JP4131650B2 - リクライニング機構のラチェット、その製造方法及びリクライニング機構のラチェットの形成金型 - Google Patents
リクライニング機構のラチェット、その製造方法及びリクライニング機構のラチェットの形成金型 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベースアームに対して傾動可能に設けられ、前記ベースアームとの対向面に凹部が形成され、該凹部の内周面に内歯が形成されたリクライニング機構のラチェット、その製造方法及びリクライニング機構のラチェットの形成金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
リクライニング装置において、図12に示すように、平板を打ち出し加工して凹部Aを形成し、その凹部Aの内周面に内歯Bを形成したラチェットCと呼ばれる部材が用いられる。
【0003】
一般に、このようなラチェットCは、図12の切断線A−Aでの断面を示す図13に示すように、背面側には外歯Dが形成されている。
このようなラチェットCは、図14に示すような金型を用いて製造される。図において、Eは周面にラチェットCの内歯Bを形成する外歯Fが形成されたパンチ、GはラチェットCの凹部Aを形成する凹部Hが形成され、凹部Hの周面にラチェットCの外歯Dを形成する内歯Iが形成されたダイである。
【0004】
このようなパンチEとダイGを用いて板材をプレス加工することにより、図12及び図13に示すように示すような表面に内歯Bが、背面に外歯Dが形成されたラチェットCを得ることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、リクライニング機構においては、細かなリクライニング調整が可能なように、内歯Bの小モジュール化、すなわち、歯数を多くすることが要望されている。歯数を大きくすると、内歯Bが小さくなり、パンチEの外歯F、ダイGの内歯Iが小さくなる。
【0006】
よって、パンチEとダイGを用いてプレス加工すると、パンチEの外歯F、ダイGの内歯Iが欠ける現象、すなわち、型持ちが悪いという問題点がある。
又、型持ちが悪いことにより、内歯Bの歯ダレも大きくなる。図15に示すように、内歯Bを形成しても、内歯Bの幅Wのうち、有効に機能する部分は歯ダレKの部分を除いた幅W′となる(W>W′)。充分な強度を有する内歯Bを得ようとすると、板材の板厚を厚くしなければならならず、ラチェットCが厚くなり、重さも重くなる問題点がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その第1の課題は、型持ちの良いリクライニング機構のラチェット、その製造方法及びリクライニング機構のラチェットの形成金型を提供することにある。
【0008】
又、第2課題は、歯ダレが小さく、軽量化が可能なリクライニング機構のラチェット、その製造方法及びリクライニング機構のラチェットの形成金型を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、ベースアームに対して傾動可能に設けられ、前記ベースアームとの対向面に凹部が形成され、該凹部の内周面に内歯が形成されたリクライニング機構のラチェットにおいて、前記ベースアームとの対向面と反対側の面である背面に、周面が前記内歯のピッチ円上に位置する円柱部を形成したことを特徴とするリクライニング機構のラチェットである。
【0010】
請求項4記載の発明は、ベースアームに対して傾動可能に設けられ、前記ベースアームとの対向面に凹部が形成され、該凹部の内周面に内歯が形成されたリクライニング機構のラチェットの製造方法において、前記ベースアームとの対向面と反対側の面である背面に、周面が前記内歯のピッチ円上に位置する円柱部を形成することを特徴とするリクライニング機構のラチェットの製造方法である。
【0011】
前記ベースアームとの対向面と反対側の面である背面に、周面が前記内歯のピッチ円上に位置する円柱部を形成したことにより、ラチェットの裏面を形成する金型に歯を形成することが不要となり、ラチェットの裏面を形成する金型の型持ちが良くなる。
【0013】
前記円柱部の周面は、前記内歯のピッチ円上に位置することにより、ラチェットの内歯に材料を略均等に分配することができ、ラチェットの内歯の歯ダレが小さくなり、ラチェットの軽量化が可能となる。
【0014】
請求項2記載の発明は、前記円柱部の前記ラチェットの背面側に、前記ラチェットの背面側に行くに従って径が大きくなる円錐部を連設したことを特徴とする請求項1記載のリクライニング機構のラチェットである。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記円柱部の前記ラチェットの背面側に、前記ラチェットの背面側に行くに従って径が大きくなる円錐部を連設したことを特徴とする請求項4記載のリクライニング機構のラチェットの製造方法である。
【0016】
前記円柱部の前記ラチェットの背面側に、前記ラチェットの背面側に行くに従って径が大きくなる円錐部を連設したことにより、この円錐部を形成する際に、内歯の歯ダレが小さくなる方向に材料が押されるので、歯ダレが小さくなる。よって、ラチェットの軽量化が可能となる。
【0017】
請求項3記載の発明は、前記円錐部の周面は、前記内歯の歯底円より外側まで延出することを特徴とする請求項2記載のリクライニング機構のラチェットである。
【0018】
請求項6記載の発明は、前記円錐部の周面は、前記内歯の歯底円より外側まで延出することを特徴とする請求項5記載のリクライニング機構のラチェットの製造方法である。
【0019】
前記円錐部の周面は、前記内歯の歯底円より外側まで延出することにより、内歯部分の肉厚を厚く確保できるので、内歯の歯たけが高く確保でき、ラチェットの軽量化が可能となる。
【0020】
請求項7記載の発明は、ベースアームに対して傾動可能に設けられ、前記ベースアームとの対向面に凹部が形成され、該凹部の内周面に内歯が形成されたリクライニング機構のラチェットの形成金型において、前記ベースアームとの対向面と反対側の面である背面側を形成する金型に、内周面が前記内歯のピッチ円上に位置する凹部を設けたことを特徴とするリクライニング機構のラチェットの形成金型である。
【0021】
前記ベースアームとの対向面と反対側の面である背面側を形成する金型に、内周面が前記内歯のピッチ円上に位置する凹部を設けたことにより、ラチェットの裏面を形成する金型に歯を形成することが不要となり、ラチェットの裏面を形成する金型の型持ちが良くなる。
【0023】
前記凹部の内周面は、前記内歯のピッチ円上に位置することにより、ラチェットの内歯に材料を略均等に分配することができ、ラチェットの内歯の歯ダレが小さくなり、ラチェットの軽量化が可能となる。
【0024】
請求項8記載の発明は、前記凹部の開口の角部に、面取りを施して円錐面を形成したことを特徴とする請求項7記載のリクライニング機構のラチェットの形成金型である。
【0025】
前記凹部の開口の角部に、面取りを施して円錐面を形成したことにより、成形時、この円錐面によって、内歯の歯ダレが小さくなる方向に材料が押されるので、歯ダレが小さくなる。よって、ラチェットの軽量化が可能となる
請求項9記載の発明は、前記円錐面の外縁は、前記内歯の歯底円より外側に位置することを特徴とする請求項8記載のリクライニング機構のラチェットの形成金型である。
【0026】
前記円錐面の外縁は、前記内歯の歯底円より外側に位置することにより、内歯部分の肉厚を厚く確保できるので、内歯の歯たけが高く確保でき、ラチェットの軽量化が可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明のラチェットを有するリクライニング機構の説明を行なう。本実施の形態例のリクライニング機構は、両側リクライニング装置に設けられるリクライニング機構である。尚、アウタ側リクライニング機構と、インナ側リクライニング機構とは、略同一構成で、違いはヒンジピンの形状及びアウタ側リクライニング機構のヒンジピンに操作レバーが取り付けられている点であるので、以下インナ側のリクライニング機構90を用いて説明する。
【0028】
本形態例のリクライニング機構90では、シートクッション側のフレーム301に、ベースアーム100がロアアームとして取り付けられ、シートバック側のバックフレーム302に、ラチェット130が取り付けられる(図5〜図7参照)。
【0029】
特に図5〜図8及び図11に示すように、ベースアーム100には、ヒンジピン120を回転可能に支持する嵌合穴101が中央部に形成され、さらに、この嵌合穴101の周囲には、嵌合穴101と同軸的に、ラチェット130側に突き出た二つの同一形状の断面円弧状支持部102,103が対向するように形成されている。
【0030】
ラチェット130の中央部の嵌合穴131(図9、図11参照)には、断面円弧状支持部102,103が回転自在に嵌合しており、このため、ベースアーム100に対してラチェット130は傾動可能となっている。そして、ベースアーム100の外周部とラチェット130の外周部とは、取り付け金具205により、相対回転可能に接合されている。ラチェット130のベースアーム100との対向面には、図9に示すように、ラチェット130の傾動中心(ヒンジピン120)を中心とする略円形の第1凹部132が形成され、第1凹部132の内周面には全周にわたって内歯133が刻設されている。
【0031】
更に、第1凹部132の底面には、第1凹部132より径の小さい第2凹部134が形成されている。
ベースアーム100上の、ラチェット130の第1凹部132との対向面にも、凹部104(図8参照)が形成され、該凹部104の底面上部には、ラチェット130に向けてガイド手段であるガイド突起105,106が突設され、底面下部には、ラチェット130に向けてガイド手段であるガイド突起107,108が突設されている。
【0032】
ポール140は、特に図3,図8及び図11に示すように、ガイド突起105,106のガイド面105a,106aに挟まれて、上記傾動の中心軸と直交する方向に摺動案内され、前端部の外歯141がラチェット130の内歯133に噛合できるように構成されている。ポール150についても同様に、ガイド突起107,108のガイド面107a,108aに挟まれて、上記傾動の中心軸と直交する方向に摺動案内され、前端部の外歯151がラチェット130の内歯133に噛合できるように構成されている。
【0033】
ヒンジピン120の断面小判形部分123には、カム170の小判穴171が嵌合している。このため、ヒンジピン120は軸方向移動可能であると共に、ヒンジピン120には、カム170とが相対回転不可状態に嵌合していることになる。このカム170には、ベースアーム100の断面円弧状支持部102,103が遊嵌する円弧状長穴172,173が穿設されており、カム170はベースアーム100に対して一定範囲内で回転できるようになっている。
【0034】
すなわち、カム170は、ヒンジピン120とともに回転し、押圧部174,175でもって、ポール140,150の背面142,152の被押圧部142a,152aをその外歯141,151方向に押して、ポール140,150の外歯141,151をラチェット130の内歯133に噛合させるものである。
【0035】
又、カム170とポール140とには、カム170の押圧部174とポール140の背面142の被押圧部142aと以外に、ポール140が傾いた際に、カム170の押圧部174の一方のサイドに形成された当接部174aにポール140の当接部142bが、カム170の押圧部174の他方のサイドに形成された当接部174bにポール140の当接部142cが当接可能となっている。
【0036】
同様に、カム170とポール150とには、カム170の押圧部175とポール150の背面152の被押圧部152aと以外に、ポール150が傾いた際に、カム170の押圧部175の一方のサイドに形成された当接部175aにポール150の当接部152bが、カム170の押圧部175の他方のサイドに形成された当接部175bにポール150の当接部152cが当接可能となっている。
【0037】
このカム170には、ラチェット130側に突き出た突起176,177が形成されており、この突起176,177がレリーズプレート180の穴181,182に嵌合されている。このため、カム170とレリーズプレート180とは連動して回転することになる。
【0038】
このレリーズプレート180には、ポール140,150のラチェット130方向に延びる突起143,153が挿通する長穴状のカム穴183,184が形成されており、このカム穴183,184の形状は、操作レバーをロック解除方向に回転させたとき、カム穴183,184のカム面が突起143,153を押圧し、ポール140,150を背面側に後退させ、前端部の外歯141,151をラチェット130の内歯133から離脱させるように形成されている。
【0039】
スパイラルスプリング191,195は、内端がベースアーム100のフック111,112に掛止され、外端がカム170の段部178,179に掛止され、カム170がポール140,150の背面を押すようにカム170を回動付勢するものである。
【0040】
ヒンジピン120には、断面小判形部分123に連設して、小径部124が形成されている。この小径部124には、インナ側のリクライニング機構のヒンジピンに接続されるコネクティングパイプが接続される。
【0041】
そして、本実施の形態例では、ラチェット130には、レリーズプレート180のカム穴183,184を挿通したポール140,150の突起143,153が当接可能で、突起143,153が当接することによりポール140,150の外歯141,151とラチェット130の内歯133との噛合が解除された位置にポール140,150を保持するトッピング(突部)が、第2凹部134の底面上で、かつ、第2凹部134の内周面上に形成されている。
【0042】
本実施の形態例では、ポール140用のトッピング501と、ポール150用のトッピング505とが設けられている。これらトッピング501,505は、傾動中心(ヒンジピン120)を中心とする円周面状の当接面501a,505aを有している。
【0043】
また、ポール140にはラチェット130方向に突出し、トッピング501の当接面501aに当接可能な突起611が形成されている、ポール150にはラチェット130方向に突出し、トッピング505の当接面505aに当接可能な突起613が形成されている。
【0044】
上記構成のリクライニング機構90の作動を説明する。通常は、スパイラルスプリング191,195の付勢力により、カム170がポール140,150の背面を押し、ポール140,150の外歯141,151がラチェット130の内歯133に噛合し、ラチェット(シートバック)130の回転が禁止されている(ロック状態)。
【0045】
図3,図4において、スパイラルスプリング191,195の付勢力に抗して、ヒンジピン120を時計方向(矢印方向)に回転させると、カム170,レリーズプレート180が時計方向に回転する。
【0046】
すると、カム170のポール140,150の背面への押圧が解除されるとともに、レリーズプレート180のカム穴183,184のカム面がポール140,150の突起143,153を押圧し、ポール140,150を背面側に後退させる。このため、ポール140,150はガイド突起105〜108のガイド面105a〜108aに案内されて、背面側に移動し、ポール140,150の外歯141,151とラチェット130の内歯133との噛合が解除され、ラチェット(シートバック)130は、傾動可能となる(アンロック状態)。
【0047】
シートバックを所望の角度まで傾動させ、操作レバーへの操作力を解除すると、スパイラルスプリング191,195の付勢力により、カム170がポール140,150の背面を押し、ポール140,150の外歯141,151がラチェット130の内歯133に再び噛合し、ラチェット(シートバック)130の回転が禁止された状態に復帰する。
【0048】
そして、ラチェット(シートバック)130が傾動し、トッピング501がポール140と、また、トッピング505がポール150と対向する状態となった場合、スパイラルスプリング191,195の付勢力に抗してヒンジピン120(カム170)を回転させる操作力を解除する。すると、スパイラルスプリング191,195の付勢力により、ポール140,150はその外歯141,151がラチェット130の内歯133に噛合する方向に移動しようするが、噛合する前にポール140の突起611がトッピング501の当接面501aに乗り上げ、ポール150の突起613がトッピング505の当接面505aに乗り上げ、ポール140,150はその外歯141,151とラチェット130の内歯133との噛合が解除された位置に保持される。従って、スパイラルスプリング191,195の付勢力に抗して、ヒンジピン120(カム170)を回転させなくても、ラチェット(シートバック)130の傾動が可能となる。
【0049】
次に、図2を用いて、上記構成のリクライニング機構90のラチェット130をプレス加工で形成する際に用いる金型を説明する。板材からラチェット130を形成する際に、ラチェット130の周面に当接する金型1001と、ラチェット130の外縁部を保持する金型1003,1004と、第1凹部132を形成すると共に、第1凹部132の内周面に内歯133を形成する金型1005,1006と、第2凹部134を形成する金型1007,1008と、嵌合穴131を形成する金型1009,1010とを用いている。
【0050】
本実施の形態例では、内歯133の形成に関与する金型、すなわち、ラチェット130の外縁部を保持する金型1003,1004と、第1凹部132を形成すると共に、第1凹部132の内周面に内歯133を形成する金型1005,1006のうち、ラチェット130のベースアーム100との対向面と反対側の面である背面側を形成する金型1004,1006は、組み付けられた状態で、図1に示すように構成となるように設定した。
(1)内歯133の歯底円Tと歯先円Sとの間に内周面が位置する凹部2001がある。
(2)凹部2001の内周面は、内歯133のピッチ円P上に位置する。
(3)凹部2001の開口の角部に、面取りを施して円錐面2003を形成する。
(4)円錐面2003の外縁は、内歯133の歯底円Tより外側に位置する。
【0051】
このような構成の金型1004,1006を用いて板材を成形することにより、ラチェット130のベースアーム100との対向面と反対側の面である背面は、以下のような構成が形成される。
(1)内歯133の歯底円Tと歯先円Sとの間に周面が位置する円柱部2005が形成される。
(2)円柱部2005の周面は、内歯133のピッチ円上に位置する。
(3)円柱部2005の前記ラチェット120の背面側に、ラチェット130の背面側に行くに従って径が大きくなる円錐部2007が連設される。
(4)円錐部2007の周面は、内歯133の歯底円Tより外側までに延出する。
【0052】
このような構成の金型1004,1006を用いて、ラチェット130を形成することにより、以下のような効果を得ることができる。
(1)金型1004,金型1006に、内歯133の歯底円Tと歯先円Sとの間に内周面が位置する凹部2001を設けたことにより、ラチェット130の裏面を形成する金型に歯を形成することが不要となり、ラチェット130の裏面を形成する金型の型持ちが良くなる。
(2)凹部2001の内周面は、内歯133のピッチ円P上に位置することにより、ラチェット130の内歯133に材料を略均等に分配することができ、ラチェット130の内歯133の歯ダレが小さくなり、ラチェット130の軽量化が可能となる。
(3)凹部2001の開口の角部に、面取りを施して円錐面2003を形成することにより、成形時、この円錐面2003によって、内歯133の歯ダレが小さくなる方向に板材が押されるので、歯ダレが小さくなる。よって、ラチェット130の軽量化が可能となる。
(3)円錐面2003の外縁は、内歯133の歯底円Tより外側に位置することにより、内歯133部分の肉厚を厚く確保できるので、内歯133の歯たけが高く確保でき、ラチェット130の軽量化が可能となる。
【0053】
尚、本発明は、上記実施の形態例に限定するものではない。上記実施の形態例では、内歯133に噛合する外歯141を有するポールが2つ、すなわち、ポール140,ポール150を有するリクライニング機構で説明を行なったが、ポールが1つのリクライニング機構、或いはポールが3つ以上有するリクライニング機構のラチェットにも適用できるのは言うまでもない。
【0054】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の発明、請求項4記載の発明によれば、前記ベースアームとの対向面と反対側の面である背面に、周面が前記内歯のピッチ円上に位置する円柱部を形成することにより、ラチェットの裏面を形成する金型に歯を形成することが不要となり、ラチェットの裏面を形成する金型の型持ちが良くなる。
【0055】
前記円柱部の周面は、前記内歯のピッチ円上に位置することにより、ラチェットの内歯に材料を略均等に分配することができ、ラチェットの内歯の歯ダレが小さくなり、ラチェットの軽量化が可能となる。
【0056】
請求項2記載の発明、請求項5記載の発明によれば、前記円柱部の前記ラチェットの背面側に、前記ラチェットの背面側に行くに従って径が大きくなる円錐部を連設したことにより、この円錐部を形成する際に、内歯の歯ダレが小さくなる方向に材料が押されるので、歯ダレが小さくなる。よって、ラチェットの軽量化が可能となる。
【0057】
請求項3記載の発明、請求項6記載の発明によれば、前記円錐部の周面は、前記内歯の歯底円より外側まで延出することにより、内歯部分の肉厚を厚く確保できるので、内歯の歯たけが高く確保でき、ラチェットの軽量化が可能となる。
【0058】
請求項7記載の発明によれば、前記ベースアームとの対向面と反対側の面である背面側を形成する金型に、内周面が前記内歯のピッチ円上に位置する凹部を設けたことにより、ラチェットの裏面を形成する金型に歯を形成することが不要となり、ラチェットの裏面を形成する金型の型持ちが良くなる。
【0059】
前記凹部の内周面は、前記内歯のピッチ円上に位置することにより、ラチェットの内歯に材料を略均等に分配することができ、ラチェットの内歯の歯ダレが小さくなり、ラチェットの軽量化が可能となる。
【0060】
請求項8記載の発明によれば、前記凹部の開口の角部に、面取りを施して円錐面を形成したことにより、成形時、この円錐面によって、内歯の歯ダレが小さくなる方向に材料が押されるので、歯ダレが小さくなる。よって、ラチェットの軽量化が可能となる。
請求項9記載の発明によれば、前記円錐面の外縁は、前記内歯の歯底円より外側に位置することにより、内歯部分の肉厚を厚く確保できるので、内歯の歯たけが高く確保でき、ラチェットの軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明部分を説明する図で、図2のH部分の拡大図である。
【図2】実施の形態例のラチェットの製造方法を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態例のインナ側リクライニング機構を示す図4からベースアームを取り除いた正面図である。
【図4】本発明の実施の形態例の両側リクライニング装置のインナ側リクライニング機構の外観を示す正面図である。
【図5】図3及び図4の切断線C−Cにおける断面図である。
【図6】図3及び図4の切断線D−Dにおける断面図である。
【図7】図3及び図4の切断線E−Eにおける断面図である。
【図8】図4のベースアームある。
【図9】図3のラチェットである。
【図10】図3のカムである。
【図11】本発明の実施の形態例のインナ側リクライニング機構の主要部の概略分解斜視図である。
【図12】従来のラチェットの製造方法を説明する図である。
【図13】図12の切断線A−Aでの断面を示す図である。
【図14】図12に示すラチェット製造する金型を説明する図である。
【図15】図12に示す内歯のダレを説明する図である。
【符号の説明】
130 ラチェット
132 凹部
133 内歯
1004,1006 金型
T 歯底円
S 歯先円
P ピッチ円
Claims (9)
- ベースアームに対して傾動可能に設けられ、前記ベースアームとの対向面に凹部が形成され、該凹部の内周面に内歯が形成されたリクライニング機構のラチェットにおいて、
前記ベースアームとの対向面と反対側の面である背面に、周面が前記内歯のピッチ円上に位置する円柱部を形成したことを特徴とするリクライニング機構のラチェット。 - 前記円柱部の前記ラチェットの背面側に、前記ラチェットの背面側に行くに従って径が大きくなる円錐部を連設したことを特徴とする請求項1記載のリクライニング機構のラチェット。
- 前記円錐部の周面は、前記内歯の歯底円より外側までに延出することを特徴とする請求項2記載のリクライニング機構のラチェット。
- ベースアームに対して傾動可能に設けられ、前記ベースアームとの対向面に凹部が形成され、該凹部の内周面に内歯が形成されたリクライニング機構のラチェットの製造方法において、
前記ベースアームとの対向面と反対側の面である背面に、周面が前記内歯のピッチ円上に位置する円柱部を形成することを特徴とするリクライニング機構のラチェットの製造方法。 - 前記円柱部の前記ラチェットの背面側に、前記ラチェットの背面側に行くに従って径が大きくなる円錐部を連設したことを特徴とする請求項4記載のリクライニング機構のラチェットの製造方法。
- 前記円錐部の周面は、前記内歯の歯底円より外側まで延出することを特徴とする請求項5記載のリクライニング機構のラチェットの製造方法。
- ベースアームに対して傾動可能に設けられ、前記ベースアームとの対向面に凹部が形成され、該凹部の内周面に内歯が形成されたリクライニング機構のラチェットの形成金型において、
前記ベースアームとの対向面と反対側の面である背面側を形成する金型に、
内周面が前記内歯のピッチ円上に位置する凹部を設けたことを特徴とするリクライニング機構のラチェットの形成金型。 - 前記凹部の開口の角部に、面取りを施して円錐面を形成したことを特徴とする請求項7記載のリクライニング機構のラチェットの形成金型。
- 前記円錐面の外縁は、前記内歯の歯底円より外側に位置することを特徴とする請求項8記載のリクライニング機構のラチェットの形成金型。
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