JP4125453B2 - トーションビーム式サスペンション - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右一対のトレーリングアームを接続するトーションビームの内部にダイナミックダンパーを配置したトーションビーム式サスペンションに関する。
【0002】
【従来の技術】
車体前方側あるいは車体後方側が開放した開放断面のトーションビームを備えたトーションビーム式サスペンションが、特開平10−236123号公報により公知である。かかるトーションビーム式サスペンションを採用した市販車両において、トーションビームの内部空間にダイナミックダンパーを装着したものも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかるダイナミックダンパーはゴム等の弾性材を介して振動可能に支持したウエイトを備えており、前記弾性材が破断すると分離したウエイトがトーションビームの内部空間から脱落する虞がある。エンジンやトランスミッションに設けられたダイナミックダンパーには、通常時にはウエイトの振動を許容し、弾性材の破断時にはウエイトが脱落しないように該ウエイトをピンやボルトで拘束するものが知られている。しかしながら、ピンやボルトのような特別の脱落防止部材を採用すると、その分だけ部品点数が増加するという問題がある。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、トーションビームの内部空間に配置したダイナミックダンパーのウエイトの脱落を、特別の脱落防止部材を採用することなく確実に防止することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車体前後方向一方側が開放した開放断面を有して車体左右方向に延びるトーションビームの両端部に左右一対のトレーリングアームを接続し、支持部材にウエイトを支持したダイナミックダンパーを前記トーションビームの内部に配置したトーションビーム式サスペンションにおいて、 記トーションビームの上壁の左右方向中央部に、前記上壁から下方に延びて前記トーションビームの開口部に臨むブラケットが片持ち状に取り付けられ、該ブラケットには前記支持部材がトーションビームの外部から着脱可能に固定され、前記支持部材は、前記トーションビームの前記開口部を覆うように配置されてウエイトを内面に支持するウエイト支持部と、ウエイト支持部の左右両端部からトーションビームの内部に向けて延び、ウエイトの左右両側に臨む一対のウエイト脱落防止部とを備え、前記トーションビームの内面と前記一対のウエイト脱落防止部の外周部との間、及び前記ウエイト支持部の下端と前記トーションビームの下壁との間には、前記ウエイトの最小寸法よりも小さい隙間がそれぞれ形成されることを特徴とするトーションビーム式サスペンションが提案される。
【0006】
上記構成によれば、ダイナミックダンパーの支持部材のウエイト支持部からウエイトが分離しても、そのウエイトはトーションビームの内面、ウエイト支持部および一対のウエイト脱落防止部によって囲まれた空間に保持される。従って、特別の脱落防止部材でウエイトを拘束することなく該ウエイトがトーションビームの開口部から外部に脱落するのを防止することができ、部品点数の削減に寄与することができる。また前記ダイナミックダンパーの支持部材は、トーションビームの上壁の中央部から片持ち状に延びて前記開口部に臨むブラケットに、トーションビームの外部から着脱可能に固定されるから、ダイナミックダンパーの着脱はトーションビームの外部からの操作だけで良いため、作業性が極めて良好である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0008】
図1〜図4は本発明の一実施例を示すもので、図1は後輪のトーションビーム式サスペンションの左半部を車体斜め後方側から見た斜視図、図2は図1の2方向矢視図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図3の4−4線断面図である。
【0009】
図1に示すように、自動車の後輪W,Wを懸架するトーションビーム式サスペンションSは、緩く屈曲したパイプ部材から構成されて車体前後方向に延びる左右一対のトレーリングアーム11,11を備える。各トレーリングアーム11は、その前端に設けられたゴムブッシュジョイント12が車体側のブラケット13に上下揺動自在に支持されるとともに、その後端にブラケット14を介して車体左右方向に固定された車軸15に後輪Wが回転自在に支持される。トレーリングアーム11の上下揺動を減衰させるショックアブソーバ16の下端が、トレーリングアーム11の前後方向中間部に固定されたブラケット17に連結される。またトレーリングアーム11に入力される上下方向の衝撃を緩衝する懸架ばね18の下端が、トレーリングアーム11の後端に固定されたばね座19に支持される。左右のトレーリングアーム11,11の前後方向中間部、つまりゴムブッシュジョイント12,12およびショックアブソーバ16,16のブラケット17,17に挟まれた位置に、車体左右方向に延びるトーションビーム20の左右両端部がそれぞれガセット21,21を介して結合される。
【0010】
図2〜図4を併せて参照すると明らかなように、後面が開放した断面U字状のトーションビーム20の上壁203 の左右方向中央部にブラケット31が溶接されており、このブラケット31に左右方向に細長いダイナミックダンパー32が2本のボルト33,33で固定される。ダイナミックダンパー32は表面をゴム膜34で覆った直方体状のウエイト35を備えており、前記ゴム膜34から一体に延びる弾性脚36の先端が支持部材37に固定される。支持部材37は、前記弾性脚36が焼き付けにより結合される平板状のウエイト支持部371 と、ウエイト支持部371 の左右方向中央部から突出して前記ボルト33,33でブラケット31に固定される固定部372 と、ウエイト支持部371 の両端から突出してウエイト35の両端に所定の隙間を介して対向する一対のウエイト脱落防止部373 ,373 とを一体に備える。ウエイト脱落防止部373 ,373 には軽量化のための円形の肉抜き374 ,374 が施される。
【0011】
ダイナミックダンパー32をトーションビーム20に取り付けた状態で、支持部材37のウエイト支持部371 はトーションビーム20の開口部204 を覆っており、ウエイト支持部371 に支持されたウエイト35はトーションビーム20の内部空間に収納される。
【0012】
而して、自動車の走行に伴ってトーションビーム20が振動したとき、その振動がダイナミックダンパー32の弾性脚36に支持されたウエイト35の振動によって打ち消される。これにより、トーションビーム20の共振が防止されて室内騒音の低減に寄与することができる。
【0013】
さて、ダイナミックダンパー32の弾性脚36が万一破断するとウエイト35はトーションビーム20の内部で自由状態になるが、トーションビーム20の内面と一対のウエイト脱落防止部373 ,373 の外周部との隙間α(図3および図4参照)はウエイト35の最小寸法よりも小さいため、ウエイト35は前記隙間αを越えて左右方向に移動することはない。またトーションビーム20の下壁205 とウエイト支持部371 との間の隙間β(図3参照)はウエイト35の最小寸法よりも小さいため、ウエイト35は前記隙間βを通過することができない。従って、トーションビーム20の内部で自由状態になったウエイト35は、トーションビーム20の内面とダイナミックダンパー32の支持部材37とに囲まれた空間に保持され、トーションビーム20の外部に脱落することが防止される。またダイナミックダンパー32の着脱はトーションビーム20の外部から2本のボルト33,33を操作するだけで良いため、作業性が極めて良好である。
【0014】
以上のように、ダイナミックダンパー32の支持部材37の上記形状および配置により、ピンやボルトのような特別の脱落防止部材を設けることなく、弾性脚36が破断した際にウエイト35がトーションビーム20の外部に脱落するのを確実に防止することができる。
【0015】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0016】
例えば、実施例のトーションビーム20は車体後方側が開放した断面形状を有しているが、車体前方側が開放した断面形状であっても良い。
【0017】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、ダイナミックダンパーの支持部材のウエイト支持部からウエイトが分離しても、そのウエイトはトーションビームの内面、ウエイト支持部および一対のウエイト脱落防止部によって囲まれた空間に保持される。従って、特別の脱落防止部材でウエイトを拘束することなく該ウエイトがトーションビームの開口部から外部に脱落するのを防止することができ、部品点数の削減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 後輪のトーションビーム式サスペンションの左半部を車体斜め後方側から見た斜視図
【図2】 図1の2方向矢視図
【図3】 図2の3−3線断面図
【図4】 図3の4−4線断面図
【符号の説明】
11 トレーリングアーム
20 トーションビーム
203 上壁
204 開口部
205 下壁
31 ブラケット
32 ダイナミックダンパー
35 ウエイト
37 支持部材
371 ウエイト支持部
373 ウエイト脱落防止部
α,β 隙間

Claims (1)

  1. 車体前後方向一方側が開放した開放断面を有して車体左右方向に延びるトーションビーム(20)の両端部に左右一対のトレーリングアーム(11)を接続し、支持部材(37)にウエイト(35)を支持したダイナミックダンパー(32)を前記トーションビーム(20)の内部に配置したトーションビーム式サスペンションにおいて、
    前記トーションビーム(20)の上壁(203 )の左右方向中央部に、前記上壁(203 )から下方に延びて前記トーションビーム(20)の開口部(20 4 )に臨むブラケット(31)が片持ち状に取り付けられ、該ブラケット(31)には前記支持部材(37)がトーションビーム(20)の外部から着脱可能に固定され、前記支持部材(37)は、前記トーションビーム(20)の前記開口部(204 )を覆うように配置されてウエイト(35)を内面に支持するウエイト支持部(371 )と、ウエイト支持部(371 )の左右両端部からトーションビーム(20)の内部に向けて延び、ウエイト(35)の左右両側に臨む一対のウエイト脱落防止部(373 )とを備え、前記トーションビーム(20)の内面と前記一対のウエイト脱落防止部(37 3 )の外周部との間、及び前記ウエイト支持部(37 1 )の下端と前記トーションビーム(20)の下壁(205 )との間には、前記ウエイト(35)の最小寸法よりも小さい隙間(α,β)がそれぞれ形成されることを特徴とするトーションビーム式サスペンション。
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