JP2002133954A - 超電導導体及び集合型超電導導体 - Google Patents

超電導導体及び集合型超電導導体

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JP2002133954A
JP2002133954A JP2000324911A JP2000324911A JP2002133954A JP 2002133954 A JP2002133954 A JP 2002133954A JP 2000324911 A JP2000324911 A JP 2000324911A JP 2000324911 A JP2000324911 A JP 2000324911A JP 2002133954 A JP2002133954 A JP 2002133954A
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bundle
superconducting conductor
resistance
plane
wires
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Fumio Sumiyoshi
文夫 住吉
Toshiyuki Mito
利行 三戸
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Furukawa Electric Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数本の素線からなる超電導導体において、
素線をツイストピッチ間隔で電気的に短絡させたり、ま
た複雑な断面構造の素線を用いる必要のない低損失性と
高安定性を兼ね供えた超電導導体を課題とする。 【解決手段】 超電導線細線で構成された素線を複数本
組合わせて構成した素線の平面束の間及びこの平面束と
隣接する他の平面束との間に規則的に電気電導に対する
低抵抗体又は高抵抗体とを挟み込んで一体的に構成され
た超電導導体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低損失性及び高安定
性の超電導導体に関し、特に変動横磁界により発生する
結合損失を低減し、輸送電流を導体内で一様に流すこと
ができ、しかも一部の素線に常電導転移の芽が生じた際
に輸送電流の転流を容易にして安定化した、超電導電力
貯蔵や核融合用超電導マグネット等に用いられる超電導
導体及び集合型超電導導体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に超電導導体に関しては、通電電流
の大容量化を図るために複数の超電導素線を撚り合わせ
た撚線型導体が広く用いられている。図1に従来から用
いられている超電導導体の断面図を示した。超電導導体
1は、例えばNbTi線を用いた細線(フィラメント)
2の多数からなる極細多芯線を合わせて素線3とし、こ
の素線3を合わせて導体4とし、さらにこれを撚り合わ
すなどして成形撚線1としたものである。
【0003】また図2には、別の従来例の超電導導体
(CICC)について示した。素線3を撚り合わすなど
した導体4はステンレス鋼製コンジット5中に配設され
ており、各導体4は絶縁材6−1で各層に分け、各層内
の各導体4の隙間には絶縁材6−2が充填されており、
さらに導体全体も絶縁材6−3に囲われるように配設さ
れている。
【0004】このような撚線形の超電導導体に変動横磁
界を印加すると、撚線を構成する超電導多芯線(「素
線」と同義語)同士間に変動横磁界を遮断する起電力が
生じるので、素線同士が絶縁されていない場合には結合
電流が流れて大きな素線間結合損失が発生する。
【0005】ここで、結合損失について図3に基づいて
説明する。多数の細線(フィラメント)2からなる素線
3について、各軸方向をxyzとし、素線の長手方向す
なわちz軸に垂直(x軸方向)な変動横磁界Heが印加
されているとする。Heを遮蔽する電流Isが最外層付近
の細線2間に母材(図では細線2でない部分)を介して
流れるが、このIsのことを結合電流という。
【0006】結合損失は細線2間を流れる結合電流Is
により細線2の周囲の母材に発生し、細線2のツイスト
ピッチ(図にLsで示した)の2乗に比例するととも
に、結合電流が流れる母材の抵抗率に反比例する性質を
有している。
【0007】素線間結合損失を抑えるには素線と素線と
の(素線同志間)抵抗を大きくすることや絶縁したりす
ることが有効なため、各素線の表面を酸化処理して酸化
膜を形成させて絶縁化する方法や素線と素線との間(素
線同志間)にステンレス鋼などの高抵抗金属材料のテー
プを挟む方法などが用いられている。
【0008】しかし、上記の方法により素線間結合損失
を抑えようとすると、何らかの原因で素線の一部の超電
導状態が壊れて常電導状態に転移したときに、素線に流
れていた輸送電流が転流しにくいので、発熱部分が一気
に拡大して導体全体が転移(クエンチ)にいたるという
不安定さが増すことになる。すなわち上記方法を採用す
ると安定性が損なわれることになるのである。
【0009】また、数段階にわたり繰返し撚線加工した
多重撚線を一部に配設した導体を用いて作製した大型導
体においては、試作した50センチや1メートル程度長
さの短尺試料の実測データから求めた予測値に較べ、よ
り大きな素線間結合損失値が観測されることでも問題と
なっている。
【0010】この予想値に較べてより大きな素線間結合
損失値が観測される原因には以下の3つの理由があげら
れている。 (1)導体内部の多重撚線の形状がくずれていること。 (2)多重撚線内のある特定の素線対に着目してみる
と、構造が複雑なため最終段のツイストピッチより十分
長い距離にわたって結合電流ループが存在すること。 (3)素線間の抵抗値が接触抵抗という極めて制御しに
くく、かつ不確実なパラメータで決められること。
【0011】素線間結合損失を増大させないで安定性を
確保する方法が提案されている。特開平7−14441
号公報には、「各超電導線間で発生する交流損失を低減
させるように、各超電導線に所定の間隔毎に互いを電気
的に短絡させる短絡部を形成したことにより、常電導に
転移した超電導線の電流を速やかに分流してクエンチを
防ぎ、超電導状態の安定性を向上できる成形撚線」に関
する技術が開示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平7−144
41号公報記載の技術では、表面が絶縁処理された複数
の超電導線を撚りあわせた成形撚線を、ツイストピッチ
間隔で電気的に短絡したものを用いるために、短絡加工
などの面倒な作製方法が必要である。また、本発明者ら
が上記特開平7−14441号公報記載の技術につい
て、3次元有限要素法(3D FEM)を適用して交流
損失を解析した結果、その低減効果が低いことが明らか
となった。
【0013】本発明者らは、ツイストピッチ間隔で電気
的に短絡する必要がなく、複雑な断面構造をもつ素線を
用いる必要もないという設計概念を提案するにいたっ
た。これらの設計概念について鋭意研究を重ねた結果、
素線を複数本組み合わせた素線の平面束の間に低抵抗体
又は高抵抗体を挟み込んで一体的に構成した超電導導体
を用いることで解決できることを知見した。
【0014】従って、この発明の目的は素線を複数本組
み合わせてツイストして構成した素線の平面束の間に規
則的に電気電導に対する低抵抗体と高抵抗体とを挟み込
んで一体的に構成させ、これを多数多元的に組み合わせ
て、低損失性と高安定性とを同時に達成できる超電導導
体を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は上記知見に基
づいてなされたものである。本発明の第1の態様は、超
電導線細線で構成された素線を複数本組合わせた素線の
平面束の間に電気電導に対する低抵抗体又は高抵抗体を
挟み込んで一体的に構成したことを特徴とする超電導導
体である。
【0016】この発明の第2の態様は、前記素線の平面
束を多層に構成し、1の平面束と隣接する平面束との間
に素線間の電気電導に対する低抵抗体又は高抵抗体を規
則的に配して一体的に構成したことを特徴とする超電導
導体である。
【0017】この発明の第3の態様は、前記ツイストさ
れた素線の平面束を多層に構成し、1の平面束と隣接す
る平面束との間に電気電導に対する低抵抗体と高抵抗体
を交互に規則的に配して一体的に構成したことを特徴と
する超電導導体である。
【0018】この発明の第4の態様は、前記素線が各々
電気電導に対する低抵抗体又は高抵抗体で周包されてい
ることを特徴とする超電導導体である。
【0019】この発明の第5の態様は、前記低抵抗体は
銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、及
び銀合金から選択される1種以上で形成されたものであ
ることを特徴とする超電導導体である。
【0020】この発明の第6の態様は、前記高抵抗体は
絶縁体、ステンレス鋼、銅合金、アルミニウム合金、銀
合金、ニッケル、ニッケル合金、及び空間から選択され
る1種以上で形成されたものであることを特徴とする超
電導導体である。
【0021】この発明の第7の態様は、前記多層の平面
束を構成する各平面束のツイストの方向が、交互に反対
方向であることを特徴とする超電導導体である。
【0022】この発明の第8の態様は、前記超電導導体
の前記素線の平面束の面方向を半径方向に向けてリング
状に配設したことを特徴とする集合型超電導導体であ
る。
【0023】この発明の第9の態様は、前記平面束と隣
接する平面束との間を楔状の電気電導に対する抵抗体を
組み込んでリング状に構成したことを特徴とする集合型
超電導導体である。
【0024】この発明の第10の態様は、前記楔状の電
気抵抗体は一部が低抵抗体であり、他の部分が高抵抗体
であることを特徴とする集合型超電導導体である。
【0025】この発明の第11の態様は、前記超電導導
体の前記素線の平面束の面方向を円周方向に向けて1以
上のリング状に配設したことを特徴とする集合型超電導
導体である。
【0026】この発明の第12の態様は、前記リング状
に構成された素線の1の平面束と他の平面束との間に電
気電導に対する低抵抗体と高抵抗体とを組み合わせて構
成した電気抵抗体を挿入してあることを特徴とする集合
型超電導導体である。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
を参照しながら詳細に説明する。図4aには互いに逆方
向に撚った上層の素線の平面束8及び下層の素線の平面
束9を板状の低抵抗材10を挟んで一体的に構成した超
電導導体11を示した。これら上層の素線の平面束8や
下層の素線の平面束9はラザフォードケーブルと呼ばれ
る場合がある。
【0028】上層の素線の平面束8の上側に並ぶ素線列
を上素線束列80、下側に並ぶ素線列を下素線束列82
と呼ぶことにすると、これら上下素線列の間に高抵抗材
7−1を挟んで素線の平面束を構成することで素線間結
合損失を抑えることができる。このことは下層の素線の
平面束9についても同様であり、上側に並ぶ素線列を上
素線束列90、下側に並ぶ素線列を下素線束列92と呼
ぶことにすると、これら上下素線列の間に高抵抗材7−
1を挟んで平面束を構成することで素線間結合損失を抑
えることができる。
【0029】高抵抗材7−1は絶縁体、ステンレス鋼、
銅合金、アルミニウム合金、銀合金、ニッケル、及びニ
ッケル合金あるいは空間から選択できる。絶縁体として
は樹脂、セラミックス等から選べば良い。またステンレ
ス鋼、銅合金、アルミニウム合金、銀合金、ニッケル、
及びニッケル合金等の金属、及び合金も市販の材料から
適宜選定すれば良い。空間とは空気の層をいうが気体、
液体状の他のガス雰囲気でも良い。
【0030】さらに、本発明では上層の素線の平面束8
と下層の素線の平面束9との間に銅、銅合金、アルミニ
ウム、アルミニウム合金、銀、及び銀合金から選択した
低抵抗材10を介在させて超電導導体11を形成する。
また、本発明ではツイスト方向Z(あるいはS)とした
上層の素線の平面束8と、素線のツイスト方向S(ある
いはZ)とした下層の素線の平面束9というように、ツ
イスト方向を交互とした素線の平面束を用いて上層の素
線の平面束8と下層の素線の平面束9との間に銅、銅合
金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、及び銀合金
から選択した低抵抗材10を介在させて超電導導体11
を形成する。
【0031】このように、素線の平面束の間に低抵抗材
を介在させたり、素線の平面束のツイスト方向を交互と
したり、あるいはこれを併用することで素線間の結合電
位差を低めて結合電流を小さくして素線間結合損失を抑
えることができる。
【0032】ここで、ツイスト方向について図4a及び
図4bを用いて説明する。図4bは簡略化のため1本の
実線及び点線で示したツイスト線の細線(フィラメン
ト)2、及びそれを撚り合わせた素線3を示している。
図4bの細線2は素線の軸(Z軸)に対し図のようにツ
イストしたものをZツイストとし、その反対方向にツイ
ストしたものをSツイストと称することとする。
【0033】ここでツイストピッチについて説明する
と、素線ツイストピッチとは図4bにおいて細線2で示
される螺旋の山から山、谷から谷の間隔でありLsで示
したものである。また素線の平面束のツイストピッチに
ついては、図4aの平面束8を形成する各素線が平面束
を1周回するまでの間隔でありLcとする。
【0034】本発明では、交互に反対のツイストとは図
4aの導体の軸方向に対しZツイスト(図では平面束8
がZツイストとなっている)もしくはSツイストと称す
るもので、交互に反対方向にツイストさせて各素線を螺
旋状に巻きつけたものである。
【0035】これら、逆方向にツイストさせた上層の素
線の平面束8と下層の素線の平面束9との間に銅、銅合
金、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金から
選択される低抵抗材10を介在させて超電導導体11を
形成する。低抵抗体10を介在させて上層の素線の平面
束8と下層の素線の平面束9同士を接触させることで転
移(クエンチ)を解消させ、安定性を増すことができ
る。
【0036】用いる素線3は、素線を構成するマトリッ
クスが銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、銀、銀合
金から選べば良く、しかも素線のツイストピッチも、例
えば10mm程度と短くてもよい。ツイストピッチが短
かければ素線内の結合損失を小さくすることができて有
利となる。なお、ここで言う素線とは、細線を撚り合わ
すか束ねるかして素線(1次素線)としたものだけでな
く、この素線(1次素線)をさらに撚り合わすか束ねる
かして導体とした素線(2次素線)、この素線(2次素
線)をさらに撚り合わすか束ねた素線(3次素線)とい
うなど広義の素線を意味することは無論である。
【0037】本発明では、隣り合う素線の平面束8及び
素線の平面束9はツイスト方向を交互に反対にして用い
る。すなわち一つの素線の平面束8のツイスト方向がZ
でありその素線自身のツイスト方向はSとしたもの、も
う一方の(隣の)素線の平面束9のツイスト方向がSで
あってその素線自身のツイスト方向はZとしたものが使
用できる。もちろん、素線平面束とその素線のツイスト
方向が同じであっても差し支えない。
【0038】本発明では素線の平面束内で発生する素線
間結合損失は上述の絶縁体や高抵抗材を用いて小さくで
きる。また、素線の平面束同士の素線間の電気的結合を
強くし素線間の輸送電流の転流をし易くすることで超電
導導体の素線間結合損失を低減できる。
【0039】以下にツイスト方向を変えることによる結
合損失低減のメカニズムについて説明する。図4aにお
いて、上層素線平面束8及び下層素線平面束9の幅広面
に垂直な変動横磁界が印加されると、それを遮断する起
電力が導体内に生じて素線間結合電流が駆動する。
【0040】ここで、上層素線平面束8の上側に並ぶ素
線列を上素線束列80、下側に並ぶ素線列を下素線束列
82とし、下層素線平面束9の上側に並ぶ素線列を上素
線束列90、下側に並ぶ素線列を下素線束列92とした
場合、上層素線平面束8の下素線束列82と下層素線平
面束9の上素線束列90との間には素線束間に結合電流
が生じる。
【0041】図5には上層素線平面束8の下素線列82
と下層素線平面束9の上素線列90を重ねた状態を模式
的に示した。結合電流に関して、電気的な挙動は各素線
中心に発生する遮断電位Vcと各素線内の最外層細線上
に発生する遮断電位Vs(素線中心に対する相対電位)
によって支配される。
【0042】ここでVcの大きさは素線平面束のツイス
トピッチLcに比例し、一方Vsの大きさは素線のツイス
トピッチLsに比例するものであり、Vc及びVsは各ツ
イストの方向が逆になるとその符号は反転する。
【0043】これから素線列内の最外層細線のうち、2
つの素線平面束が向かいあっている面に近い細線同士の
電位の差は下記で示される。ΔV=(−δ上cc−δ上
Ss)−(δ下cc+δ下ss)=−[(δ上c+δ
c)Vc+(δ上s+δ下s)Vs]。このΔVが結合電
流の大きさを支配する。ここでδは符号係数であり、上
層の素線平面束を添字上、下層の素線平面束を添字下、
素線平面束を添字C、素線を添字Sで区別している。
【0044】ここで、用いた記号の意味は以下のようで
ある。ΔVは電位差を示す。Vcは各素線中心に発生す
る遮断電位である。Vsは各素線内の最外層細線上に発
生する遮断電位である。δ上c、δ上s、δ下c、δ下s
正負を示す記号(Zツイストを+1としSツイストを−
1とする)であり、添え字で表した素線のツイストの方
向、素線平面束のツイスト方向で正負が決まる。
【0045】例として、δ上c、δ下c、δ上s、δ下s
それぞれ+1、−1、−1、+1の場合にはΔV=0と
なる。一般に素線ツイストピッチLsに較べ素線平面束
のツイストピッチLcの数値の方が大きい。すなわちLs
≪LcであるためVs≪Vcとなり、ΔVの値は素線のツ
イスト方向により影響をほとんど受けないでVcに支配
される。このVcは素線平面束のツイスト方向に支配さ
れるため、素線平面束のツイスト方向を交互に反対方向
とすることでより効果が発揮できる。
【0046】図6には素線の構造を変えた超電導導体の
例を示した。素線3は高抵抗金属からなる高抵抗材7−
2中に配設されている。図4aで示した上下の素線平面
束それぞれに挟まれて構成される高抵抗金属7−1は、
本例では素線平面束を構成する素線それぞれを周包する
高抵抗金属7−2で構成されている。また、上層素線平
面束及び下層素線平面束に挟まれて低抵抗材10が配設
されている。
【0047】図7には大容量化するために超電導導体で
構成された集合型超電導導体13の構造の一例を示し
た。集合型超電導導体13とは便宜上本発明の素線平面
束で構成される超電導導体11を多数多元的に組み合わ
せた導体を意味するが、狭義には超電導導体を示すこと
はもちろんである。
【0048】本例は図4aに示した超電導導体11を1
構成単位として円周方向に配列させたものである。素線
の平面束の面方向を半径方向に向けてリング状に配設さ
れている。中心部には強制冷却するために液体ヘリウム
等の冷媒流路12が設けられている。各超電導導体11
間には楔状の銅製の低抵抗材10が配置され、電気的に
接続されている。全体がコンジット5で保持されてい
る。
【0049】図8及び図9に大容量化するために多数の
素線平面束で構成された集合型超電導導体13の構造の
一例を示した。これは図4aに示した上層素線平面束8
及び下層素線平面束9を円周方向に交互に配設したもの
である。各素線平面束の上下素線列間に高抵抗材7−1
が挟まれている。各素線平面束間には楔形状の低抵抗材
10と楔形状の高抵抗材7−2が配設される。中心部に
は強制冷却するために液体ヘリウム等の冷媒流路12が
設けられている。全体がコンジット5で保持されてい
る。
【0050】図10には大容量化するために多数の素線
平面束で構成された集合型超電導導体13の構造の一例
を示した。これは図4aに示した上層素線平面束8及び
下層素線平面束9を交互に配設して集合させたものであ
る。各成形撚線の上下素線列間には高抵抗材7−1が挟
まれている。各素線平面束間には低抵抗材10と高抵抗
材7−2が配設される。中心部には強制冷却するために
液体ヘリウム等の冷媒流路12が設けられている。全体
がコンジット5で保持されている。
【0051】図11には大容量化するために多数の素線
平面束で構成された集合型超電導導体13の構造の一例
を示した。これは図4aに示した上層素線平面束8及び
下層素線平面束9を円周方向に交互にかつリング状に配
設したものである。各素線平面束の上下素線間には高抵
抗材7−1が挟まれている。中心部には強制冷却するた
めに液体ヘリウム等の冷媒流路12が設けられている。
全体がコンジット5で保持されている。
【0052】図12には大容量化するために多数の素線
平面束で構成された集合型超電導導体13の構造の一例
を示した。図4aに示した上層素線平面束8及び下層素
線平面束9を円周方向に配設して集合させたものであ
る。各素線平面束には低抵抗材10と高抵抗材7−2が
配設される。楔状部分には高抵抗材を配設しても良い。
素線平面束の上下素線間には高抵抗材7−1が挟まれて
いる。中心部には強制冷却するために液体ヘリウム等の
冷媒流路12が設けられている。全体はコンジット5で
保持されている。
【0053】図13には大容量化するために多数の素線
平面束で構成された集合型超電導導体13の構造の一例
を示した。図4aに示した上層素線平面束8及び下層素
線平面束9を円周方向に配設して集合させたものであ
る。素線3は図1で例示した構造の素線で構成されてい
る。素線平面束の上下素線間には高抵抗材7−1が挟ま
れている。各素線平面束には楔状の低抵抗材10とやは
り楔状の高抵抗材7−2が配設される。中心部には強制
冷却するために液体ヘリウム等の冷媒流路12が設けら
れている。成形撚線自体はコンジット5で保持されてい
る。
【0054】
【実施例】以下実施例によって本発明を詳細に説明す
る。図8に示した断面の集合型超電導導体は多数本の上
層素線平面束8及び下層素線平面束9を円周方向に配設
して芯材の周囲に巻きつけ集合させた導体である。一般
的な素線を用いており、素線のツイストピッチは10m
m程度と短く細線間結合損失が低い値に抑えられてい
る。
【0055】上層素線平面束8及び下層素線平面束9間
には楔状の低抵抗材10と楔状の高抵抗材7−2が配設
されている。低損失化のために各素線平面束にはシート
状の高抵抗材7−1を素線3同士間に挿入して素線間結
合損失を抑えている。
【0056】また隣り合う上層素線平面束8及び下層素
線平面束9間には、一部の素線3がクエンチしたときの
輸送電流の転流路を確保するため、スペーサーの一部に
銅製の低抵抗材10を設けて半田を用いて接合されてい
る。残りのスペーサー部の高抵抗材としてはステンレス
鋼を用いた。なお、中心部には強制冷却するために液体
ヘリウム等の冷媒流路12が設けられている。全体はコ
ンジット5で保持されている。
【0057】実施例のパラメーターを図14の表1に示
した。解析を行った導体のパラメータのうち素線平面束
(ラザフォードケーブル)本数は30本、総素線数は6
00本、素線径は0.8mm、スペーサ中の銅の横幅に
占める割合は20%である。この導体に変動横磁界を印
加して2次元有限要素法(2D FEM)解析を行っ
た。
【0058】本発明例は実線を用い比較例は各鎖線を用
いて合わせて図15に示した。ここで図の縦軸は繰り返
し三角波の一周期あたり、ストランド及び常電導部材の
単位体積あたりの結合損失値を磁界振幅の2乗で割った
規格化損失であり横軸は、立ち上げ・立ち下げ時間の逆
数である。
【0059】比較例はいずれもCICC(図2の従来例
で示したようなケーブル・イン・コンジット導体の略)
での実測値である。実線で示した本発明例は短尺での結
果であるが、比較例に較べ損失が1/20から1/3程
度になっていることが判る。
【0060】
【発明の効果】上述したように、この発明によると、素
線を複数本組み合わせてツイストして構成した素線の平
面束の間に低抵抗体と高抵抗体を介して集合させた超電
導導体及びそれを多数多次元に組合わせて用いた集合型
超電導導体は、変動横磁界により発生する結合損失を低
減でき、導体の一部に常電導状態の芽が発生した時の輸
送電流の転流も容易であり、低損失性と高安定性とを同
時に達成できるため産業上利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来の超電導導体の構成を示す断面図
である。
【図2】図2は、別な従来の超電導導体の構成を示す断
面図である。
【図3】図3は、変動横磁界中の多芯線を遮蔽する結合
電流の流路を示す図である
【図4】図4aは、本発明の実施例に係る素線平面束の
断面図である。図4bは、多芯線のツイストと磁界や電
流の方向を示す図である。
【図5】図5は、変動磁界中の導体の遮蔽起電力による
電位を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施例に係わる素線平面束の
断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例に係わる集合型超電導
導体の断面図である。
【図8】図8は、本発明の実施例に係わる集合型超電導
導体の断面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例に係わる集合型超電導
導体の断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例に係わる集合型超
電導導体の断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施例に係わる集合型超
電導導体の断面図である。
【図12】図12は、本発明の実施例に係わる集合型超
電導導体の断面図である。
【図13】図13は、本発明の実施例に係わる集合型超
電導導体の断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施例に係わるパラメー
ターの一覧表である。
【図15】図15は、本発明の実施例及び比較例の評価
結果を示す図である。
【符号の説明】
1 成形撚線 2 細線(フィラメント) 3 素線 4 導体 5 コンジット 6−1 絶縁材 6−2 絶縁材 6−3 絶縁材 7−1 高抵抗材 7−2 高抵抗材 8 素線平面束 80 上素線束列 82 下素線束列 9 素線平面束 90 上素線束列 92 下素線束列 10 低抵抗材 11 超電導導体 12 冷却流路 13 集合型超電導導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三戸 利行 岐阜県可児市桂ヶ丘1丁目62番地 Fターム(参考) 5G321 AA99 BA03 CA05 CA09 CA11 CA41 CA50 CB02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導細線で構成された素線を複数本組
    合わせた素線の平面束の間に電気電導に対する低抵抗体
    又は高抵抗体を挟み込んで一体的に構成されたことを特
    徴とする超電導導体。
  2. 【請求項2】 前記素線の平面束を多層に構成し、1の
    平面束と隣接する平面束との間に素線間の電気電導に対
    する低抵抗体又は高抵抗体を規則的に配して一体的に構
    成したことを特徴とする請求項1に記載の超電導導体。
  3. 【請求項3】 前記素線の平面束を多層に構成し、1の
    平面束と隣接する平面束との間に電気電導に対する低抵
    抗体と高抵抗体を交互に規則的に配して一体的に構成し
    たことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の
    超電導導体。
  4. 【請求項4】 前記素線が各々電気電導に対する低抵抗
    体又は高抵抗体で周包されていることを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の超電導導体。
  5. 【請求項5】 前記低抵抗体は銅、銅合金、アルミニウ
    ム、アルミニウム合金、銀、及び銀合金から選択される
    1種以上で形成されたものであることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれか1項に記載の超電導導体。
  6. 【請求項6】 前記高抵抗体は絶縁体、ステンレス鋼、
    銅合金、アルミニウム合金、銀合金、ニッケル、ニッケ
    ル合金、及び空間から選択される1種以上で形成された
    ものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の超電導導体。
  7. 【請求項7】 前記多層の平面束を構成する各平面束の
    ツイストの方向が、交互に反対方向であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか1項に記載の超電導導体。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載した
    前記超電導導体の前記素線の平面束の面方向を半径方向
    に向けてリング状に配設したことを特徴とする集合型超
    電導導体。
  9. 【請求項9】 前記平面束と隣接する平面束との間を楔
    状の電気電導に対する抵抗体を組み込んでリング状に配
    設したことを特徴とする請求項8に記載の集合型超電導
    導体。
  10. 【請求項10】 前記楔状の電気電導に対する抵抗体は
    一部が低抵抗体であり、他の部分が高抵抗体であること
    を特徴とする請求項8に記載の集合型超電導導体。
  11. 【請求項11】 請求項1〜7のいずれか1項に記載し
    た前記超電導導体の前記素線の平面束の面方向を円周方
    向に向けて1以上のリング状に配設したことを特徴とす
    る集合型超電導導体。
  12. 【請求項12】 前記リング状に配設された素線の1の
    平面束と他の平面束との間に電気電導に対する低抵抗体
    と高抵抗体とを組み合わせて構成した電気抵抗体を挿入
    してあることを特徴とする請求項11に記載の集合型超
    電導導体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011134921A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Hitachi Ltd 超電導磁石
JP2015207499A (ja) * 2014-04-22 2015-11-19 株式会社フジクラ 超電導ケーブル、及び超電導機器

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