JP4118509B2 - プレススルーパック、プレススルーパック用封緘シート及び錠剤の調剤方法 - Google Patents
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Description
本発明は、プレススルーパック、プレススルーパック用封緘シート及び錠剤の調剤方法に関し、特に、プレススルーパックに収納されている錠剤等の固形物をプレススルーパックから、1個ずつ取り出すことができるとともに、所望により複数個又は全ての固形物を、一度に、簡単に、取り出すことができるようにした、プレススルーパック、そのようなプレススルーパックを製造するのに好適なプレススルーパック用封緘シート、及び、プレススルーパックに収納されている分割錠剤の全てを、一度に、分割し、収納本体の収納凹所の各々内に存在する分割された錠剤の全てを、一度に採取することのできる錠剤の調剤方法に関する。
背景技術
プレススルーパック(一般に、PTP包装と言われている。)は、収納凹所(ポケットともいう。)の各々に固形物を個包装でき、密封性が良好で衛生的であり、しかも、簡単に、収納凹所に収納されている固形物を1個ずつ個別に取り出すことができるため、錠剤やカプセル剤等の薬剤や、キャンディー等の菓子類の個包装用包装形態として、幅広く、使用されている。
図7は、そのようなプレススルーパックの一例を模式的に示す断面図であり、このプレススルーパック101は、収納本体102と、封緘シート105とを備え、封緘シート105の接着剤層104が収納本体102の板状部102b、・・・、102bに接着された構造となっている。
収納本体102は、一般に、ポリ塩化ビニルやポリプロピレンや環状ポリオレフィンなどの合成樹脂によって製されており、板状部102b、・・・、102bによって連結され、通常、収納すべき固形物T、・・・、Tの形状に応じて形成された複数の収納凹所102a、・・・、102aを有した形状となっている。
また、封緘シート105は、アルミニウム箔等で製せられる基材103と、基材103の片側表面上に設けられた接着剤層104とを有している。
そして、プレススルーパック101は、収納本体102の複数の収納凹所102a、・・・、102aの各々内に、固形物T、・・・、Tを収納させた状態で、封緘シート105の接着剤層104と収納本体102の板状部102b、・・・、102bとが接着されて、収納本体102が封緘シート105により密封されて構成されている。
このようなプレススルーパック101は、収納本体102の収納凹所102a、・・・、102aの外面となる凸部102c、・・・、102cの各々を押圧すれば、収納凹所102a、・・・、102aの各々を密封している封緘シート105の部分R1、・・・、R1が、収納凹所102a、・・・、102aの各々に収容された固形物T、・・・、Tによって、破断して、プレススルーパック101から固形物T、・・・、Tを一個ずつ取り出すことができるようになっている。
一方、医薬品の投与量は、投与対象である患者の体重、年齢等で変化させる必要があり、多くの錠剤は、これに対応するため、割線を有し、指や治具で割線に沿って分割しやすい形状にされている。
ところで、従来のプレススルーパック101は、複数の収納凹所102a、・・・、102a内の各々に収容された固形物T、・・・、Tを1個ずつ取り出すことを前提にしているため、例えば、病院、開業医、薬局等の現場において、患者に処方する複数の異なる成分を含有する薬剤を、一回の処方毎に分包するような場合には、薬剤師等が、プレススルーパック101に包装された固形物T、・・・、Tを1個ずつ取り出して、その後、取り出された固形物T、・・・、Tを、分包機で、一回の処方毎に分包するといったことがなされており、多数の患者に、薬剤を出す場合に、プレススルーパック101から固形物T、・・・、Tを1個ずつ取り出すのに手間と時間がかかり煩わしく、薬剤師を初めとして、医療現場を管理する者から、固形物T、・・・、Tを1個ずつ取り出すことができるとともに、プレススルーパック101に包装されている、全ての固形物T、・・・、Tを、一度に、簡単に、取り出すことができる、プレススルーパックを提供して欲しいという要望がなされている。
また、アルミニウム箔は、その優れた防湿性や、固形物Tを取り出し易いといった利点や、高級感があるので、封緘シート105の基材103として、幅広く利用されているが、現状では、プレススルーパック101から、固形物T、・・・、Tの全てを取り出して、これを廃棄する際に、アルミニウム箔の基材103と収納本体102とを分別して廃棄するといったことがなされておらず、廃棄処理が難しく、リサイクルもされていない。
発明の開示
本発明は、以上のような要望に応えるためになされたものであって、プレススルーパックに包装された固形物をプレススルーパックから、1個ずつ取り出すことができるとともに、所望により複数個又は全ての固形物を、一度に、簡単に、取り出すことができ、廃棄の際には、封緘シートと収納本体とを容易に分別して廃棄することのできる、プレススルーパックを提供すること、並びに、そのようなプレススルーパックを容易に作製することができる、プレススルーパック用封緘シートを提供することを目的としている。
また、多くの分割錠剤は、上述したように、割線を有し、杵等で分割しやすい形状にされてはいるものの、分割錠剤の分割は、プレススルーパック101から、分割錠剤を一錠ずつ取り出した後、手作業で、一錠ずつ、分割するといったことが専ら行われており、錠剤の分割作業は、手間がかかり作業効率が悪く、薬剤師等から、調剤業務の効率化を図るため、一度に大量の錠剤を分割し、分割された錠剤を一度に容易に採取可能な、錠剤の調剤方法が長年望まれている。
本発明の更なる目的は、薬剤師等からの要望に応えるためになされたものであって、プレススルーパックに包装された分割錠剤をプレススルーパックから、1個ずつ取り出すことができるとともに、一度に大量の分割錠剤を分割し、分割された錠剤を一度に容易に採取可能な、錠剤の調剤方法を提供することにある。
請求項1に記載のプレススルーパックは、板状部によって連結された複数の収納凹所を有する収納本体と、基材と、基材の片側表面上に設けられた接着剤層とを有する封緘シートとを備え、収納本体の複数の収納凹所の各々に、固形物を収納させた状態で、封緘シートの接着剤層と収納本体の板状部とが接着されて、収納本体が封緘シートにより密封されており、封緘シートは、固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を指で押したときには、前記封緘シートの接着剤層と収納本体の板状部との接着部において、浮きや剥がれを生じることなく、収納凹所を密封している封緘シートの部分を破断させて、固形物を取り出すことができ、且つ、収納本体から容易に剥離できるように収納本体の板状部に接着されている。
ここで、「収納本体から容易に剥離できるように収納本体の板状部に接着されている。」は、より詳しく説明すると、プレススルーパックの封緘シートの一部をめくり上げたときに、封緘シートが容易に、且つ、破断することなく、収納本体の板状部から剥離できるように接着されていることを意味する。
収納本体の材料や封緘シートの基材の材料としては、医薬品、動植物薬、菓子類、健康食品、釣り餌、玩具等を包装するプレススルーパックに使用可能な、収納本体材や封緘シート材であれば、特に限定されることはない。
請求項2に記載のプレススルーパックは、請求項1に記載のプレススルーパックの固形物が分割錠剤であることを特徴とする。
分割錠剤は、プレススルーパックの収納本体の収納凹所のいずれかに、1以上収納されていればよい。また、分割錠剤は、収納凹所内に、分割錠剤の割線が設けられた表面が、収納本体側を向くように収納されていてもよく、分割錠剤の割線が設けられた表面に対向する表面が収納本体側を向くように収納されていてもよく、更には、分割錠剤の割線が設けられた表面が、収納本体側を向くように収納されたものと、分割錠剤の割線が設けられた表面に対向する表面が収納本体側を向くように収納されたものとの両者が、任意に混在するように収納本体の収納凹所の各々に収納されていてもよい。
また、「分割錠剤」は、錠剤の表面の中央に割線を有しており、更に、錠剤の表面又は裏面に圧力を加えたときに、割線に割線を引き裂く力が集中し、割線から分割される錠剤が好ましい。より具体的には、錠剤の表面の中央に割線を有し、且つ、錠剤の割線が設けられた側の表面又は錠剤の割線が設けられた側の表面に対向する表面の少なくとも一方に、凹面又は凸面を形成した形状を有する分割錠剤が好ましい。
また、このような分割錠剤は、裸錠(素錠)であっても、裸錠の表面に、適当なコーティング剤の剤皮が施されたコーティング錠であってもよい。
また、分割錠剤の直径は、3mm以上30mm以下であることが好ましく、更に好ましくは、5mm以上12mm以下である。
また、分割錠剤を製造するときの打錠圧は、分割錠剤を分割する時の厚さ方向の押圧が、50N以下となるように調整することが好ましく、更に好ましくは、15N以上40N以下である。
請求項3に記載のプレススルーパックは、請求項1又は請求項2に記載のプレススルーパックの、封緘シートと収納本体の板状部との接着強度が、T剥離試験を剥離速度200mm/分で行った場合、0.9N/15mm幅以上3.1N/15mm幅以下であることを特徴とする。
ここに、本明細書で用いる単位「N/15mm幅」は、収納本体と封緘シートとを接着し、その後、収納本体と封緘シートとの接着部を15mm幅に切断し、これをテスト用試料として、T剥離試験をしたときの剥離強さを意味する。
又、本明細書で用いる用語「T剥離試験」は、JIS K6845に準じた試験を意味する。
上記範囲内であれば、収納本体の固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を、封緘シート方向へ、指で押し出して、封緘シートの収納凹所を密封している部分を破断して固形物を取り出す際に、封緘シートの固形物が取り出された収納凹所(いわゆる、ポケット)の領域の外側の封緘シートの接着剤層と収納本体の板状部との接着部において、収納本体と封緘シートとの間に、剥がれや浮きが生じず、且つ、封緘シートを剥してめくり上げたときには、封緘シートに破断を生じることなく、収納本体から封緘シートを引き剥がすことができる。
これに対し、上記範囲未満では、封緘シートを剥してめくり上げたときには、封緘シートに破断を生じることなく、収納本体から封緘シートを引き剥がすことができるものの、収納本体の固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を、封緘シート方向へ、指で押し出して、封緘シートを破断して固形物を取り出す際に、封緘シートの固形物が取り出された収納凹所の領域の外側の封緘シートの接着剤層と収納本体の板状部との接着部において、収納本体と封緘シートとの間に剥がれや浮きが生じ、好ましくない。
また、上記範囲を超えると、収納本体の固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を、封緘シート方向へ、指で押し出して、封緘シートを破断して固形物を取り出す際に、固形物が取り出された収納凹所の外側の封緘シートの接着剤層と収納本体の板状部との接着部において、封緘シートの収納本体と封緘シートとの間に、剥がれや浮きが生じないものの、封緘シートを剥してめくり上げ、収納本体から封緘シートを引き剥がすことが困難であり、これを無理に引き剥そうとすると、封緘シートの一部が破断して好ましくない。
尚、封緘シートと収納本体の板状部との接着部の接着強度は、T剥離試験を剥離速度200mm/分で行った場合は、より好ましくは、1.3N/15mm幅以上2.7N/15mm幅以下である。
請求項4に記載のプレススルーパックは、請求項1又は請求項2に記載のプレススルーパックの、封緘シートと収納本体の板状部との接着強度が、T剥離試験を剥離速度100mm/分で行った場合、4.2N/15mm幅以上7.0N/15mm幅以下であることを特徴とする。
上記範囲内であれば、収納本体の固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を、封緘シート方向へ、指で押し出して、封緘シートの収納凹所を密封している部分を破断じて固形物を取り出す際に、封緘シートの固形物が取り出された収納凹所(いわゆる、ポケット)の領域の外側の封緘シートの接着剤層と収納本体の板状部との接着部において、収納本体と封緘シートとの間に、剥がれや浮きが生じず、且つ、封緘シートを剥してめくり上げたときには、封緘シートに破断を生じることなく、収納本体から封緘シートを引き剥がすことができる。
これに対し、上記範囲未満では、封緘シートを剥してめくり上げたときには、封緘シートに破断を生じることなく、収納本体から封緘シートを引き剥がすことができるものの、収納本体の固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を、封緘シート方向へ、指で押し出して、封緘シートを破断して固形物を取り出す際に、封緘シートの固形物が取り出された収納凹所の領域の外側の封緘シートの接着剤層と収納本体の板状部との接着部において、収納本体と封緘シートとの間に剥がれや浮きが生じ、好ましくない。
また、上記範囲を超えると、収納本体の固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を、封緘シート方向へ、指で押し出して、封緘シートを破断して固形物を取り出す際に、固形物が取り出された収納凹所の外側の封緘シートの接着剤層と収納本体の板状部との接着部において、封緘シートの収納本体と封緘シートとの間に、剥がれや浮きが生じないものの、封緘シートを剥してめくり上げ、収納本体から封緘シートを引き剥がすことが困難であり、これを無理に引き剥そうとすると、封緘シートの一部が破断して好ましくない。
尚、封緘シートと収納本体の板状部との接着部の接着強度は、T剥離試験を剥離速度100mm/分で行った場合は、4.8N/15mm幅以上6.5N/15mm幅以下であることが、より好ましい。
請求項5に記載のプレススルーパックは、請求項1〜4のいずれかに記載のプレススルーパックの封緘シートの接着剤層を形成する接着剤の接着成分に接着力低下成分が配合されていることを特徴とする。
ここで、「接着成分」は、通常の、ヒートシールやコールドシールに用いられる接着剤を意味する。
また、「接着力低下成分」は、接着成分の接着力を弱める作用を有する成分を意味し、接着力の弱い接着剤や、通常、離型剤、充填剤等として用いられるものを意味し、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の離型剤等として用いられる樹脂を挙げることができる。また、収納本体がポリ塩化ビニルで製されている場合は、接着力低下成分として、アクリル樹脂を挙げることができる。
また、充填剤としては、酸化珪素、珪酸マグネシウム、二酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウム、アルミナ、タルク等の微粉末を挙げることができる。
このプレススルーパックでは、接着成分に適当量の接着低下成分を配合することで、接着剤の接着力を、収納本体の固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を、封緘シート方向へ、指で押して、封緘シートの一部を破断して、固形物を取り出す際に、封緘シートに、固形物が取り出された収納凹所(いわゆる、ポケット)の領域の外側の部分において、封緘シートの収納本体と封緘シートとの間に剥がれや浮きが生じず、且つ、封緘シートの一部を収納本体から剥してめくり上げたときには、封緘シートに破断を生じることなく、収納本体から封緘シートを引き剥がすことができる接着力に調整している。
請求項6に記載のプレススルーパックは、請求項1〜5のいずれかに記載のプレススルーパックの封緘シートの接着剤層が、前記封緘シートの片側の表面上に、部分塗工されていることを特徴とする。
「部分塗工」の方法としては、種々の方法が考えられるが、収納本体の収納凹所の各々内に収容される固形物を完全に密封することができる限り、封緘シートの収納本体に対向する側の表面に、接着剤を、編目状、線状等のいずれに塗工してもよく、又は、これらの少なくとも2種を組み合わせて塗工してもよい。
このプレススルーパックは、接着剤を部分塗工することで、接着剤の接着力を、固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を、指で押して、封緘シートの一部を破断して固形物を取り出す際に、いわゆる、ポケットの外側において、収納本体と封緘シートとの剥がれや浮きが生じず、且つ、封緘シートの一部を収納本体から剥してめくり上げたときには、封緘シートに破断を生じることなく、収納本体から封緘シートを引き剥がすことができるように調整している。
請求項7〜9のいずれかに記載のプレススルーパック用封緘シートは、プレススルーパックに収納されている、錠剤等の固形物を一個ずつ取り出すことができるとともに、所望によって複数個又は全ての固形物を、一度に、簡単に取り出すことができるプレススルーパックを容易に製造できる、プレススルーパック用封緘シートを提案するものである。
即ち、請求項7に記載のプレススルーパック用封緘シートは、基材と、基材の片側表面上に設けられた接着剤層とを備え、板状部によって連結された複数の収納凹所を有する収納本体の板状部に接着剤層を接着させて、収納本体を密封するために用いるプレススルーパック用封緘シートにおいて、固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を指で押したときには、封緘シートの接着剤層と収納本体の板状部との接着部において、浮きや剥がれを生じることなく、収納凹所を密封している封緘シートの部分を破断させて、固形物を取り出すことができ、且つ、収納本体から容易に剥離できるように前記収納本体の板状部に接着するようにされている。
請求項8に記載のプレススルーパック用封緘シートは、請求項7に記載のプレススルーパック用封緘シートの封緘シートと収納本体の板状部との接着強度が、T剥離試験を剥離速度200mm/分で行った場合、0.9N/15mm幅以上3.1N/15mm幅以下となるように調整されていることを特徴とする。
尚、封緘シートと収納本体の板状部との接着強度は、T剥離試験を剥離速度200mm/分で行った場合、1.3N/15mm幅以上2.7N/15mm幅以下となるように調整されていることが、より好ましい。
請求項9に記載のプレススルーパック用封緘シートは、請求項7に記載のプレススルーパック用封緘シートの封緘シートと収納本体の板状部との接着強度が、T剥離試験を剥離速度100mm/分で行った場合、4.2N/15mm幅以上7.0N/15mm幅以下となるように調整されていることを特徴とする。
尚、封緘シートと収納本体の板状部との接着強度は、T剥離試験を剥離速度100mm/分で行った場合、4.8N/15mm幅以上6.5N/15mm幅以下となるように調整されていることがより好ましい。
請求項10に記載の錠剤の調剤方法は、プレススルーパックに包装された分割錠剤の全部を一度に分割し、分割された錠剤を一度に容易に採取可能な、錠剤の調剤方法を提案するもので、請求項2に記載のプレススルーパックを平板上に載置し、平板上に載置されたプレススルーパックの上方から、平板を用いて、均等な力をプレススルーパックに加えることにより、プレススルーパックの収納本体の収納凹所の各々内に収納された全ての分割錠剤を分割し、その後、封緘シートを収納本体から剥してめくり上げ、収納本体の収納凹所の各々内に存在する分割された錠剤の全てを、一度に採取することを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照しながら、本発明について、更に、詳しく説明する。
図1は、本発明に係るプレススルーパックの一例を模式的に示す断面図であり、このプレススルーパック1は、収納本体2と、封緘シート5とを備え、封緘シート5の接着剤層4が収納本体2の板状部2b、・・・、2bに接着された構造になっている。
収納本体2は、通常、収納すべき固形物T、・・・、Tの形状に応じて、加熱成形して、複数の収納凹所2a、・・・、2aが、板状部2b、・・・、2bで連結されてた形状となっている。
収納本体2の材料としては、一般に使用されている、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン等の熱可塑性の合成樹脂を用いることができ、このような収納本体材料を用いれば、複数の収納凹所2a、・・・、2aは、収納すべき固形物T、・・・、Tの形状に応じて、加熱成形して、容易に形成できる。
また、封緘シート5は、基材3と、基材3の片側の表面上に設けられた接着剤層4とを有する。
封緘シート5の基材3の材料としては、収納本体2の収納凹所2a、・・・、2aの各々内に収容される固形物T、・・・、Tを密封でき、且つ、収納本体2の収納凹所2a、・・・、2aの外面となる凸部2c、・・・、2cの各々を、封緘シート5方向へ、押圧すれば、収納凹所2a、・・・、2aの各々に収容された固形物T、・・・、Tの各々によって容易に破断する材料であれば、一般に、包装材として使用されている種々の材料を用いることができ、そのような材料としては、例えば、アルミニウム箔、グラシン紙、破断させやすくするための充填剤を含有させた合成樹脂シート、紙等を、その好ましい例として挙げることができる。
具体的には、封緘シート5の基材3として、アルミニウム箔を用いる場合には、好ましくは、厚さが、5μm以上30μm以下、より好ましくは、15μm以上25μm以下の硬質箔を用いる。
また、封緘シート5の基材3として、グラシン紙を用いる場合には、好ましくは、秤量(平方メートル当りの重さ)が、30.5g/m2のものを用いる。
また、封緘シート5の基材3として、破断しやすくするために充填材を含有させた合成樹脂シートを用いる場合には、好ましくは、厚さが9μm以上100μm以下、より好ましくは、12μm以上80μm以下のものを用いる。
この合成樹脂は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、線状ポリオレフィン等の熱可塑性合成樹脂が好適に使用される。
また、合成樹脂に含有させる充填剤としては、例えば、酸化珪素、珪酸マグネシウム、二酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウム、アルミナ、タルク等、種々のものを使用でき、平均粒径が、1μm以上10μm以下のものを、5重量%以上15重量%以下、好ましくは、5重量%以上70重量%以下を合成樹脂中に混入する。
また、封緘シート5の基材3として、紙を用いる場合には、坪量が、13g/m2以上100g/m2以下のものを用いるのが好ましい。
以上説明したような封緘シート5の基材3の物性や組成は、主として、収納本体2の、固形物Tを収納した収納凹所2aの外面となる凸部2cを、封緘シート5方向に、指で押したときには、その収納凹所2aを密封している封緘シート5の収納凹所2a、・・・、2aを密封している部分R1、・・・、R1を破断させて、固形物Tを取り出すことができる程度の強靭さを有している。
以上の構成は、従来のプレススルーパック101と同様であるが、このプレススルーパック1では、封緘シート5の接着剤層4と収納本体2の板状部2b、・・・、2bとの接着強度を、固形物T、・・・、Tの各々を収納している収納凹所2a、・・・、2aの各々の外面となる凸部2c、・・・、2cの各々を、封緘シート5方向に、指で押し出したときには、封緘シート5の破断が、板状部2bと接着剤層4との接着部R2、・・・、R2側へ広がることなく、収納凹所2a、・・・、2aを密封している封緘シート5の部分(いわゆる、ポケット部)R1、・・・、R1だけが破断し、固形物T、・・・、Tの各々を1錠ずつ取り出すことができるとともに、封緘シート5を剥してめくり上げたときには、封緘シート5が途中で破断することなく、収納本体2から容易に分離できるように、調整している点に特徴がある。
以下、封緘シート5の接着強度を調整する方法について、接着剤層4を構成する接着強度を接着剤の成分によって調整する場合と、接着剤の接着強度を封緘シート5の基材3への塗工方法によって調整する場合とに、場合分けをして、説明する。
A.接着強度を接着剤の成分によって調整する場合。
接着剤を構成する成分によって、接着強度を調整する場合には、接着成分に、適当量の接着低下成分を配合するようにする。
具体的には、接着成分は、収納本体2と封緘シート5の基材3とを接着できる成分であれば、何でもよく、例えば、ヒートシールが可能な熱可塑性樹脂であっても、コールドシールが可能なコールドシール接着剤であってもよい。
ヒートシールが可能な熱可塑性樹脂としては、以下のものに限定されることは無いが、例えば、収納本体2が、ポリ塩化ビニルで製されている場合には、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体を、その好ましい例として挙げることができ、例えば、収納本体2が、ポリプロピレンで製されている場合には、塩素化ポリプロピレン、カルボキシル化ポリプロピレンを、その好ましい例として挙げることができる。又、例えば、収納本体2が、ポリスチレンで製されている場合には、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合体を、その好ましい例として挙げることができる。
また、コールドシール接着剤としては、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ゴム等を挙げることができる。
ここに、「コールドシール接着剤」は、部材と部材とを貼着する際に、部材と部材とを加圧するだけで接着することができる接着剤をいう。
また、接着剤に配合する接着力低下成分は、封緘シート5の接着剤層4と収納本体2との接着強度、又は、封緘シート5の接着剤層4と封緘シート5の基材3との接着強度を低下させる物質であれば使用可能である。
そのような物質としては、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の離型剤等として用いられる樹脂や、アクリル樹脂、線状ポリエステル樹脂等をその好ましい例として挙げることができる。
また、酸化珪素、珪酸マグネシウム、二酸化チタン、亜鉛華、炭酸カルシウム、アルミナ、タルク等の充填剤等として用いられる微粉末も、その好ましい例として挙げることができる。
接着剤の接着成分と接着力低下成分との配合割合は、後述する、接着強度試験、押し出し試験及び剥離試験によって決められる。
B.接着強度を、封緘シートの基材への接着剤の塗工方法によって調整する場合。
この場合は、封緘シート5の基材3へ接着剤を、全面塗工したり、部分塗工したりするようにしたり、また、封緘シート5の基材3へ塗工する接着剤の単位面積当りの塗工量を調整をしたりすることで、所望の接着強度を得ることができる。
尚、部分塗工は、例えば、収納本体2の収納凹所2aの各々内に収容される固形物T、・・・、Tの各々を完全に密封することができる限り、封緘シート5の収納本体2に対向する側の表面に、接着剤を、編目状、線状に塗工してもよく、又は、これらの少なくとも2種を組み合わせて塗工してもよい。
また、封緘シート5の基材3へ塗工する接着剤の単位面積当りの塗工量の調整するには、接着剤として、希釈剤を適宜配合したものを用いたり、封緘シート5の基材3に塗工する接着剤の単位面積当りの膜厚を調整すればよい。
また、接着強度を封緘シート5の基材3への接着剤の塗工方法によって調整する場合には、接着剤中に、接着力低下成分が含まれていても、含まれていなくてもよいことを付記しておく。
次に、具体的な実験データを例示して、本発明について説明する。
(実験例1)
(封緘シート及び封緘シートと収納本体の板状部との接着強度試験用サンプルの作製)
接着成分として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を主成分とする、ポリ塩化ビニル用ヒートシール剤(株式会社リーダー製、商品名:LD830G)を用い、これに、接着力低下成分である、アクリル樹脂(コニシ株式会社製、商品名:KV610)を混合し、その配合比を変えることで、ヒートシール強度(接着強度)を調節した接着剤溶液のサンプルを複数個用意し、これら配合比を変えた接着剤溶液を、厚さ20μmのアルミニウム箔(硬質箔)(封緘シート5の基材3)の表面上に、バーコーター#12を使用し塗布した。
次に、200℃の熱風乾燥機で20秒間乾燥し、アルミニウム箔(封緘シート5の基材3)の表面上に、種々の接着強度を有する接着剤層4を有する、複数の封緘シート5を作製した。
次に、このようにして作製した封緘シート5の各々と、収納本体2としては、ポリ塩化ビニルシート(住友ベークライト株式会社製、商品名:VSS1202)を使用し、ヒートシールバーとして平板を有するヒートシーラ(株式会社安田精機製、テコ式ヒートシーラ)を使用して、温度150℃×圧力3Kg/cm2×時間1秒で熱圧着した。
(封緘シートと収納本体の板状部との接着強度試験)
次に、上記により作製した封緘シート5と収納本体2とを熱圧着したものの各々を15mm幅に切断し、これらを、接着強度測定用サンプルとした。
接着強度の測定は、インストロン型引張り試験機(株式会社島津製作所製、型式名:AGS−100−D)を使用し、剥離強さを測定することにより行った。
測定条件は、JIS K6845に準じて、T剥離試験で行い、剥離速度は、200mm/分で行った。
(押し出し試験及び剥離試験評価用のサンプルの作製)
PTP充填機(CKD株式会社製、型式名:M−1)を使用し、アルミニウム箔(封緘シート5の基材3)上に、上記により作製した接着剤層4を有する封緘シート5の各々と、収納本体2とを熱圧着し、複数のプレススルーパック1を作製した。
収納本体2としては、ポリ塩化ビニルシート(住友ベークライト株式会社製、商品名:VSS1202)を使用し、熟成形により作製した収納凹所2aの各々には、固形物Tとして、4号カプセルを収容し、190℃で熱圧着し、押し出し試験及び剥離試験評価用のサンプルの作製するとともに、収納凹所2aが無い部分を15mm幅に切断し、15mm幅に切断したものについて、上記の封緘シートと収納本体の板状部との接着強度試験を行った。
(押し出し試験)
上記により作製した複数のプレススルーパック1の各々について、収納凹所2aの各々内に収容された4号カプセルを、収納本体2の収納凹所の外面となる凸部2c側(ポリ塩化ビニルシート側)から、封緘シート5方向へ、指で押し、封緘シート5の収納凹所2aの各々内に収容された4号カプセルを、封緘シート5を破って取り出し、このとき、封緘シート5の4号カプセルが取り出された収納凹所2aを密封している領域R1外の、収納本体2の板状部2b、・・・、2bと封緘シート5の接着剤層4との接着部R2に於ける剥がれや浮きの有無を観察した。
評価は、封緘シート5が、4号カプセルを取り出した収納凹所2aの領域R1外の部分R2において、剥がれや浮きを発生していないものを、良好(○)とし、封緘シート5が、4号カプセルを取り出した収納凹所2aの領域R1外の部分R2において、部分的な剥がれや浮きを発生しているものを、やや不良(△)とし、また、封緘シート5が、4号カプセルを取り出した収納凹所2aの領域R1外の部分R2において、大きな剥がれや浮きを発生しているものを、不良(×)として評価した。
(剥離試験)
押し出し試験で使用したものと同一のプレススルーパック1のサンプルの各々を使用し、封緘シート5を、収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から剥がした時の封緘シート5の破れの有無を確認した。
評価は、封緘シート5が破れたり切れたりせずに、収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から容易に剥離できたものを、良好(○)、封緘シート5を収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から剥離した際に、封緘シート5を収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から剥離は容易にできるものの、封緘シート5が破れたり切れたりしたものを、やや不良(△)、また、封緘シート5を収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から剥離し難く、且つ、無理に封緘シート5を収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から剥離しようとした際に、封緘シート5が破れたり切れたりしたものを、不良(×)として評価した。
その結果を表1に示す。
表1より、収納本体2と封緘シート5との接着強度は、0.9N/15mm幅以上3.1N/15mm幅以下に調整するることが好ましいことが判った。
また、同様の試験を更に繰り返した結果、封緘シート5と収納本体2の板状部2bとの接着強度は、1.3N/15mm幅以上2.7N/15mm幅以下となるように調整されていることが、より好ましいことが明らかになった。
尚、表1中に示す補正値は、実測値を解析して得られる回帰曲線上の値を示しており、補正値は、下記計算式により補正した値である。
N=−0.0871X+9.1695(式中のN:補正値)
R2=0.9965(R:信頼限界) X=KV610の重量%
(実験例2)
(封緘シート及びプレススルーパックの作製)
接着成分として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を主成分とする、ポリ塩化ビニル用ヒートシール剤(株式会社リーダー製:商品名LD830G)を用い、これに、接着力低下成分である、アクリル樹脂(コニシ株式会社製、商品名:KV610)を混合し、その配合比を変えることで、ヒートシール強度(接着強度)を調節した接着剤溶液のサンプルを複数個用意し、これら配合比を変えた接着剤溶液を、厚さ20μmのアルミニウム箔(硬質箔)(封緘シート5の基材3)の表面上に、バーコーター#12を使用し塗布した。
次に、200℃の熱風乾燥機で20秒間乾燥し、アルミニウム箔(封緘シート5の基材3)の表面上に、種々の接着強度を有する接着剤層4を有する、複数の封緘シート5を得た。
また、収納本体2としては、ポリ塩化ビニルシート(住友ベークライト株式会社製、商品名:VSS1105SF)を使用し、ジュニアブリスターパッキング機の成形機を使用して、直径が7mmのレンズ(concave plain)形状の錠剤(以下、単に、「7mm径錠剤」という。)を収容する収納凹所2aを複数個、列状に熱形成し、熱成形により作製した収納凹所2aの各々に、固形物Tとして、7mm径錠剤を収容し、その後、半自動PTP包装機(大和化成工業株式会社製:型式名:K−200KS)を使用して、収納本体2と、基材3の表面上に、種々の接着強度を有する接着剤層4を有する、複数の封緘シート5の各々とを、130℃で、熱圧着し、収納凹所2aの各々内に、7mm径錠剤が収容された、複数のプレススルーパック1を作製した。
(押し出し試験)
上記により作製した複数のプレススルーパック1の各々について、収納凹所2aの各々内に収容された7mm径錠剤を、収納本体2の収納凹所の外面となる凸部2c側(ポリ塩化ビニルシート側)から、封緘シート5方向へ、指で押し、封緘シート5の収納凹所2aの各々内に収容された7mm径錠剤を、封緘シート5を破って取り出し、このとき、7mm径錠剤が取り出された収納凹所2aを密封している領域R1外の、収納本体2の板状部2b、・・・、2bと封緘シート5の接着剤層4との接着部R2に於ける剥がれや浮きの有無を観察した。
評価は、封緘シート5が、7mm径錠剤を取り出した収納凹所2aの領域R1外の部分R2において、剥がれや浮きを発生していないものを、良好(○)、封緘シート(アルミニウム箔)5が、7mm径錠剤を取り出した収納凹所2aの領域R1外の部分R2において、部分的な剥がれや浮きを発生しているものを、やや不良(△)、また、封緘シート(アルミニウム箔)5が、7mm径錠剤を取り出した収納凹所2aの領域R1外の部分R2において、大きな剥がれや浮きを発生しているものを、不良(×)として評価した。
(剥離試験)
押し出し試験で使用したものと同一のプレススルーパック1のサンプルの各々を使用し、封緘シート5を、収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から剥がした時の封緘シート5の破れの有無を確認した。
評価は、封緘シート5が破れたり切れたりせずに、収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から容易に剥離できたものを、良好(○)、封緘シート5を収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から剥離した際に、封緘シート5を収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から剥離は容易にできるものの、封緘シート5が破れたり切れたりしたものを、やや不良(△)、また、封緘シート5を収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から剥離し難く、且つ、無理に封緘シート5を収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2から剥離しようとした際に、封緘シート5が破れたり切れたりしたものを、不良(×)として評価した。
(封緘シートと収納本体の板状部との接着強度試験)
次に、上記により作製したプレススルーパック1の各々について、封緘シート5と収納本体2の板状部2bとの接合部(収納本体2の収納凹所2aが設けられていない部分)R2を15mm幅に切断し、これらを、接着強度測定用サンプルとした。
接着強度の測定は、ストログラフ(TOYOSEIKI社製、型式名:M1)を使用し、剥離強さを測定することにより行った。
測定条件は、JIS K6845に準じて、T剥離試験で行い、剥離速度は、100mm/分で行った。
その結果を表2に示す。
表2より、収納本体2と封緘シート5との接着強度は、4.2N/15mm幅以上7.0N/15mm幅以下に調整するることが好ましいことが判った。
また、同様の試験を更に繰り返した結果、封緘シート5と収納本体2の板状部2bとの接着強度は、4.8N/15mm幅以上6.5N/15mm幅以下となるように調整されていることがより好ましいことが明らかになった。
尚、表2中に示す補正値は、実測値を解析して得られる回帰曲線上の値を示しており、補正値は、下記計算式により補正した値である。
N=−0.1123X+14.882(式中のN:補正値)
R2=0.8968(R:信頼限界) X=KV610の重量%
尚、封緘シート5の基材3として、アルミニウム箔を用いる場合、接着剤層4を設ける表面及びその反対側の表面に、会社名、商品名、商品コード等の印刷層を設けてもよい。また、指紋等の汚れ防止や艶だしや腐食防止等の目的で、例えば、ニトロセルロース、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂またはこれらの少なくとも2種を混合した混合樹脂等からなる表面保護層を接着剤層4を設ける表面の反対側の印刷層の上に設けてもよい。
また、必要により、収納本体2に、収納凹所2a、・・・、2a毎に、分断できるように、収納本体2の板状部2b、・・・、2bに、V溝や、ミシン目を入れてもよいことは言うまでもない。
(分割錠剤分割試験)
表3に示す、乳糖−澱粉を添加剤とする処方の顆粒を、種々の打錠圧により打錠して、割線を有し、直径Dが7mmで、且つ、総重量が130mgの、種々の形状の分割錠剤を作製した。
次に、以上により準備した種々の形状の分割錠剤を、4号カプセル及び7mm径錠剤の代わりに用いる以外は同様にして、上記と同様のプレススルーパック1Aを作製した。
次に、図2(a)に示すように、収納本体2の収納凹所2a、・・・、2aの各々内に、割線Lを有する分割錠剤Td、・・・、Tdが収容されたプレススルーパック1Aを、机21の平板21S上に載置した後、図2(b)に示すように、プレススルーパック1Aとほぼ同等の大きさのプラスチック板22をプレススルーパック1Aの上方から押し当てて、プレススルーパック1Aの収納本体2を封緘シート5方向へ押して、収納本体2の収納凹所2a、・・・、2aの各々内に収容された分割錠剤Td、・・・、Tdを分割し、分割錠剤Td、・・・、Tdの分割状態を観察した(図2(c)を参照)。
その結果、プレススルーパック1Aの収納本体2の収納凹所2a、・・・、2aの各々内に収容する分割錠剤Td、・・・、Tdとして、図3〜図6の各々に示す形状を有し、且つ、分割錠剤の硬さは、分割錠剤の厚さ方向への押圧が、50N以下、より詳しくは、15N以上40N以下で分割される分割錠剤は、収納凹所2a、・・・、2aの各々内において、全て、2つに分割されていた。
より具体的に分割錠剤の形状を説明すると、図3に示す分割錠剤Td1は、分割錠剤Td1の一方の表面Saの中央にV溝形状の割線Lを有しており、錠剤Td1の割線Lが設けられた表面Saには、最深部が割線Lの位置に一致するように凹面形状が設けられ、凹面と錠剤側面Scとの角部D1が面取りされ、且つ、錠剤Td1の割線Lが設けられた表面Saに対向する表面Sbには、割線Lの最深部に整列する位置に最高部を有する凸面形状の曲面が設けられた構造を有する。
この分割錠剤Td1では、分割錠剤Td1に圧力が加えられると、錠剤Td1の表面Saに設けられた凹面形状の曲面と、錠剤Td1の割線Lが設けられた表面Saに対向する表面Sbに設けられた凸面形状の曲面との協働により、割線Lに割線Lを引き裂く力が集中し、割線Lから分割されやすくなっている。
また、図4に示す分割錠剤Td2は、割線Lが設けられた表面Saに対向する表面Sbに、錠剤のデザイン上の理由から、外周から所定の間隔を有する環状部Cを設け、環状部Cの内側に凸面形状の曲面が設けたもので、分割錠剤Td1と実質的には同様の構造となっており、分割錠剤Td1と同様の効果を奏するものである。
また、図5に示す分割錠剤Td3は、分割錠剤Td3の一方の表面Saの中央に、表面Saと錠剤側面Scとの角部D2より深い位置に最深部を有するV溝形状の割線Lを有しており、錠剤Td1の割線Lが設けられた表面Saは、平坦な面になっており、角部D2が面取りされ、且つ、錠剤Td3の割線Lが設けられた表面Saに対向する表面Sbには、凸面形状の曲面が設けられた構造を有する。
この分割錠剤Td3では、分割錠剤Td3に圧力が加えられると、錠剤Td3の割線Lが設けられた表面Saに対向する表面Sbに設けられた凸面形状により割線Lに割線Lを引き裂く力が集中し、且つ、割線Lを深いV溝形状としていることにより割線Lから分割されやすくなっている。
また、図6に示す分割錠剤Td4は、分割錠剤Td4の一方の表面Saの中央にV溝形状の割線Lを有しており、錠剤Td4の割線Lが設けられた表面Saには、最深部が割線Lの位置に一致するように、錠剤側面Scから割線Lに比べてゆるやかなV溝形状が割線Lに連続するように設けられ、ゆるやかなV溝形状と錠剤側面Scとの角部D3が面取りされ、錠剤Td3の割線Lが設けられた表面Saに対向する表面Sbには、錠剤側面Scから表面Sbの中央に最深部を有するようにゆるやかなV溝形状が設けられている。更に、表面Sbに設けられたゆるやかなV溝の最深部は、一方の表面Saの中央に設けられたV溝形状の割線Lの最深部に整列するようにされており、且つ、表面Sbに設けられたゆるやかなV溝と錠剤側面Scとの角部D4が面取りされた構造を有する。
この分割錠剤Td4では、分割錠剤Td4に圧力が加えられると、錠剤Td1の表面Saに設けられたゆるやかなV溝形状に加わった圧力が割線Lに加わるとともに、割線Lが設けられた表面Saに対向する表面Sbに設けられたゆるやかなV溝形状の最深部が、V溝形状の割線Lの最深部に整列しているので、割線Lに圧力が集中し、割線Lから分割されやすくなっている。
次に、図2(d)に示すように、図2(c)において、収納本体2の収納凹所2a、・・・、2aの各々内に分割された錠剤Tdh、・・・、Tdhを有するプレススルーパック1Aの封緘シート5の一部を収納本体2から剥して、封緘シート5を収納本体2からめくり上げたときに、封緘シート5が破断せずに、収納本体2から剥離でき、分割された錠剤Tdh、・・・、Tdhの全てを採取することができた。
また、収納凹所2a、・・・、2aの各々内に収容された分割錠剤Td、・・・、Tdを、収納本体(ポリ塩化ビニルシート)2側から封緘シート5方向へ指で押して、封緘シート5を破って、一錠ずつ取り出し、このとき、分割錠剤Tdが取り出された収納凹所2aの領域R1外の部分R2に剥がれや浮きが生じているか否かを観察したが、分割錠剤Tdとして、分割錠剤Td1、Td2、Td3、Td4を収納凹所2a、・・・、2aの各々内に収容したプレススルーパック1Aは、収納凹所2aの領域R1外の部分R2に於いて、剥がれや浮きを発生することなく、且つ、収納凹所2a、・・・、2aの各々内に収容された分割錠剤Td1、Td2、Td3、Td4が2つに分割されることなく、1錠づつ、プレススルーパック1Aから取り出すことができた。
また、分割錠剤Td1、Td2、Td3、Td4を収納したプレススルーパックの各々を、箱詰め(10錠PTP×100枚)包装し、通常の輸送配送方法により輸送配送するという試験を行ったが、分割錠剤Td1、Td2、Td3、Td4の各々を収納凹所2a、・・・、2aの各々内に収容したプレススルーパック1Aは、いずれも、このような輸送配送の行為によっては、プレススルーパック1Aに収納された分割錠剤Td1、Td2、Td3、Td4が、2つに割れたり、あるいは、封緘シート5を破って、外にこぼれるという現象を一切生じなかった。
尚、分割錠剤Tdは、プレススルーパック1Aの収納本体2の収納凹所2a、・・・、2aのいずれかに、1以上収納されていればよく、また、分割錠剤Tdは、収納凹所2a内に、分割錠剤Tdの割線Lが設けられた表面Saが、収納本体2側を向くように収納されていても、表面Saに対向する裏面Sbが収納本体2側を向くように収納されていてもよい。更には、分割錠剤Tdの表面Saが、収納本体2側を向くように収納されたものと、分割錠剤Tdの裏面Sbが収納本体2側を向くように収納されたものと両者が、任意に混在するように収納本体2の収納凹所2a、・・・、2aの各々内に収納されていてもよい。
また、上記した分割錠剤Td1、Td2、Td3及びTd4は、単に、収納本体2の収納凹所2a、・・・、2aの各々内に収容する分割錠剤として好ましい例を例示したに過ぎず、プレススルーパック1Aに収容する分割錠剤Td、・・・、Tdは、分割錠剤Tdの一方の表面の中央に割線Lを有しており、且つ、分割錠剤Tdの割線Lを有する表面Sa又は分割錠剤Tdの割線Lを有する表面Saに対向する表面Sbに圧力を加えたときに、割線Lに割線Lを引き裂く力が集中し、割線Lから分割される錠剤であれば、どのような形状の分割錠剤でもよい。
より好ましい分割錠剤の形状を更に具体的に特定すれば、分割錠剤Tdの一方の表面の中央に割線Lを有し、且つ、分割錠剤Tdの割線Lを有する表面Sa又は分割錠剤Tdの割線Lを有する表面に対向する表面Sbの少なくとも一方に、凹面又は凸面を有し、割線Lで割れ易くしている分割錠剤を好適に用いることができる。
また、このような分割錠剤Tdは、裸錠(素錠)であっても、裸錠の表面に、例えば、糖衣やフィルムコート等の適当なコーティング剤の剤皮が施されたコーティング錠であってもよい。
また、ペイジェントコンプライアンス等の実際の処方を考慮すれば、分割錠剤の直径は、3mm以上30mm以下であることが好ましく、5mm以上12mm以下であることが、更に好ましい。
産業上の利用可能性
本発明に係るプレススルーパックでは、封緘シートは、固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を、封緘シート方向に、指で押したときには、収納本体の板状部と封緘シートの接着剤層との接着部で浮きや剥がれを生じることなく、その収納凹所を密封している部分を破断させて、固形物を一個ずつ取り出すことができるとともに、収納本体から封緘シートを剥してめくり上げたときには、封緘シートが破断せずに、収納本体から容易に剥離できるように、収納本体に接着されているので、収納本体から封緘シートの一部を剥してめくり上げるという操作をしたときには、容易且つ簡単に、プレススルーパックに包装されている複数又は全部の固形物を一度に取り出すことができる。
また、固形物の全てを取り出した後において、収納本体と封緘シートとを、容易且つ簡単に、分離できるので、これらを分別して廃棄することで、廃棄処理またはリサイクルがしやすくなる。
更にまた、収納凹所内に、分割錠剤を収容するようにすれば、プレススルーパックに包装された分割錠剤をプレススルーパックから、1個ずつ取り出すことができるとともに、一度に大量の分割錠剤を分割し、分割された錠剤を一度に容易に採取できる。
また、本発明に係るプレススルーパック用封緘シートを用いれば、収納本体の固形物を収納した収納凹所の外面となる凸部を、指で押したときには、その収納凹所を密封している封緘シートの部分が破断して、固形物を取り出すことができ、且つ、封緘シートを剥してめくり上げたときには、封緘シートが破断せずに、収納本体から容易に分離できる、プレススルーパックを容易に作製することができる。
本発明に係るプレススルーパックは、以上のような優れた効果を奏するので、錠剤やカプセル等の固形薬剤、キャンディー等の菓子類、健康食品、釣り餌、玩具類等のような固形物の個包装用包装形態として好適に用いることができる。
また、本発明に係るプレススルーパック用封緘シートは、そのような固形物の個包装用包装形態を作製するのに好適に用いることができる。
また、本発明に係る錠剤の調剤方法を用いれば、プレススルーパックに包装された分割錠剤をプレススルーパックから、1個ずつ取り出すことができるとともに、一度に大量の分割錠剤を分割し、分割された錠剤を一度に容易に採取できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係るプレススルーパックの一例を模式的に示す断面図である。
第2図は、分割錠剤分割試験を概略的に説明する説明図である。
第3図は、本発明に係るプレススルーパックの収納本体の収納凹所に収容する分割錠剤として好ましい分割錠剤の形状を例示的に示す図であり、図3(a)は平面図を、図3(b)は背面図を、又、図3(c)は側面図を各々示している。
第4図は、本発明に係るプレススルーパックの収納本体の収納凹所に収容する分割錠剤として好ましい分割錠剤の形状を例示的に示す図であり、図4(a)は平面図を、図4(b)は背面図を、又、図4(c)は側面図を各々示している。
第5図は、本発明に係るプレススルーパックの収納本体の収納凹所に収容する分割錠剤として好ましい分割錠剤の形状を例示的に示す図であり、図5(a)は平面図を、図5(b)は背面図を、又、図5(c)は側面図を各々示している。
第6図は、本発明に係るプレススルーパックの収納本体の収納凹所に収容する分割錠剤として好ましい分割錠剤の形状を例示的に示す図であり、図6(a)は平面図を、図6(b)は背面図を、又、図6(c)は側面図を各々示している。
第7図は、従来のプレススルーパックの一例を模式的に示す断面図である。
Claims (8)
- 板状部(2b)によって連結された複数の収納凹所(2a)を有する収納本体(2)と、基材(3)と、前記基材(3)の片側表面上に設けられた接着剤層(4)とを有する封緘シート(5)とを備え、
前記収納本体(2)の複数の収納凹所(2a)の各々に、固形物(T)を収納させた状態で、前記封緘シート(5)の接着剤層(4)と前記収納本体(2)の板状部(2b)とが接着されて、前記収納本体(2)が前記封緘シート(5)により密封されており、
前記封緘シート(5)は、固形物(T)を収納した収納凹所(2a)の外面となる凸部(2c)を指で押したときには、前記封緘シート(5)の接着剤層(4)と前記収納本体(3)の板状部(2b)との接着部において、浮きや剥がれを生じることなく、固形物(T)を取り出すことができるように、前記収納凹所(2a)を密封している前記封緘シート(5)の部分が破断する強度を有し、且つ、
前記封緘シート(5)は、前記収納本体(2)から剥離しようとしたときには、前記封緘シート(5)が破断することなく、容易に剥離できる接着強度で前記収納本体(2)の板状部(2b)に接着されている、プレススルーパック。 - 前記封緘シート(5)と前記収納本体(2)の板状部(2b)との接着強度が、T剥離試験を剥離速度200mm/分で行った場合、0.9N/15mm幅以上3.1N/15mm幅以下であることを特徴とする、請求項1に記載のプレススルーパック。
- 前記封緘シート(5)と前記収納本体(2)の板状部(2b)との接着強度が、T剥離試験を剥離速度100mm/分で行った場合、4.2N/15mm幅以上7.0N/15mm幅以下であることを特徴とする、請求項1に記載のプレススルーパック。
- 前記封緘シート(5)の接着剤層(4)を形成する接着剤に、接着成分及び接着力低下成分が配合されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のプレススルーパック。
- 前記封緘シート(5)の接着剤層(4)が、前記封緘シート(5)の片側の表面上に、部分塗工されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のプレススルーパック。
- 基材(3)と、前記基材(3)の片側表面上に設けられた接着剤層(4)とを備え、
板状部(2b)によって連結された複数の収納凹所(2a)を有する収納本体(2)の板状部(2b)に前記接着剤層(4)を接着させて、前記収納本体(2)を密封するために用いるプレススルーパック用封緘シート(5)において、
固形物を収納した収納凹所(2a)の外面となる凸部(2c)を指で押したときには、前記封緘シート(5)の接着剤層(4)と前記収納本体(2)の板状部(2b)との接着部において、浮きや剥がれを生じることなく、固形物(T)を取り出すことができるように、前記収納凹所(2a)を密封している前記封緘シート(5)の部分が破断する強度を有し、且つ、
前記収納本体(2)に接着させたときには、前記収納本体(2)から前記封緘シート(5)が破断することなく容易に剥離することが可能な接着強度で前記収納本体(2)の板状部(2b)に接着するようになっている、プレススルーパック用封緘シート。 - 前記封緘シート(5)と前記収納本体(2)の板状部(2b)との接着強度が、T剥離試験を剥離速度200mm/分で行った場合、0.9N/15mm幅以上3.1N/15mm幅以下となるように調整されていることを特徴とする、請求項6に記載のプレススルーパック用封緘シート。
- 前記封緘シート(5)と前記収納本体(2)の板状部(2b)との接着強度が、T剥離試験を剥離速度100mm/分で行った場合、4.2N/15mm幅以上7.0N/15mm幅以下となるように調整されていることを特徴とする、請求項6に記載のプレススルーパック用封緘シート。
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