JP2001250559A - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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正久 藤本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正極と負極と非水電解質とを備え、充電時に
負極の負極集電体上にリチウム金属が析出し、放電時に
該リチウム金属が溶解するリチウム二次電池において、
リチウム金属のデンドライト状析出を抑制することがで
き、充放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を得
る。 【解決手段】 負極集電体1のリチウム金属析出面が、
実質的に粒界のないアモルファス金属またはアモルファ
ス合金から形成されていることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム二次電池
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高出力でかつ高エネルギー密度を
示す二次電池として、リチウム二次電池が実用化されて
いるが、さらなる高エネルギー密度化を目指して研究開
発が盛んに行われている。リチウム二次電池用負極とし
て、リチウム金属を用いると、最も高い理論容量3.8
6Ah/gを得ることができる。
【0003】しかしながら、負極にリチウム金属を用い
るリチウム二次電池の場合、充放電に伴うリチウム金属
の溶解析出過程で、負極上でのリチウム金属のデンドラ
イトの生成や、リチウム金属と電解質との反応が起こる
ため、充放電効率が悪く、充放電サイクル特性に劣ると
いう問題があった。このような問題を解決するため、例
えば特開平7−142090号公報では、電解液に添加
剤を添加することが提案されているが、充放電効率の改
善及び充放電サイクル特性の改善は未だ不十分なもので
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の問題は、充電時
に負極の負極集電体上にリチウム金属を析出させ、放電
時にこのリチウム金属を溶解させるタイプのリチウム二
次電池においても同様に解決すべき問題であった。
【0005】本発明の目的は、このようなタイプのリチ
ウム二次電池において、リチウム金属のデンドライト状
析出を抑制することができ、充放電サイクル特性に優れ
たリチウム二次電池を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のリチウム二次電
池は、正極と負極と非水電解質とを備え、充電時に負極
の負極集電体上にリチウム金属が析出し、放電時に該リ
チウム金属が溶解するリチウム二次電池であり、負極集
電体のリチウム金属が析出する表面(リチウム金属析出
面)が、実質的に粒界のないアモルファス金属またはア
モルファス合金から形成されていることを特徴としてい
る。
【0007】本発明において用いる負極集電体は、少な
くともリチウム金属析出面が、実質的に粒界のないアモ
ルファス金属またはアモルファス合金から形成されてい
ればよい。従って、負極集電体全体が、実質的に粒界の
ないアモルファス金属またはアモルファス合金から形成
されていてもよいし、他の導電材料の上にこれらのアモ
ルファス金属またはアモルファス合金を被覆した負極集
電体を用いてもよい。
【0008】本発明によれば、充電時に負極集電体のリ
チウム金属析出面でのリチウム金属の局所的な析出が起
こり難くなる。この結果、二次電池内でのリチウム金属
のデンドライト状析出を抑制することができ、良好な充
放電サイクル特性及び保存特性を得ることができる。
【0009】上記のようにリチウム金属のデンドライト
状析出が抑制される理由について詳細は明らかでない
が、負極集電体のリチウム金属析出面が、実質的に粒界
のないアモルファス金属または合金から形成されている
ため、結晶粒界や配向面のくい違い等が存在せず、充電
初期の段階で、負極集電体表面の電流分布が均一化する
ことにより、リチウム金属が負極集電体上に均一に析出
し易くなるためであると考えられる。
【0010】本発明において、リチウム金属析出面を形
成するアモルファス金属または合金は、銅を含有するこ
とが好ましい。銅を含有することにより、負極集電体表
面の電気伝導率が良好になるため、リチウム二次電池の
充放電サイクル特性をさらに向上させることができる。
【0011】本発明において用いるアモルファス金属ま
たは合金は種々の方法により製造することができ、その
製造方法は特に限定されるものではないが、例えば気相
あるいは液相からの急冷法によって製造することができ
る。
【0012】本発明において、非水電解質を構成する溶
媒は、リチウム二次電池に用いることができるものであ
れば特に限定されるものではないが、例えば、エチレン
カーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカー
ボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、スルホラン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキソランなどを挙げることができ、これらを単
独であるいは複数成分を混合して使用することができ
る。
【0013】本発明において、非水電解質を構成する溶
質は、リチウム二次電池に用いることができる溶質であ
れば特に限定されるものではないが、例えば、LiPF
6 ,LiBF4 ,LiClO4 ,LiAsF6 ,LiN
(CF3SO2)2 ,LiN(C25SO2)2 ,LiN
(CF3SO2)(C49SO2),LiC(CF3SO2)3
LiCF3(CF2)3SO3 などが挙げられ、これらを単
独あるいは複数成分を混合して使用することができる。
【0014】また、本発明においては、固体電解質ある
いはゲル状電解質として多く用いられているポリエチレ
ンオキシドを含む非水電解質を使用してもよい。本発明
において用いる正極としては、リチウム二次電池の正極
として用いることができるものであれば特に限定される
ものではないが、マンガン、コバルト、ニッケル、バナ
ジウム、またはニオブを少なくとも1種含む金属酸化物
などを用いることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例に基づいて
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はなく、その要旨を変更しない範囲において、適宜変更
して実施することが可能なものである。
【0016】(実施例)本発明に従うコイン型リチウム
二次電池を作製した。図1は、作製したコイン型リチウ
ム二次電池を示す模式的断面図である。
【0017】図1に示すように負極集電体1及び正極5
は、非水電解質を含浸したポリエチレンからなるセパレ
ータ6を介して対向しており、負極缶2及び正極缶3か
らなる電池ケース内に収納されている。負極缶2及び正
極缶3はステンレス鋼から形成されている。正極5は、
アルミニウムからなる正極集電体4を介して正極缶3に
接続され、負極集電体1は負極缶2に接続され、電池内
部に生じた化学エネルギーを正極缶3及び負極缶2の両
端子から電気エネルギーとして外部へ取り出し得るよう
になっている。負極缶2と正極缶3との間には、電池内
部を密閉するためのポリプロピレンからなる絶縁パッキ
ング7が設けられている。
【0018】充電時、セパレータ6に含浸された非水電
解質中のリチウムイオンが還元されて、負極集電体1の
表面上にリチウム金属が析出する。このリチウム金属
は、放電時に酸化され、リチウムイオンとして再び非水
電解質中に溶解される。本発明のリチウム二次電池にお
いては、このように負極集電体1上に析出するリチウム
金属が負極活物質となる。
【0019】上記負極集電体1としては、Cu−Niア
モルファス合金(Cu80重量%、Ni20重量%)、
Cu−Mn−Niアモルファス合金(Cu84重量%、
Mn12重量%、Ni4重量%)、及びCu−Snアモ
ルファス合金(Cu80重量%、Sn20重量%)を用
いた。アモルファス合金は、高周波コイルにより溶かし
た合金を鋳型に噴射・急冷し、凝固させる液体急冷法に
より作製した。なお、各アモルファス合金は、直径18
mm、厚み0.1mmの金属板の形状に加工したものを
用いた。
【0020】上記正極5としては、LiCoO2 を活物
質とした正極を用いた。具体的には、正極活物質として
のLiCoO2 と、導電剤としての人造黒鉛と、結着剤
としてのポリフッ化ビニリデンとを90:5:5の重量
比で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドン(NM
P)を加えることによりスラリー化させ、このスラリー
を正極集電体4の片面にドクターブレード法により塗布
し、150℃で2時間真空乾燥し、これを直径18m
m、厚み0.1mmに加工したものを用いた。
【0021】上記非水電解質としては、エチレンカーボ
ネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを
体積比1:1の割合で混合させた混合溶媒にLiPF6
を1.0mol/kgの割合で溶解させたものを使用し
た。
【0022】(比較例)負極集電体1として、上記実施
例と同様の寸法形状を有するCu多結晶体を用いる以外
は、上記実施例と同様にしてコイン型リチウム二次電池
を作製した。
【0023】〔充放電特性の評価〕以上のようにして作
製した実施例及び比較例の各電池について、充放電試験
を行い、20サイクル目の各電池の充放電効率を求め
た。その結果を表1に示す。なお、本測定においては、
充放電電流を1.0mA、充電終止容量を4.0mA
h、放電終止電圧を2.75Vとし、20サイクル目の
充電容量と放電容量を測定して、下記の式から20サイ
クル目の充放電効率を求めた。
【0024】 充放電効率(%)=放電容量÷充電容量×100
【0025】
【表1】
【0026】表1に示す結果から明らかなように、本発
明に従う実施例の各電池は、比較例の電池に比べ、高い
充放電効率を示している。このことから、負極集電体の
リチウム金属析出面を、実質的に粒界のないアモルファ
ス金属またはアモルファス合金から形成することによ
り、充放電サイクル特性が顕著に向上することがわか
る。
【0027】本発明のリチウム二次電池は、上記のコイ
ン型電池以外にも適用することができ、円筒型電池やそ
の他各種の形状の電池に適用することができる。
【0028】
【発明の効果】本発明のリチウム二次電池は、負極集電
体のリチウム金属析出面が実質的に粒界のないアモルフ
ァス金属またはアモルファス合金から形成されているの
で、充電時における負極集電体表面の電流密度分布を均
一化することができ、リチウム金属の局所的な析出を抑
制することができる。このため、充放電サイクル特性を
向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う実施例において作製したコイン型
リチウム二次電池を示す模式的断面図。
【符号の説明】
1…負極集電体 2…負極缶 3…正極缶 4…正極集電体 5…正極 6…セパレータ 7…絶縁パッキング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤谷 伸 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 5H017 AA03 AS02 AS10 CC03 EE01 5H029 AJ05 AK03 AL12 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ03 BJ12 DJ07 DJ18 EJ01 5H050 AA07 BA16 CA08 CB12 DA07 FA02 FA20

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極と負極と非水電解質とを備え、充電
    時に前記負極の負極集電体上にリチウム金属が析出し、
    放電時に該リチウム金属が溶解するリチウム二次電池で
    あって、 前記負極集電体のリチウム金属析出面が、実質的に粒界
    のないアモルファス金属またはアモルファス合金から形
    成されていることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 【請求項2】 前記アモルファス金属またはアモルファ
    ス合金が、銅を含有することを特徴とする請求項1に記
    載のリチウム二次電池。
  3. 【請求項3】 前記負極集電体のリチウム金属析出面
    が、実質的に粒界のないアモルファス合金から形成され
    ていることを特徴とする請求項1または2に記載のリチ
    ウム二次電池。
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