JP4659170B2 - 積層型素子の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電トランス、圧電アクチュエータ等の積層型素子、及び燃料等の噴射装置に関し、特に、自動車用燃料噴射装置、光学装置等の精密位置決め装置や振動防止用の駆動素子等に用いられる圧電アクチュエータに関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、電歪効果を利用して大きな変位量を得るために、圧電磁器と内部電極を交互に積層した積層型圧電アクチュエータが提案されている。積層型圧電アクチュエータには、同時焼成タイプと圧電磁器と内部電極板を交互に積層したスタックタイプの2種類に分類されており、低電圧化、製造コスト低減の面から考慮すると、同時焼成タイプの積層型圧電アクチュエータが薄層化に対して有利であるために、その優位性を示しつつある。
【0003】
同時焼成タイプの積層型圧電アクチュエータとして、特開平2−285685号公報に開示されるようなものが知られている。この公報では、アクチュエータ本体は、複数の圧電磁器と複数の内部電極とを交互に積層して構成され、内部電極が交互に第1内部電極または第2内部電極とされ、第1内部電極、第2内部電極の端部が異なる側面に露出し、外部電極とそれぞれ接続されている。
【0004】
そして、アクチュエータ本体の側面に露出した内部電極の端部間に凹溝が形成されており、該凹溝には絶縁体が充填されている。この凹溝は、圧電磁器と内部電極とを交互に積層したアクチュエータ本体を作製した後、絶縁すべき内部電極の部分およびその周囲の圧電磁器に、ダイヤモンドブレードを有する自動カッティングマシンを使用して形成されている。
【0005】
このような積層型圧電アクチュエータでは、凹溝に絶縁体を充填することにより、アクチュエータ本体の側面に露出した内部電極に接続された外部電極と、凹溝の底面に露出した内部電極との絶縁を図っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載された圧電アクチュエータでは、外部電極が、アクチュエータ本体の側面、および凹溝内の絶縁体に付着していたため、凹溝内に充填された絶縁体のアンカー効果により、外部電極のアクチュエータ本体への付着強度はある程度強いものの、高温下において高電界、高圧力を印加して長期間連続駆動させた場合、圧電磁器間に形成された凹溝内の絶縁体が劣化し、凹溝と絶縁体との間に隙間が発生し、外部電極がアクチュエータ本体の側面から剥離し易いという問題があった。
【0007】
また、凹溝内の絶縁体が劣化し、凹溝と絶縁体との間に隙間が発生し、高温下において高電界、高圧力を印加して長期間連続駆動させると、隣設する異なる極性の内部電極間で沿面放電が発生し、駆動中に変位特性が変化するという問題があった。
【0008】
即ち、絶縁体が充填される凹溝を、ダイヤモンドブレードを有する自動カッティングマシンを用いて切断除去していたため、凹溝の内面はボイド(空孔)を除きほぼ平坦であり、その内部に充填された絶縁体が、高温下において高電界、高圧力を印加して長期間連続駆動させた場合、圧電磁器間に形成された凹溝内の絶縁体が劣化し、凹溝と絶縁体との間に隙間が発生し、凹溝内に充填された絶縁体のアンカー効果が低下し、外部電極がアクチュエータ本体の側面から剥離し易くなり、また、隣設する異なる極性の内部電極との距離が最短となり、隣設する異なる極性の内部電極間で沿面放電が発生し易いという問題があった。
【0009】
本発明は、高温下において高電界、高圧力を印加して長期間連続駆動させた場合でも、外部電極の剥離を抑制できるとともに、隣設する異なる極性の内部電極間における沿面放電を防止できる積層型素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の積層型素子の製造方法は、複数の磁器と複数の内部電極とを交互に積層してなり、前記内部電極が交互に第1内部電極または第2内部電極とされた素子本体と、該素子本体の異なる側面にそれぞれ設けられ、前記第1内部電極同士をそれぞれ電気的に接続する第1外部電極および前記第2内部電極同士をそれぞれ電気的に接続する第2外部電極を具備し、前記第1外部電極が形成される前記素子本体の側面に、前記第2内部電極の端部が露出する凹溝を形成するとともに、前記第2外部電極が形成される前記素子本体の側面に、前記第1内部電極の端部が露出する凹溝を形成し、前記凹溝に絶縁体を充填してな、前記凹溝の内面に、前記磁器を構成するセラミック粒子が突出して凹凸が形成されていることを特徴とする積層型素子の製造方法であって、少なくとも圧電セラミックスの仮焼粉末と、光硬化性樹脂と、バインダーとを含むセラミックシートを作製する工程と、該セラミックシートの片面に前記内部電極となる導電性ペーストを印刷・塗布する工程と、前記導電性ペーストが塗布された複数の前記セラミックシートを加熱加圧して積層成形体を作製する工程と、該積層成形体の外部電極形成用側面の前記凹溝を形成する部分にマスクパターンを形成する工程と、該マスクパターンを形成した前記積層形成体の側面に紫外線を照射して、該紫外線を照射した前記側面を硬化させる工程と、前記マスクパターンを除去した後、前記側面の未硬化部分を溶解液により除去することにより前記凹溝を形成する工程とを含むことを特徴とする
【0011】
このような製造方法で作製した積層型素子では、凹溝の内面に、磁器を構成するセラミック粒子が突出して凹凸が形成されているので、この凹溝内に絶縁体を充填とすると、凹溝内面から突出したセラミック粒子により、絶縁体の素子本体への付着強度が向上し、高温下において高電界、高圧力を印加して長期間連続駆動させ、凹溝内の絶縁体が劣化したとしても、外部電極の素子本体側面からの剥離を抑制することができる。
【0012】
また、高温下において高電界、高圧力を印加して長期間連続駆動させ、凹溝内の絶縁体が劣化したとしても、凹溝の内面に、磁器を構成するセラミック粒子が突出して凹凸が形成されているので、凹溝と絶縁体との間における隙間の発生が抑制され、また、隣設する異なる極性の内部電極との距離を延長でき、隣設する異なる極性の内部電極間での沿面放電の発生を抑制でき、駆動中における変位特性の劣化を防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の積層型圧電アクチュエータを示すもので、(a)が平面図を示し、(b)が(a)のA−A線に沿う断面の一部を示す図である。
【0015】
図において、符号11は六角柱状の素子本体を示すもので、この素子本体11は、複数の圧電磁器13と複数の内部電極15a、15bを交互に積層して構成されている。
【0016】
内部電極15a、15bの端部は素子本体11の六側面に露出しており、また、内部電極15a、15bの両側に位置する圧電磁器13は、向きが反対となるように分極処理され、図1(b)に示す矢印の方向に分極処理されている。
【0017】
内部電極15a、15bは積層順に交互に第1内部電極15aまたは第2内部電極15bとされ、第1内部電極15aと第2内部電極15bに異なる電位を与えることによって、圧電磁器13に厚さ方向の電界を印加できる。
【0018】
素子本体11は、四角柱の2つの側面角部を面取りして、他の側面よりも面積が狭い2つの対向する外部電極形成用側面16a、16bを有する六角柱とされており、これらの外部電極形成用側面16a、16bに第1外部電極17a、第2外部電極17bがそれぞれ形成されている。第1外部電極17aには第1内部電極15aの端部が接続され、第2内部電極15bの端部とは絶縁され、また第2外部電極17bには第2内部電極15bが接続され、第1内部電極15aの端部とは絶縁されている。
【0019】
即ち、第1内部電極15aの端部は外部電極形成用側面16aに露出し、第2内部電極15bの端部は、凹溝19内に充填された絶縁体21により、外部電極形成用側面16aには露出していない。このため、外部電極形成用側面16aに第1外部電極17aを形成した際には、第1内部電極15aの端部のみが第1外部電極17aと接続されることになる。
【0020】
一方、第2内部電極15bの端部は外部電極形成用側面16bに露出し、第1内部電極15aの端部は、凹溝19内に充填された絶縁体21により、外部電極形成用側面16bには露出していない。このため、外部電極形成用側面16bに第2外部電極17bを形成した際には、第2内部電極15bの端部のみが第2外部電極17bと接続されることになる。
【0021】
即ち、外部電極形成用側面16aに形成された凹溝19の底面23の中央部には、第2内部電極15bの端部が露出し、第1外部電極17aとは絶縁体21により絶縁され、外部電極形成用側面16bに形成された凹溝19の底面23の中央部には、第1内部電極15aの端部が露出し、第2外部電極17bとは絶縁体21を介して絶縁されている。
【0022】
圧電磁器13は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3(以下PZTと略す)或いは、チタン酸バリウムBaTiO3を主成分とする圧電セラミック材料などが使用されるが、これらに限定されるものではなく、圧電性を有するセラミックスであれば何れでも良い。なお、この圧電磁器材料としては、圧電歪み定数d33が高いものが望ましい。また、圧電磁器13の厚み、つまり内部電極15間の距離は、小型化および高い電界を印加するという点から0.05〜0.25mmであることが望ましい。
【0023】
そして、本発明の積層型圧電アクチュエータでは、図1および図2に示すように、凹溝19の内面には、圧電磁器13を構成するセラミック粒子24が突出して凹凸が形成されている。圧電磁器13を構成するセラミック粒子24の平均粒径は、焼結性向上と電気的特性向上という点から0.5〜3μmとされており、凹溝19の内面に突出するセラミック粒子も、0.5〜3μmの平均粒径を有することになる。
【0024】
凹溝19の内面には、セラミック粒子が脱落して凹部19aが形成されており、その凹部19aの深さは3μm以上とされている。絶縁体21の付着強度を向上するという点から、凹溝19の内面の凹部19aの深さは5μm以上が望ましいが、凹溝19の内面の凹部19aの深さは、強度という点から20μm以下が望ましい。
【0025】
このような積層型圧電アクチュエータは、例えば、平均粒径0.5〜2μmのPb(Zr,Ti)O3等の圧電セラミックスの仮焼粉末と、光硬化性樹脂と、所定のバインダーと、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、ドクターブレード方により、厚み70〜300μmのセラミックシートを作製する。
【0026】
光硬化性樹脂としては、例えば、ラジカル重合型のアクリル系紫外線硬化性樹脂やカチオン系のエポキシ樹脂、アゾ系紫外線硬化性樹脂チオール・エン付加型の紫外線硬化性樹脂が挙げられ、なかでも、アクリル系紫外線硬化性樹脂が望ましい。
【0027】
このグリーンシートの片面に内部電極となる銀、銀−白金、銀−パラジウム等を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷により印刷し、導電性ペーストが塗布されたグリーングリーンシートを積層し、加熱加圧して積層一体化し、四角形状の積層成形体を作製する。尚、導電性ペースト中に光硬化性樹脂を含有せしめても良い。
【0028】
この後、積層成形体の対角線上に位置する2つの側面角部を面取りし、六角柱形状とする。ここでは、六角柱形状の積層成形体の全側面には、導電性ペースト塗布膜端部が露出している。この後、面取りした外部電極形成用側面16a、16bにおいて、導電性ペースト塗布膜端部を含むセラミックシートを、対向する外部電極形成用側面16a、16bで互い違いになるように、一層おきに凹溝19を形成する。
【0029】
具体的には、先ず、図3(a)に示すように、凹溝19を形成する部分、即ち、積層成形体25の外部電極形成用側面16a、16bに露出した導電性ペースト塗布膜26端部付近に、マスクパターン27を形成する。このマスクパターン27はスクリーン印刷によって形成する。この後、図3(b)に示すように、積層成形体25の側面に光(紫外線)を100〜200W/cmで10〜30分の条件で光(紫外線)硬化させる。この時、積層成形体25表面の温度を70〜110℃とする。光硬化された部分を、図3(b)において斜線で示す。またマスクパターン27の幅Bは圧電磁器厚みの約40%前後が望ましい。尚、積層成形体表面の外部電極形成用側面16a、16bのみ硬化させれば良く、他の側面については硬化させなくても良い。また、積層成形体の内部まで硬化させる必要はない。
【0030】
次に、第3図(c)に示すように、マスクパターン27を除去した後、50℃に加熱した溶解液(例えば、三洋化成製ケミクリーン)に30分間浸漬し、未硬化部分を除去することにより、凹溝19が形成される。積層成形体表面の温度90℃とし、露光条件を150W/cm―10分の条件とした場合には、溶解深さ(凹溝の深さ)は約150〜250μmとなる。また、溶解処理によって形成された凹溝内部表面の有機バインダー成分が除去されており、セラミックシート中のセラミック粒子が凹溝内部に向けて突出して凹凸が形成されており、凹溝の内面には、ところどころセラミック粒子が脱落して凹部19aが形成されている。
【0031】
この後、所定温度で脱バインダー、焼成を行い、素子本体11となる六角柱状の積層焼結体を作製する。この積層焼結体の凹溝19に、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーンゴム等の絶縁体21を充填する。なお、絶縁体21は低ヤング率の材質、例えばシリコーンゴム等が好ましい。
【0032】
この後、外部電極形成用側面16a、16bに導電性樹脂を塗布することにより外部電極17a、17bを形成する。そして、外部電極17a、17bに所定の電圧を印加し、分極処理することにより、本発明の積層型圧電アクチュエータを作製する。
【0033】
以上のように構成された積層型圧電アクチュエータでは、素子本体11を形成する積層成形体25の側面において、光硬化、露光、現像することにより、微細な凹溝19を形成することができ、容易に、かつ一括して精密な凹溝19を形成できる。
【0034】
また、このような製法により作製された凹溝19の内面には、圧電磁器13を構成するセラミック粒子24が突出して凹凸が形成されているので、この凹溝19内に絶縁体21を充填とすると、凹溝19内面から突出したセラミック粒子24により、絶縁体21の素子本体11への付着強度が向上し、高温下において高電界、高圧力を印加して長期間連続駆動させ、凹溝19内の絶縁体21が劣化したとしても、外部電極17a、17bの素子本体11の側面からの剥離を抑制することができる。
【0035】
さらに、高温下において高電界、高圧力を印加して長期間連続駆動させ、凹溝19内の絶縁体21が劣化したとしても、凹溝19の内面に、圧電磁器13を構成するセラミック粒子24が突出して凹凸が形成されているので、凹溝19と絶縁体21との間における隙間の発生が抑制され、また、隣設する異なる極性の内部電極との距離を延長でき、隣設する異なる極性の内部電極間での沿面放電の発生を抑制でき、駆動中における変位特性の劣化を防止できる。
【0036】
また、凹溝19の内面にはセラミック粒子が脱落して凹部19aが形成されているため、さらに外部電極17a、17bの素子本体11の側面からの剥離を抑制することができる。
【0037】
図4は、本発明の噴射装置を示すもので、図において符号51は収納容器を示している。この収納容器51の一端には噴射孔53が設けられ、また収納容器51内には、噴射孔53を開閉することができるニードルバルブ55が収容されている。
【0038】
噴射孔53には燃料通路57が連通可能に設けられ、この燃料通路57は外部の燃料供給源に連結され、燃料通路57に常時一定の高圧で燃料が供給されている。従って、ニードルバルブ55が噴射孔53を開放すると、燃料通路57に供給されていた燃料が一定の高圧で内燃機関の図示しない燃料室内に噴出されるように形成されている。
【0039】
また、ニードルバルブ55の上端部は直径が大きくなっており、収納容器51に形成されたシリンダ59と摺動可能なピストン61となっている。そして、収納容器51内には、上記した圧電アクチュエータ63が収納されている。
【0040】
このような噴射装置では、圧電アクチュエータ63が電圧を印加されて伸長すると、ピストン61が押圧され、ニードルバルブ55が噴射孔53を閉塞し、燃料の供給が停止される。また、電圧の印加が停止されると圧電アクチュエータ63が収縮し、皿バネ65がピストン61を押し返し、噴射孔53が燃料通路57と連通して燃料の噴射が行われるようになっている。
【0041】
【実施例】
平均粒径0.5μmのチタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3粉末と、有機高分子からなるバインダーと、光硬化性樹脂としてアクリル系紫外線硬化性樹脂、光硬化性触媒、可塑剤とを混合したスラリーを作製し、ドクターブレード法により、厚み200μmのセラミックグリーンシートを作製した。
【0042】
このグリーンシートの片面に内部電極となる銀を主成分とする導電性ペーストをスクリーン印刷法により5μmの厚みに印刷し、この導電性ペーストを乾燥させた後、導電性ペーストが塗布された複数のグリーンシートを所定の枚数だけ金型内にて加熱加圧積層し、積層成形体を作製した。
【0043】
次に、一体化された積層成形体を8mm×8mmの大きさに切断し、対角に3mmのC面(外部電極形成用側面)を形成した。このC面上にスクリーン印刷によってマスクパターンを印刷した。マスクパターンは内部電極一層おきに形成し、導電性ペースト塗布膜を中心に幅50μmとした。これを、積層成形体表面の温度を約90℃とし、150w―10分の条件にて紫外線硬化させる。この処理を2面おこなって積層体表面のC面(外部電極形成用側面)部分の硬化を終了した。
【0044】
次に、表面ラップにてマスクパターンを除去し、50℃に加熱した溶解液(三洋化成製ケミクリーン)に30分間浸漬し、処理後に純水にて積層成形体を洗浄し、未硬化部分を除去し、凹溝を形成した。
【0045】
このようにして得られた硬化体を400℃で80時間、脱バインダ処理し、1000℃の温度で5時間本焼成ない、素子本体となる積層焼結体を得た。この素子本体の側面C面部には交互に凹溝が形成されている。
【0046】
その後、該凹溝にシリコーンゴムからなる絶縁体を充填した。次にポリイミドの前駆体であるポリアッミク酸をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させ、ワニス状にし、このワニスに銀粉末20wt%を混合、混練、ペースト状にしたものを、外部電極を形成する所定の位置に塗布し、220℃の空気中で溶媒を蒸発させるとともに、硬化反応を起こさせ、正極用外部電極、負極用外部電極とした。
【0047】
この後、正極用外部電極、負極用外部電極にリード線を接続し、アクチュエータの周囲にデイッピング等の方法により、シリコーンゴム等の被覆材を被覆した。さらに、正極用外部電極、負極用外部電極に0.3kVの分極電圧を印加しアクチュエータ全体を分極処理することで、最終的な積層型圧電アクチュエータを得た。
【0048】
本発明者は、焼成後の素子本体の側面に形成された凹溝の内面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察したところ、図2に示すように、凹溝の内面はセラミック粒子が突出して凹凸が形成されており、その内面には、深さ3〜7μmの凹部19aが形成されていた。また、凹溝内に充填された絶縁体の引張強度(付着強度)を、凹溝に絶縁体を充填する際にコードを同時に埋設し、このコードを引っ張り、絶縁体が凹溝から剥離した時の荷重を測定することにより測定した。この結果、引張強度は70MPa以上であった。
【0049】
比較例として、導電性ペーストが塗布された複数のグリーンシートを所定の枚数だけ積層した後、焼成し、この後、内部電極の端部部分に、ダイヤモンドブレードにより溝加工し、この凹溝内に絶縁体を充填した積層型圧電アクチュエータを作製した。この比較例について、凹溝内面を観察したところ深さ0.5μm程度のボイド痕と見られる凹部が形成されるものの、その内面はほぼ平坦であり、引張強度は40MPaであった。
【0050】
【発明の効果】
本発明の積層型素子の製造方法では、凹溝を焼成後に研削しないで、焼成前に一括に除去でき、かつ凹溝内面にセラミック粒子を突出させて凹凸を形成することにより、凹溝内の絶縁体の付着強度を向上することができ、絶縁体の素子本体への付着強度が向上し、高温下において高電界、高圧力を印加して長期間連続駆動させ、凹溝内の絶縁体が劣化したとしても、外部電極の素子本体側面からの剥離を抑制することができ、高耐久性を備えた積層型圧電アクチュエータ等を安価に量産することがきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電アクチュエータを示すもので、(a)平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面の一部を示す図である。
【図2】図1の凹溝およびその近傍を拡大して示す概念図である。
【図3】本発明の圧電アクチュエータの凹溝を形成する工程を示す図である。
【図4】本発明の噴射装置を示す説明図である。
【符号の説明】
11・・・素子本体
13・・・圧電磁器
15a、15b・・・内部電極
16a、16b・・・外部電極形成用側面
17a、17b・・・外部電極
19・・・凹溝
21・・・絶縁体
24・・・セラミック粒子
51・・・収納容器
53・・・噴射孔
55・・・バルブ
63・・・圧電アクチュエータ

Claims (1)

  1. 複数の磁器と複数の内部電極とを交互に積層してなり、前記内部電極が交互に第1内部電極または第2内部電極とされた素子本体と、該素子本体の異なる側面にそれぞれ設けられ、前記第1内部電極同士をそれぞれ電気的に接続する第1外部電極および前記第2内部電極同士をそれぞれ電気的に接続する第2外部電極を具備し、前記第1外部電極が形成される前記素子本体の側面に、前記第2内部電極の端部が露出する凹溝を形成するとともに、前記第2外部電極が形成される前記素子本体の側面に、前記第1内部電極の端部が露出する凹溝を形成し、前記凹溝に絶縁体を充填してな、前記凹溝の内面に、前記磁器を構成するセラミック粒子が突出して凹凸が形成されていることを特徴とする積層型素子の製造方法であって、少なくとも圧電セラミックスの仮焼粉末と、光硬化性樹脂と、バインダーとを含むセラミックシートを作製する工程と、該セラミックシートの片面に前記内部電極となる導電性ペーストを印刷・塗布する工程と、前記導電性ペーストが塗布された複数の前記セラミックシートを加熱加圧して積層成形体を作製する工程と、該積層成形体の外部電極形成用側面の前記凹溝を形成する部分にマスクパターンを形成する工程と、該マスクパターンを形成した前記積層形成体の側面に紫外線を照射して、該紫外線を照射した前記側面を硬化させる工程と、前記マスクパターンを除去した後、前記側面の未硬化部分を溶解液により除去することにより前記凹溝を形成する工程とを含むことを特徴とする積層型素子の製造方法
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