JPH0211446B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は車輌用４リンク式懸架装置に関し、特
に、フレームを有しないモノコツク構造の車体に
４リンク式懸架装置のアツパコントロールアーム
を支持する構造に関する。

４リンク式懸架装置では、駆動輪のための車軸
を収容するリジツドアクスルハウジングが、一対
のアツパコントロールアームおよび一対のロアコ
ントロールアームを介して車体に支承されてい
る。各コントロールアームは、前記アクスルハウ
ジングの揺動を許すべく、それぞれの前端で車体
に枢着されまたそれぞれの後端で前記アクスルハ
ウジングに枢着されている。

ところで、モノコツク構造を有する車体では、
該車体のフロアパネルにブラケツトを設け、該各
ブラケツトに各コントロールアームの前端を枢着
した場合には、前記車体の前後方向に作用する前
記アクスルハウジングの振動が各コントロールア
ームを経て、最も振動しやすい前記フロアパネル
に直接伝えられる。このため、不快な車内音が発
生することがあつた。

この車内音の発生を防止すべく、前記フロアパ
ネルの両側部に、ロアコントロールアームを支持
するための一対の補強用アウタサイドメンバーお
よびアツパコントロールアームを支持するための
一対の補強用インナサイドメンバーをそれぞれ固
着し、各サイドメンバーにブラケツトを介して各
コントロールアームの前端を枢着することが試み
られている。

前記ロアコントロールアームは前記アツパコン
トロールアームよりも車体の外方に配置され、前
記ロアコントロールアームの後端は、前記リジツ
ドアクスルハウジングの両端部近傍に枢着されて
いる。前記リジツトアクスルハウジングの前記端
部近傍には大きく曲げ振動力が作用することはな
く、従つて、前記ロアコントロールアームから前
記アウタサイドメンバを経て、該アウタサイドメ
ンバーが固着された前記フロアパネルに伝えられ
る前後方向の振動によつては、該フロアパネルが
車内音を生じる程に強く振動することはない。

他方、前記アツパコントロールアームは、前記
ロアコントロールアームよりも車体の内方に配置
され、前記アツパコントロールアームの後端は、
前記アクスルハウジングに前記端部よりも内方の
部分で枢着されている。前記アクスルハウジング
に作用する振動曲げモーメントは、ほぼ、前記ア
クスルハウジングの両端部で小さくかつ内方へ向
けて増大するという曲線特性を示す。このため、
前記リジツトアクスルハウジングから前記アツパ
コントロールアームおよび前記インナサイドメン
バを経て、該インナサイドメンバーが固着された
前記フロアパネルに強い振動が伝えられ、その結
果、このアツパコントロールアームを経る振動に
よつて強い車内音が生じるという欠点があつた。

従来の前記した支持構造において、前記アツパ
コントロールアームを経る振動に起因する車内音
の低減を図るには、前記アツパコントロールアー
ムの後端を前記アクスルハウジングにその外端部
に低い位置で枢着することが考えられる。しかし
ながら、この場合には、前記アツパコントロール
アームの前端が枢着される前記インナサイドメン
バーを、前記アウタサイドメンバーに近接して配
置する必要が生じる。このため、両サイドメンバ
ーの前記フロアパネルへの取付作業上が困難にな
る等、種々の障害が生じ従来の前記支持構造で
は、充分な解決を図ることはできなかつた。

本発明の目的は、モノコツク構造の車体にリジ
ツドアクスルハウジングを揺動可能に支承する４
リンク式懸架装置において、前記車体に強い車内
音を生じさせることなく前記懸架装置の一対のア
ツパコントロールアームを前記車体のフロアパネ
ルに好適に支持する構造を提供することにある。

本発明は、フロアパネルを有するモノコツク構
造の車体にリジツドアクスルハウジングを揺動可
能に支承すべく該アクスルハウジングと、前記車
体との間に配置される一対のアツパコントロール
アームおよび一対のロアコントロールアームを含
む４リンク式懸架装置において、前記フロアパネ
ルの両側部に一対のサイドメンバーを固定し、該
サイドメンバー間に前記フロアパネルから間隔を
おいてクロスメンバーを架設し、該クロスメンバ
ーに前記アツパコントロールアームを枢動可能に
支承したことを特徴とする。

本発明によれば、前記アツパコントロールアー
ムに伝えられる前記リジツドアクスルハウジング
の振動は、従来のように前記フロアパネルに固着
されたサイドメンバーに直接伝えられることはな
く、前記フロアパネルから間隔をおく前記クロス
メンバーを経て、前記フロアパネルに固着された
サイドメンバーに伝えられる。前記クロスメンバ
ーを前記フロアパネルから間隔をおいて配置する
ことにより、クロスメンバーをフロアパネルに固
着する場合に比べ、前記クロスメンバーのたわみ
等の比較的大きい変形を許し、この変形は前記振
動の減衰に寄与する。前記クロスメンバーを前記
フロアパネルから間隔をおいて配置することは、
また、前記振動が前記フロアパネルに直接に伝わ
ることを防止する。したがつて、前記振動によつ
て前記フロアパネルが車内音を生じる程に強く振
動することはない。しかも、前記アッパコントロ
ールアームのための前記ブラケツトは、前記クロ
スメンバーの所望位置に固着することができ、こ
れにより前記アツパコントロールアームを前記リ
ジツドアクスルハウジングの最も振動力の小さい
箇所に枢着することが可能となる。従つて、前記
アツパコントロールアームを経て前記フロアパネ
ルに伝えられる振動の入力を低減することがで
き、これにより一層効果的に車内音の低減を図る
ことができる。

本発明が特徴とするところは、図示の実施例に
ついての以下の説明により、さらに明らかとなろ
う。

本発明に係る４リンク式懸架装置１０は、第１
図に示されているように、フロアパネル１２を有
するモノコツク構造の車体にリジツドアクスルハ
ウジング１４を揺動可能に弾性支持する。

リジツドアクスルハウジング１４は、前記車体
の幅方向に沿つて配置された車軸（図示せず）を
収容し、該車軸の前記ハウジング１４からの両突
出端には、それぞれ駆動輪（図示せず）を取り付
けるためのハブおよびブレーキドラム１６が固定
されている。

前記懸架装置１０は、前記車体の幅方向に互い
に間隔をおいて該車体の前後方向に伸びる一対の
アツパコントロールアーム１８と、該両アツパコ
ントロールアームよりも前記車体の外方側にあつ
て該車体の幅方向に互いに間隔をおいて前記車体
の前後方向に伸びる一対のロアコントロールアー
ム２０とを含む。

各コントロールアーム１８，２０の後端には、
それぞれ前記アクスルハウジング１４との連結の
ための従来よく知られた目玉部２２，２４が設け
られており、また各コントロールアーム１８，２
０の前端には、それぞれ前記車体のフロアパネル
１２との連結のための従来よく知られた目玉部２
６，２８が設けられている。

前記アクスルハウジング１４の上部には、アツ
パコントロールアーム１８の目玉部２２をそれぞ
れ受け入れるための一対の上方に開放するコの字
状のアツパブラケツト３０が設けられている。前
記目玉部２２には、図示しないが従来よく知られ
た防振のための筒状弾性体および該弾性体を貫通
する枢軸が挿入されており、該枢軸の両端が前記
ブラケツト３０に支持されている。これにより、
各アツパコントロールアーム１８は、従来と同様
に、その後端で前記アクスルハウジング１４に枢
着されている。

また、前記アクスルハウジング１４の前記ブラ
ケツト３０より外方に位置する両外方端部近傍に
は、一対の下方に開放するコの字状のロアブラケ
ツト３２が設けられている。前記ロアコントロー
ルアーム２０の目玉部２４には、目玉部２２に設
けられたと同様な従来よく知られた防振用筒状弾
性体および枢軸が配置され、該枢軸の両端が前記
ブラケツト３２に支持されることにより、各ロア
コントロールアーム２０の後端は前記アクスルハ
ウジング１４に枢着されている。

前記アクスルハウジング１４と、前記車体との
間には、従来よく知られたコイルスプリングから
なる一対の懸架ばね３４および緩衝器３６が設け
られ、また、前記アクスルハウジング１４と前記
車体との間には両者の相対的な横方向すなわち車
体の幅方向の変位を拘束するための従来よく知ら
れたラテラルロツド３８が設けられている。

前記車体のフロアパネル１２には、前記各コン
トロールアーム１８，２０の前端を支持するため
の一対のサイドメンバー４０が設けられている。
両サイドメンバー４０はフロアパネル１２の両側
部に配置されており、また各メンバー４０は前記
駆動輪を受け入れるためのキツクアツプ部に沿つ
て前記車体の後部で該車体の前後方向に伸びる。
各サイドメンバー４０は、溶接等によつてフロア
パネル１２の下面に固定されている。また、両サ
イドメンバー４０間には、前記車体の幅方向に伸
びかつ端部がそれぞれのサイドメンバー４０に固
定される補強部材４２，４４が設けられている
が、これを不要とすることができる。

各サイドメンバー４０の下面には、前記ロアコ
ントロールアーム２０の目玉部２８を支持するた
めの従来よく知られたブラケツト４６が固定され
ている。目玉部２８には、従来と同様な防振用筒
状弾性体および枢軸が配置され、該枢軸の両端が
前記ブラケツト４６に支持され、これにより各ロ
アコントロールアーム２０の前端がフロアパネル
１２に枢動可能に支持されている。

また、両補強部材４２，４４間において各サイ
ドメンバー４０には、車体の幅方向に沿つて配置
されたクロスメンバー４８を支承するためのブラ
ケツト５０が設けられている。各ブラケツト５０
は、第２図に示されているように、サイドメンバ
ー４０の両側より下方に伸びる一対の板部材５０
ａから成り、各板部材２０ａはサイドメンバー４
０に溶接等によつて固着されている。クロスメン
バー４８の各端部は、前記板部材５０ａに設けら
れた開口を貫通し、該開口の縁部で溶接等により
前記板部材５０ａに固着されている。これによ
り、クロスメンバー４８は、前記フロアパネル１
２から間隔をおいて前記サイドメンバー４０に支
承されている。

前記ブラケツト５０を用いることに代えて、第
３図に示されているように、各サイドメンバー４
０の下面に、ボルトナツトからなる締結具５２を
介して、下方に開放するコの字状のブラケツト５
０′を固定して、該ブラケツトにクロスメンバー
４８の端部を第２図に沿つて説明したと同様な方
法によつて結合することができる。

また、第４図に示されているように、クロスメ
ンバー４８の各端部に継手板５４を固着し、該継
手板を前記したと同様な締結具５２を介してサイ
ドメンバー４０の側面に固定することができる。

さらに、第５図に示すように、各サイドメンバ
ー４０の下部にクロスメンバー４８の端部を受け
入れる孔５６を設け、該孔の縁部でサイドメンバ
ー４０とクロスメンバーとを溶着し、これにより
前記ブラケツト５０または５０′あるいは継手板
５４を用いることなくクロスメンバー４８をサイ
ドメンバー４０に支持することができる。

前記クロスメンバー４８として、内部が充実し
た金属棒を用いることができるが、強度を高めか
つ軽量化を図る上で、第２図ないし第５図に示し
たような金属管を用いることが好ましい。

再び第２図を参照するに、前記クロスメンバー
４８の前記サイドメンバー４０に近接する部分に
は、それぞれアツパコントロールアーム１８の目
玉部２６を支持するためのブラケツト５８が固着
されている。目玉部２６内には、図示しないが従
来よく知られた防振用筒状弾性体が配置され、該
弾性体を貫通する枢軸６０の両端がブラケツト５
８に支承されている。これにより、各アツパコン
トロールアーム１８は、その前端で、前記フロア
パネル１２から間隔をおくクロスメンバー４８お
よび該クロスメンバーをフロアパネル１２に結合
するサイドメンバー４０を介して、フロアパネル
１２に支持される。

本発明に係る前記懸架装置１０では、従来の前
記懸架装置におけると同様、前記車体と前記アク
スルハウジング１４との間に配置された一対のア
ツパコントロールアーム１８および一対のロアコ
ントロールアーム２０によつて前記アクスルハウ
ジング１４は前記車体に揺動可能に支承される。
前記アクスルハウジング１４からは、各ロアコン
トロールアーム２０および該アームが結合された
前記サイドメンバー４０を経てフロアパネル１２
に振動が伝達される。しかしながら、各ロアコン
トロールアーム２０は、従来におけると同様、小
さな前後方向への振動曲げモーメントしか作用し
ない前記アクスルハウジング１４の両端部近傍で
該アクスルハウジングに結合されている。従つ
て、前記ロアコントロールアーム２０を経る前記
車体の前後方向に作用する振動によつてフロアパ
ネル１２が強い車内音を発する程に強く振動する
ことはない。

これに対し、両ロアコントロールアーム２０よ
りも車体の内方に配置された各アツパコントロー
ルアーム１８は前記アクスルハウジング１４から
ロアコントロールアーム２０が受けるよりも強い
前後方向の振動を受ける。

しかしながら、アツパコントロールアーム１８
に伝えられたこの強い振動は、サイドメンバー４
０あるいはフロアパネル１２に直接伝えられるこ
とはない。すなわち、アツパコントロールアーム
１８に伝えられた振動は、フロアパネル１２から
間隔をおきかつ両サイドメンバー４０間に架設さ
れたクロスメンバー４８および前記サイドメンバ
ーを経てフロアパネル１２に至り、この間アツパ
コントロールアーム１８に伝えられた前記車体を
前後方向に作用する強い振動は、前記クロスメン
バー４８を経ることによつて、該クロスメンバー
のたわみ変形等により一部を吸収され、減衰を受
ける。従つて、前記アツパコントロールアーム１
８を経る振動によつて、フロアパネル１２が強い
車内音を生じる程に強く振動することはなく、そ
の結果フロアパネル１２の振動による車内音が低
減する。

また、本発明に係る懸架装置１０では、アツパ
コントロールアーム１８の前端を支持する前記ブ
ラケツト５８を前記サイドメンバー４０に近接し
て配置することができる。すなわち、両アツパコ
ントロールアーム１８間のスパンを増大して該ア
ツパコントロールアームの前記アクスルハウジン
グ１４への結合点を従来に比較して該アクスルハ
ウジングの端部に近づけることができ、これによ
り該アクスルハウジングからアッパコントロール
アームへの前記振動の入力を低減して車内音を一
層良好に低減することができる。特に、前記アク
スルハウジングの振動モードの節に対応する部分
に前記アツパコントロールアームの後端を結合す
ることが効果的である。

第６図は、本発明に係る前記懸架装置と、従来
の前記懸架装置とにおける車内音の比較を示すグ
ラフである。縦軸は車内の音圧レベル（dB）を
示し、また横軸はエンジンの回転により前記アク
スルハウジングに生じる２次振動モードの周波数
（Hz）を示す。前記グラフの実線で示される特性
線は従来の前記懸架装置の特性を示す。また、破
線で示される特性線は、本発明の前記懸架装置に
おいて従来の前記懸架装置におけると同一のスパ
ンで一対のアツパコントロールアーム１８を配置
した例での特性を示す。さらに、一点鎖線で示さ
れる特性線は、本発明の前記懸架装置において、
一対のアツパコントロールアーム１８を従来のス
パンよりも大きなスパンで配置しかつ各アツパコ
ントロールアーム１８を前記アクスルハウジング
の振動モードの節に対応する部分に結合した例で
の特性を示す。

前記グラフから明らかなように、本発明によれ
ば、アツパコントロールアームのスパンを変える
ことなく、従来に比較して全体的に車内音の低減
を図ることができ、特に前記スパンを選択するこ
とによつて120Hzないし160Hzの車内音を一層良好
に低減することができる。

前記アツパコントロールアームの前記した支持
構造は、一対のロアコントロールアームの支持に
も適用することができ、これによつて一層車内音
の低減を図ることが可能となる。

本発明によれば、振動を生じやすいフロアパネ
ルの強い振動を防止し、またこのフロアパネルの
振動による輻射音の低減を図ることができ、乗員
を騒音による不快感から解放して車両の乗心地を
高めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る４リンク式懸架装置を概
略的に示す斜視図であり、第２図は第１図に示し
た前記懸架装置の支持構造を示す横断面図であ
り、第３図ないし第５図はそれぞれ本発明の他の
実施例を示す第２図と同様な図面であり、第６図
は本発明のこもり音特性を示すグラフである。 １０：４リンク式懸架装置、１２：フロアパネ
ル、１４：リジツドアクスルハウジング、１８：
アツパコントロールアーム、２０：ロアコントロ
ールアーム、４０：サイドメンバー、４８：クロ
スメンバー、５８：ブラケツト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ フロアパネルを有するモノコツク構造の車体
   に、該車体の幅方向に伸びる車軸を収容するため
   のリジツドアクスルハウジングを揺動可能に支承
   すべく、該アクスルハウジングと前記車体との間
   に該車体の前後方向に沿つて配置される一対のア
   ツパコントロールアームおよび一対のロアコント
   ロールアームを含む４リンク式懸架装置におい
   て、前記アツパコントロールアームを前記車体に
   支持する構造であつて、前記フロアパネルの両側
   部に配置されそれぞれが前記車体の前後方向に伸
   びかつ該車体に固定される一対のサイドメンバー
   と、該サイドメンバー間に前記フロアパネルから
   間隔をおいて配置されかつ両端が対応する前記サ
   イドメンバーに固定されるクロスメンバーとを含
   み、該クロスメンバーに前記アツパコントロール
   アームのそれぞれが枢着されている、４リンク式
   懸架装置におけるアツパコントロールアームのた
   めの支持構造。