JP4142118B2 - 電子部品の製造方法及び絶縁電線の皮膜剥離処理方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、耐熱性の高い絶縁被覆が施された絶縁電線を用いた場合でも信頼性の高い電気接続が得られる接続構造を有する電子部品の製造方法、及び絶縁電線の皮膜剥離処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11はコイルの斜視図である。磁心に巻かれた絶縁電線10の端末部分がコイル下端の金属端子27に巻付けられている。図12は、前記金属端子部分の斜視図及び横断面図である。断面矩形の金属端子27に、絶縁電線10が密着して巻付けられ、半田(図示せず)付けされている。絶縁電線10と金属端子27との間及び絶縁電線10間にはすき間はない。絶縁電線10には、一般に半田付け可能な絶縁電線、すなわち溶融半田に漬けると絶縁皮膜が消失する絶縁電線が用いられている。この絶縁電線を金属端子に接続するには、絶縁電線10の端末を金属端子27に巻付け、次に絶縁電線10の巻付部分を半田浴に漬けて半田付けしている。
【0003】
ところで、近年の電子機器等の小型化、高機能化に伴い、そこに組込まれるコイル等の電子部品の使用環境は非常に厳しくなってきている。その為、前記電子部品に用いられる絶縁電線には高耐熱性が要求され、又前記絶縁電線の電気接続には高い信頼性が求められている。
このうち、高耐熱化の要求に応じて絶縁電線の絶縁皮膜を高耐熱性のものにすると、半田浴に漬けただけでは、除去できなくなる。
【0004】
このため、近年、絶縁皮膜をレーザー照射により剥離する方法が提案されている。実開平3-63913 号には、図13に示すように、金属端子29にねじ状の部分を形成し、その谷部80に入るように絶縁電線10を巻付けた後、レーザー光を照射して表面側の絶縁皮膜を剥離する方法が開示されている。ところが、この方法では、絶縁電線の表面側しか、端子との電気的接続に寄与しないので、接続の信頼性が低い問題がある。
【0005】
本発明の目的は、耐熱性の高い絶縁電線を用いたときでも、より信頼性の高い電気接続が得られる接続構造を有する電子部品の製造方法、及び絶縁電線の皮膜剥離処理方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、絶縁電線を金属端子に巻付け、次に金属端子に巻付けた絶縁電線の絶縁皮膜をレーザー剥離し、次に絶縁皮膜を剥離した絶縁電線と金属端子とを半田付けする電子部品の製造方法において、横断面形状に凹部を有する金属端子の少なくとも一部が錫又はその合金であって、絶縁電線を、その長手方向の一部が金属端子から離れて裏側間隙を形成するように、かつ絶縁電線間に裏側間隙と連続する側方間隙が開くように巻付け、前記金属端子の絶縁電線が巻付けられた部分に炭酸ガスレーザーをレーザー出力40J/cm 2 以上で照射して絶縁電線の絶縁皮膜を剥離するとともに、前記絶縁被覆が剥離された導体上に錫又はその合金を蒸着することを特徴とする電子部品の製造方法である。
【0014】
請求項2記載の発明は、金属板上に架空状態に配した絶縁電線に炭酸ガスレーザーをレーザー出力40J/cm2以上で照射する絶縁電線の皮膜剥離処理方法であって、凹部を有する金属板の少なくとも一部が錫又はその合金で形成されていることにより、絶縁電線の絶縁皮膜を剥離するとともに、前記絶縁被覆が剥離された導体上に錫又はその合金を蒸着することを特徴とする絶縁電線の皮膜剥離処理方法である。
【0015】
請求項2記載の発明では、皮膜剥離処理後の絶縁電線は、金属板から離して別の所に半田付けして用いられる。この場合も、絶縁皮膜が剥離された導体上に錫又はその合金が蒸着し、請求項1記載の発明の場合と同様の効果が得られる。
【0016】
【発明の実施の態様】
電子部品の一例としてコイルを挙げることができる。ここで、コイルとは、空心でも磁心入りでもよく、形状はソレノイド形、トロイダル形、つぼ形、スパイラル形等任意のコイルである。具体的にはステッピングモーター、サーボモーター等家電や自動車に使用される小型モーター又はトランス等の全般である。又電子部品とは、前記トロイダルコイルを具備した高周波ノイズ対策部品、前記トランスを具備した高周波用スイッチング電源等である。
【0017】
この発明で、金属端子に巻付けた絶縁電線と金属端子との間及び絶縁電線間にそれぞれ間隙を空けるのは、絶縁電線の絶縁皮膜を表側のみならず、裏側(金属端子側)も剥離し、絶縁電線の露出した導体と金属端子との間で半田付けが良好になされるようにする為である。
絶縁電線と金属端子間の裏側間隙cの幅、及び絶縁電線間の側方間隙tの幅は、絶縁電線の直径d以上であることが望ましい。その理由は、端子表面から照射され、金属端子表面で反射して絶縁電線の裏面に到達するレーザー光の光量が大となり、絶縁電線の裏側及び側面の絶縁皮膜層の剥離を十分に行うことができ、半田付け後の半田内に絶縁皮膜のカスが残ったりするトラブルを防止できる為である。絶縁電線間の側方間隙tを1〜5mm(dの10〜50倍)にすることにより、裏側及び側面の絶縁皮膜をより完全に剥離できるが、レーザーの照射効率を考えると1〜2mmが好適である。
又絶縁電線と金属端子間の裏側間隙cは1mm以下であることが望ましい。その理由は裏側間隙が1mm以下であれば、半田が表面張力によって、端子−絶縁電線間に充填され易いからである。
【0018】
図1は、電子部品に設けた接続構造の態様を示す斜視図及び横断面図である。絶縁電線10が、断面台形の金属端子20の周囲に、絶縁電線間に側方間隙tを開けて楕円形状に巻付けられている。絶縁電線10は金属端子20の角部に接触し、表面との間に裏側間隙cが開いている。このように絶縁電線10を金属端子に巻付けるには、金属端子20の表面に細棒状のものを載置した状態で絶縁電線10を巻付け、この後介在させた細棒を抜けば良い。
【0019】
以下に、金属端子を図を参照して具体的に説明する。図2〜9は、金属端子の態様を示す。図2に示す金属端子21は横断面形状がコの字型のもので、この金属端子21に絶縁電線10を巻付けると、金属端子21の凹部31に裏側間隙cが形成される。絶縁電線間には側方間隙tが開いている。図3に示す金属端子22は横断面形状が半円筒状のもので、この金属端子22に絶縁電線10を巻付けると、金属端子22の凹部32に裏側間隙cが形成される。図4に示す金属端子23は横断面形状がT字型のもので、この金属端子23に絶縁電線10を巻付けると、金属端子23の凹部(切欠部)33により裏側間隙cが形成される。図5に示す金属端子24は横断面形状がつづら折れ状のもので、この金属端子24に絶縁電線10を巻付けると、金属端子24の上下面の凹部34に裏側間隙cが形成される。図6に示す金属端子25は、長方形状の孔が開けられた枠板25aとその裏に当てられた底板25bとからなる舟型のもので、両端部を除く横断面に凹部35が形成されている。この金属端子25に絶縁電線10を巻付けると、金属端子25の凹部35により裏側間隙cが形成される。この金属端子25は半田が凹部35に保持される為、半田付けが良好になされる。
【0020】
これら金属端子には、巻付けた絶縁電線間に所定の幅で側方間隙tが開くように、絶縁電線の巻付け位置を規定する溝を設けておくと良い。
図7に示す金属端子26は、側壁上端面に所定間隔を開けて溝40が形成されている。この溝40に入るように巻付けられた絶縁電線10間には側方間隙tが形成される。絶縁電線10と金属端子26との間には裏側間隙cが開いている。この溝は図1に示した断面台形の金属端子20の角部50に形成しても同様の効果がある。図中符号36は凹部である。
【0021】
図8に示す金属端子27は、図7に示した金属端子26の凹部36の底面に山谷が繰返し形成されたもので、山谷の斜面60は平面であり、側壁上端面の溝40は谷70の位置に設けられている。図9に示す金属端子28は、図8に示した金属端子27の山谷の斜面61を曲面にしたものである。
前記図8、9に示した金属端子は、レーザー光の反射面が広いこと、反射レーザー光が絶縁電線10の裏面及び側面に集中すること等により、絶縁皮膜が効率よく除去される。
【0022】
本発明において、絶縁電線の絶縁皮膜層を剥離するのに炭酸ガスレーザーを用いる理由は、▲1▼炭酸ガスレーザーは絶縁皮膜層の剥離性が良い。又▲2▼炭酸ガスレーザーは金属に対する反射率が高い為、裏側の絶縁皮膜層も反射したレーザー光で効率よく剥離できる。又▲3▼絶縁電線の導体を殆ど損傷させない。更に▲4▼炭酸ガスは安価でランニングコストが安いこと等の為である。炭酸ガスレーザーの照射方式はパルス発振式が剥離した絶縁皮膜層が飛散し易く望ましい。
レーザーの金属表面での反射率は波長が長い程高くなることが知られている。反射率は材料の表面状態により変化するので、個々に実験により求める。炭酸ガスレーザー(波長10.6μm)の銅に対する反射率は98%、エキシマレーザー(波長0.25μm)のそれは25%である。
【0023】
炭酸ガスレーザーは、通常、金属端子に対し垂直な方向から照射すれば良い。絶縁電線に当たらなかったレーザー光は金属端子面で乱反射し、絶縁電線の裏側の絶縁皮膜に当たる。金属端子面には、それがどんなに平坦でも、オングストローム規模の凹凸があり、レーザー光は必ず乱反射する。金属端子のレーザー光照射面は、レーザー光を焦光し易い凹面形状にしておくと絶縁皮膜層の剥離が効率よくなされる。炭酸ガスレーザー光の照射面積は金属端子の絶縁電線の巻付けられた部分全体を覆う広さに調節しておくと、絶縁皮膜層を迅速、均一に、効率よく剥離できて望ましい。
【0024】
本発明にて用いる金属端子には、レーザーの反射率が高く、半田付けが可能な金属材料で形成されていることが望ましい。特に、銅、銀、錫、カドミウム等の材料、又は前記材料が表面に被覆された複合材料が望ましい。
【0025】
上述した各金属端子に錫又はその合金からなるものを用いると、請求項1の電子部品の製造方法を実施できる。錫又はその合金で形成される部分は、金属端子の一部であっても良い。この場合、金属端子の表面を錫又はその合金で形成することが望ましいが、その上に他の金属やプラスチック等がコーティングしてあっても良い。
請求項1と請求項2記載の発明において、絶縁皮膜の剥離直後に、電線の導体表面に錫又はその合金を蒸着させるには、炭酸ガスレーザーのエネルギー出力を40J/cm2以上に上げ、反射率の90%以下の錫又はその合金を使用するのが望ましい。
又金属端子又は金属板に、反射率90%以下で融点の低い、錫やその合金を使用し、炭酸ガスレーザーのエネルギー出力を上げることにより、絶縁皮膜が剥離直後に、導体上に錫又はその合金を蒸着させることが可能となる。錫やその合金は前述した金属材料の中でも比較的炭酸ガスレーザーを吸収し易く蒸着し易い。
【0026】
請求項2記載の発明では金属板90として、図10に示すように凹部91を有し、凹部を有する金属端子(図2等)と同様の形状をしているものを用いることが、作業効率上望ましい。この金属板90の表面には錫又はその合金がコーティングされている。レーザー照射されて絶縁皮膜が剥離した絶縁電線10は、この金属板90にそのまま半田付けされるのではなく、金属板90から取外し、他の箇所に接合されるものである。
【0027】
本発明にて用いる絶縁電線としては、IEC Pub.172による耐熱指数が 200℃未満 130℃以上の耐熱性のやや低い樹脂塗料を焼付けた1層構造のもの、又は前記耐熱性のやや低い樹脂塗料(以下、中耐熱性樹脂塗料と称す。)の上にIECPub.172 による耐熱指数が 200℃以上の高耐熱性樹脂塗料を焼付けた2層構造のもの等を適用できる。前記2層構造の絶縁電線では、中耐熱性樹脂塗料で形成する層の厚さを全体の1/3 以下にすると、高耐熱性と半田付性を両立し易い(特願平3-205134参照)。前記高耐熱性樹脂塗料を導体に直接焼付けたものはレーザー光による絶縁皮膜の剥離を行うと薄い膜が残り易く、半田接合性が損なわれることがある。これに対し、前記2層構造のものは、IEC Pub.172におけるH種クラスの耐熱性を有し、且つ半田付け時に前記のような不都合も生じない。
【0028】
前記中耐熱性樹脂塗料には、ヒドロキシルエチルイソシアヌレート系の3価アルコールを含有しないポリエステルイミド系のものや、ポリウレタン系、ポリエステル系のものが使用でき、前記高耐熱性樹脂塗料には、ヒドロキシルエチルイソシアヌレート系の3価アルコールを含有するポリエステルイミド系、ポリヒダントインイミドエステル系、ポリヒダントイン系、ポリエステルアミドイミド系、ポリアミドイミド系、ポリイミド系、ポリパラバン酸系等のものが使用できる。
【0029】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。
(比較例5)
図1に示した、横断面形状が台形の金属端子20の表面に半田製の細棒を当て、これに絶縁電線(0.1mmφ)を巻付け、この後加熱して半田製細棒を溶かした。これにより金属端子20と絶縁電線10との間に裏側間隙cを形成した。次に絶縁電線10の巻付け部分に炭酸ガスレーザーからレーザー光を照射して絶縁皮膜層を剥離して導体を露出させ、次いで露出導体と金属端子を半田付けして電気接続を行った。絶縁電線間の側方間隙tの幅、炭酸ガスレーザーの照射角度、及びレーザー照射面積は表に示すように種々に変化させた。絶縁電線には、IEC Pub.172による耐熱性がH種の塗料を塗布したもの(前記2層構造のもの)、E種、B種、C種の塗料を塗布したものを用いた。絶縁電線の巻付回数は3回とした。
【0030】
塗料には表に示すようにポリエステル塗料、ポリウレタン塗料等種々の樹脂塗料を用いた。 ポリエステル塗料は、ジメチルテレフタレート、エチレングレコール、グリセリンを原料に用いて合成した。ポリイミド塗料も合成品を用いた。以下にその合成方法を示す。先ずN-メチルピロリドン535gとキシレン13g の溶剤中にジアミノジフェニルメエーテル0.35モル(70g) を投入し、窒素雰囲気中で2時間攪拌した後、ピロメリット酸二無水物0.35モル(76.3g) を添加する。その後40℃未満の温度に冷却しながら2時間攪拌し、更にN-メチルピロリドンを172g添加して、不揮発分濃度が16%のポリイミド塗料を得る。
その他の樹脂塗料は市販品を用いた。即ち、ポリウレタン塗料は東特塗料社製のもの(商品名F1)を用いた。ポリアミドイミド塗料は、ジフェニルメタンジイソシアネートとトリメリット酸無水物を原料に用いて合成した日立化成社製のもの(商品名HI-406)を用いた。エステルイミドは大日精化社製のもの(商品名Fs-304)を用いた。
【0031】
(比較例6)
図2〜6に示した、横断面形状に凹部を有する金属端子に絶縁電線を張力を掛けて巻付け、この絶縁電線の巻付け部分に炭酸ガスレーザーを照射して絶縁皮膜層を剥離した。次に露出導体と金属端子を半田付けして電気接続を行った。絶縁電線間の側方間隙tの幅は種々に変化させた。炭酸ガスレーザーは金属端子面に対し90度の角度から照射した。絶縁電線にはH種の塗料が塗布されたもの(前記2層構造のもの)を用いた。
【0032】
(比較例7)
図7に示した、絶縁電線をガイドする溝を有する金属端子に、絶縁電線を張力を掛けて巻付け、次に金属端子に巻付けた部分の絶縁電線に炭酸ガスレーザーを照射して絶縁皮膜層を剥離して導体を露出させ、次いで露出導体と金属端子とを半田付けして電気接続を行った。絶縁電線間の側方間隙tの幅は種々に変化させた。炭酸ガスレーザーの照射角度は金属端子面に対し90度にした。絶縁電線にはH種を用いた。
【0033】
(比較例8)
図8、9に示した金属端子に、絶縁電線を張力を掛けて巻付け、次に金属端子に巻付けた部分の絶縁電線に炭酸ガスレーザーを照射して絶縁皮膜層を剥離して導体を露出させ、次いで露出導体と金属端子とを半田付けして電気接続を行った。絶縁電線間の側方間隙tの幅は0.1 mmとした。炭酸ガスレーザーの照射角度は金属端子面に対し90度にした。絶縁電線にはH種を用いた。
【0034】
(実施例1)
図2に示した形状の金属端子に絶縁電線を張力を掛けて巻付け、次に金属端子に巻付けた部分の絶縁電線に炭酸ガスレーザーを照射して絶縁皮膜層を剥離して導体を露出させ、次いで露出導体と金属端子とを半田付けして電気接続を行った。絶縁電線の側方間隙を1mmの幅に固定した。炭酸ガスレーザーを出力をあげて金属端子面に対し90度の角度から照射した。絶縁電線にはH種の塗料が塗布されたもの(前記2層構造のもの)を用いた。金属端子には錫めっきしたものを用いた。
【0035】
(比較例1)
比較例5において、絶縁電線を金属端子に、絶縁電線と金属端子間に間隙を開けずに巻付けた他は、比較例5と同じ方法により電気接続を行った。
【0036】
(比較例2)
比較例6において、絶縁電線を金属端子に、絶縁電線間に間隙を開けずに密に巻付けた他は、比較例5と同じ方法により電気接続を行った。金属端子には図2イに示した金属端子を用いた。
【0037】
(比較例3)
比較例5において、絶縁皮膜層をエキシマレーザーを用いて剥離した他は、実施例1と同じ方法により電気接続を行った。
【0038】
(比較例4)
比較例5において、絶縁電線の絶縁皮膜にアミドイミド(H種)を用いた他は、比較例5と同じ方法により電気接続を行った。
【0039】
前記実施例及び比較例において、金属端子には表に示すように、銅、錫、銀、カドミウム等の種々材料のものを用いた。レーザー照射は下記条件により行った。
〔TEA型炭酸ガスレーザー〕
1.比較例1〜8の場合出力:14〜20J/cm2、周波数:10Hz、照射面積:金属端子の幅(1mm)×長さ(1〜12mm) 、照射ショット数:5ショット(0.5秒)。
2.実施例1の場合出力:50〜60J/cm2、周波数:10Hz、照射面積:金属端子の幅(1mm)×長さ(1〜12mm) 、照射ショット数:10ショット(1.0秒)。
〔エキシマレーザー〕
出力: 0.2J/cm2、周波数: 100Hz、照射面積:金属端子の幅(1mm)×長さ(3mm) 、照射ショット数: 200ショット(2.0秒)。
半田付けは、フラックスに JIS−Z3283のAA級を使用し、 360℃に加熱した半田浴(Pb/Sn=50/50)にコイルの金属端子部を1秒間浸漬して行った。
【0040】
前記実施例及び比較例において、絶縁皮膜層の剥離状態と半田付着状態を調査した。絶縁皮膜層の剥離状態はコイル端子より絶縁電線を取り出し、目視により判定した。半田付着状態は半田の濡れ状態と金属端子の横断面を観察し、絶縁電線の露出した導体部分への半田の濡れ状態を、A(良)〜D(悪)の4段階評価した。Aは半田の濡れ状態が極めて良好なもの、Bは濡れ不良部分が僅かながら存在するもの、Cは濡れ不良部分が散在するもの、Dは非濡れ部分が多数存在するものである。結果を表1及び表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
表1と表2から明らかなように、 (No.1〜31) は、いずれも絶縁皮膜が絶縁電線表側のみならず裏側も剥離され、半田付着状態は、実用上問題ないB以上の判定を得た。絶縁電線と金属端子間の裏側間隙c及び絶縁電線間の側方間隙tは広い程、絶縁皮膜もより完全に剥離され、半田も良好に付着した(No.1〜7)。レーザー照射角度の影響(No.1,8,9)は照射角度が大きい程絶縁皮膜は良好に剥離された。No.1,10,11を比較すると、レーザー照射長さが長い方が絶縁電線を剥離し易いことが分かる。絶縁皮膜の耐熱性の影響は、耐熱性の低いもの程剥離し易いことが分かる(No.12〜15) 。金属端子の材質の影響は明確には認められなかった(No.16〜18) 。金属端子の形状の影響も明確には認められなかった(No.19〜23) 。絶縁電線の巻付位置を規定する溝を設けた金属端子を用いたもの(No.24〜26) では、絶縁電線間の間隙が狭い場合でも間隙を正確に開けることができ、絶縁皮膜も完全に剥離され、巻付けも迅速に行えた。更に金属端子凹部底面を山谷状に形成したもの(No.27〜28) は、レーザー光の大量の反射光が絶縁電線に集中した為、絶縁皮膜がより効率よく除去された。
【0045】
No.29〜31はレーザー出力を 50J/cm2以上に高めたもので、絶縁皮膜が完全に除去された上、露出した導体表面に錫が均一に蒸着された。このものは、フラックスなしで、且つ低温で半田付けが良好になされた。
【0046】
比較例品のNo.32 は絶縁電線を金属端子に密着して巻付け、No.33 は絶縁電線を相互に密着させて巻付けた為、いずれも絶縁皮膜が広く残存し、半田付性が著しく低下した。No.34 は反射率の低いエキシマレーザーを用いた為、裏面側の絶縁皮膜の剥離が不十分であった。電子顕微鏡観察でも絶縁皮膜が極く薄く残留しているのが観察された。又照射時間も炭酸ガスレーザーの場合に較べて長時間を要した。No.35 は絶縁皮膜をH種のアミドイミドにより1層に形成した為絶縁皮膜が十分剥離されなかった。
【0047】
【発明の効果】
請求項1の方法では、錫が蒸着され半田付性に優れた露出導体部分を有する絶縁電線が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接続構造の態様を示す斜視図及び横断面図である。
【図2】本発明で用いる金属端子の態様を示す斜視図及び横断面図である。
【図3】本発明で用いる金属端子の態様を示す斜視図及び横断面図である。
【図4】本発明で用いる金属端子の態様を示す斜視図及び横断面図である。
【図5】本発明で用いる金属端子の態様を示す斜視図及び横断面図である。
【図6】本発明で用いる金属端子の態様を示す斜視図及び横断面図である。
【図7】本発明で用いる金属端子の態様を示す斜視図及び横断面図である。
【図8】本発明で用いる金属端子の態様を示す斜視図及び縦断面図である。
【図9】本発明で用いる金属端子の他の態様を示す縦断面図である。
【図10】本発明で用いる金属板の態様を示す斜視図である。
【図11】コイルにおける絶縁電線と金属端子の接続構造の斜視図である。
【図12】従来の接続構造の態様を示す斜視図及び断面図である。
【図13】従来の他の接続構造の態様を示す一部断面図である。
【符号の説明】
10…………絶縁電線
20〜29……金属端子
31〜36……金属端子の凹部
40…………金属端子のガイド溝
50…………断面台形の金属端子の角部
60,61 ……山谷の斜面
70…………山谷の谷部
80…………ねじ状部分の谷部
90…………金属板
91…………凹部
Claims (2)
- 絶縁電線を金属端子に巻付け、次に金属端子に巻付けた絶縁電線の絶縁皮膜をレーザー剥離し、次に絶縁皮膜を剥離した絶縁電線と金属端子とを半田付けする電子部品の製造方法において、横断面形状に凹部を有する金属端子の少なくとも一部が錫又はその合金であって、絶縁電線を、その長手方向の一部が金属端子から離れて裏側間隙を形成するように、かつ絶縁電線間に裏側間隙と連続する側方間隙が開くように巻付け、前記金属端子の絶縁電線が巻付けられた部分に炭酸ガスレーザーをレーザー出力40J/cm 2 以上で照射して絶縁電線の絶縁皮膜を剥離するとともに、前記絶縁被覆が剥離された導体上に錫又はその合金を蒸着することを特徴とする電子部品の製造方法。
- 金属板上に架空状態に配した絶縁電線に炭酸ガスレーザーをレーザー出力40J/cm2以上で照射する絶縁電線の皮膜剥離処理方法であって、凹部を有する金属板の少なくとも一部が錫又はその合金で形成されていることにより、絶縁電線の絶縁皮膜を剥離するとともに、前記絶縁被覆が剥離された導体上に錫又はその合金を蒸着することを特徴とする絶縁電線の皮膜剥離処理方法。
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