JP4391066B2 - 多層超電導導体の端末構造およびその作製方法 - Google Patents

多層超電導導体の端末構造およびその作製方法 Download PDF

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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層超電導導体の端末構造およびその作製方法に関する。特に、電力ケーブル等に適用可能な酸化物多層超電導導体の端末構造およびその作製方法に関する。その利用分野として、電力ケーブルの終端接続部および中間接続部における多層超電導導体の接続処理に利用される。
【0002】
【従来の技術】
電力を低損失で送電する超電導ケーブルは、ケーブル自体に可とう性を持たせるために、テープ状の超電導線(以下「テープ状超電導線材」という)を可とう性のある心材などに螺旋状に巻きつけて導体層を構成する。大電流を流す大電流用ケーブルの場合には、多層超電導導体の層数を増やして多層化することでケーブルの電流容量を増加させている。ここで、テープ状超電導線材として、例えば、臨界電流値が高く、長い線材を作製できるBi2223高温超電導テープ線材が広く使われている。
【0003】
実際の超電導ケーブル用導体は一般的に次のような方法により作製される。まず、多層超電導導体の1層目は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼製の可とう性のパイプ状の心材にテープ状超電導線を隙間なく螺旋状に巻き付ける。例えば、幅が3mmおよび厚さが0.2mmの酸化物超電導体のテープ状超電導線を隙間なく螺旋状に巻き付ける。1層目の巻き線が終了すると、その外側にテープ状超電導線を1層目と同様に隙間なく螺旋状に巻き付けて2層目を形成する。同様にして、隙間なく螺旋状に巻き付けて複数個の超電導層を形成し、多層多層超電導導体である超電導ケーブル用導体が作製される。
【0004】
この多層超電導導体に電流を流す場合、各超電導層の電流が均等に流れるようにし、更に多層超電導導体の端末領域部の発熱が小さくなるようにするために、導体の端末領域部に何らかの処理を施す必要があった。即ち、電流を供給する電流リードとの接続において、多層超電導導体の端末領域部が低抵抗となるように接続しなければならなかった。また、各超電導層の電極部の抵抗が各超電導層のインピーダンスに比べて小さくなるように、理想的には等しくなるように接続しなければならなかった。
【0005】
そのため、多層超電導導体の端末構造の第1の従来例として、多層超電導導体の端部から所定の長さLまでの部分(以下、「端末領域部」という)において、多層超電導導体の端部に近づくにしたがって、最外層から最内層へと順に段切りされ、階段状に各超電導層が露出した。更に、露出した各超電導層のテープ状超電導線材にはんだ付けを施し、全てのテープ状超電導線材が一体化されるようにはんだを盛り上げて被覆していた。
【0006】
即ち、各超電導層を露出するように端末領域部のテープ状超電導線材を切ると、テープ状超電導線材のくせや内部応力等により、テープ状超電導線材がそれぞれ曲がってしまい、各超電導層の切断部近傍のテープ状超電導線材がばらばらの状態(以下、「切断近傍線材状態」という)になる。したがって、この切断近傍線材状態をはんだにより固定して一体化するために、強度の弱いはんだによるはんだ付けの部分の割れ、はんだ付けによるテープ状超電導線材毎のはんだの厚さの違い等を生じさせないように、はんだを厚く盛り上げて被覆していた。
【0007】
また、多層超電導導体の端末構造の第2の従来例として、特開平10−126917号公報が挙げられる。図3は、多層超電導導体の端末構造の第2の従来例である特開平10−126917号公報の発明を示す平面図である。図3に示したように、テープ状超電導線材を層状に巻付けた超電導ケーブル導体5の端末領域部53において、各超電導層を部分的に除去し、それぞれの超電導層51a、51b、51cおよび51dにおける線材が選択的に露出されている構造を形成した。次いで、露出された各超電導層にそれぞれ端子部材52a、52b、52cおよび52dを接合した。端子部材52a、52b、52cおよび52dは、リング状の部分を有しており、この部分に導体を挿入し、はんだ付けにより固定していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
各超電導層のテープ状超電導線材を1本毎にはんだ付けして端末領域部を形成する第1の従来例の方法については、電気抵抗の高いはんだを厚く盛り上げるため、多層超電導導体の端末領域部の抵抗値が数+μΩと高いレベルに達してしまうという問題点があった。また、それぞれのテープ状超電導線材を接続したときのはんだの厚みが作業上均一にできないために、多層超電導導体の端末領域部の抵抗値が作業によってばらつき、均一な抵抗値にすることができないという問題点もあった。
【0009】
そのために、抵抗値の高い端末領域部において、多層超電導導体を流れる電流により大きな発熱が発生してしまうという問題点もあった。したがって、多層超電導導体を冷却する冷却システムの冷凍能力を大きくする必要があった。更に、冷凍機のコストアップまた大型化による設置面積の増大も必要であった。
【0010】
また、多層超電導導体の端末領域部の発熱により、その近傍の超電導線材がクエンチしてしまい大きな電流が流せなくなってしまうという問題点もあった。また、各超電導層の抵抗値が不均一なために、電流が接続抵抗の小さな超電導層に集中して流れてしまい、交流損失が増大するという問題点もあった。更に、電流が集中した超電導層の電流値が臨界電流値を越えてしまい、超電導線材がクエンチしてしまうという問題点もあった。
【0011】
また、上述した問題点を解決しようとした第2の従来例においては、抵抗値の小さな多層超電導導体の端末構造を提供することはできたが、多層超電導導体の端末領域部53の全長が長くなってしまっていた。また、各超電導層にそれぞれ端子部材を接合されることから、ケーブルの中間接続部の接続作業のような狭い隙間しかない作業環境におけるケーブル接続において、他の導体と接触してしまう危険性が大きく、第2の従来例のような端末構造の多層超電導導体を利用できないという問題点もあった。
【0012】
そこで、本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、多層超電導導体の最外層から最内層までの各超電導層がそれぞれ露出されて積層されている導体層と、導体層に巻き付けて各超電導層のテープ状の超電導線を固定する良導体の細線によって撚り合わされた網状テープと、導体層と網状テープとを接合する低融点金属とを備えている多層超電導導体の端末構造およびその作製方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した従来の問題点を解決すべく研究を重ねた。その結果、多層超電導導体の端末領域部において、多層超電導導体の最外層から最内層までの各超電導層がそれぞれ露出されて積層されている導体層に良導体の細線によって撚り合わされた網状テープを全ての前記超電導層に一括して巻き付けて各超電導層のテープ状の超電導線を固定し、各超電導層のテープ状の超電導線と網状テープの良導体の細線とを低融点金属によって接合することによって、端末領域部の接続抵抗を小さくできることが判明した。
【0014】
また、上述の多層超電導導体の端末領域部の外側に更に端子部材を備えた端末構造により、ケーブルの中間接続部の接続作業のような狭い隙間しかない作業環境におけるケーブル接続においても利用できることが判明した。
【0015】
上記研究結果に基づき、以下の発明を提供する。
本発明の、多層超電導導体の端末構造の1つの態様は、複数本のテープ状の超電導線を心材の周囲に螺旋状に巻き付けて形成された超電導層が、複数個積層された多層超電導導体の端末構造であって、多層超電導導体の最も外側の超電導層である最外層から、多層超電導導体の最も内側の超電導層である最内層までの超電導層が、それぞれ所定部分露出されて積層されて形成された導体層と、全ての前記超電導層に一括して巻き付けて、超電導層のテープ状の超電導線を固定する良導体の細線によって撚り合わされた網状テープと、導体層と網状テープとを接合する低融点金属とを備えていることを特徴とする多層超電導導体の端末構造である。
【0016】
本発明の、多層超電導導体の端末構造の別の態様は、上述した導体層が、多層超電導導体の端部に近づくにしたがって、最外層から最内層へと順に等間隔に段切りされ、超電導層が階段状に露出されていることを特徴とする多層超電導導体の端末構造である。
【0018】
本発明の、多層超電導導体の端末構造の別の態様は、上述した低融点金属が、全ての超電導層のテープ状の超電導線と、網状テープの良導体の細線とを一体化して接合することを特徴とする多層超電導導体の端末構造である。
【0019】
本発明の、多層超電導導体の端末構造の別の態様は、上述した導体層に巻き付けられた網状テープの外側に端子部材が、更に接合されていることを特徴とする多層超電導導体の端末構造である。
【0020】
本発明の、多層超電導導体の端末構造の別の態様は、上述した端子部材が、内部に空間が存在し両端が開口した環状部と、環状部の外側に接合された突起部とを備えていることを特徴とする多層超電導導体の端末構造である。
【0021】
本発明の、多層超電導導体の端末構造の別の態様は、上述した環状部の内部に挿入された多層超電導導体の網状テープと環状部とが、低融点金属によって接合されていることを特徴とする多層超電導導体の端末構造である。
【0022】
本発明の、多層超電導導体の端末構造の作製方法の1つの態様は、(a)多層超電導導体の最も外側の超電導層である最外層から、多層超電導導体の最も内側の超電導層である最内層までの超電導層の所定部分を、それぞれ露出させる工程と、(b)良導体の細線によって撚り合わされた網状テープを、所定部分が露出された超電導層に巻き付けて、超電導層のテープ状の超電導線を固定する工程と、(c)低融点金属を網状テープ表面上に載置し、熱処理によって低融点金属を溶融させて、超電導層のテープ状の超電導線と、網状テープの良導体の細線とを接合する工程とを備えている、複数本のテープ状の超電導線を心材の周囲に螺旋状に巻き付けた超電導層が複数個積層された多層超電導導体の端末構造の作製方法である。
【0023】
本発明の、多層超電導導体の端末構造の作製方法の別の態様は、上述した超電導線と良導体の細線とを接合する工程(c)が、網状テープの細線の間隙を介して、網状テープの表面から超電導層まで溶融した低融点金属を浸透させて、超電導層のテープ状の超電導線と網状テープの良導体の細線とを接合させることを特徴とする多層超電導導体の端末構造の作製方法である。
【0024】
本発明の、多層超電導導体の端末構造の作製方法の別の態様は、更に、(d)端子部材を、網状テープの外側に接合させる工程を備えている多層超電導導体の端末構造の作製方法である。
【0025】
本発明の、多層超電導導体の端末構造の作製方法の別の態様は、上述した端子部材を接合させる工程(d)は、端子部材が、内部に空間が存在し両端が開口した環状部を備えている場合に、超電導層のテープ状の超電導線と網状テープの良導体の細線とを接合させた多層超電導導体を環状部の内部に挿入し、多層超電導導体の網状テープと端子部材の環状部との間に溶融した低融点金属を注入して接合させることを特徴とする多層超電導導体の端末構造の作製方法である。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施態様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものによって置換した実施態様を採用することが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
【0027】
本発明の多層超電導導体の端末構造は、複数本のテープ状の超電導線を心材の周囲に螺旋状に巻き付けた超電導層が、複数個積層された多層超電導導体の端末構造であって、多層超電導導体の最も外側の超電導層である最外層から、多層超電導導体の最も内側の超電導層である最内層までの各超電導層が、それぞれ露出されて積層されている導体層と、導体層に巻き付けて、各超電導層のテープ状の超電導線を固定する良導体の細線によって撚り合わされた網状テープと、導体層と網状テープとを接合する低融点金属とを備えている。
【0028】
また、本発明の多層超電導導体の端末構造の作製方法は、(a)多層超電導導体の最も外側の超電導層である最外層から、多層超電導導体の最も内側の超電導層である最内層までの各超電導層を、それぞれ露出させる工程と、(b)良導体の細線によって撚り合わされた網状テープを、露出された各超電導層に巻き付けて、各超電導層のテープ状の超電導線を固定する工程と、(c)網状テープの表面から網状テープと各超電導層とを加熱する工程と、(d)低融点金属を溶融させて、超電導層のテープ状の超電導線と、網状テープの良導体の細線とを接合する工程とを備えている。
【0029】
図1は、本発明の多層超電導導体の端末構造の一例を示す斜視図である。ここでは、4層の超電導体層を有する多層超電導導体を例に挙げて説明する。
多層超電導導体10は、心材1の周りに複数本のテープ状超電導線材が螺旋状に巻きつけられた、4層の超電導層から構成される導体層を備えている。ここで、超電導層は、心材1に近い内側の層から第1層2a、第2層2b、第3層2cおよび第4層2dの4層である。また、最内層は第1層2aであり、最外層は第4層2dである。
【0030】
また、図1(a)に示すように、第1層2a、第2層2b、第3層2cおよび第4層2dは、それぞれテープ状超電導線材を複数本づつ螺旋状に巻き付けて形成されている。また、多層超電導導体10の端末領域部11においては、多層超電導導体10の端部に近づくにしたがって、各超電導層は、最外層である第4層2dから最内層である第1層2aへと等間隔で段切りされて、階段状に露出された構造である。即ち、多層超電導導体10の端末領域部11においては、第1層2a、第2層2b、第3層2cおよび第4層2dが、等間隔に露出されている。また、露出された各超電導層のテープ状超電導線材は、表面の酸化膜または絶縁膜が除去されている。除去方法として、例えば、(紙)やすりなどで削る、鋭利な刃物で削る、溶剤などで、絶縁膜を溶解除去する方法がある。
【0031】
図1(b)に示すように、多層超電導導体10の端末領域部11の導体層には、良導電性の金属細線によって編み上げられた網状テープ3が、1層〜数層で巻きつけられている。この網状テープ3により、超電導層の端部におけるテープ状超電導線材の切断近傍線材状態を防止する。図1(b)においては、第1層2aの端部までは、網状テープ3を巻きつけていないが、第1層2aの端部まで巻きつけられていても良い。
【0032】
次に、網状テープ3の表面より多層超電導導体10の端末領域部11を加熱して、低融点金属を溶融させて、網状テープの網目を介して低融点金属を浸透させて、第1層2a、第2層2b、第3層2c、第4層2および網状テープ3を接合させる。即ち、低融点金属を、網状テープ3の表面より、第1層2a、第2層2b、第3層2cおよび第4層2dまで浸透させることにより、第1層2a、第2層2b、第3層2cおよび第4層2dのテープ状超電導線材と網状テープ3の金属細線とを接合させて一体化させる。ここで、各超電導層のテープ状超電導線材と網状テープ3の金属細線とが接合されていれば良いことから、低融点金属が、網状テープ3の表面まで被覆した状態により各超電導層と網状テープ3とを接合しても、網状テープ3の層の途中までの状態により各超電導層と網状テープ3とを接合しても良い。
【0033】
この処理作業は、例えば、低融点金属を溶融させたるつぼの中に、多層超電導導体10の端末領域部11を浸すことにより、第1層2a、第2層2b、第3層2cおよび第4層2dまで低融点金属を浸透させ、第1層2a、第2層2b、第3層2cおよび第4層2dのテープ状超電導線材と網状テープ3の金属細線とを接合させて一体化させることも出来る。
【0034】
上述したように、良導電性の金属細線によって編み上げられた網状テープを、多層超電導導体の各超電導層を露出するように多層超電導導体の端末領域部11に巻き付けて、切断近傍線材状態を押さえる。更に、巻き付けた網状テープの表面より低融点金属を溶融して網状テープの網目の間に浸透させ、各超電導層のテープ状超電導線材と網状テープとを低融点金属により接合する。
したがって、電気抵抗の高いはんだ等の低融点金属の厚みが薄くなるために、多層超電導導体の端末領域部において、接続抵抗を小さくすることができる。また、コンパクトな多層超電導導体の端末領域部となる。更に、網状テープの良導電性の金属細線が、各超電導層への電流の通電路となることから、多層超電導導体の端末領域部の抵抗は均一となる。その結果、各超電導層の接続抵抗は均一となる。
【0035】
また、本発明の多層超電導導体の端末構造は、更に、導体層に巻き付けられた網状テープの外側に端子部材が接合されている。また、端子部材が、内部に空間が存在し両端が開口した環状部と、環状部の外側に接合された突起部とを備えている。また、本発明の多層超電導導体の端末構造の作製方法は、更に、(e)端子部材を、網状テープの外側に接合させる工程を備えている。
【0036】
図2は、本発明の別の多層超電導導体の端末構造の一例を示す斜視図である。図2(a)は、本発明に用いる端子部材の一例を示す斜視図であり、図2(b)は、端子部材を多層超電導導体の端末領域部に装着した多層超電導導体の端末構造を示す斜視図である。ここで、4層の超電導体層を有する多層超電導導体を例に挙げて説明する。
【0037】
図2(a)に示すように、端子部材4は、銅などの良導電性材料からなる円筒形をした環状部41と板状の突起部42とから構成される。また、突起部42には、ネジ止めのための孔42aおよび42bが形成されている。
図1に示したように、多層超電導導体10は、心材1の周りに複数本のテープ状超電導線材が螺旋状に巻きつけられた、第1層2a、第2層2b、第3層2cおよび第4層2dの4層の超電導層から構成される導体層を備えている。多層超電導導体10の端末領域部11においては、多層超電導導体10の端部に近づくにしたがって、各超電導層は、最外層である第4層2dから最内層である第1層2aへと等間隔で段切りされて、階段状に露出された構造になっている。
【0038】
多層超電導導体10の端末領域部11の導体層には、網状テープ3が1層〜数層で巻き付けられている。更に、網状テープ3の表面より多層超電導導体10の端末領域部11を加熱して、低融点金属を溶融させて、網状テープ3の網目の間に低融点金属を浸透させる。このことにより、第1層2a、第2層2b、第3層2cおよび第4層2dのテープ状超電導線材と網状テープ3の金属細線とを接合させて一体化させる。
【0039】
テープ状超電導線材と網状テープ3の金属細線とを一体化した多層超電導導体10の端末領域部11を、端子部材4の環状部41に差し込み、多層超電導導体10の端末領域部11と端子部材4の環状部41との間に低融点金属を流し込む。これにより、端子部材4を多層超電導導体10の端末領域部11に備えることができる。多層超電導導体10の端末領域部11の端子部材4は、例えば、電流を供給する電流リードを接続するための電極として利用することができる。
【0040】
更に、網状テープ3によりテープ状超電導線材を拘束することにより、多層超電導導体10の端末領域部11における電気抵抗の高いはんだ等の低融点金属の厚みを薄くすることができる。また、多層超電導導体10の端末領域部11と端子部材4の環状部41との隙間を小さくすることが出来る。したがって、抵抗の大きい低融点金属を薄くすることにより、抵抗の小さな多層超電導導体の端末構造を形成することができる。
【0041】
また、2本の多層超電導導体に装着されているそれぞれの端子部材4の突起部42の孔42aおよび42bをネジ止めすることにより、容易に2本の多層超電導導体を接続することができる。また、端子部材4に電流リードを接続して通電を行うことにより、各超電導層の通電電流波形を測定することもできる。
【0042】
【実施例】
(実施例)
図1(a)に示すように、多層超電導導体10を第1層2a、第2層2b、第3層2cおよび第4層2dは、それぞれテープ状超電導線材を20本づつ螺旋状に巻き付けて、形成した。多層超電導導体10の端末領域部11においては、多層超電導導体10の端部に近づくにしたがって、最外層2dから最内層2aへと5mm〜100mmの間隔で段切りした、階段状に各超電導層が露出された構造にした。
【0043】
図1(b)に示すように、超電導端末部11には、銅、銅合金、およびはんだの「のり性」を良くするためのメッキが施された良導電性の金属細線によって編み上げられた網状テープを、1層〜数層で巻きつけて、網状テープ部3を形成した。ここで、網状テープとしては、例えば、スリーエム社の遮蔽用銅テープ(直径0.12mmの細いすずメッキ軟銅線を袋打ちした遮蔽用銅テープ)等を利用している。
【0044】
上述した4層の超電導層からなる多層超電導導体10の端末領域部11の抵抗を測定した実験において、本発明による多層超電導導体の端末構造では、接続抵抗が0.1μΩとなり、従来の接続抵抗の1/10となった。また、各超電導層のそれぞれに電流を流して各超電導層の抵抗を測定した実験において、抵抗のバラツキが±20%の範囲となり、各超電導層において均一化した接続処理が出来た。
【0045】
また、この多層超電導導体を冷却のために液体窒素に浸して、3000Aまで電流を流した結果、多層超電導導体の端末領域部における発熱は小さく、多層超電導導体がクエンチすることなく電流は安定していた。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、以下の効果を奏する。
多層超電導導体の端部に近づくにしたがって、最外層から最内層へと順に段切りした、階段状に各超電導層が露出した多層超電導導体の端末領域部に、良導体の細線によって撚り合わされた網状テープを全ての前記超電導層に一括して巻き付け、更に各超電導層のテープ状の超電導線と網状テープの金属細線とを低融点金属により接合することにより、多層超電導導体の端末領域部の接続抵抗を小さくできる。更に、網状テープを巻き付けることにより低融点金属の厚さを薄くしたコンパクトな多層超電導導体の端末構造を形成することができる。また、容易な方法により多層超電導導体の端末構造を作製することができる。
【0047】
また、網状テープ3によりテープ状超電導線材を拘束した多層超電導導体の端末領域部に端子部材を備えることにより、多層超電導導体の端末領域部と端子部材の環状部との隙間を小さくすることが出来る。したがって、コンパクトな多層超電導導体の端末構造を形成することができ、ケーブルの中間接続部の接続作業のような狭い隙間しかない作業環境におけるケーブル接続に利用できる。
また、端子部材を備えた多層超電導導体の端末構造により、各超電導層の通電電流波形を測定するのに適しているだけでなく、2本の多層超電導導体を接続する場合にも多層超電導導体の交流損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層超電導導体の端末構造の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の別の多層超電導導体の端末構造の一例を示す斜視図である。
【図3】多層超電導導体の端末構造の第2の従来例を示す平面図である。
【符号の説明】
10 多層超電導導体
11 端末領域部
1 心材
2a、2b、2c、2d 超電導層
3 網状テープ部
4 端子部材
41 円筒部
42 突起部
42a、42b 孔
5 超電導ケーブル導体
51a、51b、51c、51d 超電導層
52a、52b、52c、52d 端子部材
53 端末領域部

Claims (10)

  1. 複数本のテープ状の超電導線を心材の周囲に螺旋状に巻き付けて形成された超電導層が、複数個積層された多層超電導導体の端末構造であって、
    前記多層超電導導体の最も外側の超電導層である最外層から、前記多層超電導導体の最も内側の超電導層である最内層までの前記超電導層が、それぞれ所定部分露出されて積層されて形成された導体層と、
    全ての前記超電導層に一括して巻きつけて、前記超電導層のテープ状の前記超電導線を固定する良導体の細線によって撚り合わされた網状テープと、
    前記導体層と前記網状テープとを接合する低融点金属と、
    を備えていることを特徴とする多層超電導導体の端末構造。
  2. 前記導体層が、前記多層超電導導体の端部に近づくにしたがって、前記最外層から前記最内層へと順に等間隔に段切りされ、前記超電導層が階段状に露出されていることを特徴とする、請求項1に記載の多層超電導導体の端末構造。
  3. 前記低融点金属が、全ての前記超電導層のテープ状の前記超電導線と、前記網状テープの前記良導体の細線とを一体化して接合することを特徴とする、請求項1または2に記載の多層超電導導体の端末構造。
  4. 前記導体層に巻き付けられた前記網状テープの外側に端子部材が、更に接合されていることを特徴とする、請求項1から項のいずれか1項に記載の多層超電導導体の端末構造。
  5. 前記端子部材が、内部に空間が存在し両端が開口した環状部と、前記環状部の外側に接合された突起部とを備えていることを特徴とする、請求項に記載の多層超電導導体の端末構造。
  6. 前記環状部の内部に挿入された前記多層超電導導体の前記網状テープと前記環状部とが、前記低融点金属によって接合されていることを特徴とする、請求項に記載の多層超電導導体の端末構造。
  7. 下記の工程を備えている、複数本のテープ状の超電導線を心材の周囲に螺旋状に巻き付けた超電導層が複数個積層された多層超電導導体の端末構造の作製方法。
    (a)前記多層超電導導体の最も外側の超電導層である最外層から、前記多層超電導導体の最も内側の超電導層である最内層までの前記超電導層の所定部分を、
    それぞれ露出させる工程と、
    (b)良導体の細線によって撚り合わされた網状テープを、所定部分が露出された前記超電導層に巻き付けて、前記超電導層のテープ状の前記超電導線を固定する工程と、
    (c)低融点金属を前記網状テープ表面上に載置し、熱処理によって前記低融点金属を溶融させて、前記超電導層のテープ状の前記超電導線と、前記網状テープの前記良導体の細線とを接合する工程。
  8. 前記超電導線と前記良導体の細線とを接合する工程(c)が、前記網状テープの前記細線の間隙を介して、前記網状テープの表面から前記超電導層まで溶融した前記低融点金属を浸透させて、前記超電導層のテープ状の前記超電導線と前記網状テープの前記良導体の細線とを接合させることを特徴とする請求項に記載の多層超電導導体の端末構造の作製方法。
  9. 更に、(d)端子部材を、前記網状テープの外側に接合させる工程を備えている請求項またはに記載の多層超電導導体の端末構造の作製方法。
  10. 前記端子部材を接合させる工程(d)は、前記端子部材が、内部に空間が存在し両端が開口した環状部を備えている場合に、前記超電導層のテープ状の前記超電導線と前記網状テープの前記良導体の細線とを接合させた前記多層超電導導体を前記環状部の内部に挿入し、前記多層超電導導体の前記網状テープと前記端子部材の前記環状部との間に溶融した前記低融点金属を注入して接合させることを特徴とする請求項に記載の多層超電導導体の端末構造の作製方法。
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