JP4143861B2 - 薬剤散布作業車 - Google Patents

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Description

本発明は、薬液散布制御装置を備えた作業車に関する。
圃場で生育中の作物に対して走行しながら薬液(薬剤又は水散布用のものであるが、これらを本明細書では薬剤散布という)を散布する薬液散布作業車が用いられている。この薬液散布作業車は、その車体1の前部に、平行リンク形態のリフトリンクを装着し、この前部のヒッチブラケットとロワリンクとの間にリフトシリンダを設けて、このリフトシリンダの伸縮によってリフトリンクを昇降駆動させる構成とし、このリフトリンクにヒッチブラケットを介して薬液散布の散布ブームを取り付けている。また、前記薬液散布用のブームは中央のセンターブームとその両側に開閉自在のサイドブームを取り付けた構成となっている。
下記特許文献1記載の薬液散布作業車は単位面積当たりの薬液散布量を単位散布量として複数設定し、また車速に連動して散布量を自動的に変更できる薬液散布制御装置を備えている。
特開2002−292322号公報
前記薬液散布作業車では、作業に先立って単位面積当たりの薬液散布量を設定し、車速に連動して散布量を自動的に変更するものであるが、圃場がぬかるんでいてスリップが大きかったり、蛇行したり、やり直しする箇所が多いと、用意してある薬液が不足してしまうという課題があった。
本発明の課題は、予定した圃場面積に対して用意した薬液量が足りなくなりそうな時にも散布作業を継続できる薬液散布制御装置を備えた薬液散布作業車を提供することである。
上記課題は次の解決手段で解決される。
請求項1記載の発明は、薬液を貯めた薬液タンク18と薬液タンク18からの薬液を散布するために車体1に設けられた散布ブーム43,44と車速検出手段110とを備えた薬液散布作業車において、散布ブーム43,44による実薬液散布量を検出する実薬液散布量検出手段112(発明の実施形態では薬液散布流量センサ112)と、薬液タンク18から散布ブーム43,44へ供給する薬液を車速検出手段110で検出される車速に応じ薬液散布量調整する流量制御弁の開度操作用モータ93と、残りの薬液散布面積を入力する残り薬液散布面積入力手段72(発明の実施形態では散布設定スイッチ72)と、薬液タンク18の内部の薬液残量を検出する薬液残量検出手段113(発明の実施形態では残量センサ113)と、薬剤の散布を開始してから、その連続作業中に作業者によって薬液散布面積入力手段72により残りの薬液散布面積が入力されると、車速検出手段110で検出される平均車速と実薬液散布量検出手段112で検出される単位時間当たりの平均薬液散布量から得られる残り薬液散布面積に対して要する薬液量、薬液残量検出手段113で検出した薬液残量を比較して、残り薬液散布面積に対して要する薬液量が薬液残量より多い場合には、残りの薬液散布面積全体に薬液が散布されるように前記開度操作用モータ93を操作して単位時間あたりの平均薬液散布量を少なくする制御を行うコントローラ100とを備えた薬液散布作業車である。
請求項2記載の発明は、薬液を貯めた薬液タンク18と薬液タンク18からの薬液を散布するために車体1に設けられた散布ブーム43,44と車速検出手段110とを備えた薬液散布作業車において、散布ブーム43,44による実薬液散布量を検出する実薬液散布量検出手段112と、薬液タンク18から散布ブーム43,44へ供給する薬液を車速検出手段110で検出される車速に応じ薬液散布量調整する流量制御弁の開度操作用モータ93と、残りの薬液散布面積を入力する残り薬液散布面積入力手段72と、薬液タンク18の内部の薬液残量を検出する薬液残量検出手段113と、車速検出手段110で検出される平均車速(V)と実薬液散布量検出手段112で検出される単位時間当たりの平均薬液散布量(Q)と薬液残量検出手段113で検出される現在の残量(U)とから散布可能な面積(VL×U/Q:Lは散布幅であり予め入力されている。)を計算させるための信号の入力を行う計算スイッチ116と薬剤の散布を開始してから、その連続作業中に作業者によって薬液散布面積入力手段72及び計算スイッチ116により残りの薬液散布面積及び散布可能な面積を計算させるための信号が入力されると、散布可能面積(VL×U/Q)を計算し、残り薬液散布面積入力手段72で入力された残り散布面積(R)と比較して、散布可能面積(VL×U/Q)が残り散布面積(R)より少ない場合は残りの薬液散布面積全体に薬液が散布されるように前記開度操作用モータ93を操作して単位時間あたりの平均薬液散布量を少なくする制御を行い、散布可能面積(VL×U/Q)が残り散布面積(R)より多い場合は薬液散布量をそのままとする制御を行うコントローラ100とを備えた薬液散布作業車である。
上記請求項2記載の発明によれば、薬液タンク内の薬液残量から求められる散布可能な圃場面積と、作業者が所望する薬液散布面積を比較し、散布可能面積が少ない場合は薬液散布量を少なくして散布して、予定散布領域全体に薬液を散布する。
請求項3記載の発明は、残り薬液散布面積に対して要する薬液量が、薬液残量検出手段113で検出した薬液残量より少ない場合には、報知する報知手段を設けた請求項1記載の薬液散布作業車である。
請求項1、2記載の発明によれば、薬液タンク内の薬液残量から求められる散布可能な圃場面積と、作業車が所望する薬液散布面積を比較し、散布可能面積が少ない場合は薬液散布量を少なくして散布するモードを実行できるので、残りの薬液散布における単位時間当たりの散布量を適切にして薬液散布ができない領域を残すことなく、予定散布領域全体に薬液を散布することができる。
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、単位時間当たりの散布量が足りないことが分かると警告ブザーを報知することで、薬液の不足を作業者に報知し、圃場等の防除効果が無くなることを防ぐ。
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。図1に薬液散布装置を前部に取り付けた薬液散布作業車の側面図を示す。なお、本明細書では薬液散布作業車の前進方向に向かった左右方向をそれぞれ左、右という。
薬液散布作業車の車体1は、前輪12及び後輪13を軸装するアクスルハウジングをローリング自在に支持する。また、車体1はステアリングハンドル14の回転操作により前後輪12、13を操向すると共にボンネット15下のエンジン(図示せず)によって伝動走行される。操縦席17の後部から左右両側にわたって囲うように形成された薬液タンク18は、車体1に対し着脱自在に搭載され、この薬液タンク18内の薬液を前側に設けられる散布ブーム(サイドブーム44とセンタブーム43)へ圧送する防除ポンプ20が車体1の操縦席17下方に設けられている。
操縦席17の左側下方に設けられたフロア6から吊り下げ式に設置されたステップ5が設けられている。ステップ5によりオペレータは、安全かつ容易に作業者の操縦席17に乗降することができる。薬液タンク18は、上面視でオペレータの左右側方と後方を覆った略コの字状の構造を有している。
前記車体1の前部には、ボンネット15の左右両側部に支持されたリフトリンク3が取り付けられている。リフトリンク3は、アッパリンク24とロワリンク25を平行状に配置して、この前端部間を四角枠状のヒッチブラケット4に連結し、後端部間を直立した支柱27に軸支して平行リンク形態に構成され、この平行リンク24、25にはリンク昇降シリンダ29の先端部が接続しているので、リンク昇降シリンダ29の昇降移動により薬液散布ブームの薬剤散布高さを調節することができる。
前記散布ブームは、車体前方中央に設けたセンターブーム43と車体両側方に折畳可能に連結されるサイドブーム44,44とから構成され、各々薬剤散布用の散布ノズル45(45a、45b)が一定間隔で配置されている。
前記サイドブーム44は固定サイドブーム44aと補助サイドブーム44bからなり、補助サイドブーム44bが固定サイドブーム44aの先端部で折畳み自在に設けられている。
ヒッチブラケット4の前方には機体左右方向に向けて配置されるセンターブーム43を取り付けている。また、センターブーム43の両端にはサイドブーム開閉用電動シリンダ30が設けられ、該電動シリンダ30は、電気的に作動制御される油圧タンク付ソレノイドバルブを備えて、同シリンダのピストンを伸縮する構成になっている。サイドブーム開閉用電動シリンダ30のピストン先端にはサイドブーム44が回動自在に取り付けられている。従って左右のサイドブーム開閉用電動シリンダ30,30のソレノイドバルブへのピストン伸縮により左右のサイドブーム44,44が車体両側方で左右に開閉される。
サイドブーム44,44は、図示しないが上下方向に向けられた回動軸を中心に左右方向に開閉され、また、前後方向に向けられた回動軸(図示せず)を中心に上下方向に回動する。また、サイドブーム44,44を左右方向に略一直線状に展開したときに、センタブーム43の中央部に設けられた薬剤散布ブーム全体の揺動支点(図示せず)を中心に自動的に水平制御可能となるように構成している。
本実施の形態ではサイドブーム44,44を操作するにあたり、サイドブーム44,44の操作手段を全て操縦席17の側方に設けたコントロールパネル60上に配置している。
コントロールパネル60の拡大平面図を図2に示す。
コントロールパネル60の前部にはセンタブーム43と左右のサイドブーム44,44とからなる散布ブーム全体を昇降させる昇降スイッチ67、左右独立してサイドブーム44,44をそれぞれ開閉させる一対の開閉スイッチ68L,68Rを設けている。また、散布制御事項設定表示パネル部には薬液散布流量、散布圧力、散布量累計の表示パネル71とそれらの散布設定スイッチ72(特許請求の範囲の薬液散布面積入力手段に対応)、薬液散布流量と散布圧力の増加スイッチ73aと減少スイッチ73b、累計リセットボタン74及び走行速度を基準にこれらのボタン72〜74による自動散布を開始する自動ボタン77および表示切換ボタン79が設けられている。さらにその後方の列にはセンタブーム43と左右のサイドブーム44,44からの薬液散布用のコック開閉用のレバー80、81(センタブーム用レバー80と左右サイドブーム用レバー81、81)と防除ポンプ20(図1)の作動表示ボタン83を配置する構成となっている。
図3に薬液散布制御装置の構成を示す。前記図2に示すコントロールパネル60の昇降スイッチ67、サイドブーム開閉スイッチ68L、68R、薬液散布流量、散布圧力及び散布量累計の散布設定スイッチ72、薬液散布流量と散布圧力の増加スイッチ73aと減少スイッチ73b、散布量累計リセットボタン74、自動散布を開始する自動ボタン77、表示切換ボタン79、左右サイドブーム用レバー81、81と防除ポンプ20の作動表示ボタン83、散布ブーム昇降スイッチ67、車速センサ110、(ブーム43,44への薬液供給)圧力センサ111、ブーム43,44への薬液散布流量センサ112(特許請求の範囲の実薬液散布量検出手段に対応)、薬液タンク18内の残量センサ113(特許請求の範囲の薬液残量検出手段に対応)、(ブーム43,44への薬液散布用供給)流量制御弁(図示せず)の弁開度センサ114、防除ポンプ20の作動スイッチ115、及び散布可能面積と残り散布用面積の差を計算するための計算スイッチ116をコントローラ100に接続する。
なお前記圧力センサ111、流量センサ112及び流量制御弁の弁開度センサ114は、薬液タンク18とブーム43,44との間の薬液流路に設置する。
これらのセンサ類の入力信号によりコントローラ100は表示パネル71の表示内容の変更及び、防除ポンプ用電磁クラッチ92、流量制御弁の開度操作用モータ93等を作動させる。
本実施例のコントローラ100は、薬液タンク内の薬液残量から求められる散布可能な圃場面積と、作業者が所望する薬液散布面積を比較し、散布可能面積が少ない場合は薬液散布量を少なくして散布する希釈モードを実行できる構成を設けている。
すなわち、このモードは薬液タンク18内の薬液残量を検出する残量センサ113で得られる薬液残量(U)と車速センサ110と散布流量センサ112により得られる平均車速(V)と単位時間当たりの平均散布量(Q)から、現在の残量(U)で散布可能な面積(VL×U/Q:Lは散布幅であり、予め入力されている)を計算し、その結果を表示パネル71に表示する。
また、作業者が所望する残りの散布面積(R)を入力する(入力は作業者が行う)残り散布面積入力手段(散布設定スイッチ72)を設け、該残りの散布面積(R)と前記計算された散布可能面積(VL×U/Q)を比較し、散布可能面積(VL×U/Q)が残りの散布面積(R)より少ない場合は薬液散布圧力を下げて、散布量を少なくし希釈モードとし、散布可能面積(VL×U/Q)が残りの散布面積(R)より多い場合は薬液散布量をそのままとする通常散布モードとする。
この薬液散布量の制御のフローを図4(a)と図4(b)に示す。
なお、図4(b)のステップ4で増加スイッチ73aがオンである度に散布可能面積の表示を所定割合ずつ増加させ、減少スイッチ73bがオンである度に散布可能面積の表示を所定割合ずつ削減させる。その後、現在の薬液残量(U)と散布可能な面積(VL×U/Q)に基づく必要薬液量との差を計算し、その結果、単位時間当たりの散布量を減らし、また散布量が足りていることが分かると前記ステップ5又はステップ6の散布量変更割合に応じて制御弁の開度基準値を変更しても良い。
前記現在の薬液残量(U)と必要薬液量との差の計算の結果、単位時間当たりの散布量が所定量(例えば15%)以上足りないことが分かると(単位時間当たりの散布量が少なすぎると防除効果が無くなると想定して)警告ブザーを作動する。
本実施例により、(防除効果はほとんど変わらないと想定される許容範囲内で)例えば、100リットル/10aの散布のところを5〜30%程度散布量を所定割合ずつ減少させることで、作業者にとっては薬液を再度作り直すよりは残りの薬液で何とか残りの散布領域に撒いてしまいたい場合に役に立つ。
こうして、圃場一枚ずつの薬液散布量を設定したり、種々の誤差で予定した面積に対して薬液散布ができない場合に、少しの散布面積のために薬液を作る時間や薬液の無駄を省くことができる。
本実施例の作業車のサイドブーム44を、図5に示す側面図(図5(a))とサイドブーム44の部分分解斜視図(図5(b))と図6の平面図(図6(a))と図6(a)の矢印A方向から見た図(図6(b))に示す。
サイドブーム44は強度アップ構造を備えていて、サイドブーム44の基部外部には図6(a)の矢印A方向から見てV字部材32,32に支持されたエクステンション33を有する構成を備え、また図5(b)に示すように内部には逆U字型の補強プレート34をサイドブーム44の基部内部に埋設した構造を備えている。
このようにサイドブーム44はエクステンション33と補強プレート34により支持されているので、圃場条件の厳しい所でもサイドブーム44の揺れ、すなわち応力負荷を低減でき、圃場適応性を拡大できる。
上記強度アップ構造を備えたサイドブーム44は、これらの強度アップ構造を備えていない通常のサイドブームに比較して最大約50%の応力負荷の増加に耐えることができる。
サイドブーム44は例えば長さが15mもあるので、ブーム44の脱着を一人ではできなく、従来は作業車の前後にそれぞれ一人ずつ配置して、二人でブーム44をブーム受け36の受け位置Aから取り外し、ブーム44を水平にした後、前側の一人が車体1の二カ所のブーム取付ピン(図示せず)を外して、ブーム44を車体1から外していた。
そこで本実施例では作業車の側面図を図7(a)に示し、図7(b)に図7(a)のS視図を示す。
サイドブーム44の車体1からの脱着を一人でできるようにするために、ブーム受け36を路上走行時のブーム受け位置Aと一人作業時のブーム受け位置Bを車体1後方側に設けた上下二段式とし、圃場作業時には路上走行時のブーム受け位置Aにあるサイドブーム44の後方端部を下方に降ろしてブーム44が水平になるブーム受け位置Bに移し替えて、その後、前方端部を車体1から取り外す。 こうして一人でブーム44の取り外し作業をすることができる。サイドブーム44を路上走行時のブーム受け位置Aと一人作業時のブーム受け位置Bに装着する作業も前記作業と逆に行うことで可能になる。
こうしてサイドブーム44の脱着作業を一人で従来に比べて効率的に、かつ容易に行うことができる。
次に薬液タンク18への給水装置について説明する。この給水装置は、図1の作業車の側面図に示すように、機体後部に設けた防除ポンプ20を駆動させる駆動スイッチ56をコントロールパネル60の上及び薬液タンク18の後方であって高圧水圧送用配管55の近傍の2箇所に設けたことに特徴がある。
従来は、防除ポンプ駆動スイッチ56は、運転席横のコントロールパネル60の上にあったため、作業車に給水ポンプ58を備えた給水装置を装着し、薬液タンク18へホース59から給水を開始する時には、作業者は、いちいちコントロールパネル60付近へ移動して防除ポンプ駆動スイッチ56を押す必要があり、大変煩わしい作業となっていた。
また、駆動スイッチ56を押すため、一旦給水ポンプ58から作業者が離れると、同ポンプ58を水路内の適正な高さに支えることが困難となる。水路内に同ポンプ58を浸漬して薬液タンク18へ給水を始めるので、給水装置から作業者が離れると、給水ポンプ58が水路の底へ沈み、水路底の沈殿物やその他の不純物を吸い込むので、防除ポンプ20の寿命低下やフィルターの目詰まりを発生させる悪要因となっていた。
上記問題点を解決するために本実施例では防除ポンプ20の駆動スイッチ56を薬液タンク18の後方であって高圧水圧送用配管55の近傍に設けたため、給水装置から作業者が離れると、給水ポンプ58を水路内の適正な高さに支えることができる。
なお、薬液散布用の防除ポンプ20から高圧水を分流して給水ポンプ58へ送り、給水ポンプ58内のフィンを駆動する高圧水圧送用配管55が設けられている。
また薬液タンク18の側壁に液面計61を鉛直方向に向けて設けているので、給水作業者がタンク18の後方部より、給水ポンプ58の水路内の適正高さを維持したまま、液面計61を確認しながら、ポンプ駆動スイッチ56をオン、オフできるので、薬液タンク18の内部に給水した水のオーバーフローや給水不足等がなくなり、作業性が大幅に改善される。
コントロールパネル60を取り付けた薬液タンク18を車体1から下ろしてコントロールパネル60のボタン類を操作することにより各ブーム43,44を作動させるためには薬液タンク18と機体側のコネクタ部を十分長いハーネスで接続する必要があるが、従来は、このハーネスの長さが十分でないことがある。この場合、ハーネスが短いために機体側の各ブーム43,44の操作用のハーネス接続端が外れていることがある。このため、うっかりサイドブーム44を展開したままで薬液タンク18を機体から降ろすと、サイドブーム44を収納位置に回転させることができなくなる。また、サイドブーム44を収納状態にするためには、再度、薬液タンク18を機体に装着する必要があり、非常にメンテナンス性が劣っていた。
そこで、図8(a)の作業車の一部平面図と図8(b)の作業車の一部正面図に示すように薬液タンク18のコントロールパネル60と機体内に設けた防除部操作リレーボックス63と各ブーム操作ハーネスをコネクタ部64に集中して接続し、コネクタ部64と薬液タンク18側に設けたコネクタ部65の間に延長ハーネス62を設けた。こうして薬液タンク18を本機より下ろした状態においても各ブーム44の昇降と開閉が可能となるため、タンク18の着脱が容易になり、保守点検性が従来に比して大幅に向上する。
また、本実施例の作業車は図9(a)の作業車の一部側面図と図9(b)の作業車の一部正面図に示すようにキャビン69を搭載可能に構成し、このキャビン69には、外部から空気を吸入してキャビン69内に送風する送風装置(送風ファン)70を設けている。送風ファン70,70はオペレータの頭部後方両サイドに設置してあるので、薬液散布作業時にドリフトした農薬がキャビン69内へ侵入することを防止でき、オペレータの農薬被爆から保護できる。また、送風ファン70,70により送風される風はオペレータの後頭部付近にも広がるので、夏場の作業ではより冷涼感を感じることができる。
図10には薬液タンク18の一実施例の斜視図を示す。
この薬液タンク18は上下にタンク18を分割し、上下タンク18a,18b間は蛇腹部材51で結合される構成としている。また、蛇腹部材51による上下タンク18a,18bの結合は不安定なために上下方向に取り付け位置を調整可能な固定金具52を蛇腹部材51による結合部に装着している。
給水ホース53は薬液タンク18の下タンク18bの側面に接続し、タンク18内への給水量が増えると、水の内圧により蛇腹部材51は伸びて上下タンク18a,18b間が広がり、薬液タンク容量を増大させることができる。また、この薬液タンク18を作業車に搭載する時はタンク内に薬液を入れないので、コンパクトで搭載しやすく、その後、薬液タンク18内に給水すると薬液タンク18が膨張して期待容量を確保することができる利点がある。
本発明は、薬液散布装置を備えた作業車に関し、例えば、薬液、散水等の流体を蓄えた散布装置を備えた作業車に適用できる。
本発明の実施の形態の薬液散布装置を前部に取り付けた作業車の側面図である。 図1の薬液散布装置を取り付けた作業車のコントロールパネルの平面図である。 図1の薬液流量の制御装置の外観平面図である。 図1の薬液散布装置を取り付けた作業車のブームからの薬液散布の制御のフロー(図4(a))と(図4(b))である。 図1のサイドブームの側面図(図5(a))とサイドブームの部分分解斜視図(図5(b))である。 図1の作業車の側面図(図6(a))と図6(a)のS視線図(図6(b))である。 図1の薬液散布作業車の一実施例の側面図(図7(a))と従来技術の作業車の側面図(図7(b)、図7(c))である。 図1の薬液散布作業車の一部平面図(図8(a))と正面図(図8(b))である。 図1の薬液散布作業車の一部側面図(図9(a))と正面図(図9(b))である。 図1の薬液散布作業車の一実施例の薬液タンクの斜視図である。
符号の説明
1 車体 3 リフトリンク
4 ヒッチブラケット 5 ステップ
6 フロア 12 前輪
13 後輪 14 ステアリングハンドル
15 ボンネット 17 操縦席
18 薬液タンク 18a 上タンク
18b 下タンク 20 防除ポンプ
24 アッパリンク 25 ロワリンク
27 支柱 29 リンク昇降シリンダ
30 サイドブーム開閉用電動シリンダ
32 V字部材 33 エクステンション
34 逆U字型の補強プレート 36 ブーム受け
43 センターブーム 44 サイドブーム
44a 固定サイドブーム 44b 補助サイドブーム
45、45a、45b 散布ノズル
51 蛇腹部材 52 固定金具
53 給水ホース 55 高圧水圧送用配管
56 防除ポンプ駆動スイッチ 58 給水ポンプ
59 ホース 60 コントロールパネル
61 液面計 62 延長ハーネス
63 防除部操作リレーボックス 64 コネクタ部
65 コネクタ部 67 昇降スイッチ
68、68L、68R 開閉スイッチ
69 キャビン 71 表示パネル
72 散布設定スイッチ 73a 増加スイッチ
73b 減少スイッチ 74 累計リセットボタン
77 自動ボタン 79 表示切換ボタン
80、81 コック開閉用レバー 83 作動表示ボタン
92 防除ポンプ用電磁クラッチ 93 流量制御用のモータ
100 コントローラ 110 車速センサ
111 圧力センサ 112 薬液散布流量センサ
113 残量センサ 114 弁開度センサ
115 作動スイッチ 116 計算スイッチ

Claims (3)

  1. 薬液を貯めた薬液タンク18と薬液タンク18からの薬液を散布するために車体1に設けられた散布ブーム43,44と車速検出手段110とを備えた薬液散布作業車において、
    散布ブーム43,44による実薬液散布量を検出する実薬液散布量検出手段112と、
    薬液タンク18から散布ブーム43,44へ供給する薬液を車速検出手段110で検出される車速に応じ薬液散布量調整する流量制御弁の開度操作用モータ93と、
    残りの薬液散布面積を入力する残り薬液散布面積入力手段72と、
    薬液タンク18の内部の薬液残量を検出する薬液残量検出手段113と、
    薬剤の散布を開始してから、その連続作業中に作業者によって薬液散布面積入力手段72により残りの薬液散布面積が入力されると、車速検出手段110で検出される平均車速と実薬液散布量検出手段112で検出される単位時間当たりの平均薬液散布量から得られる残り薬液散布面積に対して要する薬液量、薬液残量検出手段113で検出した薬液残量を比較して、残り薬液散布面積に対して要する薬液量が薬液残量より多い場合には、残りの薬液散布面積全体に薬液が散布されるように前記開度操作用モータ93を操作して単位時間あたりの平均薬液散布量を少なくする制御を行うコントローラ100と
    を備えたことを特徴とする薬液散布作業車。
  2. 薬液を貯めた薬液タンク18と薬液タンク18からの薬液を散布するために車体1に設けられた散布ブーム43,44と車速検出手段110とを備えた薬液散布作業車において、
    散布ブーム43,44による実薬液散布量を検出する実薬液散布量検出手段112と、
    薬液タンク18から散布ブーム43,44へ供給する薬液を車速検出手段110で検出される車速に応じ薬液散布量調整する流量制御弁の開度操作用モータ93と、
    残りの薬液散布面積を入力する残り薬液散布面積入力手段72と、
    薬液タンク18の内部の薬液残量を検出する薬液残量検出手段113と、
    車速検出手段110で検出される平均車速と実薬液散布量検出手段112で検出される単位時間当たりの平均薬液散布量と薬液残量検出手段113で検出される現在の残量とから散布可能な面積を計算させるための信号の入力を行う計算スイッチ116と、
    薬剤の散布を開始してから、その連続作業中に作業者によって薬液散布面積入力手段72及び計算スイッチ116により残りの薬液散布面積及び散布可能な面積を計算させるための信号が入力されると、散布可能面積を計算し、残り薬液散布面積入力手段72で入力された残り散布面積と比較して、散布可能面積が残り散布面積より少ない場合は残りの薬液散布面積全体に薬液が散布されるように前記開度操作用モータ93を操作して単位時間あたりの平均薬液散布量を少なくする制御を行い、散布可能面積が残り散布面積より多い場合は薬液散布量をそのままとする制御を行うコントローラ100と
    を備えたことを特徴とする薬液散布作業車。
  3. 残り薬液散布面積に対して要する薬液量が、薬液残量検出手段113で検出した薬液残量より少ない場合には、報知する報知手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の薬液散布作業車。
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