JPH08153547A - ケーブルインコンジット導体 - Google Patents

ケーブルインコンジット導体

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JPH08153547A
JPH08153547A JP6316071A JP31607194A JPH08153547A JP H08153547 A JPH08153547 A JP H08153547A JP 6316071 A JP6316071 A JP 6316071A JP 31607194 A JP31607194 A JP 31607194A JP H08153547 A JPH08153547 A JP H08153547A
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JP
Japan
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inductance
cable
current
strand
wire
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JP6316071A
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Sakutaro Yamaguchi
作太郎 山口
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UNIE NET KK
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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Abstract

(57)【要約】 【目的】AC損を低減すると共に、素線の偏流を完全に
回避し、且つ容易に設計可能なケーブルインコンジット
導体の提供。 【構成】ケーブルインコンジット導体において導体を構
成する素線にそれぞれ電気絶縁を施し、各素線及び素線
間の自己インダクタンス、相互インダクタンスをコイル
製作後に測定し、互いに平衡するように各素線のインダ
クタンスを整合させる。また、電流リードを形成する複
数本のリード線を束ねることなく、ケーブルインコンジ
ット導体の複数本の素線にそれぞれ接続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超伝導コイルを形成す
るケーブルインコンジット導体に関する。
【0002】
【従来の技術】図1に、従来のケーブルインコンジット
導体(Cable-in-onduit able、CICC、「CI
C導体」ともいう)の断面の一例を示す。
【0003】図1を参照して、ケーブルインコンジット
導体は、ステンレスのコンジット(パイプ状のもの)の
中に超伝導の素線(Strand、ストランド)が数十本〜
数百本撚り線にして詰めてなるものである。
【0004】ケーブルインコンジット導体において、断
面内の素線面積を除いた割合を表わすボイド率は、通常
35〜37%程度とされている(例えば、高橋その他、「ケ
ーブルインコンジット導体の結合損失へのクロムメッキ
厚依存性」、第52回、1994年度秋季低温工学・超
電導学会予稿集、A3−6、第225頁参照、「文献
1」という)。
【0005】これらの素線の間に液体He(ヘリウム)
又は超臨界Heを流し、素線を冷却することにより、素
線には超伝導状態で電流が流れることになる。
【0006】コンジットは、導体に働く巨大な電磁力に
対抗して支持するという機能の他に、Heの流路を確保
する作用をなすものである。
【0007】図2に、この種のCIC導体の作製法の一
例を示す。
【0008】図2を参照して、素線の径は0.76φとさ
れ、これは銅とNbTiやNb3Sn等からなる超伝導フィ
ラメントが中心部に埋め込まれている。
【0009】図2の例では、この素線を3本づつ撚って
一本の撚り線とし、さらにその撚り線を3本に撚って、
一本の撚り線とし、さらにこの操作を2回繰り返し、最
終的に6本のケーブルを、寸法23.0×27.6mmのコンジッ
トの中に収容する。
【0010】結局、図2に示す例では、3×3×3×3
×6=486本の素線が用いられていることになる。
【0011】このように、多数の撚り線を用いることは
幾つかの理由がある。
【0012】一の理由は、AC損(AC loss)を
低減させるためである。交流回路もしくは時間的に変化
する磁場中にある導体には渦電流が導体表面に流れる
(この現象を表皮効果という)。
【0013】図2に示すように、素線の表面は銅から構
成されているため、素線表面では渦電流が流れ易く、銅
の抵抗によって発熱が生じ、超伝導コイルの安定性が損
なわれることになる。従って、渦電流損を低減するため
径の細い素線が用いられる。
【0014】ところで、表皮効果の特性的深さ(侵入深
さ)をδ、素線径をdとすれば、一つの設計基準は、次
式(1)で与えられる。
【0015】d < δ …(1)
【0016】このような細い径の素線は、NbTiなどを
フィラメント状に加工することと整合性が良い。
【0017】また、素線を何本も撚り合せて製作する理
由は、一つにはコイルを形成するための導体であるた
め、折曲げることが必要とされるからである。
【0018】その際、素線を撚ってないと、曲げ加工性
が悪い他、場合によっては、破断することもある。
【0019】コイル作製時、コイルは一般に一方向に曲
げられる。そして、コイルの内径側と外径側で長さが異
なることになる。
【0020】仮に素線が撚られていないものとすると、
外径側では素線は延び、内径側は縮むことになる。
【0021】このような非対称構造による超伝導導体の
特性の低下を防ぐために撚り線加工が行われる。
【0022】そして、このように製作されたCIC導体
を所定の形状に巻回することによってコイルを製作す
る。
【0023】この時、AC回路等に用いる際には、上述
の理由によって素線間は電気的に絶縁されていることが
望ましい。これは素線の表面が電気的に接続されている
ものとすると、複数の素線は、表面積が大きく、体積も
大きな一つの導体と見なすことができ、この結果、渦電
流損Wが増大するからである。渦電流損は特徴的な大き
さの2乗に比例する。
【0024】
【数1】
【0025】ここにWは渦電流損を表わし、dは特徴的
な素線径を表わしている。
【0026】実際には接触部は一つの素線でも数多くあ
ることから、渦電流は複雑な流れ方をする。
【0027】以上の理由によって、原子力研究所(以下
「原研」)の実証ポロイダルコイル(DPC)計画にお
いて、NbTi−30KA級コイル(DPC−U)をCIC
導体で作る際に、各々の素線はフォルマル絶縁を行なっ
ている。
【0028】すなわち、図2に示す素線の表面に絶縁材
のフォルマルを数μm塗布している(図3参照)。すな
わち図3に示すように、素線の表面に絶縁材を塗布する
ことによって、素線間の絶縁が完全に確保されている。
【0029】このような構造を取ることによって、AC
損(=渦電流損の他に、AC回路で用いる超伝導コイル
の損はヒステリシス損、近接効果損等があるが、一般に
は渦電流損が支配的である)の少ない安定した超伝導コ
イルが出来る予定であった。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、原研で
行なわれたDPCの実験は、実際には以下に説明するよ
うに、うまく行かなかった。
【0031】AC電流を通電する前に、パルス状の電流
波形で実験を行なった(図4参照)。コイルへの単独励
磁のため、コイルによって発生する磁場波形も図4と相
似となる。
【0032】したがって、0〜t1の間の磁場変化率dB
/dt(磁場の時間微分)が求まる。実験では0〜t1
での時間及びI0の値を外部電源によって制御し、磁場
変化率dB/dtを変え、超伝導コイルの安定性等のデー
タを取得した。
【0033】この結果、この超伝導コイルにおいては、
安定に運転できる磁場変化率dB/dtの値は当初設計値
の約1/1000となった。
【0034】本来は磁場変化率dB/dtについて世界記
録を達成することを予定したものが、結果的に、従来の
コイルよりもはるかに低い磁場変化率dB/dtの値でコ
イルがクエンチを生じたのである。
【0035】このため、原研及びメーカー、大学の研究
者の間でその原因について盛んに研究され、それは各々
の素線の電流が同じでなく大きな偏流があるためである
ことが発見された。その解析についての概要を以下に記
す。
【0036】簡単のため素線を2本とした場合の等価回
路を図5に示す。
【0037】図5を参照して、L1、r1は素線1の自己
インダクタンス及び抵抗、L2、r2は素線2の自己イン
ダクタンス及び抵抗、Mは相互インダクタンスを表わし
ている。
【0038】回路網方程式は、次式(3)、(4)で与
えられる。
【0039】V=r1・i1+jωL1・i1+jωM・i
2 …(3)
【0040】V=r2・i2+jωL2・i2+jωM・i
1 …(4)
【0041】ここに、ωは回路の振動周波数を、jはj
2=−1なる虚数をそれぞれ表わしている。
【0042】上式(3)、(4)を電流i1、i2につい
て解くと、次式(5)が導出される。
【0043】
【数2】
【0044】ここで、素線は超伝導状態にあることか
ら、上式(5)において、r1=r2=0とすると、2つ
の素線の電流比は、次式(5′)にて与えられる。
【0045】 i1/i2=(L2−M)/(L1−M) …(5′)
【0046】図2のCIC導体の製作方法の説明によっ
て容易に理解されるように、素線は互いに密に巻いてあ
るため、相互インダクタンスMは自己インダクタンスL
1、L2に極めて近い値を取る。
【0047】さらに、自己インダクタンスL1、L2も完
全に同じ値ではなく、互いに少しづつ異なることが一般
的である。
【0048】原研DPCでは測定の結果自己インダクタ
ンスのばらつきは約1%以内であり、相互インダクタン
スは自己インダクタンスの99%程度であることが判明し
た。これを上式(5′)に代入すると、次式(6)が導
出される。
【0049】 i1/i2=(101−99)/(100−99)=2/1 …(6)
【0050】このように、わずかのインダクタンスの差
が素線間の電流比を2倍にすることがわかる。
【0051】一方、素線には臨界電流ICがあり、一定
以上の電流が流れるとクエンチが生じる。
【0052】すなわち、上述した原研DPCの構成にお
いては、数本の(全部で486本の素線)素線の電流がIC
を超せばクエンチが生じることになる。
【0053】これが、コイル全体のクエンチを誘き、そ
の結果、当初予定の磁場変化率dB/dtの値の1/1000
程度しか安定に電流を流せなかったのである。
【0054】この現象についての解析は現在も盛んに研
究されており、その研究結果は例えば下記に示す各種文
献に記載されている。
【0055】(1)安藤その他、「交流・パルス用超電
導撚線導体の内部に接触点があるときの偏流の解析」、
第52回、1994年度秋季低温工学・超電導学会予稿
集、E1−22、第229頁(「文献2」という)。
【0056】(2)小泉その他、「30kA級NbTi
導体の偏流現象」、第52回、1994年度秋季低温工
学・超電導学会予稿集、A3−10、第229頁(「文
献3」という)。
【0057】(3)樋田その他、「交流用超電導撚線導
体における交流通電時のクエンチ特性について」、第5
2回、1994年度秋季低温工学・超電導学会予稿集、
A3−3、第222頁(「文献4」という)。
【0058】このうち、小泉その他(原研)は、前記文
献3において、クエンチ電流値の冷媒温度依存性より、
数本の素線には平均電流値の7.1倍もの電流が流れた可
能性を指摘している。そして、DPC−U導体では素線
の自己インダクタンスの乱れは0.12%、素線長で0.06%
と見積っている。
【0059】以上の解析結果より、最近製作されるCI
C導体においては、図3に示すように素線表面に対する
フォルマン絶縁は施されず、代って、クロムメッキが施
されるように至っている。
【0060】素線の表面をクロムメッキを行った場合、
素線間は完全には絶縁されないため、最初に説明したよ
うに、渦電流損が増大するが、しかし、銅表面のままよ
りは少ない。これは、クロムが銅に比べて電気伝導度が
低いことによる。
【0061】一方、素線の偏流により一部の素線電流が
臨界電流を超えるとクエンチが始まる。一般にクエンチ
はその素線のある部分から始まる。
【0062】するとクエンチが生じた部分では抵抗によ
る電圧が発生するため、クロムメッキの接触部から他の
素子に電流が転流(即ち分流)する。
【0063】図6に、2本の素線におけるクエンチによ
る分流の様子を示す。図6において、R1は臨界電流IC
を超えたために発生したクエンチによる抵抗を表わし、
Cはクロムメッキの接触抵抗を表わしている。
【0064】素線1を流れている電流I1は、クエンチ
部にて分流する。この大きさは抵抗R1とRCによって決
まるが、抵抗R1が大きくなると素線2に分流する割合
が大きくなる。
【0065】実際には多くの素線間でこの現象が生じ
る。このような分流が行なわれることによって、素線電
流が均一化され、コイルが安定に運転できるようにな
る。
【0066】しかし、このような構造を採用すればクロ
ムメッキの厚さや、クロムメッキの厚さに応じた転流等
を検討することが必要とされ、このため解析は複雑にな
り、実験が要求される。この研究は、例えば前記文献
1、前記文献4、及び下記の文献等に記載されている。
【0067】土岡その他、「ケーブル導体における素線
間偏流の解析」、第52回、1994年度秋季低温工学
・超電導学会予稿集、E1−24、第121頁(「文献
5」という)。
【0068】結局、この種の研究の要旨は、渦電流損を
低減するには完全に絶縁すれば良いが、素線の偏流が生
じることから、コイルの要求仕様に応じて、クロムメッ
キ等の調整を行うことがCIC導体の最も重要な設計法
である。
【0069】しかしながら、現状では、コイルの要求仕
様に応じて、クロムメッキ等の調整を行なうための完全
な設計法は確立されてない。
【0070】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであって、渦電流損等のAC損を低減すると共
に、素線の偏流を完全に回避し、且つ容易に設計可能な
CIC導体を提供することを目的とする。
【0071】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、ケーブルインコンジット導体を構成する
素線に電気絶縁を施し、各素線及び素線間の自己インダ
クタンス、相互インダクタンスをコイル製作後に測定
し、互いにバランスするように各素線のインダクターを
整合させてなるケーブルインコンジット導体を提供す
る。
【0072】また、本発明は、電流リードを形成する複
数本のリード線を束ねることなく、ケーブルインコンジ
ット導体の素線それぞれに電流リードを形成するリード
線それぞれを接続したことを特徴とする、ケーブルイン
コンジット導体を提供する。
【0073】本発明においては、前記各素線それぞれに
同じ値の抵抗をそれぞれ挿入することを特徴とする。
【0074】また、本発明においては、前記抵抗として
電流リード部にある抵抗を用いることを特徴とする。
【0075】さらに、本発明においては、複数の素線の
インダクタンス測定後に所定の長さで切断してなること
を特徴とする。
【0076】そして、本発明においては、前記電流リー
ドがN型、P型熱電材料から成る熱電冷却素子よりなる
ことを特徴とする。
【0077】
【作用】本発明によれば、CIC導体の素線は全て電気
絶縁を行い、渦電流損を減少させている。そして、本発
明は、CIC導体の素線の電気絶縁によって生じる素線
電流の不平衡、すなわち偏流は下記の2つの方法により
解消している。
【0078】A)各素線及び素線間の自己インダクタン
ス、相互インダクタンスをコイル製作後測定を行い、バ
ランスするように各素線にそれぞれ独立のインダクタン
ス成分を接合する。
【0079】B)各素線に抵抗成分を入れる。この抵抗
成分としては電流導入端にある抵抗を用いる。
【0080】
【実施例】図面を参照して、本発明の実施例を以下に説
明する。
【0081】CIC導体を用いてコイルを製作した後、
各々素線の自己インダクタンス、相互インダクタンスを
測定し、インダクタンスマトリックスを表として作成す
る。
【0082】すると、各々素線のわずかなインダクタン
スの相違から各々の素線の電流が大幅に異なってくる
が、前記原研DPC−Uでは素線長で0.06%程度と見積
られている。
【0083】通常コイルはダブルパンケーキ状で作られ
ることが多く、それを多数接続して一つのコイルを作
る。
【0084】大型の超伝導コイルと言われている大型ヘ
リカル装置(LHD)のポロイダルコイルのダブルパン
ケーキの導体の長さは〜170mである。したがって調整
されるべき最大長は、次式(7)のように、0.102m程
度とされる。
【0085】170×0.06%=0.102m …(7)
【0086】したがって、各ダブルパンケーキ毎に10cm
程度の素線の長さを接続部で調整する構造を取ることに
よって大きな偏流を押えることが出来る。
【0087】図7に本実施例の構成の一例を示す。
【0088】図7を参照して、CIC導体の素線一本一
本に長さを変えた素線を接続し、素線はまとめられて端
子(ターミナル)に取り付ける。
【0089】素線の表面の絶縁皮膜を取り、そこでイン
ダクタンスの測定を行い、測定結果に応じてそれぞれの
素線の最終長さを決定し、所定の長さに切断等をした後
に端子に取付ける方法を取っても良い。
【0090】超伝導コイルは低温中にあり、それの電源
は常温にある。
【0091】電気伝導の良い銅、アルミなどで接続され
るが、常温から低温への熱伝導及び電流による発熱は大
きな研究課題である。このため、「電流リード」と称呼
される装置が用いられる。
【0092】図8を参照して、常温中の電源は、電流リ
ードを介して低温中の超伝導コイルに接続される。電流
リードは、上面は常温で、下面は液体Heの温度とされ
る。
【0093】常温と低温の間の領域において、電流リー
ドは、蒸発したガスHeにより冷却され、冷却に伴う電
流リードの電気抵抗の低減によるジュール発熱の低減、
常温側からの熱を熱交換することによって外部に排出す
る等の作用をなしている。
【0094】冷却を良くするために、銅等のバルク材に
フィンをつけて表面積を増大させ、液体Heから出て来
るガスHe(GHe)で冷却を良くしている。即ち、体積
に対して表面積を大きく取っていることが一般的な特徴
である。
【0095】このため、ガス冷却型の電流リードの他の
構造として、図9に示すように、バルク材を用いる代り
に、多数本の銅の細線を利用するものがある(電気学
会、「超電導工学」、第5章、1988年5月刊)。
【0096】細線は最終的にはターミナルに束ねられ、
超伝導コイルに接続されている。
【0097】本発明においては、多数本の銅の細線を束
ねることなく、図10に示すように、それぞれCIC導
体の素線と接続される。図10を参照して、複数の銅の
細線はそれぞれが電気的に絶縁され、各細線は接続部に
て対応するCIC導体の素線にそれぞれ接続されてい
る。
【0098】すると、電流リードも含めた超伝導コイル
の等価回路は、図11に示すものとなる。
【0099】図5に示した前記等価回路においては、抵
抗が超伝導コイルのものであったため、冷却すると零に
なるが、本実施例では、コイルを冷却しても電流リード
部の電源側付近は常温からそれ以下の温度であるため、
抵抗は有限値として残る。
【0100】すると、簡単なため2本の素線の電流比
は、次式(8)にて与えられる。
【0101】
【数3】
【0102】次式(9)が成り立つとすると、電流比と
して次式(10)が導出される。
【0103】
【数4】
【0104】i1/i2=r2/r1 …(10)
【0105】電流リードの銅の細線の抵抗のバラツキは
幾何学的なバラツキ程度であるから、次式(11)が成り
立ち、したがって素線の電流比i1/i2の値はほとんど
1と等しくなる。
【0106】
【数5】
【0107】問題は上式(9)が成立するかどうかであ
るが、前記文献3によれば、インダクタンスのバラツキ
は0.12%であるため、次式(12)となる。
【0108】L−M 《 L …(12)
【0109】したがって、ほんのわずかの抵抗でも十分
に上式(9)が成立することが推測される。
【0110】また、安藤その他、「ケーブル・イン・コ
ンジット導体内の素線間電流分担に関する実験的検
討」、第50回、1993年度秋季低温工学・超電導学
会予稿集、E2−13、第218頁(「文献5」という)
によると、次式(13)の値のインダクタンスを入れれば
十分に電流がバランスすると見積もられているため、こ
れを60Hzの周波数でインピーダンスを計算すると式(1
3)の値を得る。
【0111】
【数6】
【0112】 |jω(L−M)|=3.78mΩ …(14)
【0113】したがって、抵抗が3.78mΩ程度であれば
(次式(15)参照)、十分に抵抗のみでバランスする。
【0114】
【数7】
【0115】一方、素線数は486本あるとすれば、電流
リードの全抵抗R0は、次式(16)から導出されるよう
に、8.23μΩとなる。
【0116】 R0=4mΩ/486=8.23μΩ …(16)
【0117】この値は通常のガス冷却電流リードと同じ
オーダーかそれ以下の値であり、超伝導コイルシステム
において問題にならない。
【0118】本実施例において、電流リード部に冷却し
ない部分をもうけると、その部分では冷却しないので、
ガスHeを消費しない。この部分は常温なので比較的抵
抗が大きく、より電流がバランスする。これはブスバー
の一部とも考えられる。
【0119】図8に示すように、電流リードは2個必要
であるが、上式(9)の条件が成立すれば、電流リード
の一方のみを本実施例に従い製作しても良い。
【0120】また、通常コイルは幾つかのパンケーキを
接続して大型のコイルが製作されるため、その時も素線
一本づつを接続するものとする。
【0121】銅の細線には、N、P型の熱電材料を用い
たペルチェ素子のように冷却機能を追加しても良い。こ
れにより、電流リードの冷却効果が高められる。これに
よって、液体ヘリウムの消費が減少する。
【0122】なお、超伝導コイルと超伝導コイルを駆動
する電源とを電気的に接続する電流リードが、電源の正
極に接続されたN型熱電材料と電源の負極に接続された
P型熱電材料とから成る熱電冷却素子を含む、熱電冷却
型電流リードの構成については、本願と同一の発明者に
よる平成6年11月21日付特許願に詳細に記載されて
いる。そして、本発明においては、電流リードとして、
N、P型の熱電材料を用いた熱電冷却型の電流リードが
高温超伝導体を介して超電導コイルに接続する構成とし
てもよいことは勿論である。
【0123】一方、熱電材料は一般には電気抵抗率が銅
などより高いので、これを幾つかに分割して電気絶縁
し、それをCIC導体素線にそれぞれ接続すれば、より
電流のバランスが良くなる。
【0124】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、C
IC導体において、渦電流損を低減すると共に、素線の
偏流を完全に回避し、且つ設計を容易化するという効果
を有する。
【0125】また、本発明によれば、各素線及び素線間
の自己インダクタンス、相互インダクタンスをコイル製
作後に測定し、互いに平衡するように各素線のインダク
タンスを整合させるという簡易な調整により、渦電流損
を低減すると共に、インダクタンスの整合により偏流が
回避されるという効果を有し、その実用的価値は極めて
高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のケーブルインコンジット導体の構成を説
明する断面図である。
【図2】素線からケーブルインコンジット導体を作製す
る工程を説明する図である。
【図3】素線の表面に電気的絶縁材を塗布した構成を示
す図である。
【図4】素線に通電される電流信号の波形の一例を示す
図である。
【図5】素線を2本とした場合の簡易モデルの等価回路
を示す図である。
【図6】2本の素線におけるクエンチによる分流の様子
を示す図である。
【図7】本発明の一実施例におけるダブルパンケーキ及
び電極までの構成を示す図である。
【図8】従来技術における、電源、電流リード、超伝導
コイルの構成の一例を示す図である。
【図9】銅細線から成る従来の電流リードの構成を示す
図である。
【図10】本発明の一実施例におけるケーブルインコン
ジット導体と電流リードの接続を示す図である。
【図11】本発明の一実施例における電流リードと超伝
導コイルの等価回路続を示す図である。
【符号の説明】
L、L1、L2 自己インダクタンス M 相互インダクタンス R1 クエンチによる抵抗 RC クロムメッキの接触抵抗 LHe 液体He(ヘリウム) GHe ガスHe(ヘリウム)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケーブルインコンジット導体を構成する素
    線にそれぞれ電気絶縁を施し、各素線及び素線間の自己
    インダクタンス、相互インダクタンスをコイル製作後に
    測定し、互いに平衡するように各素線のインダクタンス
    を整合させてなるケーブルインコンジット導体。
  2. 【請求項2】電流リードを形成する複数本のリード線を
    束ねることなく、ケーブルインコンジット導体の複数本
    の素線にそれぞれ接続したことを特徴とするケーブルイ
    ンコンジット導体。
  3. 【請求項3】前記各素線に抵抗を挿入することを特徴と
    する請求項2記載のケーブルインコンジット導体。
  4. 【請求項4】前記抵抗として電流導入端の抵抗を用いる
    ことを特徴とする請求項2記載のケーブルインコンジッ
    ト導体。
  5. 【請求項5】素線のインダクタンス測定後に前記素線を
    所定の長さで切断してインダクタンスを整合させること
    を特徴とする請求項2記載のケーブルインコンジット導
    体。
  6. 【請求項6】前記電流リードがN型、P型熱電材料から
    成る熱電冷却素子を含むことを特徴とする請求項2記載
    のケーブルインコンジット導体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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