JP4414160B2 - シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートクッション側に設けられるロアアームと、シートバック側に設けられ、前記ロアアームに対して前後方向に傾動可能に設けられたアッパアームと、該アッパアームの傾動を禁止するリクライニング機構と、アッパアームを前倒方向に付勢するスパイラルスプリングと、前記アッパアームの傾動を一定範囲内に規制するストッパ機構と、前記シートクッションの側部を覆うカバーとを有するシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両等に設けられるシートにおいては、シートクッションに対するシートバック(背もたれ)の傾動角度を調整できるものがある。このようなシートでは、シートクッション側に設けられるロアアームと、シートバック側に設けられ、ロアアームに対して前後方向に傾動可能に設けられたアッパアームと、アッパアームの傾動を禁止するリクライニング機構とを有し、更に、前記アッパアームの傾動を一定範囲内に規制するストッパ機構やアッパアームを前倒方向に付勢するスパイラルスプリングが設けられている。このスパイラルスプリングの内端部、外端部のうちの一方の端部がロアアーム側に設けられた第1ブラケットに、他方の端部はアッパアームに設けられた第2ブラケットに掛止されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
又、シートの見栄え向上のために、シートクッション側には、樹脂でなるカバーが設けられるが、このカバーは、ロアアームに取り付けられるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−245560号公報(第4頁〜第6頁、図1、図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなシートでは、アッパアーム、ロアアームに、ストッパ機構を構成する部品、スパイラルスプリングが掛止される部品、カバーが取り付けられる部品が設けられ、部品点数が多いという問題点があった。又、部品点数が多いので、組付け工数も多くなり、製造コストが高くなる問題点もある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、部品点数が少なく、製造コストも安くなるシートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1に係る発明は、シートクッション側に設けられるロアアームと、シートバック側に設けられ、前記ロアアームに対して前後方向に傾動可能に設けられたアッパアームと、該アッパアームの傾動を禁止するリクライニング機構と、アッパアームを前倒方向に付勢するスパイラルスプリングと、前記アッパアームの傾動を一定範囲内に規制するストッパ機構と、前記シートクッションの側部を覆うカバーと、を有するシートにおいて、
前記ロアアームの外側に設けられ、前記スパイラルスプリングの内端部側が掛止される第1スプリング掛止部、及び前記カバーが取り付けられるカバー掛止部が形成された第1ブラケットと、前記アッパアームに設けられ、前記スパイラルスプリングの外端部側が掛止される第2スプリング掛止部が形成された第2ブラケットと有し、前記第1ブラケット、前記第2ブラケットのうちの一方のブラケットに係合突起を形成し、他方のブラケットに前記係合突起に当接して前記アッパアームの傾動を規制するストッパを形成したことを特徴とするシートである。
【0008】
前記ロアアームの外側に設けられ、前記スパイラルスプリングの内端部側が掛止される第1スプリング掛止部、及び前記カバーが取り付けられるカバー掛止部が形成された第1ブラケットと、前記アッパアームに設けられ、前記スパイラルスプリングの外端部側が掛止される第2スプリング掛止部が形成された第2ブラケットと有し、前記第1ブラケット、前記第2ブラケットのうちの一方のブラケットに係合突起を形成し、他方のブラケットに前記係合突起に当接して前記アッパアームの傾動を規制するストッパを形成したことにより、第1ブラケット、第2ブラケットに、ストッパ機構、スパイラルスプリングを掛止する機能、カバーを取り付ける構造を集約でき、部品点数の削減、製造コストの削減が図れる。
請求項2に係る発明は、前記ストッパは、車幅方向に延出していることを特徴とする請求項1記載のシートである。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。最初に、本発明の実施の形態例のシートの側面図である図1、図1の切断線A−Aでの断面図である図2を用いて全体構成を説明する。
【0010】
これらの図において、シートクッション側に設けられるロアアーム36には、リクライニング機構90を介してシートバック側に設けられるアッパアーム43が傾動可能に設けられている。
【0011】
次に、図4〜図6を用いてリクライニング機構90の説明を行う。図4はリクライニング機構90の分解斜視図、図5は図4のC方向矢視図、図6は図4のC′方向矢視図である。尚、本実施の形態例のリクライニング機構90は一例であり、この機構に限定するものではない。
【0012】
リクライニング機構90では、シートクッション側のロアアーム36に、ベースアーム100が取り付けられ、シートバック側のアッパアーム43に、ラチェット130が取り付けられる。ベースアーム100には、コネクティングパイプ37を回転可能に支持する嵌合穴101が中央部に形成され、さらに、この嵌合穴101の周囲には、嵌合穴101と同軸的に、ラチェット130側に突き出た二つの同一形状の断面円弧状支持部102,103が対向するように形成されている。
【0013】
ラチェット130の中央部の嵌合穴131には、断面円弧状支持部102,103が回転自在に嵌合しており、このため、ベースアーム100に対してラチェット130は傾動可能となっている。そして、ベースアーム100の外周部とラチェット130の外周部とは、図示しない取り付け金具により、相対回転可能に接合されている。ラチェット130のベースアーム100との対向面には、図5に示すように、ラチェット130の傾動中心を中心とする略円形の凹部132が形成され、該凹部内周面には内歯133,134が刻設されている。
【0014】
ベースアーム100上の、ラチェット130の凹部132との対向面にも、凹部104が形成され、該凹部104の底面上部には、ラチェット130に向けてガイド突起105,106が突設され、底面下部には、ラチェット130に向けてガイド突起107,108が突設されている。
【0015】
ポール140は、ガイド突起105,106のガイド面105a,106a(ガイド面106aは図示せず)に挟まれて、上記傾動の中心軸と直交する方向に摺動案内され、前端部の外歯141がラチェット130の内歯133に噛合できるように構成されている。ポール150についても同様に、ガイド突起107,108のガイド面107a,108a(ガイド面108aは図示せず)に挟まれて、上記傾動の中心軸と直交する方向に摺動案内され、前端部の外歯151がラチェット130の内歯134に噛合できるように構成されている。
【0016】
又、図4および図6に示すように、ポール140,150のベースアーム100との対向面には、ベースアーム100方向に突出する略矩形の凸部140a,150a(図4では凹部として現れる)が形成され、この凸部140a,150aはベースアーム100に形成され、ポール140,150を傾動の中心軸と直交する方向に案内する溝100a,100b(第2のガイド手段)に係合している。
【0017】
カム170の回転中心には、筒体301が設けられている。この筒体301は、基端部がカム170に固着され、先端側がカム170の回転中心軸上に沿ってインナ側リクライニング機構方向へ延出し、断面形状が平行な2辺を有する小判形である。そして、筒体301の先端面は開放面となり、筒体301の内筒は、カム170まで挿通する小判穴171となっている。コネクティングパイプ37には、カム170の小判穴171に挿入され、コネクティングパイプ37と、カム170とは一体となって回転するようになっている。このカム170には、ベースアーム100の断面円弧状支持部102,103が遊嵌する円弧状長穴172,173が穿設されており、カム170はベースアーム100に対して一定範囲内で回転できるようになっている。
【0018】
すなわち、カム170は、コネクティングパイプ37とともに回転し、押圧部174,175でもって、ポール140,150の背面142,152の被押圧部142a,152aをその外歯141,151方向に押して、ポール140,150の外歯141,151をラチェット130の内歯133,134に噛合させるものである。
【0019】
カム170には、ラチェット130側に突き出た突起176,177が形成されており、この突起176,177がレリーズプレート180の穴181,182に嵌合されている。このため、カム170とレリーズプレート180とは連動して回転することになる。
【0020】
このレリーズプレート180には、ポール140,150の板厚方向の突起143,153に嵌合する長穴状のカム穴183,184が形成されており、このカム穴183,184の形状は、操作レバーをロック解除方向に回転させたとき、カム穴183,184のカム面が突起143,153を押圧し、ポール140,150を背面側に後退させ、前端部の外歯141,151をラチェット130の内歯133、134から離脱させるように形成されている。
【0021】
図6に示すように、スパイラルスプリング191,195は、内端がベースアーム100のフック111,112に掛止され、外端がカム170の段部178,179に掛止され、カム170がポール140,150の背面を押すようにカム170を回動付勢するものである。
【0022】
ここで、リクライニング機構90の作動を説明する。通常は、スパイラルスプリング191,195の付勢力により、カム170がポール140,150の背面を押し、ポール140,150の外歯141,151がラチェット130の内歯133,134に噛合し、ラチェット(シートバック)130の回転が禁止されている(ロック状態)。
【0023】
図6において、スパイラルスプリング191,195の付勢力に抗して、コネクティングパイプ37を時計方向(矢印方向)に回転させると、カム170,レリーズプレート180が時計方向に回転する。
【0024】
すると、カム170のポール140,150の背面への押圧が解除されるとともに、レリーズプレート180のカム穴183,184のカム面がポール140,150の突起143,153を押圧し、ポール140,150を背面側に後退させる。このため、ポール140,150はガイド突起105〜108のガイド面105a〜108aに案内されて、背面側に移動し、ポール140,150の外歯141,151とラチェット130の内歯133,134との噛合が解除され、ラチェット(シートバック)130は、傾動可能となる(アンロック状態)。
【0025】
シートバックを所望の角度まで傾動させ、操作レバーへの操作力を解除すると、スパイラルスプリング191,195の付勢力により、カム170がポール140,150の背面を押し、ポール140,150の外歯141,151がラチェット130の内歯133,134に再び噛合し、ラチェット(シートバック)130の回転が禁止された状態に復帰する。
【0026】
次に、図1、図2、図1の第1ブラケット、第2ブラケットの斜視図である図3を用いて、アッパアーム43、ロアアーム36の詳細な説明を行う。ロアアーム36には第1ブラケット200が、アッパアーム43には第2ブラケット300がそれぞれ設けられる。
【0027】
図3に示すように、第1ブラケット200には、ロアアーム36に対向し、ロアアーム36に取り付けられる基部201と、基部201の下部から略直角に折曲し、スパイラルスプリング251の内端部側が掛止される第1スプリング掛止部として機能する円筒片部203とからなっている。一方、第2ブラケット300は、アッパアーム43に対向し、アッパアーム43に取り付けられる基部309と、基部309の下部から略直角に折曲した折曲部303と、折曲部303の先端部に形成され、スパイラルスプリング251の外端部側が掛止される第2スプリング掛止部として機能する段状片部305と、折曲部303の先端部に段状片部305と並設するように形成された係合突起307とからなっている。そして、スパイラルスプリング251により、アッパアーム43は前倒方向に付勢されている。
【0028】
更に、第1ブラケット200の基部201には、第2ブラケット300の係合突起307が当接可能な第1ストッパ部205、第2ストッパ部207が形成されている。そして、第2ブラケット300の係合突起307と、第1ブラケット200の第1ストッパ部205と第2ストッパ部207とで、アッパアーム43の傾動を一定範囲内に規制するストッパ機構が形成されている。
【0029】
図1において、350はシートクッションの側部を覆うカバーである。図3に示すように第1ブラケット200の円筒片部203にはカバー掛止部として機能する穴211が形成され、図2に示すように、カバー350に形成されたフック351が第1ブラケット200の穴211に係合することにより、カバー350は取り付けられる。
【0030】
上記構成によれば、ロアアーム36に取り付けられる第1ブラケット200には、スパイラルスプリング251の内端部側が掛止される第1スプリング掛止部として機能する円筒片部203、及びカバー350が取り付けられるカバー掛止部として機能する穴211と、第2ブラケット300の係合突起307が当接する第1ストッパ部205、第2ストッパ部207が形成されている。また、アッパアーム43に取り付けられる第2ブラケット300には、係合突起307と、スパイラルスプリング251の外端部側が掛止される第2スプリング掛止部として機能する段状片部305とが形成されている。
【0031】
よって、第1ブラケット200、第2ブラケット300に、アッパアーム43の傾動を一定範囲内に規制するストッパ機構、スパイラルスプリング251を掛止する機能、カバー350を取り付ける構造を集約でき、部品点数の削減、製造コストの削減が図れる。
【0032】
尚、本発明は上記実施の形態例に限定するものではない。上記実施の形態例では、第2ブラケット300に係合突起307を、第1ブラケット200に第1ストッパ部205、第2ストッパ部207を形成したが、逆に、第1ブラケット200に係合突起を、第2ブラケット300に第1ストッパ部、第2ストッパ部を形成してもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1記載の発明によれば、前記ロアアームの外側に設けられ、前記スパイラルスプリングの内端部側が掛止される第1スプリング掛止部、及び前記カバーが取り付けられるカバー掛止部が形成された第1ブラケットと、前記アッパアームに設けられ、前記スパイラルスプリングの外端部側が掛止される第2スプリング掛止部が形成された第2ブラケットと有し、前記第1ブラケット、前記第2ブラケットのうちの一方のブラケットに係合突起を形成し、他方のブラケットに前記係合突起に当接して前記アッパアームの傾動を規制するストッパを形成したことにより、第1ブラケット、第2ブラケットに、ストッパ機構、スパイラルスプリングを掛止する機能、カバーを取り付ける構造を集約でき、部品点数の削減、製造コストの削減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態例のシートの側面図である。
【図2】図1の切断線A−Aでの断面図である。
【図3】図1の第1ブラケット、第2ブラケットの斜視図である。
【図4】図1のリクライニング機構の分解斜視図である。
【図5】図4のC方向矢視図である。
【図6】図4のC′方向矢視図である。
【符号の説明】
36 ロアアーム
43 アッパアーム
90 リクライニング機構
200 第1ブラケット
203 円筒片部
205 第1ストッパ部
207 第2ストッパ部
211 穴
251 スパイラルスプリング
300 第2ブラケット
305 段状片部
307 係合突起
350 カバー
Claims (2)
- シートクッション側に設けられるロアアームと、シートバック側に設けられ、前記ロアアームに対して前後方向に傾動可能に設けられたアッパアームと、該アッパアームの傾動を禁止するリクライニング機構と、アッパアームを前倒方向に付勢するスパイラルスプリングと、前記アッパアームの傾動を一定範囲内に規制するストッパ機構と、前記シートクッションの側部を覆うカバーと、を有するシートにおいて、
前記ロアアームの外側に設けられ、前記スパイラルスプリングの内端部側が掛止される第1スプリング掛止部、及び前記カバーが取り付けられるカバー掛止部が形成された第1ブラケットと、
前記アッパアームに設けられ、前記スパイラルスプリングの外端部側が掛止される第2スプリング掛止部が形成された第2ブラケットと有し、
前記第1ブラケット、前記第2ブラケットのうちの一方のブラケットに係合突起を形成し、
他方のブラケットに前記係合突起に当接して前記アッパアームの傾動を規制するストッパを形成したことを特徴とするシート。 - 前記ストッパは、車幅方向に延出していることを特徴とする請求項1記載のシート。
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