JP5008112B2 - 放射状集合導体 - Google Patents
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Description
例えば、図1の構造の超伝導ケーブルでは、大きな漏れ磁界を遮蔽するために、相毎に導体層を覆うシールド層が不可欠であり、高価な超伝導材料が余分に必要となる問題がある。また、図2の同心円状に各相を配置した構造では、各導体層のサイズ(径)が大きく異なるので、流れる電流が不均一になるという問題がある。
また、臨界電流の低下を抑え、交流損失を低減させる目的で、金属マトリックスに埋設した複数本の超伝導フィラメントからなる交流用酸化物超伝導丸線材において、超伝導フィラメントに一定の条件のツイストを施す提案がなされており、その一例として複数のテープ線材を放射状に複数層に渡って巻きつけた例が示されている(特許文献2の図8参照)。
超伝導フィラメントに一定の条件のツイストを施すことによる交流損失を低減させるという程度の意味はあるが、このような場合、依然として大きな交流損失が発生し、根本的な解決には至っていないという問題がある。
このように、従来の超伝導ケーブルでは、大電流化、低損失化及び高い冷却効率を保有させるには限界があり、また漏れ磁界を遮蔽するためのシールド層を必要としたり、電流が不均一に流れるなどの問題があった。
本発明は、超伝導導体に特に有用であるが、通常の交流用導体に適用できることは言うまでもない。放射状集合導体の配置総数は、通常電流成分の整数倍である。
このような、本発明の特異な構造を持つ放射状集合導体は、発生する磁界が互いに打ち消し合うため、交流電流の位相差がない場合に比べて、交流損失及び漏れ磁界が著しく小さくなるという著しい特性を備えている。
また、同集合導体を使用し、各導体に異なる方向の直流電流あるいは変動電流を流すことにより、同様に磁界が打ち消し合って漏れ磁界を小さくすることができ、また変動電流による損失を小さくすことができるという効果を備えている。したがって、交流のみならず異なる方向の直流電流や変動電流を流す場合、特に大電流を流すような場合においても、著しい効果がある。
なお、本明細書で使用する「変動電流」とは、時間的に変動(増加/減少)はするけれども電流の方向(正負)は変わらない電流を意味する。この変動電流は、直流電流のように時間的に一定でもなく、また通常の意味での交流電流のように正負が逆転するものではない。しかし、このような変動電流においても、上記の通り、漏れ磁界が小さくなるのはもちろんのこと、変動電流による損失も小さくなるという効果がある。
上記平角形状導体又は平角形状複合導体は、通常用いることのできる代表例を示したもので、放射状集合導体としての機能を持たせることができるものであれば、これらに制限されるものではない。上記の例示の変形は本願発明に包含されるものである。
しかし、本発明の場合は、各導体は絶縁体を介して放射状に開放されているので、冷媒流路の配置は極めて容易である。また、断面のどの位置においても、対称になっているので、例えば導体間に冷媒流路を配置した場合においても、導体の冷却が均一にできるという特徴を有している。
上記の通り、漏れ磁界が著しく小さくなるので、シールド層は不必要ではあるが、放射状集合導体の周囲に、さらに超伝導テープ線材又は銅網線などのシールド層を配置して、一層漏れ磁界をより減少させる構造とすることを妨げるものではない。このような構造は、従来と同様に、容易に採用することができる。
この場合、放射状に配置した3枚の導体を単位とする、すなわちnを3とすることにより、通常使用されている三相交流ケーブルとすることができることは容易に理解できるところである。その他、nを任意に変えることにより、四相交流、六相交流等を含む多相交流を対象とすることができる。
また、同集合導体を使用し、各導体に異なる方向の直流電流あるいは変動電流を流すことにより、同様に磁界が打ち消し合って漏れ磁界を小さくすることができ、また変動電流による損失を小さくすることができるという効果を備えている。
さらに、大電流化するために多数の導体を配置しても、放射状集合導体が開放構造なので、電気絶縁体の設置及び冷媒流路の配置が容易であるという特徴を備えている。それに伴い冷却効率が良好となり、均一冷却が可能であるという利点がある。
上記の通り、漏れ磁界を小さくすることが可能であるために、シールド層を特に必要とせず(なお、漏れ磁界防止効果をより一層高めるために、シールド層の使用を妨げるものではない)、超伝導線材を使用した場合には、必要とされる高価な超伝導材料の量も少なくても済み、低コスト化を図ることができるという優れた効果を有する。
これによって、発生する磁界は互いに打ち消し合うため、交流電流の位相差がない場合に比べて、交流損失及び漏れ磁界は著しく小さくなる。なお、絶縁体については、特に図示していないが、導体の周囲に配置するだけで良いので、特に複雑な構造を必要としない。
また、冷却方法も、放射状に多数配置した導体の中心部又は絶縁体の間若しくは内部に配置するだけで良いので、これも複雑な構造を必要としないという利点がある。このように、放射状に配置した導体自体が開放構造になっているので、絶縁体及び冷媒流路の配置が容易であることは容易に理解できる。
この場合、発生する磁界は互いに打ち消し合うため、上記と同様に交流電流の位相差がない場合に比べて、交流損失及び漏れ磁界は著しく小さくなる。
このような超伝導導体を多数配置して大電流化を図っても、損失や漏れ磁界の増加は非常に小さくなる。また、図3及び図4に示すように、導体となる線材は対称的な配置なので、電流が不均一に流れる問題はない。
同様に、該集合導体を使用して、各導体に異なる方向の直流電流あるいは変動電流を流すことにより、漏れ磁界や変動電流による損失を小さくすることが可能である。
さらに、図7(断面図)に示すようにラザフォードケーブルのような丸線を平角形状(断面)に配置して複合導体とすることもできる。
この場合の線材は、角線又は撚線とすることも可能である。このような複合導体は、前記テープ状線材と同等の機能を有する。すなわち、既存の導体をそのまま使用することができるという利点がある。
図8にその例を示す。内部には複数枚のテープ線材を束ねた複合化導体を、絶縁体を介して放射状に配置し、該放射状に配置した3枚の導体を単位として、隣り合う導体に流れる交流電流(Iu, Iv, Iw)の位相差を120度とし、これを放射状に多数配置して三相交流ケーブルとしたものであり、その周囲にシールドを配置した構造を示す。
これによって、漏れ磁界をより一層抑制することが可能となる。シールド装置としては、超伝導テープ線材又は銅網線などのシールドを使用することができる。
さらに、大電流化するために多数の導体を配置しても、放射状集合導体が開放構造なので、電気絶縁体の設置及び冷媒流路の配置が容易であり、均一冷却が可能である。したがって、電力ケーブル、限流器、電流リード又は電流供給ブスバーとして有用である。
Claims (6)
- 複数の平角形状超伝導導体又は平角形状複合超伝導導体を、それぞれ独立の導体となるように絶縁体を介して放射状に配置し、該放射状に配置したn(nは3以上の整数)枚の導体を単位として、隣り合う導体に流れる交流電流の位相差が360/n度になるようにn相の交流電流を流すことを特徴とする放射状集合超伝導導体。
- 平角形状超伝導導体又は平角形状複合超伝導導体が、テープ、ストリップ若しくはこれらの複合導線、又は丸線、角線若しくは撚線を平角形状に配列した複合導線であることを特徴とする請求項1記載の放射状集合超伝導導体。
- 電力ケーブルであることを特徴とする請求項1又は2記載の放射状集合超伝導導体。
- 放射状集合超伝導導体の周囲にさらにシールド層を配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射状集合超伝導導体。
- 複数の平角形状超伝導導体又は平角形状複合超伝導導体を、それぞれ独立の導体となるように絶縁体を介して放射状に配置し、該放射状に配置したn(nは3以上の整数)枚の導体を単位として、隣り合う導体に流れる交流電流の位相差が360/n度になり、かつ単位となるn枚の導体に流れる交流電流の総和の瞬時値が常にゼロになるようにn相交流電流を流し、その単位となる導体を放射状に多数配置したn相交流ケーブルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の放射状集合超伝導導体。
- nが3であることを特徴とする請求項5に記載の放射状集合超伝導導体。
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