JP4155115B2 - スタータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、出力軸を軸方向に押し出して、その出力軸上に配置されるピニオンをリングギヤに噛み合わせる方式のスタータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、例えば特許文献1に記載されたスタータがある。
このスタータは、図7に示す様に、内周に雌ヘリカルスプライン100が設けられたスプラインチューブ110と、軸上に設けられた雄ヘリカルスプライン120が雌ヘリカルスプライン100に係合してスプラインチューブ110内に挿通された出力軸130と、この出力軸130の端部に支持されたピニオン140等を備え、電磁スイッチ(図示せず)の作動により出力軸130が図示左方向へ押し出されると、出力軸130と一体にピニオン140が移動して、エンジンのリングギヤ(図示せず)に噛み合う方式である。
【0003】
【特許文献1】
実公昭55−45900号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のスタータでは、出力軸130と一体に移動したピニオン140がリングギヤに衝突して噛み合うことが出来ないと、モータ(図示せず)の回転力でピニオン140が強制的に回され、且つ電磁スイッチに内蔵されるドライブスプリングの反力でピニオン140が強引にリングギヤに噛み合わされる。この方式は、ドライブスプリング方式と呼ばれる。その結果、ピニオン140及びリングギヤの摩耗が増大する、あるいは欠けが生じるため、ピニオン140とリングギヤとの噛み合い性が低下し、それらの耐久性が悪いという問題があった。本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、ピニオンとリングギヤとの噛み合い性を長期に渡って良好に維持でき、信頼性の高いスタータを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の発明)
本発明のスタータは、シフトレバーの一端側にドライブスプリングが配され、シフトレバーの他端側にピニオンスプリングが配され、ピニオンがリングギヤに噛み合うことなく、リングギヤと軸方向に衝突した後、メイン接点が閉じる前に、ピニオンが1/2ピッチ回転する間にリングギヤと噛み合い可能な位置まで回転した時点で、ピニオンスプリングの反力によりピニオンを押し込んでリングギヤに噛み合わせる第1の噛合手段と、この第1の噛合手段により、ピニオンとリングギヤとの噛み合いが出来なかった場合に、メイン接点が閉じてモータが回転することにより、ピニオンがリングギヤと噛み合い可能な位置まで回転した時点で、ドライブスプリングの反力とピニオンスプリングの反力とを合わせた合成反力により、ピニオンを押し込んでリングギヤに噛み合わせる第2の噛合手段とを有している。
【0006】
第1の噛合手段によれば、モータのメイン接点が閉じる前に、ピニオンスプリングの反力だけでピニオンをリングギヤに噛み合わせることができるので、ピニオンとリングギヤとの噛み合い荷重を小さくできる(噛み合いをソフトに行うことができる)。その結果、従来のドライブスプリング方式と比較すると、ピニオン及びリングギヤの摩耗や欠け等を大幅に低減できるので、ピニオンとリングギヤとの噛み合い性を長期に渡って良好に維持できる。
【0007】
また、第1の噛合手段によりピニオンとリングギヤとの噛み合いが出来なかった場合でも、その後、メイン接点が閉じてモータが回転することにより、第2の噛合手段の働きによってピニオンをリングギヤに噛み合わせることができる。これにより、ピニオンとリングギヤとの噛み合い不良を防止でき、信頼性の高いスタータを実現できる。
【0008】
また、第1のスプライン結合は、スプラインチューブの内周に設けられたヘリカルスプラインと、出力軸上に設けられたヘリカルスプラインとが噛み合うヘリカルスプライン結合であり、第2のスプライン結合は、出力軸上に設けられた直スプラインと、ピニオンの内周に設けられた直スプラインとが噛み合う直スプライン結合であることを特徴とする。
【0011】
さらに、ピニオンスプリングのばね定数及び初期荷重が、ドライブスプリングのばね定数及び初期荷重よりそれぞれ小さく設定されていることを特徴とする。
これにより、ピニオンがリングギヤと噛み合うことなく、リングギヤに衝突した後、モータのメイン接点が閉じる前に、ピニオンを1/2ピッチ以上回転させることができ、それに伴いピニオンスプリングに反力を蓄えることができる。その結果、ピニオンがリングギヤと噛み合い可能な位置まで回転した時に、ピニオンスプリングの反力によってピニオンを押し込んでリングギヤに噛み合わせることが可能である。
加えて、出力軸は、スプラインチューブ内に挿入される一端側に空間が形成されていることを特徴とする。
これにより、出力軸を軽量化できるので、ピニオンとリングギヤとの噛み合い性を向上させることができ、且つ電磁スイッチの小型化(特に、電磁スイッチに内蔵されるソレノイドの小型化)も可能になる。また、出力軸の一端側に形成された空間に潤滑材を保持させることにより、スプライン部の潤滑を良好に保つことが可能になる。
【0012】
(請求項の発明)
請求項1に記載したスタータにおいて、
スプラインチューブは、軸方向に移動不能に支持され、このスプラインチューブに対して出力軸が軸方向に移動可能に設けられていることを特徴とする。
この構成では、電磁スイッチの作用によって出力軸を押し出す際に、スプラインチューブが移動することがないので、移動する質量を軽くできる。その結果、ピニオンとリングギヤとの噛み合い性を向上させることができ、且つ電磁スイッチの小型化(特に、電磁スイッチに内蔵されるソレノイドの小型化)も可能になる。
【0014】
(請求項の発明)
請求項1または2に記載した何れかのスタータにおいて、
ピニオンは、出力軸に対する反リングギヤ方向への移動量が、ピニオンスプリングが全圧縮した状態によって規制されることを特徴とする。
この構成によれば、ピニオンスプリング以外に、ピニオンの後退量(反リングギヤ方向への移動量)を規制する後退規制部品を設置する必要がないので、その分、小型軽量化及びコストダウンが可能になる。
【0015】
(請求項の発明)
請求項1〜に記載した何れかのスタータにおいて、
スプラインチューブをクラッチインナとして形成する一方向クラッチと、モータの回転速度を減速して一方向クラッチに伝達する遊星ギヤ減速装置とを備えることを特徴とする。
減速型スタータは、モータの回転トルクを増大して出力軸に伝達するため、従来のドライブスプリング方式では、ピニオン及びリングギヤの摩耗がより大きくなる。これに対し、本発明のスタータは、モータが回転する前に、ピニオンスプリングの反力でピニオンを押し込んでリングギヤに噛み合わせることができる第1の噛合手段を有しているので、減速型スタータに対して極めて効果的である。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1はスタータ1の部分断面図である。
スタータ1は、回転力を発生するモータ2と、このモータ2の回転速度を減速する減速装置(下述する)と、この減速装置で減速された回転を出力軸3に伝達する一方向クラッチ4と、出力軸3の端部に支持されるピニオン5と、モータ2のメイン接点(後述する)を開閉すると共に、シフトレバー6を介して出力軸3を軸方向に移動させる電磁スイッチ7等より構成される。
【0017】
モータ2は、界磁8の内周でアーマチャ9が回転する周知の直流電動機であり、電磁スイッチ7の作動によりメイン接点が閉じると、車載バッテリ31(図2〜図5参照)からアーマチャ9に通電されて、そのアーマチャ9に回転力が発生する。
減速装置は、モータ2の回転軸9aに形成されたサンギヤ10と、このサンギヤ10と同心に配置されるリング状のインターナルギヤ11、及び両ギヤ10、11に噛み合う複数の遊星ギヤ12とで構成され、この遊星ギヤ12の公転運動が、遊星ギヤ12を回転自在に支持するギヤ軸13を介してキャリア部14に伝達される。
【0018】
一方向クラッチ4は、周知のローラ式クラッチであり、クラッチアウタ4a、ローラ4b、及びクラッチインナ(本発明のスプラインチューブ)4c等から構成される。
クラッチアウタ4aは、上記キャリア部14と一体に設けられ、遊星ギヤ12の公転運動と共に回転する。
ローラ4bは、クラッチアウタ4aの内側に形成されたカム室(図示せず)に配設され、クラッチアウタ4aが回転すると、カム室の内壁面とクラッチインナ4cの外周面との間に挟持されて、クラッチアウタ4aからクラッチインナ4cへトルク伝達を行う。
【0019】
クラッチインナ4cは、ローラ4bとの接触面より軸方向反モータ側(図示左側)に軸受部が一体に設けられ、この軸受部の外周に配置されたベアリング15を介してセンタケース16に回転自在に支持されている。円筒形状を有するクラッチインナ4cの内周には、雌ヘリカルスプライン4dが形成され、更に軸受部の径方向内側に、出力軸3の移動量(図示左方向への移動量)を規制するストッパ17が設けられている。
この一方向クラッチ4は、電磁スイッチ7の作用により、シフトレバー6を介して出力軸3に反モータ方向(図示左方向)へ押し出す力が加わった時に、クラッチインナ4cが回転しない様に保持できるだけの保持トルクが与えられている。
【0020】
センタケース16は、モータ2のヨーク8a(界磁8の磁気回路)と、エンジンへの取付けフランジを有するハウジング18との間に配置され、減速装置と一方向クラッチ4の外周を覆っている。
【0021】
出力軸3は、軸受19を介してハウジング18に回転自在に支持されると共に、自身の後端側(軸方向モータ側)がクラッチインナ4cの内周に挿入され、その軸上に形成された雄ヘリカルスプライン3aが雌ヘリカルスプライン4dに噛み合わされている。また、出力軸3の前端部には、軸上に直スプライン3bが形成されている。更に、出力軸3には、クラッチインナ4cの内周に挿入される後端側の径方向中央部に空間(いわゆる肉盗み)3cが形成され、その空間3cに潤滑材が保持されている。なお、図1において、出力軸3の中心線より上側は、スタータ1の静止状態を示し、中心線より下側は、スタータ1の駆動状態(ピニオン5がエンジンのリングギヤ20に噛み合った状態)を示している。
【0022】
ピニオン5は、自身の内周に直スプライン(図示せず)が形成され、この直スプラインが出力軸3の直スプライン3bに結合して出力軸3と一体に回転可能に設けられると共に、出力軸3に対して軸方向に所定距離だけ移動可能に支持されている。
ピニオン5の内周には、出力軸3に対してピニオン5をエンジンのリングギヤ20方向(図示左方向)へ付勢するピニオンスプリング21が配設されている。出力軸3の先端部には、ピニオン5の前進移動量(図示左方向への移動量)を規制するカラー22が保持されている。また、ピニオン5の後退移動量は、ピニオンスプリング21が完全に圧縮された時(全圧縮された状態)に、その全圧縮されたピニオンスプリング21によって規制される。
【0023】
ここで、クラッチインナ4cの雌ヘリカルスプライン4dと出力軸3の雄ヘリカルスプライン3aとが噛み合う第1のスプライン結合部、及び出力軸3の直スプライン3bとピニオン5の直スプラインとが噛み合う第2のスプライン結合部は、ピニオン5がリングギヤ20に噛み合うことなくピニオン5とリングギヤ20とが軸方向に衝突した状態から、モータ2のメイン接点が閉じる前に、ピニオン5が、出力軸3の移動に伴い、自身の周方向に隣り合う歯と歯の間隔の1/2ピッチ以上の回転を許容できる様に、各スプライン部の長さ及び捩じり角が設定されている。
【0024】
電磁スイッチ7は、始動スイッチ28(図2〜図5参照)の閉操作(オン)によって通電されるソレノイド23と、このソレノイド23への通電により発生する磁力を受けて、ソレノイド23の内側を図1の右方向へ吸引されるプランジャ24と、ソレノイド23への通電が停止して磁力が消滅した時に、プランジャ24を押し戻すためのリターンスプリング25と、プランジャ24の内部に挿入されて、シフトレバー6が連結されるフック26等より構成され、プランジャ24とフック26との間にドライブスプリング27が配設されている。なお、図1において、プランジャ24の中心線より上側は、電磁スイッチ7の静止状態(スタータ1の静止状態)を示し、中心線より下側は、電磁スイッチ7の作動状態(モータ2のメイン接点が閉じている状態)を示している。
【0025】
上記のピニオンスプリング21とドライブスプリング27は、ピニオン5がリングギヤ20に噛み合うことなく、リングギヤ20に衝突して移動が停止した後、ドライブスプリング27よりピニオンスプリング21の方が先に圧縮する様に、シフトレバー6のレバー比を考慮して、両者のばね定数及び初期荷重が設定されている。本実施形態では、ドライブスプリング27の方がピニオンスプリング21よりばね定数及び初期荷重がそれぞれ大きく設定されている。
【0026】
モータ2のメイン接点は、図2〜図5に示す様に、モータ2の通電回路に設けられる一組の固定接点29と、プランジャ24の移動に連動して(またはプランジャ24と一体に)可動する可動接点30とで構成され、この可動接点30が一組の固定接点29に当接して、両固定接点29間が導通することにより閉状態(オン状態)となり、可動接点30が一組の固定接点29から離れることで開状態(オフ状態)となる。なお、電磁スイッチ7には、可動接点30が一組の固定接点29に当接した後、その一組の固定接点29に対し可動接点30を付勢して、両接点29、30間に所定の接点圧を付与する接点圧スプリング(図示せず)が内蔵されている。
【0027】
次に、スタータ1の作動を図2〜図6に基づいて説明する。なお、図2〜図5は、スタータ1の作動を説明する模式的な構成図である。また、図6は、プランジャストロークと荷重(反力)との関係を示すグラフであり、図中に記載したa〜fの記号は、スタータ1の各動作位置を示すものであり、F1〜F5の記号は、F1:電磁スイッチ7のプランジャ吸引力、F2:リターンスプリング25の荷重、F3:ピニオンスプリング21の荷重、F4:ドライブスプリング27の荷重、F5:接点圧スプリングの荷重を示すものである。
【0028】
図2に示すスタータ1の静止状態から、始動スイッチ28の閉操作により電磁スイッチ7のソレノイド23が通電されると、プランジャ24が吸引されて図2の右方向へ移動することにより、シフトレバー6を介して出力軸3に反モータ方向へ押し出す力が作用する。これにより、出力軸3は、自身の雄ヘリカルスプライン3aがクラッチインナ4cの雌ヘリカルスプライン4dに噛み合って回転しながら反モータ方向へ移動する(図6のa点を起点として図示左方向へ動き出す)。
【0029】
この後、ピニオン5がリングギヤ20に衝突することなく、スムーズに噛み合う場合と、ピニオン5がリングギヤ20に衝突してピニオン5の移動が停止した場合とに分けて説明する。
a)出力軸3の移動と共に、ピニオン5がスムーズにリングギヤ20に噛み合うと、電磁スイッチ7に内蔵される接点圧スプリングの荷重F5を受けてモータ2のメイン接点が閉じることにより、アーマチャ9に回転力が発生する。このアーマチャ9の回転速度が減速装置で減速された後、一方向クラッチ4を介して出力軸3に伝達される。その結果、出力軸3がモータ2に駆動されて回転することにより、図5に示す様に、出力軸3の回転がピニオン5からリングギヤ20に伝達されてエンジンをクランキングさせる。
【0030】
b)一方、図3に示す様に、ピニオン5とリングギヤ20とが軸方向に衝突してピニオン5の移動が停止する(図6のb点)と、ピニオンスプリング21を押し縮めながら出力軸3だけが更に移動することにより、第1のスプライン結合部及び第2のスプライン結合部の作用により、ピニオン5が出力軸3上を相対的に後退する(図6のb点からc点へ移動する)。このピニオン5の後退量Lは、モータ2のメイン接点が閉じる前に、自身の周方向に隣り合う歯と歯の間隔(ピッチ)の1/2ピッチ以上回転できる量に相当する。
【0031】
即ち、ピニオン5は、リングギヤ20に衝突した後、モータ2のメイン接点が閉じる前に、出力軸3上を後退して1/2ピッチ以上回転できるので、リングギヤ20に衝突した位置(図6のb点)から、リングギヤ20と噛み合い可能な位置(図6のd点)まで回転することができる。その結果、ピニオン5がリングギヤ20と噛み合い可能な位置まで回転すると、ピニオンスプリング21の反力F3によりピニオン5が押し出されて、リングギヤ20に噛み合うことができる(図6のe点:本発明の第1の噛合手段)。
【0032】
c)また、メイン接点が閉じる前に、例えば、ピニオン5とリングギヤ20のエッジ同士が干渉して噛み合いが出来なかった場合は、図4に示す様に、メイン接点が閉じてモータ2が回転することにより、ピニオン5がリングギヤ20と噛み合い可能な位置まで回転した時点(図6のf点)で、ピニオンスプリング21の反力F3と電磁スイッチ7に内蔵されるドライブスプリング27の反力F4とを合わせた合成反力によりピニオン5をリングギヤ20に押し込んで噛み合わせることができる(本発明の第2の噛合手段)。
【0033】
(本実施形態に記載したスタータ1の効果)
上記のスタータ1は、ピニオン5がリングギヤ20に衝突した後、モータ2のメイン接点が閉じる前に、ピニオンスプリング21の反力F3によってピニオン5をリングギヤ20に噛み合わせることが可能であり、約98%の確率で噛み合わせることができる。この場合、ピニオン5がモータ2によって回されることはなく、且つドライブスプリング27の反力F4も受けないので、ピニオン5とリングギヤ20との噛み合い荷重を小さくでき、噛み合いをソフトに行うことができる。その結果、従来のドライブスプリング方式と比較すると、ピニオン5及びリングギヤ20の摩耗や欠け等を大幅に低減できるので、両者の耐久性が向上し、噛み合い性を長期に渡って良好に維持できる。
【0034】
万が一、ピニオン5とリングギヤ20のエッジ同士が干渉して噛み合いが出来ない場合(約2%の確率で起こり得る)でも、メイン接点が閉じてモータ2が回転することにより、ピニオン5がリングギヤ20と噛み合い可能な位置まで回転した時点で、ピニオンスプリング21の反力F3とドライブスプリング27の反力F4とを合わせた合成反力により、ピニオン5をリングギヤ20に押し込んで噛み合わせることができる。これにより、ピニオン5とリングギヤ20との噛み合い不良を防止でき、ピニオン5とリングギヤ20とを確実に噛み合わせることができるので、信頼性の高いスタータ1を実現できる。
【0035】
また、上記のスタータ1は、クラッチインナ4cに対して出力軸3が軸方向に移動する構成であり、電磁スイッチ7によって出力軸3を押し出す際に、一方向クラッチ4が移動しない。更に、出力軸3は、自身の後端側に空間3cを形成することで軽量化を実現している。その結果、一方向クラッチ4が移動しないことに合わせて、移動する質量を軽くできるので、ピニオン5とリングギヤ20との噛み合い性を更に向上させることができ、且つ電磁スイッチ7の小型化(特にソレノイド23の小型化)も可能になる。また、出力軸3に形成した空間3cに潤滑材を保持させることにより、第1のスプライン結合部の潤滑を良好に保つことが可能になる。
【0036】
本実施形態では、遊星ギヤ減速装置によってモータ2の回転速度を減速する減速型スタータ1を記載しているが、この減速型スタータ1は、モータ2の回転トルクを増大して出力軸3に伝達するため、噛み合い方式として従来のドライブスプリング方式を採用した場合には、ピニオン5及びリングギヤ20の摩耗がより大きくなる。これに対し、本実施形態の方式では、モータ2が回転する前に、ピニオンスプリング21の反力でピニオン5を押し込んでリングギヤ20に噛み合わせることが可能であり、減速型スタータ1に対して極めて有効である(ピニオン5とリングギヤ20との摩耗及び欠けを防止できる)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1実施形態のスタータの部分断面図である。
【図2】本発明を適用した第1実施形態のスタータの作動(スタータ静止状態)を説明する模式的な構成図である。
【図3】本発明を適用した第1実施形態のスタータの作動(ピニオン後退時)を説明する模式的な構成図である。
【図4】本発明を適用した第1実施形態のスタータの作動(メイン接点オン時)を説明する模式的な構成図である。
【図5】本発明を適用した第1実施形態のスタータの作動(スタータ駆動時)を説明する模式的な構成図である。
【図6】本発明を適用した第1実施形態のプランジャストロークと荷重との関係を示すグラフである。
【図7】従来技術に係わるスタータの部分断面図である。
【符号の説明】
1 スタータ
2 モータ
3 出力軸
3a 雄ヘリカルスプライン(スプライン部)
3b 直スプライン(スプライン部)
3c 空間
4 一方向クラッチ
4a クラッチアウタ
4b ローラ
4c クラッチインナ(スプラインチューブ)
4d 雌ヘリカルスプライン(スプライン部)
5 ピニオン
7 電磁スイッチ
20 リングギヤ
21 ピニオンスプリング
27 ドライブスプリング
29 一組の固定接点(メイン接点)
30 可動接点(メイン接点)

Claims (4)

  1. 回転力を発生するモータと、
    このモータの回転力が伝達されて回転するスプラインチューブと、
    自身の一端側が前記スプラインチューブ内に挿入され、互いのスプライン部同士が噛み合う第1のスプライン結合によって前記スプラインチューブに支持される出力軸と、
    この出力軸の他端側軸上に配置され、互いのスプライン部同士が噛み合う第2のスプライン結合によって前記出力軸に支持されるピニオンと、
    このピニオンをエンジンのリングギヤ方向へ付勢するピニオンスプリングと、
    前記出力軸を軸方向に移動させる力を発生すると共に、シフトレバーを介して前記出力軸を軸方向に移動させ、前記モータのメイン接点を開閉する働きを有する電磁スイッチと、
    前記出力軸と前記電磁スイッチとの間に配設されるドライブスプリングとを備え、
    前記シフトレバーの一端側に前記ドライブスプリングが配され、前記シフトレバーの他端側に前記ピニオンスプリングが配されるスタータであって、
    前記第1のスプライン結合は、前記スプラインチューブの内周に設けられたヘリカルスプラインと、前記出力軸上に設けられたヘリカルスプラインとが噛み合うヘリカルスプライン結合であり、
    前記第2のスプライン結合は、前記出力軸上に設けられた直スプラインと、前記ピニオンの内周に設けられた直スプラインとが噛み合う直スプライン結合であり、
    前記ピニオンがリングギヤに噛み合うことなく前記ピニオンと前記リングギヤとが軸方向に衝突した状態から、前記メイン接点が閉じる前に、前記ピニオンが、前記出力軸の移動に伴い、自身の周方向に隣り合う歯と歯の間隔の1/2ピッチ以上の回転を許容できる様に、前記第1のスプライン結合にて噛み合う前記スプライン部の長さ及び捩じり角が設定され、前記ピニオンが前記リングギヤに噛み合うことなく、前記リングギヤに衝突した後、前記メイン接点が閉じる前に、前記ピニオンが前記1/2ピッチ回転する間に前記リングギヤと噛み合い可能な位置まで回転した時点で、前記ピニオンスプリングの反力により前記ピニオンを押し込んで前記リングギヤに噛み合わせる第1の噛合手段と、
    この第1の噛合手段により、前記ピニオンと前記リングギヤとの噛み合いが出来なかった場合に、前記メイン接点が閉じて前記モータが回転することにより、前記ピニオンが前記リングギヤと噛み合い可能な位置まで回転した時点で、前記ドライブスプリングの反力と前記ピニオンスプリングの反力とを合わせた合成反力により、前記ピニオンを押し込んで前記リングギヤに噛み合わせる第2の噛合手段とを有し、
    前記ピニオンスプリングのばね定数及び初期荷重が、前記ドライブスプリングのばね定数及び初期荷重よりそれぞれ小さく設定され
    前記出力軸は、前記スプラインチューブ内に挿入される前記一端側に空間が形成されていることを特徴とするスタータ。
  2. 請求項1に記載したスタータにおいて、
    前記スプラインチューブは、軸方向に移動不能に支持され、このスプラインチューブに対して前記出力軸が軸方向に移動可能に設けられていることを特徴とするスタータ。
  3. 請求項1または2に記載した何れかのスタータにおいて、
    前記ピニオンは、前記出力軸に対する反リングギヤ方向への移動量が、前記ピニオンスプリングが全圧縮した状態によって規制されることを特徴とするスタータ。
  4. 請求項1〜3に記載した何れかのスタータにおいて、
    前記スプラインチューブをクラッチインナとして形成する一方向クラッチと、前記モータの回転速度を減速して前記一方向クラッチに伝達する遊星ギヤ減速装置とを備えることを特徴とするスタータ
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