JP2013029030A - スタータ - Google Patents
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Abstract
【課題】外径を大きくすることなく強度を高めることができるサンギヤを提供する。
【解決手段】スタータには、第1、第2の遊星歯車減速機が直列二段に配置される。後段側である第2の遊星歯車減速機に用いられるサンギヤ27は、前段側である第1の遊星歯車減速機の出力軸とは別体に設けられ、その出力軸の外周に直スプライン嵌合して着脱可能に取り付けられる。つまり、サンギヤ27の内周には、出力軸の外周に形成される外スプラインに嵌合する内スプライン27aが形成されている。この内スプライン27aの径方向内側に突き出る凸部を内スプライン歯27bと定義し、周方向に隣り合う内スプライン歯27b同士の間で径方向外側に窪む凹部を内スプライン溝27cと定義した時に、サンギヤ27の歯数と内スプライン歯27bの歯数とが同一に設定され、且つ、内スプライン溝27cの周方向位置がサンギヤ27の歯元厚さの範囲内に設定されている。
【選択図】図2
【解決手段】スタータには、第1、第2の遊星歯車減速機が直列二段に配置される。後段側である第2の遊星歯車減速機に用いられるサンギヤ27は、前段側である第1の遊星歯車減速機の出力軸とは別体に設けられ、その出力軸の外周に直スプライン嵌合して着脱可能に取り付けられる。つまり、サンギヤ27の内周には、出力軸の外周に形成される外スプラインに嵌合する内スプライン27aが形成されている。この内スプライン27aの径方向内側に突き出る凸部を内スプライン歯27bと定義し、周方向に隣り合う内スプライン歯27b同士の間で径方向外側に窪む凹部を内スプライン溝27cと定義した時に、サンギヤ27の歯数と内スプライン歯27bの歯数とが同一に設定され、且つ、内スプライン溝27cの周方向位置がサンギヤ27の歯元厚さの範囲内に設定されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、モータの回転を減速する遊星歯車減速機を備えたスタータに関する。
従来技術として、特許文献1に記載されたスタータがある。
このスタータは、モータの回転を二段階に減速する減速手段を備えている。
減速手段は、モータの電機子軸上に第1の太陽歯車を有する第1の遊星歯車減速機と、この第1の遊星歯車減速機の出力軸上に第2の太陽歯車を有する第2の遊星歯車減速機とで構成される。また、第2の太陽歯車は、第1の遊星歯車減速機の出力軸と別体に設けられ、且つ、出力軸の外周に直スプライン嵌合して着脱可能に取り付けられている。
上記の構成によれば、第2の遊星歯車減速機の減速比を変更する場合に、第1の遊星歯車減速機の出力軸を取り替える必要はなく、出力軸に着脱可能に取り付けられている第2の太陽歯車を出力軸から取り外して、他の太陽歯車と取り替えることができるので、第1の遊星歯車減速機の出力軸を共通化できるメリットがある。
このスタータは、モータの回転を二段階に減速する減速手段を備えている。
減速手段は、モータの電機子軸上に第1の太陽歯車を有する第1の遊星歯車減速機と、この第1の遊星歯車減速機の出力軸上に第2の太陽歯車を有する第2の遊星歯車減速機とで構成される。また、第2の太陽歯車は、第1の遊星歯車減速機の出力軸と別体に設けられ、且つ、出力軸の外周に直スプライン嵌合して着脱可能に取り付けられている。
上記の構成によれば、第2の遊星歯車減速機の減速比を変更する場合に、第1の遊星歯車減速機の出力軸を取り替える必要はなく、出力軸に着脱可能に取り付けられている第2の太陽歯車を出力軸から取り外して、他の太陽歯車と取り替えることができるので、第1の遊星歯車減速機の出力軸を共通化できるメリットがある。
上記の特許文献1に記載されたスタータは、モータの出力トルクが第1の遊星歯車減速機で増幅された後、第2の遊星歯車減速機で更に増幅される。つまり、第2の遊星歯車減速機に使用される第2の太陽歯車には、第1の遊星歯車減速機で増幅されたトルクが加わるため、第1の太陽歯車と比較して、より大きなトルクに耐え得るだけの強度を持たせる必要がある。しかし、第1の遊星歯車減速機の出力軸上に直スプライン嵌合する第2の太陽歯車は、内周に内スプラインが形成され、この内スプラインの歯数と第2の太陽歯車の歯数とが異なっている(内スプラインの歯数の方が第2の太陽歯車の歯数より多い)。
ここで、内スプラインの径方向内側に突き出る凸部を内スプライン歯と定義した時に、内スプライン歯の先端(径方向の内端)を内スプライン歯の歯先と呼び、周方向に隣り合う内スプライン歯同士の間に形成される凹部を内スプライン溝と呼ぶ。
上記のように、内スプラインの歯数と第2の太陽歯車の歯数とが異なると、第2の太陽歯車の歯底と内スプライン溝とが肉厚方向に対向する薄肉部と、第2の太陽歯車の歯底と内スプライン歯の歯先とが肉厚方向に対向する厚肉部とが生じる。よって、第2の太陽歯車は、薄肉部を基準に強度設計を行う必要があり、強度を高めるためには、薄肉部の肉厚を大きくする必要がある。
上記のように、内スプラインの歯数と第2の太陽歯車の歯数とが異なると、第2の太陽歯車の歯底と内スプライン溝とが肉厚方向に対向する薄肉部と、第2の太陽歯車の歯底と内スプライン歯の歯先とが肉厚方向に対向する厚肉部とが生じる。よって、第2の太陽歯車は、薄肉部を基準に強度設計を行う必要があり、強度を高めるためには、薄肉部の肉厚を大きくする必要がある。
すなわち、薄肉部の肉厚を大きくすることは、第2の太陽歯車全体の肉厚を大きくすることになり、その分、第2の太陽歯車の外径(歯先円直径)が大きくなる。その結果、第2の遊星歯車減速機が径方向に大型化するため、車両へのスタータの搭載性が悪くなるという問題を生じる。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、外径を大きくすることなく強度を高めることができる第2の太陽歯車を採用することで、第2の遊星歯車減速機が径方向に大型化することを防止できるスタータを提供することにある。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、外径を大きくすることなく強度を高めることができる第2の太陽歯車を採用することで、第2の遊星歯車減速機が径方向に大型化することを防止できるスタータを提供することにある。
(請求項1の発明)
本発明は、モータの回転を減速する遊星歯車減速機を備え、この遊星歯車減速機で増幅されたモータの出力トルクをエンジンのクランク軸に伝達してエンジンの始動を行うスタータであって、遊星歯車減速機は、モータの回転を出力する回転軸上に太陽歯車を有し、この太陽歯車が回転軸とは別体に設けられた平歯車によって形成され、且つ、回転軸の外周に軸方向に沿って形成される外スプラインと、太陽歯車の内周に軸方向に沿って形成される内スプラインとが嵌合して回転軸に着脱可能に取り付けられ、内スプラインの径方向内側に突き出る凸部を内スプライン歯と定義し、周方向に隣り合う内スプライン歯同士の間で径方向外側に窪む凹部を内スプライン溝と定義した時に、太陽歯車は、自身の歯数と内スプライン歯の歯数とが同一に設定され、且つ、内スプライン溝の周方向位置が太陽歯車の歯元厚さの範囲内に設定されていることを特徴とする。
本発明は、モータの回転を減速する遊星歯車減速機を備え、この遊星歯車減速機で増幅されたモータの出力トルクをエンジンのクランク軸に伝達してエンジンの始動を行うスタータであって、遊星歯車減速機は、モータの回転を出力する回転軸上に太陽歯車を有し、この太陽歯車が回転軸とは別体に設けられた平歯車によって形成され、且つ、回転軸の外周に軸方向に沿って形成される外スプラインと、太陽歯車の内周に軸方向に沿って形成される内スプラインとが嵌合して回転軸に着脱可能に取り付けられ、内スプラインの径方向内側に突き出る凸部を内スプライン歯と定義し、周方向に隣り合う内スプライン歯同士の間で径方向外側に窪む凹部を内スプライン溝と定義した時に、太陽歯車は、自身の歯数と内スプライン歯の歯数とが同一に設定され、且つ、内スプライン溝の周方向位置が太陽歯車の歯元厚さの範囲内に設定されていることを特徴とする。
上記の構成では、平歯車によって形成される太陽歯車の歯すじと、内スプライン歯の歯すじとが、それぞれ出力軸と平行に形成されている。また、太陽歯車の歯と内スプライン歯との位置関係が全て同一であり、且つ、太陽歯車の歯元厚さの範囲内に内スプライン溝が形成される。言い換えると、太陽歯車の歯底と内スプライン溝とが肉厚方向(太陽歯車の半径方向)に対向することはない。すなわち、太陽歯車の歯底の内周側には、段落番号(0005)に記載した薄肉部が形成されることはなく、太陽歯車の歯底と内スプライン歯の歯先とが肉厚方向に対向する厚肉部のみが形成される。その結果、太陽歯車の外径(歯先円直径)を大きくすることなく、強度を高めるために必要な肉厚を確保できる。
これにより、遊星歯車減速機が径方向に大型化することはなく、特許文献1の従来技術と比較した場合に、車両へのスタータの搭載性が向上する。
これにより、遊星歯車減速機が径方向に大型化することはなく、特許文献1の従来技術と比較した場合に、車両へのスタータの搭載性が向上する。
(請求項2の発明)
請求項1に記載したスタータにおいて、遊星歯車減速機は、モータの電機子軸上に第1の太陽歯車を有する第1の遊星歯車減速機と、この第1の遊星歯車減速機の出力軸上に第2の太陽歯車を有する第2の遊星歯車減速機とを有し、回転軸は、第1の遊星歯車減速機の出力軸であり、太陽歯車は、第2の太陽歯車であることを特徴とする。
本発明のスタータは、モータの出力トルクが第1の遊星歯車減速機で増幅された後、第2の遊星歯車減速機で更に増幅される。つまり、第2の遊星歯車減速機に使用される第2の太陽歯車には、第1の遊星歯車減速機で増幅されたトルクが加わるため、第1の太陽歯車と比較して、より大きなトルクに耐え得るだけの強度を持たせる必要がある。これに対し、請求項1に記載した太陽歯車の構成を第2の太陽歯車に適用することで、第2の太陽歯車の肉厚を均一化できる。つまり、第2の太陽歯車には、段落番号(0005)に記載した薄肉部が形成されることはないので、第2の太陽歯車の外径(歯先円直径)を大きくすることなく、強度を高めるために必要な肉厚を確保できる。
請求項1に記載したスタータにおいて、遊星歯車減速機は、モータの電機子軸上に第1の太陽歯車を有する第1の遊星歯車減速機と、この第1の遊星歯車減速機の出力軸上に第2の太陽歯車を有する第2の遊星歯車減速機とを有し、回転軸は、第1の遊星歯車減速機の出力軸であり、太陽歯車は、第2の太陽歯車であることを特徴とする。
本発明のスタータは、モータの出力トルクが第1の遊星歯車減速機で増幅された後、第2の遊星歯車減速機で更に増幅される。つまり、第2の遊星歯車減速機に使用される第2の太陽歯車には、第1の遊星歯車減速機で増幅されたトルクが加わるため、第1の太陽歯車と比較して、より大きなトルクに耐え得るだけの強度を持たせる必要がある。これに対し、請求項1に記載した太陽歯車の構成を第2の太陽歯車に適用することで、第2の太陽歯車の肉厚を均一化できる。つまり、第2の太陽歯車には、段落番号(0005)に記載した薄肉部が形成されることはないので、第2の太陽歯車の外径(歯先円直径)を大きくすることなく、強度を高めるために必要な肉厚を確保できる。
(請求項3の発明)
請求項1に記載したスタータにおいて、遊星歯車減速機は、モータの電機子軸上に第1の太陽歯車を有する第1の遊星歯車減速機と、この第1の遊星歯車減速機の出力軸上に第2の太陽歯車を有する第2の遊星歯車減速機とを有し、回転軸は、モータの電機子軸であり、太陽歯車は、第1の太陽歯車であることを特徴とする。
請求項1に記載した太陽歯車の構成を第1の太陽歯車に適用することで、第1の太陽歯車の肉厚を均一化できる。つまり、第1の太陽歯車には、段落番号(0005)に記載した薄肉部が形成されることはないので、第1の太陽歯車の外径(歯先円直径)を大きくすることなく、強度を高めるために必要な肉厚を確保できる。
請求項1に記載したスタータにおいて、遊星歯車減速機は、モータの電機子軸上に第1の太陽歯車を有する第1の遊星歯車減速機と、この第1の遊星歯車減速機の出力軸上に第2の太陽歯車を有する第2の遊星歯車減速機とを有し、回転軸は、モータの電機子軸であり、太陽歯車は、第1の太陽歯車であることを特徴とする。
請求項1に記載した太陽歯車の構成を第1の太陽歯車に適用することで、第1の太陽歯車の肉厚を均一化できる。つまり、第1の太陽歯車には、段落番号(0005)に記載した薄肉部が形成されることはないので、第1の太陽歯車の外径(歯先円直径)を大きくすることなく、強度を高めるために必要な肉厚を確保できる。
(請求項4の発明)
請求項1〜3に記載した何れか一つのスタータにおいて、太陽歯車は、自身の歯底と内スプライン歯との位相が一致していることを特徴とする。
この場合、太陽歯車の全ての歯底と内スプライン歯の全ての歯先とが周方向にずれることなく、同位相に形成されるので、太陽歯車の肉厚を均一に確保できる。
請求項1〜3に記載した何れか一つのスタータにおいて、太陽歯車は、自身の歯底と内スプライン歯との位相が一致していることを特徴とする。
この場合、太陽歯車の全ての歯底と内スプライン歯の全ての歯先とが周方向にずれることなく、同位相に形成されるので、太陽歯車の肉厚を均一に確保できる。
(請求項5の発明)
請求項1〜4に記載した何れか一つのスタータにおいて、太陽歯車は、焼結成形によって加工されていることを特徴とする。
本発明の太陽歯車は、自身の歯数と内スプライン歯の歯数とが同一であり、且つ、内スプライン溝が太陽歯車の歯底と向かい合う位置に形成されることはないので、肉厚が略均一に形成される。これにより、焼結密度を均一化できるので、より強度の高い太陽歯車を提供できる。
請求項1〜4に記載した何れか一つのスタータにおいて、太陽歯車は、焼結成形によって加工されていることを特徴とする。
本発明の太陽歯車は、自身の歯数と内スプライン歯の歯数とが同一であり、且つ、内スプライン溝が太陽歯車の歯底と向かい合う位置に形成されることはないので、肉厚が略均一に形成される。これにより、焼結密度を均一化できるので、より強度の高い太陽歯車を提供できる。
(請求項6の発明)
請求項1〜4に記載した何れか一つのスタータにおいて、太陽歯車は、冷間鍛造によって加工されていることを特徴とする。
本発明の太陽歯車は、自身の歯数と内スプライン歯の歯数とが同一であり、且つ、内スプライン溝が太陽歯車の歯底と向かい合う位置に形成されることはないので、肉厚が略均一に形成される。これにより、鍛造用の金型に掛かる荷重が均一になるため、金型の寿命向上に寄与できる。
請求項1〜4に記載した何れか一つのスタータにおいて、太陽歯車は、冷間鍛造によって加工されていることを特徴とする。
本発明の太陽歯車は、自身の歯数と内スプライン歯の歯数とが同一であり、且つ、内スプライン溝が太陽歯車の歯底と向かい合う位置に形成されることはないので、肉厚が略均一に形成される。これにより、鍛造用の金型に掛かる荷重が均一になるため、金型の寿命向上に寄与できる。
(請求項7の発明)
請求項1〜6に記載した何れか一つのスタータにおいて、太陽歯車は、表面を硬化するための熱処理が施されていることを特徴とする。
歯底部分の肉厚が薄い歯車に表面硬化の熱処理を実施すると、歯車の内部まで硬度が上がり、靱性が低下して脆くなる恐れがある。これに対し、本発明の太陽歯車は、内スプライン溝が太陽歯車の歯底と向かい合う位置に形成されることはなく、歯底部分の肉厚を確保できるため、歯車内部の靱性を確保しつつ、熱処理による表面の強度アップの効果を十分に発揮できる。
請求項1〜6に記載した何れか一つのスタータにおいて、太陽歯車は、表面を硬化するための熱処理が施されていることを特徴とする。
歯底部分の肉厚が薄い歯車に表面硬化の熱処理を実施すると、歯車の内部まで硬度が上がり、靱性が低下して脆くなる恐れがある。これに対し、本発明の太陽歯車は、内スプライン溝が太陽歯車の歯底と向かい合う位置に形成されることはなく、歯底部分の肉厚を確保できるため、歯車内部の靱性を確保しつつ、熱処理による表面の強度アップの効果を十分に発揮できる。
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1に示すスタータ1は、図1に示す様に、回転力を発生するモータ2と、このモータ2の回転を二段階に減速する減速手段(後述する)と、スタータ1の動力伝達系に過大なトルクが加わった時に、その過大トルクを吸収する衝撃吸収装置3と、減速手段を介してモータ2の出力トルクが伝達されるプーリ軸4と、このプーリ軸4に取り付けられるスタータプーリ5等より構成され、エンジンのクランク軸に取り付けられたクランクプーリ(図示せず)とスタータプーリ5とがベルトで連結されている。すなわち、本実施例のスタータ1は、減速手段で増幅されたモータ2の出力トルクがスタータプーリ5からベルトを介してクランクプーリに伝達されてエンジンを始動するベルト駆動式である。
実施例1に示すスタータ1は、図1に示す様に、回転力を発生するモータ2と、このモータ2の回転を二段階に減速する減速手段(後述する)と、スタータ1の動力伝達系に過大なトルクが加わった時に、その過大トルクを吸収する衝撃吸収装置3と、減速手段を介してモータ2の出力トルクが伝達されるプーリ軸4と、このプーリ軸4に取り付けられるスタータプーリ5等より構成され、エンジンのクランク軸に取り付けられたクランクプーリ(図示せず)とスタータプーリ5とがベルトで連結されている。すなわち、本実施例のスタータ1は、減速手段で増幅されたモータ2の出力トルクがスタータプーリ5からベルトを介してクランクプーリに伝達されてエンジンを始動するベルト駆動式である。
モータ2は、磁界を形成する界磁(以下に説明する)と、電機子軸6aの端部に整流子7を有する電機子6と、この電機子6の回転に伴って整流子7の外周上を摺動するブラシ8等より構成される周知の整流子電動機である。
界磁は、磁気回路を形成するヨーク9の内周に複数の永久磁石10を配置して構成される。なお、永久磁石10に替えて界磁巻線を用いた電磁石界磁を採用しても良い。
ヨーク9は、モータ2のフレームを兼ねており、スタータ1のプーリ側(図示左側)を覆うフロントハウジング11と、モータ2の後部を覆うエンドフレーム12との間に配置され、エンドフレーム12からフロントハウジング11に対しスルーボルト13を締め付けて固定される。
界磁は、磁気回路を形成するヨーク9の内周に複数の永久磁石10を配置して構成される。なお、永久磁石10に替えて界磁巻線を用いた電磁石界磁を採用しても良い。
ヨーク9は、モータ2のフレームを兼ねており、スタータ1のプーリ側(図示左側)を覆うフロントハウジング11と、モータ2の後部を覆うエンドフレーム12との間に配置され、エンドフレーム12からフロントハウジング11に対しスルーボルト13を締め付けて固定される。
整流子7は、円筒状に配置される複数の整流子セグメント7aと、この複数の整流子セグメント7aを樹脂モールドするモールド材7bとで構成され、このモールド材7bを電機子軸6aの外周に圧入嵌合して固定される。周方向に隣り合う整流子セグメント7a同士の間は、一定の深さにアンダーカットされて電気的に絶縁されている。
電機子6は、電機子軸6aの外周にセレーション嵌合する電機子鉄心6bと、この電機子鉄心6bに巻線される電機子コイル6cとを有し、この電機子コイル6cが各整流子セグメント7aと電気的かつ機械的に接続されている。
ブラシ8は、ブラシホルダ14に保持されて整流子7の外周上に配置され、プラシスプリング15によって整流子7の外周面に押圧されている。
電機子6は、電機子軸6aの外周にセレーション嵌合する電機子鉄心6bと、この電機子鉄心6bに巻線される電機子コイル6cとを有し、この電機子コイル6cが各整流子セグメント7aと電気的かつ機械的に接続されている。
ブラシ8は、ブラシホルダ14に保持されて整流子7の外周上に配置され、プラシスプリング15によって整流子7の外周面に押圧されている。
減速手段は、以下に説明する第1の遊星歯車減速機16と第2の遊星歯車減速機17とで構成される。
第1の遊星歯車減速機16は、モータ2の電機子軸6aに形成されたサンギヤ18(請求項2に記載した第1の太陽歯車)と、このサンギヤ18と同心に配置される円筒体の内側に歯を形成したインターナルギヤ19と、両ギヤ18、19に噛み合う複数(例えば3個)の遊星ギヤ20とを備える。遊星ギヤ20は、軸受を介して支持軸21に回転自在に支持され、その支持軸21が遊星キャリア22に圧入固定されている。
遊星キャリア22は、第1の遊星歯車減速機16の出力軸23と一体に設けられ、遊星ギヤ20の公転運動を出力軸23に伝達する。
第1の遊星歯車減速機16は、モータ2の電機子軸6aに形成されたサンギヤ18(請求項2に記載した第1の太陽歯車)と、このサンギヤ18と同心に配置される円筒体の内側に歯を形成したインターナルギヤ19と、両ギヤ18、19に噛み合う複数(例えば3個)の遊星ギヤ20とを備える。遊星ギヤ20は、軸受を介して支持軸21に回転自在に支持され、その支持軸21が遊星キャリア22に圧入固定されている。
遊星キャリア22は、第1の遊星歯車減速機16の出力軸23と一体に設けられ、遊星ギヤ20の公転運動を出力軸23に伝達する。
出力軸23は、遊星キャリア22の径方向中心に設けられ、モータ2の電機子軸6aと同一軸線上に配置される。
出力軸23には、遊星キャリア22に繋がる後端側に円筒部23aが一体に形成され、その円筒部23aの内周に軸受24を介して電機子軸6aの先端部が相対回転自在に挿入されている。また、円筒部23aの外周は、軸受25を介してセンタプレート26に回転自在に支持されている。
センタプレート26は、第1の遊星歯車減速機16と第2の遊星歯車減速機17との間で円筒部23aの軸心方向と直交する径方向に配置され、円筒部23aの径方向外周に開口するヨーク9のフロント側開口部を閉塞している。
出力軸23には、遊星キャリア22に繋がる後端側に円筒部23aが一体に形成され、その円筒部23aの内周に軸受24を介して電機子軸6aの先端部が相対回転自在に挿入されている。また、円筒部23aの外周は、軸受25を介してセンタプレート26に回転自在に支持されている。
センタプレート26は、第1の遊星歯車減速機16と第2の遊星歯車減速機17との間で円筒部23aの軸心方向と直交する径方向に配置され、円筒部23aの径方向外周に開口するヨーク9のフロント側開口部を閉塞している。
第2の遊星歯車減速機17は、出力軸23の外周に配置されるサンギヤ27(請求項2に記載した第2の太陽歯車)と、円筒体の内側に歯を形成したインターナルギヤ28と、両ギヤ27、28に噛み合う複数(例えば3個)の遊星ギヤ29とを備える。遊星ギヤ29は、軸受を介して支持軸30に回転自在に支持され、その支持軸30が遊星キャリア31に圧入固定されている。
遊星キャリア31は、プーリ軸4に繋がる円筒部31aと一体に設けられ、この円筒部31aの外周が軸受32を介してフロントハウジング11に回転可能に支持されている。また、円筒部31aの内周には、第1の遊星歯車減速機16の出力軸23の先端部が軸受33を介して相対回転自在に挿入されている。
遊星キャリア31は、プーリ軸4に繋がる円筒部31aと一体に設けられ、この円筒部31aの外周が軸受32を介してフロントハウジング11に回転可能に支持されている。また、円筒部31aの内周には、第1の遊星歯車減速機16の出力軸23の先端部が軸受33を介して相対回転自在に挿入されている。
プーリ軸4は、遊星キャリア31の径方向中心に設けられ、ボールベアリング34を介してフロントハウジング11に回転自在に支持されている。プーリ軸4の外周には、スタータプーリ5が嵌合して取り付けられ、プーリ軸4の先端部に形成された雄ねじ部4bにナット35を締め付けて固定される。
衝撃吸収装置3は、図4に示す様に、第1の遊星歯車減速機16に使用されるインターナルギヤ19に係合する回転ディスク36を有し、この回転ディスク36が固定ディスク37を介して皿バネ38によりセンタプレート26側(図4の左側)へ付勢され、センタプレート26と固定ディスク37とに摩擦係合して回転規制されている。固定ディスク37は、センタプレート26に設けられた凸部26aに嵌合して回転規制され、センタプレート26は、フロントハウジング11によって回転規制されている。
衝撃吸収装置3は、図4に示す様に、第1の遊星歯車減速機16に使用されるインターナルギヤ19に係合する回転ディスク36を有し、この回転ディスク36が固定ディスク37を介して皿バネ38によりセンタプレート26側(図4の左側)へ付勢され、センタプレート26と固定ディスク37とに摩擦係合して回転規制されている。固定ディスク37は、センタプレート26に設けられた凸部26aに嵌合して回転規制され、センタプレート26は、フロントハウジング11によって回転規制されている。
次に、第2の遊星歯車減速機17に用いられるサンギヤ27について詳述する。
サンギヤ27は、歯すじが出力軸23と平行な平歯車であり、且つ、図4に示す様に、第1の遊星歯車減速機16の出力軸23とは別体に設けられ、その出力軸23の外周に着脱可能に嵌合して取り付けられる。具体的には、サンギヤ27の内周に形成される内スプライン27aと、出力軸23の外周に形成される外スプライン23bとが噛み合って嵌合している。なお、内スプライン27aと外スプライン23bは、互いの歯すじが軸方向に沿って形成される直スプラインである。つまり、サンギヤ27は、自身の歯すじと内スプライン27aの歯すじとが軸方向に沿って平行に形成されている。
サンギヤ27は、歯すじが出力軸23と平行な平歯車であり、且つ、図4に示す様に、第1の遊星歯車減速機16の出力軸23とは別体に設けられ、その出力軸23の外周に着脱可能に嵌合して取り付けられる。具体的には、サンギヤ27の内周に形成される内スプライン27aと、出力軸23の外周に形成される外スプライン23bとが噛み合って嵌合している。なお、内スプライン27aと外スプライン23bは、互いの歯すじが軸方向に沿って形成される直スプラインである。つまり、サンギヤ27は、自身の歯すじと内スプライン27aの歯すじとが軸方向に沿って平行に形成されている。
このサンギヤ27は、例えば、鉄粉等の金属粉末を平歯車の形状に加圧成形して焼結した焼結成形品である。また、焼結後に浸炭焼き入れ、浸炭窒化焼き入れ等の表面を硬くする熱処理が施される。この熱処理は、サンギヤ27の表面を硬化させることで、疲労強度および耐摩耗性を向上させ、サンギヤ27の深部まで硬くするものではない。熱処理によって硬くする表面の硬化層は、例えば、0.5mm程度であり、硬化層より内部は、粘りがある状態、つまり、靱性が確保されている。
ここで、図2に示す様に、サンギヤ27の内周に形成される内スプライン27aの径方向内側に突き出る凸部を内スプライン歯27bと定義し、周方向に隣り合う内スプライン歯27b同士の間で径方向外側に窪む凹部を内スプライン溝27cと定義した時に、実施例1では、サンギヤ27の歯数と内スプライン歯27bの歯数とが同一(図2に示すサンギヤ27は11枚)に設定され、且つ、図3に示す様に、内スプライン溝27cの周方向位置がサンギヤ27の歯元厚さの範囲内に設定されている。特に、実施例1では、サンギヤ27の歯と内スプライン溝27cとが同位相に形成されている。言い換えると、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bとの位相が一致している。
次に、スタータ1の作動を説明する。
ブラシ8より整流子7を通じて電機子コイル6cに通電されると、電磁力によって電機子6に回転力が発生し、その電機子6の回転が第1の遊星歯車減速機16で減速され、さらに第2の遊星歯車減速機17で減速されてプーリ軸4に伝達される。
プーリ軸4が回転すると、プーリ軸4に固定されたスタータプーリ5が回転して、スタータプーリ5にベルトで連結されたクランクプーリが回転することにより、クランク軸が回転してエンジンが始動する。このエンジン始動時には、エンジンの慣性エネルギが大きいため、スタータ1の動力伝達系に過大なトルクが加わる。その過大トルクが回転ディスク36の静止トルクを上回ると、衝撃吸収装置3の働きにより、回転ディスク36が滑る(回転する)ことでインターナルギヤ19の回転が許容される。すなわち、回転ディスク36と共にインターナルギヤ19が回転することで、過大トルクが吸収される。
ブラシ8より整流子7を通じて電機子コイル6cに通電されると、電磁力によって電機子6に回転力が発生し、その電機子6の回転が第1の遊星歯車減速機16で減速され、さらに第2の遊星歯車減速機17で減速されてプーリ軸4に伝達される。
プーリ軸4が回転すると、プーリ軸4に固定されたスタータプーリ5が回転して、スタータプーリ5にベルトで連結されたクランクプーリが回転することにより、クランク軸が回転してエンジンが始動する。このエンジン始動時には、エンジンの慣性エネルギが大きいため、スタータ1の動力伝達系に過大なトルクが加わる。その過大トルクが回転ディスク36の静止トルクを上回ると、衝撃吸収装置3の働きにより、回転ディスク36が滑る(回転する)ことでインターナルギヤ19の回転が許容される。すなわち、回転ディスク36と共にインターナルギヤ19が回転することで、過大トルクが吸収される。
なお、本実施例のスタータ1は、信号待ち等の停車時にエンジンへの燃料噴射を停止してエンジンを自動的に停止させるアイドリングストップを実施する車両に使用することができる。停車時にアイドリングストップを実施する車両は、アイドリングストップを実施しない車両に比べると、エンジンの始動回数が大幅に増加する。このため、例えば、電磁スイッチによりピニオンをエンジンのリングギヤ側へ押し出してリングギヤに噛み合わせる電磁押し込み式のスタータを使用すると、エンジンを再始動する度にピニオンとリングギヤとの噛み合い音が生じるため、運転者に不快感を与える恐れがある。
これに対し、本実施例のスタータ1は、ベルト駆動によってエンジンを始動させる方式であり、エンジン始動時にピニオンとリングギヤとの噛み合い音が発生しないため、電磁押し込み式のスタータと比較して、エンジン始動時の騒音を大幅に小さくできる。
これに対し、本実施例のスタータ1は、ベルト駆動によってエンジンを始動させる方式であり、エンジン始動時にピニオンとリングギヤとの噛み合い音が発生しないため、電磁押し込み式のスタータと比較して、エンジン始動時の騒音を大幅に小さくできる。
(実施例1の効果)
実施例1に記載したスタータ1は、遊星歯車減速機16、17を直列二段に配置しているので、後段側である第2の遊星歯車減速機17の方が、前段側である第1の遊星歯車減速機16より大きなトルクが加わる。これに対し、実施例1では、第2の遊星歯車減速機17に使用されるサンギヤ27の歯数と内スプライン歯27bの歯数とが同一に設定され、且つ、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bとの位相が一致している。この構成によれば、サンギヤ27の歯底と内スプライン溝27cとが、サンギヤ27の肉厚方向に向かい合うことがない。言い換えると、図2に示す様に、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bとが同位相に形成されて肉厚方向に向かい合っているので、サンギヤ27の外径(歯先円直径)を大きくすることなく、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bの歯先との間の肉厚を確保して強度を高めることができる。
これにより、第2の遊星歯車減速機17が径方向に大型化することはなく、特許文献1の従来技術と比較した場合に、車両へのスタータ1の搭載性が向上する。
実施例1に記載したスタータ1は、遊星歯車減速機16、17を直列二段に配置しているので、後段側である第2の遊星歯車減速機17の方が、前段側である第1の遊星歯車減速機16より大きなトルクが加わる。これに対し、実施例1では、第2の遊星歯車減速機17に使用されるサンギヤ27の歯数と内スプライン歯27bの歯数とが同一に設定され、且つ、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bとの位相が一致している。この構成によれば、サンギヤ27の歯底と内スプライン溝27cとが、サンギヤ27の肉厚方向に向かい合うことがない。言い換えると、図2に示す様に、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bとが同位相に形成されて肉厚方向に向かい合っているので、サンギヤ27の外径(歯先円直径)を大きくすることなく、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bの歯先との間の肉厚を確保して強度を高めることができる。
これにより、第2の遊星歯車減速機17が径方向に大型化することはなく、特許文献1の従来技術と比較した場合に、車両へのスタータ1の搭載性が向上する。
また、実施例1のサンギヤ27は、上記のように、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bの歯先との間に充分な肉厚を確保でき、且つ、周方向において肉厚にばらつきが生じない。このため、サンギヤ27を焼結成形によって製造した場合に、密度が高く均一な焼結体に加工できるので、強度のばらつきが少ないサンギヤ27を提供できる。
さらに、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bの歯先との間に充分な肉厚を確保できるので、サンギヤ27の表面を硬化させる熱処理を実施する場合に、表面のみ硬化させることが容易である。すなわち、熱処理によってサンギヤ27の深部まで硬くなることはないので、サンギヤ27の深部(表面の硬化層より内部)は、粘りがある状態、つまり、靱性を確保できる。これにより、熱処理による表面の強度アップの効果を十分に発揮できる。なお、熱処理によって硬化する表面の硬化層は、一例として0.5mm程度であると記載したが、適宜に変更できることは言うまでもない。
さらに、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bの歯先との間に充分な肉厚を確保できるので、サンギヤ27の表面を硬化させる熱処理を実施する場合に、表面のみ硬化させることが容易である。すなわち、熱処理によってサンギヤ27の深部まで硬くなることはないので、サンギヤ27の深部(表面の硬化層より内部)は、粘りがある状態、つまり、靱性を確保できる。これにより、熱処理による表面の強度アップの効果を十分に発揮できる。なお、熱処理によって硬化する表面の硬化層は、一例として0.5mm程度であると記載したが、適宜に変更できることは言うまでもない。
(実施例2)
実施例1では、サンギヤ27の歯と内スプライン溝27cとが同位相に形成されている。言い換えると、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bとの位相が一致している。 これに対し、実施例2に示すサンギヤ27は、図5に示す様に、サンギヤ27の歯と内スプライン溝27cとが位相角φだけずれた位置に形成されている。但し、内スプライン溝27cの周方向位置は、サンギヤ27の歯元厚さ(図3参照)の範囲内に設定されている。言い換えると、サンギヤ27の歯元厚さの範囲内で位相角φだけずれた位置に内スプライン溝27cが形成されている。
実施例1では、サンギヤ27の歯と内スプライン溝27cとが同位相に形成されている。言い換えると、サンギヤ27の歯底と内スプライン歯27bとの位相が一致している。 これに対し、実施例2に示すサンギヤ27は、図5に示す様に、サンギヤ27の歯と内スプライン溝27cとが位相角φだけずれた位置に形成されている。但し、内スプライン溝27cの周方向位置は、サンギヤ27の歯元厚さ(図3参照)の範囲内に設定されている。言い換えると、サンギヤ27の歯元厚さの範囲内で位相角φだけずれた位置に内スプライン溝27cが形成されている。
上記の位相角φは、サンギヤ27の歯に対してサンギヤ27の回転方向と反対側(図5に示す反時計回り側)に設定される。これにより、サンギヤ27の周方向に隣り合う2箇所の歯底と、その間に形成される一つの内スプライン溝27cとの距離が異なる。つまり、内スプライン溝27cに対するサンギヤ27の回転方向側では、内スプライン溝27cと歯底との距離が大きくなり、サンギヤ27の反回転方向側では、内スプライン溝27cと歯底との距離が小さくなる。
ここで、図6に示す第2の遊星歯車減速機17を見ると、サンギヤ27が図示矢印方向(時計回り方向)に回転する場合、その回転方向、つまり、サンギヤ27にトルクが掛かる方向に対し、より強度を高くできる。これにより、サンギヤ27に掛かるトルクに対し、サンギヤ27の肉厚を大きくすることなく、強度的に余裕を持たせることができるので、サンギヤ27の小型化も可能である。
ここで、図6に示す第2の遊星歯車減速機17を見ると、サンギヤ27が図示矢印方向(時計回り方向)に回転する場合、その回転方向、つまり、サンギヤ27にトルクが掛かる方向に対し、より強度を高くできる。これにより、サンギヤ27に掛かるトルクに対し、サンギヤ27の肉厚を大きくすることなく、強度的に余裕を持たせることができるので、サンギヤ27の小型化も可能である。
(その他の実施例)
実施例1では、第2の遊星歯車減速機17に使用されるサンギヤ27に請求項1に記載した本発明の構成を適用しているが、第1の遊星歯車減速機16に使用されるサンギヤ18に適用することもできる。
実施例1では、サンギヤ27を焼結成形によって製造する一例を記載したが、冷間鍛造によって製造することもできる。この場合、サンギヤ27の歯数と内スプライン歯27bの歯数とが同一であり、且つ、肉厚が略均一に形成されるので、鍛造用の金型に掛かる荷重が略均一になるため、金型の寿命が向上する。
実施例1に記載したスタータ1は、ベルト駆動式であるが、モータ2の出力トルクをピニオンからエンジンのリングギヤに伝達してエンジンを始動させるギヤ噛み合い式のスタータに本発明を適用することもできる。具体的には、実施例1のプーリ軸4をピニオン軸に変更し、そのピニオン軸に取り付けられるピニオンをエンジンのリングギヤに常時噛み合わせる構成でも良い。
実施例1では、第2の遊星歯車減速機17に使用されるサンギヤ27に請求項1に記載した本発明の構成を適用しているが、第1の遊星歯車減速機16に使用されるサンギヤ18に適用することもできる。
実施例1では、サンギヤ27を焼結成形によって製造する一例を記載したが、冷間鍛造によって製造することもできる。この場合、サンギヤ27の歯数と内スプライン歯27bの歯数とが同一であり、且つ、肉厚が略均一に形成されるので、鍛造用の金型に掛かる荷重が略均一になるため、金型の寿命が向上する。
実施例1に記載したスタータ1は、ベルト駆動式であるが、モータ2の出力トルクをピニオンからエンジンのリングギヤに伝達してエンジンを始動させるギヤ噛み合い式のスタータに本発明を適用することもできる。具体的には、実施例1のプーリ軸4をピニオン軸に変更し、そのピニオン軸に取り付けられるピニオンをエンジンのリングギヤに常時噛み合わせる構成でも良い。
1 スタータ
2 モータ
6a モータの電機子軸(請求項3に記載した回転軸)
16 第1の遊星歯車減速機
17 第2の遊星歯車減速機
18 第1の遊星歯車減速機のサンギヤ(第1の太陽歯車)
23 第1の遊星歯車減速機の出力軸(請求項2に記載した回転軸)
23b 出力軸の外周に形成される外スプライン
27 第2の遊星歯車減速機のサンギヤ(第2の太陽歯車)
27a サンギヤの内周に形成される内スプライン
27b 内スプライン歯
27c 内スプライン溝
2 モータ
6a モータの電機子軸(請求項3に記載した回転軸)
16 第1の遊星歯車減速機
17 第2の遊星歯車減速機
18 第1の遊星歯車減速機のサンギヤ(第1の太陽歯車)
23 第1の遊星歯車減速機の出力軸(請求項2に記載した回転軸)
23b 出力軸の外周に形成される外スプライン
27 第2の遊星歯車減速機のサンギヤ(第2の太陽歯車)
27a サンギヤの内周に形成される内スプライン
27b 内スプライン歯
27c 内スプライン溝
Claims (7)
- モータの回転を減速する遊星歯車減速機を備え、この遊星歯車減速機で増幅された前記モータの出力トルクをエンジンのクランク軸に伝達して前記エンジンの始動を行うスタータであって、
前記遊星歯車減速機は、前記モータの回転を出力する回転軸上に太陽歯車を有し、この太陽歯車が前記回転軸とは別体に設けられた平歯車によって形成され、且つ、前記回転軸の外周に軸方向に沿って形成される外スプラインと、前記太陽歯車の内周に軸方向に沿って形成される内スプラインとが嵌合して前記回転軸に着脱可能に取り付けられ、
前記内スプラインの径方向内側に突き出る凸部を内スプライン歯と定義し、周方向に隣り合う前記内スプライン歯同士の間で径方向外側に窪む凹部を内スプライン溝と定義した時に、前記太陽歯車は、自身の歯数と前記内スプライン歯の歯数とが同一に設定され、且つ、前記内スプライン溝の周方向位置が前記太陽歯車の歯元厚さの範囲内に設定されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載したスタータにおいて、
前記遊星歯車減速機は、
前記モータの電機子軸上に第1の太陽歯車を有する第1の遊星歯車減速機と、
この第1の遊星歯車減速機の出力軸上に第2の太陽歯車を有する第2の遊星歯車減速機とを有し、
前記回転軸は、前記第1の遊星歯車減速機の出力軸であり、
前記太陽歯車は、前記第2の太陽歯車であることを特徴とするスタータ。 - 請求項1に記載したスタータにおいて、
前記遊星歯車減速機は、
前記モータの電機子軸上に第1の太陽歯車を有する第1の遊星歯車減速機と、
この第1の遊星歯車減速機の出力軸上に第2の太陽歯車を有する第2の遊星歯車減速機とを有し、
前記回転軸は、前記モータの電機子軸であり、
前記太陽歯車は、前記第1の太陽歯車であることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜3に記載した何れか一つのスタータにおいて、
前記太陽歯車は、自身の歯底と前記内スプライン歯との位相が一致していることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜4に記載した何れか一つのスタータにおいて、
前記太陽歯車は、焼結成形によって加工されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜4に記載した何れか一つのスタータにおいて、
前記太陽歯車は、冷間鍛造によって加工されていることを特徴とするスタータ。 - 請求項1〜6に記載した何れか一つのスタータにおいて、
前記太陽歯車は、表面を硬化するための熱処理が施されていることを特徴とするスタータ。
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