JP4148665B2 - リチウム二次電池用電極及びリチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なリチウム二次電池用電極及びこれを用いたリチウム二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、研究開発が盛んに行われているリチウム二次電池は、用いられる電極により充放電電圧、充放電サイクル寿命特性、保存特性などの電池特性が大きく左右される。このことから、電極活物質を改善することにより、電池特性の向上が図られている。
【0003】
負極活物質としてリチウム金属を用いると、重量当り及び体積当りともに高いエネルギー密度の電池を構成することができるが、充電時にリチウムがデンドライト状に析出し、内部短絡を引き起こすという問題があった。
【0004】
これに対し、充電の際に電気化学的にリチウムと合金化するアルミニウム、シリコン、錫などを電極として用いるリチウム二次電池が報告されている(Solid State Ionics, 113-115, p57(1998)) 。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのリチウム(Li)と合金化する金属を負極材料として用いると、リチウムの吸蔵及び放出に伴い、大きな体積膨張及び収縮が生じ、電極活物質が微粉化し、集電体から脱離するため、十分なサイクル特性が得られないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、これらの従来の問題を解消し、放電容量が高く、かつサイクル特性に優れたリチウム二次電池用電極及びこれを用いたリチウム二次電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のリチウム二次電池用電極は、リチウムと合金化する金属と、リチウムと合金化しない金属とからなる合金薄膜を集電体上に設け、合金薄膜が厚み方向に形成された切れ目によって島状に分離されていることを特徴としている。
【0008】
本発明において、リチウムと合金化する金属とは、リチウムと固溶体または金属間化合物などの合金を形成する金属であり、具体的には、Sn、Ge、Al、In、Mg、Siなどが挙げられる。
【0009】
本発明においてリチウムと合金化しない金属とは、リチウムと固溶体または金属間化合物などの合金を形成しない金属であり、具体的には、リチウムとの二元状態図で合金状態が存在しない金属である。リチウムと合金化しない金属としては、たとえば、Cu、Fe、Ni、Co、Mo、W、Ta、Mnなどが挙げられる。
【0010】
本発明において、リチウムと合金化しない金属は、リチウムと合金化する金属と金属間化合物を形成する金属であることが好ましい。ここで、金属間化合物とは、金属同士が特定の比率で化合した特定の結晶構造を有する化合物をいう。本発明において、リチウムと合金化する金属がSnである場合、リチウムと合金化しない金属はSnと金属間化合物を形成する金属であることが好ましい。このような金属としては、例えば、Ti、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Zr及びMoから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの金属は単独で含まれていてもよいし、複数含まれていてもよい。これらの中でも、特に、Fe、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、特に少なくともCoが含まれていることが好ましい。なお、本発明においては、これらの金属からなる合金薄膜が、これらの金属の金属間化合物を薄膜中において必ずしも形成している必要はない。従って、合金薄膜は、結晶性である必要はなく、例えばアモルファスや不定比の化合物であってもよい。
【0011】
本発明においては、リチウムと合金化する金属と、リチウムと合金化しない金属とからなる合金の薄膜が集電体上に設けられる。また、合金薄膜を形成する方法は、特に限定されるものではないが、電解メッキや無電解メッキなどの電気化学的な方法が好ましく用いられる。また、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、溶射法などの物理的薄膜形成法で合金薄膜を形成してもよい。
【0012】
本発明で用いられる集電体は、リチウム二次電池用電極に用いることができる集電体であれば特に限定されるものではなく、たとえば、銅、ニッケル、チタン、鉄、ステンレス、モリブデン、コバルト、クロム、タングステン、タンタル、銀などからなる金属箔を用いることができる。
【0013】
本発明において、集電体の表面には凹凸が形成されていることが好ましい。集電体の表面粗さRaの上限値は特に制限されるものではないが、表面粗さRaが2μmを超えるものは電池として実用的な厚みの銅箔としては一般に入手しにくいので、表面粗さRaの好ましい範囲の上限値としては2μm以下であり、さらに好ましくは1μm以下である。また、表面粗さRaの下限値は、0.01μm以上であることが好ましい。従って、表面粗さRaの好ましい範囲は、0.01〜2μmであり、さらに好ましくは0.01〜1μmである。
【0014】
表面粗さRaは、日本工業規格(JIS B 0601−1994)に定められており、たとえば表面粗さ計により測定することができる。集電体として、表面粗さRaが大きな銅箔を用いる場合、電解銅箔を用いることが好ましい。
【0015】
本発明において、合金薄膜は、その厚み方向に形成された切れ目によって島状に分離されていることが好ましい。合金薄膜が、集電体と密着した状態で島状に分離されることにより、充放電サイクル特性を著しく向上させることができる。
【0016】
合金薄膜は、リチウムと合金化する金属を含むものであるので、充放電反応の際、リチウムを合金化して吸蔵することができる。たとえば、本発明の電極を負極として用いる場合、充電の際に、リチウムが合金薄膜中に吸蔵され、放電の際には合金薄膜からリチウムが放出される。このようなリチウムの吸蔵・放出により合金薄膜の体積は膨張・収縮する。合金薄膜が島状に分離されていることにより、そのまわりに空間が設けられるので、合金薄膜が充放電反応の際に体積を膨張・収縮しても、その体積変化を周囲の空間部分で吸収することができる。従って、合金薄膜内部で歪みを生じることがなく、合金薄膜の微粉化や集電体からの剥離を抑制することができる。
【0017】
メッキ法や物理的薄膜形成方法で集電体上に合金薄膜を形成すると、連続した薄膜として合金薄膜が形成される。このような場合、上記厚み方向の切れ目は、通常、初回以降の充放電反応により形成される。すなわち、充放電反応において合金薄膜が膨張した後、収縮する際、上記の厚み方向の切れ目が形成され、合金薄膜が島状に分離される。このような厚み方向の切れ目による分離は、表面に凹凸を有する集電体を用いた場合に特に形成されやすくなる。表面に凹凸を有する集電体の上に合金薄膜を形成すると、合金薄膜の表面にも、集電体表面の凹凸に沿って、凹凸形状が形成される。このような合金薄膜が膨張収縮すると、合金薄膜表面の凹凸の谷部と、集電体表面の凹凸の谷部を結ぶ線で厚み方向に切れ目が形成され、集電体表面の凹凸の谷部に沿って合金薄膜が島状に分離されるものと思われる。
【0018】
本発明において、合金薄膜中のリチウムと合金化しない金属の量は、モル比(原子比)として50%以下であることが好ましい。これよりも多くなると、リチウムと合金化する金属の量が相対的に減少するので、充放電容量がこれに伴って低くなり好ましくない。また、リチウムと合金化しない金属の量は、合金薄膜中においてモル比(原子比)として0.1%以上であることが好ましい。リチウムと合金化しない金属が含まれることにより、合金薄膜の充放電反応の際の体積の膨張及び収縮を制限することができ、この結果として充放電サイクル特性を高めることができる。従って、サイクル特性向上の観点から、リチウムと合金化しない金属は0.1%以上含まれていることが好ましい。従って、合金薄膜中におけるリチウムと合金化しない金属の好ましい含有量の範囲は、モル比(重量比)として、0.1〜50%である。さらに好ましい含有量の範囲は、モル比(原子比)として1〜40%である。
【0019】
本発明においては、集電体と合金薄膜の界面に、集電体成分と合金成分の混合層が形成されていてもよい。このような混合層を形成することにより、集電体に対する合金薄膜の密着性を高めることができ、さらなるサイクル特性の向上を期待することができる。このような混合層は、集電体上に合金薄膜を形成した後、熱処理等を施すことにより形成することができる。熱処理の温度としては、合金薄膜の融点及び集電体の融点よりも低い温度であることが好ましい。
【0020】
本発明のリチウム二次電池は、上記本発明のリチウム二次電池用電極からなる負極と、正極と、非水電解質とを備えることを特徴としている。
本発明のリチウム二次電池に用いる電解質の溶媒は、特に限定されるものではないが、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネートと、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネートとの混合溶媒が例示される。また、前記環状カーボネートと1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル系溶媒との混合溶媒も例示される。また、電解質の溶質としては、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3など及びそれらの混合物が例示される。さらに電解質として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、LiI、Li3Nなどの無機固体電解質が例示される。本発明のリチウム二次電池の電解質は、イオン導電性を発現させる溶質としてのLi化合物とこれを溶解・保持する溶媒が電池の充電時や放電時あるいは保存時の電圧で分解しない限り、制約なく用いることができる。
【0021】
本発明のリチウム二次電池の正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、LiMnO2、LiCo0.5Ni0.5O2、LiNi0.7Co0.2Mn0.1O2などのリチウム含有遷移金属酸化物や、MnO2などのリチウムを含有していない金属酸化物が例示される。また、この他にも、リチウムを電気化学的に挿入・脱離する物質であれば、制限なく用いることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
【0023】
(実験1)
〔電極の作製〕
厚み18μmの電解銅箔(表面粗さRa=0.188μm)の上に電解メッキ法により、厚み2μmのSn−Co合金からなる薄膜を形成した。メッキ浴としては、塩化錫、塩化コバルト、塩化ナトリウム、塩酸、エチレングリコール、及びチオ尿素を混合したメッキ浴を用いた。
【0024】
Sn−Co合金薄膜を形成した後、2cm×2cmの大きさに切り取り、電極a1とした。
比較として、アトマイズ法により作製したSnとCoの合金粉(モル比8:2)と、フッ素樹脂(PVdF)を95:5の重量比で混合したスラリーを調製し、このスラリーを電解銅箔上に塗布し乾燥した後、2cm×2cmの大きさに切り取り、電極b1とした。
【0025】
〔電解液の作製〕
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比1:1の混合溶媒にLiPF6を1モル/リットル溶解させて電解液を作製した。
【0026】
〔ビーカーセルの作製〕
上記電極a1及びb1を作用極として用い、図3に示すようなビーカーセルを作製した。図3に示すように、ビーカーセルは、容器1内に入れられた電解液中に、対極3、作用極4、及び参照極5を浸漬することにより構成されている。電解液2としては、上記電解液を用い、対極3及び参照極5としてはリチウム金属を用いた。
【0027】
〔サイクル特性の測定〕
上記のようにして作製したビーカーセルを、それぞれ25℃にて0.2mAで0V(vs.Li/Li+)まで定電流充電を行い、その後0.2mAで2V(vs.Li/Li+)まで定電流放電を行い、これを1サイクルとして、10サイクルまで充放電を行い、各サイクルにおける単位活物質重量当りの充電容量及び放電容量を測定し、以下の式に定義される初期効率及び容量維持率を求めた。結果を表1に示す。なお、ここでは、作用極の還元を充電とし、作用極の酸化を放電としている。
【0028】
初期効率(%)=(1サイクル目の放電容量/1サイクル目の充電容量)×100
容量維持率(%)=(10サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示す結果から明らかなように、本発明に従う電極a1は、比較の電極b1に比べ高い充放電容量を有しており、かつ良好なサイクル特性を示している。
【0031】
(実験2)
実験1で得られた電極a1及びb1を負極として用い、リチウム二次電池を作製し、その充放電サイクル特性を評価した。
【0032】
〔正極の作製〕
平均粒径10μmのLiCoO2粉末85重量%と、導電剤としての炭素粉末10重量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン粉末5重量%とを混合し、得られた混合物にN−メチルピロリドンを加えて混練してスラリーを作製した。このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にドクターブレード法により塗布し乾燥した後、2cm×2cmの大きさに切り取り、正極を作製した。
【0033】
〔電池の作製〕
上記のようにして得られた正極と、電極a1またはb1とを、ポリエチレン製微多孔膜を介して貼り合わせ、アルミニウム製ラミネート材からなる外装体に挿入した後、実験1で作製したのと同様の電解液をこの中に500μl注入し、リチウム二次電池を作製した。
【0034】
図4は、作製したリチウム二次電池を示す平面図である。図4に示すように、ポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータ12を介して、正極11と負極13とが組み合わされて外装体14内に挿入されている。外装体14に挿入した後に、電解液を注入し、外装体14の封止部14aで封止することにより、リチウム二次電池が作製されている。
【0035】
図5は、電池内部における電極の組み合わせ状態を示すための断面図である。図5に示すように、セパレータ12を介して正極11と負極13が対向するように組み合わせられている。正極11においてはアルミニウムからなる正極集電体11bの上に、正極活物質層11aが設けられており、この正極活物質層11aがセパレータ12と接している。また、負極13においては、銅からなる負極集電体13bの上に、負極活物質層13aが設けられており、この負極活物質層13aがセパレータ12に接している。本実施例において、負極活物質層13aは、Sn−Co合金薄膜から形成された層である。
【0036】
図4に示すように、正極集電体11bには、外部取り出しのためのアルミニウムからなる正極タブ11cが取り付けられている。また、負極集電体13bにも、外部取り出しのためのニッケルからなる負極タブ13cが取り付けられている。
【0037】
作製したリチウム二次電池において、負極に電極a1を用いたものを電池A1とし、電極b1を用いたものを電池B1とした。各電池の設計容量は、6mAhであった。
【0038】
〔充放電試験〕
以上のようにして作製した電池A1及びB1について充放電試験を行った。充電は1.2mAの定電流で充電容量が6mAhになるまで行い、放電は1.2mAの定電流で2.0Vまで行い、これを1サイクルとした。ただし、1サイクル目(初回)の充電は、充電容量が7.2mAhに達するまで行った。上記実験1と同様にして、初期効率及び容量維持率を求めた。結果を表2に示す。なお、測定は25℃で行った。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示す結果から明らかなように、本発明に従う電池A1は良好な充放電サイクル特性を示している。
図1は、充放電試験において10サイクル目の電池A1から取り出した電極a1の表面を観察したときの走査型電子顕微鏡写真である。倍率は1000倍である。図2は、この電極a1を樹脂で包埋した後スライスして断面を観察したときの走査型電子顕微鏡写真である。倍率は5000倍である。図1及び図2にから明らかなように、充放電反応後の電極a1においては、合金薄膜の厚み方向に形成された切れ目によって、合金薄膜が島状に分離されていることがわかる。図2から明らかなように、この切れ目は、集電体表面の凹凸の谷部に沿って形成されている。また、図1から明らかなように、この切れ目は、合金薄膜の膜面方向に集電体表面の凹凸の谷部に沿って網目状に連なっていることがわかる。
【0041】
図2から明らかなように、合金薄膜は集電体表面の凹凸に沿って形成されており、合金薄膜表面の凹凸の谷部と、集電体表面の凹凸の谷部を結ぶ線に沿って切れ目が形成されている。このような切れ目は、合金薄膜が充放電反応により膨張・収縮することにより形成されたものと思われる。
【0042】
図1及び図2に示すように、島状の合金薄膜の周囲に空間が存在しているため、このような空間によって合金薄膜の充放電反応の際の体積変化を吸収することができ、良好なサイクル特性を示すことができるものと思われる。
【0043】
上記実施例では、集電体である基板の上に電解メッキ法によりSn−Co合金薄膜を形成しているが、無電解メッキ法により形成してもよい。さらには、スパッタリング法、真空蒸着法、溶射法などの薄膜形成方法により形成してもよい。
【0044】
(実験3)
実験1と同様にして、厚み18μmの電解銅箔(表面粗さRa=0.188μm)の上に、電解メッキ法により、厚み2μmのSn−Ni合金、Sn−Fe合金、Sn−Pb合金、及びSn−Zn合金からなる薄膜を形成した。
【0045】
Sn−Ni合金薄膜は、ピロリン酸カリウム、塩化スズ、塩化ニッケル、グリシンを混合したSn−Niめっき浴を用いて形成した。
Sn−Fe合金薄膜は、塩化錫、硫酸鉄、クエン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸を混合したSn−Feめっき浴を用いて形成した。なお、Sn−Feめっき浴は、組成の異なる2種類のめっき浴を用いた。
【0046】
Sn−Pb合金薄膜は、ホウフッ化錫、ホウフッ化鉛、ホウフッ化水素酸、ホウ酸、ペプトンを混合したSn−Pbめっき浴を用いて形成した。
Sn−Zn合金薄膜は、有機酸錫、有機酸亜鉛、錯化剤を混合したSn−Znめっき浴を用いて形成した。
【0047】
Sn−Ni合金薄膜を形成した電極を本発明電極c1とし、Sn−Fe合金薄膜を形成した電極を本発明電極c2及びc3とし、Sn−Pb合金薄膜を形成した電極を比較電極e1とし、Sn−Zn合金薄膜を形成した電極を比較電極e2とした。なお、Ni及びFeは、リチウムと合金化しない金属であり、Sn、Pb、及びZnはリチウムと合金化する金属である。従って、Sn−Ni合金薄膜及びSn−Fe合金薄膜は、本発明に従う合金薄膜であり、Sn−Pb合金薄膜及びSn−Zn合金薄膜は、本発明の範囲外の合金薄膜である。
【0048】
本発明電極c1〜c3及び比較電極e1及びe2において形成した合金薄膜中における合金の組成比を、ICP発光分光分析法により分析した。合金薄膜の組成比を表3に示す。なお、表3においては、実験1において作製した本発明電極a1における合金薄膜の組成比も併せて示している。
【0049】
【表3】
【0050】
本発明電極c1〜c3並びに比較電極e1及びe2を作用極として用い、実験1と同様にしてビーカーセルを作製し、サイクル特性を評価した。評価結果を表4に示す。
【0051】
【表4】
【0052】
表4に示す結果から明らかなように、本発明電極c1〜c3は、比較電極e1及びe2に比べ良好なサイクル特性を示している。
【0053】
(実験4)
表面粗さRaの異なる2種類の電解銅箔(厚み18μm)を用いて、実験1と同様にして、電解銅箔の上に厚み2μmのSn−Co合金からなる薄膜を形成し電極を作製した。
【0054】
表面粗さRaが0.188μmの電解銅箔を用いた電極を本発明電極d1とし、表面粗さRaが1.19μmの電解銅箔を用いた電極を本発明電極d2とした。また、表面粗さRaが0.04μmの圧延銅箔の上にも、同様にして厚み2μmのSn−Co合金からなる薄膜を形成し、本発明電極d3とした。なお、本発明電極d1は、表1に示す電極a1と同様のものである。
【0055】
本発明電極d1、d2、及びd3を用いて、実験1と同様にしてビーカーセルを作製し、充放電サイクル特性を評価した、評価結果を表5に示す。
【0056】
【表5】
【0057】
表5に示す結果から明らかなように、集電体の表面粗さRaが1μmを超える場合も良好なサイクル特性が得られるが、集電体の表面粗Raは1μm以下の方が好ましいことがわかる。また、本発明電極d3よりも本発明電極d1の方が良好なサイクル特性が得られている。従って、集電体の表面粗さRaとしては、0.1〜1μmの範囲が特に好ましいことがわかる。
【0058】
(実験5)
実験1と同様にして、厚み18μmの電解銅箔(表面粗さRa=0.188μm)の上に、電解メッキ法により、厚み2μmのSn−Ni−Co合金からなる薄膜を形成した。
【0059】
Sn−Ni−Co合金薄膜は、ピロリン酸カリウム、塩化スズ、塩化ニッケル、塩化コバルトを混合したSn−Ni−Coめっき浴を用いて形成した。
得られた本発明電極f1を用い、実験1と同様にしてビーカーセルを作製し、サイクル特性を評価した。評価結果を表6に示す。また、電極において形成しためっき膜の化学組成を表7に示す。
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
表6に示す結果から明らかなように、Sn−Ni−Co合金薄膜を形成した電極f1は、高い充放電容量を有しており、かつSn−Ni合金薄膜を用いた電極c1よりも良好なサイクル特性を示している。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、放電容量が高く、かつサイクル特性に優れたリチウム二次電池とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う実施例の電極a1の表面を示す走査型電子顕微鏡写真。
【図2】本発明に従う実施例の電極a1の断面を示す走査型電子顕微鏡写真。
【図3】実施例において作製したビーカーセルを示す模式的断面図。
【図4】実施例において作製したリチウム二次電池を示す平面図。
【図5】図4に示すリチウム二次電池における電極の組み合わせ構造を示す断面図。
【符号の説明】
1…容器
2…電解液
3…対極
4…作用極
5…参照極
11…正極
11a…正極活物質層
11b…正極集電体
11c…正極タブ
12…セパレータ
13…負極
13a…負極活物質層
13b…負極集電体
13c…負極タブ
14…外装体
14a…外装体の封止部
Claims (17)
- リチウムと合金化する金属と、リチウムと合金化しない金属とからなる合金薄膜を集電体上に設け、前記合金薄膜が厚み方向に形成された切れ目によって島状に分離されていることを特徴とするリチウム二次電池用電極。
- リチウムと合金化しない金属が、リチウムと合金化する金属と金属間化合物を形成する金属であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
- 前記合金薄膜がメッキによって形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウム二次電池用電極。
- 前記切れ目が初回以降の充放電で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
- 前記集電体表面に凹凸が形成されており、該凹凸の谷部に沿って前記合金薄膜が島状に分離されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
- 前記集電体の表面粗さRaが0.01〜2μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
- 前記集電体の表面粗さRaが0.01〜1μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
- 前記集電体の表面粗さRaが0.1〜1μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
- 前記集電体が銅から形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
- 前記集電体が電解銅箔であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
- リチウムと合金化する金属がSnであり、リチウムと合金化しない金属がSnと金属間化合物を形成する金属であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
- リチウムと合金化する金属がSnであり、リチウムと合金化しない金属が、Fe、Co、及びNiから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項11に記載のリチウム二次電池用電極。
- リチウムと合金化する金属がSnであり、リチウムと合金化しない金属として少なくともCoが含まれていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
- リチウムと合金化する金属がSnであり、リチウムと合金化しない金属がCoであり、前記合金薄膜がSn−Co合金薄膜であることを特徴とする請求項13に記載のリチウム二次電池用電極。
- リチウムと合金化する金属がSnであり、リチウムと合金化しない金属がNi及びCoであり、前記合金薄膜がSn−Ni−Co合金薄膜であることを特徴とする請求項13に記載のリチウム二次電池用電極。
- 前記集電体と前記合金薄膜の界面に、集電体成分と合金成分の混合層が形成されていることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の電極からなる負極と、正極と、非水電解質とを備えるリチウム二次電池。
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