応条件であれば、比較的簡易な製造設備を用いて、所望の反応を効率的に実施できるためである。
第2工程は、得られた一般式(16)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、フィルスマイヤー法を用いて反応させて、一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体を合成する工程である。
そして、第2工程において、フィルスマイヤー試薬(Vilsmeier試薬)として、以下の化合物(i)および(ii)の組合せを使用することが好ましい。
(i)オキシ塩化リン、ホスゲン、塩化オキサリル、塩化チオニル、トリフェニルホスフィン−臭素、ヘキサクロロトリホスファザトリエン等のハロゲン化剤
(ii)N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルホルムアニリド(MFA)、N−ホルミルモルホリン、N,N−ジイソプロピルホルムアミド、特に、本発明では、フィルスマイヤー試薬として、オキシ塩化リンと、溶媒としても使用できるDMFとの組み合わせが好適に用いられる。
さらに、フィルスマイヤー試薬の使用量に関して、一般式(16)で表されるトリフェニルアミン誘導体1モルに対して、1〜20モル量の範囲内の値とすることが好ましく、2〜10モル量の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、フィルスマイヤー法における、一般式(16)で表されるトリフェニルアミン誘導体のホルミル化の反応条件に関して、通常130℃以下の温度で行い、反応時間を5〜120分の範囲内の値とすることが好ましい。
次いで、反応式(3)を実施する上で、原材料となる一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体の合成方法について、反応式(4)に沿って説明する。
すなわち、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体は、下記反応式(4)に示すように、一般式(17)および(18)で表されるアニリン誘導体を原料として、アセチル化、および脱アセチル化を含んだ、第1´工程〜第3´工程で合成することが好ましい。
なお、反応式(4)中のR2〜R7、R9〜R14、bおよびdは、反応式(1)中のR2〜R7、R9〜R14、bおよびdと同様の内容である。
第1´工程は、一般式(17)および(18)で表されるアニリン誘導体と、式(19)で表される無水酢酸とを反応させて、一般式(20)および(21)で表されるアセチル化アニリン誘導体を合成する工程である。
この理由は、かかるアニリン誘導体と、無水酢酸との添加割合が、1:1未満の値になると、目的物であるアセチル化アニリン誘導体の生成量が低下する場合があるためである。一方、かかるアニリン誘導体と、無水酢酸との添加割合が1:10を超えると、過剰な無水酢酸が残留するためである。
この理由は、このような反応条件であれば、比較的簡易な製造設備を用いて、所望の反応を効率的に実施できるためである。
第2´工程は、一般式(20)および(21)で表されるアセチル化アニリン誘導体と、一般式(22)で表されるヨードベンゼン誘導体とを反応させて、一般式(23)で表されるアセチル化ジフェニルアミン誘導体を合成する工程である。
この理由は、かかるアセチル化アニリン誘導体と、ヨードベンゼン誘導体との添加割合が、2:1未満の値になると、過剰なヨードベンゼンが残留するため、目的物であるアセチル化ジフェニルアミン誘導体の生成が困難になる場合があるためである。一方、かかるアセチル化アニリン誘導体と、ヨードベンゼン誘導体との添加割合が5:1を超えると、目的物であるアセチル化ジフェニルアミン誘導体の生成量が低下する場合があるためである。
なお、一般式(20)および(21)で表されるアセチル化アニリン誘導体の添加割合をモル比で約1:1の値にすることが好ましい。
この理由は、このような反応条件であれば、比較的簡易な製造設備を用いて、所望の反応を効率的に実施できるためである。
第3´工程は、一般式(23)で表されるアセチル化ジフェニルアミン誘導体を、脱アセチル化させて一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体を合成する工程である。
ここで、かかる触媒の添加量を、一般式(23)で表されるアセチル化ジフェニルアミン誘導体1モルに対して、2〜10の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる触媒の添加量が2モル未満の値となると、一般式(23)で表されるアセチル化ジフェニルアミン誘導体の脱アセチル化が著しく低下する場合があるためである。一方、かかる試薬の添加量が10モルを超えると、一般式(23)で表されるアセチル化ジフェニルアミン誘導体と脱アセチル化を制御することが著しく困難になる場合があるためである。
また、一般式(23)で表されるアセチル化ジフェニルアミン誘導体を脱アセチル化するにあたり、反応温度を、通常0〜150℃の範囲内の値とするとともに、反応時間を1〜10時間の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような反応条件であれば、比較的簡易な製造設備を用いて、所望の反応を効率的に実施できるためである。
また、反応式(3)を実施するうえで、原料となる一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体の製造方法を反応式(5)に沿って詳細に説明する。なお、反応式(5)は、上述した反応式(4)で示される一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体の合成方法とは異なった製造方法である。
すなわち、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体は、下記反応式(5)に示されるように、一般式(24)で表されるジフェニルアニリン誘導体を原料として、アセチル化、およびウィッティヒ(Wittig)法を含んだ第1″工程〜第3″工程で合成することが好ましい。
なお、反応式(5)中のR2〜R7、R9〜R14、bおよびdは、反応式(1)中のR2〜R7、R9〜R14、bおよびdと同様の内容である。
第1″工程は、一般式(24)で表されるジフェニルアニリン誘導体と、式(19)で表される無水酢酸とを反応させて、一般式(25)で表されるアセチル化ジフェニルアニリン誘導体を合成する工程である。
また第1″工程において、一般式(24)で表されるジフェニルアニリン誘導体と、式(19)で表される無水酢酸の添加割合を、モル比で1:2〜1:20の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるジフェニルアニリン誘導体と、無水酢酸との添加割合が、1:2未満の値になると、目的物であるアセチル化ジフェニルアニリン誘導体の生成量が低下する場合があるためである。一方、かかるジフェニルアニリン誘導体と、無水酢酸との添加割合が1:20を超えると、過剰な無水酢酸が残留するためである。
この理由は、このような反応条件であれば、比較的簡易な製造設備を用いて、所望の反応を効率的に実施できるためである。
第2″工程は、一般式(25)で表されるアセチル化ジフェニルアニリン誘導体と、一般式(26)および(27)で表されるヨードベンゼン誘導体とを反応させて、一般式(23)で表されるアセチル化ジフェニルアニリン誘導体を合成する工程である。
また第2″工程において、一般式(25)で表されるアセチル化ジフェニルアニリン誘導体と、一般式(26)および(27)で表されるヨードベンゼン誘導体(合計量)との添加割合を、モル比で1:2〜1:5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアセチル化ジフェニルアニリン誘導体と、ヨードベンゼン誘導体との添加割合が、1:2未満の値になると、目的物であるアセチル化ジフェニルアミン誘導体の生成量が低下する場合があるためである。一方、かかるアセチル化ジフェニルアニリン誘導体と、ヨードベンゼン誘導体との添加割合が1:5を超えると、過剰なヨードベンゼンが残留するため、目的物であるアセチル化ジフェニルアミン誘導体の生成が困難になる場合があるためである。
なお、一般式(26)および(27)で表されるヨードベンゼン誘導体の添加割合をモル比で約1:1の値にすることが好ましい。
また、一般式(25)で表されるアセチル化ジフェニルアニリン誘導体と、一般式(26)および(27)で表されるヨードベンゼン誘導体とを反応させるにあたり、反応温度を、通常160〜220℃の範囲内の値とするとともに、反応時間を4〜30時間の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような反応条件であれば、比較的簡易な製造設備を用いて、所望の反応を効率的に実施できるためである。
第3″工程は、一般式(23)で表されるアセチル化ジフェニルアミン誘導体を、脱アセチル化させて一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体を合成する工程であり、反応式(4)の第3´工程に準じて行うことが好ましい。
第3の実施形態は、第2の実施形態の反応式(1)で示されるアミンスチルベン誘導体の製造方法とは異なるアミンスチルベン誘導体の製造方法である。
すなわち、下記反応式(2)に示すように、下記一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(6)および(7)で表されるヨードベンゼン誘導体とを、エーテル類、ハロゲン化炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒中において、塩基および銅触媒の組み合わせを含む触媒の存在下に反応させて、一般式(1)で表されるアミンスチルベン誘導体を得ることを特徴とするアミンスチルベン誘導体の製造方法である。
また、反応式(2)中の、A〜D、R1〜R14およびa〜dは特に断りがない限り、第1の実施形態において説明した一般式(1)中のA〜D、R1〜R14およびa〜dと同様の内容である。
なお、下記に示すように、反応式(2)において、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(6´)および(7´)で表されるヨードベンゼン誘導体とを、エーテル類、ハロゲン化炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒中において、塩基および銅触媒の組み合わせを含む触媒の存在下に反応させて、一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体を得る反応を反応式(2´)として言及する場合があるが、反応条件等については、全く同様の内容とすることができる。
まず、反応式(2)を実施するための反応条件について詳細に説明する。
すなわち、一般式(1)で表されるアミンスチルベン誘導体は、上述した反応式(2)に示すように合成することが好ましい。
また、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(6)および(7)で表されるヨードベンゼン誘導体との反応は、通常160〜260℃で行うことが好ましく、その反応時間を4〜30時間の範囲内の値とすることが好ましい。
また、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(6)および(7)で表されるヨードベンゼン誘導体との反応に使用する好適な溶媒としては、当該反応に影響を及ぼさないものであれば良いが、例えば、ジオキサン等のエーテル類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロホルムのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素等、高沸点溶媒が挙げられる。
また、かかる反応に使用する触媒としては、例えば、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、水酸化カリウム(KOH)等の塩基、銅(Cu)、ヨウ化銅(CuI)等の銅系触媒の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
ここで、かかる触媒の添加量を、ジフェニルアミン誘導体1モルに対して、0.1〜30モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる触媒の添加量を、ジフェニルアミン誘導体1モルに対して、0.1モル未満の値になると、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(6)および(7)で表されるヨードベンゼン誘導体と、の間の反応性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる触媒の添加量が30モルを超えると、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(6)および(7)で表されるヨードベンゼン誘導体と、の間の反応を制御することが著しく困難になる場合があるためである。
なお、かかる触媒の添加量は、触媒の種類を考慮して決めるのがより好ましい。より具体的には、かかる触媒が塩基の場合は、ジフェニルアミン誘導体1モルに対して2〜20モルの範囲内の値とすることがより好ましく、銅系触媒の場合は、ジフェニルアミン誘導体1モルに対して0.2〜10モルの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(6)および(7)で表されるヨードベンゼン誘導体(合計量)との添加割合を、モル比で1:2〜1:5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるジフェニルアミン誘導体と、ヨードベンゼンド誘導体との添加割合が、1:2未満の値になると、中間体が生成しやすくなり、ジフェニルアミン誘導体と、ヨードベンゼン誘導体とが、適切に対応して反応することが困難になる場合があるためである。また、かかる添加割合が、1:5を超えると、未反応のヨードベンゼン誘導体が多く残留し、精製を困難にする場合があるためである。
したがって、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(6)および(7)で表されるヨードベンゼン誘導体(合計量)と、の添加割合を、モル比で1:2〜1:5の範囲内の値とすることが好ましい。
次いで、反応式(2)を実施するうえで、原材料となる一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体は、第2の実施形態で記した、反応式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体の合成方法に準じて行うことが好ましい。
次いで,反応式(2)を実施するうえで、原料となる一般式(6)および(7)で表されるヨードベンゼン誘導体の合成方法を詳細に説明する。
すなわち、一般式(6)で表されるヨードベンゼン誘導体は、下記反応式(6)に示すように、一般式(28)で表されるホルミル化ヨードベンゼン誘導体と、一般式(3)で表されるリンイリド誘導体をウィッティヒ(Wittig)反応させて合成することが好ましい。
なお、反応式(6)中のA、B、R1およびaは、反応式(1)中のA、B、R1およびaと同様の内容である。
また、一般式(28)で表されるホルミル化ヨードベンゼン誘導体と、一般式(3)で表されるリンイリド誘導体との反応は、通常−20〜30℃で行うことが好ましく、その反応時間を10〜1800分間の範囲内の値とすることが好ましい。
また、一般式(28)で表されるホルミル化ヨードベンゼン誘導体と、一般式(3)で表されるリンイリド誘導体との反応に使用する好適な溶媒としては、第2の実施形態で記したウィッティヒ法で使用した溶媒と同様のものが好ましい。
また、かかる反応に使用する触媒としては、第2の実施形態で記したウィッティヒ法で用いた触媒と同様のものが好ましい。
ここで、かかる触媒の添加量を、一般式(28)で表されるホルミル化ヨードベンゼン誘導体1モルに対して、1〜2.5モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる触媒の添加量が1モル未満の値となると、一般式(28)で表されるホルミル化ヨードベンゼン誘導体と、一般式(3)で表されるリンイリド誘導体と、の間の反応性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる触媒の添加量が2.5モルを超えると、一般式(28)で表されるホルミル化ヨードベンゼン誘導体と、一般式(3)で表されるリンイリド誘導体と、の間の反応を制御することが著しく困難になる場合があるためである。
また、一般式(28)で表されるホルミル化ヨードベンゼン誘導体と、一般式(3)で表されるリンイリド誘導体との添加割合を、モル比で1:1〜1:2.5の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるホルミル化ヨードベンゼン誘導体と、リンイリド誘導体との添加割合が、1:1未満の値になると、中間体が生成しやすくなり、ホルミル化ヨードベンゼン誘導体と、リンイリド誘導体とが、適切に対応して反応することが困難になる場合があるためである。また、かかる添加割合が、1:2.5を超えると、未反応のホルミル化ヨードベンゼン誘導体が多く残留し、精製を困難にする場合があるためである。
したがって、一般式(28)で表されるホルミル化ヨードベンゼン誘導体と、一般式(3)で表されるリンイリド誘導体と、の添加割合を、モル比で1:1〜1:2.5の範囲内の値とすることが好ましい。
なお、C、D、R8、およびcは、第1の実施形態において説明した一般式(1)の内容と同様である。
第4の実施形態は、導電性基体上に感光体層を設けた電子写真感光体であって、感光体層に、一般式(1)あるいは一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
ここで、電子写真感光体には、主として単層型感光体と積層型感光体とがあるが、本発明のアミンスチルベン誘導体は、いずれのタイプにも適用可能である。
ただし、特に正負いずれの帯電型感光体に使用できること、構造が簡単であって、製造が容易であること、感光体層を形成する際の被膜欠陥を効果的に抑制できること、層間の界面が少なく、光学的特性を向上させやすい等の理由から、単層型感光体に適用することが好ましい。
(1) 基本的構成
図3(a)に示すように、単層型感光体10は、導電性基体12上に単一の感光体層14を設けたものである。
この感光体層は、例えば、一般式(1)あるいは一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体(正孔輸送剤)と、電荷発生剤と、結着樹脂と、さらに必要に応じて電子輸送剤を適当な溶媒に溶解または分散させ、得られた塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。かかる単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単であって、生産性に優れているという特徴がある。
さらに、単層型感光体の感光体層に、電子輸送剤を含有させる場合には、電荷発生剤と正孔輸送剤との電子の授受が効率よく行われるようになり、感度等がより安定する傾向が見られる。
(2)−1 種類
本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤としては、無金属フタロシアニン(τ型またはX型)、チタニルフタロシアニン(α型またはY型)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型)、およびクロロガリウムフタロシアニン(II型)からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の種類を特定することにより、正孔輸送剤および電子輸送剤を併用した場合に、感度特性、電気特性および安定性等がより優れた電子写真感光体を提供することができるためである。
これらの電荷発生剤のうち、具体的に、下記式(29)〜(32)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜CGM−D)を使用することがより好ましい。
一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を備えた静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置に使用する場合には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えばペリレン系顔料やビスアゾ顔料等が好適に用いられる。
この理由は、かかる電荷発生剤(CGM−B)と分散補助剤(C.IPigmentOrange16)をあわせて用いることにより、塗工溶液中でのCGM−Bの分散性を向上させ、塗工溶液のポットライフを長くすることができるためである。
なお、式(33)で表される分散補助剤を使用する場合、その添加量を、全電荷発生剤100重量部に対して、30〜200重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる分散補助剤の添加量が30重量部未満の値になると、CGM−Bの塗工溶液中での分散性が不十分になり、感光体として適正な膜が製造されないためである。一方、かかる分散補助剤が200重量部を超えると、かかる電荷発生剤の量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度特性、電気特性、および安定性等を向上させることができなくなるためである。
本発明の電子写真感光体においては、正孔輸送剤である本発明のアミンスチルベン誘導体とともに、従来公知の他の正孔輸送剤を感光体層に含有させることも好ましい。
このような正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を有する種々の化合物、例えば下記一般式(34)〜(47)で表される化合物等(HTM−1〜HTM−13)があげられる。
(4)−1 種類
電子輸送剤の種類としては、キノン誘導体を含むことが好ましい。例えば、ナフトキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、アゾキノン誘導体等が挙げられる。
この理由は、電子輸送剤として、特定の化合物を使用することにより、電子受容性に優れており、また電荷発生剤との相溶性が優れていることから、感度特性や耐久性に優れた電子写真感光体を提供することができるためである。
また、電子輸送剤の具体例として、下記式(48)〜(50)で表される化合物(ETM−A〜ETM−C)が挙げられる。
また、これらの電子輸送剤のうち、電界強度が5×105v/cmにおける電子移動度が1.0×10-8cm2/V/sec以上である化合物がより好ましい。
(5)−1 種類
電荷発生剤等を分散させるための結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールZ型、ビスフェノールZC型、ビスフェノールC型、ビスフェノールA型等のポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが使用可能である。
また、感光体層には、上記各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光体層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用しても良い。
本発明の電子写真感光体が単層型の感光体である場合、電荷発生剤は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合すれば良い。また、本発明の一般式(1)あるいは一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体(正孔輸送剤)は、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好ましくは30〜200重量部の割合で配合すれば良い。電子輸送剤を含有させる場合、電子輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部とするのが適当である。
また、本発明の電子写真感光体が積層型の感光体である場合、電荷発生層を構成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用することができるが、結着樹脂100重量部に対して電荷発生剤を5〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部の割合で配合するのが適当である。さらに、電荷発生層に正孔輸送剤を含有させる場合は、正孔輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して10〜500重量部、好ましくは50〜200重量部とするのが適当である。
また、単層型感光体における感光体層の厚さは5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。そして、このような感光体層が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光体層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用しても良い。
図4(a)に示すように、積層型感光体20は、導電性基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、一般式(1)で表されるアミンスチルベン誘導体(正孔輸送剤)の少なくとも1種と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作製される。
また、上記構造とは逆に、図4(b)に示すように、導電性基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成している感光体20´でもよい。
ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図4(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
なお、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、結着剤等については、単層型感光体と同様の内容とすることができる。
また、積層型感光体は、上記電荷発生層および電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。例えば、上記のように、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した場合において、電荷輸送層における電荷輸送剤として、本発明のアミンスチルベン誘導体のような正孔輸送剤を使用した場合には、感光体は負帯電型となる。この場合、電荷発生層には電子輸送剤を含有させても良い。
なお、積層型感光体における感光体層の厚さは、電荷発生層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは5〜50μm程度である。
1.アミンスチルベン誘導体の合成
(1) アセチル化アニリン誘導体の合成
下式(52)で表されるアセチル化アニリン誘導体の合成を、下記の反応式(7)に沿って実施した。
すなわち、容量1000mlの2つ口フラスコに無水酢酸150g(1.47mol)を加え、0℃に冷却した後、式(51)で表されるアニリン誘導体165g(1.22mol)を加え、0℃で30分間撹拌した。次いで、得られた反応液をろ過処理して、固体状物を得た。得られた固体状物をクロロホルムに溶解した後、反応液をイオン交換水にて3回洗浄した。その後、有機層に無水酢酸ナトリウム、および活性白土を加え、乾燥および吸着処理をして、クロロホルムを減圧留去した。得られた反応液をクロロホルム/へキサン溶液にて晶析させた後、ろ過処理をおこなった。得られた固体状物を乾燥させて、式(52)で表されるアセチル化アニリン誘導体200.3gを得た(収率92.6%)。
次いで、式(54)で表されるアセチル化ジフェニルアミン誘導体の合成を、下記の反応式(8)に沿って実施した。
すなわち、容量1000mlのフラスコに、無水炭酸カリウム93.6g(0.677mol)、および銅粉末4.3g(0.067mol)を加え、減圧下で、2時間加熱して、均一になるまで撹拌した。次いで、式(52)で表されるアセチル化アニリン誘導体120g(0.677mol)と、式(53)で表されるヨードベンゼン誘導体115g(0.282mol)と、1,2,4−トリクロロベンゼン150mlを添加した後、240℃に加熱し、8時間反応させた。その後、室温まで冷却した後、500mlのクロロホルムを添加し、ろ過処理をした。得られた残査をクロロホルムで溶解し、活性白土を用いて乾燥させた。その後、クロロホルムを減圧留去させて、得られた固体状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)を用いて精製し、式(54)で表されるアセチル化ジフェニルアミン誘導体108.2gを得た(収率72.6%)。
次いで、下式(55)で表されるジフェニルアミン誘導体の合成を、下記反応式(9)に沿って実施した。
すなわち、容量1000mlのフラスコに、式(54)で表されるアセチル化ジフェニルアミン誘導体50g(0.099mol)と、ブタノール(BuOH)500mlと、ターシャリーブトキシカリウム(t−BuOK)26.7g(0.238mol)とを添加して、3時間還流を行い、室温まで冷却した。次いで、反応液のブタノールを留去した後、クロロホルムに溶解した。得られた反応液の有機層をイオン交換水にて3回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウム、および活性白土を加え、乾燥および吸着処理を行った後、クロロホルムを減圧留去させた。得られた反応液をクロロホルム/へキサン溶液にて晶析させた後、ろ過処理をおこなった。得られた固体状物を乾燥させて、式(55)で表されるジフェニルアミン誘導体39.3gを得た(収率84.3%)。
次いで、下式(57)で表されるトリフェニルアミン誘導体の合成を下記反応式(10)に沿って実施した。
すなわち、容量500mlのフラスコに、無水炭酸カリウム19.7g(0.143mol)、および粉末銅0.909g(0.0143mol)を加え、減圧下で、2時間加熱して、均一になるまで攪拌した。次いで、式(55)で表されるジフェニルアミン誘導体25g(0.0594mol)と、式(56)で表されるヨードベンゼン29.1g(0.143mol)と、1,2,4−トリクロロベンゼン30mlを添加した後、240℃に加熱し、8時間反応させた。その後、室温まで冷却した後、500mlのクロロホルムを添加し、ろ過処理をした。得られた残査をクロロホルムで溶解し、活性白土を用いて乾燥させた。その後、クロロホルムを減圧留去させて、得られた固体状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)を用いて精製し、式(57)で表されるトリフェニルアミン誘導体24.2gを得た(収率71.2%)。
次いで、下式(58)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体の合成を下記反応式(11)に沿って実施した。
すなわち、容量1000mlのフラスコ内に、式(57)で表されるトリフェニルアミン誘導体23g(0.0402mol)と、ジメチルホルムアミド(DMF)80mlと、ジメチルホルムアミド30mlに溶解させたオキシ塩化リン酸14.8g(0.0965mol)と、を加え、70℃、30分間の条件で、攪拌しながら反応させた。その後、反応液をイオン交換水400mlおよびトルエン200mlからなる混合物中に滴下し、トルエン層を得た。次いで、得られたトルエン層をイオン交換水にて洗浄を行った後、得られたトルエン層に無水硫酸ナトリウムおよび活性白土を加え、乾燥および吸着処理を行った。その後、トルエンを減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)を用いて精製し、式(58)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体20gを得た(収率79.3%)。
次いで、下式(60)で表されるリンイリド誘導体の合成を、下記反応式(12)に沿って実施した。
すなわち、容量1000mlのフラスコ内に、式(59)で表されるクロロメチルベンゼン150g(1.19mol)と、亜リン酸トリエチル237g(1.43mol)とを加えて、180℃で、8時間攪拌した。その後、室温まで冷却し、過剰な亜リン酸トリエチルを減圧留去し、式(60)で表されるリンイリド誘導体209gを得た(収率91.8%)。
次いで、下式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体の合成を、下記反応式(13)に沿って、実施した。
すなわち、容量500mlの二口フラスコ内の温度を0℃に保持した状態で、式(60)で表されるリンイリド誘導体15.1g(0.066mol)を加え、アルゴン置換を行った。ついで、乾燥済みのTHF100mlと、28%NaOMe12.7g(0.066mol)とを添加した後、30分間攪拌した。次いで、乾燥済みのTHF100mlに溶解した式(58)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体17.3g(0.0275mol)を添加した後、室温で、12時間攪拌しながら反応させた。その後、反応液をイオン交換水に注ぎ、トルエンを用いて抽出した後、得られた有機層に対して、イオン交換水を用いて5回洗浄を行った。さらに、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)にて精製し、式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体15.3gを得た(71.6%)。
(1) 初期表面電位および残留電位の測定
得られたアミンスチルベン誘導体を正孔輸送剤として、単層型の電子写真感光体を作成して、初期表面電位および残留電位を測定した。すなわち、正孔輸送剤として、実施例1において得られた式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体(HTM−A)を80重量部と、電子輸送剤として、式(48)で表されるキノン化合物(ETM−A)を20重量部と、電荷発生剤として、式(29)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−A)を5重量部と、結着樹脂として、式(61)で表されるポリカーボネート樹脂共重合体(Resin−A)100重量部と、を溶媒としてのテトラヒドロフラン800重量部に対して添加した。次いで、ボールミルを用いて50時間混合分散して、単層型感光体層用の塗布液を作成した。得られた塗布液を、導電性基材(アルミニウム素管)上に、ディップコート法にて塗布し、100℃、30分間の条件で熱風乾燥して、膜厚25μmの単層型の電子写真感光体を得た。
得られた電子写真感光体における初期表面電位および感度特性を測定した。すなわち、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて、700Vになるように帯電させた状態で電位を測定し、初期表面電位(Vo)とした。次いで、ハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:1.5μJ/cm2)を感光体表面に照射した。照射後、330msec経過した後の電位を測定し、残留電位(Vr)とした。それぞれ得られた結果を表1に示す。
また、電子写真感光体の外観を目視にて観察し、下記基準に準じて結晶性評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
◎:結晶化が全く見られない。
○:結晶化はほとんど見られない。
△:わずかな結晶化が見られるが、実使用上の問題は無い。
×:顕著な結晶化が見られる。
実施例2および3においては、実施例1の塗布液中に、電子輸送剤として、式(48)で表されるキノン誘導体のかわりに、式(49)または(50)で表される電子輸送剤(ETM−B、C)をそれぞれ20重量部添加したほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を作成して、評価した。
実施例4〜6においては、実施例1〜3の塗布液中に、正孔輸送剤として、式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体のかわりに、式(9)で表されるアミンスチルベン誘導体(HTM−B)をそれぞれ80重量部添加したほかは、実施例1〜3と同様に電子写真感光体を作成して、評価した。
参考例7〜9においては、実施例1〜3の塗布液中に、正孔輸送剤として、式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体のかわりに、式(10)で表されるアミンスチルベン誘導体(HTM−C)をそれぞれ80重量部添加したほかは、実施例1〜3と同様に電子写真感光体を作成して、評価した。
実施例10〜12においては、実施例1〜3の塗布液中に、正孔輸送剤として、式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体のかわりに、式(11)で表されるアミンスチルベン誘導体(HTM−D)をそれぞれ80重量部添加したほかは、実施例1〜3と同様に電子写真感光体を作成して、評価した。
比較例1〜3においては、実施例1〜3で使用した式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体(HTM−A)の代わりに、下式(62)で表される正孔輸送剤(HTM−G)を用いたほかは、実施例1〜3と同様に電子写真感光体を作成したが、結晶化を生じため評価できなかった。
比較例4〜6においては、実施例1〜3で使用した式(4)で表されるアミンスチルベン誘導体(HTM−A)の代わりに、下式(63)で表される正孔輸送剤(HTM−H)を用いたほかは、実施例1〜3と同様に電子写真感光体を作成して、評価した。
1.アミンスチルベン誘導体の合成
実施例13は、式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体の合成方法であり、実施例1で示した式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体の合成方法とは異なる合成方法を使用した例である。
式(60)で表されるリンイリドの作成を、実施例1において記載した反応式(12)に沿って実施した。
次いで、下式(65)で表されるヨードベンゼン誘導体の合成を、下記反応式(14)に沿って実施した。
すなわち、容量500mlの二口フラスコ内の温度を0℃に保持した状態で、式(60)で表されるリンイリド誘導体30.0g(0.131mol)を加え、アルゴン置換を行った。次いで、乾燥済みのTHF100mlと、n−BuLi(ヘキサン溶液中で1.6mol/l)81.9ml(0.131mol)とを添加した後、30分間攪拌した。次いで、乾燥済みのTHF100mlに溶解した式(64)で表されるホルミル化ヨードベンゼン誘導体25.3g(0.109mol)を添加した後、室温で、12時間攪拌しながら反応させた。その後、反応液をイオン交換水に注ぎ、トルエンを用いて抽出した後、得られた有機層に対して、イオン交換水を用いて5回洗浄を行った。さらに、得られた有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥した後、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ヘキサン/クロロホルム溶媒)にて精製し、式(65)で表されるヨードベンゼン誘導体30.1gを得た(90.2%)。
次いで、下式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体の合成を、下記反応式(15)に沿って実施した。
すなわち、容量500mlのフラスコに、無水炭酸カリウム5.13g(0.0371mol)、および粉末銅0.236g(0.00371mol)を加え、減圧下で、2時間加熱して、均一になるまで攪拌した。次いで、式(55)で表されるジフェニルアミン誘導体6.5g(0.0155mol)と、式(65)で表されるヨードベンゼン誘導体11.4g(0.0371mol)と、1,2,4−トリクロロベンゼン30mlを添加した後、240℃に加熱し、8時間反応させた。その後、室温まで冷却した後、500mlのクロロホルムを添加し、ろ過処理をした。得られた残査をクロロホルムで溶解し、活性白土を用いて乾燥させた。その後、クロロホルムを減圧留去させて、得られた固体状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)を用いて精製し、式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体90.7gを得た(収率75.3%)。
なお、ここで得られた式(8)で表されるアミンスチルベン誘導体を正孔輸送剤として、実施例1と同様の方法で、電子写真感光体を作成して初期表面電位および残留電位を測定した。得られた結果は実施例1と同様の結果であった。したがって、実施例1で得られたアミンスチルベン誘導体と、実施例13で得られたアミンスチルベン誘導体とは、合成方法は異なっているが、同じ特性を有しているということがわかった。
実施例14〜16においては、実施例13と同様の製造方法に準じて得られた式(12)で表されるアミンスチルベン誘導体(HTM−E)を用い、さらに表1に示すように電子輸送剤の種類を変えたほかは、実施例1等と同様に電子写真感光体を作成して、評価した。
実施例17〜19においては、実施例13と同様の製造方法に準じて得られた式(13)で表されるアミンスチルベン誘導体(HTM−F)を用い、さらに表1に示すように電子輸送剤の種類を変えたほかは、実施例1等と同様に電子写真感光体を作成して、評価した。
また、本発明のアミンスチルベン誘導体の製造方法によれば、結着樹脂への相溶性と溶剤への溶解性が優れ、かつ高い電荷輸送剤能を有している一般式(1)あるいは一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体を高い収率で得ることができる。
さらに、本発明の電子写真感光体は、一般式(1)あるいは一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体を正孔輸送剤として用いることから、所定の感度特性や耐久性を有している。したがって、本発明の電子写真感光体は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置の高速化、高性能化等に寄与することが期待される。
12:導電性基体
14:感光体層
16:バリア層
18:保護層
20:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表されることを特徴とするアミンスチルベン誘導体。
(一般式(1)中、R 1 〜R 14 は、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基、あるいは、メチル基にて置換または非置換のアミノ基であり、繰り返し数a〜dはそれぞれ独立した0〜4の整数である。ただし、AおよびB、あるいはいずれか一方が、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、CおよびD、あるいはいずれか一方が、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、A、B、CおよびDのうちアリール基でないものは、水素原子であり、R 2 、R 6 、R 9 およびR 13 が、炭素数1〜10のアルキル基である。) - 前記一般式(1)で表されるアミンスチルベン誘導体が、下記一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載のアミンスチルベン誘導体。
(一般式(1´)中、A〜D、R1〜R14および繰り返し数a〜dは、前記一般式(1)の内容と同様である。) - 反応式(1)に示されるアミンスチルベン誘導体の製造方法であって、一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(3)および(4)で表されるリンイリド誘導体とを、エーテル類、ハロゲン化炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒中において、ナトリウムアルコキシド、金属水素化物および金属塩からなる群より選択される少なくとも一種の触媒の存在下に反応させて、一般式(1)で表されるアミンスチルベン誘導体を得ることを特徴とするアミンスチルベン誘導体の製造方法。
(反応式(1)中、R 1 〜R 14 は、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基、あるいは、メチル基にて置換または非置換のアミノ基であり、繰り返し数a〜dはそれぞれ独立した0〜4の整数である。ただし、AおよびB、あるいはいずれか一方が、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、CおよびD、あるいはいずれか一方が、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、A、B、CおよびDのうちアリール基でないものは、水素原子であり、R 2 、R 6 、R 9 およびR 13 が、炭素数1〜10のアルキル基である。) - 前記反応式(1)に示されるアミンスチルベン誘導体の製造方法が、反応式(1´)に示されるアミンスチルベン誘導体の製造方法であって、一般式(2´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(3)および(4)で表されるリンイリド誘導体とを、エーテル類、ハロゲン化炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒中において、ナトリウムアルコキシド、金属水素化物および金属塩からなる群より選択される少なくとも一種の触媒の存在下に反応させて、一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体を得ることを特徴とする請求項3に記載のアミンスチルベン誘導体の製造方法。
(反応式(1´)中、A〜D、R1〜R14および繰り返し数a〜dは、前記反応式(1)の内容と同様である。) - 反応式(2)に示されるアミンスチルベン誘導体の製造方法であって、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(6)および(7)で表されるヨードベンゼン誘導体とを、エーテル類、ハロゲン化炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒中において、塩基および銅触媒の組み合わせを含む触媒の存在下に反応させて、一般式(1)で表されるアミンスチルベン誘導体を得ることを特徴とするアミンスチルベン誘導体の製造方法。
(反応式(2)中、R 1 〜R 14 は、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基、あるいは、メチル基にて置換または非置換のアミノ基であり、繰り返し数a〜dはそれぞれ独立した0〜4の整数である。ただし、AおよびB、あるいはいずれか一方が、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、CおよびD、あるいはいずれか一方が、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、A、B、CおよびDのうちアリール基でないものは、水素原子であり、R 2 、R 6 、R 9 およびR 13 が、炭素数1〜10のアルキル基である。) - 前記反応式(2)に示されるアミンスチルベン誘導体の製造方法が、反応式(2´)に示されるアミンスチルベン誘導体の製造方法であって、一般式(5)で表されるジフェニルアミン誘導体と、一般式(6´)および(7´)で表されるヨードベンゼン誘導体とを、エーテル類、ハロゲン化炭化水素および芳香族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種の溶媒中において、塩基および銅触媒の組み合わせを含む触媒の存在下に反応させて、一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体を得ることを特徴とする請求項5に記載のアミンスチルベン誘導体の製造方法。
(反応式(2´)中、A〜D、R1〜R14および繰り返し数a〜dは、前記反応式(2)の内容と同様である。) - 導電性基体上に感光体層を設けた電子写真感光体であって、前記感光体層が、下記一般式(1)で表されるアミンスチルベン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
(一般式(1)中、R 1 〜R 14 は、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基、あるいは、メチル基にて置換または非置換のアミノ基であり、繰り返し数a〜dはそれぞれ独立した0〜4の整数である。ただし、AおよびB、あるいはいずれか一方が、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、CおよびD、あるいはいずれか一方が、メチル基にて置換または非置換の炭素数6〜20のアリール基であり、A、B、CおよびDのうちアリール基でないものは、水素原子であり、R 2 、R 6 、R 9 およびR 13 が、炭素数1〜10のアルキル基である。) - 前記感光体層が、前記一般式(1)で表されるアミンスチルベン誘導体として、下記一般式(1´)で表されるアミンスチルベン誘導体を含有することを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
(一般式(1´)中、A〜D、R1〜R14および繰り返し数a〜dは、前記一般式(1)の内容と同様である。) - 前記感光体層が、電荷発生剤および電子輸送剤をさらに含有した単層型であることを特徴とする請求項7または8に記載の電子写真感光体。
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