JP2005085570A - 薄膜電極とその製造方法およびその薄膜電極を用いたリチウム二次電池 - Google Patents
薄膜電極とその製造方法およびその薄膜電極を用いたリチウム二次電池 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 充放電に伴う集電体の皺の発生を防止して、体積変化を低減させた薄膜電極とその製造方法およびその薄膜電極を用いたサイクル特性の高いリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】 リチウムと合金化しない金属から形成された集電体1、集電体1の表面に形成され、リチウムと合金化する元素を含む薄膜とを備えた薄膜電極であって、集電体1が、スリット2を備え、スリット2の長さが、1mm以上10mm以下である薄膜電極とする。また、リチウムと合金化しない金属からなる集電体1に、長さが1mm以上10mm以下であるスリット2を形成する工程と、集電体1の表面に、リチウムと合金化する元素を含む薄膜を形成する工程とを含む薄膜電極の製造方法とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 リチウムと合金化しない金属から形成された集電体1、集電体1の表面に形成され、リチウムと合金化する元素を含む薄膜とを備えた薄膜電極であって、集電体1が、スリット2を備え、スリット2の長さが、1mm以上10mm以下である薄膜電極とする。また、リチウムと合金化しない金属からなる集電体1に、長さが1mm以上10mm以下であるスリット2を形成する工程と、集電体1の表面に、リチウムと合金化する元素を含む薄膜を形成する工程とを含む薄膜電極の製造方法とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、薄膜電極とその製造方法およびその薄膜電極を用いたリチウム二次電池に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン、PDAなどの携帯端末機器の需要が急激に拡大しており、これらの機器の小型軽量化および高機能化に伴って、それらの電源として主として用いられるリチウム二次電池のさらなる高エネルギー密度化が要求されている。しかし、現在実用化されているリチウム二次電池に用いられる炭素系負極の電気容量は理論値に近い値にまで到達しており、より高容量なリチウム二次電池を実現するためには負極材料の新規開発が必須である。
このような中で最近では、高容量リチウム二次電池用の新たな負極材料として、Liと合金化しない材料からなる集電体上に、Liと合金化するSnまたはSn含有合金からなる薄膜を形成し、その薄膜を負極材料として用いる薄膜電極が注目されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。特許文献1は、集電体である銅板上に、電解めっき法によりSn薄膜を形成するものであり、特許文献2は、電解めっき法により、銅箔上にSn、Zn、Sb、またはそれらを含有する合金を素材とする薄膜を形成するものである。
Liと合金化する金属の中でも、特にSnは従来の黒鉛系負極材料と比較して高いエネルギー密度(994mAh/g)を有するため、次世代の負極材料として注目されている。しかし、実際の薄膜電極にSnを用いた場合は、LixSnの組成式でx=4.4までLiを電気化学的に挿入すると、薄膜の体積が3〜4倍にまで膨張してしまう。かかる体積膨張はリチウム二次電池の充放電サイクル特性の低下を招くことになる。さらに、Snを単独で用いると、Sn自身が触媒能を持つために電解液を分解してしまうという問題もある。
上記問題を解決するために、Sn系の合金薄膜が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。非特許文献1には、電解めっき法によりCu箔上に形成されたSn薄膜を、Snの融点付近で熱処理することで、Cu−Sn界面でCu原子とSn原子とが相互拡散した傾斜性構造の薄膜を得ることができると記載されている。即ち、Cu箔上にSnをめっきすることで形成した薄膜をSnの融点付近で長時間熱処理するとCu−Sn界面で原子の相互拡散が起こり、最終的にCu/Cu3Sn/Cu6Sn5/Snもしくはこの組成に近い結晶構造を有するCu−Sn合金が形成される。このとき形成されるCu6Sn5合金はLiを可逆的に吸蔵・脱離可能であり、体積変化もSnと比較して小さく、加えて触媒能を持たないため、前述のSn薄膜特有の問題を解決できる負極材料として期待されている。
特開2001−68094号公報
特開2001−256968号公報
Journal of Power Sources, 107(2002),p.48−55
上記熱処理に伴うCu−Sn界面での原子の相互拡散の結果、電解めっき法によってもともと高い密着性を有していた集電箔(集電体)と活物質層とがより強固に一体化する。そのため、充放電サイクルに伴う活物質の微粉化などが発生しても集電箔から活物質が脱落しにくく、サイクル特性が向上するといった利点もある。
しかし、集電箔と活物質との密着性が高くなると、Liの挿入・脱離に伴う活物質薄膜の体積変化によって集電箔に応力がかかり、集電箔に皺が発生しやすくなり、集電箔が平面性を失い、見掛け上薄膜電極の厚みが理論値以上に膨張するという問題がある。また、その皺に因る厚み変化は不可逆であり、薄膜電極のLiの挿入・脱離に伴う電極厚みの膨張は、活物質薄膜の体積変化による理論的な厚み変化と、集電箔の皺による見掛け上の厚み変化との組み合わさったものとなる。この電極厚みの膨張が発生すると、電極内の電子伝導性が低下するため、サイクル特性が低下することになる。
本発明は、充放電に伴う集電体の皺の発生を防止して、体積変化を低減させた薄膜電極とその製造方法およびその薄膜電極を用いたサイクル特性の高いリチウム二次電池を提供するものである。
本発明は、リチウムと合金化しない金属から形成された集電体と、前記集電体の表面に形成され、リチウムと合金化する元素を含む薄膜とを備えた薄膜電極であって、
前記集電体が、スリットを備え、
前記スリットの長さが、1mm以上10mm以下であることを特徴とする薄膜電極を提供する。
前記集電体が、スリットを備え、
前記スリットの長さが、1mm以上10mm以下であることを特徴とする薄膜電極を提供する。
また、本発明は、リチウムと合金化しない金属からなる集電体に、長さが1mm以上10mm以下であるスリットを形成する工程と、
前記集電体の表面に、リチウムと合金化する元素を含む薄膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする薄膜電極の製造方法を提供する。
前記集電体の表面に、リチウムと合金化する元素を含む薄膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする薄膜電極の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記薄膜電極を負極として用いたことを特徴とするリチウム二次電池を提供する。
本発明は、集電体にスリットを形成することにより、Liの挿入・脱離に伴う活物質薄膜の体積変化によって発生した応力を分散させることができるため、応力の集中による集電体の皺の発生を低減させることができるとともに、皺の発生の伝播を防ぐことができる。
前述の問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明者らはスリットを形成した集電体の両面に、Liと合金化する半金属(例えば、Si)またはLiと合金化する金属(例えば、Sn)のずれかを含む薄膜を形成することで、充放電に伴う集電体の皺の発生を防止して、体積変化を低減させた薄膜電極を開発するに至った。以下、本発明の実施の形態を説明する。
先ず、本発明の薄膜電極の実施形態を説明する。本発明の薄膜電極の一例は、Liと合金化しない金属から形成された集電体(例えば、集電箔)と、上記集電体の表面に形成され、Liと合金化する元素を含む薄膜とを備えた薄膜電極であって、上記集電体が、スリットを備え、上記スリットの長さが、1mm以上10mm以下であることを特徴とする。
スリットの長さが10mmを超えると集電体の強度が低下して、サイクル特性が低くなる。この点で、スリットの長さは5mm以下がより好ましい。一方、スリットの長さが1mmを下回ると集電体の皺の発生を防止して体積変化を低減させることが困難になる。この点で、スリットの長さは1.5mm以上がより好ましい。
上記集電体の材質としては、Liと合金化しない金属から形成されていることが必要であり、例えば、Ni、Cu、ステンレス、またはNi合金、Cu合金などが好ましい。Liと合金化する金属であると、電池に組み込んだ場合に活物質層より先にLiと反応してしまい、集電体として機能しなくなるからである。
上記Liと合金化する元素としては、Si、Sn、Pb、Geなどが挙げられ、特にSiおよびSnから選ばれる少なくとも一つの元素であることが好ましい。これらは、Liの挿入・脱離における可逆性が高いからである。
また、上記スリットの形状は、直線状、「コ」の字状、「く」の字状、半円状などを採用することができ、またこれらの形状を複数組み合わせて採用してもよい。この中で、「コ」の字状、「く」の字状および半円状が特に好ましい。これらの形状であれば、スリットの近傍部が魚の鱗状に可動可能となり、活物質薄膜の体積変化によって発生した応力をより効果的に分散できるからである。
また、上記スリットは、0.5mm以上10mm以下の間隔で配置されていることが好ましい。この範囲内であれば、集電体の強度を維持できるからである。特に、スリットを「コ」の字状、「く」の字状または半円状に形成した場合は、スリットは、1.5〜10mmの間隔でそれぞれ平行に配置することが好ましい。
上記スリットは線状に形成されていればよく、線幅を設ける必要はないが、ある程度の線幅を設けてもよい。但し、スリットの線幅が大きすぎると集電体の面積が減少するので線幅は1.0mm以下が好ましい。
また、スリットを「コ」の字状、「く」の字状または半円状に形成した場合は、上記魚の鱗状部分の可動をスムーズにするために、スリットの可動幅(後述する図3のW)を0.5〜3mmとするのが好ましい。
さらに、本実施形態の薄膜電極を捲回して電池に使用する場合には、上記スリットは捲回方向に対して垂直に近い方向に配列することが好ましい。これにより、集電体の皺の伝播をより効果的に防止できるからである。
また、上記集電体の厚みは、5μm以上30μm以下であることが好ましく、10μm以上20μm以下がより好ましい。この範囲内であれば、上記薄膜電極を作製する上で、集電体の強度と柔軟性をともに確保できるからである。
また、薄膜の体積変化を減少させるためには、薄膜の厚みは小さいほうが好ましいが、厚みが小さすぎると電池容量が低下するので、上記薄膜の厚みは、1μm以上10μm以下であることが好ましい。
また、上記薄膜の主成分としては、Cu6Sn5およびSiBから選ばれるいずれか一つであることが好ましい。これらは、Liを可逆的に吸蔵・脱離可能であり、体積変化もSn、Siの単体に比べて小さいからである。ここで、主成分とは、90重量%以上含まれていることをいう。
次に、本発明の薄膜電極の製造方法の実施形態を説明する。本発明の薄膜電極の製造方法の一例は、Liと合金化しない金属からなる集電体(例えば、集電箔)に、長さが1mm以上10mm以下であるスリットを形成する工程と、上記集電体の表面に、Liと合金化する元素を含む薄膜を形成する工程と含むことを特徴とする。
上記スリットを形成する方法としては、例えば、表面にカッターを有するロールで集電体に切れ目を入れる方法、カッターの付いた型を上下もしくは一方から押し付けて切れ目を入れる方法などが挙げられる。
上記薄膜と上記集電体とは密着して形成することが望ましく、その薄膜の形成方法としては、例えば、物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)、液相成長法などが挙げられる。物理的気相成長法としては真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタクシー法(MBE法)、レーザーアブレーション法など、化学的気相成長法としては熱CVD法、有機金属CVD法(MOCVD法)、RFプラズマCVD法、電子サイクロン(ECR)プラズマCVD法、光CVD法、レーザーCVD法、原子層エピタクシー法(ALE法)など、液相成長法としてはめっき法(電解めっき法、無電解めっき法)、陽極酸化法、塗布法、ゾル−ゲル法などが挙げられる。これらの中でも、液相成長法は比較的簡易な設備で実施可能であるため望ましく、特に電解めっき法は集電体表面へのSnの密着性が良く、めっき薄膜表面の平滑性も高く、さらに大面積での成膜が容易かつ安価に行えるためより好ましい。なお、これらの薄膜形成方法は、単独で用いても複数を組み合わせて用いてもよい。
その後、上記薄膜を形成した集電体は、真空、不活性雰囲気、還元性雰囲気などの下で150〜220℃程度の温度で加熱される。これにより、上記薄膜と上記集電体は完全に密着する。
続いて、本発明のリチウム二次電池の実施形態を説明する。本発明のリチウム二次電池の一例は、上記で説明した薄膜電極を負極として用いたリチウム二次電池である。充放電に伴う集電体の皺の発生を防止して、体積変化を低減させた薄膜電極を用いることにより、高容量でサイクル特性の高いリチウム二次電池を提供できる。
本実施形態のリチウム二次電池に用いる正極としては、正極活物質に導電助剤、およびポリフッ化ビニリデンなどの結着剤などを適宜添加した合剤を、アルミニウム箔などの集電体を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる。正極活物質としては、例えば、LiCoO2などのリチウム・コバルト酸化物、LiMn2O4などのリチウム・マンガン酸化物、LiNiO2などのリチウム・ニッケル酸化物、LiNiO2のNiの一部をCoで置換したLiNixCo(1-x)O2、さらに、MnとNiとを等量含んだLiNi(1-x)/2Mn(1-x)/2CoxO2、オリビン型LiMPO4(M:Co、Ni、Mn、Fe)を用いることができる。
上記リチウム二次電池に用いる電解質の溶媒としては、例えば、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどが挙げられ、これらは複数を同時に使用することもできる。また、この溶媒には必要に応じて他の成分を添加することも可能である。
上記電解質の溶質としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiCF3CO2、Li2C2F4(SO3)2、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiCnF2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO2)2[ここで、Rfはフルオロアルキル基を示す。]、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(C2F5SO2)(C4F9SO2)、LiN(CF3SO2)(C2F5SO2)などが挙げられる。
さらに、上記電解質(電解液)以外にも、Liイオンの輸送体であれば制約無く用いることができ、例えば、各種ポリマーからなるゲルポリマー電解質、真性ポリマー電解質、LiPONなどの無機固体電解質、Liイオン含有常温溶融塩などを用いることができる。
上記リチウム二次電池に用いるセパレータとしては、強度が充分で上記電解液を多く保持できるものが良く、この点から、厚さ10〜50μm、開口率30〜70%のポリプロピレン製、ポリエチレン製、またはポリプロピレンとポリエチレンのコポリマー製のフィルムや不織布からなるセパレータが好ましい。
さらに、本実施形態の薄膜電極は、上記リチウム二次電池以外にも、リチウム一次電池などの電極としても使用することができる。
次に、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の薄膜電極に用いる集電体の一例を示す平面図であり、スリットの形状としては直線状を採用したものである。図1において、Lがスリットの長さを表し、Dがスリットの間隔を表し、集電体1には、複数のスリット2が形成されている。図2は、図1のA−A部の断面模式図である。なお、集電体1の表面に、Liと合金化する元素を含む薄膜を形成することにより、本発明の薄膜電極の一例とすることができる。
図3は、本発明の薄膜電極に用いる集電体の他の一例を示す平面図であり、スリットの形状としては「コ」の字状を採用したものである。図3において、Lがスリットの長さを表し、Dがスリットの間隔を表し、Wがスリットの可動幅を表し、集電体1には、複数のスリット2が形成されている。なお、集電体1の表面に、Liと合金化する元素を含む薄膜を形成することにより、本発明の薄膜電極の他の一例とすることができる。
図4は、図1で示した集電体1の表面に、Liと合金化する元素を含む薄膜を形成して薄膜電極3を形成し、その薄膜電極3を捲回して負極4とした状態の斜視図である。
次に、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
古河サーキットフォイル社製の厚み10μmの電解銅箔に、図1に示すように、スリット長(L)が1.0mm、スリット間隔(D)が0.5mmの直線状のスリットを形成した。この電解銅箔を50mm×30mmに切り出して本実施例の集電体とした。次に、表面の酸化被膜、油脂、汚れなどを除去するために、上記集電体を40℃に加熱した濃度10%の硫酸水溶液中に4分間浸漬した。その後、水酸化ナトリウム5g/dm3、オルトケイ酸ナトリウム20g/dm3、炭酸ナトリウム(無水)10g/dm3、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド1g/dm3をそれぞれ溶解させた脱脂水溶液を準備し、この脱脂水溶液を60℃に加熱した浴中で、上記集電体を5A/dm2の電流密度で1分間の陰極電解脱脂を行った。次に、この集電体を蒸留水で水洗した後、再び濃度10%の硫酸水溶液中に浸漬して集電体表面を中和するとともに脱脂剤を完全に除去した。
古河サーキットフォイル社製の厚み10μmの電解銅箔に、図1に示すように、スリット長(L)が1.0mm、スリット間隔(D)が0.5mmの直線状のスリットを形成した。この電解銅箔を50mm×30mmに切り出して本実施例の集電体とした。次に、表面の酸化被膜、油脂、汚れなどを除去するために、上記集電体を40℃に加熱した濃度10%の硫酸水溶液中に4分間浸漬した。その後、水酸化ナトリウム5g/dm3、オルトケイ酸ナトリウム20g/dm3、炭酸ナトリウム(無水)10g/dm3、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド1g/dm3をそれぞれ溶解させた脱脂水溶液を準備し、この脱脂水溶液を60℃に加熱した浴中で、上記集電体を5A/dm2の電流密度で1分間の陰極電解脱脂を行った。次に、この集電体を蒸留水で水洗した後、再び濃度10%の硫酸水溶液中に浸漬して集電体表面を中和するとともに脱脂剤を完全に除去した。
続いて、上記集電体を硫酸第一錫40g/dm3、硫酸60g/dm3、クレゾールスルホン酸40g/dm3、ゼラチン2g/dm3、β−ナフトール1g/dm3を溶解させた水溶液からなるSnめっき浴に浸漬して、1A/dm2の電流密度で150分間の電解めっきを行い、集電体表面に厚さ5μmのSnめっき薄膜を形成して薄膜電極を得た。この薄膜電極を水洗後、真空電気炉にて200℃で17時間熱処理した後、室温まで徐冷した。次に、この薄膜電極をアルゴン雰囲気中のドライボックスに移し、41mm×25.5mmに打ち抜いて実施例1の負極とした。
(実施例2)
スリット長(L)を5.0mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例2の負極を作製した。
スリット長(L)を5.0mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例2の負極を作製した。
(実施例3)
図3に示すように、スリット長(L)が3.0mm、スリット間隔(D)が5.0mm、スリット可動幅(W)が1.0mmの「コ」の字状のスリットを形成した以外は、実施例1と同様にして実施例3の負極を作製した。
図3に示すように、スリット長(L)が3.0mm、スリット間隔(D)が5.0mm、スリット可動幅(W)が1.0mmの「コ」の字状のスリットを形成した以外は、実施例1と同様にして実施例3の負極を作製した。
(実施例4)
スリット長(L)を5.0mm、スリット間隔(D)を30mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例4の負極を作製した。
スリット長(L)を5.0mm、スリット間隔(D)を30mmとした以外は、実施例1と同様にして実施例4の負極を作製した。
(比較例1)
スリットを全く形成しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1の負極を作製した。
スリットを全く形成しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1の負極を作製した。
(比較例2)
スリット長(L)を0.3mmとした以外は、実施例1と同様にして比較例2の負極を作製した。
スリット長(L)を0.3mmとした以外は、実施例1と同様にして比較例2の負極を作製した。
(比較例3)
スリット長(L)を30mmとした以外は、実施例1と同様にして比較例3の負極を作製した。
スリット長(L)を30mmとした以外は、実施例1と同様にして比較例3の負極を作製した。
以上の実施例1〜4および比較例1〜3の負極の主な構成を表1に示す。
電解液としては、1mol/dm3のLiPF6を、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートの混合溶媒(混合体積比=1:2)に溶解したものを用いた。セパレータとしては、ヘキストセラニーズ社製のポリプロピレン製セパレータ“Celgard♯2400”(商品名、厚さ10μm)を用いた。
上記正極と、実施例1〜4および比較例1〜3の負極とをそれぞれ組み合わせ、その正極と負極との間に上記セパレータを配置して積層した後、アルミラミネートフィルム製の外装材に挿入し、上記電解液を注入し、外装材の電解液注入口をヒートシールにより封止して、モデルセルを作製した。
このモデルセルを用いて充放電試験を行った。充電は、電流密度0.5mA/cm2の定電流で4.3Vまで充電後、4.3Vの定電圧で充電電流が0.05mA/cm2に到達するまで充電し、放電は、電流密度0.5mA/cm2の定電流で放電終止電圧3Vまで放電し、充電電気量および放電電気量を測定して、下記式1により初回充放電効率を算出した。また、この条件で充放電サイクル試験を行い、下記式2によりサイクル特性を算出した。なお、下記放電容量および充電容量は、正極合剤1gあたりの電気容量(mAh/g)で表される。
(数1)
初回充放電効率(%)=(初回放電容量/初回充電容量)×100 (式1)
(数2)
サイクル特性(%)=(20サイクル後の放電容量/初回放電容量)×100 (式2)
また、初回充電時の電池の厚み変化を負極の厚み変化によるものとして、下記式3により充電時の負極の厚み変化率(%)を算出した。
(数3)
厚み変化率(%)=〔(初回充電時の電池厚み)−(充電前の電池厚み)〕/(充電前の薄膜の厚み+集電体の厚み)×100 (式3)
電池の厚みの測定は、上記各モデルセルをミツトヨ社製のレーザホロゲージに取り付けてカウンタ装置によって厚み変化を測定した。その結果を表2に示す。
(数1)
初回充放電効率(%)=(初回放電容量/初回充電容量)×100 (式1)
(数2)
サイクル特性(%)=(20サイクル後の放電容量/初回放電容量)×100 (式2)
また、初回充電時の電池の厚み変化を負極の厚み変化によるものとして、下記式3により充電時の負極の厚み変化率(%)を算出した。
(数3)
厚み変化率(%)=〔(初回充電時の電池厚み)−(充電前の電池厚み)〕/(充電前の薄膜の厚み+集電体の厚み)×100 (式3)
電池の厚みの測定は、上記各モデルセルをミツトヨ社製のレーザホロゲージに取り付けてカウンタ装置によって厚み変化を測定した。その結果を表2に示す。
本発明の薄膜電極は、従来の集電体を用いたものと比べて活物質薄膜の体積変化による応力の集中を緩和でき、皺の発生を防止してサイクル特性の低下を抑制することが可能である。このため、本発明の薄膜電極を用いることでサイクル特性などの信頼性に優れ、かつ高容量のリチウム二次電池の作製が可能となり、このリチウム二次電池を電源とする各種の携帯電子端末機器などの小型軽量化に貢献でき、その工業的価値は大である。
1 集電体
2 スリット
3 薄膜電極
4 負極
L スリットの長さ
D スリットの間隔
W スリットの可動幅
2 スリット
3 薄膜電極
4 負極
L スリットの長さ
D スリットの間隔
W スリットの可動幅
Claims (15)
- リチウムと合金化しない金属から形成された集電体と、前記集電体の表面に形成され、リチウムと合金化する元素を含む薄膜とを備えた薄膜電極であって、
前記集電体が、スリットを備え、
前記スリットの長さが、1mm以上10mm以下であることを特徴とする薄膜電極。 - 前記スリットが、0.5mm以上10mm以下の間隔で配置されている請求項1に記載の薄膜電極。
- 前記スリットの形状が、「コ」の字状、「く」の字状、および半円状から選ばれる少なくとも一つの形状である請求項1または2に記載の薄膜電極。
- 前記集電体の厚みが、5μm以上30μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜電極。
- 前記薄膜の厚みが、1μm以上10μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜電極。
- 前記リチウムと合金化する元素が、ケイ素および錫から選ばれる少なくとも一つの元素である請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜電極。
- 前記薄膜の主成分が、Cu6Sn5およびSiBから選ばれるいずれか一つである請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜電極。
- リチウムと合金化しない金属からなる集電体に、長さが1mm以上10mm以下であるスリットを形成する工程と、
前記集電体の表面に、リチウムと合金化する元素を含む薄膜を形成する工程と、
を含むことを特徴とする薄膜電極の製造方法。 - 前記スリットが、0.5mm以上10mm以下の間隔で形成される請求項8に記載の薄膜電極の製造方法。
- 前記スリットの形状が、「コ」の字状、「く」の字状、および半円状から選ばれる少なくとも一つの形状に形成される請求項8または9に記載の薄膜電極の製造方法。
- 前記集電体の厚みが、5μm以上30μm以下である請求項8〜10のいずれかに記載の薄膜電極の製造方法。
- 前記薄膜の厚みが、1μm以上10μm以下である請求項8〜11のいずれかに記載の薄膜電極の製造方法。
- 前記リチウムと合金化する元素が、ケイ素および錫から選ばれる少なくとも一つの元素である請求項8〜12のいずれかに記載の薄膜電極の製造方法。
- 前記薄膜の主成分が、Cu6Sn5およびSiBから選ばれるいずれか一つである請求項8〜13のいずれかに記載の薄膜電極の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜電極を負極として用いたことを特徴とするリチウム二次電池。
Priority Applications (1)
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JP2003315541A JP2005085570A (ja) | 2003-09-08 | 2003-09-08 | 薄膜電極とその製造方法およびその薄膜電極を用いたリチウム二次電池 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010080294A (ja) * | 2008-09-26 | 2010-04-08 | Panasonic Corp | 二次電池 |
WO2011125325A1 (ja) * | 2010-04-06 | 2011-10-13 | Necトーキン株式会社 | 蓄電デバイス |
CN109478683A (zh) * | 2016-07-27 | 2019-03-15 | 三星Sdi株式会社 | 可再充电电池 |
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2003
- 2003-09-08 JP JP2003315541A patent/JP2005085570A/ja not_active Withdrawn
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