JP4149614B2 - 自動二輪車のエアクリーナ配置構造 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動二輪車のエアクリーナ配置構造の改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
図６は従来の自動二輪車のエアクリーナ配置構造の側面図である。なお、Ｆｒは車体前方、Ｒｒは車体後方を示す。
従来の自動二輪車のエアクリーナ配置構造１００は、１本で構成したリヤサスペンションダンパ１０１を車体中央付近に配置し、このリヤサスペンションダンパ１０１の前方にキャブレタ１０２を配置し、リヤサスペンションダンパ１０１の後方にエアクリーナ１０３を配置し、これらのキャブレタ１０２とエアクリーナ１０３との間をコネクティングチューブ１０４で接続したものであって、最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパ１０１の軸線Ａに略々平行にエアクリーナ１０３の前面１０３ａを位置させたものであった。ここで、１０５はメインフレーム、１０６はシートレール、１０７はサブレールである。
【０００３】
上記構造では、キャブレタ１０２とエアクリーナ１０３とを接続するコネクティングチューブ１０４が長くなり、エンジン性能に悪影響を及ぼすことがある。また、リヤサスペンションダンパ１０１は、ストロークすると車体前後方向に移動するものなので、リヤサスペンションダンパ１０１の移動範囲を確保してエアクリーナ１０３を配置することになる。従って、エアクリーナ１０３の容量が規制され、エンジン出力の低下を招く虞れがある。
【０００４】
コネクティングチューブを短くすると共にエアクリーナ容量を稼ぐようにした自動二輪車のエアクリーナ配置構造として、例えば特公昭６２−３６９０９号公報「自動二輪車のエアクリーナ装置」が知られている。
上記技術は、同公報の第１図及び第２図によれば、車体フレーム１０（同公報に使用された符号を流用した）にエンジン１４を取付け、このエンジン１４にキャブレタ３２，３２を取付け、これらのキャブレタ３２，３２にコンチューブ３１，３１（以下、「コネクティングチューブ」と呼ぶ）を介してエアチャンバー３０を取付け、このエアチャンバー３０に緩衝器２２を迂回させる通路４４，４４を介してエアクリーナ３３を取付けたものである。
すなわち、エアチャンバー３０の空気の貯溜機能によって多量の空気を吸引させようにしたものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記技術は、エアクリーナ３３とコネクティングチューブとの間にエアチャンバー３０を配置するものであり、部品点数の増加を招く。
また、緩衝器２２の廻りにエアチャンバー３０が位置するので、構造が複雑になり、自動二輪車の点検作業が困難になる。
【０００６】
そこで、本発明の目的は、部品点数の増加をすることなく、また、構造を複雑にすることなく、エアクリーナの容量を稼ぐことのできる自動二輪車のエアクリーナ配置構造を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項１は、１本で構成され、伸びているときは車体フレームに対して前側に移動し、縮んだときは後側に移動するリヤサスペンションダンパを車体中央付近に持つ自動二輪車において、リヤサスペンションダンパの後方にエアクリーナを配置し、このエアクリーナの出口からコネクティングチューブを延ばして燃焼のためのエアをエアクリーナ、コネクティングチューブの順に流すようにし、エアクリーナは最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの軸線に対してエアクリーナの前面を前傾斜させ、且つ、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパを収納する凹部をエアクリーナの前面よりもエアクリーナの内側に入り込むようにコネクティングチューブに設けることにより、エアクリーナの前面をリヤサスペンションダンパに接近させるようにしたことを特徴とする。
【０００８】
車体中央付近に１本で構成され、伸びているときは車体フレームに対して前側に移動し、縮んだときは後側に移動するリヤサスペンションダンパを配置し、このリヤサスペンションダンパの後方にエアクリーナを配置し、このエアクリーナの出口からコネクティングチューブを延ばして燃焼のためのエアをエアクリーナ、コネクティングチューブの順に流すようにする。
そして、エアクリーナは最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの軸線に対してエアクリーナの前面を前傾斜させ、且つ、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパを収納する凹部をコネクティングチューブに設けることにより、エアクリーナの前面をリヤサスペンションダンパに接近させ、エアクリーナの容量を稼ぐようにする。
【０００９】
凹部をエアクリーナの前面よりもエアクリーナの内側に入り込むように設けて、凹部でリヤサスペンションダンパを回避するようにし、例えば、コネクティングチューブの他の部分を膨出させることで、実質的なエアクリーナの容量を稼ぐようにする。
請求項２は、凹部が、最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの外形に沿わせたことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。なお、Ｆｒは車体前方、Ｒｒは車体後方を示す。
図１は本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造を持つ自動二輪車の側面図である。
自動二輪車１０は、オフロード・バイクの一例であって、車体フレーム１１と、この車体フレーム１１の前部に設けたヘッドパイプ１２と、このヘッドパイプ１２に回転可能に取付けたフロントフォーク１３,１３（奥側の１３不図示）と、これらのフロントフォーク１３，１３の上部に取付けたハンドル１４と、フロントフォーク１３，１３の下部に回転可能に取付けた前輪１５と、この前輪１５を覆うフロントフェンダ１６と、ヘッドパイプ１２の後方で車体フレーム１１に取付けた燃料タンク１７と、この燃料タンク１７の後方に設けたシート１８と、これらの燃料タンク１７及びシート１８の下方に配置したエンジン１９及び変速機２１からなるパワーユニット２２と、このパワーユニット２２の後方で車体フレーム１１にスイング可能に取付けたスイングアーム２３と、このスイングアーム２３に回転可能に取付けると共にパワーユニット２２で駆動する後輪２４と、この後輪２４の上部に設けたリヤフェンダ２５とからなる。
【００１１】
ここで、２９はスイングアーム２３とリヤサスペンションダンパ５１との間に介在させたリンク群、３１はシートレール、３２はサブフレーム、３３はラジエータシュラウド、３４はシートカウル、３５は排気管、３６は消音器、３７はキャリパ、３８は駆動チェーン、３９はプロテクタ、５０は自動二輪車のエアクリーナ配置構造（以下、「エアクリーナ配置構造５０」と略記する）を示す。
【００１２】
図２は本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造の側面図である。
エアクリーナ配置構造５０は、１本で構成したリヤサスペンションダンパ５１を車体中央付近に配置し、このリヤサスペンションダンパ５１の前方にキャブレタ５２を配置し、リヤサスペンションダンパ５１の後方にエアクリーナ５３を配置し、これらのキャブレタ５２とエアクリーナ５３との間をコネクティングチューブ５４で接続したものであって、最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパ５１の軸線Ｂに対してエアクリーナ５３の前面５３ａを前傾斜させたものである。６４は、後述するように、コネクティングチューブ５４に形成した凹部である。
【００１３】
リヤサスペンションダンパ５１は、内側にダンパ部５６を設け、このダンパ部５６の外側にダンパスプリング５７を設けたものであり、上端を車体フレーム１１側に止め、下端を図１に示すリンク群２９を介してスイングアーム２３に連結したものである。
また、リヤサスペンションダンパ５１は、伸びているときは前側に移動し、縮んだときは後側に移動するものであり、すなわち、ストロークすると振れるものであって、エアクリーナ配置構造５０は、縮んだときのリヤサスペンションダンパ５１の位置を基準にエアクリーナ５３を設定するものである。
【００１４】
キャブレタ５２は、図１に示す燃料タンク１７の燃料とエアクリーナ５３側から流れるエアとを混合し、気化させた燃料をエンジン１９に供給する部材である。
エアクリーナ５３は、内部にエアクリーナ５９を収納したものであり、キャブレタ５２に送るエアを清浄化する部材である。５３ａはエアクリーナ５３の前面、５３ｂはエアクリーナ５３の出口である。
【００１５】
すなわち、エアクリーナ配置構造５０は、車体中央付近に１本で構成したリヤサスペンションダンパ５１を配置し、このリヤサスペンションダンパ５１の後方にエアクリーナ５３を配置し、このエアクリーナ５３の出口からコネクティングチューブ５４を延ばして燃焼のためのエアをエアクリーナ５３、コネクティングチューブ５４の順に流すようにし、且つ、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１を収納する凹部６４をコネクティングチューブ５４に設け、エアクリーナ５３の前面５３ａを前傾斜させることで、リヤサスペンションダンパ５１に接近させるようにしたものである。
【００１６】
すなわち、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１を収納する凹部６４をコネクティングチューブ５４に設け、エアクリーナ５３の前面５３ａを前傾斜させ、リヤサスペンションダンパ５１に接近させるようにしたので、コネクティングチューブ５４を短くすることができ、エンジン性能を改善することができる。
【００１７】
図３は本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造のコネクティングチューブの側面図である。図４は図３の４−４線断面図である。
コネクティングチューブ５４は、図２に示すキャブレタ５２とエアクリーナ５３とを結ぶチューブであり、エアの入口側にエアクリーナ接続口６１を形成し、エアの出口側のキャブレタ接続口６２を形成し、これらの接続口６１，６２の間を本体部６３で繋ぎ、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１を収納する凹部６４を本体部６３に設け、本体部６３にエアクリーナ５３の容量を稼ぐ膨出部６５を設けたものである。６３ａ・・・（・・・は複数個を示す。以下、同じ）は本体部６３に形成した補強用リブである。
【００１８】
以上に述べたエアクリーナ配置構造５０の作用を次に説明する。
図５（ａ），（ｂ）は本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造の作用説明図であり、（ａ）は比較例を示し、（ｂ）は実施例を示す。なお、５１ａは最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパを示し、５１ｂは最も伸びたときに前進するリヤサスペンションダンパを示す。
（ａ）において、比較例に示すコネクティングチューブ１１０は、キャブレタ５２とエアクリーナ５３とを結ぶチューブであり、エアの入口側にエアクリーナ接続口１１１を形成し、エアの出口側のキャブレタ接続口１１２を形成し、これらの接続口１１１，１１２の間を本体部１１３で繋げただけものであり、コネクティングチューブ１１０には、エアクリーナ５３の容量の増加を図れる部分はない。
【００１９】
（ｂ）において、実施例に示すコネクティングチューブ５４は、本体部６３に最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１ａを収納する凹部６４を設け、本体部６３にエアクリーナ５３の実質的な容量を稼ぐ膨出部６５を設けた。換言すれば、凹部６４をエアクリーナ５３の前面５３ａよりもエアクリーナ５３の内側に入り込むように設け、凹部６４でリヤサスペンションダンパ５１ａを回避するようにし、本体部６３に膨出部６５を設けたものである。従って、エアクリーナ５３の容量の実質的な増加を図ることができ、エンジン１９（図１参照）の出力の向上を図ることができる。
【００２０】
そして、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１ａを収納する凹部６４を設けることにより、エアクリーナ５３の前面５３ａをリヤサスペンションダンパ５１ａに接近させ、エアクリーナ５３とエンジン１９（図１参照）との距離を実質的に短縮することができるので、エンジン性能を改善することができる。
【００２１】
尚、実施例では、図２に示すように、リヤサスペンションダンパ５１を収納する凹部６４を設けると共に、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１に対してエアクリーナ５３の前面５３ａを前傾斜させたが、リヤサスペンションダンパ５１を収納する凹部６４をコネクティングチューブ５４に設けることにより、エアクリーナ５３の前面５３ａをリヤサスペンションダンパ５１に接近させるようにしたものであればよい。
【００２２】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項１は、車体中央付近に１本で構成され、伸びているときは車体フレームに対して前側に移動し、縮んだときは後側に移動するリヤサスペンションダンパを配置し、このリヤサスペンションダンパの後方にエアクリーナを配置し、このエアクリーナの出口からコネクティングチューブを延ばして燃焼のためのエアをエアクリーナ、コネクティングチューブの順に流すようにした。
そして、エアクリーナは最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの軸線に対してエアクリーナの前面を前傾斜させ、且つ、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパを収納する凹部をコネクティングチューブに設けることにより、エアクリーナの前面をリヤサスペンションダンパに接近させるようにしたので、エンジン性能を改善することができる。
また、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパを収納する凹部をコネクティングチューブに設けることにより、例えば、コネクティングチューブの他の部分を膨出させることで、実質的なエアクリーナの容量を稼ぐことができ、エンジン出力を向上させることができる。
【００２３】
凹部をエアクリーナの前面よりもエアクリーナの内側に入り込むように設け、凹部でリヤサスペンションダンパを回避するようにする。例えば、コネクティングチューブの他の部分を膨出させることで、実質的なエアクリーナの容量を稼ぐことができ、エンジン出力を向上させることができる。
請求項２は、凹部が、最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの外形に沿わせた。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造を持つ自動二輪車の側面図
【図２】本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造の側面図
【図３】本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造のコネクティングチューブの側面図
【図４】図３の４−４線断面図
【図５】本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造の作用説明図
【図６】従来の自動二輪車のエアクリーナ配置構造の側面図
【符号の説明】
１０…自動二輪車、５０…エアクリーナ配置構造、５１…リヤサスペンションダンパ、５３…エアクリーナ、５３ａ…前面、５３ｂ…出口、５４…コネクティングチューブ、６４…凹部。
【発明の属する技術分野】
本発明は自動二輪車のエアクリーナ配置構造の改良に関する。
【０００２】
【従来の技術】
図６は従来の自動二輪車のエアクリーナ配置構造の側面図である。なお、Ｆｒは車体前方、Ｒｒは車体後方を示す。
従来の自動二輪車のエアクリーナ配置構造１００は、１本で構成したリヤサスペンションダンパ１０１を車体中央付近に配置し、このリヤサスペンションダンパ１０１の前方にキャブレタ１０２を配置し、リヤサスペンションダンパ１０１の後方にエアクリーナ１０３を配置し、これらのキャブレタ１０２とエアクリーナ１０３との間をコネクティングチューブ１０４で接続したものであって、最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパ１０１の軸線Ａに略々平行にエアクリーナ１０３の前面１０３ａを位置させたものであった。ここで、１０５はメインフレーム、１０６はシートレール、１０７はサブレールである。
【０００３】
上記構造では、キャブレタ１０２とエアクリーナ１０３とを接続するコネクティングチューブ１０４が長くなり、エンジン性能に悪影響を及ぼすことがある。また、リヤサスペンションダンパ１０１は、ストロークすると車体前後方向に移動するものなので、リヤサスペンションダンパ１０１の移動範囲を確保してエアクリーナ１０３を配置することになる。従って、エアクリーナ１０３の容量が規制され、エンジン出力の低下を招く虞れがある。
【０００４】
コネクティングチューブを短くすると共にエアクリーナ容量を稼ぐようにした自動二輪車のエアクリーナ配置構造として、例えば特公昭６２−３６９０９号公報「自動二輪車のエアクリーナ装置」が知られている。
上記技術は、同公報の第１図及び第２図によれば、車体フレーム１０（同公報に使用された符号を流用した）にエンジン１４を取付け、このエンジン１４にキャブレタ３２，３２を取付け、これらのキャブレタ３２，３２にコンチューブ３１，３１（以下、「コネクティングチューブ」と呼ぶ）を介してエアチャンバー３０を取付け、このエアチャンバー３０に緩衝器２２を迂回させる通路４４，４４を介してエアクリーナ３３を取付けたものである。
すなわち、エアチャンバー３０の空気の貯溜機能によって多量の空気を吸引させようにしたものである。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記技術は、エアクリーナ３３とコネクティングチューブとの間にエアチャンバー３０を配置するものであり、部品点数の増加を招く。
また、緩衝器２２の廻りにエアチャンバー３０が位置するので、構造が複雑になり、自動二輪車の点検作業が困難になる。
【０００６】
そこで、本発明の目的は、部品点数の増加をすることなく、また、構造を複雑にすることなく、エアクリーナの容量を稼ぐことのできる自動二輪車のエアクリーナ配置構造を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項１は、１本で構成され、伸びているときは車体フレームに対して前側に移動し、縮んだときは後側に移動するリヤサスペンションダンパを車体中央付近に持つ自動二輪車において、リヤサスペンションダンパの後方にエアクリーナを配置し、このエアクリーナの出口からコネクティングチューブを延ばして燃焼のためのエアをエアクリーナ、コネクティングチューブの順に流すようにし、エアクリーナは最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの軸線に対してエアクリーナの前面を前傾斜させ、且つ、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパを収納する凹部をエアクリーナの前面よりもエアクリーナの内側に入り込むようにコネクティングチューブに設けることにより、エアクリーナの前面をリヤサスペンションダンパに接近させるようにしたことを特徴とする。
【０００８】
車体中央付近に１本で構成され、伸びているときは車体フレームに対して前側に移動し、縮んだときは後側に移動するリヤサスペンションダンパを配置し、このリヤサスペンションダンパの後方にエアクリーナを配置し、このエアクリーナの出口からコネクティングチューブを延ばして燃焼のためのエアをエアクリーナ、コネクティングチューブの順に流すようにする。
そして、エアクリーナは最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの軸線に対してエアクリーナの前面を前傾斜させ、且つ、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパを収納する凹部をコネクティングチューブに設けることにより、エアクリーナの前面をリヤサスペンションダンパに接近させ、エアクリーナの容量を稼ぐようにする。
【０００９】
凹部をエアクリーナの前面よりもエアクリーナの内側に入り込むように設けて、凹部でリヤサスペンションダンパを回避するようにし、例えば、コネクティングチューブの他の部分を膨出させることで、実質的なエアクリーナの容量を稼ぐようにする。
請求項２は、凹部が、最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの外形に沿わせたことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。なお、Ｆｒは車体前方、Ｒｒは車体後方を示す。
図１は本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造を持つ自動二輪車の側面図である。
自動二輪車１０は、オフロード・バイクの一例であって、車体フレーム１１と、この車体フレーム１１の前部に設けたヘッドパイプ１２と、このヘッドパイプ１２に回転可能に取付けたフロントフォーク１３,１３（奥側の１３不図示）と、これらのフロントフォーク１３，１３の上部に取付けたハンドル１４と、フロントフォーク１３，１３の下部に回転可能に取付けた前輪１５と、この前輪１５を覆うフロントフェンダ１６と、ヘッドパイプ１２の後方で車体フレーム１１に取付けた燃料タンク１７と、この燃料タンク１７の後方に設けたシート１８と、これらの燃料タンク１７及びシート１８の下方に配置したエンジン１９及び変速機２１からなるパワーユニット２２と、このパワーユニット２２の後方で車体フレーム１１にスイング可能に取付けたスイングアーム２３と、このスイングアーム２３に回転可能に取付けると共にパワーユニット２２で駆動する後輪２４と、この後輪２４の上部に設けたリヤフェンダ２５とからなる。
【００１１】
ここで、２９はスイングアーム２３とリヤサスペンションダンパ５１との間に介在させたリンク群、３１はシートレール、３２はサブフレーム、３３はラジエータシュラウド、３４はシートカウル、３５は排気管、３６は消音器、３７はキャリパ、３８は駆動チェーン、３９はプロテクタ、５０は自動二輪車のエアクリーナ配置構造（以下、「エアクリーナ配置構造５０」と略記する）を示す。
【００１２】
図２は本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造の側面図である。
エアクリーナ配置構造５０は、１本で構成したリヤサスペンションダンパ５１を車体中央付近に配置し、このリヤサスペンションダンパ５１の前方にキャブレタ５２を配置し、リヤサスペンションダンパ５１の後方にエアクリーナ５３を配置し、これらのキャブレタ５２とエアクリーナ５３との間をコネクティングチューブ５４で接続したものであって、最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパ５１の軸線Ｂに対してエアクリーナ５３の前面５３ａを前傾斜させたものである。６４は、後述するように、コネクティングチューブ５４に形成した凹部である。
【００１３】
リヤサスペンションダンパ５１は、内側にダンパ部５６を設け、このダンパ部５６の外側にダンパスプリング５７を設けたものであり、上端を車体フレーム１１側に止め、下端を図１に示すリンク群２９を介してスイングアーム２３に連結したものである。
また、リヤサスペンションダンパ５１は、伸びているときは前側に移動し、縮んだときは後側に移動するものであり、すなわち、ストロークすると振れるものであって、エアクリーナ配置構造５０は、縮んだときのリヤサスペンションダンパ５１の位置を基準にエアクリーナ５３を設定するものである。
【００１４】
キャブレタ５２は、図１に示す燃料タンク１７の燃料とエアクリーナ５３側から流れるエアとを混合し、気化させた燃料をエンジン１９に供給する部材である。
エアクリーナ５３は、内部にエアクリーナ５９を収納したものであり、キャブレタ５２に送るエアを清浄化する部材である。５３ａはエアクリーナ５３の前面、５３ｂはエアクリーナ５３の出口である。
【００１５】
すなわち、エアクリーナ配置構造５０は、車体中央付近に１本で構成したリヤサスペンションダンパ５１を配置し、このリヤサスペンションダンパ５１の後方にエアクリーナ５３を配置し、このエアクリーナ５３の出口からコネクティングチューブ５４を延ばして燃焼のためのエアをエアクリーナ５３、コネクティングチューブ５４の順に流すようにし、且つ、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１を収納する凹部６４をコネクティングチューブ５４に設け、エアクリーナ５３の前面５３ａを前傾斜させることで、リヤサスペンションダンパ５１に接近させるようにしたものである。
【００１６】
すなわち、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１を収納する凹部６４をコネクティングチューブ５４に設け、エアクリーナ５３の前面５３ａを前傾斜させ、リヤサスペンションダンパ５１に接近させるようにしたので、コネクティングチューブ５４を短くすることができ、エンジン性能を改善することができる。
【００１７】
図３は本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造のコネクティングチューブの側面図である。図４は図３の４−４線断面図である。
コネクティングチューブ５４は、図２に示すキャブレタ５２とエアクリーナ５３とを結ぶチューブであり、エアの入口側にエアクリーナ接続口６１を形成し、エアの出口側のキャブレタ接続口６２を形成し、これらの接続口６１，６２の間を本体部６３で繋ぎ、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１を収納する凹部６４を本体部６３に設け、本体部６３にエアクリーナ５３の容量を稼ぐ膨出部６５を設けたものである。６３ａ・・・（・・・は複数個を示す。以下、同じ）は本体部６３に形成した補強用リブである。
【００１８】
以上に述べたエアクリーナ配置構造５０の作用を次に説明する。
図５（ａ），（ｂ）は本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造の作用説明図であり、（ａ）は比較例を示し、（ｂ）は実施例を示す。なお、５１ａは最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパを示し、５１ｂは最も伸びたときに前進するリヤサスペンションダンパを示す。
（ａ）において、比較例に示すコネクティングチューブ１１０は、キャブレタ５２とエアクリーナ５３とを結ぶチューブであり、エアの入口側にエアクリーナ接続口１１１を形成し、エアの出口側のキャブレタ接続口１１２を形成し、これらの接続口１１１，１１２の間を本体部１１３で繋げただけものであり、コネクティングチューブ１１０には、エアクリーナ５３の容量の増加を図れる部分はない。
【００１９】
（ｂ）において、実施例に示すコネクティングチューブ５４は、本体部６３に最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１ａを収納する凹部６４を設け、本体部６３にエアクリーナ５３の実質的な容量を稼ぐ膨出部６５を設けた。換言すれば、凹部６４をエアクリーナ５３の前面５３ａよりもエアクリーナ５３の内側に入り込むように設け、凹部６４でリヤサスペンションダンパ５１ａを回避するようにし、本体部６３に膨出部６５を設けたものである。従って、エアクリーナ５３の容量の実質的な増加を図ることができ、エンジン１９（図１参照）の出力の向上を図ることができる。
【００２０】
そして、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１ａを収納する凹部６４を設けることにより、エアクリーナ５３の前面５３ａをリヤサスペンションダンパ５１ａに接近させ、エアクリーナ５３とエンジン１９（図１参照）との距離を実質的に短縮することができるので、エンジン性能を改善することができる。
【００２１】
尚、実施例では、図２に示すように、リヤサスペンションダンパ５１を収納する凹部６４を設けると共に、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパ５１に対してエアクリーナ５３の前面５３ａを前傾斜させたが、リヤサスペンションダンパ５１を収納する凹部６４をコネクティングチューブ５４に設けることにより、エアクリーナ５３の前面５３ａをリヤサスペンションダンパ５１に接近させるようにしたものであればよい。
【００２２】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項１は、車体中央付近に１本で構成され、伸びているときは車体フレームに対して前側に移動し、縮んだときは後側に移動するリヤサスペンションダンパを配置し、このリヤサスペンションダンパの後方にエアクリーナを配置し、このエアクリーナの出口からコネクティングチューブを延ばして燃焼のためのエアをエアクリーナ、コネクティングチューブの順に流すようにした。
そして、エアクリーナは最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの軸線に対してエアクリーナの前面を前傾斜させ、且つ、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパを収納する凹部をコネクティングチューブに設けることにより、エアクリーナの前面をリヤサスペンションダンパに接近させるようにしたので、エンジン性能を改善することができる。
また、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパを収納する凹部をコネクティングチューブに設けることにより、例えば、コネクティングチューブの他の部分を膨出させることで、実質的なエアクリーナの容量を稼ぐことができ、エンジン出力を向上させることができる。
【００２３】
凹部をエアクリーナの前面よりもエアクリーナの内側に入り込むように設け、凹部でリヤサスペンションダンパを回避するようにする。例えば、コネクティングチューブの他の部分を膨出させることで、実質的なエアクリーナの容量を稼ぐことができ、エンジン出力を向上させることができる。
請求項２は、凹部が、最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの外形に沿わせた。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造を持つ自動二輪車の側面図
【図２】本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造の側面図
【図３】本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造のコネクティングチューブの側面図
【図４】図３の４−４線断面図
【図５】本発明に係る自動二輪車のエアクリーナ配置構造の作用説明図
【図６】従来の自動二輪車のエアクリーナ配置構造の側面図
【符号の説明】
１０…自動二輪車、５０…エアクリーナ配置構造、５１…リヤサスペンションダンパ、５３…エアクリーナ、５３ａ…前面、５３ｂ…出口、５４…コネクティングチューブ、６４…凹部。
Claims (2)
- １本で構成され、伸びているときは車体フレームに対して前側に移動し、縮んだときは後側に移動するリヤサスペンションダンパを車体中央付近に持つ自動二輪車において、
前記リヤサスペンションダンパの後方にエアクリーナを配置し、このエアクリーナの出口からコネクティングチューブを延ばして燃焼のためのエアをエアクリーナ、コネクティングチューブの順に流すようにし、エアクリーナは最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの軸線に対してエアクリーナの前面を前傾斜させ、且つ、最も縮んだときに後退するリヤサスペンションダンパを収納する凹部をエアクリーナの前面よりもエアクリーナの内側に入り込むように前記コネクティングチューブに設けることにより、エアクリーナの前面をリヤサスペンションダンパに接近させるようにしたことを特徴とする自動二輪車のエアクリーナ配置構造。 - 前記凹部は、最も縮んだときに後退したリヤサスペンションダンパの外形に沿わせたことを特徴とする請求項１記載の自動二輪車のエアクリーナ配置構造。
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