JP2005213183A - スチルベン誘導体、その製造方法、および電子写真感光体 - Google Patents

スチルベン誘導体、その製造方法、および電子写真感光体 Download PDF

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Abstract

【課題】 スチルベン誘導体の分子内にジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有することにより、結晶化しずらく、結着樹脂との相溶性が優れており、初期のみならず長時間にわたって所定感度を有するスチルベン誘導体、その製造方法、およびスチルベン誘導体を含有した電子写真感光体を提供する。
【解決手段】 ジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体、その製造方法、およびスチルベン誘導体を含有した電子写真感光体であって、下記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を対象とする。
【化1】
Figure 2005213183

(一般式(1)中、R1、R2、R4〜R10、R12〜R16は、それぞれ独立した炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基等であり、R3およびR11は炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、または炭素数14〜30の置換または非置換のジフェニルエテニル基等であり、繰り返し数Aは2〜6の整数である。)
【選択図】 図1








Description

本発明は、スチルベン誘導体、その製造方法、および電子写真感光体に関し、特に、分子内にジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体、その製造方法、およびそのようなスチルベン誘導体を含有した電子写真感光体に関する。
従来、画像形成装置等の電子写真感光体として、電荷輸送剤(正孔輸送剤、電子輸送剤)、電荷発生剤、および結着樹脂(バインダー樹脂)等の有機感光体材料からなる有機感光体が使用されている。かかる有機感光体は、従来の無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、感光体材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
このような有機感光体材料のうち、所定の電荷移動度を有する電荷輸送剤として、下記一般式(47)で表されるように、特定のトリフェニルアミン構造を、−(CH=CH)E−を介して、分子末端に二つ有するスチルベン化合物およびそれを用いた電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
Figure 2005213183
(一般式(47)中、R27、R28、R31、R32は、それぞれ独立した水素原子、アルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、またはアリール基であり、R29、およびR30は、それぞれ独立したアルキル基、アルコキシ基、またはアリール基であり、Eは1〜10の整数であり、F、G、H、I、JおよびKは1〜2の整数である。)
また、同様に、電荷輸送剤として、下記一般式(48)で表されるように、特定のトリフェニルアミン構造を、−(CH=CH)2−を介して、分子末端に2つ有するスチルベン化合物およびそれを用いた電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献2参照)。
Figure 2005213183
(一般式(48)中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4は置換または非置換のアリール基を表し、Ar5、Ar6は置換または非置換のアリーレン基を表す。)
特開平5−105646 (特許請求の範囲) 特開平3−94261号 (特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載されたスチルベン化合物は、結晶化しやすいばかりか、電荷移動度が不十分であるという問題が見られた。また、結着樹脂との相溶性が乏しく、電子写真感光体中に均一に分散されにくいため、使用中に、電荷移動が生じにくくなるという問題も見られた。
すなわち、開示されたスチルベン化合物は、いずれも、結晶化しやすく、電荷移動度が不十分であって、感度が低いばかりか、耐久性についても劣るという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、スチルベン誘導体において、分子末端に−(CH=CH)A−を介して、ジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造をそれぞれ導入することにより、結晶化しにくくなるとともに、長時間にわたって優れた感度を維持し、さらには結着樹脂との相溶性が優れているという事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、電子写真感光体等の電荷輸送剤として好適に用いることができるように、結晶化しにくく、感度が高く、かつ耐久性に優れたスチルベン誘導体、その製造方法、および、そのようなスチルベン誘導体を有する電子写真感光体を提供することにある。
本発明によれば、ジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体であって、下記一般式(1)で表されることを特徴とするスチルベン誘導体が提供され、上述した問題点を解決することができる。
Figure 2005213183
(一般式(1)中、R1、R2、R4〜R10、R12〜R16は、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜20の置換または非置換のアラルキル基であり、R3およびR11は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜20の置換または非置換のアラルキル基、または炭素数14〜30の置換または非置換のジフェニルエテニル基であり、繰り返し数Aは2〜6の整数である。)
本発明のスチルベン誘導体を構成するにあたり、一般式(1)中のR1、R2、R4、R5、R6、R9、R10、R12、R13およびR14の少なくとも一つが、水素原子または炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基であることが好ましい。
また、本発明のスチルベン誘導体を構成するにあたり、一般式(1)中のR3またはR11が、水素原子または炭素数14〜30の置換または非置換のジフェニルエテニル基であることが好ましい。
また、本発明の別の態様は、反応式(1)で表されるスチルベン誘導体の製造方法であって、一般式(2)および(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体とを、塩基の存在下に反応させて、一般式(1)で表されるジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体を得ることを特徴とするスチルベン誘導体の製造方法である。
Figure 2005213183
(反応式(1)中のR1、R2、R4〜R10、R12〜R16、R3、R11およびA、は、それぞれ一般式(1)中のR1、R2、R4〜R10、R12〜R16、R3、R11およびA、の内容と同様であり、繰り返し数Bは0〜4の整数である。)
また、本発明のスチルベン誘導体の製造方法を実施するにあたり、一般式(2)および一般式(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体として、下記一般式(11a)および一般式(11b)で表されるアニリン誘導体をそれぞれ原料とした、二段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法およびウィッチヒ(Wittig)反応により得られたホルミル化トリフェニルアミン誘導体を使用することが好ましい。
Figure 2005213183
(一般式(11a)および一般式(11b)中のR1、R2、R3、R9、R10およびR11は、それぞれ反応式(1)中のR1、R2、R3、R9、R10およびR11と同様の内容である。)
また、本発明の別の態様は、導電性基体上に感光体層を設けた電子写真感光体であって、当該感光体層が、下記一般式(1)で表されるジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
Figure 2005213183
(一般式(1)中のR1、R2、R4〜R10、R12〜R16、R3、R11およびAは、それぞれ上述した内容と同様である。)
また、本発明の電子写真感光を構成するにあたり、感光体層が、電荷発生剤および電子輸送剤をさらに含有した単層型であることが好ましい。
本発明によれば、一般式(1)で表されるように分子内の所定箇所に、ジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有することにより、結晶化しにくくなるとともに、長時間にわたって優れた感度を維持し、さらには結着樹脂との相溶性が優れているスチルベン誘導体を提供することができる。
すなわち、かかるスチルベン誘導体は、分子末端のフェニルの所定位置にジフェニルエテニル基を有するトリフェニルアミン構造を有することにより、分子量が比較的大きいにもかかわらず、ジフェニルエテニル基における立体障害により、結着樹脂との相溶性が高くなり、かつ電荷移動度が大きいという特徴がある。
また、かかるスチルベン誘導体は、分子内の中心箇所に、−(CH=CH)A−を有することにより、分子内共役を広げることができ、その結果、安定性や耐久性を向上させるとともに、さらに長時間にわたって優れた感度を示すことができる。
したがって、かかるスチルベン誘導体を電子写真感光体の電荷輸送剤(正孔輸送剤)として使用した場合には、結晶化しにくいとともに、均一な厚さの成膜が可能になって、長時間にわたって優れた感度を有する電子写真感光体を提供することができる。
また、本発明のスチルベン誘導体によれば、一般式(1)中のR1、R2、R4、R5、R6、R9、R10、R12、R13およびR14の少なくとも一つが、水素原子または炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基であることにより、所定構造を有するスチルベン誘導体の製造が容易になり、かかるスチルベン誘導体を安定して得ることができる。
また、本発明のスチルベン誘導体によれば、一般式(1)中のR3またはR11が、水素原子または炭素数14〜30の置換または非置換のジフェニルエテニル基であることにより、さらに結晶化しにくくなるとともに、長時間にわたって優れた感度を維持し、さらには結着樹脂との相溶性が優れているスチルベン誘導体を提供することができる。
また、本発明のスチルベン誘導体の製造方法によれば、所定構造のホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、所定構造のジリン酸エステル誘導体とを、塩基の存在下に反応させることにより、一般式(1)で表されるジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体を効率的に得ることができる。
また、本発明のスチルベン誘導体の製造方法によれば、一般式(2)または(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体として、所定のアニリン誘導体を原料とするとともに、二段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法およびウィッチヒ(Wittig)反応により得られた化合物を使用することにより、所定構造のホルミル化トリフェニルアミン誘導体が効率的に得られ、結果として、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体をさらに効率的に得ることができる。
また、本発明の電子写真感光体によれば、一般式(1)で表されるジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体を含有することにより、結晶化しずらいばかりか、電荷移動度が大きく、かつ、長時間にわたって優れた感度を維持できる電子写真感光体を提供することができる。
また、本発明の電子写真感光体によれば、一般式(1)で表されるジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体を含有した単層型の感光体とすることにより、構成や製造が容易であるにもかかわらず、長時間にわたって優れた感度を維持できる電子写真感光体を得ることができる。
以下、本発明のスチルベン誘導体、その製造方法、および、電子写真感光体に関する実施の形態を、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、ジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体であって、下記一般式(1)で表されることを特徴とするスチルベン誘導体である。なお、一般式(1)中のR1、R2、R4〜R10、R12〜R16、R3、R11およびAは、特に断りがない限り、上述した内容である。
Figure 2005213183
ここで、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体の好適例として、下記構造式(5)〜(10)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A〜F)を示す。
Figure 2005213183
Figure 2005213183
Figure 2005213183
Figure 2005213183
Figure 2005213183
Figure 2005213183
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、反応式(1)で表されるスチルベン誘導体の製造方法であって、一般式(2)および(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体とを、塩基の存在下に反応させて、一般式(1)で表されるジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体を得ることを特徴とするスチルベン誘導体の製造方法である。
なお、反応式(1)中のR1、R2、R4〜R10、R12〜R16、R3、R11およびA、Bは、特に断りがない限り、上述した内容である。
Figure 2005213183
1.一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体の作成
一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体は、下記反応式(2)に示すように、第1工程および第3工程としての二段階のフィルスマイヤー法と、第2工程としてのウィッチヒ反応とを用いて、作成することが好ましい。
なお、反応式(2)中のR1、R2、R4〜R8およびR3は、反応式(1)中のR1、R2、R4〜R8およびR3の内容と同様である。
Figure 2005213183
(1)第1工程
まず、一般式(11a)で表されるアニリン誘導体を原料として、それに一般式(12)および(13)で表される二種類のヨードベンゼン誘導体と、を反応させて、一般式(14)で表されるトリフェニルアミン誘導体を得た後、第一段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法によりホルミル化して、一般式(15)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体を作成する。
なお、一般式(14)で表されるトリフェニルアミン誘導体の作成にあたり、一般式(11a)で表されるアニリン誘導体を構成するアミノ基の一つの水素をアセチル基で置換することが好ましい。すなわち、アセチル基でアニリン誘導体の一部を保護した後、一種類のヨードベンゼン誘導体と反応させる。次いで、得られたアセチル化ジフェニールアミン誘導体のアセチル基をはずすと同時に水素を付与し、さらに、もう一種類のヨードベンゼン誘導体と反応させることが好ましい。
ここで、一般式(14)で表されるトリフェニルアミン誘導体を作成するにあたり、一般式(11a)で表されるアニリン誘導体と、一般式(12)および(13)で表される2種類のヨードベンゼン誘導体(合計量)との添加割合を、モル比で1:2.0〜1:6の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアニリン誘導体と、2種類のヨードベンゼン誘導体との添加割合が、1:2.0未満の値になると、目的物であるトリフェニルアミン誘導体の生成量が低下する場合があるためである。一方、かかるアニリン誘導体と、2種類のヨードベンゼン誘導体との添加割合が、1:6を超えると、未反応のヨードベンゼン誘導体が多く残留するため、目的物であるトリフェニルアミン誘導体の精製が困難になる場合があるためである。
なお、一般式(12)および(13)で表されるヨードベンゼン誘導体の添加割合をモル比で約1:1の値にすることが好ましい。
また、一般式(11a)で表されるアニリン誘導体と、一般式(12)および(13)で表される2種類のヨードベンゼンとを反応させるにあたり、反応温度を、通常160〜220℃の範囲内の値とするとともに、反応温度を4〜30時間の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような反応条件であれば、比較的簡易な製造設備を用いて、所望の反応を効率的に実施できるためである。
さらに、フィルスマイヤー法に使用するフィルスマイヤー試薬(Vilsmeier試薬)としては、以下の化合物(i)および(ii)の組合せであることが好ましい。
(i)オキシ塩化リン、ホスゲン、塩化オキサリル、塩化チオニル、トリフェニルホスフィン−臭素、ヘキサクロロトリホスファザトリエン等のハロゲン化剤
(ii)N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルホルムアニリド(MFA)、N−ホルミルモルホリン、N,N−ジイソプロピルホルムアミド
特に、本発明では、フィルスマイヤー試薬として、オキシ塩化リンと、溶媒としても使用できるDMFとの組み合わせが好適に用いられる。
さらに、触媒量の塩化亜鉛等を添加することにより、フィルスマイヤー法を促進させることができる。
また、フィルスマイヤー試薬の調製において、化合物(i)と(ii)との使用割合は、通常モル比で、1:1〜1:20の範囲内の値とすることが好ましく、1:1〜1:5の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、フィルスマイヤー試薬の使用量に関して、一般式(14)で表されるトリフェニルアミン誘導体1モルに対して、0.9〜2倍モル量の範囲内の値とすることが好ましく、1〜1.1倍モル量の範囲内の値とすることがより好ましい。
さらに、フィルスマイヤー法における、トリフェニルアミン誘導体のホルミル化の反応条件に関して、通常130℃以下の温度で行い、反応時間を2〜5時間の範囲内の値とすることが好ましい。
なお、第二段階のフィルスマイヤー法の実施にあたっても、第一段階のフィルスマイヤー法の条件に準じて実施することができる。
(2)第2工程
次いで、ウィッチヒ(Wittig)反応により、一般式(17)で表されるトリフェニルアミン誘導体を作成する。すなわち、一般式(15)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(16)で表されるジフェニルエテニル基を有するリンイリドと、触媒としてのNaOMe等の存在化に反応させるものである。
ここで、一般式(15)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(16)で表されるジフェニルエテニル基を有するリンイリドとの添加割合を、モル比で1:1〜1:3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、ジフェニルエテニル基を有するリンイリドとの添加割合が、1:1未満の値になると、一般式(17)で表されるトリフェニルアミン誘導体の生成量が低下する場合があるためである。一方、かかるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、ジフェニルエテニル基を有するリンイリドとの添加割合が、1:3を超えると、未反応のスチリル誘導体が多く残留するため、一般式(17)で表されるトリフェニルアミン誘導体の精製が困難になる場合があるためである。
したがって、一般式(15)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(16)で表されるジフェニルエテニル基を有するリンイリドとの添加割合を、モル比で1:1.2〜1:2の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、一般式(15)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(16)で表されるジフェニルエテニル基を有するリンイリドとを反応させるにあたり、反応温度を、通常−20〜25℃の範囲内の値とするとともに、反応温度を1〜30時間の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような反応条件であれば、比較的簡易な製造設備を用いて、所望の反応を効率的に実施できるためである。
なお、ウィッチヒ法で使用する試薬としては、例えば、n−ブチルリチウム、ナトリウムメトキシドやナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシド、水素化ナトリウムや水素化カリウム等の金属水素化物等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
(3)第3工程
次いで、一般式(17)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、第二段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法によりホルミル化して、一般式(2)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体を得る。
なお、第3工程における第二段階のフィルスマイヤー法の反応条件等については、第1工程における第一段階のフィルスマイヤー法に準じて行うことが好ましい。
2.一般式(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体の作成
また、一般式(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体についても、反応式(2)で示したR1をR9、R2をR10、R3をR11、R4をR12、R5をR13、R6をR14、R7をR15、R8をR16に置き換えて、反応式(2)と同様の方法で製造して得ることができる。
なお、反応式(2)中のR9、R10、R12〜R16およびR11は、反応式(1)の内容と同様であって、既に上述した内容である。
3.ジリスリン酸エステル誘導体
一般式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体は、下記反応式(3)に示すように、作成することが好ましい。
Figure 2005213183
(反応式(3)中の繰り返し数Bは、反応式(1)の内容と同様であって、既に上述した内容である。)
ここで、かかるジリン酸エステル誘導体の作成反応を実施するにあたり、例えば、一般式(18)で表されるジクロロエチレン誘導体に対して、亜リン酸トリエチルを無溶媒または適当な溶媒中に添加して、反応させることが好ましい。この理由は、このように反応させることにより、反応式(1)の出発原料の一つであるジリン酸エステル誘導体(4)を高い収率で得ることができるためである。
また、かかる作成反応を生じさせるに際して、一般式(18)で表されるジクロロエチレン誘導体1モルに対して、亜リン酸トリエチルの使用割合を、少なくとも2倍モル当量とすることが好ましく、2.1〜4倍モル量の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、かかる反応温度を、通常80〜150℃の範囲内の値とし、反応時間を2〜10時間の範囲内の値とすることが好ましい。
また、かかるジリン酸エステル誘導体を作成する際に用いる溶媒としては、作成反応に影響を及ぼさないものであれば良いが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド等が、好適例として挙げられる。
また、ジリン酸エステル誘導体を作成する際に、所定量の第三級アミンを添加することも好ましい。この理由は、第三級アミンによって、反応系からハロゲン化アルキルが除去されるため、ジリン酸エステル誘導体の作成反応を促進できるためである。好適な第三級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
4.反応条件
(1) 反応温度と反応時間
また、一般式(2)および一般式(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体との反応は、通常−40〜30℃で行うことが好ましく、その反応時間を1〜12時間の範囲内の値とすることが好ましい。
(2) 溶媒
一般式(2)および一般式(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体との反応に使用する好適な溶媒としては、当該反応に影響を及ぼさないものであれば良いが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
(3) 塩基
また、かかる反応に使用する塩基としては、ナトリウムメトキシドやナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシド、水素化ナトリウムや水素化カリウム等の金属水素化物が好適なものとして挙げられる。
ここで、かかる塩基の添加量を、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体1モルに対して、1.1〜2モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる塩基の添加量が1.1モル未満の値となると、一般式(2)および(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体と、の間の反応性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる塩基の添加量が2モルを超えると、一般式(2)および(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体と、の間の反応を制御することが著しく困難になる場合があるためである。
(4) 添加割合
一般式(2)および一般式(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体(合計量)と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体と、の間の反応を実施するにあたり、かかる添加割合を、モル比で2:1〜6:1の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、ジリン酸エステル誘導体との添加割合が、2:1未満の値になると、中間体が生成しやすくなり、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、ジリン酸エステル誘導体とが、適切に対応して反応することが困難になる場合があるためである。また、かかる添加割合が、6:1を超えると、未反応のホルミル化トリフェニルアミン誘導体が多く残留し、精製を困難にする場合があるためである。
したがって、一般式(2)および一般式(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体と、の添加割合を、モル比で2.2:1〜4:1の範囲内の値とすることが好ましい。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、反応式(1´)で表されるスチルベン誘導体の製造方法であって、一般式(2´)および一般式(3´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体とを、塩基の存在下に反応させて、一般式(1´)で表されるジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体を得ることを特徴とするスチルベン誘導体の製造方法である。
Figure 2005213183
(反応式(1´)中のR1、R2、R4〜R10、R12〜R16、R3、R11、およびA、Bは、反応式(1)の内容と同様であって、既に上述した内容であり、R17〜R20はそれぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜20の置換または非置換のアラルキル基である。)
1.一般式(2´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体の作成
また、一般式(2)中のR3が炭素数14〜30の置換または非置換のジフェニルエテニル基であるホルミル化トリフェニルアミン誘導体であるとき、すなわち、一般式(2´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体であるとき、下記反応式(2´)で示すように、第1´の工程および第3´の工程としての二段階のフィルスマイヤー法と、第2´の工程としてのウィッチヒ反応と、を用いて作成することが好ましい。
なお、反応式(2´)中のR1、R2、R4〜R8、およびR17、R18は、反応式(1´)中のR1、R2、R4〜R8、およびR17、R18の内容と同様である。
Figure 2005213183
(1)第1´の工程
一般式(11´)で表されるアニリン誘導体を原料として、それに一般式(12)および(13)で表される二種類のヨードベンゼン誘導体と、を反応させて、一般式(14´)で表されるトリフェニルアミン誘導体を得た後、第一段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法によりホルミル化して、一般式(15´)で表されるジホルミル化トリフェニルアミン誘導体を作成する。
また、第一段階のフィルスマイヤー法の反応条件等については、第1の実施の形態に準じて行うことが好ましいが、トリフェニルアミン誘導体を構成するベンゼン環の一つがホルミル化されると、もう一方のベンゼン環の反応性が著しく低下して、ホルミル化することが困難になる場合がある。したがって、そのような場合には、触媒量の塩化亜鉛等を添加して、フィルスマイヤー法を促進させることが好ましい。
なお、一般式(14´)で表されるトリフェニルアミン誘導体の作成にあたり、一般式(11´)で表されるアニリン誘導体と、一般式(12)および(13)で表されるヨードベンゼン誘導体と、を反応式(2)の第1工程と同様の方法で反応させることが好ましい。
(2)第2´の工程
次いで、ウィッチヒ反応により、一般式(17´)で表されるトリフェニルアミン誘導体を作成する。すなわち、一般式(15´)で表されるジホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(16)および一般式(16´)で表されるジフェニルエテニル基を有するリンイリドと、触媒としてのNaOMe等の存在化に反応させるものである。なお、反応式(2´)に示す例では、置換基が異なる二種類のリンイリド誘導体を用いている。
ここで、一般式(15´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(16)および一般式(16´)で表されるジフェニルエテニル基を有するリンイリド(合計量)との添加割合を、モル比で1:2〜1:6の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、複数のジフェニルエテニル基を有するリンイリドとの添加割合が、1:2未満の値になると、一般式(17´)で表されるトリフェニルアミン誘導体の生成量が低下する場合があるためである。一方、かかるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、複数のジフェニルエテニル基を有するリンイリドとの添加割合が、1:6を超えると、未反応のジフェニルエテニル誘導体が多く残留するため、一般式(17´)で表されるトリフェニルアミン誘導体の精製が困難になる場合があるためである。
したがって、一般式(15´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(16)および一般式(16´)で表されるジフェニルエテニル基を有するリンイリドの添加割合(合計量)を、モル比で1:2.2〜1:4の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、一般式(15´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(16)および一般式(16´)で表されるジフェニルエテニル基を有するリンイリドジフェニルエテニル誘導体と、を反応させるにあたり、反応温度を、通常50〜120℃の範囲内の値とするとともに、反時間を1〜30時間の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような反応条件であれば、比較的簡易な製造設備を用いて、所望の反応を効率的に実施できるためである。
(3)第3´の工程
次いで、一般式(17´)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、第二段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法によりホルミル化して、一般式(2´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体を得る。
なお、第二段階のフィルスマイヤー法の反応条件等については、第1の実施の形態に準じて行うことが好ましい。
2.一般式(3´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体の作成
また、一般式(3)中のR11が炭素数14〜30の置換または非置換のジフェニルエテニル基であるホルミル化トリフェニルアミン誘導体、すなわち、一般式(3´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体についても、反応式(2´)で示したR1をR9、R2をR10、R4をR12、R5をR13、R6をR14、R7をR15、R8をR16、R17をR19、R18をR20に置き換えて、上述したように反応式(2´)と同様の方法で製造して得ることができる。
なお、反応式(2´)中のR9、R10、R12〜R16およびR19、R20は、反応式(1´)の内容と同様である。
3.ジリン酸エステル誘導体
一般式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体は、第1の実施において説明した反応式(3)と同様の方法で作成することが好ましい。
4.反応条件
(1) 反応温度と反応時間
また、一般式(2´)および一般式(3´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジスリン酸エステル誘導体との反応は、第2の実施形態と同様に、−10〜30℃の反応温度において、反応時間を1〜12時間の範囲内の値とすることが好ましい。
(2) 溶媒
また、一般式(2´)および(3´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体との反応に使用する好適な溶媒としては、第2の実施形態と同様の内容とすることができる。
(3) 塩基
また、かかる反応に使用する塩基の種類や添加量としては、第2の実施形態と同様の内容とすることができる。
(4) 添加割合
また、一般式(2´)および一般式(3´)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体と、の間の反応を実施するにあたり、添加割合を、第2の実施形態と同様の内容とすることができる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、導電性基体上に感光体層を設けた電子写真感光体であって、感光体層に、一般式(1)で表されるジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体を含有する電子写真感光体である。
ここで、電子写真感光体には、主として単層型感光体と積層型感光体とがあるが、本発明のスチルベン誘導体は、いずれのタイプにも適用可能である。
ただし、特に正負いずれの帯電型感光体に使用できること、構造が簡単であって、製造が容易であること、感光体層を形成する際の被膜欠陥を効果的に抑制できること、層間の界面が少なく、光学的特性を向上させやすい等の理由から、単層型感光体に適用することが好ましい。
1.単層型感光体
(1) 基本的構成
図1(a)に示すように、単層型感光体10は、導電性基体12上に単一の感光体層14を設けたものである。
この感光体層は、例えば、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)と、電荷発生剤と、結着樹脂と、さらに必要に応じて電子輸送剤を適当な溶媒に溶解または分散させ、得られた塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。かかる単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単であって、生産性に優れているという特徴がある。
また、得られた単層型感光体は、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を含んでいることから、残留電位が低下しているとともに、所定感度を有しているという特徴がある。
さらに、単層型感光体の感光体層に、電子輸送剤を含有させる場合には、電荷発生剤と正孔輸送剤との電子の授受が効率よく行われるようになり、感度等がより安定する傾向が見られる。
(2)電荷発生剤
(2)−1 種類
本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤としては、無金属フタロシアニン(τ型またはX型)、チタニルフタロシアニン(α型またはY型)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型)、およびクロロガリウムフタロシアニン(II型)からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の種類を特定することにより、正孔輸送剤および電子輸送剤を併用した場合に、感度特性、電気特性および安定性等がより優れた電子写真感光体を提供することができるためである。
(2)−2 具体例
これらの電荷発生剤のうち、具体的に、下記式(19)〜(22)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜CGM−D)を使用することがより好ましい。
Figure 2005213183
Figure 2005213183
Figure 2005213183
Figure 2005213183
また、従来公知の電荷発生剤を単独使用したり、併用したりすることも好ましい。かかる電荷発生剤の種類としては、オキソチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電剤等の一種単独または二種以上の混合物が挙げられる。
また、上述した電荷発生剤のうち、特に半導体レーザ等の光源を備えたレーザビームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置に使用する場合には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンのいずれかを少なくともひとつが含まれていることが好ましい。
一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を備えた静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置に使用する場合には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えばペリレン系顔料やビスアゾ顔料等が好適に用いられる。
また、本発明で用いられる電荷発生剤のうち、式(20)で表される化合物(CGM−B)を用いる場合には、下記式(23)で表される分散補助剤(例えば、C.IPigmentOrange16)を添加してもよい。
この理由は、かかる電荷発生剤(CGM−B)と分散補助剤(C.IPigmentOrange16)をあわせて用いることにより、塗工溶液中でのCGM−Bの分散性を向上させ、塗工溶液のポットライフを長くすることができるためである。
なお、式(23)で表される分散補助剤を使用する場合、その添加量を、全電荷発生剤100重量部に対して、30〜200重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる分散補助剤の添加量が30重量部未満の値になると、CGM−Bの塗工溶液中での分散性が不十分になり、感光体として適正な膜か製造されないためである。一方、かかる分散補助剤が200重量部を超えると、かかる電荷発生剤の量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度特性、電気特性、および安定性等を向上させることができなくなるためである。
Figure 2005213183
(3) 正孔輸送剤
本発明の電子写真感光体においては、正孔輸送剤である本発明のスチルベン誘導体とともに、従来公知の他の正孔輸送剤を感光体層に含有させることも好ましい。
このような正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を有する種々の化合物、例えば下記の一般式(HTM−1〜HTM−13)で表される化合物等があげられる。
Figure 2005213183
(式中、Rh1、Rh2、Rh3、Rh4、Rh5およびRh6は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。aおよびbは、同一または異なっていても良
い0〜4の整数を示し、c、d、eおよびfは同一または異なっていても良い0〜5の整
数を示す。ただし、a、b、c、d、eまたはfが2以上のとき、各Rh1、Rh2、Rh3、Rh4、Rh5およびRh6は異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Rh7、Rh8、Rh9、Rh10 およびRh11は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。g、h、iおよびjは、同一または異なっていても良い0〜5の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。ただし、g、h、i、jまたはkが2以上のとき、各Rh7、Rh8、Rh9、Rh10およびRh11は異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Rh12、Rh13、Rh14およびRh15は互いに独立しており、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示し、Rh16はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、または置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。m、n、oおよびpは、同一または異なっていても良い0〜5の整数を示し、qは、0〜6の整数を示す。ただし、m、n、o、pまたはqが2以上のとき、各Rh12、Rh13、Rh14、Rh15およびRh16は異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Rh17、Rh18、Rh19およびRh20は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示。r、s、tおよびuは、同一または異なっていても良い、0〜5の整数を示す。ただし、r、s、tまたはuが2以上のとき、各Rh17、Rh18、Rh19およびRh20は異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Rh21およびRh22は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。Rh23、Rh24、Rh25およびRh26は互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜40のアリール基を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Rh27、Rh28およびRh29は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Rh30、Rh31、Rh32およびRh33は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Rh34、Rh35、Rh36、Rh37およびRh38は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Rh39は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示し、Rh40、Rh41およびRh42は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Rh43、Rh44およびRh45は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Rh46およびRh47は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、あるいは、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Rh50、Rh51、Rh52、Rh53、Rh54およびRh5は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、あるいは、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。また、αは1〜10の整数を示し、v、w、x、y、zおよびβは同一または異なっていても良い0〜2の整数を示す。ただし、v、w、x、y、zまたはβが2のとき、各Rh50、Rh51、Rh52、Rh53、Rh54およびRh55は異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Rh56、Rh57、Rh58およびRh59は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、Φは次式のいずれかで表される基である。)
Figure 2005213183
また、本発明においては、上記例示の正孔輸送剤HTM−1〜HTM−13等とともに、従来公知の正孔輸送物質、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等との組み合わせが挙げられる。
(4)電子輸送剤
また、電子輸送剤の種類は特に制限されるものではないが、例えば、下記式(24)〜(26)で表される化合物(ETM−A〜ETM−C)が挙げられる。
Figure 2005213183
Figure 2005213183
Figure 2005213183
また、本発明に用いられる電子輸送剤としては、従来公知の他の電子輸送剤を感光層に含有させることも好ましい。このような電子輸送剤としては、高い電子輸送能を有する種々の化合物、例えば下記一般式で表される化合物(ETM−1〜ETM−17)等があげられる。
Figure 2005213183
(式中、Re1、Re2、Re3、Re4およびRe5は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、置換または非置換のフェノキシ基を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Re6は置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、Re7は置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、ハロゲン原子、またはハロゲン化アルキル基を示す。γは0〜5の整数を示す。ただし、γが2以上のとき、各Re7は互いに異なっていてもよ良い。)
Figure 2005213183
(式中、Re8およびRe9は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基を示す。δは1〜4の整数を示し、εは0〜4の整数を示す。ただし、δおよびεが2以上のとき、各Re8およびRe9は異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Re10は置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはハロゲン原子を示す。ζは0〜4、ηは0〜5の整数を示す。ただし、ηが2以上のとき、各Re10は異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Re11は置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基を示し、σは1〜4の整数を示す。ただし、σが2以上のとき、各Re11は異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Re12およびRe13は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基、アラルキルオキシカルボニル基、水酸基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。Xは酸素原子、=N−CN基または=C(CN)2 基を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Re14は水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示し、Re15はハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基、アルコキシカルボニル基、N−アルキルカルバモイル基、シアノ基、またはニトロ基を示す。λは0〜3の整数を示す。ただし、λが2以上のとき、各Re15は互いに異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、θは1〜2の整数を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Re16およびRe17は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基を示す。νおよびξは0〜3の整数を示す。ただし、νまたはξが2以上のとき、各Re16およびRe17は互いに異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Re18およびRe19は互いに独立しており、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基、縮合多環式基または複素環式基を示し、これらの基は置換基を有していても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Re20はアミノ基、ジアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコシキ基、または置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示し、πは1〜2の整数を示す。ただし、πが2のとき、各Re20は互いに異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Re21は水素原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Re22は、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、アルコキシカルボニル基、N−アルキルカルバモイル基、シアノ基、またはニトロ基を示す。μは0〜3の整数を示す。ただし、μが2以上のとき、各Re22は互いに異なっていても良い。)
Figure 2005213183
(式中、Re23は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示し、Re24は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基、または−O−Re24で表される基を示す。上記基中のRe24は、上述した置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Re25、Re26、Re27、Re28、Re29、Re30およびRe31は互いに独立しており、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、ハロゲン原子、またはハロゲン化アルキル基を示す。χおよびφは同一または異なっていても良い0〜4の整数を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Re32およびRe33は互いに独立しており、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基、ハロゲン原子、またはハロゲン化アルキル基を示す。τおよびΨは同一または異なっていても良い0〜4の整数を示す。)
Figure 2005213183
(式中、Re34、Re35、Re36およびRe37は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、シクロアルキル基またはアミノ基を示す。ただし、Re34 、Re35 、Re36 およびRe37 のうち少なくとも2つは、水素原子でない同一の基である。)
また、本発明においては、上記例示のほかに従来公知の電子輸送物質、すなわち例えばベンゾキノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の1種単独または2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、これらの電子輸送剤のうち、電界強度が5×105v/cmにおける電子移動度が1.0×10-8cm2/V/sec以上である化合物がより好ましい。
(2)結着樹脂
(2)−1 種類
電荷発生剤等を分散させるための結着樹脂としては、上述したように、一般式(27)で表されるポリカーボネート共重合体を使用することが好ましい。
この理由は、かかる構造を有する共重合ポリカーボネートであれば、炭化水素系溶剤に対して難溶であるとともに、撥油性も高いためである。その結果、感光体層表面と前述の炭化水素系溶剤との相互作用が小さくなって、長期間にわって、感光体層表面の外観変化が少なくなるためである。
Figure 2005213183
(一般式(27)中のR21、R22、R23およびR24は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または炭素数6〜30のアリール基であり、Xは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−(CH2)2−、−SO−、−SO2−、−CR2526−、−SiR2526−、または−SiR2526−O−(R25、R26はそれぞれ独立しており、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、置換または非置換のアリール基、トリフルオロメチル基、または、R25とR26とが環形成し、置換基として炭素数1〜7のアルキル基を有しても良い炭素数5〜12のシクロアルキリデン)であり、CとDは、0.05<C/(C+D)<0.4の関係を満足する。)
(2)−2 具体例
ここで、一般式(27)で表される共重合体ポリカーボネートの具体例としては、例えば、下記式(28)で示される化合物(Resin−A)が挙げられる。
Figure 2005213183
ただし、従来、電子写真感光体に使用されている種々の樹脂を併用することも好ましい。
例えば、ビスフェノールZ型、ビスフェノールZC型、ビスフェノールC型、ビスフェノールA型等のポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
(6) 添加剤
また、感光体層には、上記各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光体層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用しても良い。
(7) 配合割合
本発明の電子写真感光体が単層型の感光体である場合、電荷発生剤は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合すれば良い。また、本発明の一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)は、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好ましくは30〜200重量部の割合で配合すれば良い。電子輸送剤を含有させる場合、電子輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部とするのが適当である。
また、本発明の電子写真感光体が積層型の感光体である場合、電荷発生層を構成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用することができるが、結着樹脂100重量部に対して電荷発生剤を5〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部の割合で配合するのが適当である。さらに、電荷発生層に正孔輸送剤を含有させる場合は、正孔輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して10〜500重量部、好ましくは50〜200重量部とするのが適当である。
電荷輸送層を構成する正孔輸送剤と、結着樹脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しない範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるように、結着樹脂100重量部に対して、本発明の一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)を10〜500重量部、好ましくは25〜200樹脂の割合で配合するのが適当である。電荷輸送層に電子輸送剤を含有させる場合は、電子輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部とするのが適当である。
(8) 構造
また、単層型感光体における感光体層の厚さは5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。そして、このような感光体層が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していれば良い。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するもことが好ましい。前記感光体層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させれば良い。
また、単層型感光体10の構成に関して、図1(b)に示すように、導電性基体12と感光体層14との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層16が形成されていても良い。また、図1(c)に示すように、感光体層14の表面には、保護層18が形成されていても良い。
(9) 製造方法
分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光体層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用しても良い。
2.積層型感光体
図2(a)に示すように、積層型感光体20は、導電性基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)の少なくとも1種と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作製される。
また、上記構造とは逆に、図2(b)に示すように、導電性基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成しても良い。
ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図2(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
なお、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、結着剤等については、単層型感光体と同様の内容とすることができる。
また、積層型感光体は、上記電荷発生層および電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。例えば、上記のように、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した場合において、電荷輸送層における電荷輸送剤として、本発明のスチルベン誘導体のような正孔輸送剤を使用した場合には、感光体は負帯電型となる。この場合、電荷発生層には電子輸送剤を含有させても良い。
そして、本発明の積層型電子写真感光体は、感光体の残留電位が低下するとともに、所定感度を有しているという特徴がある。
なお、積層型感光体における感光体層の厚さは、電荷発生層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは5〜50μm程度である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
(1)ジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体の作成
(1)−1 ジリン酸エステル誘導体の作成
式(30)で表されるジリン酸エステル誘導体の作成を、下記反応式(4)に沿って作成した。すなわち、容量500mlのフラスコ内に、ジクロロブテン100g(0.8mol)を添加した後、亜リン酸トリエチルエステルを319g(1.92mol)加え、180℃の条件で、8時間、反応させた。次いで、室温まで冷却した後、過剰な亜リン酸トリエチルエステルを減圧留去した。得られた白色残渣をn−へキサンで洗浄し、真空乾燥させて式(30)で表されるジリン酸エステル誘導体を223g得た(収率85%)。
Figure 2005213183
(1)−2 トリフェニルアミン誘導体の作成
式(33)で表されるリフェニルアミン化合物の作成を、下記反応式(5)に沿って実施した。
すなわち、容量500mlの2口フラスコ内に、無水炭酸カリウム111g(0.8mol)および粉末銅5.1g(0.08mol)を加え、2時間加熱して、均一になるまで攪拌した。次いで、室温まで冷却した後、下記式(31)で表されるアニリン化合物45g(0.33mol)と、式(32)で表されるヨードベンゼン163g(0.8mol)とを添加した後、180℃に再加熱し、12時間反応させた。その後、室温まで冷却した後、100mlのトルエンを添加し、ろ過処理を実施した。得られた残渣をトルエンで溶解し、活性白土を用いて乾燥させた。その後、得られた結晶を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)を用いて精製し、式(33)で表されるトリフェニルアミン誘導体66.1gを得た(収率70%)。
Figure 2005213183
(1)−2 ホルミル化トリフェニルアミン誘導体の作成
次いで、式(34)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体の作成を、下記の反応式(6)に沿って実施した。
すなわち、500mlのフラスコ内に、式(33)で表されるトリフェニルアミン誘導体60g(0.21mol)と、ジメチルホルムアミド(DMF)250mlと、ジメチルホルムアミド150mlに溶解させたオキシ塩化リン酸48g(0.31mol)と、を収容し、70℃、30分の条件で、撹拌しながら反応させた。得られた反応液を、イオン交換水400mおよびトルエン200mlからなる混合液中に滴下した後、生成したトルエン層をイオン交換水にて洗浄した。その後、得られた有機層に無水硫酸ナトリウムおよび活性白土を加え、乾燥および吸着処理を行った。次いで、トルエンを減圧留去して得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)を用いて精製し、式(34)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体48gを得た(収率72%)。
Figure 2005213183
(1)−3 リンイリドの作成
次いで、式(36)で表されるリンイリドの作成を、下記の反応式(7)に沿って実施した。
すなわち、ジフェニルクロロメタン500g(2.47mol)と、亜リン酸トリエチル492g(3mol)とを添加して、160℃で加熱し、3時間撹拌した。その後、室温まで冷却した後、過剰な亜リン酸トリエチルエステルを減圧留去して、式(36)で表されるリンイリド639gを得た(収率85%)。
Figure 2005213183
(1)−4 トリフェニルアミン誘導体
次いで、下記式(37)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、下記の反応式(8)に沿って実施した。
すなわち、500mlの2口フラスコ内に、式(36)で表されるリンイリド33.8g(0.11mol)を加えた後、アルゴンガス置換をおこない、さらにTHF100mlを収容して、−20℃以下で反応させた。その後、n−BuLi(ヘキサン溶液中で1.6mol/l)68.8ml(0.11mol)を滴下して、−20℃以下で10分間撹拌して反応させた。さらに、式(34)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体25g(0.079mol)を滴下し、−20℃で15分間撹拌した。この反応液をイオン交換水500mlに加え、トルエン抽出を行った。さらにその有機層をイオン交換水を用いて、5回洗浄をした後、有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて、乾燥をおこなった。その後、有機溶媒を留去して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)にて精製をして、式(37)で表されるトリフェニルアミン誘導体27.9gを得た(収率76%)。
Figure 2005213183
(1)−5 ホルミル化トリフェニルアミン誘導体の作成
次いで、下記式(38)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体を、下記の反応式(9)に沿って実施した。
すなわち、500mlのフラスコ内に、式(37)で表されるトリフェニルアミン誘導体20g(0.043mol)と、ジメチルホルムアミド(DMF)100mlと、ジメチルホルムアミド100mlに溶解させたオキシ塩化リン酸9.88g(0.064mol)と、を収容して、85℃で、30分間攪拌させた。その後、反応液をイオン交換水400mlおよびトルエン200mlからなる混合液中に滴下し、得られたトルエン層をイオン交換水にて撹拌洗浄した。さらに、得られた有機層を無水硫酸ナトリウム、および活性白土を加え、乾燥および吸着処理をした後、トルエンを減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)にて精製し、式(38)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体16.5gを得た(収率78%)。
Figure 2005213183
(1)−6 スチルベン誘導体の作成
次いで、式(5)で表されるスチルベン誘導体の作成を、下記の反応式(10)に沿って実施した。
すなわち、500mlの2つ口フラスコ内に、(1)−1で得られた式(30)で表されるジリン酸エステル4.99g(0.015mol)を添加し、0℃に保持した状態で、アルゴン置換した後、THF50mlと、28%NaOMe6.9g(0.036mol)と、を収容し、30分攪拌した。次いで、この容器内に、上述した式(38)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体15g(0.03mol)を溶解させた後、室温で約12時間撹拌した。次いで、反応液をイオン交換水500mlに注ぎ、トルエン抽出をおこなった後、得られた有機層をイオン交換水にて5回洗浄した。その後、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥して、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)で精製して、式(5)で表されるスチルベン誘導体11gを得た(収率73%)。
Figure 2005213183
(2)評価
(2)−1 帯電性および感度特性測定
得られたスチルベン誘導体を正孔輸送剤として、単層型の電子写真感光体を作成して、初期感度およびを測定した。すなわち、容器内に、正孔輸送剤として、式(5)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A)を60重量部と、電荷発生剤として、式(19)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−A)を5重量部と、結着樹脂として、式(28)で表される粘度平均分子量50,000の共重合ポリカーボネート樹脂(Resin−A)100重量部と、溶媒としてのテトラヒドロフラン800重量部に対して添加した。次いで、ボールミルを用いて50時間混合分散して、単層型感光体層用の塗布液を作成した。得られた塗布液を、導電性基材(アルミニウム素管)上に、ディップコート法にて塗布し、100℃、30分間の条件で熱風乾燥して、膜厚25μmの単層型の電子写真感光体を得た。
得られた電子写真感光体における帯電性および感度特性を測定した。すなわち、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて、700Vになるように帯電させた状態で電位を測定し、初期帯電電位(Vo)とした。次いで、ハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:1.5μJ/cm2)を感光体表面に照射した。照射後、表面電位が1/2になるのに要した時間を測定し、感度特性の指標としての半減露光量(E1/2)を測定した。さらに、照射開始から330msec経過した後の電位を測定し、残留電位(Vr)とした。
(2)−2 結晶性評価
また、電子写真感光体の外観を目視にて観察し、下記基準に準じて結晶性評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
◎:結晶化が全く見られない。
○:結晶化はほとんど見られない。
△:わずかな結晶化が見られるが、実使用上の問題は無い。
×:顕著な結晶化が見られる。
[実施例2〜4]
実施例2〜4においては、実施例1の塗布液中に、電子輸送剤として、式(24)〜(26)で表される電子輸送剤(ETM−A〜C)をそれぞれ20重量部添加したほかは、実施例1と同様に単層型感光体層を作成して、評価した。
[実施例5〜8]
実施例5〜8においては、実施例1〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)の代わりに、式(6)で表されるスチルベン誘導体(HTM−B)を使用したほかは、実施例1〜4と同様に単層型感光層を作成して、評価した。
[実施例9〜12]
実施例9〜12においては、実施例1〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)の代わりに、式(7)で表されるスチルベン誘導体(HTM−C)を使用したほかは、実施例1〜4と同様に単層型感光層を作成して、評価した。
[比較例1〜4]
比較例1〜4においては、実施例1〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)の代わりに、式(39)で表されるスチルベン誘導体(HTM−G)を使用したほかは、実施例1〜4と同様に単層型感光層を作成して、評価した。ただし、電子写真感光体を作成した時点で、単層型感光層が結晶化してしまい、帯電性および感度特性の評価は中止した。
Figure 2005213183
[比較例5〜8]
比較例5〜8においては、実施例1〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)の代わりに、式(40)で表されるスチルベン誘導体(HTM−H)を使用したほかは、実施例1〜4と同様に単層型感光層を作成して、評価した。ただし、電子写真感光体を作成した時点で、単層型感光層が結晶化してしまい、帯電性および感度特性の評価は中止した。
Figure 2005213183
Figure 2005213183
*初期表面電位(Vo)、残留電位(Vr)および半減露光量(E1/2)の評価における×は、結晶化のため評価できなかったことを示している。
[実施例13]
実施例13においては、実施例1に準じて、式(8)で表されるスチルベン誘導体(HTM−D)を作成して、評価した。
(1) スチルベン誘導体(HTM−D)の作成
(1)−1 ジリン酸エステル誘導体の作成
式(30)で表されるジリン酸エステル誘導体の作成を、実施例1と同様に、反応式(4)に沿って実施した。
(1)−2 トリフェニルアミン誘導体の作成
式(42)で表されるトリフェニルアミン誘導体の作成を、下記反応式(11)に沿って実施した。
すなわち、容量500mlの2口フラスコ内に、無水炭酸カリウム142g(1.03mol)および粉末銅6.55g(0.103mol)を加え、2時間加熱して、均一になるまで攪拌した。次いで、室温まで冷却した後、下記式(41)で表されるアニリン40g(0.43mol)と、式(32)で表されるヨードベンゼン210g(1.03mol)とを添加した後、180℃に再加熱し、12時間反応させた。その後、室温まで冷却した後、100mlのトルエンを添加し、ろ過処理を実施した。得られた残渣をトルエンで溶解し、活性白土を用いて乾燥させた。その後、得られた結晶を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)を用いて精製し、式(42)で表されるトリフェニルアミン誘導体76gを得た(収率72%)。
Figure 2005213183
(1)−2 ホルミル化トリフェニルアミン誘導体の作成
次いで、式(43)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体の作成を、下記の反応式(12)に沿って実施した。
すなわち、500mlのフラスコ内に、式(42)で表されるトリフェニルアミン誘導体30g(0.12mol)と、ジメチルホルムアミド(DMF)200mlと、ジメチルホルムアミド100mlに溶解させたオキシ塩化リン酸46g(0.3mol)と、塩化亜鉛41g(0.3mol)と、を収容し、85℃、20時間の条件で、撹拌しながら反応させた。得られた反応液を、イオン交換水400mlおよびトルエン200mlからなる混合液中に滴下した後、生成したトルエン層をイオン交換水にて洗浄した。その後、得られた有機層に無水硫酸ナトリウムおよび活性白土を加え、乾燥および吸着処理を行った。次いで、トルエンを減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)を用いて精製し、式(43)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体16.6gを得た(収率46%)。
Figure 2005213183
(1)−3 リンイリドの作成
次いで、式(36)で表されるリンイリドの作成を、実施例1と同様に、反応式(7)に沿って、同様の方法で実施した。
(1)−4 トリフェニルアミン誘導体
次いで、式(44)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、下記反応式(13)に沿って実施した。
すなわち、500mlの2口フラスコ内に、式(36)で表されるリンイリド60.1g(0.11mol)を加えた後、アルゴンガス置換をおこない、さらにTHF100mlと、n−BuLi(ヘキサン溶液中で1.6mol/l)70ml(0.11mol)と、を収容して7℃以下で10分間撹拌して反応させた。さらに、THF100mlに溶解させた式(43)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体12g(0.040mol)を滴下し、−20℃で15分間撹拌した。この反応液をイオン交換水500mlに加え、トルエン抽出を行った。さらにその有機層をイオン交換水を用いて、5回洗浄をした後、有機層を無水硫酸ナトリウムを用いて、乾燥をおこなった。その後、有機溶媒を留去して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)にて精製をして、式(44)で表されるトリフェニルアミン誘導体13.8gを得た(収率58%)。
Figure 2005213183
(1)−5 ホルミル化トリフェニルアミン誘導体の作成
次いで、式(45)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体を、下記反応式(14)に沿って実施した。
すなわち、500mlのフラスコ内に、式(44)で表されるトリフェニルアミン誘導体10g(0.0166mol)と、ジメチルホルムアミド(DMF)50mlと、ジメチルホルムアミド30mlに溶解させたオキシ塩化リン酸3.8g(0.025mol)と、を収容して、85℃で、30分間攪拌させた。その後、反応液をイオン交換水400mlおよびトルエン200mlからなる混合液中に滴下し、得られたトルエン層をイオン交換水にて撹拌洗浄した。さらに、得られた有機層を無水硫酸ナトリウム、および活性白土を加え、乾燥および吸着処理をした後、トルエンを減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)にて精製し、式(45)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体7.6gを得た(収率72%)。
Figure 2005213183
(1)−7 スチルベン誘導体の作成
次いで、式(8)で表されるスチルベン誘導体の作成を、下記の反応式(15)に沿って実施した。
すなわち、0℃に冷却した500mlの2つ口フラスコ内に、式(30)で表されるジリン酸エステル1.3g(0.004mol)を添加し、アルゴンガス置換した。その後、THF50mlと、28%NaOMe1.85g(0.096mol)と、を収容し、30分間攪拌した。次いで、このフラスコ内に、上述した式(45)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体5.3g(0.0085mol)を添加した後、室温で約12時間撹拌しながら反応させた。得られた反応液をイオン交換水に注ぎ、トルエン抽出をおこなって、トルエンを含む有機層をイオン交換水にて5回洗浄した。その後、有機層を無水硫酸ナトリウムにて乾燥して、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)で精製して、式(8)で表されるスチルベン誘導体(HTM−D)4.4gを得た(収率86%)。
Figure 2005213183
(2)電子写真感光体の作成および評価
実施例1と同様に、式(8)で表されるスチルベン誘導体(HTM−D)を含む電子写真感光体を作成して、評価した。
[実施例14〜16]
実施例14〜16においては、実施例2〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)の代わりに、式(8)で表されるスチルベン誘導体(HTM−D)を使用したほかは、実施例2〜4と同様に単層型感光層を作成して、評価した。
[実施例17〜20]
実施例17〜20においては、実施例1〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)の代わりに、式(9)で表されるスチルベン誘導体(HTM−E)を使用したほかは、実施例1〜4と同様に単層型感光層を作成して、評価した。
[実施例21〜24]
実施例21〜24においては、実施例1〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)の代わりに、式(10)で表されるスチルベン誘導体(HTM−F)を使用したほかは、実施例1〜4と同様に単層型感光層を作成して、評価した。
[比較例9〜12]
比較例9〜12においては、実施例1〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)の代わりに、式(46)で表されるスチルベン誘導体(HTM−I)を使用したほかは、実施例1〜4と同様に単層型感光層を作成して、評価した。ただし、電子写真感光体を作成した時点で、単層型感光層が結晶化してしまい、帯電性および感度特性の評価は中止した。
Figure 2005213183
Figure 2005213183
*初期表面電位(Vo)、残留電位(Vr)および半減露光量(E1/2)の評価における×は、結晶化のため評価できなかったことを示している。
以上詳述したように、本発明の一般式(1)で表されるスチルベン誘導体は、分子内の所定箇所にジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有することにより、結晶化しずらいばかりか、結着樹脂との相溶性が優れており、初期のみならず、長時間にわたって高い電荷輸送能(正孔輸送能)や感度を有している。
したがって、本発明のスチルベン誘導体を含む電子写真感光体は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置の高速化、高性能化、長寿命化等に寄与することが期待される。
(a)〜(c)は、単層型感光体の基本構造および変形構造を説明するために供する図である。 (a)〜(b)は、積層型感光体の基本構造および変形構造を説明するために供する図である。
符号の説明
10:単層型感光体
12:導電性基体
14:感光体層
16:バリア層
18:保護層
20:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層

Claims (7)

  1. ジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体であって、下記一般式(1)で表されることを特徴とするスチルベン誘導体。
    Figure 2005213183

    (一般式(1)中、R1、R2、R4〜R10、R12〜R16は、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜20の置換または非置換のアラルキル基であり、R3およびR11は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜20の置換または非置換のアラルキル基、または炭素数14〜30の置換または非置換のジフェニルエテニル基であり、繰り返し数Aは2〜6の整数である。)
  2. 前記一般式(1)中のR1、R2、R4、R5、R6、R9、R10、R12、R13およびR14の少なくとも一つが、水素原子または炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載のスチルベン誘導体。
  3. 前記一般式(1)中のR3またはR11が、水素原子または炭素数14〜30の置換または非置換のジフェニルエテニル基であることを特徴とする請求項1または2に記載のスチルベン誘導体。
  4. 反応式(1)で表されるスチルベン誘導体の製造方法であって、一般式(2)および(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(4)で表されるジリン酸エステル誘導体とを、塩基の存在下に反応させて、一般式(1)で表されるジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体を得ることを特徴とするスチルベン誘導体の製造方法。
    Figure 2005213183

    (反応式(1)中、R1、R2、R4〜R10、R12〜R16は、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜20の置換または非置換のアラルキル基であり、R3およびR11は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜20の置換または非置換のアラルキル基、または炭素数14〜30の置換または非置換のジフェニルエテニル基であり、繰り返し数Aは2〜6の整数であり、Bは0〜4の整数である。)
  5. 前記一般式(2)および一般式(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体として、下記一般式(11a)および一般式(11b)で表されるアニリン誘導体をそれぞれ原料とした、二段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法およびウィッチヒ(Wittig)反応により得られたホルミル化トリフェニルアミン誘導体を使用することを特徴とする請求項4に記載のスチルベン誘導体の製造方法。
    Figure 2005213183

    (一般式(11a)および一般式(11b)中のR1、R2、R3、R9、R10およびR11は、それぞれ反応式(1)中のR1、R2、R3、R9、R10およびR11と同様の内容である。)
  6. 導電性基体上に感光体層を設けた電子写真感光体であって、当該感光体層が、下記一般式(1)で表されるジフェニルエテニル基を含むトリフェニルアミン構造を有するスチルベン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2005213183

    (一般式(1)中、R1、R2、R4〜R10、R12〜R16は、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜20の置換または非置換のアラルキル基であり、R3およびR11は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜20の置換または非置換のアラルキル基、または炭素数14〜30の置換または非置換のジフェニルエテニル基であり、繰り返し数Aは2〜6の整数である。)
  7. 前記感光体層が、電荷発生剤および電子輸送剤をさらに含有した単層型であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008133221A (ja) * 2006-11-28 2008-06-12 Kyocera Mita Corp ビストリフェニルアミン誘導体および電子写真感光体
JP2008201722A (ja) * 2007-02-20 2008-09-04 Kyocera Mita Corp トリアリールアミン系化合物の精製方法

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