JP4143311B2 - 圧電セラミック多層アクチュエーターの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、請求項1に記載の圧電セラミック多層アクチュエーターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1には圧電セラミック多層アクチュエーター1が示されている。アクチュエーターは圧電活性材料、例えばジルコンチタン酸鉛(PZT)の堆積した薄い層2およびこの間に配置された導電性内部電極3からなり、内部電極は交互にアクチュエーター表面に案内される。外部電極4,5は内部電極3と接続する。これにより内部電極3は電気的に平行に接続され、2つの群にまとまられる。2つの外部電極4,5はアクチュエーター1の接続電極である。外部電極は接続線6を介してここでは示されていない電圧源に接続している。接続線6を介して外部電極4,5に電圧が印加されると、電圧はすべての内部電極3に平行に伝わり、活性材料のすべての層2に電界を生じ、活性材料はこれにより機械的に変形する。このすべての機械的変形の合計はアクチュエーター1の頭部領域7および脚部領域8の端面で利用可能な伸びおよび/または力9として使用される。
【0003】
圧電セラミック多層アクチュエーターは技術水準により一体型として形成され、すなわち焼結の前にスクリーン印刷法により内部電極が被覆されている活性材料を、いわゆるグリーンシートとして重ね合わせて堆積層を形成し、堆積層を生素地に圧縮する。生素地の圧縮は一般に圧力および温度の作用下に積層の形に積層することにより行われる。この方法は使用される積層工具にもとづきアクチュエーターの外部の形をすでに十分に決定する。積層は個々のアクチュエーターに分配され、アクチュエーターを熱分解し、引き続き焼結する。未焼結の成形体中の積層がしばしば密度の不均一性を生じ、セラミック燃焼の際の収縮が一定の大きさでないために、アクチュエーターの最終形状は焼結したアクチュエーターの硬化処理によってのみ必要な正確さで製造することができる。その際アクチュエーターに挿入された内部電極層は同様に一緒に処理される。処理された面を後で絶縁しない場合は、約1000V/mmである空気中の絶縁場の強さが2000V/mmをこえるまでの運転場の強さにより凌駕されるので、この圧電セラミック多層アクチュエーターの活性運転の際にアクチュエーター表面でフラッシュオーバーの不安が生じる。同時に硬化処理により引き起こされる電極のよごれが付加的に絶縁強度の低下および/または漏れ電流を生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、多層アクチュエーターの製造を簡単にし、前記欠点を回避する方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、請求項1記載の方法により解決される。本発明の有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0006】
少なくとも1個の圧電セラミック多層アクチュエーターの内部電極の相当する構造が印刷されている圧電セラミック材料からなるグリーンシートの堆積によりおよび約100バールの圧力下および約120℃の温度での相当する積層により、生素地は高い機械的強度、フィルム層の良好な結合、良好な機械的処理および均一な密度が得られる。従って本発明により、これらの生素地から積層として多層アクチュエーターを容易に取り出し、引き続き切削処理により、一般にすでに最終的な形であるその形状にすることが可能であり、従ってアクチュエーターは焼結後に他の後処理を必要としない。内部電極がそれぞれの外部電極に接続される接続面でのみなお絶縁性焼結皮膜を、例えば研磨により除去しなければならない。積層したブロックの高い機械的強度により、回転、フライス加工、鋸加工、穿孔および研磨のようなすべての切削処理が可能である。その際成形体は損傷せず、変形しない。焼結状態に対する材料の低い硬度により工具の摩耗が著しく少なく、これにより廉価な製造が可能である。
【0007】
焼結により圧電セラミック多層アクチュエーターのすべての表面にいわゆる焼結皮膜が形成され、焼結皮膜はアクチュエーターの表面に現れる内部電極の領域で、圧電セラミック多層アクチュエーターの表面の後での絶縁を一般に行わなくてよいほど高い電気絶縁性を示す。
【0008】
積層の良好な処理能力は、処理特性の適当な選択および/または組み合わせにより圧電セラミック多層アクチュエーターを種々の形で製造できることを可能にする。横断面は円形、楕円形、四角形または多角形であってもよい。すでに焼結の前に生素地のすべての角を砕く、削るまたは丸めることができる。生段階でのセラミック材料の良好な処理能力は回転対称成形体の製造を可能にする。
【0009】
少なくとも1個の多層アクチュエーターを有する積層ブロックは高い強度および形状安定性を有する。これにより、焼結の前にブロックおよび/または未焼結の圧電セラミック多層アクチュエーターに、1個以上の孔または袋状の孔を導入することが可能であり、この孔は付加的にねじ山を備えていてもよい。この装備は有利には固定または接続のような後の使用に利用することができる。孔または袋状の孔およびねじ山の断面により内部電極の層が中断するので、この場合に焼結の際に生じる焼結皮膜を有利に絶縁層として利用することができる。
【0010】
多層アクチュエーターの成形の他の可能性は、すでに積層の前にグリーンシートに必要な大きさ、形および数の孔を同じ処理工程で打ち抜くことであり、この工程でグリーンシートを積層の形に適当に打ち抜く。引き続き内部電極を印刷したグリーンシートを、所望の配置および深さの孔または袋状の孔が形成されるように必要な数および配置で重ね合わせる。積層後にねじ山を孔に切り込むことができる。
【0011】
孔、貫通する孔または袋状の孔に、積層の前に、安定性を高めるためにおよび形状の正確さを保持するために、充填剤を充填することができ、充填剤は積層の際にそうでなければ場合により生じる間隙の可塑的変形を阻止する。この充填剤は、積層条件下でグリーンシートの圧電セラミック材料より可塑性でないかまたは強く変形可能でないように選択される。
【0012】
充填剤は硬い、形状安定なおよび積層中に熱に安定な材料、例えば金属またはセラミックからなることができる。成形に応じて、例えばピンまたはねじ山付きピンを孔または袋状の孔に使用する。
【0013】
更に可塑性または熱可塑性充填剤、特に高い柔軟性のゴムまたはゴム状プラスチックが適している。この場合に充填剤はピンまたはねじ山付きピンの形を有することができる。
【0014】
ピンまたはねじ山付きピンは積層後に積層から引き抜くかまたははずす。
【0015】
更に積層温度を達成するまでほぼ形状安定に保たれる充填剤が適している。この充填剤は積層または焼結の際に溶融分離するかまたは熱分解する。例えばワックスまたは低溶融ポリマーは加熱することにより積層から除去することができる。充填剤として、技術水準により多孔質セラミックを形成するために知られているような、積層または焼結の際に700℃までの温度で残留物がなく熱分解する、適当な有機材料、例えばカーボンブラックまたはポリマーを使用することができる。
【0016】
熱的除去は、焼結の前に接続された熱的工程、例えば適合した離型工程での溶融分離および/または熱分解により行う。
【0017】
【実施例】
本発明を実施例により詳細に説明する。
【0018】
図2には圧電セラミック材料からなるすでに積層の形に打ち抜かれたグリーンシート10が示されている。このグリーンシート上にそれぞれ6個の内部電極11が被覆され、その際この被覆は一般にスクリーン印刷で行われる。グリーンシートへの複数の内部電極の被覆は複数の多層アクチュエーターの合理的な製造を同時に可能にする。円形の横断面12から一方の面に円形部分を切り離し、この平面は割線13により境界をなす。中心点14を中心に孔15を打ち抜く。
【0019】
グリーンシートは、内部電極が重なるように、必要な数で重ね合わせて堆積してブロックを形成する。フィルムの数は多層アクチュエーターの大きさにより決定される。本発明の実施例においてはブロックは6個の多層アクチュエーターを有する。容易な分離性のために、多層アクチュエーターは積層後になお生状態で内部電極のまわりに互いに分離する。引き続き同様になお生状態で、多層アクチュエーターの決められた生直径まで多層アクチュエーターの仕上げ処理を行うことができる。その後、多層アクチュエーターを焼結する。
【0020】
グリーンシート10上の内部電極11の配置はそれぞれ同じ配向である。同じ極性の内部電極である。反対の極性の内部電極を同様の方法で製造することができる。しかしその際その配向は、反対の極性の対向して配置された内部電極の配向に反対であり、従って連続するグリーンシート上を180°回転させる。反対の極性を有する電極層は交互に交替する。多層アクチュエーターの輪郭を示すブロックに、重ね合わせた孔15が貫通する取り出し部を形成する。
【0021】
図3は本発明の方法により製造された多層アクチュエーター16の大きく拡大した図を示す。アクチュエーターは円形の横断面12を有し、焼結皮膜17で完全に被覆されている。1つの極性の同じ極性の内部電極11はその周囲面に完全に表されているが、反対の極性の内部電極の場合は周囲の円形部分の欠如により中断されている。この形は、同じ極性の内部電極のみが周囲に現れる多層アクチュエーターの向かい合う面に、同じ極性の内部電極をそれぞれの外部電極18に接続するために有利に利用する。このためにこの領域で研磨により焼結皮膜17を除去し、内部電極11がその周囲面に露出する。多層アクチュエーター16の軸19を中心に、重ね合わせた孔15から形成される貫通する取り出し部20がグリーンシート10中に延びており、これは固定目的のために利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】技術水準による圧電セラミック多層アクチュエーターの図である。
【図2】本発明による複数の内部電極を有するグリーンシートの図である。
【図3】本発明の方法により製造される多層アクチュエーターの図である。

Claims (18)

  1. グリーンシートとよばれる、少なくとも1個の内部電極が被覆されている、圧電セラミック材料からなる薄い層を重ね合わせてブロックを形成し、内部電極が交互にアクチュエーターの向かい合う面に案内され、ここで内部電極が外部電極により互いに接続されている圧電セラミック多層アクチュエーターの製造方法において、ブロックを積層し、このブロックから少なくとも1個のアクチュエーターを取り出し、アクチュエーターを処理することによりその形を取得し、アクチュエーターを引き続き焼結し、焼結の際に生じる焼結皮膜を絶縁層として利用し、焼結皮膜を、内部電極が外部電極に接続している位置で切除することを特徴とする圧電セラミック多層アクチュエーターの製造方法。
  2. 切削処理により成形を行う請求項1記載の方法。
  3. 成形により横断面として四角形、多角形、円形または楕円形を有する多層アクチュエーターを製造する請求項1または2記載の方法。
  4. 成形により回転対称多層アクチュエーターを製造する請求項1または2記載の方法。
  5. 少なくとも1個の多層アクチュエーターの積層されたブロックに1個以上の貫通する孔または袋状の孔を導入する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. すでに積層の前にグリーンシートに必要な大きさ、形状および数の孔を打ち抜き、その後内部電極を有するグリーンシートを必要な数および配置で重ね合わせ、孔または袋状の孔を必要な配置および深さで形成する請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  7. 孔または袋状孔にねじ山を切り込む請求項5または6記載の方法。
  8. 多層アクチュエーターの孔または袋状孔に、積層の前に、安定性を高めるためにおよび形状の正確さを保持するために、充填剤を充填する請求項5から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 充填剤として硬い、形状安定の、積層の間熱安定性の材料を使用する請求項8記載の方法。
  10. 金属またはセラミックまたはほかの硬い、形状安定の、積層の間熱安定性の材料からなる充填剤を使用する請求項8または9記載の方法。
  11. 充填剤として可塑性または熱可塑性の材料を使用する請求項8記載の方法。
  12. 高い柔軟性のゴムまたはゴム状プラスチックを使用する請求項11記載の方法。
  13. ピンまたはねじ山付きピンの形の充填剤を使用する請求項8から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 積層後にピンまたはねじ山付きピンを積層から引き抜くかまたははずす請求項13記載の方法。
  15. 積層温度を達成するまでほぼ形状安定に保たれ、熱的に除去される充填剤を使用する請求項8記載の方法。
  16. 充填剤としてワックスまたは低溶融ポリマーを使用し、この充填剤が積層または焼結の際に溶融分離する請求項15記載の方法。
  17. 充填剤として積層または焼結の際に残留物がなく熱分解する適当な有機材料を使用する請求項15記載の方法。
  18. 熱的除去を、焼結の前に接続された熱的工程、例えば適合した離型工程での溶融および/または熱分解により行う請求項15記載の方法。
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