JP4136991B2 - 魚釣用電動リール - Google Patents
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従来周知のようにこの電動リールは、スプール駆動モータ(以下、「スプールモータ」という)の駆動でスプールを回転させて釣糸の巻取りを行うもので、特許文献1に開示されるように昨今の電動リールには、釣場の状況(例えば、対象魚の大きさや種類,魚とのファイトやヒット数)に応じた釣糸の巻取り操作を行うべく、リール本体に変位可能に装着したモータ出力調節体(調節レバー)の操作でスプールモータへの電流量を制御することにより、モータ出力を調節して釣糸の巻取り速度を変化させる電気式変速装置が知られており、釣人は状況に応じモータ出力調節体を操作して、実釣に即した釣糸の巻取り操作を行っている。
そこで、斯かる不具合を解決するため、特許文献2には上述した電気式変速装置に加え、スプールモータのモータ軸とこのモータ軸の回転をスプールに伝達する動力伝達機構との間に、ギヤ比の異なる高速用減速歯車機構と低速用減速歯車機構とを動力伝達可能に連結し、リール本体の操作パネル上に設けた高速モードスイッチと低速モードスイッチの操作でスプールモータの回転方向を変えることにより、高速用減速歯車機構と低速用減速歯車機構のいずれか一方を選択的に動力伝達可能として、スプールの回転速度を変化させる機械式変速装置を備えた電動リールが開示されている。
しかし乍ら、電気式変速装置と機械式変速装置を備えた特許文献2の電動リールにあっては、高速モードスイッチと低速モードスイッチの押圧操作で機械式変速装置の切換えを行い、また、リール本体に装着したモータ出力調節体の変位操作で、別途電気式変速装置の出力調節を行わなければならないため、変速操作が煩わしく時間がかかり、魚との対応が遅れて魚の動きに適切に対応できずに魚をバラシてしまう虞があった。
上記モータ出力調節体の変位操作範囲内の操作で、機械式変速装置を高速状態と低速状態とに切換え可能としたことを特徴とする。
図1乃至図9は請求項1及び請求項2の第一実施形態に係る電動リールを示し、図1に於て、1はリール本体3のフレーム、5,7は当該フレーム1の左右に取り付く側板で、両側板5,7間にスプール軸9を介してスプール11が回転可能に支持されている。
スプール軸9はスプール11の軸心を貫通し、その側板5側の一端が、フレーム1に一体的に取り付く第1のセットプレート13に軸受15を介して回転可能に支持されている。そして、この一端側に、後述する動力伝達機構17のスプール軸駆動歯車19が回止め嵌合されている。
そして、側板5側のリール本体3内に、スプールモータ21の回転力をスプール軸9に伝達する機械式変速装置27と第1の減速機構29、そして、前記スプール軸駆動歯車19を含む複数の歯車からなる動力伝達機構17が、スプールモータ21のモータ軸(モータ出力部)31とスプール軸9との間に順次装着されており、スプールモータ21の回転力がこれらの機械式変速装置27や減速機構29,動力伝達機構17で変速/減速されて、スプール軸9に伝達されるようになっている。
そして、上記ピニオン33に低速用減速歯車機構35の低速用歯車37と、高速用減速歯車機構39の高速用歯車41が個別に噛合しており、機械式変速装置27は、この低速用減速歯車機構35と高速用減速歯車機構39とで構成されている。
そして、第1の回転軸43に小歯車63が回止め嵌合され、第2の回転軸47に大歯車65が回止め嵌合されており、これらは互いに噛合し、回転軸43に減速機構29の太陽歯車67が回止め嵌合されている。
図1及び図4に示すように動力伝達機構17は、既述したスプール軸駆動歯車19と上記駆動歯車79、そして、スプール軸駆動歯車19と駆動歯車79との間に配置されてこれらに噛合する大歯車81とで構成されている。そして、図3に示すように大歯車81は、セットプレート13に設けた筒状の支持部83に軸受85を介して回転可能に支持されているが、大歯車81の中央に設けた筒状部86の内周には、セットプレート57に軸支された一方向クラッチ87の外輪89が回止め嵌合されており、ハンドル23の巻取り操作時に当該一方向クラッチ87の楔作用で大歯車81の回転が阻止されて、その反力でハンドル23の駆動力が、後述する減速機構91からスプール11に伝達されるようになっている。
従来と同様、この減速機構91は、スプール軸9の突出端に取り付けられた太陽歯車93とこれに噛合する複数の遊星歯車95、そして、スプール11の一端に刻設された内歯歯車97等からなり、内歯歯車97に遊星歯車95が噛合している。
また、図1中、23は既述した釣糸巻取り操作用のハンドルで、当該ハンドル23は側板7に回動可能に挿着したハンドル軸107の側板外突出端に連結されており、ハンドル軸107にはラチェット109が側板7内で固着され、更にドライブギヤ111が回転可能に取り付けられている。そして、ドライブギヤ111とハンドル軸107は、ハンドル軸107に装着した従来周知のドラグ装置113で摩擦結合されており、ドラグ装置113はドラグ力調節レバー115の操作でドラグ力が調節できるようになっている。
また、図示しないが上記ラチェット109には、周知の図示しないばねで付勢された係止爪が係止しており、斯様にラチェット109に係止爪が係止してスプール11の逆転止めが図られている。
そして、パワーレバー117をモータ停止位置Aからリール本体3の前方(最大操作位置B方向)へ60°回転操作した中間回転操作位置Cで、機械式変速装置27が低速状態から高速状態に切り換わるように構成されており、この中間回転操作位置Cの前半側回転操作領域、即ち、図2中、A〜C間の操作領域(以下、「低速域」という)に於て、マイクロコンピュータは、パワーレバー117の操作量に応じスプールモータ21を一例としてデューティ比0〜100%で駆動制御してモータ出力を増減調節すると共に、スプールモータ21の回転力を低速用減速歯車機構35を介して低速状態でスプール11に伝達させるべく、スプールモータ21を正転方向へ駆動させるようになっている。
一方、ポテンショメータ119には、パワーレバー117の操作量に応じた操作軸121の回転角を検出する角度センサ(図示せず)が取り付けられており、角度センサの検出信号はマイクロコンピュータに入力されている。
このため、回転軸43は低速状態より速い速度で回転し、増幅されたスプールモータ21の回転力が回転軸43から減速機構29の太陽歯車67へと伝達されて、減速機構29から動力伝達機構17を介してスプール軸9へと伝達される。
図7は既述した低速域と高速域に於けるパワーレバー117の操作量に応じた釣糸の巻取り速度を示すもので、図示するように低速域でスプールモータ21がデューティ比100%で駆動しても、スプールモータ21の回転力が低速用減速歯車機構35を介してスプール11に伝達される構造上、巻取り速度は高速域に比し低速となる。
そして、このクラッチOFF状態でハンドル23を巻取り方向へ回転させると、図示しない周知の復帰機構を介してクラッチ機構125がクラッチON状態に復帰するように構成されており、このクラッチレバー127のクラッチON/OFFの切換え操作でスプール11が釣糸巻取り状態と釣糸繰出し状態とに切り換わって、スプール11へのスプールモータ21やハンドル23の回転力が伝達/遮断されるようになっている。
更に、図1に示すように操作パネル135上には、表示器137に隣接してハンドル23側にリセットスイッチ141と棚メモスイッチ143が上下に装着されており、これらはマイクロコンピュータ19に接続されている。
この後、釣人が釣糸を繰り出していくと、スプール11の回転に伴い、CPUで演算,計測された糸長値が上カラ表示部145に表示されるが、釣糸が例えば95.5m繰り出された処で釣人が棚メモスイッチ143を操作すると、棚カラ表示部147に「0.0」が表示されて棚位置が設定され、以後、図9に示すように棚位置から例えば15mの釣糸の巻取りに伴う仕掛けの距離と水面からの繰出し量(水深)が、棚カラ表示部147と上カラ表示部145に夫々表示されるようになっている。
本実施形態に係る電動リール116はこのように構成されているから、クラッチレバー127のクラッチOFF操作で釣糸がスプール11から繰り出され、パワーレバー117によるスプールモータ21の巻取り駆動やハンドル23の巻取り操作でスプール11に釣糸が巻回され、釣糸の繰出しや巻取りに伴い、回転検出手段129の検出値を基に糸長が計測されて表示器137に糸長が表示されるが、図2に示すパワーレバー117の低速域と高速域の切換え操作で、機械式変速装置27が低速用減速歯車機構35による低速状態と、高速用減速歯車機構39による高速状態とに切り換わる。
このように本実施形態によれば、パワーレバー117の回転操作でスプールモータ21のモータ出力を調節し乍ら、パワーレバー117の回転操作範囲内の操作で機械式変速装置27を高速状態と低速状態とに切り換えることができるので、釣人は特別の意識をせずに一つのパワーレバー117の回転操作によって機械式変速と電気式変速の両操作が可能となり、この結果、釣糸の巻取り速度時に魚の動きに対し迅速且つ適切な変速操作が可能となって、魚を不用意にバラシてしまう等のトラブルを回避することが可能となった。
図10に示すように表示器137に隣接させて側板7の上部に、パワースイッチ153がガイド溝155に沿ってリール本体3の前後方向へモータ停止位置Aから最大操作位置Bまでスライド可能に装着されている。
そして、マイクロコンピュータは位置センサの検出信号を基に、パワースイッチ153が操作されて中間スライド操作位置Cの後側スライド操作領域、即ち、図中、C〜B間(後半側移動操作領域)の高速域に入ったと判断すると、第一実施形態と同様、パワースイッチ153のスライド操作量に応じスプールモータ21をデューティ比50〜100%で駆動制御してモータ出力を増減調節すると共に、スプールモータ21の回転力を高速用減速歯車機構39を介して高速状態でスプール11に伝達させるべく、正転していたスプールモータ21を一旦停止させて逆転方向へ再駆動させるようになっている。
一方、スプールモータ169の回転力を高速状態でスプールに伝達させる場合、マイクロコンピュータはソレノイド165の作動を停止するもので、ソレノイド165が停止すると、トーションスプリング167のバネ力で変速切換ストッパ163がラチェット爪歯161に係合し、内歯歯車159の回転が停止して減速機構157が高速状態に切り換わるようになっている。
そして、図1の実施形態と同様、本実施形態に係る電動リール171も、図示しないパワーレバーの回転操作範囲内の操作で、減速機構157が既述した低速状態と高速状態とに切り換わると共に、パワーレバーの低速域と高速域で、夫々、モータ出力がパワーレバーの操作に応じ第一実施形態と同様にデューティ制御されるようになっている。
尚、低速域または高速域でのパワーレバー117やパワースイッチ153の操作による出力調節範囲や変速位置は、低速用減速歯車機構35や高速用減速歯車機構39のギヤ比の設定,モータ特性,リールのサイズやパワー設定等を考慮して適宜条件設定されるもので、例えば低速域でデューティ比0〜90%,高速域でデューティ比40〜100%に条件設定したり、パワーレバー117の変速操作角を40°としたり、その他、色々な条件設定が可能である。
5,7 側板
9 スプール軸
11 スプール
17 動力伝達機構
19 スプール軸駆動歯車
21,169 スプールモータ
23 ハンドル
27 機械式変速装置
29,91,157 減速機構
31 モータ軸
33 ピニオン
35 低速用減速歯車機構
37 低速用歯車
39 高速用減速歯車機構
41 高速用歯車
43,47 回転軸
45,49,87 一方向クラッチ
63 小歯車
65,81 大歯車
67 太陽歯車
79 駆動歯車
116,151,171 電動リール
117 パワーレバー
125 クラッチ機構
127 クラッチレバー
129 回転検出手段
137 表示器
141 リセットスイッチ
143 棚メモスイッチ
149 HI/LOW表示部
153 パワースイッチ
159 内歯歯車
161 ラチェット爪歯
163 変速切換ストッパ
165 ソレノイド
167 トーションスプリング
Claims (2)
- リール本体に回転可能に支持されたスプールを巻取り駆動するスプール駆動モータと、
スプールの駆動系に装着され、当該スプールへのスプール駆動モータの動力伝達を高速状態と低速状態とに切り換える機械式変速装置と、
リール本体に変位可能に装着したモータ出力調節体の操作で、スプール駆動モータへの電流量を制御してモータ出力を増減調節する電気式変速装置とを備えた魚釣用電動リールに於て、
上記モータ出力調節体の変位操作範囲内の操作で、機械式変速装置を高速状態と低速状態とに切換え可能としたことを特徴とする魚釣用電動リール。 - モータ出力調節体は、所定の範囲に亘ってリール本体に回転可能に取り付き、当該モータ出力調節体の所定量の回転操作位置で、機械式変速装置が低速状態から高速状態に切り換わり、
上記回転操作位置の前半側回転操作領域が、機械式変速装置の低速状態に於ける電気式変速装置のモータ出力増減調節範囲で、
上記回転操作位置の後半側回転操作領域が、機械式変速装置の高速状態に於ける電気式変速装置のモータ出力増減調節範囲であることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。
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