JP4686076B2 - 超電導導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の超電導線を撚り合わせてなる超電導導体に係り、特に交流損失を低減することにより、超電導状態の安定性の向上を図った超電導導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、超電導線の利用分野では、通電電流の大容量化を図るために、複数の超電導素線を同心円状に撚り合わせた高次撚り線からなる超電導導体が広く用いられている。このうち、特に電磁力の大きい環境でも使用できる大電流容量の代表的な超電導導体の断面構造を図6に示す。
【0003】
この超電導導体は、図6(A)に示すように、超電導素線1を複数本、補強線2の周囲に同心円状に撚り合せ、さらにその周囲に安定化用線材3を撚り合せることによりサブ導体4として構成されている。超電導素線1は、直径が数μmの極細な超電導フィラメントを他数本束ねて構成されており、この超電導フィラメントは、例えば保持材としての銅等の母材に埋め込み保持されている。また、安定化用線材3は、超電導素線1の超電導状態が損なわれた場合の安定性向上や、超電導導体クエンチ時の温度上昇を抑制する目的で設けられ、一般的に常電導金属である低抵抗の銅等が撚り線として適用されている。
【0004】
次に図6(B)に示すように、このサブ導体4を複数、冷却チャンネルを構成するスパイラル状の金属管5の周囲に同心円状に撚り合せ、これにより高次撚り線6としての超電導導体10(10a)が構成されている。
【0005】
さらに、高次撚り線6の外周側をステンレス鋼等の保護テープ7によって被覆し、例えば角チューブ状のコンジット8に収納し、これにより高次撚り線6の周囲等にも冷却チャンネルが形成された超電導導体(導体・イン・コンジット導体)10(10b)が構成されている。なお、コンジット8は板材を曲げ、高次撚り線6の長さ方向に沿う溶接部9により接合した管状構造のものであり、その溶接線は通常、高次撚り線6の中心位置に配置されており、溶接裏波9aが部分的にサブ導体4と接触した状態となっている。
【0006】
ところで、このような超電導導体10は直流磁界中では直流電流を無損失で通電可能としているが、変動磁界中では交流損失による熱を発生し、熱損失を生じる。この交流損失は、ヒステリシス損失、結合損失、および渦電流損失の3つに大きく分けられる。
【0007】
まず、ヒステリシス損失は、超電導素線1を構成する超電導フィラメント内でその直径に比例して発生する特性を持つ。そこで上述したように、特に商用周波数で運転する交流用の超電導素線1としては、ヒステリシス損失の低減のために、数ミクロンの直径をもつ極細な超電導フィラメントが用いられる。
【0008】
一方、超電導素線1内の結合損失は、超電導フィラメント間を流れる結合電流によって超電導フィラメントの周囲にある銅等の母材に発生し、超電導フィラメントの撚りピッチ長の2乗に比例するとともに、結合電流が流れる母材の抵抗率に反比例する特性をもつ。よって、超電導フィラメントの撚りピッチ長を短くすると結合損失が低減されるが、撚りピッチ長は製造上の制約を受け、超電導素線1の直径にほぼ比例する。したがって、撚りピッチ長を短くするために超電導素線1の直径を小さくすると、超電導素線1の1本当りの臨界電流が低くなるので、大電流容量の超電導導体10では多数本の超電導素線1が必要となる。
【0009】
この結合損失は、上述した超電導素線1内での発生機構と同様に、超電導素線1間においても発生する。特に、高次撚り線6としての最終撚り線の撚りピッチ長が最も長いため、この撚りピッチ長の2乗に比例し、超電導素線1間の等価抵抗に反比例した損失が発生する。この損失を少なくするために、超電導素線1間の等価抵抗を高くする方法として、超電導素線1の表面に高抵抗層や絶縁材などを薄くコーティングする方法が採られている。なお、超電導素線1間の等価抵抗率を高くするために、超電導素線1と周囲の空間との割合を変化させ、超電導素線1間の接触を少なくする方法も採られている。
【0010】
一方、サブ導体4を同心円状に撚り合せて超電導導体10を構成する際に、各サブ導体4を理想的に同心円状に撚り合せることが可能ならば、各サブ導体4の撚りピッチ長lpの最小公倍数Lpの長さに対して一様な変動磁界が加わった場合には、超電導導体10の中心線と各超電導素線1とにより囲まれる面積が受ける変動磁界による磁束は、最小公倍数Lpの長さにわたって変動磁界を積分するとゼロとなり、サブ導体4間の結合損失は発生しない。しかし、上述した構成の超電導導体10においては、1次撚線としての超電導素線1の周囲に配置した安定化用線材3が、全て常電導金属である銅等によって構成されているため、これらの安定化用線材3を周回する渦電流が発生し、この渦電流により交流損失が増大する可能性がある。
【0011】
また、上述した安定化用線材3やコンジット8には、変動磁界により渦電流損失が発生する。一般に、安定化用線材3には低抵抗の材料が使用され、またコンジット8には高抵抗の金属が使用されるため、渦電流損失が問題になるのは、安定化用金属に関連した渦電流損失である。
【0012】
さらに、コンジット8の溶接部9においては、そのコンジット8の内面側に隆起した溶接裏波9a部によって、撚り線構造のサブ導体4が局所的に加圧され、これにより超電導素線1間の接触抵抗が低減するため、超電導素線1間の結合電流の増大を招く。特に3のn乗撚りで構成されているような高次撚り線6においては、最終撚りピッチが大きいため、長時定数の結合電流を招きやすい。このような超電導素線1間の結合電流による発熱は、極めて大きな交流損失となる場合があり、それにより、超電導導体10(10b)がクエンチに至る可能性もある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の高次撚り線としての超電導導体においては、1次撚線である超電導素線の周囲に配置した安定化用線材を周回して発生する渦電流により、交流損失が増大する可能性がある。
【0014】
また、溶接構造をもつ導体・イン・コンジット導体においては、そのコンジットの内面側に隆起した溶接裏波部によって、撚り線構造のサブ導体が局所的に加圧され、超電導素線間の接触抵抗が低減させられるため、超電導素線間の結合電流の増大を招き、これにより極めて大きな交流損失となる場合があり、超電導導体がクエンチに至る可能性もある。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、安定化金属線に発生する渦電流損失や、超電導素線間に発生する結合電流による交流損失を低減して、超電導状態の安定性を向上し得る超電導導体を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の超電導導体は、多数本の超電導フィラメントを集束した超電導素線を複数本撚り合わせ、その周囲に安定化用線材を複数本撚り合わせてサブ導体とし、さらにそのサブ導体を複数本撚り合わせて高次撚り線として構成した超電導導体であって、前記安定化用線材のうち少なくとも1本の前記安定化用線材を他の安定化線材よりも高抵抗の高抵抗金属線もしくは絶縁線とし、他を前記金属線よりも低抵抗の低抵抗金属線として管状構造のコンジットに収納し、前記コンジットは、前記高次撚り線の長さ方向に沿って溶接した接合構造とし、その溶接部の溶接線が前記高次撚線の中心位置から径方向に外れて配置し、前記低抵抗線は、銅、アルミニウム、銀またはこれらの合金からなる線材としたものである。
【0017】
上記の安定化用線材に適用する高抵抗線としては、例えばCuNi、ステンレス鋼、ニッケル基合金またはチタン合金等からなる線材、もしくはクロムメッキを施した銅線が挙げられる。また、絶縁材の線材としては、例えばホルマール、四弗化エチレン樹脂またはポリエチレン等の線材が挙げられる。さらに、低抵抗線としては、例えば銅、アルミニウム、銀またはこれらの合金等の線材が挙げられる。
【0018】
安定化用線材を高抵抗線とした場合には、サブ導体の周囲に形成される渦電流回路の電気抵抗を大きく設定することができ、発生する渦電流を小さく抑制することができる。また、安定化用線材を絶縁線とした場合には、サブ導体の周囲に渦電流回路を形成させることがないので、渦電流の発生を阻止することができる。
【0019】
なお、安定化用線材の機能を確保するためには、高抵抗金属線もしくは絶縁線の本数が過多とならないようにするため、例えば十数本の安定化用線材に対して高抵抗金属線もしくは絶縁線を数本以下、特に1〜2本の割合で配置し、他を低抵抗線とすることが望ましい。
【0020】
本発明において、超電導フィラメントは、NbTi、Nb3Sn、Nb3Alのいずれかからなる金属系超電導線、またはY系、Bi系、Tl系、Hg系のいずれかからなる酸化物高温超電導線とすることが望ましい。これらの材質よりなるフィラメントを適用することにより、動作温度を高くし、比熱を大きくすることができるので、超電導安定性を向上することができる。
【0021】
また、超電導素線の表面には、ホルマール、四弗化エチレン樹脂、ポリエチレンなどの絶縁材、もしくはCuNi、クロム、ステンレス鋼、チタンもしくはこれらの合金などの高抵抗材によりコーティングされたものとすることが望ましい。このように、超電導素線の表面をホルマール、ポリイミド系、ポリアミド系などの絶縁材でコーティングすることにより、超電導素線間をわたる電流を消失させ、交流損失を低減することができる。また、超電導素線の表面をCuNi、クロム、ステンレス鋼、チタンなどの高抵抗材で被覆した場合には、超電導素線間をわたる電流を少なくすることにより、交流損失の低減を図ることができる。
【0022】
また、本発明において、高次撚り線は、ステンレス鋼、ニッケル基合金、チタン合金、銅合金またはそれらの表面に絶縁材を施したものからなる補強用線材に巻きつけて構成し、補強用線材は、断面が多角形、円形もしくは楕円形の中空または中実なものとする。すなわち、高次撚り線を中空な補強用線材に巻き付けることにより、補強用線材の内部を冷却チャンネルとして利用することができる。また、中実な補強用線材に巻き付けた場合には、いわゆる圧縮成型撚り線の構成として利用することもできる。そして、これらの各場合において、交流損失を低減することができ、かつ電磁力にも耐える構成とすることができる。
【0023】
さらに、本発明では、上述した高次撚り線を、ステンレス鋼、ニッケル基合金、チタン合金などの高抵抗体からなるコンジットに収納した、いわゆる導体・イン・コンジット導体として適用する。このように、高次撚り線をコンジットに収納することにより、大電磁力に耐える構成とすることができ、高磁界、大電流容量用の超電導導体として好適なものとなる。
【0024】
また、本発明では、コンジットを高次撚り線の長さ方向に沿って溶接した接合構造のものとする場合において、その溶接線を高次撚り線の中心線から外れた径方向位置に配置する。これにより、コンジットの溶接部を導体中心からずらして配置することにより、溶接裏波等の突出部分と超電導素線との接触を回避する構成とすることができる。これにより、超電導素線の局所的な加圧や、局所的な接触抵抗の低下、撚り線の乱れを防止等が図れ、これらに起因する超電導素線間の結合損失の発生を有効に防止することができ、かつ超電導安定性を向上することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る超電導導体の実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。なお、以下の実施形態においては、従来例と同様の構成部分に図6の符号と同一の符号を使用して説明する。
【0026】
第1実施形態(図1、図2)
本実施形態は、高次撚り線として構成した超電導導体をコンジットに収納することにより、超電導導体(導体・イン・コンジット導体)としたものである。図1は全体構成を示す断面図であり、図2は部品構成を示す拡大断面図である。
【0027】
まず、図2により高次撚り線6として構成した超電導導体10(10a)について説明する。図2(A)は、高次撚り線6を構成するサブ導体4を拡大して示す断面図であり、図2(B)は、サブ導体4を構成する超電導素線1をさらに拡大して示す断面図であり、図2(C)は、超電導素線1を構成する超電導フィラメント11をさらに拡大して示す断面図である。
【0028】
図2(C)に示すように、超電導フィラメント11は、保持材としての銅からなる母材12に埋め込み保持され、その外側には例えばCuNiのコーティング13が施されている。このような超電導フィラメント11を、図2(B)に示すように、常導体である銅線14の周囲に多数集束させて撚り線とし、その外周表面に例えばCuNiのコーティング15を施すことにより、超電導素線1が構成されている。なお、コーティング13、15には、CuNiの他、クロム、ステンレス鋼、チタンもしくはこれらの合金などの高抵抗材、またはホルマール、四弗化エチレン樹脂、ポリエチレンなどの絶縁材を適用してもよい。
【0029】
そして、このように構成した複数本の超電導素線1を図2(A)に示すように、これらと略同径の銅からなる補強線2の周囲に同心円状に撚り合せ、さらにその周囲に複数本の安定化用線材3を撚り合せることにより、サブ導体4が構成されている。このサブ導体4の安定化用線材3のうち、例えば対象的に配置された2本の安定化用線材3aが高抵抗金属線もしくは絶縁線とされており、他の安定化用線材3が低抵抗金属線、例えば銅線とされている。
【0030】
安定化用線材3aの高抵抗線には、例えばCuNi、ステンレス鋼、ニッケル基合金またはチタン合金等の線材、もしくはクロムメッキを施した銅線が適用されている。なお、絶縁材の線材とする場合には、ホルマール,四弗化エチレン樹脂、またはポリエチレン等の線材が適用される。さらに、低抵抗線としては、銅、アルミニウム、銀またはこれらの合金等が適用されている。
【0031】
このようなサブ導体4を複数、図1に示すように、冷却チャンネルを構成する断面が円形の中空体、例えばスパイラル状の金属管5の周囲に同心円状に撚り合わせ、これにより高次撚り線6としての超電導導体10(10a)が構成されている。さらに、高次撚り線6の外周側をステンレス鋼等の保護テープ7によって被覆し、角チューブ状のコンジット8に収納し、これにより高次撚り線6の周囲等にも冷却チャンネルが形成された超電導導体(導体・イン・コンジット導体)10(10b)が構成されている。このコンジット8は、ステンレス鋼、ニッケル基合金、チタン合金などの高抵抗体からなる板材を曲げ、高次撚り線6の長さ方向に沿う溶接部9により接合した管状構造のものであり、その溶接線は、高次撚り線6の中心位置から径方向に外れた配置とされており、溶接裏波9aが部分的にサブ導体4と接触しない状態となっている。
【0032】
以上の構成を有する本実施形態の超電導導体、すなわち高次撚り線6としての超電導導体10(10a)およびこの高次撚り線6をコンジット8に収納した超電導導体(導体・イン・コンジット導体)10(10b)によると、超伝導体素線2の周囲に撚り合わせた安定化用線材3のうち例えば2本の安定化用線材3aを高抵抗金属線もしくは絶縁線としたことにより、サブ導体4の周囲に形成される渦電流回路の電気抵抗を大きく設定して発生する渦電流を小さく抑制することができ、またはサブ導体4の周囲に渦電流回路を形成させず渦電流の発生を阻止することができる。
【0033】
すなわち、安定化線材3として従来のように、高純度、低抵抗の銅線のみを適用した場合には、銅線を介して1次撚り線であるサブ導体4の周囲を周回する回路の抵抗値が小さいものとなり、ここに発生する渦電流損失は非常に大きなものとなるが、本実施形態では高抵抗線もしくは絶縁線としての安定化線材3aを配置したので、1次撚り線であるサブ導体4の周囲を周回する回路の抵抗を著しく大きくでき、渦電流の発生を抑制することができる。例えば、銅の抵抗率は1.5×10−10Ωm程度であるが、高抵抗線としてCuNiやステンレス鋼などを用いた場合には、抵抗率が1000倍以上大きいので、発生する渦電流も無視できるレベルになる。そのため、交流損失が極めて少なくなり、発熱が無くなり、超電導安定性が向上するものである。
【0034】
なお、本実施形態では2本の安定化用線材3aを高抵抗金属線もしくは絶縁線としたが、その本数は、安定化用線材3に対して適宜に設定することができる。
【0035】
また、本実施形態においては、超電導フィラメント11を、NbTi、Nb3Sn、Nb3Alのいずれかからなる金属系超電導線、またはY系、Bi系、Tl系、Hg系のいずれかからなる酸化物高温超電導線としたので、動作温度を高くし、比熱を大きくすることができ、高抵抗線もしくは絶縁線としての安定化線材3aを配置したことと合わせて超電導安定性の一層の向上が図れる。
【0036】
また、超電導素線1の表面には、ホルマール、四弗化エチレン樹脂、ポリエチレンなどの絶縁材、もしくはCuNi、クロム、ステンレス鋼、チタンもしくはこれらの合金などの高抵抗材によるコーティング15を施したので、超電導素線1間をわたる電流を消失または減少させ、交流損失を低減することができる。したがって、高抵抗線もしくは絶縁線としての安定化線材3aを配置したことと合わせて超電導安定性の一層の向上が図れる。
【0037】
さらに、高次撚り線6は、ステンレス鋼、ニッケル基合金、チタン合金、銅合金またはそれらの表面に絶縁材を施したものからなる断面円形の中空な補強用線材5に巻きつけて構成したことにより、補強用線材5の内部を冷却チャンネルとして利用することができるとともに、交流損失を低減することができ、かつ電磁力にも耐える構成とすることができる。したがって、高抵抗線もしくは絶縁線としての安定化線材3aを配置したことと合わせて超電導安定性の一層の向上が図れる。
【0038】
さらに、高次撚り線6を高抵抗体からなるコンジット8に収納したことにより、大電磁力に耐える構成とすることができ、高磁界、大電流容量用の超電導導体として好適なものとなる。この場合、本実施形態では特に、コンジット8を高次撚り線6の長さ方向に沿って溶接した接合構造のものとし、その溶接線を高次撚り線の中心線から外れた径方向位置に配置することにより、溶接部9の溶接裏波9a等の突出部分が超電導素線1に接触することを回避できるようになる。したがって、超電導素線1の局所的な加圧や、局所的な接触抵抗を低下させたり、撚り線の乱れを生じさせることを防止でき、これらに起因する超電導素線間の結合損失の発生を有効に防止することができ、かつ超電導安定性を向上することができる。特に高抵抗線もしくは絶縁線としての安定化線材3aを配置した構成との相乗効果により、極めて超電導安定性高い超電導導体が得られる。
【0039】
なお、図3には、コンジット8を溶接部のない一体構成とした場合を示している。他の構成については前記同様である。このような構成のコンジット8を適用した場合においても、超電導素線1の局所的な加圧や、局所的な接触抵抗を低下させたり、撚り線の乱れを生じさせることがないので、高抵抗線もしくは絶縁線としての安定化線材3aを配置したことと合わせて極めて超電導安定性の高い超電導導体が得られる。
【0040】
第2実施形態(図4、図5)
本実施形態は、高次撚り線6の巻き付け構造を変形した場合についてのものである。図4は高次撚り線6としての超電導導体10aを示す断面図であり、図5はその高次撚り線6をコンジット8に収納した超電導導体10bを示す断面図である。なお、その他の構成については第1実施形態と変らないので、図4および図5に図1〜図3と同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
本実施形態では、図4に示すように、高次撚り線6を巻きつける補強用線材16が、断面矩形状の板からなる中実な構造とされている。この補強用線材16は、第1実施形態における補強用線材としての金属管5と同様に、ステンレス鋼、ニッケル基合金、チタン合金、銅合金またはそれらの表面に絶縁材のコーティング17を施したものからなっている。この補強用線材16の周囲に複数のサブ導体4を巻き付け、高次撚り線6としての超電導導体10aが構成されている。なお、本実施形態の超電導導体10aについても、高次撚り線6の周囲に配置される安定化用線材3のうち少なくとも1本が高抵抗金属線もしくは絶縁線とされている。
【0042】
そして、図5に示すように、このような高次撚り線6が例えば2段構造とされて、コンジット8内に収納されている。これにより、高次撚り線6をコンジット8に収納した超電導導体(導体・イン・コンジット導体)10(10b)が構成されている。このコンジット8は、例えば溶接構造物であり、高次撚り線6の中心部分から外れた位置に溶接部9の溶接裏波9aが配置されている。
【0043】
このような構成の第2実施形態によると、高次撚り線6の中心位置に冷却チャンネルが存在しない、いわゆる圧縮成型撚り線の構成として利用することができる。そして、この場合においても、安定化用線材3のうち少なくとも1本を高抵抗金属線もしくは絶縁線とすることにより、第1実施形態と同様に、交流損失を低減することができ、かつ電磁力にも耐える構成とすることができる。また、高次撚り線6の中心部分からずれた位置に溶接部9の溶接裏波9aが配置することにより、超電導素線1の局所的な加圧や、局所的な接触抵抗を低下させたり、撚り線の乱れを生じさせることを防止でき、これらに起因する超電導素線間の結合損失の発生を有効に防止することができ、かつ超電導安定性を向上することができる。
【0044】
他の実施形態
以上の第1、第2実施形態においては、高次撚り線6を巻き付ける補強用線材を金属管5または板状の補強用線材16としたが、本発明はこれに限らず、補強用線材には種々の形状のものを適用することができる。すなわち、断面が多角形、円形もしくは楕円形の中空または中実なものであればよい。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、超電導素線の周囲に安定化用線材を巻き付ける高次撚り線として構成される超電導導体、およびこの高次撚り線を溶接構造のコンジットに収納するタイプの超電導導体において、交流損失を増大させること無く、発熱量の低減化、および超電導安定性を向上することができる。また、大電磁力に耐えることができ、高磁界、大電流容量用として好適な超電導導体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による超電導導体を示す全体断面図。
【図2】(A)、(B)、(C)は本発明の第1実施形態の部品を示す拡大断面図。
【図3】本発明の第1実施形態による超電導導体の他の構成例を示す全体断面図。
【図4】本発明の第2実施形態による高次撚り線としての超電導導体を示す断面図。
【図5】本発明の第2実施形態によるコンジット収納型超電導導体を示す断面図。
【図6】(A)、(B)は従来例を示す説明図。
【符号の説明】
1 超電導素線
2 補強線
3 安定化用線材
4 サブ導体
5 金属管(補強用線材)
6 高次撚り線
7 保護テープ
8 コンジット
9 溶接部
9a 溶接裏波
10(10a,10b) 超電導導体
11超電導フィラメント
12 母材
13、15、17 コーティング
14 銅線
16 補強用線材
Claims (7)
- 多数本の超電導フィラメントを集束した超電導素線を複数本撚り合わせ、その周囲に安定化用線材を複数本撚り合わせてサブ導体とし、さらにそのサブ導体を複数本撚り合わせて高次撚り線として構成した超電導導体であって、前記安定化用線材のうち少なくとも1本の前記安定化用線材を他の安定化線材よりも高抵抗の高抵抗金属線もしくは絶縁線とし、他を前記金属線よりも低抵抗の低抵抗金属線として管状構造のコンジットに収納し、前記コンジットは、前記高次撚り線の長さ方向に沿って溶接した接合構造とし、その溶接部の溶接線が前記高次撚線の中心位置から径方向に外れて配置し、前記低抵抗線は、銅、アルミニウム、銀またはこれらの合金からなる線材であることを特徴とする超電導導体。
- 前記高抵抗金属線は、CuNi、ステンレス鋼、ニッケル基合金またはチタン合金からなる線材、もしくはクロムメッキを施した銅線材である請求項1記載の超電導導体。
- 前記絶縁線は、ホルマール、四弗化エチレン樹脂またはポリエチレンからなる線材である請求項1または2記載の超電導導体。
- 前記超電導フィラメントは、NbTi、Nb3Sn、Nb3Alのいずれかからなる金属系超電導線、またはY系、Bi系、Tl系、Hg系のいずれかからなる酸化物高温超電導線である請求項1から3までのいずれか1項に記載の超電導導体。
- 前記超電導素線の表面が、ホルマール、四弗化エチレン樹脂、ポリエチレンなどの絶縁材、もしくはCuNi、クロム、ステンレス鋼、チタンもしくはこれらの合金などの高抵抗材によりコーティングされた請求項1から4までのいずれか1項に記載の超電導導体。
- 前記高次撚り線を、ステンレス鋼、ニッケル基合金、チタン合金、銅合金からなる撚り線またはそれらの表面に絶縁材を施したものからなる補強用線材に巻きつけて構成し、前記補強用線材は、断面が多角形、円形もしくは楕円形の中空または中実なものである請求項1から5までのいずれか1項に記載の超電導導体。
- 請求項1から6までのいずれか1項に記載の高次撚り線を、ステンレス鋼、ニッケル基合金、チタン合金などの高抵抗体からなるコンジットに収納したことを特徴とする超電導導体。
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Publications (2)
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