JP4141306B2 - 乗用作業機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、畦越え時や車両への積み降ろし時に、降車状態での走行機体の誘導操作を可能にする補助操作用アームを設けるとともに、走行指標となるセンターマーカーを備え、かつ、ハンドル操作に連動する操向用のステアリング機構を備えてある乗用田植機や乗用水田直播機などの乗用作業機に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用田植機においては、畦を越えて機体を圃場へ出し入れしたり、トラックの荷台などへ積み降ろしする際に機体が大きく前後に傾斜することがあり、このような場合には作業者が地上に降りて操縦することが望ましい。このような要望に応える手段として、走行機体の前部に補助操作用アームを設け、前上がり傾斜で前進する走行機体が推進反力で機体前部が浮き気味になる場合には、補助操作用アームを倒伏させて作用姿勢に切換え、この補助操作用アームを押し下げ操作して機体前部の浮き上がりを阻止しながら、路面が荒れている場合には、握り部を握って作業者は走行機体に先行してその走行機体を引っ張りあげる構成のものを提示した。
そして、上記構成の補助操作用アームを使用して畦越え走行する場合に、路面の凹凸等に起因して、ステアリング機構が不測に操作されると、走行の安定感を欠くために、補助操作用アームを作用姿勢に切換えると、ステアリング機構をロックするロック機構を設けていた。
つまり、ハンドル操作によって左右揺動駆動されるピットマンアーム44の上面に係合用の突起45を設けるとともに、補助操作用アーム16が作用姿勢に切り換わることに連動して突起45に係合して、ピットマンアーム44の左右揺動を阻止する操向牽制部材42を設けてあった(例えば、特許文献1参照)。
ステアリング機構としては、ハンドル操作によって駆動されるピットマンアーム14に左右のタイロッド15,15を介して操向用前輪のナックルアームを連係して、構成してあった(例えば、特許文献2参照)。
また、補助操作用アーム30とセンターマーカー41とを別個に機体に取り付けていた(例えば、特許文献3参照)。
また、補助操作用アーム16のステ−16aにセンターマーカー21を支点bを中心に起伏回動自在に取り付けてあった(例えば、特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−127983号公報(段落番号〔0050〕、図21及び図23)
【特許文献2】
特開2002−68002号公報(段落番号〔0033〕、図2から図4)
【特許文献3】
特開2002−272226号公報(段落番号〔0033〕、〔0036〕、図1及び図3)
【特許文献4】
特開2000−127983号公報(段落番号〔0046〕、図2、図4及び図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1によると、補助操作用アームを作用姿勢に設定した場合に、ピットマンアームの作動を阻止することによって、ステアリング機構の作動を停止させる構成を採っていた。つまり、ハンドルによって直接駆動されるステアリング機構としてのピットマンアームを阻止機構に利用する形態を採っているので、畦越え走行時において走行面の凹凸の影響を受けてステアリング機構が作動しようとする場合には、その作動を受け止めて停止させる毎に、ピットマンアームに衝撃的な荷重が作用することもあり過度の負担を掛けることにもなるので、ピットマンアーム自体の損傷を回避するためには、ステアリング機能に加えてストッパとしての機能を果すべく、板厚を厚くする等の機械的強度を向上させる措置を採る必要がある等の問題があった。
特許文献2によると、ピットマンアーム、タイロッド、ナックルアームのようにリンク連係によるステアリング機構を構築しているので、ハンドル操作によって機体左右方向に揺動作動するピットマンアームと、そのピットマンアームの左右揺動につれてナックルアームを駆動すべく、自身の軸芯方向だけでなくその軸芯に直交する方向へも平行移動するタイロッドとの、作動スペースを確保するために前輪の足周り近傍に大きな占有スペースを必要とする欠点があるとともに、パワーステアリング機構を採用する際に採用しにくい面があった。
特許文献3によると、補助操作用アームとセンターマーカーとは別個に機体に取り付けあった。
特許文献4によると、補助操作用アームにおけるパイプをアーチ状に形成し、その補助操作用アームの先端に形成された握り部よりも基端側位置にステーを設け、そのステーにセンターマーカーを起伏揺動自在に取り付けていた。したがって、補助操作用アームとして必要な構成に加えて、センターマーカーを取り付けるためのステーを別個に設ける必要があるとともに、そのステーに機体前後方向に位置変更自在にセンターマーカーを取付けているだけであるので、取付方法に工夫を必要としていた。
【0005】
本発明はこのような点に着目してなされたものであって、補助操作用アームを作用姿勢に設定した場合にステアリング機構を作動停止させるのに、ステアリング機構に負担の少ない機構を採用し、ステアリング機構として作動スペースを少なくできるものを採用し、センターマーカーの補助操作用アームへの取付けに工夫を凝らして、取付構造を簡素化できる乗用作業機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
[請求項1に係る発明の構成、作用および効果]
【0007】
(構成) 請求項1に係る発明の乗用作業機は、ラック・ピニオン方式のステアリング機構を備えた走行機体に、降車状態での走行機体の誘導操作を可能にする補助操作用アームを、前記走行機体に対して、その走行機体の前方に延出される作用姿勢と起立した格納姿勢とに切換え可能に取り付け、前記ステアリング機構の前方に、前記補助操作用アームに連係されたロック用係合部との係合作用により前記ステアリング機構をロックする被ロック金具を設け、前記補助操作用アームを作用姿勢に切り換えた場合に、前記ロック用係合部と前記被ロック金具との係合が可能となるように構成してあり、その作用効果は次の通りである。
【0008】
(作用効果) 補助操作用アームを作用姿勢に設定すると、補助操作用アームに連係したロック用係合部を被ロック金具に連係するので、畦越え走行時において走行面の凹凸の影響を受けてステアリング機構が作動しようとしても、ステアリング機構は作動しない。しかし、ステアリグ機構が作動しようとするのを受け止めて停止させる毎に、被ロック金具には衝撃的な荷重が作用することもあるが、被ロック金具と繋がっているステアリング機構にはその衝撃的な荷重が直接作用することはない。したがって、ステアリング機構に必要以上の機械的強度を要求する必要がない。一方、被ロック金具はその衝撃力を受け止めるために設けるものであるので、十分強度のあるものとすることができ、また、専用品として被ロック金具を設けるので、他のものに影響されずに独自に機械的強度を設定することができる。
【0009】
そして、ステアリング機構をラック・ピニオン方式とすることにより、ハンドル操作に連動するピニオンによって駆動されるラックは、ラック自身の軸芯に沿って移動するだけであり、軸芯と直交する方向へは移動しない。したがって、ハンドル操作に連動したラック移動にかかる平面的な占有スペースは少なくて済む。
【0010】
[請求項2に係る発明の構成、作用および効果]
【0011】
(構成) 請求項2に係る発明の乗用作業機は、請求項1に記載の発明において、前記ステアリング機構と左右のナックルアームとをタイロッドを介して連係し、前記被ロック金具を、ステアリング操作に連動して縦軸芯周りに揺動するように、左右一方の前記ナックルアームに連係ロッドを介して連係してあり、その作用効果は次の通りである。
【0012】
(作用効果) ハンドル操作によって、ステアリング機構が操作されるとともに、タイロッドを介してナックルアームが操作されて、前輪が操向される。そして、ナックルアームは本来のステアリング機構と連係されるものでありながら、前記した被ロック金具にも連係されるところから、例えば、被ロック金具に連係する連係ロッドを、ナックルアームとは別個に設けた部材に連係する場合に比べて部品点数を少なくできる。
【0013】
また、ピットマンアームに比較して、ラック・ピンオン方式を採る場合には、ラック長さを自由に選定できるので、ナックルアーム近傍までラックを延出することができ、そのラックとナックルアームとを連係するタイロッドもナックルアームの近傍に位置する短い長さのものに設定すればよく、ナックルアームの揺動作動につれてタイロッドが揺動する際の必要とする占有スペースを小さくできる。
【0014】
[請求項3に係る発明の構成]
【0015】
(構成) 請求項3に係る発明の乗用作業機は、請求項2に記載の発明において、前記被ロック金具における、左右一方の前記ナックルアームが位置する側とは反対側の左右一側部に、前記連係ロッドを連結してある
【0016】
[請求項4に係る発明の構成]
【0017】
(構成) 請求項4に係る発明の乗用作業機は、請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の発明において、前記被ロック金具を前記走行機体の左右中央に配備してある
【0018】
[請求項5に係る発明の構成、作用および効果]
【0019】
(構成) 請求項5に係る発明の乗用作業機は、請求項1〜4のうちのいずれか一つに記載の発明において、前記被ロック金具を、エンジン支持フレームの内部空間における上下幅内に配置してあり、その作用効果は次の通りである。
【0020】
(作用効果) 上記構成によると、被ロック金具をエンジン支持フレームと同一高さ位置に配置することができ、比較的地上高を高く採ることができるので、深田であっても圃面等との接触や圃面から突出する事物との接触を未然に回避でき、被ロック金具を傷めることが少ない。しかも、被ロック金具は、補助操作用アームを格納姿勢にした作業走行時や路上走行時においては、ステアリング操作に連れて駆動されるものであるが、エンジン支持フレームと同一高さにあるだけでなくその内部空間にも位置するものであるから、エンジン支持フレームによって他物との接触を回避された状態で、ステアリング操作に連動して作動することになる。
【0021】
[請求項6に係る発明の構成、作用および効果]
(構成) 請求項6に係る発明の乗用作業機は、請求項2〜5のうちのいずれか一つに記載の発明において、前記ナックルアームに後車輪サイドクラッチ用操作機構を連係してあり、その作用効果は次の通りである。
【0022】
(作用効果) ナックルアーム自体は前輪操向用の機能部品であるが、ここでは、更に、後車輪サイドクラッチ用操作機構に対しても連係されているので、後車輪サイドクラッチに対する連係機構としても機能しており、兼用化による部品点数の削減を図ることができる。
【0023】
[請求項7に係る発明の構成、作用および効果]
(構成) 請求項7に係る発明の乗用作業機は、請求項1〜6のうちのいずれか一つに記載の発明において、補助操作用アーム先端部に、ランプを内装したセンターマーカーを取り付けてあり、その作用効果は次の通りである。
【0024】
(作用効果) センターマーカーの取付対象として、補助操作用アームの先端部を選定したので、特許文献3において従来技術として示したように、補助操作用アームの先端部より基端側にステーを設け、そのステーに取付る場合や、走行機体に直接取り付ける場合に比べて、専用の取付対象を設ける必要がない。しかも、補助操作用アームは走行機体の前部に設けられるものであり、作業中においては格納姿勢に設定されるので、センターマーカーに設けるランプの設定高さを運転席の運転者から見易い高さに位置させることができる。
【0025】
[請求項8に係る発明の構成、作用および効果]
(構成) 請求項8に係る発明の乗用作業機は、請求項7に記載の発明において、前記センターマーカーを前記補助操作用アームの先端部に対して着脱自在な二つ割部材で構成し、前記二つ割部材の夫々の内周面に補強リブを形成し、前記補助操作用アームの先端部から突出した規制ピンを、一方の二つ割部材の隣接する補強リブの間に形成された係合溝内に係合させて、前記センターマーカーの軸芯方向での移動規制を行うように構成するとともに、前記規制ピンを他方の二つ割部材に形成した補強リブに当接させることにより、前記センターマーカーの軸芯周りでの揺動範囲を設定してあり、その作用効果は次の通りである。
【0026】
(作用効果) つまり、センターマーカーを二つ割り構成とすることによって、センターマーカーの取付対象がループ状のものであっても、取付けに支障を来たすことはなく、取付制約を少なくできる。しかも、センターマーカーの二つ割部材の内周面に形成された補強リブに着目し、補助操作用アームの先端部に規制ピンを突設することによって、前記した補強リブの隣接するもの同士の間に形成した係合溝内に係合させることによって、センターマーカーが補助操作用アームの先端部の軸芯方向に移動することを規制している。そして、センターマーカーにランプを装備しているので、そのランプに電源を供給する配線を保護し、作用姿勢時に補助操作用アームの先端部を握って操作する作業者の邪魔とならないように、センターマーカーを揺動させるとともに、その揺動範囲を一定範囲に限定すべく、他方の割部材に形成した補強リブに規制ピンを当接させる構成を採用した。
以上のように、補強リブを有効に活用することによって、センターマーカーの移動規制を行うことができ、専用の規制具を設ける必要はない。また、規制ピンや補強リブは二つ割部材の連結によって二つ割部材の内部に隠されるものであり、例えば、メンテナンス作業を行う作業者の作業着等が引っ掛け係止されることがない。
【0027】
【発明の実施の形態】
乗用田植機について説明する。図1に示すように、乗用田植機は、駆動操向型の前車輪1、駆動型の後車輪2で支持された走行機体5の前部にエンジン6、ミッションケース13、運転操縦部8を配するとともに、操縦席9を挟んで後部に施肥装置10及び、リンク機構3を介して昇降自在に4条植型式の苗植付装置4を設けて構成されている。
【0028】
走行伝動構造について説明する。図4に示すように、エンジン6からの動力を主クラッチ兼用のベルト伝動機構11を介して主変速装置としての静油圧式無段変速装置12に伝達するとともに、静油圧式無段変速装置12からの動力をミッションケース13に投入する。
静油圧式無段変速装置(HST)12はHST用油圧ポンプ12AとHST用油圧モータ12Bとからなり、HST用油圧ポンプ12Aのポンプ軸12aを外部に延出し、その延出軸に苗植付装置4等の昇降操作油を供給する油圧ポンプ7を設けてある。
ミッションケース13内に投入された動力は、株間変速装置14、副変速装置15、前輪デフ機構16を介して左右の前車輪1,1に伝達されるとともに、前輪デフ機構16からチェーン伝動機構17を介して後車軸18に伝達されて、後車軸18より左右の後車輪用のサイドクラッチ19A,19Bを介して後車輪2,2に分岐伝達される。
副変速装置15に投入された動力は、左右の前車軸20,20、第1ベベルギヤ機構21、キングピンとして機能する縦向き伝動軸22、第2ベベルギヤ機構23を介して、前車輪1を取り付けた前輪駆動軸24に伝えられる。右前車軸20には、走行用ブレーキ機構25が装着してある。
【0029】
静油圧式無段変速装置12の操作構造について説明する。図3及び図5に示すように、操縦ハンドル8Aの左側に静油圧式無段変速装置12に対する主変速レバー26を配置して、主変速レバー26の基端部に扇状板26Aを一体回転自在に取付ける。扇状板26Aの上周面に歯面26aを形成するとともに、歯面26aに係合するカムフォロア26bを板バネ26Bの先端に取り付けて、主変速レバー26の変速位置を人為的に変更可能でかつ設定位置で位置決めするデテント機構を構成している。
【0030】
扇状板26Aの下方に、横向き軸芯X周りで揺動するチャンネル形状の中継アーム27を配置し、中継アーム27と扇状板26Aとを第1連係ロッド28で連係する。中継アーム27の前方には、静油圧式無段変速装置12のHST用油圧モータ12Aの上下向きトラニオン軸12bを配置し、このトラニオン軸12bを操作するアーム12aと中継アーム27とに亘って第2連係ロッド29を掛け渡して、主変速レバー26で静油圧式無段変速装置12を変速操作可能に構成してある。
【0031】
主変速レバー26については、図11に示すように、案内ガイド溝26Cを形成してあるが、前進域Fと後進域Rとの中間に設けてある中立位置Nにおいて、主変速レバー26を揺動軸芯方向に傾倒させることによって、前進域Fから後進域Rへの切換えを行うことができる。この場合に、中立位置Nにおいて前進側Nfから後進側Nrに傾倒させると、植付クラッチ4Aを切り操作するようにしてある。これにより、後進時に植付機構を作動させないように、植付伝動系内にワンウエイクラッチを設けなくてよい構成を採ることができた。
【0032】
次に、走行用ブレーキ機構25の操作装置について説明する。図6及び図7に示すように、運転操縦部8における右側足載せ部位近くに、操作ペダル30と降車状態で使用する降車操作レバー31とを設けている。
操作ペダル30は、板状の足踏み部30Aとその足踏み部30Aより後方下方に延出された支持杆部30Bとで構成してあり、支持杆部30Bを途中で屈曲して、屈曲基端部30bを機体フレーム5Aに支持させて、その屈曲基端部30bの軸芯周りで上下揺動可能に構成してある。
【0033】
一方、操作ペダル30の内側に降車操作レバー31を設けてあり、図8及び図9に示すように、この降車操作レバー31を板状フレーム部31Bとその板状フレーム部31Bの基端部に形成したチャンネル状のブラケット部31Aとで構成し、このブラケット部31Aを操作ペダル30の屈曲基端部30bに外遊嵌して、降車操作レバー31を操作ペダル30とは独立して操作可能に構成してある。
屈曲基端部30bから前方に向けて前操作アーム30cと後方に向けて後操作アーム30dとを延出するとともに、これらの前操作アーム30cと後操作アーム30dとに平行する状態で、ブラケット部31Aから前方に向かう前アーム部31aと後方に向かう後アーム部31bとを設けてある。
【0034】
操作ペダル30の前操作アーム30cと降車操作レバー31の前アーム部31aとの揺動作動を走行用ブレーキ機構25に伝達する伝達操作機構32について説明する。図6乃至図10に示すように、前操作アーム30cと前アーム部31aとの下方にチャンネル状の受け具32Aを配置し、受け具32Aを前操作アーム30cと前アーム部31aとの横外側面に密着する状態で下から宛がうように外嵌し、前操作アーム30cと前アーム部31aとを、受け具32Aの両側板部とともに、それらを貫通するピン32aで連結してある。ピン32aが貫通する前操作アーム30cの貫通孔30fと前アーム部31aの貫通孔31cとは夫々上下に長い円弧状長孔となっている。これらの長孔30f,31cによって、操作ペダル30と降車操作レバー31との一方が操作されれば、図10に示すように、受け具32Aが下方に移動することになるが、操作ペダル30と降車操作レバー31の他方のものは、長孔30f又は31cによってピン32aの移動を許容するだけで、連動して移動はしない。
【0035】
受け具32Aからは縦向きの上下ロッド32Bが延出してあり、この上下ロッド32Bがアングル状の横向きアーム33に貫通するとともに、そのアーム33に受け止められながら上下ロッド32Bに外嵌されて、その上下ロッド32Bを押し上げ付勢する押上げバネ35とを設けている。押し上げバネ35によって受け具32Aに取付られたピン32aは、図10に示すように、各前操作アーム部30cと前アーム部31aとに形成された貫通孔の上端に当接してある。
図6及び図12に示すように、横向きアーム33は、走行用ブレーキ機構25を駆動操作する駆動アーム33Aに連係されており、バネ付勢力に抗して押し下げられると、駆動アーム33Aをその駆動アーム33Aの軸芯周りに回転させることによって、ブレーキを入り状態に切換えることができる。つまり、図12に示すように、駆動アーム33Aの内端部に形成したD型断面部33aを駆動アーム自身の軸芯周りに回転させることによってブレーキ押圧板25Aに作用させて、ブレーキ押圧板25Aを押圧変形させて、走行用ブレーキ機構25を入り作動させるようにしてある。ブレーキ操作を解除すると、押し上げバネ35によって操作前状態に復帰する。
【0036】
図5及び図6に示すように、後操作アーム30dと後アーム部31bとは、それらの下方に設けてあるアングル状の受けフレーム37に上方から当接しており、上向きに付勢されている操作ペダル30と降車操作レバー31とを、操作される前の姿勢に維持する機能を担っている。図8及び図9に示すように、操作ペダル30を上向きに付勢するバネ57は、機体フレーム5Aに支持された支持杆部30bに装着された駆動アーム34に作用する復帰バネである。降車操作レバー31を復帰させるバネ43は、ブラケット部31Aに装着されているバネである。受けフレーム37には、リミット式のスイッチ38が設けてあり、スイッチ38はエンジン始動を許容する信号を発するように構成してある。このように、受けフレーム37は、スイッチ38の取付ブラケットであるとともに、操作ペダル30と降車操作レバー31の待機位置を設定する部材とに兼用されている。受けフレーム37は、降車操作レバー31の戻しバネを受け止めるフレーム、その他、図示していないが、植付クラッチアーム、及び、施肥クラッチアームに対する戻しバネの取付けフレームとして機能している。
【0037】
スイッチ38の前方側には、操作ペダル30の前操作アーム30cより下向きにリミットドッグ30eを設けてあり、操作ペダル30を踏み込み操作すると、リミットドッグ30eがスイッチ38を入り操作して、エンジン6の始動を許容する。
【0038】
操作ペダル30と降車操作レバー31とは相手側を連動させずに操作できるものとして説明したが、図13及び図14に示すように、降車操作レバー31の板状フレーム部31Bに連結具36を軸支してあり、この連結具36を図示するように、操作ペダル30の足踏み部30Aに係合させることによって操作ペダル30と降車操作レバー31とを一体で揺動操作することが可能になっている。
【0039】
操作ペダル30と降車操作レバー31との操作状態を維持するロック機構について説明する。図15及び図16に示すように、操作ペダル30の前方側に、運転操縦部8の搭乗ステップ8Bにロックレバー46を前後揺動自在に取付けてあり、ロックレバー46に前方に向けて非係合方向に付勢するバネ46Bと支柱部分にロック片46Aを設けてある。このような構成において、操作ペダル30を踏み込み操作して操作ペダル30の足踏み部30Aをロック片46Aに係止させると、踏み込み状態が維持される。
また、降車操作レバー31を押し下げ操作して、ロックレバー46を弾性的に降車操作レバー31に向けて傾倒させて、ロック片46Aを降車操作レバー31の板状フレーム部31Bに係止することによって、降車操作レバー31をロックする状態に維持する。
【0040】
操作ペダル30と降車操作レバー31とは、走行用ブレーキ機構25を操作するだけでなく、次に記すように、静油圧式無段変速装置12の中立位置戻し機構39や主クラッチ兼用のベルト伝動機構11を切り状態に設定する切り連係機構40に連係されており、その連係について説明する。
図7、図19及び図20に示すように、中立位置戻し機構39は、操作ペダル30の屈曲基端部30bを操作ペダル30とは反対側に突出させて、突出端に駆動アーム34を取付固定するとともに、静油圧式無段変速装置12用の中継アーム27の上方に中立戻しアーム41を揺動自在にし、駆動アーム34と中立戻しアーム41とを第3連係ロッド42で連結して、静油圧式無段変速装置12をブレーキ操作に連動して中立位置に戻し操作するように構成してある。
【0041】
戻し操作の具体的構成について説明する。図18乃至図21に示すように、中継アーム27はチャンネル状に形成されており、左右の両側板に亘る状態でかつ揺動軸芯X位置を挟んで上下二箇所に戻しピン27a、27bを架設してある。この二つの戻しピン27a,27bに対して中立戻しアーム41の後端縁41aが接当することによって、中継アーム27を静油圧式無段変速装置12の中立位置に対応する姿勢に復帰させる。
【0042】
つまり、図19に示すように、主変速レバー26を前進域に操作した場合に、デテント機構によってその操作位置が保持されている。この場合に、中継アーム27は、図示するように、上の戻しピン27aが中立戻しアーム41に近接する方向に揺動する。ここで図20に示すように、操作ペダル30を踏み込み操作すると、走行用ブレーキ機構25が操作されると同時に中立戻しアーム41が後ろ向きに揺動する。揺動する中立戻しアーム41の後端縁41aがまず上の戻しピン27aに接当して後方に移動させるように中継アーム27を揺動開始させるとともに中継アーム27の揺動が進むと下の戻しピン27bが中立戻しアーム41の後端縁41aに接当して、上下両方の戻しピン27a,27bが後端縁41aに接当する。この状態で中継アーム27の揺動は停止する。中継アーム27の停止位置が静油圧式無段変速装置12の中立位置であり、走行は停止する。
【0043】
主変速レバー26が後進域Rに操作されている場合には、図21に示すように、中継アーム27は、図示するように、下の戻しピン27bが中立戻しアーム41に近接する方向に揺動する。ここで、操作ペダル30を踏み込み操作すると、走行用ブレーキ機構25が操作されると同時に中立戻しアーム41が後ろ向きに揺動する。ここまでは、図19に示す場合と同様である。揺動する中立戻しアーム41の後端縁41aがまず下の戻しピン27bに接当して後方に移動させるように中継アーム27を揺動開始させるとともに中継アーム27の揺動が進むと上の戻しピン27aが中立戻しアーム41の後端縁41aに接当して、上下両方の戻しピン27a、27bが後端縁41aに接当する。この状態で中継アーム27の揺動は停止する。中継アーム27の停止位置が静油圧式無段変速装置12の中立位置であり、走行は停止する。
以上の構成により、操作ペダル30を踏み込み操作すると、走行用ブレーキ機構25をブレーキ入り作動させると同時に静油圧式無段変速装置12を中立位置に戻し操作して、走行機体5を停止させる。
【0044】
主クラッチ11を切り状態に設定させる切り連係機構40について説明する。図6及び図7に示すように、主クラッチ11は、エンジン6の出力軸に取り付けた出力プーリ11Aと、静油圧式無段変速装置12の入力軸に取り付けた入力プーリ11Bとに亘って伝動ベルト11Cを架渡すとともに、伝動ベルト11Cにテンション力を付与するテンション輪11Dを揺動アーム44に取り付けて構成してある。揺動アーム44はバネ43によってテンション力付与側に付勢されている。
切り連係機構40は、揺動アーム44の機体フレーム5Aに枢支されている基端アーム部44Aを降車操作レバー31近くまで延出するとともに、延出端に連結アーム44Cを取付固定し、連結アーム44Cの先端に繋ぎリンク44Bを相対揺動自在に連結し、この繋ぎリンク44Bと降車操作レバー31の前アーム部31aとに亘って第4連結ロッド45を掛け渡して、降車操作レバー31の操作によってテンション輪11Dを切り位置に復帰させるように構成してある。
以上の構成により、降車操作レバー31を押し込み操作すると、走行用ブレーキ機構25を切り操作すると同時に、主クラッチ11を切り操作する。
【0045】
以上、纏めると次のようになっている。
(イ)操作ペダル30と降車操作レバー31とは、原則的に各別に操作が可能である。
操作ペダル30のみを操作すると、走行用ブレーキ機構25を切り操作するとともに、静油圧式無段変速装置12を中立位置にして走行機体5を停止させる。主クラッチ11は入り状態にあるので、エンジン6からの動力で油圧ポンプ7の作動は維持されており、苗植付装置4の昇降は行える。また、走行用ブレーキ機構25を解除して走行状態に切換える場合にも操作ペダル30の踏み込み操作を解除するだけなので、操作が容易である。
降車操作レバー31を操作する場合は、畦越え時等に運転者が降車した状態で操作するものである。そこで、降車操作レバー31の握り部31Cを握って下向きに押し込み操作すると、走行用ブレーキ機構25が切操作されると同時に、主クラッチ11が切り操作される。したがって、静油圧式無段変速装置12は中立位置Nへは戻し操作されてはないので、坂道発進する場合にも、主変速レバー26を操作する必要はなく、降車操作レバー31を戻し操作すれば、走行機体5が移動を開始する。
(ロ)操作ペダル30と降車操作レバー31とは、連結具36によって連結することによって、一体として操作が可能であり、操作のし易い操作ペダル30で操作することができる。そこで発進時に連結具36によって連結した状態の操作ペダル30を踏み込めば、降車操作レバー31も操作され、主クラッチ11も切り操作されるために、油圧ポンプ等の負荷が連結を解除される。したがって、リコイル等を使用したエンジン始動操作が軽く行えるようになる。
(ハ)操作ペダル30又は降車操作レバー31をロックした状態で降車した場合にも、連結具36によって連結することによって、ロックを解除できる。
【0046】
次に、ステアリング操作機構47について説明する。図23及び図24に示すように、ステアリング操作機構47として、ラックピンオン方式のステアリング機構47Aを採用し、前車輪1のナックルアーム1A,1Bとステアリング機構47Aのラック47aの一端とをタイロッド1Cで連結し、操縦ハンドル8Aの操作によってピニオン47b及びラック47aを駆動して、左右の前車輪1,1を操向可能に構成してある。
【0047】
一方、ミッションケース13の後端部における後車輪2への出力部に左右のサイドクラッチ19A,19Bを設けてあり、左右のサイドクラッチ19A,19Bは、図4に示すように、摩擦多板式クラッチである。左右のサイドクラッチ19A,19Bに対しては、摩擦多板を押圧操作するクラッチヨークに対するクラッチアーム19a,19bを設けてある。
【0048】
図23及び図24に示すように、これら左右のサイドクラッチ19A,19Bに対しては、操縦ハンドル8Aの操作に連動して操作するように構成すべく、左右の前車輪1の左右のナックルアーム1A,1Bと左右のサイドクラッチ19A,19Bのクラッチアーム19a,19bとを左右の第5連係ロッド48A,48Bで連係してある。左右の第5連係ロッド48A,48Bの連係は、左のナックルアーム1Aと右のクラッチブレーキ19Bのクラッチアーム19bとを連係し、右のナックルアーム1Bと左のクラッチブレーキ19Aのクラッチアーム19aとを連係する構成であり、第5連係ロッド48A,48Bを襷掛けとすることで、第5連係ロッド48A,48Bには引張力のみが作用する構成となっている。
【0049】
左右のナックルアーム1A,1Bと左右の第5連係ロッド48A,48Bとの連係部位には、左右連係用ブラケット49A,49Bが左右の第5連係ロッド48A,48Bに連結固定されている状態で設けてあるとともに、左右連係用ブラケット49A,49Bの連係部位に係合用長孔49a,49bが形成してあり、係合用長孔49a,49b内にナックルアーム1A,1Bより係合ピン1a,1bが係合されて、ナックルアーム1A,1Bより第5連係ロッド48A,48Bに操作力が伝達されるように構成してある。
ここで、直進状態にあっては、係合ピン1a,1bは係合用長孔49a,49bの前端部に接当する状態であり、この状態より例えば、左側にハンドル操作すると、左の前車輪1の左旋回とともに左のナックルアーム1Aが左回転するが、左の係合ピン1aは係合用長孔49a内を相対移動するだけで左の第5連係ロッド48Aへは動力を伝達しない。
一方、右のナックルアーム1Bも左回転を行うが、右のナックルアーム1Bの係合ピン1bは係合用長孔49Bの前端縁に接当して右の第5連係ロッド48Bを引っ張り操作し、左のサイドクラッチ19Aを操作する。このように、左右の第5連係ロッド48A,48Bには引張力だけしか作用しないので、曲げ荷重が作用せず、部材の機械的強度を抑えることができる。
【0050】
次ぎに畦越え走行時での操作構造について説明する。図25乃至図28に示すように、走行機体5の前端部に横軸芯Y周りで上下揺動自在な補助操作用アーム50を取付るとともに、補助操作用アーム50をアーチ型のパイプ製の握り部50Aと、そのアーチ型のパイプ製の握り部50Aを支持する左右の揺動アーム50Bとを形成してある。補助操作用アーム50を機体前方に揺動倒伏させると、畦越え走行時の作用姿勢に設定することができ、機体側に立ち上げ立設させると通常走行時の格納姿勢に切換えることができる。
補助操作用アーム50の揺動軸芯位置には、図示してはないが、摩擦保持機構を設けてあり、人為操作力で摩擦保持力に抗して補助操作用アーム50を揺動可能に構成するとともに、摩擦保持機構によって揺動設定位置で姿勢が保持されるように構成してある。
【0051】
補助操作用アーム50の後方には、図27及び図28に示すように、扇型状の被ロック金具51を縦軸芯Z周りで揺動自在に支持するとともに、この被ロック金具51に第6連係ロッド55を左右一方のナックルアーム1Aに連結してある。従って、ステアリング操作を行うと、ナックルアーム1Aの回転につれて被ロック金具51も回動する。
【0052】
被ロック金具51の前方に横向きに長いロックロッド52をブラケット53に揺動自在に支持するとともに、ロックロッド52の先端を折り曲げ形成して先端係合部52Aに形成し、被ロック金具51の外周縁に形成した係合凹部51Aに前記先端係合部52Aを係合離脱可能に構成してある。
機体左右向き姿勢に載置されたロックロッド52の右端部に機体前後方向姿勢の駆動ロッド54を貫通させて、駆動ロッド54のロックロッド52軸芯周りでの上下揺動作動によって、ロックロッド52をその左右向き軸芯P周りで揺動自在に構成するとともに、駆動ロッド54の先端を補助操作用アーム50の右端部に係合連係してある。この構成によって、図27に示す状態より、前記軸芯Y周りで前側に揺動させると、補助操作用アーム50を作用姿勢に切換え操作すると、ロックロッド52が直進状態にある被ロック金具51の係合凹部51Aに係合して、畦越え時にはステアリング操作を阻止する構成とするとともに、補助操作用アーム50を格納姿勢に切換え操作すると、図28に示すように、ロックロッド52が自身の軸芯周りで回動して、先端係合部52Aが係合凹部51Aより離間して、ステアリング操作を可能にする。このような構成によって、畦越え時に不測にステアリング操作が行われることはない。
駆動ロッド54に外嵌されているバネ54Aは、駆動ロッド54をロックロッド52から離間する方向に作用しており、補助操作用アーム50を格納姿勢に付勢し、補助操作用アーム50の作用姿勢への戻りを抑制するように構成してある。
図25乃至図28に示すように、被ロック金具51を、エンジン支持フレーム6Aの内部空間であって、エンジン支持フレーム6Aと同一高さ位置に位置させてある。
【0053】
以上のような構成より、畦越え時においては、前上がり傾斜で前進する走行機体5が推進反力で機体前部が浮き気味になる場合には、補助操作用アーム50を作用姿勢に倒伏させて作用姿勢に切換え、この補助操作用アーム50を押し下げ操作して機体前部の浮き上がりを阻止しながら、路面が荒れている場合には、握り部50Aを握って作業者は走行機体5に先行してその走行機体5を引っ張りあげるとともに、適宜、降車操作レバー31を押し下げ操作して走行用ブレーキ機構25を操作するようにしてある。
【0054】
補助操作用アーム50に取付るセンターマーカー56について説明する。図29及び図30に示すように、補助操作用アーム50の先端部としてのアーチ型のパイプ製の握り部50Aに、センターマーカー56を取り付ける。センターマーカー56は、ポール状の先端本体部56Aと先端本体部56Aの第1球状基端部56aに対して嵌合締め付け固定される第2球状基端部56bとからなる。センターマーカー56は全体が樹脂製であり、第1及び第2球状基端部56a、56bから先端本体部56Aに掛けて中空状に形成してあり、先端本体部56Aの先端に設けた表示部分56eへの配線経路を構成してある。
【0055】
規制ピン50aの横には内部空間に連通する貫通孔50bが形成してあり、この貫通孔50bは、センターマーカー56が装着された状態で、第1球状基端部56aと第2球状基端部56bとで形成する内部空間に開口する。これによって補助操作用アーム50内の配線用空間を通して、走行機体5から延出された配線が、前記貫通孔50bを介して第1球状基端部56aと第2球状基端部56bとで形成する内部空間に入り込んで先端の表示部分56eまで延伸される。
表示部分56eにおいては、苗のせ台での苗切れやその他の異常があった場合の情況を知らせるために、点灯されるランプ56fを備えている。
【0056】
第1球状基端部56aと第2球状基端部56bには、図30に示すように、内周面に補強リブ56cが設けてあり、第1球状基端部56aと第2球状基端部56b内に設けてある補強リブ56cは第1球状基端部56aと第2球状基端部56bが組み付けられた状態では、一方の補強リブ56cが相手側の補強リブ56cに当接して組み付け状態を設定している。また、第2球状基端部56bを取り付ける、補助操作用アーム50の握り部50Aにおける表面より規制ピン50aを突設している。
この規制ピン50aは、第2球状基端部56bにおける隣接する補強リブ56c間に入り込んで、第2球状基端部56b、ひいては、その第2球状基端部56bと結合されたセンターマーカー56自体が、握り部50Aの軸芯方向への位置ズレを起こすことを規制している。
【0057】
規制ピン50aを嵌合した、第2球状基端部56bにおける隣接する二つの補強リブ56c、56c間に形成された間隙に対して蓋をするように、第1球状基端部56aにおける補強リブ56cが位置している。これによって、図29に示すように、センターマーカー56自体を握り部50Aの軸芯周りに回動させると、規制ピン50aは第2球状基端部56bにおける隣接する二つの補強リブ56c間に位置して補強リブ56cに沿う状態で相対的に回動可能であるが、円周方向の180度の範囲内で回動はゆるされており、180度を越える範囲においては、第1球状基端部56aに当接して、移動が規制される。このような構成によって、センターマーカー56が揺動しても、貫通孔50bを介して補助操作用アーム50のパイプ製の握り部50Aよりセンターマーカー56の内部空間に導入された配線が断線または捩れることなく、接続を維持する。
【0058】
以上のような構成によって、図25に示すように、補助操作用アーム50が縦向きの格納姿勢においては、図29(イ)に示すように、センターマーカー56も縦向き姿勢になっているが、ここでは、規制ピン50aが第1球状基端部56aにおける補強リブ56cの一端に当接して、位置規制が行われている。図26に示すように、補助操作用アーム50を作用姿勢に倒伏させた場合には、図29(ロ)に示すように、センターマーカー56を走行機体5側に折り曲げる必要があるが、その状態では、規制ピン50aが第1球状基端部56aにおける補強リブ56cの他端に当接して位置決めされる。
【0059】
[別実施の形態]
(1) 本発明は、乗用田植機、及び、施肥装置、薬剤散布装置等を併設した田植機、或いは、直播機等に適用可能である。
(2) 補助操作用アーム50としては、アーチ状にパイプフレームを曲げ形成したものを使用しているが、アーチ状ではなくL字型に構成して、走行機体5の一方の側面に軸支するものでもよい。
(3) ステアリング操作機構47として、ラック・ピニオン式のものを使用し、操縦ハンドル8Aをピニオン47bに連動させて人為的にラック・ピニオンを駆動しているが、図示していないがパワーステアリング機構を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 乗用田植機の全体側面図
【図2】 乗用田植機の全体平面図
【図3】 乗用田植機の正面図
【図4】 伝動装置の系統図
【図5】 静油圧式無段変速装置(主変速装置)に対する操作構造を示す側面図
【図6】 操作ペダルと降車操作レバーを示す側面図
【図7】 操作ペダルと降車操作レバーとの操作系統図
【図8】 操作ペダルと降車操作レバーとの基端部における走行用ブレーキ機構に対する連係構造を示す斜視図
【図9】 図8で示した、操作ペダルと降車操作レバーとの基端部におけるブレーキ操作構造に対する連係構造を示す平面図
【図10】 降車操作レバーとブレーキ操作構造との連係を示す側面図
【図11】 主変速レバーの案内溝を示す平面図
【図12】 走行用ブレーキ機構に対する操作構造を示す横断平面図
【図13】 連結具で操作ペダルと降車操作レバーとを連結する状態を示す側面図
【図14】 連結具を示す要部平面図
【図15】 操作ペダルにロック具を作用させた状態を示す側面図
【図16】 降車操作レバーにロック具を作用させた状態を示す側面図
【図17】 降車操作レバーにロック具を作用させた状態を示す背面図
【図18】 静油圧式無段変速装置の中立位置戻し機構における中継アームと中立戻しアームとを示す斜視図
【図19】 静油圧式無段変速装置の中立位置戻し機構を示し、主変速レバーを前進位置に設定した状態を示す作用側面図
【図20】 静油圧式無段変速装置の中立位置戻し機構を示し、ブレーキ操作によって主変速レバーを中立位置に設定した状態を示す作用側面図
【図21】 静油圧式無段変速装置の中立位置戻し機構を示し、主変速レバーを後進位置に設定した状態を示す作用側面図
【図22】 乗用田植機のエンジンボンネット内構造を示す縦断側面図
【図23】 ステアリング操作機構を示す平面図
【図24】 ステアリング操作機構におけるステアリング機構とナックルアームとの連係を示す平面図
【図25】 格納姿勢に設定した補助操作用アームの取付構造及びステアリング操作機構との連係を示す側面図
【図26】 作用姿勢に設定した補助操作用アームの取付構造及びステアリング操作機構との連係を示す側面図
【図27】 格納姿勢に設定した補助操作用アームとロック金具及びロック金具とステアリング操作機構との連係を示す平面図
【図28】 ロック金具に対する補助操作用アームのロックロッドとの係合作用前の状態を示す縦断側面図
【図29】 センターマーカーを補助操作用アームに取り付けた状態を示す縦断側面図
【図30】 センターマーカーの第1、第2球状基端部を示す縦断正面図
【符号の説明】
1A,1B ナックルアーム
1C タイロッド
5 走行機体
6A エンジン支持フレーム
19A,19B 後車輪サイドクラッチ
47A ステアリング機構
50 補助操作用アーム
50A 先端部
50a 規制ピン
51 被ロック金具
52A ロック用係合部
55 連係ロッド
56 センターマーカー
56a,56b 二つ割部材
56c 補強リブ
56e ランプ

Claims (8)

  1. ラック・ピニオン方式のステアリング機構を備えた走行機体に、降車状態での走行機体の誘導操作を可能にする補助操作用アームを、前記走行機体に対して、その走行機体の前方に延出される作用姿勢と起立した格納姿勢とに切換え可能に取り付け
    前記ステアリング機構の前方に、前記補助操作用アームに連係されたロック用係合部との係合作用により前記ステアリング機構をロックする被ロック金具を設け
    前記補助操作用アームを作用姿勢に切り換えた場合に、前記ロック用係合部と前記被ロック金具との係合が可能となるように構成してある乗用作業機。
  2. 前記ステアリング機構と左右のナックルアームとをタイロッドを介して連係し、
    前記被ロック金具を、ステアリング操作に連動して縦軸芯周りに揺動するように、左右一方の前記ナックルアームに連係ロッドを介して連係してある請求項1に記載の乗用作業機。
  3. 前記被ロック金具における、左右一方の前記ナックルアームが位置する側とは反対側の左右一側部に、前記連係ロッドを連結してある請求項2に記載の乗用作業機。
  4. 前記被ロック金具を前記走行機体の左右中央に配備してある請求項1〜3のうちのいずれか一つに記載の乗用作業機。
  5. 前記被ロック金具を、エンジン支持フレームの内部空間における上下幅内に配置してある請求項1〜4のうちのいずれか一つに記載の乗用作業機。
  6. 前記ナックルアームに後車輪サイドクラッチ用操作機構を連係してある請求項2〜5のうちのいずれか一つに記載の乗用作業機。
  7. 前記補助操作用アームの先端部に、ランプを内装したセンターマーカーを取り付けてある請求項1〜6のうちのいずれか一つに記載の乗用作業機。
  8. 前記センターマーカーを前記補助操作用アームの先端部に対して着脱自在な二つ割部材で構成し、
    前記二つ割部材の夫々の内周面に補強リブを形成し、前記補助操作用アームの先端部から突出した規制ピンを、前記一方の二つ割部材の隣接する補強リブの間に形成された係合溝内に係合させて、前記センターマーカーの軸芯方向での移動規制を行うように構成するとともに、
    前記規制ピンを他方の二つ割部材に形成した補強リブに当接させることにより、前記センターマーカーの軸芯周りでの揺動範囲を設定してある請求項7に記載の乗用作業機。
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