JP2005200358A - スチルベン誘導体、その製造方法、および電子写真感光体 - Google Patents

スチルベン誘導体、その製造方法、および電子写真感光体 Download PDF

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Abstract

【課題】 分子内のトリフェニルアミン構造に所定の置換基を有することにより、結着樹脂との相溶性が向上するとともに、所定のドラム感度特性を有するスチルベン誘導体、その製造方法、およびスチルベン誘導体を含有した電子写真感光体を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で表されるスチルベン誘導体、その製造方法、およびスチルベン誘導体を含有した電子写真感光体であって、特定のホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、特定のジリン酸エステル誘導体と、を塩基の存在下に反応させて得られるスチルベン誘導体を対象とする。
【化1】
Figure 2005200358

(一般式(1)中、Aは、置換または非置換の芳香族環を含む二価の有機基であり、R1〜R18は、互いに独立した水素原子、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基等である。ただし、R1〜R18の少なくとも二つが結合または縮合して、炭素環基または複素環基を形成しても良い。)
【選択図】 図1

Description

本発明は、スチルベン誘導体、その製造方法、および電子写真感光体であり、特に分子末端のトリフェニルアミノ基におけるフェニル構造に特定の置換基を有することにより、所定感度を有するスチルベン誘導体、その製造方法、およびそのようなスチルベン誘導体を含有した電子写真感光体に関する。
従来、画像形成装置等の電子写真感光体として、電荷輸送剤(正孔輸送剤、電子輸送剤)、電荷発生剤、および結着樹脂(バインダー樹脂)等の有機感光体材料からなる有機感光体が使用されている。かかる有機感光体は、従来の無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、感光体材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
このような有機感光体材料のうち、高い電荷移動度を有する電荷輸送剤として、下記一般式(38)で表されるスチルベン誘導体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
Figure 2005200358
(一般式(38)中、A、B、C、D、EおよびFは、置換基を有してもよいベンゼン環を表わし、これらは互いに結合して複素環を形成してもよく、Yは、置換基を有してもよい二価の芳香族炭化水素残基または置換基を有してもよい二価の複素環化合物残基を表わし、R21、R22、R23およびR24は、それぞれ、水素原子、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよく、n1 およびn2は、それぞれ、1〜4の整数を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよく、X1およびX2は、それぞれ、下記一般式(39)および一般式(40)で示される基を表わし、これらはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2005200358
Figure 2005200358
(一般式(39)および一般式(40)中、n3は、0〜4の整数を表わし、n4は、1〜4の整数を表わし、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33およびR34は、それぞれ、水素原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表わし、これらは互いに同一でも異なっていてもよく、R28とR29からなる対およびR33とR34からなる対は、縮合して炭素環基または複素環基を形成していてもよく、また、これらRのどちらか一方が水素原子のときは、もう一方はアリール基または複素環基である。)
特開2000−47405号(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に記載されたアリールアミン系化合物は、結晶化しやすく、感光体に使用した場合に、長時間安定して使用することが困難であり、また、電荷の注入性が低いために、感度特性が不十分であるという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、特定構造を有するスチルベン誘導体を使用することにより、結着樹脂との相溶性に優れているため、結晶化が少なくなるとともに、電荷発生剤からの電荷の注入性が高く、感度特性にも優れているという事実を発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、上述した技術的な問題を解決し、電子写真感光体等の正孔輸送剤として好適に用いることのできる分子末端に特定の置換基を有するスチルベン誘導体、その製造方法、および、所定の耐久性および感度特性を有する電子写真感光体を提供することにある。
本発明によれば、下記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体が提供され、上述した問題点を解決することができる。
Figure 2005200358
(一般式(1)中、Aは、置換または非置換の芳香族環を含む二価の有機基であり、R1〜R18は、互いに独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜12の置換または非置換のアラルキル基、炭素数3〜10の置換または非置換のシクロアルキル基、または炭素数1〜6の置換または非置換のアルコキシ基である。ただし、R1〜R18の少なくとも二つが結合または縮合して、炭素環基または複素環基を形成しても良い。)
本発明のスチルベン誘導体を構成するにあたり、一般式(1)中のAが、下記式(2)で表される炭素環構造またはヘテロ環構造であることが好ましい(一部、一般式で表される化合物を含む。)。
Figure 2005200358
(式(2)中、R19およびR20は互いに独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜12の置換または非置換のアラルキル基、炭素数1〜6の置換または非置換のアルコキシ基、または置換または非置換のアミノ基である。)
また、本発明の別の態様は、下記反応式(1)で示されるスチルベン誘導体の製造方法であって、一般式(3)および一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(5)で表されるジリン酸エステル誘導体とを、塩基の存在下に反応させることを特徴とする一般式(1)で表されるスチルベン誘導体の製造方法である。
Figure 2005200358
(反応式(1)中、Aは、置換または非置換の芳香族環を含む二価の有機基であり、R1〜R18は、互いに独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜12の置換または非置換のアラルキル基、炭素数3〜10の置換または非置換のシクロアルキル基、または炭素数1〜6の置換または非置換のアルコキシ基である。ただし、R1〜R18の少なくとも二つが結合または縮合して、炭素環基または複素環基を形成しても良い。)
また、本発明のスチルベン誘導体の製造方法を実施するにあたり、一般式(3)または一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体として、下記一般式(6)で表されるアニリン誘導体を原料とした、二段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法およびウィッチヒ(Wittig)反応により得られたホルミル化トリフェニルアミン誘導体を使用することが好ましい。
Figure 2005200358
(一般式(6)中のR9は、反応式(1)中のR9と同様の内容である。また、一般式(4)のホルミル化トリフェニルアミン誘導体の場合は、一般式(6)中のR9のかわりにR10になる。)
また、本発明のさらに別の態様は、導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、感光層が、正孔輸送剤として、下記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を含有する電子写真感光体である。
Figure 2005200358
(一般式(1)中、Aは、置換または非置換の芳香族環を含む二価の有機基であり、R1〜R18は、互いに独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜12の置換または非置換のアラルキル基、炭素数3〜10の置換または非置換のシクロアルキル基、または炭素数1〜6の置換または非置換のアルコキシ基である。ただし、R1〜R18の少なくとも二つが結合または縮合して炭素環基または複素環基を形成しても良い。)
また、本発明の電子写真感光体を構成するにあたり、感光層が、電荷発生剤および電子輸送剤をさらに含有した単層型であることが好ましい。
本発明によれば、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を含むことにより、耐久性および感度特性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
すなわち、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体は、分子末端のトリフェニルアミン構造に特定の置換基(エステル基)を有しており、結着樹脂との相溶性が良いため、結晶化を生じにくく、また電荷発生剤からの電荷の注入性が大きいという特徴がある。したがって、電子写真感光体における正孔輸送剤として使用することにより、耐久性および感度特性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
また、一般式(1)中のAが、式(2)で表される所定の炭素環構造またはヘテロ環構造を有することにより、電気的特性および耐熱性が向上し、結着樹脂との相溶性が優れ、さらに、電荷移動度が大きくなるとともに、電荷発生剤からの電荷の注入性が良くなるという特徴を有する。したがって、このような化合物を正孔輸送剤として使用することにより、長時間使用時においても、優れた感度特性を有する電子写真感光体を提供することができる。また、このような構造であれば、比較的導入が容易であって所定のスチルベン誘導体を、比較的高い収率で生産することができる。
また、本発明のスチルベン誘導体の製造方法によれば、所定構造のホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、所定構造のジリン酸エステル誘導体とを、塩基の存在下に反応させ、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を製造することにより、結着樹脂との相溶性が優れているとともに、電荷移動度が高い、所定のスチルベン誘導体を高い収率で得ることができる。
また、本発明のスチルベン誘導体の製造方法によれば、一般式(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体、または一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体として、所定のアニリン誘導体を原料とするとともに、二段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法およびウィッチヒ(Wittig)反応により得られた化合物を使用することにより、所定構造のホルミル化トリフェニルアミン誘導体が効率的に得られ、結果として、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体をさらに効率的に得ることができる。
また、本発明の電子写真感光体によれば、感光層が、所定構造を有するスチルベン誘導体を含有することにより、結着樹脂との相溶性に優れているとともに、電荷発生剤からの電荷の移動度の大きい電子写真感光体を提供することができる。すなわち、耐久性および感度特性に優れた電子写真感光体を効率的に得ることができる。
また、本発明の電子写真感光体によれば、感光層が、電荷発生剤および電子輸送剤をさらに含有した単層型であることにより、構成や製造が容易であるにもかかわらず、耐久性および感度特性に優れた単層型の電子写真感光体を得ることができる。
以下、本発明のスチルベン誘導体、その製造方法、および、電子写真感光体に関する実施の形態を、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、下記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体である(一般式(1)中のA、R1〜R18は、既に上述した定義である。)。
Figure 2005200358
ここで、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体の一例として、下記式(12)〜(17)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A〜F)を示す。
Figure 2005200358
Figure 2005200358
Figure 2005200358
Figure 2005200358
Figure 2005200358
Figure 2005200358
また、一般式(1)中のAで表される置換または非置換の芳香族環を含む二価の有機基としては、下記式(2)(式(2)中のR19およびR20は、既に上述した定義である。)で表される炭素環構造またはヘテロ環構造であることが好ましい。
この理由は、このような特定の炭素環構造またはヘテロ環構造であることにより、電気的特性、および耐熱性を向上することができ、また、電子の分布が非局在化し、かつ平面的になることによって、電荷移動度が大きくなるとともに、電荷発生剤からの電荷の注入性を高めることができるためである。
したがって、電子写真感光体にかかるスチルベン誘導体を正孔輸送剤として用いると、長時間繰り返し使用時においても、安定した感度特性を有した電子写真感光体を提供することができる。また、このような炭素環構造およびヘテロ環構造であれば、比較的導入が容易であり、所定の安定性を有するスチルベン誘導体を比較的高い収率で得ることができる。
Figure 2005200358
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、反応式(1)で表されるスチルベン誘導体の製造方法であって、下記反応式(1)に示すように、下記一般式(3)および(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(5)で表されるジリン酸エステル誘導体を、塩基の存在下に反応させることを特徴とする下記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体の製造方法である。なお、反応式(1)中のA、R1〜R18は、特に断りがない限り、一般式(1)の説明において定義した内容である。
Figure 2005200358
1.ホルミル化トリフェニルアミン誘導体
一般式(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体は、下記反応式(2)に示すように、二段階のフィルスマイヤー法とウィッチヒ反応とを用いて、合成することが好ましい。
(第一段階のフィルスマイヤー法)
まず、一般式(6)で表されるアニリン誘導体を原料として、それに一般式(7)で表される二種類のヨードベンゼン誘導体と、を反応させて、一般式(8)で表されるトリフェニルアミン誘導体を得た後、第一段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法によりホルミル化して、一般式(9)で表されるジホルミル化トリフェニルアミン誘導体を合成する。
なお、アニリン誘導体のアミノ基を構成する水素の一つがホルミル化されると、もう一方の水素の反応性が著しく低下して、ホルミル化することが困難になる場合がある。したがって、そのような場合には、触媒量の塩化亜鉛等を添加し、後述するように、反応式(5)で示されるフィルスマイヤー法を促進させることが好ましい。
(ウィッチヒ反応)
次いで、ウィッチヒ(Wittig)反応により、一般式(11)で表されるトリフェニルアミン誘導体を合成する。すなわち、式(10)で表されるリンイリド誘導体と、一般式(9)で表されるジホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、触媒としてのNaOMe等の存在化に反応させるものである。なお、反応式(2)に示す例では、置換基が異なる二種類のリンイリド誘導体を用いている。
(第二段階のフィルスマイヤー法)
次いで、一般式(11)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、第二段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法によりホルミル化して、一般式(3)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体を得る。
また、一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体についても、反応式(2)で示したR1をR5、R2をR6、R3をR7、R4をR8、R9をR10、R11をR15、R12をR16、R13をR17、R14をR18に置き換えて、反応式(2)と同様の方法で製造して得ることができる。なお、反応式(2)中のR1〜R18は、反応式(1)の内容と同様であって、既に上述した内容である。
Figure 2005200358
ここで、第一段階のフィルスマイヤー法を実施するにあたり、一般式(6)で表されるアニリン誘導体と、一般式(7)で表される2種類のヨードベンゼン誘導体(合計量)との添加割合を、モル比で1:2.0〜1:6の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアニリン誘導体と、2種類のヨードベンゼン誘導体との添加割合が、1:2.0未満の値になると、目的物であるトリフェニルアミン誘導体の生成量が低下する場合があるためである。一方、かかるアニリン誘導体と、2種類のヨードベンゼン誘導体との添加割合が、1:6を超えると、未反応のヨードベンゼン誘導体が多く残留するため、目的物であるトリフェニルアミン誘導体の精製が困難になる場合があるためである。
なお、一般式(7)で表されるヨードベンゼン誘導体の添加割合をモル比で約1:1の値にするのが好ましい。
また、一般式(6)で表されるアニリン誘導体と、一般式(7)で表される2種類のヨードベンゼンとを反応させるにあたり、反応温度を、通常160〜220℃の範囲内の値とするとともに、反応温度を4〜30時間の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような反応条件であれば、比較的簡易な製造設備を用いて、所望の反応を効率的に実施できるためである。
さらに、フィルスマイヤー法に使用するフィルスマイヤー試薬(Vilsmeier試薬)としては、以下の化合物(i)および(ii)の組合せであることが好ましい。
(i)オキシ塩化リン、ホスゲン、塩化オキサリル、塩化チオニル、トリフェニルホスフィン−臭素、ヘキサクロロトリホスファザトリエン等のハロゲン化剤
(ii)N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルホルムアニリド(MFA)、N−ホルミルモルホリン、N,N−ジイソプロピルホルムアミド
特に、本発明では、フィルスマイヤー試薬として、オキシ塩化リンと、溶媒としても使用できるDMFとの組み合わせが好適に用いられる。
さらに、触媒量の塩化亜鉛等を添加することにより、フィルスマイヤー法を促進させることができる。
また、フィルスマイヤー試薬の調製において、化合物(i)と(ii)との使用割合は、通常モル比で、1:1〜1:20の範囲内の値とすることが好ましく、1:1〜1:5の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、フィルスマイヤー試薬の使用量に関して、一般式(8)で表されるトリフェニルアミン誘導体1モルに対して、0.9〜2倍モル量の範囲内の値とすることが好ましく、1〜1.1倍モル量の範囲内の値とすることがより好ましい。
さらに、フィルスマイヤー法における、トリフェニルアミン誘導体のホルミル化の反応条件に関して、通常130℃以下の温度で行い、反応時間を2〜5時間の範囲内の値とすることが好ましい。
なお、第二段階のフィルスマイヤー法の実施にあたっても、第一段階のフィルスマイヤー法の条件に準じて実施することができる。
2.ジリン酸エステル誘導体
式(5)で表されるジリン酸エステル誘導体は、下記反応式(3)に示すように、合成することができる。
Figure 2005200358
かかるジリン酸エステル誘導体の合成反応を実施するにあたり、例えば、ビス(クロロメチル)ベンゼン誘導体またはビス(クロロメチル)ビフェニル誘導体に対して、亜リン酸トリエチルエステルを無溶媒または適当な溶媒中に添加して、反応させることが好ましい。この理由は、このように反応させることにより、反応式(1)に使用するジリン酸エステル誘導体(5)を高い収率で得ることができるためである。
ここで、合成反応を生じさせるに際して、ビス(クロロメチル)ベンゼン誘導体またはビス(クロロメチル)ビフェニル誘導体1モルに対して、亜リン酸トリエチルの使用割合を、少なくとも2倍モル当量とすることが好ましく、2〜4倍モル量の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、かかる反応温度を、通常80〜150℃の範囲内の値とし、反応時間を2〜10時間の範囲内の値とすることが好ましい。
また、ジリン酸エステル誘導体を作成する際に用いる溶媒としては、かかる反応に影響を及ぼさないものであれば良いが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド等が、好適例として挙げられる。
また、ジリン酸エステル誘導体を作成する際に、所定量の第三級アミンを添加することも好ましい。この理由は、第三級アミンによって、反応系からハロゲン化アルキルが除去されるため、ジリン酸エステル誘導体の合成反応を促進できるためである。好適な第三級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
3.反応条件
(1) 反応温度と反応時間
また、一般式(3)および一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(5)で表されるジリン酸エステル誘導体との反応は、通常−10〜30℃で行うことが好ましく、その反応時間を1〜12時間の範囲内の値とすることが好ましい。
(2) 溶媒
一般式(3)および一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(5)で表されるジリン酸エステル誘導体との反応に使用する好適な溶媒としては、当該反応に影響を及ぼさないものであればよいが、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
(3) 塩基
また、かかる反応に使用する塩基としては、ナトリウムメトキシドやナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシド、水素化ナトリウムや水素化カリウム等の金属水素化物が好適なものとして挙げられる。
ここで、かかる塩基の添加量を、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体1モルに対して、1.1〜1.2モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる塩基の添加量が1.1モル未満の値となると、一般式(3)および一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(5)で表されるジリン酸エステル誘導体と、の間の反応性が著しく低下する場合があるためである。
一方、かかる塩基の添加量が1.2モルを超えると、一般式(3)および一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、式(5)で表されるジリン酸エステル誘導体と、の間の反応を制御することが著しく困難になる場合があるためである。
(4) 添加割合
式(5)で表されるジリン酸エステル誘導体と、一般式(3)および一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、の間の反応を実施するにあたり、添加割合を、モル比で1:2.0〜1:2.4の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、ジリン酸エステル誘導体との添加割合が、1:2.0未満の値になると、ホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、ジリン酸エステル誘導体とが1:1で対応して反応しやすくなるためである。また、かかる添加割合が、1:2.4を超えると、未反応のホルミル化トリフェニルアミン誘導体が精製を困難にする場合があるためである。
したがって、式(5)で表されるジリン酸エステル誘導体と、一般式(3)および一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体との添加割合を、モル比で1:1.8〜1:2.2の範囲内の値とすることがより好ましい。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、感光層に、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
また、電子感光体には、単層型と積層型とがあるが、本発明のスチルベン誘導体は、いずれにも適用可能である。
ただし、特に正負いずれの帯電型にも使用できること、構造が簡単で製造が容易であること、層を形成する際の被膜欠陥を抑制できること、層間の界面が少なく、光学的特性を向上できること等の観点から、単層型に適用することが好ましい。
なお、本発明のスチルベン誘導体を有する電子写真感光体は、優れた耐久性を有しているため、例えば電子写真感光体を搭載した画像形成装置の一例として、図3で示されるものが挙げられる。
1.単層型感光体
(1) 基本的構成
図1(a)に示すように、単層型感光体10は、導電性基体12上に単一の感光層14を設けたものである。
この感光層は、例えば、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)と、電荷発生剤と、結着樹脂と、さらに必要に応じて電子輸送剤を適当な溶媒に溶解または分散させ、得られた塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。かかる単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単であって、生産性に優れているという特徴がある。
また、得られた単層型感光体は、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を含んでいることから、優れた耐久性および感度特性を有しているという特徴がある。
さらに、単層型感光体の感光層に、電子輸送剤を含有させる場合には、電荷発生剤と正孔輸送剤との電子の授受が効率よく行われるようになり、感度等がより安定する傾向が見られる。
(2) 電荷発生剤
本発明に用いられる電荷発生剤としては、例えば、無金属フタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
特に、半導体レーザー等の光源を使用したレーザービームプリンタやファクシミリ等のデジタル光学系の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば、無金属フタロシアニンやオキソチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料が好適に用いられる。
一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を使用した静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば、ペリレン顔料やビスアゾ顔料等が好適に用いられる。
(3) 正孔輸送剤
本発明の電子写真感光体においては、正孔輸送剤である本発明のスチルベン誘導体とともに、従来公知の他の正孔輸送剤を感光層に含有させることも好ましい。
このような正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を有する種々の化合物、例えば下記の一般式(HTM−1〜HTM−13)で表される化合物等があげられる。
Figure 2005200358
(式中、Rh1、Rh2、Rh3、Rh4、Rh5およびRh6は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。aおよびbは、同一または異なっていても良い0〜4の整数を示し、c、d、eおよびfは同一または異なっていても良い0〜5の整数を示す。ただし、a、b、c、d、eまたはfが2以上のとき、各Rh1、Rh2、Rh3、Rh4、Rh5およびRh6は異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Rh7、Rh8、Rh9、Rh10 およびRh11は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。g、h、iおよびjは、同一または異なっていても良い0〜5の整数を示し、kは0〜4の整数を示す。ただし、g、h、i、jまたはkが2以上のとき、各Rh7、Rh8、Rh9、Rh10およびRh11は異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Rh12、Rh13、Rh14およびRh15は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示し、Rh16はハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、または置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。m、n、oおよびpは、同一または異なっていても良い0〜5の整数を示し、qは、0〜6の整数を示す。ただし、m、n、o、pまたはqが2以上のとき、各Rh12、Rh13、Rh14、Rh15およびRh16は異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Rh17、Rh18、Rh19およびRh20は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示。r、s、tおよびuは、同一または異なっていても良い、0〜5の整数を示す。ただし、r、s、tまたはuが2以上のとき、各Rh17、Rh18、Rh19およびRh20は異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Rh21およびRh22は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。Rh23、Rh24、Rh25およびRh26は互いに独立しており、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜40のアリール基を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Rh27、Rh28およびRh29は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Rh30、Rh31、Rh32およびRh33は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Rh34、Rh35、Rh36、Rh37およびRh38は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Rh39は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示し、Rh40、Rh41およびRh42は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Rh43、Rh44およびRh45は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Rh46およびRh47は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、あるいは、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Rh50、Rh51、Rh52、Rh53、Rh54およびRh55は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、あるいは、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。また、αは1〜10の整数を示し、v、w、x、y、zおよびβは同一または異なっていても良い0〜2の整数を示す。ただし、v、w、x、y、zまたはβが2のとき、各Rh50、Rh51、Rh52、Rh53、Rh54およびRh55は異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Rh56、Rh57、Rh58およびRh59は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基を示し、Φは次式のいずれかで表される基である。)
Figure 2005200358
また、本発明においては、上記例示の正孔輸送剤HT−1〜HT−13等とともに、従来公知の正孔輸送物質、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等の1種単独または2種以上の組み合わせが挙げられる。
(4) 電子輸送剤
本発明に用いられる電子輸送剤としては、キノン誘導体を含む化合物が好ましい。この理由は、この理由は、電子輸送剤として、特定の化合物を使用することにより、電子受容性に優れており、また電荷発生剤との相溶性が優れていることから、感度特性や耐久性に優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができるためである。
これらの電子輸送剤の具体例として、下記式(19)〜(21)で表される化合物(ETM−A〜ETM−C)があげられる。
Figure 2005200358
Figure 2005200358
Figure 2005200358
また、本発明に用いられる電子輸送剤としては、従来公知の他の電子輸送剤を感光層に含有させることも好ましい。このような電子輸送剤としては、高い電子輸送能を有する種々の化合物、例えば下記一般式で表される化合物(ETM−1〜ETM−17)等があげられる。
Figure 2005200358
(式中、Re1、Re2、Re3、Re4およびRe5は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、置換または非置換のフェノキシ基を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Re6は置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、Re7は置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、ハロゲン原子、またはハロゲン化アルキル基を示す。γは0〜5の整数を示す。ただし、γが2以上のとき、各Re7は互いに異なっていてもよ良い。)
Figure 2005200358
(式中、Re8およびRe9は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基を示す。δは1〜4の整数を示し、εは0〜4の整数を示す。ただし、δおよびεが2以上のとき、各Re8およびRe9は異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Re10は置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、ハロゲン化アルキル基、またはハロゲン原子を示す。ζは0〜4、ηは0〜5の整数を示す。ただし、ηが2以上のとき、各Re10は異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Re11は置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基を示し、σは1〜4の整数を示す。ただし、σが2以上のとき、各Re11は異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Re12およびRe13は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基、アラルキルオキシカルボニル基、水酸基、ニトロ基、またはシアノ基を示す。Xは酸素原子、=N−CN基または=C(CN)2 基を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Re14は水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示し、Re15はハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基、アルコキシカルボニル基、N−アルキルカルバモイル基、シアノ基、またはニトロ基を示す。λは0〜3の整数を示す。ただし、λが2以上のとき、各Re15は互いに異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、θは1〜2の整数を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Re16およびRe17は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基を示す。νおよびξは0〜3の整数を示す。ただし、νまたはξが2以上のとき、各Re16およびRe17は互いに異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Re18およびRe19は互いに独立しており、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基、縮合多環式基または複素環式基を示し、これらの基は置換基を有していても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Re20はアミノ基、ジアルキルアミノ基、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコシキ基、または置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示し、πは1〜2の整数を示す。ただし、πが2のとき、各Re20は互いに異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Re21は水素原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Re22は、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、アルコキシカルボニル基、N−アルキルカルバモイル基、シアノ基、またはニトロ基を示す。μは0〜3の整数を示す。ただし、μが2以上のとき、各Re22は互いに異なっていても良い。)
Figure 2005200358
(式中、Re23は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示し、Re24は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基、または−O−Re24で表される基を示す。上記基中のRe24は、上述した置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基または置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Re25、Re26、Re27、Re28、Re29、Re30およびRe31は互いに独立しており、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、ハロゲン原子、またはハロゲン化アルキル基を示す。χおよびφは同一または異なっていても良い0〜4の整数を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Re32およびRe33は互いに独立しており、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基、ハロゲン原子、またはハロゲン化アルキル基を示す。τおよびΨは同一または異なっていても良い0〜4の整数を示す。)
Figure 2005200358
(式中、Re34、Re35、Re36およびRe37は互いに独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜40のアリール基またはアラルキル基、シクロアルキル基またはアミノ基を示す。ただし、Re34 、Re35 、Re36 およびRe37 のうち少なくとも2つは、水素原子でない同一の基である。)
また、本発明においては、上記例示のほかに従来公知の電子輸送物質、すなわち例えばベンゾキノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の1種単独または2種以上の組み合わせが挙げられる。
(5) 結着樹脂
各成分を分散させるための結着樹脂は、従来、感光層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えばスチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂;エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
特に、ポリカーボネート樹脂は、透明性や耐熱性に優れているばかりか、機械的特性や正孔輸送剤との相溶性にも優れていることから好ましい結着樹脂である。
(6) 添加剤
また、感光層には、上記各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
(7) 配合割合および厚さ
本発明の電子写真感光体が単層型の感光体である場合、電荷発生剤は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合すればよい。本発明のスチルベン誘導体(正孔輸送剤)は、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好ましくは30〜200重量部の割合で配合すればよい。電子輸送剤を含有させる場合、電子輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部とするのが適当である。
また、本発明の電子写真感光体が積層型の感光体である場合、電荷発生層を構成する電荷発生剤と結着樹脂とは、種々の割合で使用することができるが、結着樹脂100重量部に対して電荷発生剤を5〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部の割合で配合するのが適当である。電荷発生層に正孔輸送剤を含有させる場合は、正孔輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して10〜500重量部、好ましくは50〜200重量部とするのが適当である。
電荷輸送層を構成する正孔輸送剤と、結着樹脂とは、電荷の輸送を阻害しない範囲および結晶化しない範囲で種々の割合で使用することができるが、光照射により電荷発生層で生じた電荷が容易に輸送できるように、結着樹脂100重量部に対して、本発明のスチルベン誘導体 (正孔輸送剤)を10〜500重量部、好ましくは25〜200樹脂の割合で配合するのが適当である。電荷輸送層に電子輸送剤を含有させる場合は、電子輸送剤の割合を結着樹脂100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは10〜100重量部とするのが適当である。
(8) 構造
また、単層型感光体における感光層の厚さは5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
そして、このような感光層が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
また、導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。前記感光層を塗布の方法により形成する場合には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
また、単層型感光体10の構成に関して、図1(b)に示すように、導電性基体12と感光層14との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層16が形成されていてもよい。また、図1(c)に示すように、感光層14の表面には、保護層18が形成されていてもよい。
(9) 製造方法
分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独でまたは2種以上を混合して用いられる。
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
2.積層型感光体
図2(a)に示すように、積層型感光体20は、導電性基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)の少なくとも1種と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作製される。
また、上記構造とは逆に、図2(b)に示すように、導電性基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。
ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図2(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
なお、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、結着剤等については、単層型感光体と同様の内容とすることができる。
また、積層型感光体は、上記電荷発生層および電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。例えば、上記のように、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した場合において、電荷輸送層における電荷輸送剤として、本発明のスチルベン誘導体のような正孔輸送剤を使用した場合には、感光体は負帯電型となる。この場合、電荷発生層には電子輸送剤を含有させてもよい。
そして、本発明の積層型電子写真感光体は、感光体の残留電位が低下するとともに、所定感度を有しているという特徴がある。
なお、積層型感光体における感光層の厚さは、電荷発生層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは5〜50μm程度である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
(1) スチルベン誘導体(HTM−A)の合成
(1)−1 トリフェニルアミン誘導体の合成
下記式(24)で表されるトリフェニルアミン誘導体の合成を、下記の反応式(4)に沿って実施した。
すなわち、容量500mlの2つ口フラスコ内に、無水炭酸カリウム46.4g(0.34mol)、および粉末銅2.5g(0.04mol)を加え、2時間加熱して、均一になるまで攪拌した。次いで、室温まで冷却した後、下記式(22)で表されるアニリン化合物12.11g(0.13mol)と、下記式(23)で表されるヨードベンゼン68.9g(0.34mol)とを添加した後、180℃に再加熱し、12時間反応させた。その後、室温まで冷却した後、100mlのトルエンを添加し、ろ過処理をした。得られた残渣をトルエンで溶解し、活性白土を用いて乾燥させて、トルエンを減圧留去した。その後、得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)を用いて精製し、式(24)で表されるトリフェニルアミン誘導体24.1gを得た(収率73%)。
Figure 2005200358
(1)−2 ホルミル化トリフェニルアミン誘導体の合成
次いで、式(25)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体の合成を、下記の反応式(5)に沿って実施した。
すなわち、500mlのフラスコ内に、式(24)で表されるトリフェニルアミン誘導体19.63g(0.08mol)と、ジメチルホルムアミド(DMF)100mlと、ジメチルホルムアミド100mlに溶解させたオキシ塩化リン酸30.4g(0.2mol)と、塩化亜鉛(ZnCl2)13.6g(0.2mol)と、を収容し、85℃で、20時間撹拌しながら反応させた。得られた反応液を、イオン交換水400mlとトルエン200mlの混合液中に滴下し、生成したトルエン層をイオン交換水にて洗浄した。次いで、トルエンを含む有機層に、無水硫酸ナトリウムおよび活性白土を加え、乾燥処理および吸着処理を行った。その後、トルエンを減圧留去し、さらに残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)にて精製し、式(25)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体17.5gを得た(収率73%)。
Figure 2005200358
(1)−3 リンイリドの合成
次いで、式(27)で表されるリンイリドの合成を、下記の反応式(6)に沿って実施した。すなわち、式(26)で表される1−フェニルクロロメタン52.5g(0.3mol)と、亜リン酸トリエチルエステル130g(0.78mol)とを添加して、160℃、3時間の条件で、加熱しながら撹拌した。その後、室温まで冷却した後、過剰な亜リン酸トリエチルエステルを減圧留去し、式(27)で表されるリンイリド79.1gを得た(収率87%)。
Figure 2005200358
(1)−4 トリフェニルアミン誘導体
次いで、下記式(28)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、下記の反応式(7)に沿って実施した。すなわち、500mlの二つ口フラスコ内に、式(27)で表されるリンイリド39.56g(0.13mol)を収容した後、アルゴンガス置換をおこない、さらにTHF100mlと、n−BuLiヘキサン溶液(濃度1.6mol/リットル)75ml(0.12mol)と、を添加して、10分間撹拌した。さらに、式(25)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体17g(0.056mol)を添加して、20℃で、15分間攪拌しながら反応させた。得られた反応液を、イオン交換水に注いだ後、トルエンを用いて抽出を実施した。さらにトルエンを含む有機層をイオン交換水にて、5回繰り返し洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥した。その後、溶媒を留去し、得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)を用いて精製し、式(28)で表されるトリフェニルアミン誘導体25.9gを得た(収率77%)。
Figure 2005200358
(1)−5 ホルミル化トリフェニルアミン誘導体の合成
次いで、下記式(29)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体を、下記の反応式(8)に沿って実施した。
すなわち、500mlのフラスコ内に、式(28)で表されるトリフェニルアミン誘導体20g(0.033mol)と、ジメチルホルムアミド(DMF)100mlと、オキシ塩化リン酸7.35g(0.048mol)と、を収容して、70℃で、30分間攪拌した。その後、反応液を、イオン交換水400mlとトルエン200mlの混合液に滴下し、得られたトルエンを含む有機層をイオン交換水にて洗浄した。さらにその有機層に、無水硫酸ナトリウムおよび活性白土を加え、乾燥処理および吸着処理を施した後、トルエンを減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム溶媒)にて精製し、式(29)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体15.1gを得た(収率:73%)。
Figure 2005200358
(1)−6 ジリン酸エステル誘導体の合成
式(31)で表されるジリン酸エステル誘導体の合成を、下記の反応式(9)に沿って合成した。すなわち、500mlのフラスコ内に、式(30)で表される1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン52.5g(0.3mol)と、亜リン酸トリエチルエステル130g(0.78mol)と、を収容して、8時間以上還流した。その後、室温まで冷却して、析出結晶(白色)をろ別した。さらに、得られた結晶をn−へキサンを用いて洗浄した後、クロロホルム/n−ヘキサンを用いて再結晶させ、式(31)で表されるジリン酸エステル誘導体98.1gを得た(収率86.4%)。
Figure 2005200358
(1)−7 スチルベン誘導体の合成
次いで、式(12)で表されるスチルベン誘導体の合成を、下記の反応式(10)に沿って実施した。
すなわち、0℃に冷却した500mlの2つ口フラスコ内に、(1)−6で得られた式(31)で表されるジリン酸エステル2.08g(0.0055mol)を添加し、アルゴンガス置換した。その後、THF50mlと、28%NaOMe2.5g(0.013mol)と、を収容し、30分間攪拌した。次いで、このフラスコ内に、上述した式(29)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体6.8g(0.011mol)を溶解させた後、室温で約12時間撹拌し、反応させた。得られた反応液をイオン交換水500mlに注ぎ、トルエン抽出をおこなって、トルエンを含む有機層をイオン交換水にて5回洗浄した。その後、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥して、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン)で精製して、式(12)で表されるスチルベン誘導体5.58gを得た(収率76%)。
Figure 2005200358
(2)電子写真感光体の作成および評価
実施例1で得られた式(12)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A)を正孔輸送剤として、単層型の電子写真感光体を作成して、初期表面電位、半減露光量および残留電位を測定した。すなわち、正孔輸送剤として、得られたスチルベン誘導体を60重量部と、電荷発生剤として、下記式(32)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−A)を5重量部と、結着樹脂として、下記式(33)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−A)100重量部と、を溶媒としてのテトラヒドロフラン800重量部に対して添加した。次いで、ボールミルを用いて50時間混合分散して、単層型感光層用の塗布液を作成した。得られた塗布液を、導電性基材(アルミニウム素管)上に、ディップコート法にて塗布し、100℃、30分間の条件で熱風乾燥して、膜厚25μmの単層型感光層を有する電子写真感光体を得た。
次いで、得られた電子写真感光体における初期帯電電位(V)を、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて、初期表面電位(V)が700Vになるように帯電させて測定した。また、半減露光量(E1/2)については、ハロゲンランプの光からバンドパスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光強度:1.5μJ/cm2)を露光して、表面電位が1/2になるまでに要した時間を、感度特性の指標として測定した。さらに、残留電位については、露光開始から330msec経過した時点での表面電位を測定し、それを残留電位とした。それぞれ得られた結果を、表1に示す。
Figure 2005200358
Figure 2005200358
[実施例2〜4]
実施例2〜4においては、実施例1の塗布液中に、電子輸送材料として、式(19)、式(20)、および式(21)で表されるキノン誘導体(ETM−A〜C)をそれぞれ20重量部添加したほかは、実施例1と同様に単層型感光層を作成して、評価した。
[実施例5〜8]
実施例5〜8においては、実施例1〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)のかわりに、正孔輸送材料として、式(13)で表されるスチルベン誘導体(HTM−B)を用いたほかは、実施例1〜4と同様にそれぞれ単層型感光層を作成して、評価した。
[実施例9〜12]
実施例9〜12においては、実施例1〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)のかわりに、正孔輸送材料として、式(14)で表されるスチルベン誘導体(HTM−C)を用いたほかは、実施例1〜4と同様にそれぞれ単層型感光層を作成して、評価した。
Figure 2005200358
*:初期表面電位(V)、残留電位(Vr)および半減露光量(E1/2)の評価における×は、結晶化のため評価できなかったことを示している。
[実施例13]
実施例13においては、実施例1に準じて、式(15)で表されるスチルベン誘導体(HTM−D)を合成して、評価した。
(1) スチルベン誘導体(HTM−D)の合成
(1)−1 トリフェニルアミン誘導体の合成、
式(24)で表されるトリフェニルアミン誘導体の合成を、実施例1と同様に、反応式(4)に沿って実施した。
(1)−2 ホルミル化トリフェニルアミン誘導体の合成
次いで、式(25)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体の合成を、実施例1と同様に、反応式(5)に沿って実施した。
(1)−3 リンイリドの合成
次いで、式(27)で表されるリンイリドの合成を、実施例1と同様に、反応式(6)に沿って、同様の方法で実施した。
(1)−4 トリフェニルアミン誘導体
次いで、式(28)で表されるトリフェニルアミン誘導体を、実施例1と同様に、反応式(7)に沿って実施した。
(1)−5 ホルミル化トリフェニルアミン誘導体の合成
次いで、式(29)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体を、実施例1と同様に、反応式(8)に沿って実施した。
(1)−6 ジリン酸エステル誘導体の合成
式(35)で表されるジリン酸エステル誘導体の合成を、下記の反応式(11)に沿って合成した。すなわち、500mlのフラスコ内に、式(34)で表される4,4´−ビス(クロロメチル)ビフェニル75.0g(0.3mol)と、亜リン酸トリエチルエステル130g(0.78mol)と、を収容して、8時間以上還流した。その後、室温まで冷却して、析出結晶(白色)をろ別した。さらに、結晶をn−へキサンを用いて洗浄をおこなって、クロロホルム−n−ヘキサンを用いて再結晶させ、式(35)で表されるジリン酸エステル誘導体123gを得た(収率90%)。
Figure 2005200358
(1)−7 スチルベン誘導体の合成
次いで、式(15)で表されるスチルベン誘導体の合成を、下記の反応式(12)に沿って実施した。
すなわち、0℃に冷却した500mlの2つ口フラスコ内に、式(35)で表されるジリン酸エステル2.73g(0.006mol)を添加し、アルゴンガス置換した。その後、THF50mlと、28%NaOMe2.78g(0.014mol)と、を収容し、30分間攪拌した。次いで、このフラスコ内に、上述した式(29)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体7.5g(0.012mol)を添加した後、室温で約12時間撹拌しながら反応させた。得られた反応液をイオン交換水に注ぎ、トルエン抽出をおこなって、トルエンを含む有機層をイオン交換水にて5回洗浄した。その後、有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥して、溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:クロロホルム/ヘキサン)で精製して、式(15)で表されるスチルベン誘導体(HTM−D)6.2gを得た(収率73%)。
Figure 2005200358
(2)電子写真感光体の作成および評価
実施例1と同様に、式(15)で表されるスチルベン誘導体(HTM−D)を含む電子写真感光体を作成して、評価した。
[実施例14〜16]
実施例14〜16においては、実施例13の塗布液中に、電子輸送材料として、式(19)、式(20)、および式(21)で表されるキノン誘導体(ETM−A〜C)をそれぞれ20重量部添加したほかは、実施例13と同様に単層型感光層を作成して、評価した。
[実施例17〜20]
実施例17〜20においては、実施例13〜16で使用したスチルベン誘導体(HTM−D)のかわりに、正孔輸送材料として、式(16)で表されるスチルベン誘導体(HTM−E)を用いたほかは、実施例13〜16と同様にそれぞれ単層型感光層を作成して、評価した。
[実施例21〜24]
実施例21〜24においては、実施例13〜16で使用したスチルベン誘導体(HTM−D)のかわりに、正孔輸送材料として、式(17)で表されるスチルベン誘導体(HTM−F)を用いたほかは、実施例13〜16と同様にそれぞれ単層型感光層を作成して、評価した。
[比較例1〜4]
比較例1〜4においては、実施例1〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)のかわりに、正孔輸送材料として、下記式(36)で表されるスチルベン誘導体(HTM−G)を用いたほかは、実施例1〜4と同様にそれぞれ単層型感光層を作成した。しかしながら、成膜直後に、単層型感光層が結晶化してしまい、評価を中止した。
Figure 2005200358
[比較例5〜8]
比較例5〜8においては、実施例1〜4で使用したスチルベン誘導体(HTM−A)のかわりに、正孔輸送材料として、下記式(37)で表されるスチルベン誘導体(HTM−H)を用いたほかは、実施例1〜4と同様にそれぞれ単層型感光層を作成した。しかしながら、成膜直後に、単層型感光層が結晶化してしまい、評価を中止した。
Figure 2005200358
[比較例9〜12]
比較例9〜12においては、実施例13〜16で使用したスチルベン誘導体(HTM−D)のかわりに、正孔輸送材料として、下記式(38)で表されるスチルベン誘導体(HTM−I)を用いたほかは、実施例13〜16と同様にそれぞれ単層型感光層を作成した。しかしながら、成膜直後に、単層型感光層が結晶化してしまい、評価を中止した。
Figure 2005200358
[比較例13〜16]
比較例13〜16においては、実施例13〜16で使用したスチルベン誘導体(HTM−D)のかわりに、正孔輸送材料として、下記式(39)で表されるスチルベン誘導体(HTM−J)を用いたほかは、実施例13〜16と同様にそれぞれ単層型感光層を作成した。しかしながら、成膜直後に、単層型感光層が結晶化してしまい、評価を中止した。
Figure 2005200358
Figure 2005200358
*:初期表面電位(V)、残留電位(Vr)および半減露光量(E1/2)の評価における×は、結晶化のため評価できなかったことを示している。
以上詳述したように、本発明のスチルベン誘導体は、分子末端のトリフェニルアミノ基におけるフェニル構造に特定の置換基を有することにより、結着樹脂との相溶性が高く、かつ高い電荷輸送能(正孔輸送能)を有している。また、本発明の電子写真感光体は、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を正孔輸送剤として用いることから、所定の耐久性および感度を有している。したがって、本発明の電子写真感光体は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置の高速化、高性能化等に寄与することが期待される。
また、一般式(1)で表されるスチルベン誘導体は、高い正孔輸送能を有することから、電子写真感光体における正孔輸送剤として好適に使用されるほか、太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子等の種々の分野での利用が可能である。
(a)〜(c)は、単層型感光体の基本構造および変形構造を説明するために供する図である。 (a)〜(b)は、積層型感光体の基本構造および変形構造を説明するために供する図である。 電子写真感光体を備えた画像形成装置を説明するために供する図である。
符号の説明
10:単層型感光体
12:導電性基体
14:感光層
16:バリア層
18:保護層
20:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
30:複写機
31:画像形成ユニット
31a:画像形成部
31b:給紙部
32:排紙ユニット
33:画像読取ユニット
33a:光源
33b:光学素子
34:原稿給送ユニット
34a:原稿載置トレイ
34b:原稿給送機構
34c:原稿排出トレイ
41:感光体ドラム
42:帯電器
43:露光源
44:現像器
45:転写ローラ
46:クリーニング装置

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とするスチルベン誘導体。
    Figure 2005200358

    (一般式(1)中、Aは、置換または非置換の芳香族環を含む二価の有機基であり、R1〜R18は、互いに独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜12の置換または非置換のアラルキル基、炭素数3〜10の置換または非置換のシクロアルキル基、または炭素数1〜6の置換または非置換のアルコキシ基である。ただし、R1〜R18の少なくとも二つが結合または縮合して、炭素環基または複素環基を形成しても良い。)
  2. 前記一般式(1)中のAが、下記式(2)で表される炭素環構造またはヘテロ環構造であることを特徴とする請求項1に記載のスチルベン誘導体。
    Figure 2005200358

    (式(2)中、R19およびR20は互いに独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜12の置換または非置換のアラルキル基、炭素数1〜6の置換または非置換のアルコキシ基、または置換または非置換のアミノ基である。)
  3. 下記反応式(1)で表されるスチルベン誘導体の製造方法であって、一般式(3)および一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体と、一般式(5)で表されるジリン酸エステル誘導体とを、塩基の存在下に反応させることを特徴とするスチルベン誘導体の製造方法。
    Figure 2005200358

    (反応式(1)中、Aは、置換または非置換の芳香族環を含む二価の有機基であり、R1〜R18は、互いに独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜12の置換または非置換のアラルキル基、炭素数3〜10の置換または非置換のシクロアルキル基、または炭素数1〜6の置換または非置換のアルコキシ基である。ただし、R1〜R18の少なくとも二つが結合または縮合して、炭素環基または複素環基を形成しても良い。)
  4. 前記一般式(3)または一般式(4)で表されるホルミル化トリフェニルアミン誘導体として、下記一般式(6)で表されるアニリン誘導体を原料とした、二段階のフィルスマイヤー(Vilsmeier)法およびウィッチヒ(Wittig)反応により得られたホルミル化トリフェニルアミン誘導体を使用することを特徴とする請求項3に記載のスチルベン誘導体の製造方法。
    Figure 2005200358

    (一般式(6)中のR9は、反応式(1)中のR9と同様の内容である。また、一般式(4)のホルミル化トリフェニルアミン誘導体の場合は、一般式(6)中のR9のかわりにR10になる。)
  5. 導電性基体上に感光層を設けた電子写真感光体であって、前記感光層が、正孔輸送剤として、下記一般式(1)で表されるスチルベン誘導体を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2005200358

    (一般式(1)中、Aは、置換または非置換の芳香族環を含む二価の有機基であり、R1〜R18は、互いに独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜12の置換または非置換のアラルキル基、炭素数3〜10の置換または非置換のシクロアルキル基、または炭素数1〜6の置換または非置換のアルコキシ基である。ただし、R1〜R18の少なくとも二つが結合または縮合して、炭素環基または複素環基を形成しても良い。)
  6. 前記感光層が、電荷発生剤および電子輸送剤をさらに含有した単層型であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
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