JP3705309B2 - 超電導装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超電導装置に関し、特に、核融合装置等に適用して好適な超電導磁石等の超電導装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気抵抗がない超電導線を用いた並列超電導線路1でなる回路の一例を図21に示す。ここでL1,L2はそれぞれの超電導線路2の自己インダクタンスである。M12は超電導線路間の相互インダクタンスである。i1,i2はそれぞれ電流を示す。添字1,2は各々の超電導線路を表す。
【0003】
いま、電源3より一定電圧を印加して電流を変化させる場合を考える。この場合の回路方程式は次式(10)のようになる。
【0004】
L1di1/dt+M12di2/dt=V
L2di2/dt+M12di1/dt=V …(10)
【0005】
図22に示される回路の等価回路の回路方程式は次式(11)のように変形される。
【0006】
(L1−M12)di1/dt+M12(di1+di2)/dt=V
(L2−M12)di2/dt+M12(di1+di2)/dt=V…(11)
【0007】
図22において、電流変化率をdi/dtとするとき、並列部分の両端電圧(L1−M12)di1/dtと(L2−M12)di2/dtは同一になるため、電流変化率di/dtの比は、(L1−M12)と(L2−M12)の逆数の比になる。即ち、並列超電導線路1を構成する各超電導線路2の電流配分は(L1−M12)および(L2−M12)に支配される。
【0008】
例えば、並列超電導線路として、2本の超電導線で巻回された超電導コイルを考えたとき、超電導線の線長の違いや平均的な巻半径の違いにより、2本の超電導線についてインダクタンスの差が生じるために、均等には電流が流れない。2本の超電導線で巻回されたインダクタンス1H(ヘンリー)の超電導コイルにおいて、各超電導線の自己インダクタンスの差は0.001〜0.0001Hになると考えられるが、この程度のインダクタンスの乱れさえも電流分布のアンバランスの原因となる。
【0009】
また、超電導並列回路の一例である、大電流容量の超電導撚り線導体においては、並列超電導線路を構成する各々の超電導素線間の磁気的結合係数は1に近く、相互インダクタンスMの大きさは自己インダクタンスLとほぼ同じ大きさになるため、L−Mの値は極めて小さくなり、超電導素線のわずかな自己インダクタンスLのばらつきでさえも電流分布のアンバランスの原因となりえる。
【0010】
上記の理由により、現状、超電導撚り線導体においては、超電導素線の電気絶縁を施さず、電気的に接触させることで、電流が超電導素線間で自由に分布できる構成にして、電流のアンバランスが生じないようにしている。しかし、電気絶縁を施していない超電導素線で構成される超電導撚り線導体で製作された超電導磁石を励磁したとき、超電導撚り線導体に横方向磁界が印加され、超電導素線間を流れる結合電流が誘導されるために損失が発生する。この損失は結合損失とよばれ、液体ヘリウムの消費の増加などの問題を引き起こす。
【0011】
最近では、図23に示す様に、超電導撚り線導体の電流分布の均一化を図るための手段として、電気抵抗5を各超電導線路2に直列に付ける(「バランス抵抗」という)方法がある。この方法においては、並列部の両端電圧がほぼ各超電導線路2の電流と抵抗値の積と等しくなるような電気抵抗5を備えることにより、抵抗の大きさで電流分布のバランスをとることが可能である(参考文献 英文論文 S. Torii et. al. 「ANALYSIS OF DEGRADATION IN AC SUPERCONDUCTING CABLES」IEEE TRANSACTIONS ON APPLIED APPLIED SUPERCONDUCTIVITY, VOL.3, NO1, 1993)。
【0012】
また、1995年秋季低温工学・超電導学会においては、図24に示すように、超電導撚り線導体8について、超電導素線9間を周期的に電気的接触部6を介して短絡するアイデアが提案されている。短絡するピッチを、撚りピッチの整数倍にすることで、理想的には前述の超電導素線9間を循環する結合電流は発生しない(参考文献 1995年第54回秋季低温工学・超電導学会講演概要集 P192(横浜国立大学)、P196(東芝))。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記した電流分布均一化のための従来の方法においては、バランス抵抗部分においてジュール発熱が生じるため、液体ヘリウム中などの低温部分にこのようなバランス抵抗を配置することはできない。また、各超電導素線に電気抵抗をつける方法では、本発明と比較して、余分なジュール損失が発生することになる。
【0014】
さらに、電流変化率が大きい場合には、インダクタンスのばらつきによる電流のアンバランスを改善するための十分な大きさの抵抗値(インピーダンス)が得られず、電流分布均一効果は小さい。
【0015】
しかしながら、現状では、超電導素線に絶縁が施されている場合において、超電導並列回路を実現するためには、バランス抵抗が不可欠であると考えられている。
【0016】
また、超電導素線間を短絡する方法も、多重撚り超電導導体15にこれらの方法を適用したとき、製作が困難であり、且つ撚り乱れが発生した際に、異なった超電導素線束にある超電導素線同士により、電気的接触部を介して閉回路が形成され、超電導コイルが作る変動磁界が鎖交した際に、大きな循環電流が発生し、結合損失やクエンチが発生する可能性があるという問題があった。
【0017】
したがって本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、極力ジュール損失による液体ヘリウムの消費を少なくし、且つ容易に並列超電導線路の電流分布を均一化する超電導装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
前記目的は、本発明によれば下記記載の手段によって達成される。
【0019】
請求項1に記載の発明においては、多重撚りされた超電導導体の、各々の超電導素線束から1あるいは複数の超電導素線を選択し、別の多重撚り超電導導体の一つの超電導素線束に連結させることで、転置を行う。これにより、同一の超電導素線束内で、磁気的に強く結合していた超電導素線束同士の磁気的結合を弱めることにより、撚り乱れに起因する、電流分布のアンバランスを解消できる。
【0020】
請求項2に記載の発明においては、多重撚りされた超電導導体の、各々の超電導素線束から1あるいは複数の超電導素線を選択し、束ねて電気抵抗を取り付ける。かかる構成により、超電導素線間の電流分布のアンバランスを解消できる。
【0021】
請求項3に記載の発明においては、多重撚りされた超電導導体の、各々の超電導素線束から1本あるいは複数の超電導素線を選択し、束ねてインダクタンスを取り付けるものである。このため、電流分布のアンバランスを解消できる。
【0022】
請求項4に記載の発明においては、超電導撚り線導体の、一部において1本あるいは複数本ごとに、磁性体からなるパイプを備える。これにより、その区間の超電導素線の自己インダクタンスが大きくできるために、電流分布のアンバランスを解消できる。
【0023】
請求項5に記載の発明においては、超電導素線の一部に並列電気抵抗を有しており、これにより、偏流発生時にある超電導素線で臨界電流を越えた場合には自動的に電気抵抗が発生し電流分布のアンバランスを解消できる。
【0024】
請求項6に記載の発明においては、超電導素線に直列に臨界電流が既知の完全安定化超電導線を有しており、これにより、超電導素線に流れる電流が臨界電流以上になると電気抵抗が発生し電流分布のアンバランスを解消できる。
【0025】
請求項7に記載の発明においては、多重撚りされた超電導導体の、各々の超電導素線束から1本あるいは複数の超電導素線を選択し、請求項5あるいは6に記載の回路が取り付けられているために、超電導素線に流れる電流が臨界電流以上になると、電流分布のアンバランスを解消できる。
【0026】
請求項8に記載の発明においては、超電導素線の絶縁が低次の撚りにおいて一部除去されているために、低次の超電導素線束内の超電導素線の電流分布は均一になり、高次の撚りの超電導素線束間はオーバオールの電流分布が比較的均一であるために、全体的に電流分布のアンバランスを解消できる。同時に、ある超電導素線においてクエンチが発生した際も、容易に隣接超電導素線に転流可能なために、超電導撚り線導体の安定性が向上する。
【0027】
請求項9に記載の発明においては、超電導撚り線導体の、超電導素線の絶縁被覆を除去する作業を、撚り線工程において実施するために各超電導素線の絶縁を剥した箇所が確実に電気的に接触する。
【0028】
請求項10又は11に記載の発明においては、絶縁を一部除去した超電導撚り線導体を低融点金属浴をくぐるらせることにより、低融点金属で結合するものである。前記の方法により製作することで、容易に超電導素線間の結合が可能になる。
【0029】
請求項12に記載の発明においては、超電導素線同士あるいは超電導線と電気抵抗を低融点金属接続した後に、余分な低融点金属を熱風で吹き飛ばすことで接続部を仕上げている。前記の方法により製作することにより、余計な電気的な接触が生じない。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0031】
【実施例1】
本発明の一実施例について図1を参照して説明する。3×3撚りされた2重撚り超電導導体15aの、各々の超電導素線束10a,10b,10cから超電導素線9を1本ずつ選択し、別の2重撚り超電導導体15bの一つの超電導素線束10aに連結させることで、転置を行った例を示している。
【0032】
本実施例の動作原理を説明する前に、3×3超電導撚り線導体15の両端に正弦波電圧Ve-jωを印加した場合の回路方程式、式(1)について説明する。
【0033】
【数1】
Figure 0003705309
【0034】
ここで超電導素線9の自己インダクタンスLの添字は超電導素線9の番号、超電導素線9間の同士の相互インダンタンスM,mの添字は前が超電導素線9の番号、後ろの数字が磁気的結合の対象となる超電導素線9の番号を示す。番号1,2,3、4,5,6および7,8,9の超電導素線9が、それぞれ異なった超電導素線束10を構成している。
【0035】
3×3超電導撚り線導体15のインピーダンスマトリックスはインダクタンスマトリックスに−jωを乗じて得られる。このインピーダンスマトリックスにおいて一次撚り超電導素線束10を構成する超電導素線9同士は幾何学的距離が小さいために、磁気的結合が大きく、超電導素線9間の相互インダクタンスMは、ほとんど超電導素線9そのものの自己インダクタンスLと等しくなる。次に異なった超電導素線束10にある2本の超電導素線9間の相互インダクタンスmは幾何学的に距離が離れているために、同一超電導素線束10に属する超電導素線9間の相互インダクタンスMと比較して幾分小さい。大文字Mは磁気的結合が強いことを、小文字mは磁気的結合が弱いことをそれぞれ示す。
【0036】
以下に、具体的に撚り乱れの影響を計算した例を以下に示す。超電導素線の自己インダクタンスを1.392mH、同一超電導素線束内の超電導素線同士の相互インダクタンスを1.365mH、異なった超電導素線束にある超電導素線同士の相互インダクタンスを1.255mHとし、撚り乱れにより一本の超電導線の自己インダクタンスがわずかに小さい値1.380mHになったと仮定して計算した。本来は、撚り乱れが生じた時、相互インダクタンスも変化するが、本計算では簡略化のために、自己インダクタンスのみを変化させた。インダクタンスマトリックスは表1のようになる。
【0037】
【表1】
Figure 0003705309
【0038】
この様な超電導撚り線導体の両端に交流電圧印加した場合の電流分布は図25のようになる。
【0039】
小さい自己インダクタンスを与えた超電導素線束の中の超電導素線(番号1)に大きな電流が流れていることが分る。一方、3つの超電導素線束を比較した場合、電流のバランス(3本の超電導素線に流れる電流の和を比較する。)は保たれている。
【0040】
以上より、超電導素線9の撚り乱れがある場合に、1次撚りを構成する3本の超電導素線9においては、超電導素線9間の電流分布がアンバランスが発生しやすい。一方、超電導素線束10の電磁気的中心線は比較的離れているために、超電導素線束10間の電流分布は、アンバランスになりにくい。
【0041】
本実施例の、動作原理を説明する。
【0042】
2本の3×3撚り超電導導体15aおよび15bにおいて、図1に示すような転置を行う。式(2)に、このような3×3撚り超電導導体に正弦波電圧Ve-jωを印加した場合の回路方程式を示す。ωは角速度で、ω=周波数f×2πである。
【0043】
【数2】
Figure 0003705309
【0044】
上式(2)の第1項において磁気的に強く結合していた超電導素線9同士は、第2項のマトリックスにおいては磁気的結合が小さくなるために、撚り乱れによる電流分布のアンバランスが生じにくい。
【0045】
前述と同様に具体的な計算を行った例を示す。前述の様な撚り乱れを仮定した2本の3×3撚り超電導導体15を転置を行って接続した場合を示している。式2の第1項に相当するインダクタンスマトリックスは表1と同様の数値を、第2項に相当するインダクタンスマトリックスが表2の数値を代入して計算した。
【0046】
【表2】
Figure 0003705309
【0047】
交流電圧印加時の電流分布は図26のようになる。電流分布のアンバランスは図25と比較して緩和されていることが分かる。
【0048】
本実施例は、従来の電気抵抗を用いた電流分布の均一化法に比べ、ジュール発熱がないために、液体ヘリウムの消費が低減できる。
【0049】
【実施例2】
本発明の第2の実施例について、図2を参照して説明する。3×3撚り超電導導体15の、各々の超電導素線束10から1本の超電導素線9を選択し、束ねて電気抵抗5を取り付けている。この様な構成の3×3撚り超電導導体15に正弦波電圧Ve-jωを印加した場合の回路方程式を式(3)に示す。
【0050】
【数3】
Figure 0003705309
【0051】
上式(3)の第2項のマトリックスの効果により、同一超電導素線束10を構成する超電導素線9間の電流分布の均一化が実現できる。1本ずつ電気抵抗を接続する場合に比べて接続部7が少なくてすむために製作が容易になる。
【0052】
【実施例3】
本発明の第3の実施例について、図3を参照して説明する。電気抵抗5がパワーリード16部分に付けている様子を示している。12は超電導コイル、13は液体ヘリウム、14はクライオスタットである。前記の構成にすることにより、ジュール発熱がガスヘリウム中で発生するため、液体ヘリウム13の消費を低減できる。
【0053】
【実施例4】
本発明の第4の実施例について、図4を参照して説明する。3×3撚り超電導導体15の、各々の超電導素線束10から1本の超電導素線9を選択し、それらを束ねて巻回してコイル17を形成している。
【0054】
次式(4)は、3×3撚り超電導導体15に正弦波電圧Ve-jωを印加した場合の回路方程式を示す。
【0055】
【数4】
Figure 0003705309
【0056】
上式(4)の第2項のマトリックスにおいて1は超電導素線のコイル17における自己インダクタンス、mはコイル17における超電導素線間の相互インダクタンスである。式4において、別のコイルを構成する超電導素線同士は磁気的に結合しないと仮定し、相互インダクタンスを零としている。第2項のマトリックスの効果により、超電導素線束10を構成する各超電導素線9においても電流分布の均一化が実現できる。
【0057】
この方法では、超電導素線9の接続をしないためにジュール損失が低減できる。
【0058】
【実施例5】
本発明の第5の実施例について、図5を参照して説明する。3×3撚り超電導導体15の、各々の超電導素線束10から1本の超電導素線9を選択し、それらを束ねて巻回してコイル17を形成している。さらにコイル17が磁気回路4を備えている。この様な場合、上式(4)の第2項の値が大きくなり、電流均一化の効果が大きい。
【0059】
【実施例6】
本発明の第6の実施例について、図6を参照して説明する。3×3撚り超電導導体15の、各々の超電導素線束10から1本の超電導素線9を選択し、それらを束ねて磁性体パイプ18を取り付けている。磁性体パイプ18内にある超電導素線9は自己インダクタンスが大きくなり、且つ超電導素線9間の相互インダクタンスも大きくなるため、上記実施例4あるいは実施例5と同様の原理で、電流分布の均一化が実現できる。同時に、磁性体パイプ18に超電導素線束10を通すだけでよいので製作が容易である。
【0060】
【実施例7】
本発明の第7の実施例について、図7を参照して説明する。3×3撚り超電導導体15の、各々の超電導素線束10から1本の超電導素線9を選択し、それらを束ねたものの周りに、磁性体シート19を備えている。前記の構成にすることにより、超電導素線9の接続が終了した後でも、容易に磁性体シート19を施工できる。
【0061】
【実施例8】
本発明の第8の実施例について、図8を参照して説明する。3×3撚り超電導導体15の、各々の超電導素線束10から1本の超電導素線9を選択し、それらを束ねて巻回してコイル17を形成している。ここで、コイル17はお互いに磁気的に結合しにくい方向になっている。コイル17間の距離を離して配置したり、磁気シールドを取り付けても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0062】
【実施例9】
本発明の第9の実施例について、図9を参照して説明する。超電導撚り線導体8の、一部において超電導素線9の1本ごとに、磁性体パイプ18を備えたことで、超電導素線9の自己インダクタンスが大きくなる。この様な、磁性体パイプ18を備えた3×3撚り超電導導体15に正弦波電圧Ve−jω を印加した場合の回路方程式を式5に示す。磁性体パイプ18を備えた効果により、この区間の超電導素線9の自己インダクタンスが第2項のマトリックス中の1だけ大きくなっていることを示している。第2項の効果により電流分布の均一化が実現できる。
【0063】
【数5】
Figure 0003705309
【0064】
【実施例10】
本発明の第10の実施例について、図10を参照して説明する。本実施例においては、上記実施例9の磁性体パイプ18の代わりに、磁性体シート19を用いている。前記の構成にすることにより、上記実施例9と同様の効果が得られると同時に、製作が容易になる。
【0065】
【実施例11】
本発明の第11の実施例について、図11を参照して説明する。本実施例においては、上記実施例9の磁性体パイプ18の代わりに、長手方向に開口部を有する管状磁性体20を適用した例を示している。超電導素線9を通す手間が省けるために、容易に製作可能となる。磁性体栓21を設ければさらに超電導素線9の自己インダクタンスが大きくなる。
【0066】
また、上記実施例6において磁性体パイプ18の代わりに、上記長手方向に開口部を有する管状磁性体20を適用しても、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0067】
【実施例12】
本発明の第12の実施例について、図12を参照して説明する。図において、22は、臨界電流が超電導素線9の臨界電流よりも小さい臨界電流が既知の超電導線である。超電導素線9に流れる電流が、臨界電流既知超電導線22の臨界電流を越えた場合、臨界電流既知超電導線22において常電導が発生する。この時、並列に電気抵抗5に電流が分流するために、クエンチによる常電導領域の拡大には至らず、ある大きさの電気抵抗が発生する。これにより、電流のアンバランス発生時には自動的に常電導抵抗が発生し、電流分布がバランスする。
【0068】
上記の構成にすることにより、従来技術として示したすべての超電導素線9に電気抵抗5を接続する方法と比較して、余分なジュール発熱が生じること無く、電流分布のアンバランスを抑制できる。
【0069】
【実施例13】
本発明の第13の実施例について、図13を参照して説明する。図において、22は、臨界電流が既知の超電導線である。クエンチにより常電導領域が広がらないように、ヒートシンク24がついている。実施例12と同様に電流分布の均一化効果がある。同時にヒートシンク24が備えられているために、超電導撚り線導体8にクエンチが広がることがない。
【0070】
【実施例14】
本発明の第14の実施例について、図14を参照して説明する。図において、23は、臨界電流既知の完全安定化超電導線である。上記実施例13と同様の原理で電流分布の均一化効果がある。また、完全安定化超電導線23においては、クエンチが起こらないために超電導装置の設計が容易である。
【0071】
【実施例15】
本発明の第15の実施例について、図15を参照して説明する。3×3超電導撚り線導体15において、超電導素線束10から、1本ずつ選択した3本の超電導素線9を束ねたものに直列に、臨界電流既知完全安定化超電導線23が取り付けられている例を示している。1本の完全安定化超電導線23に接続された3本の超電導素線9の電流値の和が完全安定化超電導線23の臨界電流を越えると電気抵抗が発生するため、上記実施例2と同様に、電流分布の均一化が実現できる。
【0072】
【実施例16】
本発明の第16の実施例について、図16を参照して説明する。上記実施例1において、上式(1)を用いて説明したように、超電導素線束10間のオーバオールの電流分布は超電導素線9同士の電流分布に比べて均一になりやすい。同様に超電導多重撚り線の場合は、低次の撚りの超電導素線束内ほど超電導素線間の電流のアンバランスが発生しやすい。
【0073】
本実施例では、3×3撚り超電導導体15において、低次の撚りである1次撚り超電導素線束29のみ、ある区間で電気的な絶縁被覆31を除去した箇所25において電気的に接触している例を示している。
【0074】
前記の構成にすることにより、電流分布は均一になり、かつ、ある超電導素線において常電導が発生した時も、電流の転流が容易である。また、低次の撚りにおいてのみ超電導素線9間の接続を行うため、多重撚り超電導導体においても、確実、かつ容易に超電導素線9同士の電気的接触が可能になる。
【0075】
また、表面に高電気抵抗被覆、たとえばクロムメッキを施した超電導素線で構成される多重撚り超電導導体においても、低融点金属を用いて低次の撚りを構成する超電導素線間を低電気抵抗で接触させることで、同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0076】
【実施例17】
本発明の第17の実施例について、図17を参照して説明する。撚り線装置32を用いて撚り線作業時にサンドブラスト26によって、絶縁被覆31を取り除く例を示している。この様な製造方法により、超電導素線9間の接触を容易に、かつ正確に実現できる。
【0077】
【実施例18】
本発明の第18の実施例について、図18を参照して説明する。超電導撚り線導体8を低融点金属浴28にくぐらせている。この時、低融点金属27の融点は、絶縁被覆31の耐熱温度以下にしてある。前記製造方法により、容易に超電導素線9間の接続を製作できる。さらに、確実に電気的に結合するため、単に超電導素線9間を接触させた場合に比べ導体設計が容易になる。また、低融点金属27で接続することにより超電導素線9の動きが小さくなるために、クエンチが生じにくくなる。
【0078】
【実施例19】
本発明の第19の実施例について、図19を参照して説明する。例えば上記実施例1に記した、超電導撚り線導体15同士を接続する場合を示してある。図中、風は熱風、27は低融点金属である。超電導素線9同士を接続した後で熱風でとばすことにより、余分な接続箇所が生じないために、設計通りに電流の均一化ができる。
【0079】
むろん、超電導素線9に電気抵抗5を接続する場合にも有効であることは言うまでもない。
【0080】
【実施例20】
本発明の第20の実施例について、図20を参照して説明する。図20は、本発明を超電導ケーブル30に適用した例を示している。超電導ケーブル30は、超電導コイルの場合と比較して、巻線されていないために自己磁場だけを考えればよいために、電流分布均一化のための設計が容易である。また、空間的な自由度が大きいために、接続部分に別途クライオスタット14を設けることは容易である。尚、請求項2以降の手段を適用した場合も、所定の効果が得られることは言うまでもない。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、並列超電導線路、特に多重撚り超電導導体の電流分布を均一化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る超電導装置を示す概観図である。
【図2】本発明の実施例2に係る超電導装置を示す概観図である。
【図3】本発明の実施例3に係る超電導装置を示す概観図である。
【図4】本発明の実施例4に係る超電導装置を示す概観図である。
【図5】本発明の実施例5に係る超電導装置を示す概観図である。
【図6】本発明の実施例6に係る超電導装置を示す概観図である。
【図7】本発明の実施例7に係る超電導装置を示す概観図である。
【図8】本発明の実施例8に係る超電導装置を示す概観図である。
【図9】本発明の実施例9に係る超電導装置を示す概観図である。
【図10】本発明の実施例10に係る超電導装置を示す概観図である。
【図11】本発明の実施例11に係る超電導装置を示す概観図である。
【図12】本発明の実施例12に係る超電導装置を示す概観図である。
【図13】本発明の実施例13に係る超電導装置を示す概観図である。
【図14】本発明の実施例14に係る超電導装置を示す概観図である。
【図15】本発明の実施例15に係る超電導装置を示す概観図である。
【図16】本発明の実施例16に係る超電導装置を示す概観図である。
【図17】本発明の実施例17に係る超電導装置を示す概観図である。
【図18】本発明の実施例18に係る超電導装置を示す概観図である。
【図19】本発明の実施例19に係る超電導装置を示す概観図である。
【図20】本発明の実施例20に係る超電導装置を示す概観図である。
【図21】超電導並列回路図である。
【図22】超電導並列回路の等価回路を示す回路図である。
【図23】本発明の従来例を示す回路図である。
【図24】本発明の従来例を示す概観図である。
【図25】撚り乱れのある3×3撚り超電導導体の電流分布の計算結果の一例である。
【図26】本発明の実施例1の3×3撚り超電導導体の電流分布の計算結果の一例である。
【符号の説明】
1 並列超電導線路
2 超電導線路
3 電源
4 磁気回路
5 電気抵抗
6 電気的接触部
7 接続部
8 超電導撚り線導体
9 超電導素線
10 超電導素線束
11 並列電気抵抗
12 超電導コイル
13 液体ヘリウム
14 クライオスタット
15 3×3撚り超電導導体
16 パワーリード
17 超電導素線を束ねて巻回したコイル
18 磁性体パイプ
19 磁性体シート
20 長手方向に開口部を有する管状磁性体
21 磁性体栓
22 臨界電流が既知の超電導線
23 臨界電流が既知の完全安定化超電導線
24 ヒートシンク
25 絶縁被覆を除去した箇所
26 サンドブラスト
27 低融点金属
28 低融点金属浴
29 1次撚り超電導素線束
30 超電導ケーブル
31 絶縁被覆
32 撚線装置
風 熱風
i 電流
B 磁界
φ 磁束
* 超電導線路の自己インダクタンス
** 超電導線路間の相互インダクタンス
p1 1次撚りの撚りピッチ
p2 2次撚りの撚りピッチ

Claims (5)

  1. n×n(ただし、nは2以上の整数)撚りされた2重撚り超電導導体のn個の超電導素線束の各々から1番目の絶縁被覆された超電導素線をn本取り出し、n×n撚りされた別の2重撚り超電導導体の第1の超電導素線束に連結させ、前記n個の超電導素線束の各々からの絶縁被覆されたi(iは、2以上n以下)番目の超電導素線をn本取り出し、前記別の2重撚り超電導導体の第iの超電導素線束に連結させて、転置してなる、ことを特徴とする超電導装置。
  2. 前記超電導導体の各々の超電導素線束から1又は複数本の絶縁被覆された超電導素線を選択して束ねてなるものに抵抗素子が直列に接続されていることを特徴とする請求項1記載の超電導装置。
  3. 前記超電導導体の、各々の超電導素線束から1又は複数本の絶縁被覆された超電導素線を選択して束ねてなるものにインダクタンス素子が直列に接続されていることを特徴とする請求項1記載の超電導装置。
  4. 前記2重撚り超電導導体の、一部において1又は複数本の絶縁被覆された超電導素線ごとに、管状の磁性体を備え、該管状磁性体を備えた範囲において該1本又は複数本の超電導素線の自己インダクタンスが大とされていることを特徴とする請求項1記載の超電導装置。
  5. 前記2重撚り超電導導体の、各々の超電導素線束から1又は複数本の絶縁被覆された超電導素線を選択し、束ねたものに、臨界電流が既知の超電導線が直列に備えられていることを特徴とする請求項1記載の超電導装置。
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