JP3628589B2 - 超電導ケーブル - Google Patents

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は芯材の外周に超電導層を有する超電導ケーブルに関するものである。特に、芯材の構成を工夫することで交流損失の低減と過電流時の温度上昇抑制とを図ることができる超電導ケーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】
超電導ケーブルでは、交流損失の低減と大容量化を同時に達成することが実用化のために必要とされる。
【0003】
このうち、交流損失の低減については次の問題がある。超電導導体構造として、芯材上に超電導のテープ状線材を同一ピッチで螺旋巻きして多層に構成したものが知られている。このような導体構造では内周の超電導層ほど電流密度が小さく、外周の超電導層ほど電流密度が大きいという偏流の問題がある。偏流に伴って交流損失が増大すると考えられ、偏流の抑制が求められている。
【0004】
多層導体の偏流抑制と損失低減に関する基本技術としては、特公昭29−6685号公報記載の発明が知られている。これは、各層の螺旋巻きピッチを調整して各層のインピーダンス調整を行う技術である。
【0005】
一方、芯材は、テープ状の超電導素線を支持するために必要で、かつ冷媒の循環流路としての機能も果たす必要があると考えられていた。そのため、従来の芯材の形状は全てパイプ状の直管またはコルゲート管であり、材質は絶縁体または金属であった。
【0006】
さらに、大容量化については、導体構造の断面積中に占める超電導線材の占有率(一般に20%程度)を大きくすることが考えられる。特に、超電導ケーブルの外径を大きくすることなく、この占有率を増やすには、芯材径を小さくすれば良い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来技術には次のような問題があった。
超電導層の各層の巻きピッチを調整して各層のインピーダンス調整を行う技術では、導体軸方向の磁場成分がキャンセルされずに残り、この磁場によって芯材に導体と同レベルの交流損失が発生する。
【0008】
また、金属性の芯材では、臨界電流を超える電流が流れた際に芯材が電流を分担し、ケーブルの温度上昇を抑制する。しかし、パイプ状の芯材で軸方向磁場が存在している場合には円周に沿って流れる渦電流損失が生じ、芯材の交流損失も問題となる。
【0009】
さらに、絶縁体の芯材では、渦電流損失は発生しないが、臨界電流を超える電流が流れた際に芯材が電流を分担せず、ケーブルの温度が上昇する。
【0010】
そして、超電導導体の占有率を増やすことについては、機械特性上難しい。すなわち、テープ状の超電導線材は幅3mm,厚さ0.2mm程度のサイズであり、曲げ歪に対して特性が低下しやすい。そのため、芯材径を小さくすると、超電導線材を螺旋巻きしたときに曲げ歪が大きくなり、占有率の増大が必ずしも容量の増大につながらない。
【0011】
従って、本発明の主目的は、芯材に生じる渦電流損失を抑制して、交流損失の低減と過電流時の温度上昇抑制とを図ることができる超電導ケーブルを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、芯材をパイプ状ではなく冷媒流路を持たない撚り線構造とすることで上記の目的を達成する。
【0013】
すなわち、本発明超電導ケーブルは、芯材と、その外周に設けられる超電導層と、さらに超電導層の外周に形成される電気絶縁層とを有する。ここで、超電導層は、複数本の超電導線材を螺旋状に巻回した構造である。そして、前記芯材は、絶縁被覆された常電導材料からなる金属線を複数本撚り合わせた構造であることを特徴とする。
【0014】
超電導層の各層の巻きピッチが異なるピッチ調整型導体では導体軸方向の磁界が発生する。金属パイプを芯材として用いると、この軸方向磁場によって大きな渦電流損失が発生する。
【0015】
この渦電流損失を抑制するには、材料の抵抗を上げることが損失低減に有効であり、金属でない方が良いとも考えられる。しかし、超電導ケーブルに過電流が流れたときのケーブル温度上昇を抑制するためには、芯材が過電流を分担するようにする必要があり、そのためには、芯材の抵抗はなるべく低くする必要がある。その観点から、芯材を構成する材料は金属であるべきである。
【0016】
そこで構造面からみると、芯材材料として金属を前提にしたとき、芯材の断面を分割して、渦電流のパスを小さくすることが有効である。具体的には、素線絶縁の施された素線を撚り合わせて、芯材を構成すれば良い。
【0017】
このような撚り線構造の芯材、つまり超電導層の内側に冷媒流路を持たない芯材を超電導ケーブルの芯材に用いるという提案はこれまでになかったが、今回、交流損失の低減と過電流での温度上昇抑制という2つの問題を同時に解決するために、上記のような構造の超電導ケーブルを新たに開発した。
【0018】
このようなケーブルにおいて、電気絶縁層の外周に磁気遮蔽層を具えることが望ましい。この磁気遮蔽層は、金属被覆された酸化物超電導材料からなる複数本のテープ状線材を螺旋状に巻き付けて構成されたものが挙げられる。
【0019】
また、芯材表面を平滑化することも好ましい。この平滑化により、ケーブルの曲げなどによる機械的な劣化を抑制することができる。単なる撚り線導体は、表面平滑性が悪く、この上に直接超電導線材を集合すると、ケーブル導体を曲げたときに超電導線材の座屈が多発することが判った。この問題の対策として、芯材表面を平滑化すれば導体曲げによる超電導線材の座屈を抑制できる。平滑化の程度は、金属線の撚り溝による凹凸を緩和できる程度とすれば良い。
【0020】
芯材表面の凹凸を平滑化する手段としては、芯線表面自体を円筒面状に成形する方法と、芯材表面に平滑化する層を別途設けることが挙げられる。
前者としては、断面が円形状の金属線を撚り合わせた後、この撚り線をダイスに通して芯線表面を円筒面状に圧縮成形したり、円形状の金属線を撚り合わせた後、この撚り線表面を研磨して芯線表面を円筒面状に形成することが挙げられる。
また、後者の具体例としては、次の手段が挙げられる。
▲1▼撚り合わされた金属線の外周にテープ材を巻きつけたり、押出し被覆を形成する。その場合、絶縁性のテープ材、押出し被覆材を用いることが好ましい。テープ材、押出し被覆材自体の渦電流損失を回避することができるからである。また、テープ材を金属にすると、テープエッジで超電導線が座屈する恐れがあるためである。
【0021】
▲2▼芯材における金属線のうち、最外層に使用されている線材の径を内層側の線材の径よりも細径とする。特に、最外層の線材とその直下の線材の撚り方向を逆にする、もしくは両線材の撚りピッチを大きく変えることで、最外層の線材が直下の線材の撚り溝に落ち込まず、芯材表面の平滑化を効果的に実現できる。
【0022】
▲3▼芯材における最外層の金属線の直径dが、芯材の外接円の直径をD、超電導層の最内層に配置する超電導線の本数をnとしたとき、以下の式を満たす。
πD/(2・n)≧d
芯材表面の凹凸と超電導線材の座屈との関係を調べた結果、上記の式を満たすことでケーブルの曲げに伴う超電導線材の座屈をほぼ解消することができる。
【0023】
芯材は、絶縁被覆された金属線を同心撚りした構造であることが望ましい。先述した超電導線材の座屈は、芯材表面の凹凸に起因して発生する。金属線を撚りあわせた構造の芯材では多かれ少なかれ必ず表面に凹凸が見られる。撚り合わせ構造のうち、最も凹凸を抑制できるのは同心撚り構造である。
【0024】
そして、芯材を構成する線材の撚りピッチを調整し、芯材中の金属線各層のインピーダンスが±30%以内になるように構成することが望ましい。芯材中の線材のインピーダンスを調整すれば、過電流が芯材に流れたときに、芯材中での偏流が抑制されるために、過電流通電時の発熱(温度上昇)が抑制できる。この撚りピッチの調整手法は、特願2000−5106号、同5107号に詳しく記載されている。
【0025】
なお、超電導層および磁気遮蔽層の層数は1層でも多層でも構わない。これら各層で用いられる超電導材料としては、イットリウム系、ビスマス系、タリウム系など、液体窒素を冷媒とする高温酸化物超電導材料が好適である。また、超電導層および磁気遮蔽層の超電導線材には断面が円形状の丸線でも良いが、テープ状のものが望ましい。さらに、これら超電導線材に設けられる金属被覆には、一般に銀または銀合金が利用される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、比較例と共に本発明の実施の形態を説明する。ここでは、比較例としてパイプ状の芯材を用いた導体構造について交流損失の試算を行い、続いて後述する実施例についても同様に交流損失の試算を行って比較する。先に交流損失を求める手順について説明する。
【0027】
交流損失を求める手順は、超電導ケーブルを等価回路にモデル化し、インダクタンスの導出・実効抵抗の導出を行い、モデルに対応した回路方程式を作成し、電流分布の算出を行う。そして、電流分布から磁場分布を求め、交流損失を演算する。
【0028】
(モデル化)
3相ケーブルのうちの1相分に着目して、芯材、超電導層(コア)および磁気遮蔽層(シールド)と端末を含む超電導ケーブルを図1のような等価回路とみなした。すなわち、芯材ならびに超電導層を誘導リアクタンスと抵抗とが直列に配置された集中定数回路とみなしている。超電導層には外部電源よりIallが供給され、各超電導層間には絶縁が施されているとした。
【0029】
また、磁気遮蔽層は超電導素線が端部にて接続抵抗rで接続され、図1のようなループを形成するものとした。図中のi、i…は各層に流れる電流、Lco、Lc1…は各層の軸方向磁場によるインダクタンス、r、r…は各層の軸方向磁場によるインダクタンス、r、r…は各層の実効抵抗、rは端末のインダクタンスならびに抵抗、V、Vはそれぞれ超電導層側、磁気遮蔽層側の電圧である。添え字の0は芯材を表し、超電導層または磁気遮蔽層は内層より1、2、3…のように表記した。このモデルでは、超電導層4層、磁気遮蔽層2層として検討している。
【0030】
(インダクタンス導出)
各超電導層(超電導層および磁気遮蔽層)のインダクタンスについては、層間の相互インダクタンスも考慮して、周方向成分を数式1と定義し、軸方向成分を数式2と定義した。
【0031】
【数1】
Figure 0003628589
【0032】
【数2】
Figure 0003628589
【0033】
(抵抗成分導出)
各層の抵抗成分は、超電導層を構成する素線のACロス理論値Wnorris(ノリスの式)から導くこととした。このとき、素線一本あたりの実効抵抗rwireは、素線に流れる電流Iwireを用いて数式3のように定義する。
【0034】
【数3】
Figure 0003628589
【0035】
ここで、素線の損失Wnorrisは、z=Iwire/Icとすればz<1(臨界電流値未満)のとき、ノリスの式より数式4のようになる。
【0036】
【数4】
Figure 0003628589
【0037】
そして、z>1のとき、フラックススロー損失は数式5のようになる。
【0038】
【数5】
Figure 0003628589
【0039】
ここで、nは、電圧が電流Iのn乗に比例するとした場合のIc近傍でのn値であり、数式5はz=1で数式4と連続するようにしている。これら数式4、5は実験結果と良く一致する。常電導線(銅撚線)の均流化を計算するときは、
wire=(一定)銅の抵抗
n=1
w=wNorris=rwire・I wire として計算すれば良い。
【0040】
なお、ジョイント抵抗については、試験で求めた端末の抵抗値(3×10−6Ω/ケーブル長)を採用した。
【0041】
(回路方程式)
このモデルでは、回路方程式は下式のようになる。
【0042】
【数6】
Figure 0003628589
【0043】
上式で、初期条件として各層のピッチ、L、L、r、Iallを与えれば、i〜i、V、Vに関する9元連立方程式となり、計算によって各層の電流分布を求めることができる。
【0044】
(電流分布の算出)
計算は、まず全通電電流(Iall)に対して初期電流分布(各層の電流値)を適当に与え、そのときの各超電導層の抵抗値を先述の抵抗成分導出プロセスにしたがって求める。すると数式6の回路方程式中のiとV、Vを除く全数値が既知の値となるために、数式6を解いてi〜i、V、Vを求めることができる。この電流値をもとに再度各超電導層の抵抗値を求めた後、数式6からi〜iを求める。この作業を、演算前後の計算結果の差が一定値以下となるまで繰り返す。今回は前後の計算結果の差が1%以下となったときに、計算が終了したとみなした。
【0045】
数式6の回路方程式を解けば電流分布が求まるはずであるが、実際は回路中の抵抗成分が電流によって変化する効果を取り入れる必要があるので、答えを解析的に見出すことはできない。「演算前後の計算結果の差が一定値以下となるまで繰り返す」という手法を取り入れることによって、はじめて任意の巻きピッチ条件の超電導ケーブルの電流分布を計算によって推測できるようになった。以上のプロセスを経た時点で電流分布が求められるため、その結果を元にして以下のプロセスにより交流損失量を求める。
【0046】
(磁場の計算)
このモデルでは、超電導層は複数の超電導素線が螺旋状に巻かれた構造であり、通電時の磁場は、図2に示すように、周方向磁場成分と導体軸方向磁場成分に分けて考えることができる。
【0047】
このときのn層目に加わる周方向磁界成分Hcn(単位はA/m)は数式7で表される。
【0048】
【数7】
Figure 0003628589
【0049】
また、n層目に加わる軸方向磁界成分Hcn(単位はA/m)は数式8で表される。
【0050】
【数8】
Figure 0003628589
【0051】
(交流損失の計算)
ピッチ調整を行うことによって電流が均一化した導体部の交流損失は、導体を図1のような隣接したn個の無限平面にモデル化して計算できる。すなわち、導体の磁化損失は、各層の磁化損失の総和とする。
【0052】
各層の磁化損失は、ビーンモデルを前提にした超電導平板の磁化損失の公式(数式9、10)を利用して表すことができる。
【0053】
【数9】
Figure 0003628589
【0054】
【数10】
Figure 0003628589
【0055】
ここで、数式9は磁場が平板全域に侵入していない場合、数式10は磁場が平板の全域に侵入している場合であり、磁場は平板の両側から均等に侵入することを前提としている。また式損失Wの単位はW/mであり、fは周波数(Hz)、Hは外部磁界のピーク値(A/m)、Jは超電導体の臨界電流密度(A/m)、tは平板の厚さ(m)である。
【0056】
数式9、10を利用すると、1導体中の第n層の磁化損失Wは超電導平板と同様に、▲1▼磁界が層全体に侵入していない場合、▲2▼磁界が層全体に侵入した場合で異なり、
【0057】
▲1▼の場合には、数式11となり、▲2▼の場合には数式12となる。
【0058】
【数11】
Figure 0003628589
(W/m)
【0059】
【数12】
Figure 0003628589
(W/m)
【0060】
ここで、Hopnはn層以外に流れる電流がn層部に作る磁場(n層部にとっての外部磁場)の大きさ、Iopnはn層を流れる電流が作る磁場(n層部にとっての自己磁場)の大きさであり、前述したn層の周方向磁界成分Hcnと軸方向磁界成分Hanを用いて、Hopnは数式13で表される。
【0061】
【数13】
Figure 0003628589
【0062】
また、n層に流れる電流iを用いて、Iopnは数式14と表される。
【0063】
【数14】
Figure 0003628589
【0064】
これらの単位はいずれもA/mである。
【0065】
また、Rはn層の半径、Jはn層部のオーバーオールJ、tanは外側から見たn層部の磁界侵入深さ、tbnは内側から見たn層部の磁界侵入深さである。またWの単位はW/m、HopnとIopnの単位はどちらもA/mである。
【0066】
一方、円筒パイプ状の金属芯材では、以下の式で表される渦電流損失W が発生する。
【0067】
【数15】
Figure 0003628589
【0068】
数式15は例えば「Case Studies in Suterconducing Magnets」(PLENUM PUBLISHING Co.)のP.41に記載されており、ρは芯材の比抵抗(@77K)、Rは芯材の外半径、dは芯材の肉厚、Haoは芯材部の軸方向磁場である。
【0069】
以上のような考えにしたがって、導体の磁場分布と交流損失量を算出してシステムを解析するシミュレーションコードを作成して、コンピューター内に組み込み、解析装置とした。
【0070】
本コードでの計算の流れを図4に示す。計算手順は、次の各ステップ▲1▼〜▲5▼に示す通りである。「電流分布計算」のステップから「各層のピッチを設定」のステップに戻るのは、演算前後の計算結果の差が一定値以下となるまで繰り返すことを示している。
【0071】
▲1▼基本パラメータ設定:パラメータは、線材諸元(幅、厚さ、Ic)、芯材諸元(比抵抗、外径、厚さ)、導体諸元(各層の巻き線方向、各層の外径、各層の厚さ、各層でのIc維持率)、通電条件(通電電流、周波数)とする。
▲2▼各層のピッチ入力
▲3▼各層のインダクタンス計算および実効抵抗の計算
▲4▼連立方程式の作成と、各層の電流値の計算
▲5▼計算した電流分布での磁場分布と導体交流損失計算
【0072】
(比較例1)
比較例として、芯材に銅パイプを用い、電流が均一化した下記諸元の磁気遮蔽層付きのピッチ調整導体を作製した。そして、上述した「交流損失の計算」に基づいて交流損失を計算した。
【0073】
芯材
材質:銅
外径:φ19.2mm
肉厚:0.9mm
比抵抗@77K:3×10−9Ωm
【0074】
超電導層
素線:Bi2223系Ag−Mn合金被覆高温超電導ケーブル線(厚さ0.24mm)
層数:4層
巻き方向:S/S/S/S
【0075】
絶縁層
材質:紙
厚さ:7mm
【0076】
磁気遮蔽層
素線:Bi2223系Ag−Mn合金被覆高温超電導ケーブル線(厚さ0.24mm)
層数:2層
巻き方向:S/S
【0077】
この導体の臨界電流は2kAであり、1kArms(50Hz)通電時の交流損失は0.9W/mと見積もられた。そのうち導体部のヒステリシス損失が0.6W/m、芯材の渦通電損失0.3W/mと計算によって推測できる。実際に、上記諸元の導体を製作し、通電時の交流電流をロックインアンプを用いた通電4端子法によって測定した。その結果、導体の交流損失は1kArms、50Hzで0.9W/mと計算値に等しいことを確認した。計算値と実験値との比較を図5のグラフに示す。
【0078】
(実施例1)
新たに、比較例1と同一性能の線材を用いて、同一サイズで芯材構造を変えた導体Aを製作した、具体的には、エナメル被覆銅線を同心撚りした構造の芯材を用いた。超電導層、絶縁層、磁気遮蔽層の各諸元は比較例1と同様である。芯材構造諸元を以下に示す。
【0079】
Figure 0003628589
【0080】
この導体のIcは2000Aであった。また1kArms(50Hz)通電時の導体部の交流損失は0.6W/mと見積もられる。さらに通電時の交流損失を、ロックインアンプを用いた通電4端子法によって測定した。その結果、導体の交流損失は1kArms、50Hzで0.6W/mと、計算値と等しいことを確認した。この結果より、前記比較例1の結果と比べれば、芯材構造の変更によって芯材部の渦電流損失が抑制できたことが判る。
【0081】
交流損失測定の後、室温にて直径2mの曲げを導体に加え、直線状に戻した後に液体窒素温度での臨界電流特性を測定したところ、導体のIcは1800Aとなり、初期状態と比較して約10%の特性低下が認められた。
【0082】
導体を解体調査したところ、芯材直上の超電導層(第1層)に配置された素線に、芯材最外層の凹凸によるとみられる多数の座屈が認められた。これがIc低下の原因と考えられる。
【0083】
(実施例2)
実施例1の結果をもとに、最外層に絶縁テープ線をスパイラル巻きすることによって、表面を平滑化した撚り線構造の芯材を製作した。この芯材と、比較例1と同一性能の線材を用いて、実施例1と同一サイズで芯材構造を変えた導体Bを製作した、具体的にはエナメル被覆銅線を同心撚した構造の芯材をを用いた。芯材構造諸元を以下に示す。超電導層、絶縁層、磁気遮蔽層の各諸元は比較例1と同様である。
【0084】
Figure 0003628589
【0085】
この導体のIcは2000Aであった。また1kArms(50Hz)通電時の導体部の交流損失は0.6W/mと見積もられる。さらに通電時の交流損失をロックインアンプを用いた通電4端子法によって測定した。その結果、導体の交流損失は1kArms、50Hzで0.6W/mと、計算値と等しいことを確認した。この結果より、芯材構造の変更によって、芯材部の渦電流損失が抑制できたことが判る。
【0086】
さらに交流損失測定の後、室温にて直径2mの曲げを導体に加え、直線状に戻した後に液体窒素温度での臨界電流特性を測定した。導体のIcは1900Aとなり、導体Ic低下が導体Aと比較すると抑制されていることを確認した。
【0087】
導体Bを解体調査したところ、導体最内層の線材に若干の線材の座屈が認められるものの、導体Aと比較すると軽度であった。
【0088】
(実施例3)
実施例1の様に、導体曲げ後の線材の座屈は芯材直上の超電導層(第1層)に生じ、また座屈の形状は芯材最外層の撚り線の凹凸に沿っていることが判った。そこで、この凹凸を軽減するために、芯材最外層の銅素線の線径を小さくすることを試みた。
【0089】
まず以下のような予備検討を行った。
丸線を板の上に並べて凹凸面を作り、この丸線と平行にテープ線を載せ、100kgfの荷重を加えたときの、座屈と線材サイズの関係を調べた。その結果、丸線の径がテープ線幅の1/2よりも小さくなると、テープ線の座屈がほとんどみられなくなることが判った。
【0090】
以上の結果を元に、芯材表面に配置された金属線の直径をdw、芯材の外接円の直径をD、超電導層の最内層に配置するテープ状超電導線本数をnとしたときに、以下の式を満たす様に芯材最外層の素線径を選定して実施例1と同一性能の線材を用い、実施例2と同一サイズで芯材構造を変えた導体Cを製作した。超電導層、絶縁層、磁気遮蔽層の各諸元は比較例1と同様である。
πD/(2・n)≧dw
【0091】
導体Cに用いた芯材の諸元を以下に示す。導体最内層のテープ状線材数は15本、芯材の外接円の直径は19mmであり、πD/(2・n)≒2となるため、上式を満たすように、芯材最外層の素線径dwは2mm以下とする。
【0092】
Figure 0003628589
【0093】
この導体のIcは2000Aであった。また1kArms(50Hz)通電時の導体部の交流損失は0.6W/mと見積もられる。さらに通電時の交流損失を、ロックインアンプを用いた通電4端子法によって測定した。その結果、導体の交流損失は1kArms、50Hzで0.6W/mと、計算値と等しいことを確認した。
【0094】
さらに交流損失測定の後、室温にて直径2mの曲げを導体に加え、直線状に戻した後に液体窒素温度での臨界電流特性を測定した。導体のIcは2000Aとなり、初期状態のIcと変化がないことを確認した。
【0095】
さらに、導体Cを解体調査したところ、線材座屈は認められなかった。
【0096】
(実施例4)
実施例3の導体Cに用いた芯材と同一サイズで4層目の撚り本数を14本に変更した芯材を、芯材中各層のインピーダンスのばらつきが±30%以内に収まるように設計し、新規に導体Dを製作した。その場合の交流損失は上述した「交流損失の計算」の手順にしたがって計算した。さらに実施例3と同一性能の線材を用いて、実施例3と同一サイズで導体Eを製作した。導体D,E共に、超電導層、絶縁層、磁気遮蔽層の各諸元は比較例1と同様である。
【0097】
導体Dの芯材を構成する絶縁被覆金属線のピッチは次の通りである。
【0098】
1層目 ×
2層目 45mm
3層目 90mm
4層目 110mm
【0099】
また、導体Eの芯材を構成する絶縁被覆金属線のピッチは次の通りである。
1層目 ×
2層目 120mm
3層目 50mm
4層目 30mm
【0100】
これらの導体のIcは2000Aであった。さらに通電時の交流損失を、ロックインアンプを用いた通電4端子法によって測定した。その結果、導体の交流損失は1kArms、50Hzで0.6W/mと、計算値と等しいことを確認した。
【0101】
さらに、前述の導体Dと導体EにIcを越える30kAの電流を通電して損失を計測した。その結果、芯材の撚りピッチを調整していない導体Eは18kJ/mであった。一方芯材の撚りピッチを調整した導体Dでは損失が17kJ/mと、約1kJ/m低減することを確認した。
【0102】
尚、本発明の超電導ケーブルは、上述の具体例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明超電導ケーブルによれば、絶縁被覆された常電導の金属線が複数本撚り合わされた芯材を用いることで、渦電流損を抑制し、それに伴う交流損失の増大を抑制することができる。また、過電流が流れる際には、芯材が過電流を分担することで、ケーブルの温度上昇を抑制することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】超電導ケーブルの等価回路へのモデル化手法を示す説明図である。
【図2】超電導ケーブルにおける通電時の磁場成分の説明図である。
【図3】円筒導体を無限平面にモデル化する手法の説明図である。
【図4】超電導ケーブルの交流損失を評価する手順のフローチャートである。
【図5】電流と交流損失の関係を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 芯材と、その外周に設けられる超電導層と、さらに超電導層の外周に形成される電気絶縁層とを有する超電導ケーブルであって、
    前記超電導層は、複数本の超電導線材を芯材の外周に螺旋状に巻き付けた構造を有し、前記芯材は、絶縁被覆された常電導材料からなる金属線を複数本撚り合わせた構造であり、
    前記常電導材料の 77K における比抵抗が 3 × 10 -9 Ω m 以下であることを特徴とする超電導ケーブル。
  2. 芯材と、その外周に設けられる超電導層と、さらに超電導層の外周に形成される電気絶縁層とを有する超電導ケーブルであって、
    前記超電導層は、複数本の超電導線材を芯材の外周に螺旋状に巻き付けた構造を有し、前記芯材は、絶縁被覆された常電導材料からなる金属線を複数本撚り合わせた構造であり、
    芯材の外接円の直径をD、超電導層の最内層に配置する超電導線の本数をnとしたとき、芯材最外層に配置される金属線の直径dwが以下の式を満たすことを特徴とする超電導ケーブル。
    πD/(2・n)≧dw
  3. 芯材と、その外周に設けられる超電導層と、さらに超電導層の外周に形成される電気絶縁層とを有する超電導ケーブルであって、
    前記超電導層は、複数本の超電導線材を芯材の外周に螺旋状に巻き付けた構造を有し、前記芯材は、絶縁被覆された常電導材料からなる金属線を複数本撚り合わせた構造であり、
    芯材を構成する金属線の撚りピッチを調整し、芯材中の金属線各層のインピーダンスが±30%以内になるように構成したことを特徴とする超電導ケーブル。
  4. 芯材表面の凹凸を平滑化したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超電導ケーブル。
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