JP4136365B2 - セラミック多孔質体及びセラミックフィルタ - Google Patents

セラミック多孔質体及びセラミックフィルタ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック多孔質体、及び、これを用いたセラミックフィルタに関するものである。より詳しくは、骨材の結合材として微粒骨材及びフリットを添加した原料を用い、成形の後に焼結することにより得られる、強度向上が図られれたセラミック多孔質体と、これを用いたセラミックフィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミック多孔質体は、例えば、固液分離あるいは気固分離用のフィルタとして用いられている。セラミック多孔質体を主な構成部材とするセラミックフィルタは、同様の用途に用いられる有機高分子膜等と比較して、物理的強度、耐久性、耐蝕性等に優れるため、水処理や排ガス処理、あるいは医薬・食品分野等の広範な分野において、液体やガス中の懸濁物質、細菌、粉塵等の除去に好適に用いられている。
【0003】
セラミックフィルタにおいては、セラミック多孔質体をそのまま濾材として用いる場合もあるが、濾過性能、流体透過性の双方を向上させるため、平均気孔径の異なる基材と濾過膜とから構成されることが一般的である。例えば、濾過膜の平均気孔径を0.01〜1.0μm程度と小さく構成して濾過性能を確保する一方、基材の平均気孔径を1〜数100μm程度に大きく構成して、基材内部の流動抵抗を低下させ、流体透過量を向上させることが行われている。
【0004】
又、セラミックフィルタは、クロスフロー処理用のフィルタとして利用されることが多い。例えば、特開昭61−8106号公報には、図3に示されるように、シール部3により、基材1端部及び基材1端部近傍の濾過膜2を被覆し、O−リング11とともにシール漏れを防止したクロスフロー処理に好適なフィルタが示されている。
【0005】
クロスフロー処理とは、1パスの全濾過に比べて多い循環被処理流体が供給され、そのうち一定量が濾過され得る濾過処理であり、濾過膜近傍の流速が大きくなることから、全濾過処理に比べて、詰まりを生じ難いという長所を備える。クロスフロー処理において、被処理流体は、基材の一方の端面から流通路内に供給され、流通路内面の濾過膜を透過した濾過流体が、基材外周面側から回収される一方、濾過されなかった被処理流体については、基材の他方の端面側から回収され、循環する。
又、図2に示されるように、濾過膜2と基材1との間に中間層5を備えるセラミックフィルタも知られている。
【0006】
これらのセラミックフィルタは、信頼性が高いこと、耐食性が高いため酸アルカリ等による洗浄を行っても劣化が少ないこと、更には、濾過能力を決定する気孔径の精密な制御が可能であること、において優位性を有する。
【0007】
しかしながら、このようなセラミックフィルタを、流体の濾過に長期間使用すると、例えクロスフロー処理で濾過を行う場合であっても、延べ濾過処理量が増えるに従い、被処理流体中に含まれる懸濁物質、特に有機質懸濁物質が、フィルタの気孔中に詰まり、透過性が著しく損なわれることは避けようがない。
【0008】
そこで、この懸濁物質を取り除き詰まりを解消するために、一般に、以下のことが行われている。
(1)逆洗
通常の濾過処理とは逆に、フィルタの流体透過側(図3における基材1側)から被処理流体供給側(図3における濾過膜2側)へ圧力をかける洗浄処理である。その結果、流体が、流体透過側から被処理流体供給側に流れることも好ましい。この逆洗は、限定されないが、一般に、短時間で蓄積した懸濁物質を除去するために行われ、数分乃至数時間毎に、濾過処理の合間に行われることが多い。懸濁物質は、例えば、被処理流体供給側に戻され、系外に排出される。
(2)薬洗
懸濁物質を溶解するに適した薬品、例えば、苛性ソーダ等のアルカリ性溶液や、クエン酸あるいは次亜塩素酸ソーダ等、を使用した薬液洗浄処理であり、限定されないが、一般に、長時間の間に気孔中に蓄積した懸濁物質を溶解させて取り除くために行われることが多い。
【0009】
従来、このような逆洗、薬洗を繰り返し行うと、徐々にセラミックフィルタの濾過精度が低下する傾向がみられるという問題があった。これは、薬洗によりセラミック多孔質体の結合部が侵食され、その結合強度が低下したところに、濾過処理より高い圧力で逆洗が行われることが多いため、その圧力でセラミックフィルタを構成するセラミック多孔質体が破損し、結果、そのセラミック多孔質体の孔径が大きくなってしまうためと推定された。
【0010】
従って、セラミックフィルタを構成するセラミック多孔質体の強度を向上させれば、上記問題は解決され、逆洗及び薬洗を、より高い圧力で繰り返し施しながら、長期間、濾過精度の安定した濾過処理を行うことが出来る。逆洗及び薬洗の回数を減らす必要がなく、差圧上昇等の状況を踏まえ、緊急に、逆洗又は薬洗を行うにも難がないことから、長期にわたり、基準濾過量(基準温度、基準圧力における濾過量)も低下し難い。このように、優れた強度を有するセラミック多孔質体から構成されるセラミックフィルタは、安定した性能を長期間発揮し得る。
【0011】
又、逆洗時又は薬洗時の問題によらず、濾過処理時においても、被処理流体供給側の懸濁物質濃度が高い場合や、懸濁物質が硬く鋭角を有するものである場合には、セラミック多孔質体が損傷してしまい、長期間、濾過精度の安定した濾過処理を行うことが出来ない問題も生じ得たが、セラミックフィルタを構成するセラミック多孔質体の強度を向上させれば、この問題も解決され得る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものである。そして、目的とするところは、従来と概ね同等の気孔率、気孔径を有しながら、より優れた強度を備えるセラミック多孔質体を提供することにあり、更に、そのセラミック多孔質体を基材、あるいは、濾過膜、中間層等に適用し構成してなり、従来と概ね同等の性能、即ち、濾過精度(透過阻止性能)、基準濾過量を有しながら、より長い安定運転期間を実現し得るセラミックフィルタを提供することにある。
従来の課題を解決するべく、セラミック多孔質体について研究が重ねられ、様々な検討がなされた結果、原料構成の工夫によって、上記目的が達成されることが見出された。より詳細には、以下に示す通りである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、少なくとも骨材及びフリットを含む原料を焼結してなるセラミック多孔質体であって、原料に微粒骨材を含むことを特徴とするセラミック多孔質体が提供される。
【0014】
本発明においては、微粒骨材の粒度が、骨材の粒度の1/2〜1/20であることが好ましく、微粒骨材の含有量は、骨材に対して3質量%以上100質量%以下であることが好ましい。又、その微粒骨材は、アルミナ、ムライト、コージェライト、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウムからなる材料群に含まれる少なくとも1種以上のセラミックスからなることが好ましい。
【0015】
更に、フリットの粒度が、骨材の粒度の1/2〜1/20であることが好ましく、フリットの含有量は、骨材に対して3質量%以上40質量%以下であることが好ましい。フリットは、長石、カオリン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、コージェライト、カルシア、マグネシア、Na2O、La23、Li2O、K2Oからなる材料群に含まれる1種の材料若しくは2種以上の混合材料からなることが好ましい。
【0016】
又、本発明によれば、少なくとも基材と濾過膜とを備えたセラミックフィルタであって、基材及び濾過膜のうち少なくとも何れか一方が、上記したセラミック多孔質体からなるセラミックフィルタが提供される。本発明により、セラミックフィルタを構成する、上記したセラミック多孔質体からなる基材、濾過膜、中間層も提供される。その基材の平均気孔径は1〜500μmであることが好ましく、その濾過膜の平均気孔径は0.01〜1μmであることが好ましく、その中間層の平均気孔径は0.1〜5μmであることが好ましい。
【0017】
更には、本発明によれば、骨材に、粒度が骨材の1/2〜1/20である微量骨材を、骨材の最小3質量%最大100質量%となるように混合し、粒度が骨材の1/2〜1/20であるフリットを、骨材の最小3質量%最大40質量%となるように混合し混合物を得た後、混合物を成形して成形体を得て、900〜1550℃で成形体を焼結することを特徴とするセラミック多孔質体の製造方法が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係るセラミック多孔質体は、少なくとも骨材及びフリットを含む原料を焼結して得られるものであり、骨材及びフリットに加えて、粒径の小さい微粒骨材を含むことに特徴がある。
【0019】
従来から、骨材にフリットを加え混合した原料は、フリットが結合材として働き、骨材のみの場合には必要であった骨材の焼結温度以上での焼結ではなく、より低温での焼結により骨材の結合強度を発現させ得ることは知られているが、骨材にフリットを加えた原料に、更に、微粒骨材を加えて混合した原料は、フリットが結合材として働き、尚且つ、微粒骨材が、骨材間のフリットの中に入り骨材間を埋めるように存在するため、同じ製造条件下において、更に強度が増し、劣化し難くなる。
【0020】
このような特徴を有し平均気孔径が異なる種々のセラミック多孔質体を用いて構成されるセラミックフィルタは、優れた強度を有することから、濾過される供給流体の懸濁物質濃度が高くても、又、懸濁物質に硬く鋭角を有するものが含まれていても、濾過精度を低下させることなく、処理することが可能である。又、セラミック多孔質体にとって、より厳しい状態におかれる逆洗時又は薬洗時においても、劣化し難いことから、状況に応じ逆洗及び薬洗の回数を増やすことが可能である。従って、本発明に係るセラミックフィルタによれば、供給流体を選ばず、且つ、長期間、濾過された流体の品質が低下せず、安定した濾過処理を実現することが出来る。
【0021】
本明細書において粒度とは、所定の制御された粒径分布のメジアン径を意味する。メジアン径とは粒径の中央値を指す。測定には、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920型(株式会社堀場製作所製)を用い、溶媒を水とした湿式方式を採用し、相対屈折率1.30、超音波分散を1分間(超音波強度は最大目盛の7)の条件下で測定した。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0022】
先ず、セラミック多孔質体について記載する。
本発明のセラミック多孔質体において、微粒骨材の粒度は骨材の粒度の1/2〜1/20であることが好ましい。1/2より大きいと微粒骨材が骨材と骨材の間に入って存在し難く、フリットの結合力を高め難くなるので好ましくない。1/20より小さいと強度が低下するので好ましくない。
【0023】
本発明のセラミック多孔質体において、微粒骨材の含有量は、骨材に対して3質量%以上100質量%以下であることが好ましい。尚、例えば、微粒骨材の含有量が骨材に対して3質量%とは、質量比で、骨材と微粒骨材とが100:3であることを指す。3質量%より小さい場合には強度が低下するので好ましくない。100質量%より大きい場合には、フリット含有量を一定にすると気孔率が低下し、骨材含有量を一定にすると強度が低下するので、好ましくない。
【0024】
本発明のセラミック多孔質体において、微粒骨材は、アルミナ、ムライト、コージェライト、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウムからなる材料群に含まれる少なくとも1種以上のセラミックスからなることが好ましい。1種でも複数種の混合でもよく、接触する被処理流体や濾過の目的に合わせて、適宜選択すればよい。微粒骨材は、これらのセラミックスからなる例えば陶磁器屑を粉砕したものも好適に用いることが出来、より安価なものを採用すればよい。
【0025】
本発明のセラミック多孔質体において、フリットの粒度は骨材の粒度の1/2〜1/20であることが好ましい。1/2より大きいとフリットが骨材あるいは微粒骨材の間に入ってそれらの結合力を高め難くなるので好ましくなく、1/20より小さい場合には、強度向上が得難いので好ましくない。
【0026】
本発明のセラミック多孔質体において、フリットの含有量は、骨材に対して3質量%以上40質量%以下であることが好ましい。3質量%より小さい場合には強度が低下するので好ましくない。40質量%より大きい場合には、フリットが骨材あるいは微量骨材の気孔を埋めてしまい、気孔率が低下するので好ましくない。
【0027】
本発明のセラミック多孔質体において、フリットは、長石、カオリン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、コージェライト、カルシア、マグネシア、Na2O、La23、Li2O、K2Oからなる材料群に含まれる1種の材料若しくは2種以上の混合材料からなることが好ましい。1種でも複数種の混合でもよく、接触する被処理流体や濾過の目的に合わせて、適宜選択すればよい。
尚、フリットとは、骨材を結合架橋するもの、あるいは骨材の焼結助剤となり、骨材間に残留するものを指し、セラミックスが溶融均一化された後に冷却、粉砕されたものをいう。フリットと、骨材及び微粒骨材とは、同じセラミックス材料でもよく、異なっていても構わない。
【0028】
次いで、セラミックフィルタについて、製造方法を含め記載する。
本発明におけるセラミックフィルタは、図2及び図3に例示されるように、少なくとも基材1と濾過膜2とシール部3とを構成部材として備える。
【0029】
基材1は、濾過膜2の支持体としての機能を有する部材であって、セラミックス多孔質体からなり、好ましくは1〜500μmの平均気孔径を有する。より好ましくはセラミック多孔質体の平均気孔径は5〜30μmである。基材1の好ましい形状は、単一の流通路を有するチューブ状、あるいは、並行する多数の流通路を有するハニカム状又はモノリス状である。
【0030】
基材1は、少なくとも骨材と微粒骨材とフリットとを含む原料が焼結されることにより形成され、例えば骨材と微粒骨材とフリットに、更に有機結合材などの成形助剤と、必要により界面活性剤等が添加され混練されてなる坏土を得て、それをハ二カム形状等に押し出し成形し乾燥した後に、焼結して得ることが出来る。焼結温度は、好ましくは1200〜1550℃であり、最高温度での焼結時間は、好ましくは1〜2時間である。
【0031】
濾過膜2はセラミックフィルタの濾過機能を担う部材であって、基材1上に形成されるセラミック多孔質体であり、基材1の平均気孔径よりも小さい平均気孔径を有する。好ましくは0.01〜1μmの平均気孔径を有する。より好ましくはセラミック多孔質体の平均気孔径は0.1〜0.5μmである。
【0032】
濾過膜2は、少なくとも骨材と微粒骨材とフリットとを含む原料が焼結されることにより形成され、例えば骨材と微粒骨材とフリットが、水等の分散媒中に分散され、必要に応じて有機結合材、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤等を添加してなる製膜用スラリーを、基材1上、好ましくは被処理流体の流通路内面に施し、乾燥した後に、焼結して得ることが出来る。焼結温度は、好ましくは900〜1100℃であり、最高温度の焼結時間は好ましくは1時間である。
本発明において、基材上に施され焼結されてなる濾過膜とは、図3に示されるように濾過膜2が基材1表面に直接施与される場合と、図2に示されるように、濾過膜2が中間層5を介して基材1上に施与される場合の両方を含む。
【0033】
図2に示されるように、セラミックフィルタが濾過膜2と基材1の間に中間層5を備える場合には、中間層5は、好ましくはセラミック多孔質体であり、濾過膜2と同様の材料を用いて濾過膜2と同様の方法により形成することが出来る。この場合において、中間層5の平均気孔径は、好ましくは濾過膜2の平均気孔径よりも大きくなるように形成される。中間層5を形成するために用いられるセラミック多孔質体の好ましい粒度は0.1〜5μm程度であり、更に好ましくは、粒度は1〜3μm程度である。
【0034】
そして、好ましくは基材1に用いられるセラミック多孔質体の粒度よりも小さな粒度のセラミック多孔質体とする。即ち、平均気孔径を、基材1、中間層5、濾過膜2の順に小さくすることにより、濾過性能と処理能力のバランスを良好に保つことが可能となる。又、中間層を2層以上から構成することも可能であり、このとき、好ましくは基材1側から濾過膜2側に向かって、順次、平均気孔径が小さくなるように形成する。
【0035】
シール部3は、被処理流体が基材1表面から基材1内部に侵入することを防止するための部材であり、基材1と被処理流体が接触する可能性のある部分と、その近傍の濾過膜2の一部を被覆する。図2及び図3の態様においては、基材1端部及び基材1端部近傍の濾過膜2が、シール部3により被覆されることが好ましい。シール部3は、例えばシールされることが必要な部分、例えば基材1端部とその近傍に、シール剤を施し乾燥した後に、焼結して形成される。焼結温度は、好ましくは900〜1100℃であり、最高温度での焼結時間は好ましくは1時間である。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を、実施例を挙げて、より詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
▲1▼基材の作製
アルミナからなる骨材、シリカ72%、アルミナ17%、K2O4.7%、マグネシア3.0%、カルシア2.0%、Na2O1.3%からなるフリット、アルミナからなる微粒骨材が混合された原料を用意した。そして、その原料を混練して得た坏土を口金に通して、押し出し成形し成形体を得た。その成形体を、乾燥させた後、所定の温度でで2時間焼結し、基材1(実施例1)、基材2(実施例2)、基材3(比較例1)、基材4(比較例2)基材5(比較例3)、基材6(比較例4)、基材7(比較例5)、基材8(比較例6)、基材9(比較例7)を得た。尚、それぞれの基材の組成、骨材、微粒骨材及びフリットの粒度、及び、それぞれの基材の焼結温度については、表1に示す通りである。
基材1〜9の形状は、図1(a)に示すように薄い直方体とし、長さLが100mmである。断面は、縦Hが8mm、横Wが25mmの長方形である。基材1〜9は、長さL方向に、セル10を13個形成してなる。セル10は、図1(b)に示すように、断面が正六角形をなし、その1辺Sの長さは1.5mmである。セル表面積は900mm2であった。
【0037】
▲2▼基材の仕様
表1に、基材1〜9の気孔径(水銀圧入法)、気孔率(水銀圧入法)、強度を示す。尚、強度(3点曲げ強さ)は、図5に示す方法で測定した。図5は基材の側面図であり、試験片である基材に対して、長さL方向の中心部を荷重点PF、中心部から長さL方向に、左右それぞれ40mmのところに支持点PSを置いて、3点曲げ試験を行い、試験片(基材)破断時の荷重Fで評価した。
【0038】
▲3▼基材の評価
基材1〜9の基準透水量を表1に示す。基準透水量は、蒸留水を原水として圧力98[kPa]で給水し、透過水量を測定した結果を、25℃、1気圧換算して求めた。
【0039】
▲4▼濾過膜の作製
アルミナからなる骨材と、アルミナからなる微粒骨材とを、攪拌混合した後、シリカ69%、ジルコニア16%、Na2O8%、K2O3.2%、La232.6%、Li2O1.2%からなるフリットと混合し、水に懸濁して、スラリーを得た。得られたスラリーを用いて、別途用意した上記基材1と同じ材質からなり形状が異なる基材10〜15の上に、厚さ150〜200μmの膜を製膜し、2時間焼結し、多孔質膜として、フィルタ1(実施例3)、フィルタ2(実施例4)、フィルタ3(比較例8)、フィルタ4(比較例9)、フィルタ5(比較例10)、フィルタ6(比較例11)を得た。尚、それぞれのスラリーの組成、骨材、微粒骨材及びフリットの粒度、及び、膜の焼結温度については、表2に示す通りである。
製膜したフィルタ1〜6は、形状が図4(a)に示されるような円柱体をなし、その外形が直径D1がφ30mm、長さLが1000mmとなるように作製した。フィルタ1〜6は、長さL方向に、セル20を55個形成してなる。セル20は、図4(b)に示すように、断面が円形をなし、その直径D2はφ2.3mmである。
【0040】
▲5▼濾過膜の仕様
表2に、フィルタ1〜6の気孔径(ASTM F306記載のエアーフロー法)、強度を示す。尚、強度は、ビッカース硬度で示した。ビッカース硬度は、JIS Z 2244「ビッカース硬さ試験方法」に準拠して測定した。測定条件は、室温で行い、荷重100g、荷重保持時間10Secとした。
【0041】
▲6▼フィルタの評価
得られたフィルタ1〜6の基準透水量を表2に示す。基準透水量は、蒸留水を原水として圧力49[kPa]で給水し、透過水量を測定した結果を、25℃、1気圧換算して求めた。
【0042】
【表1】
Figure 0004136365
【0043】
【表2】
Figure 0004136365
【0044】
実施例1、2によれば、本発明による好ましい微量骨材の添加により、比較例1,2,6,7とほぼ同じ気孔率、気孔径、及び、基準透水量でありながら、より高い強度を有する基材が得られ、比較例3〜5より高い基準透水量である基材が得られることがわかる。又、実施例3,4によれば、本発明による好ましい微粒骨材を添加した膜が成膜されたフィルタは、比較例8〜11と同等の気孔径、基準透水量を示すにも関わらず、より強度が高いことがわかる。
【0045】
尚、本発明は、少なくとも骨材及びフリットを含み、更に、微粒骨材を含む原料を焼結して得られるセラミック多孔質体、及び、それを用いたセラミックフィルタに関するものであり、本発明の達成すべき目的は、従来と概ね同等の気孔率、気孔径を有して、同等の透水量を示しながら、より優れた強度を備えるセラミック多孔質体の提供にある。
【0046】
従って、上記の実施例及び比較例においては、骨材、フリット、微粒骨材の配合バランスの条件、及び焼結温度を、その目的に適うようにしている。そして、そのように配合されたセラミック多孔質体を用いたセラミックフィルタの基準濾過量により、その配合バランスの良否を確認している。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、従来と概ね同等の気孔率、気孔径を有し、透水量を損なうことなく、より優れた強度を備えるセラミック多孔質体が提供される。更に、そのセラミック多孔質体を基材、あるいは、濾過膜、中間層等に適用し構成してなるセラミックフィルタが提供され、このセラミックフィルタは、従来と概ね同等の濾過性能を有しながら、より厳しい供給流体にも適応し得るとともに、より長い期間、安定した性能を発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例における試料(基材)の形状を示す図であり、図1(a)は斜視図であり、図1(b)は基材に形成されるセルの拡大断面図である。
【図2】 本発明に係るセラミックフィルタの一実施態様を示す図であり、ハウジングに装着された状態の概略断面図である。
【図3】 本発明に係るセラミックフィルタの別の実施態様を示す図であり、セラミックフィルタの概略断面図である。
【図4】 実施例における試料(フィルタ)の形状を示す図であり、図4(a)は斜視図であり、図4(b)はフィルタに形成されるセルの拡大断面図である。
【図5】 実施例における強度(3点曲げ強さ)の測定方法を説明する図であり、試験片である基材の側面図である。
【符号の説明】
1…基材、2…濾過膜、3…シール、5…中間層、10…セル、11…O−リング、12…ハウジング、20…セル。

Claims (3)

  1. 次の(1)〜(4)の要件を満たすセラミック多孔質体。
    (1)骨材に、
    粒度が前記骨材の1/2乃至1/20である微量骨材を、前記骨材の最小3質量%最大100質量%となるように混合し、
    粒度が前記骨材の1/2乃至1/20であり、長石、カオリン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、コージェライト、カルシア、マグネシア、Na O、La 、Li O、K Oからなる材料群に含まれる1種の材料若しくは2種以上の混合材料からなるフリットを、前記骨材の最小3質量%最大40質量%となるように混合し混合物を得た後、
    前記混合物を成形して成形体を得て、
    900〜1300℃で前記成形体を焼結する過程を経て得られたものである。
    (2)平均気孔径が1乃至500μmである。
    (3)蒸留水を原水として圧力98kPaで給水し、透過水量を測定した結果を、25℃、1気圧換算して得られる基準透水量が、700m/日以上である。
    (4)3点曲げ破壊荷重が、33kgf以上である。
  2. 次の(A)〜(E)の要件を満たす、基材と濾過膜とを備えたセラミックフィルタ。
    (A)前記基材が、請求項1に記載のセラミック多孔質体である。
    (B)骨材に、
    粒度が前記骨材の1/2乃至1/20である微量骨材を、前記骨材の最小3質量%最大100質量%となるように混合し、
    粒度が前記骨材の1/2乃至1/20であり、長石、カオリン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、コージェライト、カルシア、マグネシア、Na O、La 、Li O、K Oからなる材料群に含まれる1種の材料若しくは2種以上の混合材料からなるフリットを、前記骨材の最小3質量%最大40質量%となるように混合しスラリーを得た後、
    前記スラリーを用いて前記基材の上に膜を製膜し、
    900〜1300℃で前記膜を焼結する過程を経て得られたものである。
    (C)前記濾過膜の平均気孔径が0.01乃至1μmである。
    (D)蒸留水を原水として圧力49kPaで給水し、透過水量を測定した結果を、25℃、1気圧換算して得られる基準透水量が、58m/日以上である。
    (E)ビッカース硬度が、120以上である。
  3. 骨材に、
    粒度が前記骨材の1/2乃至1/20である微量骨材を、前記骨材の最小3質量%最大100質量%となるように混合し、
    粒度が前記骨材の1/2乃至1/20であり、長石、カオリン、アルミナ、シリカ、ジルコニア、コージェライト、カルシア、マグネシア、Na O、La 、Li O、K Oからなる材料群に含まれる1種の材料若しくは2種以上の混合材料からなるフリットを、前記骨材の最小3質量%最大40質量%となるように混合し混合物を得た後、
    前記混合物を成形して成形体を得て、
    900〜1300℃で前記成形体を焼結することを特徴とするセラミック多孔質体の製造方法。
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