JP4153799B2 - スライド型電気部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライド型電気部品に係り、特にビデオカメラなどの電子機器のズームコントロールなどに使用される中立位置にセンター復帰するタイプのスライド型電気部品の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスライド型電気部品の構造としては、ケース内にスライダをスライド自在に収納し、スライダをその中立点から復帰ばねなどの付勢手段の付勢力に抗して一方の方向にスライド移動させるとスイッチ部がオンし、手を離すと前記付勢手段によって元の中立点に自動復帰してスイッチ部がオフする構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、従来のスライド型電気部品の構造を図に基づいて説明する。
図10乃至図12は従来のスライド型電気部品の構造を示し、図10はスライド型電気部品を示す分解斜視図、図11はスライダを裏面側から示す斜視図、図12は上ケースを裏面側から示す斜視図である。
【0004】
図に示すように、スライド型電気部品は、下ケース10と上ケース20の間に、スライダ40と、板バネ70と、フレキシブル基板80と、コイルスプリング90とを収納して構成されている。
【0005】
下ケース10は合成樹脂板をスライダ40のスライド方向に向けて上に凸となるように全体を円弧状に湾曲させて構成されている。また、下ケース10の上面中央には、先端に弾接部77を有する弾性金属板からなる板バネ70が取付けられている。また、下ケース10の上面一側部には、合成樹脂シートの上面に3本のスイッチパターン81、83、85を印刷したフレキシブル基板80が取付けられている。
【0006】
スライダ40は合成樹脂製で、前記したケース10の湾曲面に合わせて同様に湾曲する板状の本体41と、この本体41の上面中央から突出するレバー43とから形成されている。また、本体41の中央両側部には、それぞれバネ取付部45と、摺動子取付部47とが突出して設けられている。
【0007】
バネ取付部45は、本体41の側部から突出する支持部49と、支持部49先端にスライダ40の長手方向に沿って延びるバネ挿入部51とにより形成されており、このバネ挿入部51にコイルスプリング90が挿入され保持されるものとなっている。また、摺動子取付部47には支持部53と、平板状の取付部55が設けられ、この取付部55の下面に、フレキシブル基板80の上面に形成されたスイッチパターン81、83、85と摺接する、先端に摺動片63を有する弾性金属板製の摺動子59が取付けられている。
【0008】
また、スライダ40の本体41の裏面には、板バネ70の弾接部77と係合する突起部65と、凸部67が設けられており、板バネ70の弾接部77がこの突起部65を乗り越える際にクリック感が得られるものとなる。
【0009】
上ケース20は同じく合成樹脂板全体を円弧状に湾曲させて構成されており、中央にはスライダ40のレバー43を挿通する挿通孔21が設けられている。また、裏面中央にはスライダ40をスライド可能に収納する凹部23が設けられ、その両側にはスライダ40のバネ取付部45及びコイルスプリング90を収納する凹部25と、摺動子取付部47をスライド自在に収納する凹部27とが設けられている。
【0010】
動作としては、センター位置にあるレバー43を操作してコイルバネ90の弾発力に抗して図示右側に移動させると、スライダ40が右側にスライド移動し、摺動子59の摺動片63が2本のスイッチパターン81、83間をオンする。
次にレバー43から手を離すと、スライダ40はコイルバネ90の弾発力によりセンター位置に自動復帰してスイッチパターン81、83間がオフするものとなる。
【0011】
【特許文献1】
特開平09−186003号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のスライド型電気部品の構造においては、下ケース10及び上ケース20はスライダ40のスライド方向に向けて上に凸となるように全体を円弧状に湾曲させて構成されており、これに合わせてスライド40も円弧状に湾曲されて形成されているため、スライダ40が操作されてスライド移動する場合には、上下のケースの間を円弧状に摺動されることになり、スライダ40の移動に伴ってセンター復帰用のコイルバネ90には、垂直方向以外の荷重が加わることになるため、操作に伴ってコイルバネ90が移動しやすく、その為にコイルバネ90の飛び出し防止用としてコイルバネ90をガイドするバネ挿入部51が必要となっていた。
【0013】
このため、スライダ40のバネ取付部45の構造や、バネ取付部45及びコイルスプリング90を収納する凹部25の構造が複雑となることから、金型の構造も複雑となり、生産性が悪く、コストが高くなるという問題があった。
【0014】
したがって、本発明では上述した問題点を解決し、中立位置へセルフリターンするタイプのスライド型電気部品において、簡単な構成でコイルバネなどの復帰ばねの移動や脱落などの防止を図ることができるスライド型電気部品を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明では第1の手段として、一側面に開口された収納部を有するケーシングと、操作ノブと駆動体部を有し、前記ケーシングの収納部に前記駆動体部が摺動可能に配設された操作部材と、前記ケーシングの収納部に一端側が係止され、他端側が前記操作部材を初期位置へ付勢する復帰ばねと、前記駆動体部の一側面に設けられた摺動子片あるいは導電パターンと、この摺動子片あるいは導電パターンに対向して設けられた導電パターンあるいは摺動子片を有し、前記ケーシングの収納部を覆うように一体的に係合されたカバーとを備え、前記操作部材の駆動体部に、摺動方向と直交する方向に突出されて前記復帰ばねの他端側と係合する突起部を形成すると共に、前記カバーには、前記ケーシングの収納部に収納された前記復帰ばねの一端側に当接、あるいは近接して配置される保持突起を形成したスライド型電気部品において、前記復帰ばねは、前記ケーシングの収納部両側部に一端側が係止され前記操作部材を中央位置へ付勢する一対の復帰ばねからなり、前記ケーシングの収納部には、前記駆動体部の摺動面より下方に摺動方向に沿って並設され、前記復帰ばねの両端部が位置決めされる壁部を有する一対のばね収納部を形成し、この一対のばね収納部の間に両方を連結する連結溝部を形成すると共に、前記ばね収納部の対向する一対の前記壁部の間に前記駆動体部の突起部を摺動案内する摺動溝部を連続して形成し、前記摺動溝部は、円弧状に形成され、前記駆動体部の突起部を前記摺動溝部に摺動させることにより前記操作ノブを円弧状にスライド操作可能に保持したことを特徴とする。
【0016】
また、第2の手段として、前記操作部材の駆動体部には、前記突起部が形成された摺動面と、前記摺動子片あるいは導電パターンが設けられた一側面とを表裏に対向させて形成したことを特徴とする。
【0017】
また、第3の手段として、円弧状の前記摺動溝部に対応する前記ばね収納部を直線状に形成し、前記ばね収納部に前記復帰ばねが直線となるように配置すると共に、前記突起部が前記摺動溝部を円弧状に摺動する際には前記復帰ばねが直線状に撓むようにしたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図1乃至図9に示す。図1はスライド型電気部品の操作部材と復帰ばねの係合状態を示す平面図、図2はスライド型電気部品の断面図、図3は操作部材の動作状態を示す説明図、図4はケーシングの平面図、図5は同じく断面図、図6は操作部材の底面図、図7は同じく断面図、図8はカバーの底面図、図9は同じく断面図である。
尚、図1、図3においては、操作部材と復帰ばねとの係合、及び動作状態が良く分かるように、便宜的に操作部材と復帰ばねとを重ねて透視した状態で示している。また、カバーの保持突起と復帰ばねとの係合状態についても点線で示している。
【0021】
図において、ケーシング1は、合成樹脂などの絶縁材で上面及び正面が開口された有底の箱状に形成されており、中央には横長状の収納部1aが形成され、この収納部1aの上側には同じく横長状の開口部1bが形成されている。また、前記ケーシング1の上面は、なだらかな円弧状に形成されており、前記開口部1bの上面もこれに沿って円弧状に形成されている。
【0022】
前記収納部1aの内底面の略中央には、概略前記ケーシング1の上面の円弧と同じ中心を持つ円弧に沿って、やや傾斜して対向した状態の長溝からなる一対のばね収納部1c、1cが形成されており、このばね収納部1cの対向する内縁部が後述する復帰ばね2の両端部を位置決めする壁部1d、1dとなっている。また、前記一対のばね収納部1c、1cの間には、両方を連結するように前記ばね収納部1cよりやや幅狭で深底の連結溝部1eが形成されており、また、この連結溝部1eに連続して前記ばね収納部1cの対向する一対の前記壁部1d、1dの間に、後述する駆動体部4aの突起部4dを摺動案内する摺動溝部1f、1fが形成されている。
【0023】
この場合、前記連結溝部1eと摺動溝部1f、1fとは同じ大きさで連続されて形成されており、前記ばね収納部1cが直線状に形成されているのに対して、前記開口部1bの上面の円弧状に沿わせて同一中心点を持つ円弧状に形成されたものとなっている。
【0024】
また、前記収納部1aの内底面の下側には、同じく円弧状の長溝からなるガイド溝部1gが形成されている。このガイド溝部1gも、前記開口部1bの上面の円弧状に沿わせて同一中心点を持つ円弧状に形成されたものとなっている。このガイド溝部1g及び前記摺動溝部1fに後述する操作部材4の駆動体部4aに設けられたガイド突部4e及び突起部4dが案内され摺動することにより、操作部材4が円弧に沿ってスライド移動されるものとなっている。
【0025】
前記ケーシング1の一対のばね収納部1c、1cには、コイル状に巻回された金属線材からなる一対の復帰ばね2、2が配設されている。この場合、前記ばね収納部1cの対向する内縁部である前記壁部1d、1dに、前記復帰ばね2の両端部が位置決めされることで、前記復帰ばね2が前記ばね収納部1c内に保持されるものとなっている。また、前記一対の復帰ばね2、2が対向して配置されている一端側の前記壁部1dには、ゴムなどの弾性を有する材料からなるスペーサー3が配設されている。このスペーサー3、3間に後述する操作部材4の駆動体部4aに設けられた突起部4dが挟持されて、前記操作部材4が中立位置に保持されるものとなっている。
【0026】
操作部材4は、合成樹脂などの絶縁材で形成されており、平面略方形状をした駆動体部4aと、この駆動体部4aの上側に設けられた円弧状の鍔部4bを有する操作ノブ4cとから形成されている。前記駆動体部4aの表裏に対向する平面の一方には、略中央に、細長円弧状をした突起部4dが突出して設けられており、この突起部4dが前記ケーシング1の収納部1aに形成された前記連結溝部1eに係合されるものとなっている。また、前記突起部4dの両端部は、外方に突出する曲面状に形成されており、この曲面が前記スペーサー3と当接することでスペーサー3を弾性変形させるものとなっている。
【0027】
このように、前記ばね収納部1cの前記連結溝部1eで連結された側の前記壁部1dには、前記復帰ばね2の他端側と当接する弾性材からなる前記スペーサー3が配設されており、前記連結溝部1eに係合される前記駆動体部4aに設けられた前記突起部4dの両端部の曲面が、前記スペーサー3の他端と当接して前記スペーサー3を弾性変形させるように形成してあるので、前記操作部材4が中央位置に復帰する際に、前記駆動体部4aの突起部4dと、前記復帰ばね2の端部との当接時の衝突音を抑えることが可能となっている。また、前記突起部4dと前記連結溝部1eとの長さに差があったとしても、前記操作部材4が中央位置でがたつくことがなくなることから、前記操作部材4の復帰精度を高めることができるものとなっている。
【0028】
また、前記突起部4dの下側には、平面の両端部にわたって細長円弧状をしたガイド突部4eが、同じく前記突起部4dの突出方向に突出して設けられており、このガイド突部部4eが、前記ケーシング1の収納部1aに形成された前記ガイド溝部1gに摺動可能に係合されるものとなっている。
【0029】
前記突起部4dが前記ケーシング1の収納部1aに形成された、前記連結溝部1eと摺動溝部1fに係合されると共に、前記ガイド突部4eが前記ガイド溝部1gに係合されて摺動案内されることにより、前記操作ノブ4cが円弧状にスライド操作されるものとなっている。この場合、前記駆動体部4aの前記突起部4dが設けられた平面が前記収納部1aの内底面と摺動する摺動面となっており、前記ガイド突部4e及び前記ガイド溝部1gは必ずしも必要ではなく、必要に応じて形成すればよい。
【0030】
このように、前記摺動溝部1fを円弧状に形成し、前記駆動体部4aの突起部4dを前記摺動溝部1fに摺動させることにより、前記操作ノブ4cを円弧状にスライド操作可能に保持するようにしてあるので、前記操作ノブ4cのスライド操作範囲を大きくできると共に、前記駆動体部4aの摺動方向の寸法を小さくすることができるので、前記操作ノブ4cの操作性を確保したまま小型化が図れるものとなっている。
【0031】
また、前記駆動体部4aの対向する平面の他方には、導電性の金属材からなる摺動子片5が固着されている。この摺動子片5には、複数の片持ち状の接触片5aが設けられており、この接触片5aが後述する基台6に設けられた導電パターン6a、6bと接離するものとなっている。
【0032】
基台6は、フェノール樹脂などの積層板からなり、表面には銅箔やカーボンなどの導電材からなる導電パターン6a、6bが形成されている。また、裏面には前記導電パターン6a、6bとスルーホールなどで接続された導電性の金属板からなる外部端子7が固着されている。
【0033】
前記基台6は、前記導電パターン6a、6bが形成された表面部の一部、及び前記外部端子7の導出部の一部を除いて、合成樹脂などの絶縁材からなる平板状のカバー8に一体的に固着成形されている。そして、前記カバー8は、前記導電パターン6a、6bが、前記駆動体部4aに固着された前記摺動子片5の接触片5aと接離するように対向された状態で、前記ケーシング1の開口された前記収納部1aを覆うように取り付けられるものとなっている。
【0034】
尚、前記摺動子片5と前記導電パターンを形成する場合には、前記駆動体部4aに前記導電パターン6a、6bを形成し、前記基台6に前記摺動子片5を形成するようにしてもよい。
【0035】
また、前記カバー8には、前記ケーシング1の前記収納部1a方向へ突出すると共に、前記一対のばね収納部1c、1cの対向する内縁部に形成された前記復帰ばね2の両端部を位置決めする壁部1d、1dの近傍位置まで延設する一対の保持突起8a、8aが形成されている。また、この保持突起8a、8aは、前記ばね収納部1c、1cに係止される前記復帰ばね2の前記操作部材4の突起部4dと当接する側と反対側の一端側のみに設けられており、前記ケーシング1のばね収納部1cに収納された前記復帰ばね2の一端側に当接、あるいは近接して配置されるものとなっている。
【0036】
上記構成のスライド型電気部品を組み立てるには、前記ケーシング1の一対の前記ばね収納部1c、1cの対向する一端側の壁部1d、1dに、前記スペーサー3を挿入し、このスペーサー3の他端側に一端側を当接した状態で前記復帰ばね2を挿入する。
【0037】
次に、前記ケーシング1の収納部1aに設けられた前記連結溝部1eと前記ガイド溝部1gに、前記操作部材4の駆動体部4aの摺動面に設けられた前記突起部4dと前記ガイド突部4eを挿通することにより重ね合わせ、これとは反対の一側面に固着された前記摺動子片5上に、前記導電パターン6a、6bが設けられた前記基台6が一体的に固着成形された前記カバー8を被せて、前記カバー8で前記ケーシング1の収納部1a開口上を覆うようにしてカシメ又は接着などの方法で取り付けることにより組立が終了する。
【0038】
このように、前記操作部材4の前記駆動体部4aには、前記突起部4dが形成される摺動面と、前記摺動子片5が固着される一側面とを表裏に対向させて形成するようにしたので、前記スペーサ3及び前記復帰ばね2を前記ケーシング1の前記ばね収納部1cに取り付けた後に、前記操作部材4の前記突起部4dが設けられた摺動面を下にして上から重ねて取り付けて、その上から前記導電パターン6a、6bが設けられた前記基台6が一体的に固着成形された前記カバー8を取り付ければ組立が終了するため、組み立てが簡易となり作業性が向上されるものとなる。また、導電パターン6a、6bを前記駆動体部4aの一側面である平坦面状に形成することができるので、導電パターン6a、6bの形成が容易に行えるものとなっている。
【0039】
また、前記操作部材4、前記復帰ばね2が、前記ケーシング1の収納部1aに収納され、前記収納部1aの開口側を前記カバー8で覆うように積層される構成であることから、一方向からの組み立てが可能で作業性が向上すると共に、金型を複雑な構造とすることなしに簡単な構造で前記復帰ばね2の移動や脱落などの防止を図ることができるものとなっている。
また、前記保持突起8aを、前記復帰ばね2の一端側に常時当接するように形成した場合には、この一端側は、他端側と違って駆動されない前記復帰ばね2の固定側であることから、前記復帰ばね2を前記ばね収納部1cに強固に保持できる。また、この強固な保持を、一方向の組み立て工程において、寸法設定を適切にするだけで簡単に設定することができるものとなる。
【0040】
次に、図1及び図3で上記構成のスライド型電気部品の動作について説明する。
まず、図1に示す初期の状態では、前記操作ノブ4cは中立位置にあり、この状態では前記駆動体部4aの突起部4dが前記連結溝部1eに係合され、前記突起部4dの両端部が、前記一対のスペーサー3、3に当接されて前記一対の復帰ばね2、2の付勢力によって中立位置に保持されている。
【0041】
この時、前記一対の復帰ばね2、2の付勢力は均衡に保たれた状態となっており、また、前記突起部4dの両端部の曲面が、前記スペーサー3、3を押圧して弾性変形させることで中立位置での前記操作ノブ4cのがたつきが抑えられるものとなっている。この状態では前記摺動子片5の接触片5aと前記導電パターン6aとは接触しているが、接触片5aと導電パターン6bとは離間した状態となっている。
【0042】
この状態から、例えば図3に示すように、前記操作ノブ4cが図示左方向へ押圧されると、前記操作ノブ4cが左側にスライド移動されるものとなり、これに伴って前記駆動体部4aも、前記突起部4dが前記摺動溝部1fに、前記ガイド突部4eが前記ガイド溝部1gに摺動案内されて左側にスライド移動されるものとなり、前記突起部4dは左側に配設された前記復帰ばね2の付勢力に抗して前記復帰ばね2を圧縮させるものとなる。この時、前記摺動子片5の接触片5aが前記基台6の表面上を摺動して前記導電パターン6bと接触することで接点がオン状態となり、信号が前記外部端子7を介して外部の回路に送信されるものとなっている。
【0043】
この時、前記駆動体部4aは、円弧状に形成された前記摺動溝部1fに沿って前記突起部4dが円弧状にスライド移動されるものとなるが、円弧状の前記摺動溝部1fに対応する前記ばね収納部1cは、直線状に形成されており、前記ばね収納部1cに前記復帰ばね2が直線となるように配置されていて、概略前記復帰ばね2は前記突起部4dの円弧状のスライド方向に沿って形成されていることから、前記突起部4dが前記摺動溝部1fを円弧状に摺動する際には、前記復帰ばね2は直線状に撓むようになっている。
【0044】
このように、前記突起部4dが前記摺動溝部1fを円弧状に摺動する際には、前記復帰ばね2が直線状に撓むようにしたことから、前記復帰ばね2を直線状のまま使用でき、また、概略前記復帰ばね2の端面に垂直に荷重が加わることになるのでよじれることがなくなると共に、前記突起部4dに異常な荷重が加わらないため、前記操作部材4の動作が安定し確実な復帰が得られるものとなっている。
【0045】
また、前記復帰ばね2が撓む際には、固定側の一端側に前記カバー8に延設された前記保持突起8aが当接、あるいは近接して配置されているので、前記復帰ばね2の一端側は確実に保持されており、例え、前記突起部4dが前記摺動溝部1fを円弧状に摺動する際に、前記復帰ばね2に無理な力が加わったとしても、前記復帰ばね2が移動したり、飛び出したりするのを防止することができるものとなっている。
【0046】
この状態から、前記操作ノブ4cへの押圧が解除されると、前記駆動体部4aが前記復帰ばね2の付勢力により図1に示す中立位置へと復帰される。この時、前記突起部4dは、右側に配置された前記復帰ばね2に付勢されている右側の前記スペーサー3に当接するものとなり、この時の前記スペーサー3の弾性変形によって衝突音の発生を抑えることができるものとなっている。尚、前記操作ノブ4cが図示右方向へ押圧された場合においても、上記と同様な動作となるため、ここではその説明を省略する。
【0047】
尚、上記実施例においては、前記操作ノブ4c、及び前記駆動体部4dが円弧状にスライド移動する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば直線状にスライド移動するように構成してもよく、この場合にも同様の効果が得られるのはもちろんである。
【0048】
また、導電パターンはオン状態とオフ状態となるスイッチパターンで説明し、スライド型スイッチとして構成したが、導電パターンを抵抗体で形成しスライド型可変抵抗器としてもよい。また、前記摺動子片5と導電パターン6a、6bの配置を逆としてもよいし、それらを前記駆動体部4aの前記操作ノブ4cと対向する側面に設けてもよい。
【0049】
上記した実施例によれば、前記操作部材4の前記駆動体部4aに、摺動方向と直交する方向に突出されて前記復帰ばね2の他端側と係合する前記突起部4dを形成すると共に、前記カバー8には、前記ケーシング1の収納部1aに収納された前記復帰ばね2の一端側に当接、あるいは近接して配置される前記保持突起8aを形成したことから、一方向からの組み立てが可能で作業性が向上すると共に、金型を複雑な構造とすることなしに簡単な構造で前記復帰ばね2の移動や脱落などの防止を図ることができるものとなっている。
【0050】
また、前記復帰ばね2を、前記ケーシング1の収納部1a両側部に一端側が係止され前記操作部材4を中央位置へ付勢する一対の前記復帰ばね2から構成した場合においても、前記ケーシング1の収納部1aに、前記操作部材4の前記駆動体部4aと重なる位置に並設して、前記復帰ばね2を配置する前記ばね収納部1cを形成することができるため、前記駆動体部4aの摺動方向に連ねて前記復帰ばね2を配置する構造にくらべて前記駆動体部4aの摺動方向の寸法を短くすることができるので、電気部品全体の大きさを小さくすることができるものとなっている。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のスライド型電気部品は、一側面に開口された収納部を有するケーシングと、操作ノブと駆動体部を有し、ケーシングの収納部に駆動体部が摺動可能に配設された操作部材と、ケーシングの収納部に一端側が係止され、他端側が操作部材を初期位置へ付勢する復帰ばねと、駆動体部の一側面に設けられた摺動子片あるいは導電パターンと、この摺動子片あるいは導電パターンに対向して設けられた導電パターンあるいは摺動子片を有し、ケーシングの収納部を覆うように一体的に係合されたカバーとを備え、操作部材の駆動体部に、摺動方向と直交する方向に突出されて復帰ばねの他端側と係合する突起部を形成すると共に、カバーには、ケーシングの収納部に収納された復帰ばねの一端側に当接、あるいは近接して配置される保持突起を形成したことから、一方向からの組み立てが可能で作業性が向上すると共に、金型を複雑な構造とすることなしに簡単な構造で復帰ばねの移動や脱落などの防止を図ることができる。
【0052】
また、復帰ばねは、ケーシングの収納部両側部に一端側が係止され操作部材を中央位置へ付勢する一対の復帰ばねからなり、ケーシングの収納部には、駆動体部の摺動面より下方に摺動方向に沿って並設され、復帰ばねの両端部が位置決めされる壁部を有する一対のばね収納部を形成し、この一対のばね収納部の間に両方を連結する連結溝部を形成すると共に、ばね収納部の対向する一対の壁部の間に駆動体部の突起部を摺動案内する摺動溝部を連続して形成したことから、操作部材の駆動体部と重なる位置に並設して復帰ばねの収納部を形成することができるため、駆動体部の摺動方向に連ねて復帰ばねを配置する構造にくらべて駆動体部の摺動方向の寸法を短くすることができ、電気部品全体の大きさを小さくすることが可能となる。
【0053】
また、操作部材の駆動体部には、突起部が形成された摺動面と、摺動子片あるいは導電パターンが設けられた一側面とを表裏に対向させて形成したことから、復帰ばねをケーシングのばね収納部に取り付けた後に、操作部材の摺動面を上から重ねて取り付け、その上から基台を取り付ければ組立が終了するため、組み立て作業性が簡易となり、導電パターンを平坦面状に形成することができるので形成が容易となる。
【0054】
また、摺動溝部を円弧状に形成し、駆動体部の突起部を摺動溝部に摺動させることにより操作ノブを円弧状にスライド操作可能に保持したことから、操作ノブのスライド操作範囲を大きくできると共に、駆動体部の摺動方向の寸法を小さくすることができるので、操作性を確保したまま小型化が図れる。
【0055】
また、円弧状の摺動溝部に対応するばね収納部を直線状に形成し、ばね収納部に復帰ばねが直線となるように配置すると共に、突起部が摺動溝部を円弧状に摺動する際には復帰ばねが直線状に撓むようにしたことから、復帰ばねを直線状のまま使用できるのでよじれることがなく、突起部に異常な荷重が加わらないため、動作が安定し確実な復帰が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるスライド型電気部品の操作部材と復帰ばねの係合状態を示す平面図である。
【図2】本発明のスライド型電気部品の断面図である。
【図3】本発明のスライド型電気部品の操作部材の動作状態を示す説明図である。
【図4】本発明のスライド型電気部品のケーシングを示す平面図である。
【図5】本発明のスライド型電気部品のケーシングを示す断面図である。
【図6】本発明のスライド型電気部品の操作部材を示す底面図である。
【図7】本発明のスライド型電気部品の操作部材を示す断面図である。
【図8】本発明のスライド型電気部品のカバーを示す底面図である。
【図9】本発明のスライド型電気部品のカバーを示す断面図である。
【図10】従来のスライド型電気部品を示す分解斜視図である。
【図11】従来のスライド型電気部品のスライダを裏面側から示す斜視図である。
【図12】従来のスライド型電気部品の上ケースを裏面側から示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ケーシング
1a 収納部
1b 開口部
1c ばね収納部
1d 壁部
1e 連結溝部
1f 摺動溝部
1g ガイド溝部
2 復帰ばね
3 スペーサー
4 操作部材
4a 駆動体部
4b 鍔部
4c 操作ノブ
4d 突起部
4e ガイド突部
5 摺動子片
5a 接触片
6 基台
6a,6b 導電パターン
7 外部端子
8 カバー
8a 保持突起

Claims (3)

  1. 一側面に開口された収納部を有するケーシングと、操作ノブと駆動体部を有し、前記ケーシングの収納部に前記駆動体部が摺動可能に配設された操作部材と、前記ケーシングの収納部に一端側が係止され、他端側が前記操作部材を初期位置へ付勢する復帰ばねと、前記駆動体部の一側面に設けられた摺動子片あるいは導電パターンと、この摺動子片あるいは導電パターンに対向して設けられた導電パターンあるいは摺動子片を有し、前記ケーシングの収納部を覆うように一体的に係合されたカバーとを備え、前記操作部材の駆動体部に、摺動方向と直交する方向に突出されて前記復帰ばねの他端側と係合する突起部を形成すると共に、前記カバーには、前記ケーシングの収納部に収納された前記復帰ばねの一端側に当接、あるいは近接して配置される保持突起を形成したスライド型電気部品であって、
    前記復帰ばねは、前記ケーシングの収納部両側部に一端側が係止され前記操作部材を中央位置へ付勢する一対の復帰ばねからなり、前記ケーシングの収納部には、前記駆動体部の摺動面より下方に摺動方向に沿って並設され、前記復帰ばねの両端部が位置決めされる壁部を有する一対のばね収納部を形成し、この一対のばね収納部の間に両方を連結する連結溝部を形成すると共に、前記ばね収納部の対向する一対の前記壁部の間に前記駆動体部の突起部を摺動案内する摺動溝部を連続して形成し、
    前記摺動溝部は、円弧状に形成され、前記駆動体部の突起部を前記摺動溝部に摺動させることにより前記操作ノブを円弧状にスライド操作可能に保持したことを特徴とするスライド型電気部品。
  2. 前記操作部材の駆動体部には、前記突起部が形成された摺動面と、前記摺動子片あるいは導電パターンが設けられた一側面とを表裏に対向させて形成したことを特徴とする請求項1記載のスライド型電気部品。
  3. 円弧状の前記摺動溝部に対応する前記ばね収納部を直線状に形成し、前記ばね収納部に前記復帰ばねが直線となるように配置すると共に、前記突起部が前記摺動溝部を円弧状に摺動する際には前記復帰ばねが直線状に撓むようにしたことを特徴とする請求項1、又は2記載のスライド型電気部品。
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