JP4118001B2 - 失火検出装置、および失火検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、動力源として内燃機関と電動機とを備える電動車両あるいは動力出力装置において、該内燃機関の失火を検出する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地球環境、特に大気の汚染を防ぐために、内燃機関の排気ガス中に含まれる大気汚染物質を減少させることが強く要請されている。例えば、一酸化炭素,窒素酸化物,未燃炭化水素,あるいは黒煙(すす)などの大気汚染物質については、排ガス中の濃度許容値が法律で定められ、大気汚染物質の濃度を許容値以下に抑制することが義務づけられている。これら大気汚染物質を減少させるために、例えば燃料の供給量を精密に制御する技術や、排気ガス浄化用の触媒を用いて大気汚染物質を除去する技術などが開発され、広く使用されている。
【0003】
内燃機関が適切に整備されていない場合や質の悪い燃料が供給されるといった事情から、供給した燃料が正常に燃焼しない、いわゆる失火という現象が起きることがある。失火が起きたまま内燃機関を運転すると、未燃の燃料すなわち大量の炭化水素を大気に放出し、更には排気ガス浄化用の触媒を劣化させて大気の汚染を引き起こす。そこで失火が発生したら、これを検出して運転者に報知し、内燃機関の整備をうながしてやる必要がある。また一部の国では、自動車用内燃機関の失火検出が義務づけられている。
【0004】
大気の汚染を防ぐという目的からは、できるだけ感度よく失火を検出可能なことが望ましいが、その一方で、失火が検出されたら内燃機関の再整備が必要となるなど、内燃機関の使用者に不便を強いる結果となるので、失火の検出感度を求めるあまり誤検出してしまうことは避けなければならない。このように、誤検出することなく感度よく失火を検出可能な技術として、内燃機関の回転変動を利用して失火を検出する技術が提案され(例えば、特開平2−49955,特開平4−36044など)、現在では広く使用されている。これらは、失火が起きると内燃機関の出力軸の回転速度が瞬間的に低下することから、回転速度の低下を検出して内燃機関の失火を検出することを検出原理としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、動力源として内燃機関と電動機とを備えたいわゆるハイブリッド車両では、車両の走行状態に応じて、内燃機関と電動機との出力分担を制御しながら走行するので、電動機からの反力によって内燃機関の回転速度が変動して、失火を誤検出してしまうおそれがあった。
【0006】
また、動力源として内燃機関と電動機とを備えた動力出力装置においても、同様の理由から、電動機からの反力によって内燃機関の失火を誤検出してしまうおそれがあった。
【0007】
本発明は従来技術における上述の課題を解決するためになされたものであり、動力源として内燃機関と電動機とを備えたハイブリッド車両および動力出力装置において、内燃機関の失火を誤検出することなく、感度よく検出可能な技術を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の失火検出装置は次の構成を採用した。すなわち、
車軸に動力を出力可能な内燃機関と該車軸に接続された電動機とを備えた電動車両に設けられ、該内燃機関の失火を検出する失火検出装置であって、
前記電動機の動作状態を検出する電動機動作状態検出手段と、
前記内燃機関の失火を誤検出する条件が成立するおそれのある所定の誤検出想定条件で前記電動車両が運転されているか否かを、前記電動機の動作状態に基づいて判断する誤検出想定条件判断手段と、
前記所定の誤検出想定条件で運転されている場合には前記内燃機関の失火検出を抑制する失火検出抑制手段と
を備えることを要旨とする。
【0009】
また、上記の失火検出装置に対応する本発明の失火検出方法は、
車軸に動力を出力可能な内燃機関と該車軸に接続された電動機とを備えた電動車両に設けられ、該内燃機関の失火を検出する失火検出方法であって、
前記内燃機関の失火を誤検出する条件が成立するおそれのある所定の誤検出想定条件で前記電動車両が運転されているか否かを、前記電動機の動作状態に基づいて判断し、
前記所定の誤検出想定条件で運転されている場合には前記内燃機関の失火検出を抑制することを特徴とする。
【0010】
かかる失火検出装置および失火検出方法においては、失火を誤検出する条件が成立するおそれのある所定の誤検出想定条件で電動車両が運転されているか否かを、車軸に接続された電動機の動作状態に基づいて判断する。その結果、誤検出想定条件で運転されていると判断された場合には、失火の検出を抑制する。すなわち、失火が検出され難くするのである。こうすれば、失火を誤検出することが無くなるので好適である。失火を誤検出することが無くなれば、失火の検出感度を上げることができるので、正確に失火を検出することが可能となる。尚、失火の検出を抑制するに留まらず、失火の検出を中止しても構わないのはもちろんである。以下、本明細書では、失火の検出を抑制するという場合には、失火の検出を中止する場合も含まれているものとする。
【0011】
また、失火を誤検出する条件が成立するおそれのある条件を検出して、失火検出を抑制するので、失火を誤検出する条件が成立してから失火の検出を抑制する場合に比べて、時間の余裕があるので、失火の誤検出を確実に避けることができる。更に、失火の検出を抑制する処理を簡素化することができる。
【0012】
かかる失火検出装置においては、前記電動機の温度を検出し、前記電動機の温度が所定温度以上の場合に、前記電動車両が前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断することとしてもよい。
【0013】
電動機温度が所定の温度以上の場合には、電動機の保護回路が働くと行った理由から電流値が急激に減少することがある。仮に電流値が急に減少したら、電動機の発生トルクが急に減少するので、内燃機関が振動して失火を誤検出してしまう。これに対して、電動機温度が所定温度以上になったら、予め失火検出を抑制しておけば、失火の誤検出を確実に回避することができるので好適である。
【0014】
かかる失火検出装置においては、前記電動車両の運転状態を検出して、該電動車両が前記所定の誤検出想定条件で運転されているか否かを、前記電動機の動作状態と該電動車両の運転状態とに基づいて判断するようにしてもよい。
【0015】
電動機の動作条件に加えて、電動車両の運転状態を検出すれば、失火誤検出想定条件をより正確に搬出することができるので、それだけ確実に失火の誤検出を避けることが可能となって好適である。
【0016】
かかる失火検出装置においては、電動車両の運転状態として、前記電動車両の駆動トルクの要求値に関する情報を検出するようにしてもよい。
【0017】
例えば、駆動トルクの要求値が急変する場合や、要求値が大きい場合などには失火の誤検出が懸念される条件となる場合がある。そこで、駆動トルクの要求値を検出すれば、失火誤検出想定条件をより正確に検出し、その結果、より確実に失火の誤検出を回避することができるので好適である。
【0018】
かかる失火検出装置においては、前記電動車両の駆動トルクの要求値が所定速度以上で増加した場合に、前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断するようにしてもよい。
【0019】
駆動トルクの要求値が所定速度以上で増加した場合、電動機の発生トルクを急激に増加させる場合がある。電動機の発生トルクを急激に増加させると、反力で内燃機関が振動して失火を誤検出してしまう。そこで、駆動トルクの要求値が所定速度以上で増加した場合に、失火誤検出想定条件で運転されていると判断して失火検出を抑制すれば、確実に失火の誤検出を防ぐことができるので好適である。
【0020】
かかる失火検出装置においては、前記電動機の回転速度を検出し、該回転速度に基づいて前記電動車両の走行速度を検出するとともに、該電動車両の速度が所定速度以下で、かつ該電動車両の駆動トルクの要求値が所定値以上の場合に、前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断するようにしてもよい。
【0021】
所定速度以下で、かつ所定トルク以上の条件で走行していると、車体側の振動の影響で内燃機関が振動し、失火を誤検出してしまう場合がある。そこで、このような条件を失火誤検出想定条件と判断して失火検出を抑制すれば、失火の誤検出を確実に避けることができるので好適である。
【0022】
かかる失火検出装置においては、前記電動機の回転速度に基づいて前記電動車両が停止している状態を検出するとともに、該電動車両のブレーキ操作状態を検出し、該電動車両の停止時に前記ブレーキが解除された場合に、前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断するようにしてもよい。
【0023】
車両停止中にブレーキが解除されると、車両をごくゆっくりと前進させるために電動機でトルクを発生させる制御を行う場合がある。このような場合に、電動機で発生したトルクの反力が内燃機関を振動させ、失火を誤検出する場合がある。そこで、このような条件を検出して、失火検出を抑制すれば、失火の誤検出を確実に避けることができるので好適である。
【0024】
かかる失火検出装置においては、前記電動機の回転速度に基づいて前記電動車両の走行速度を検出するとともに、該電動車両の加速と減速とが所定の間隔で繰り返されている場合に、前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断するようにしてもよい。
【0025】
電動車両の加速と減速とが所定間隔で繰り返されると、電動車両の駆動輪を介して車体に入力される外力によって車体が共振する場合がある。車体が共振すると、それにより内燃機関が振動して失火を誤検出してしまう。そこで、このような条件を検出して失火検出を抑制すれば、失火を誤検出することを回避することができるので好適である。
【0026】
かかる失火検出装置においては、前記電動機の回転速度に基づいて前記電動車両の走行速度を検出するとともに、前記内燃機関が無負荷状態で運転されているか否かを検出し、該電動車両が所定速度範囲で減速中であり、かつ前記内燃機関が無負荷状態で運転している場合に、前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断するようにしてもよい。
【0027】
内燃機関が無負荷状態で、かつ所定速度範囲で減速しているときに、1気筒だけ失火すると悪路走行と誤って判断してしまう場合がある。悪路走行と誤って判断すると、後述する理由によって失火の検出精度を低下させる。そこで、このような場合には、失火の検出処理を抑制すれば、悪路走行と誤って判断することが無くなるので好ましい。
【0028】
前述した課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の失火検出装置は次の構成を採用することもできる。すなわち、
車軸に動力を出力可能な内燃機関と該車軸に接続された電動機とを備えた電動車両に設けられ、該内燃機関の失火を検出する失火検出装置であって、
前記内燃機関の失火を暫定的に検出する暫定失火検出手段と、
前記暫定的に失火が検出された場合に、前記電動機の動作状態を検出して、前記内燃機関の失火を誤検出する所定の動作状態に該当するか否かを判断する動作条件判断手段と、
前記所定の動作状態に該当しない場合に、前記暫定的に検出された失火を確定的な失火として検出する失火検出手段と
を備えることを要旨とする。
【0029】
かかる失火検出装置においては、内燃機関の失火を暫定的に検出すると、車両が失火を誤検出する懸念のある条件で運転されているか否かを判断し、失火の誤検出が懸念される運転条件でなければ、暫定的に検出しておいた失火を確定的な失火として検出する。このように、暫定的に検出した失火し、検出した失火の妥当性を判断することにより、失火を誤検出することが無くなるので好ましい。
【0030】
また、本発明の失火検出装置は、電動車両に備えられた失火検出装置に限られず、内燃機関と電動機とを組み合わせて使用する動力出力装置に適用することもできる。このような動力出力装置に備えられた本発明の失火検出装置は、
出力軸に動力を伝達可能な内燃機関と該出力軸に接続された電動機とを備えた動力出力装置に設けられ、該内燃機関の失火を検出する失火検出装置であって、
前記電動機の動作状態を検出する電動機動作状態検出手段と、
前記内燃機関の失火を誤検出する条件が成立するおそれのある所定の誤検出想定条件で前記動力出力装置が運転されているか否かを、前記電動機の動作状態に基づいて判断する誤検出想定条件判断手段と、
前記所定の誤検出想定条件で運転されている場合には前記内燃機関の失火検出を抑制する失火検出抑制手段と
を備えることを要旨とする。
【0031】
かかる動力出力装置においても、出力軸に接続された電動機の動作状態に基づいて、失火を誤検出する条件が成立するおそれのある所定の誤検出想定条件で前記動力出力装置が運転されているか否かを判断する。その結果、誤検出想定条件で運転されていると判断された場合には、失火の検出を抑制する。こうすれば、失火を誤検出することが無くなるので好適である。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の作用・効果をより明確に説明するために、本発明の実施の形態および実施例を、次のような順序に従って説明する。
A.実施の形態:
B.実施例:
B−1.ハイブリッド車両の装置構成:
B−2.ハイブリッド車両の動作原理:
B−3.失火の検出原理:
B−4.失火検出マスク処理:
C.変形例:
【0033】
A.実施の形態:
実施例の詳細な説明を始める前に、図1を用いて、本発明の実施の形態について簡単に説明する。図1は、本発明の失火検出装置を備えたハイブリッド車両10の構成を概念的に例示する説明図である。図示するように、ハイブリッド車両10は、車軸7を介して駆動輪8に動力を伝達可能なエンジン1と、エンジンの動作状態を制御するエンジン制御用ECU3と、車軸7に接続されたモータ・ジェネレータ2と、モータ・ジェネレータの動作状態を制御するコントローラ4と、モータ・ジェネレータ2に電気的に接続されたバッテリ6と、ハイブリッド車両全体の制御を司るハイブリッドECU5などから構成されている。エンジン制御用ECUはエンジンに対する燃料の供給や点火などの処理を行うとともに、エンジン1に設けられたクランク角センサ9からの信号を取り込んでエンジン1の失火検出処理も行う。
【0034】
このような構成を有するハイブリッド車両10は、車両の運転状態に応じてエンジン1とモータ・ジェネレータ2とを適切に使い分けることで、車両のエネルギ効率を大きく改善することができる。例えば、車両の減速中には、車軸7の側からモータ・ジェネレータ2で発電を行い、車両の運動エネルギを電力として回収しバッテリ6に蓄えておく。一方、低速走行時などのようにエンジン1を効率の良い条件で運転できない場合には、エンジン1を停止してモータ・ジェネレータ2を用いて走行する。また、急加速時や高速走行時などのように大きな駆動力が必要な場合には、エンジン1とモータ・ジェネレータ2とを用いて走行する。このように、車両の運転状態に応じてエンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動力を適切に制御すればエンジン1を常に効率の良い条件で運転することができるので、車両全体としてのエネルギ効率を大きく向上させることができる。このような制御は、車両の走行状態に応じて、ハイブリッドECU5が行っている。
【0035】
かかるハイブリッド車両10においては、モータ・ジェネレータ2が生じるトルクが、車軸7を介してエンジン1に伝達される。従って、車両の運転条件によってモータ・ジェネレータ2の発生トルクが急変すると、モータ・ジェネレータ2からの反力でエンジン1が振動する場合がある。エンジン1が振動するとクランク角センサ9の出力も振動するので、エンジン制御用ECU3がこれをエンジン1の失火によるものと誤判断してしまう。
【0036】
本発明の実施の形態におけるハイブリッド車両10の失火検出装置は、車両の運転条件を検出し、モータ・ジェネレータ2の発生トルクが急変する可能性のある運転条件を検出した場合には、失火検出処理を中止する。ハイブリッド車両の運転条件は、車軸7に接続されたモータ・ジェネレータ2の動作状態から正確に検出することができる。このようにモータ・ジェネレータ2の発生トルクが急変し得る条件を予め検出して失火検出処理を中止してしまえば、失火を誤検出することが無くなるので、失火の検出感度を高めて却って確実に失火を検出することが可能となる。また、モータ・ジェネレータ2の発生トルクの急変を検出してから失火検出処理を中止する場合に比べて、失火の誤検出を確実に回避することが可能であるとともに、失火検出処理を中止する処理も簡素化することができる。車両の運転条件を検出するために、モータ・ジェネレータ2の動作状態に加えて、例えばアクセルペダル11の踏み込み量や、ブレーキペダル12の操作を検出してもよい。こうすれば、より正確に車両の運転条件を検出することができるので、それだけ失火の誤検出を回避することが可能となる。また、モータ・ジェネレータ2の発生トルクが急変する場合に限らず、失火を誤検出する可能性のある運転条件で運転されている場合には、失火検出処理を中止しても良い。以下では、このような本発明の実施の形態における失火検出装置について、実施例を用いて詳細に説明する。
【0037】
B.実施例:
B−1.ハイブリッド車両の装置構成:
図2は、本実施例の失火検出装置を有するハイブリッド車両100の概略構成を示す説明図である。図示するように、このハイブリッド車両100は、駆動源として内燃機関であるエンジン110とモータ・ジェネレータ130(MG2)とを有し、また、エンジン110の出力によって発電を行うモータ・ジェネレータ120(MG1)を有している。これらエンジン110とモータ・ジェネレータ130とモータ・ジェネレータ120とは、プラネタリギア140で接続されている。プラネタリギア140は、モータ・ジェネレータ130からの出力を、チェーンベルト174と車軸170とを介して駆動輪172に伝達する役割や、エンジン110からの出力を、モータ・ジェネレータ120と駆動輪172とに振り分ける動力分割機構としての役割や、更には、モータ・ジェネレータ130やエンジン110の回転速度を減速あるいは増速して駆動輪172に伝達する変速機としての役割を有している。プラネタリギア140の機能については後述する。
【0038】
エンジン110は、周知のガソリンエンジンである。エンジンの図示しない吸気系から空気と燃料とを燃焼室内に吸入して点火プラグで点火すると、混合気が燃焼室内で爆発的に燃焼するので、このときの燃焼圧力をクランクシャフト114から動力として取り出すことができる。エンジン110は、エンジン制御用の電子制御ユニット(以下、エンジンECU)112を用いて制御されている。クランクシャフト114の先端には、ピストン位置やエンジンの回転速度を検出するクランクポジションセンサ118が取り付けられ、クランクポジションセンサ118の出力はエンジンECU112に入力されている。
【0039】
プラネタリギア140は、エンジン110のクランクシャフト114に軸中心を貫通された中空のサンギア軸からモータ・ジェネレータ120のロータ123は、プラネタリギア140のサンギア軸141に結合されたサンギア142と、エンジンのクランクシャフト114と同軸のリングギア軸147に結合されたリングギア148と、サンギア142とリングギア148との間に配置されてサンギア142の外周を自転しながら公転する複数のプラネタリピニオンギア144と、クランクシャフト114の端部に結合され各プラネタリピニオンギア144の回転軸を軸支するプラネタリキャリア146とから構成されている。このプラネタリギア140では、サンギア142に結合されたサンギア軸141、リングギア148に結合されたリングギア軸147、およびプラネタリキャリア146に結合されたクランクシャフト114の3軸が動力の入出力軸とされ、3軸の中のいずれか2軸へ入出力される動力が決定されると、残余の1軸に入出力される動力が決定される。リングギア148にはチェーンベルト174が接続されており、動力はチェーンベルト174および車軸170を介して駆動輪172に伝達されて、ハイブリッド車両100を駆動する。
【0040】
モータ・ジェネレータ120は、交流同期電動機であり、外周面に複数の永久磁石122を有するロータ123と、回転磁界を形成する三相コイル124が巻回されたステータ125などから構成されている。モータ・ジェネレータ120のロータ123は、プラネタリギア140のサンギア軸141に結合され、ステータ125は、ケース138に固定されている。また、サンギア軸141には、ロータ123の回転角度を検出するレゾルバ126が設けられている。モータ・ジェネレータ120の動作は、モータECU156によって制御されている。すなわち、モータECU156はインバータ152を制御することによって、バッテリ150から三相コイル124に適切な周波数で適切な電流値の交流電流を供給し、これによってモータ・ジェネレータ120の動作を制御している。
【0041】
モータ・ジェネレータ130も、モータ・ジェネレータ120と同様の交流同期電動機であり、外周面に複数の永久磁石132を有するロータ133と、回転磁界を形成する三相コイル134が巻回されたステータ135などから構成されている。モータ・ジェネレータ130のロータ133はプラネタリギア140のリングギア軸147に結合され、ステータ135はケース138に固定されている。また、リングギア軸147にはロータ133の回転角度を検出するレゾルバ136が設けられている。モータ・ジェネレータ130の動作も、モータECU156によって制御されている。すなわち、モータECU156はインバータ154を制御することによって、バッテリ150から三相コイル134に適切な周波数で適切な電流値の交流電流を供給し、これによってモータ・ジェネレータ130の動作を制御している。
【0042】
ハイブリッド車両100には、車両全体の制御を司るハイブリッドECU160が搭載されている。ハイブリッドECU160は、アクセルポジションセンサ162や、ブレーキスイッチ164、あるいはバッテリ150などの種々の情報を検出して車両全体としての運転条件を決定し、これに基づいてエンジンECU112およびモータECU156が、それぞれエンジン110およびモータ・ジェネレータ120,130の動作を制御している。
【0043】
B−2.ハイブリッド車両の動作原理:
以上のような構成を有するハイブリッド車両100の動作原理、特にプラネタリギア140の機能について説明する。プラネタリギア140は、サンギア軸141,リングギア軸147,クランクシャフト114の3軸の中のいずれか2軸へ入出力される動力(すなわち、回転速度およびトルク)が決定されると、残余の1軸に入出力される動力(回転速度およびトルク)が決定される構造となっている。これら3軸間に入出力される回転速度およびトルクの関係は、共線図を用いて容易に求めることができる。
【0044】
図3は、プラネタリギア140の3軸に接続された各ギアの回転速度および回転方向の関係を示す共線図である。ここで、縦軸は各ギア(サンギア142,リングギア148,プラネタリキャリア146)の回転数、すなわち、エンジン110,モータ・ジェネレータ130,モータ・ジェネレータ120の回転速度を表している。一方、横軸は各ギアのギア比を表したものであり、リングギア148の歯数に対するサンギア142の歯数をρとすると、プラネタリキャリア146に対応する縦軸は、サンギア142とリングギア148との間を1:ρに内分する座標位置にくる。
【0045】
今、プラネタリキャリア146すなわちエンジン110の回転速度をNe とし、リングギア148すなわちモータ・ジェネレータ130の回転速度をNr とする。共線図上で、プラネタリキャリアを表す座標軸Cに回転速度Ne をプロットし、リングギアを表す座標軸Rに回転速度Nr をプロットして、両プロット点を直線で結ぶ。このような直線を考えると、サンギア142すなわちモータ・ジェネレータ120の観点速度Ns は、得られた直線とサンギアを表す座標軸Sとの交点の座標として求めることができる。このような直線は動作共線と呼ばれる。このように、プラネタリキャリア146,リングギア148,サンギア142の中のいずれか2つの回転速度が決定されれば、共線図上に2つの座標点をプロットして、両プロット点を結ぶ動作共線を考えることにより、他の1つの回転速度を求めることができる。すなわち、エンジン110の回転速度Ne ,モータ・ジェネレータ130の回転速度Nr ,モータ・ジェネレータ120の回転速度Ns の関係は、下式で算出することができる。
Ns =Nr −(Nr −Ne )・(1+ρ)/ρ … (1)
【0046】
次に、プラネタリギア140の3軸間に入出力されるトルクの関係について説明する。共線図上でトルクの関係を求めるには、動作共線をあたかも剛体のように扱って、トルクを剛体に作用するベクトルのように扱う。例えば、エンジン110でトルクTe を発生している場合を考える。座標軸Cの位置で動作共線に下からトルクTe を作用させると、このトルクTe を、図3に示すように、座標軸S上のトルクTesと、座標軸R上のトルクTerとに分離して扱うことができる。このときのトルクTesおよびトルクTerの大きさは、次式(2)および(3)によって表される。
Tes=Te・ρ/(1+ρ) … (2)
Ter=Te/(1+ρ) … (3)
【0047】
プラネタリギア140の3軸に加わるトルクが釣り合うためには、動作共線に作用するベクトルが釣り合えばよい。すなわち、座標軸S上にトルクTesと大きさが同じで向きが反対のトルクTm1をモータ・ジェネレータ130を用いて作用させ、座標軸R上には、リングギア148が駆動輪172から受けるトルクTr およびトルクTerの合力と大きさが同じで向きが反対のトルクTm2をモータ・ジェネレータ120を用いて作用させる。こうすれば、座標軸S上ではTesとTm1とが、座標軸R上ではTr とTerとTm2とがそれぞれ釣り合うので、動作共線全体として釣り合わせることができる。結局、エンジン110が回転速度Ne でトルクTe を発生している場合、モータ・ジェネレータ120を回転速度Ns で回転させれば、モータ・ジェネレータ130は上式(1)で与えられる回転速度Nr で回転する。この状態を安定に保つためには、モータ・ジェネレータ120でトルクTm1を発生させ、モータ・ジェネレータ130でトルクTm2を発生させればよい。トルクTm1の大きさは、上式(2)で与えられ、トルクTm2の大きさは,次式(4)で与えられる。
Tm2=Tr −Ter … (4)
【0048】
ここで、図3の共線図の座標軸Sに示されているように、モータ・ジェネレータ120の回転方向とトルクTm1の向きとは逆方向であるから、モータ・ジェネレータ120は発電器として動作している。また、座標軸Rに示されているように、モータ・ジェネレータ130の回転方向とトルクTm2の向きとは同じ向きであるから、モータ・ジェネレータ130は電動機として動作している。すなわち、モータ・ジェネレータ120で発電しつつ、モータ・ジェネレータ130で電力を消費するのである。エンジン110で発生する動力Pe (=Te ×Ne )をリングギア148で出力すべき動力Pr (=Tr ×Nr )と等しい関係にあれば、簡単な式変形により、モータ・ジェネレータ120で発電した電力Pm1(=Tes×Ns )と、モータ・ジェネレータ130で消費する電力Pm2(=Tm2×Nr )とが等しいことを確かめることができる。このように、モータ・ジェネレータ120とプラネタリギア140とモータ・ジェネレータ130とは、エンジン110の出力する動力Pe (=Te ×Ne )を、異なるトルクTr で異なる回転速度Nr で同じ値の動力Tr に変換して出力する機能を有している。出力するトルクおよび回転速度の値は、2つのモータ・ジェネレータの動作状態によって変更することができる。これを換言すれば、トルクTr および回転速度Nr の動力Pr を車軸170に出力しなければならない場合、動力Pr と同じ動力を出力しさえすれば、エンジンの運転条件を任意に選択可能なことを意味している。エンジンのエネルギ効率は、エンジン回転速度および発生トルクの組合せによって大きく異なり最適な運転条件が存在するから、要求された動力を出力する運転条件の中から最も効率の良い運転条件でエンジンを運転すれば、エンジンのエネルギ効率を大きく向上させることができ、延いては車両全体としてのエネルギ効率を大きく向上させることが可能となる。
【0049】
また、エンジンは一般に、回転速度があまりに小さくなったり、あるいは発生トルクが小さくなって、動力の出力値があまりに小さな値となるとエネルギ効率が低下する傾向にある。従って、車軸に出力すべき動力値があまりに小さな値の場合には、エンジン110の運転を停止し、バッテリ150に蓄えた電力でモータ・ジェネレータ130を駆動して、電気自動車として走行する。車両が減速する場合には、車軸170がチェーンベルト174を介してリングギア148を回転させるので、この回転を利用してモータ・ジェネレータ130で発電し、電力をバッテリ150に蓄える。このようないわゆる回生動作を行えば、減速時の車両の運動エネルギを電気エネルギとして回収することができる。車両の発進時や低速走行時などには、こうして蓄えた電力を利用することで、車両全体としてのエネルギ効率を向上させることができる。更に、高速走行時や急加速時などのように大きな動力が必要な場合は、エンジン110が出力する動力に加えて、モータ・ジェネレータ130からも動力を発生させて車軸170に伝達する。こうしてエンジン110をモータ・ジェネレータ130でアシストすれば、大きな動力を出力して、車両の運動性能を大きく改善することもできる。また、バッテリ150に蓄えている電力が少なくなった場合には、車軸170に出力すべき動力よりも大きな動力をエンジンで出力し、多めに出力した動力でモータ・ジェネレータ120で発電して、車両の運転中にバッテリ150を充電することも可能である。
【0050】
これら車両の運転状態に応じて、エンジン110やモータ・ジェネレータ120,130を適切に動作させる制御は、ハイブリッドECU160が行う。ハイブリッドECUは、アクセルポジションセンサ162や、ブレーキスイッチ164、あるいはバッテリ150などの種々の情報を検出して車両全体としての制御内容を決定し、これに基づいてエンジンECU112およびモータECU156が互いに協調しながら、それぞれエンジン110およびモータ・ジェネレータ120,130の動作を制御している。
【0051】
B−3.失火の検出原理:
本実施例で失火を検出する原理について簡単に説明する。図4は、いわゆる4サイクル式のエンジンが燃焼室内で燃料混合気を燃焼させながら、クランクシャフトから動力を取り出す行程を概念的に示す説明図である。図の上段は、4サイクル式エンジンが繰り返す4つの行程、すなわち吸気行程,圧縮行程,膨張行程,排気行程を行う期間を1番気筒について示し、その下には1番気筒の燃焼室内の圧力変動を示している。また、エンジンが有する他の気筒、すなわち2番気筒,3番気筒,4番気筒の燃焼室内圧力変動も併せて示している。ここでは、エンジンは1番ないし4番の4つの気筒を有する4気筒エンジンであるものとして説明する。図の最下段にはエンジン回転速度が変動する様子を示している。先ず、4サイクル式のエンジンが行う4つの行程と、これに伴う燃焼室内圧力変動について説明する。
【0052】
周知のようにエンジンは、ピストンがクランクシャフトに結合されていて、ピストンは気筒内で上下に摺動可能となっている。クランクシャフトを回転させると、クランク機構の働きによってピストンが上下運動を行い、逆に、ピストンを上下に摺動させると、クランク機構の働きによってクランクシャフトを回転させることができる。説明の便宜上、1番気筒のピストンが摺動位置の最上端にあるものとする。この状態で、燃料と空気との混合気が流入する吸気バルブを開いて、クランクシャフトを回転させると、ピストンが1番気筒内を下降するに伴って燃焼室内に燃料混合気が流入する。ピストンが気筒内の最下端に達すると吸気バルブを閉じる。このように、クランクシャフトを回転させてピストンを下降させ、気筒内に燃料混合気を吸入する行程を吸気行程と呼ぶ。吸気行程は、ピストンが最上端から最下端に下降するまでの、クランク角度にして180度の期間であり、この期間は燃料混合気を吸い込んでいる期間であるから、図4に示すように、1番気筒の燃焼室内圧力は若干の負圧となっている。尚、ピストンが最上端となる位置は上死点あるいはTDC(Top Death Center )と呼ばれ、ピストンが最下端となる位置は下死点あるいはBDC(Bottom Death Center)と呼ばれる。
【0053】
吸気行程で燃料混合気を吸入し終わったら、クランクシャフトを回転させてピストンを上昇させる。吸気バルブは吸気完了時点で閉じられているから、図4に示すように、ピストンの上昇に伴って1番気筒の燃焼室内圧力は上昇していく。このように、吸気行程に続いてピストンを上昇させ、吸入した燃料混合気を圧縮していく行程が圧縮行程である。圧縮行程は、ピストンが最下端にある位置(下死点)から最上端の位置(上死点)に達するまでの、クランク角度で180度の期間である。
【0054】
圧縮行程の終了直前に、燃焼室内に設けられた点火プラグで火花を飛ばして、燃料混合気の燃焼を開始させる。燃焼室内の混合気は、圧縮されて高温高圧状態となっているので急激に燃焼反応が進み、短い期間(クランク角度で灼く30度前後)に全ての燃焼混合気が燃焼してしまう。これに伴い、図4に示すように1番気筒内の燃焼室圧力も急激に上昇する。こうして得られた高い燃焼室内圧力に押し下げられるようにしてピストンが気筒内を下降し、クランク機構の働きによってクランクシャフトを回転させる。ピストンの下降に伴って、燃焼室内圧力は低下していく。このように、燃焼室内で燃料混合気を急激に燃焼させ、得られた圧力でピストンを下降させて、クランクシャフトから動力として取り出す行程が膨張行程である。膨張行程は、ピストンが最上端にある位置(上死点)から最下端の位置(下死点)に達するまでの、クランク角度で180度の期間である。
【0055】
ピストンが最下端の位置(下死点)に達した時点で燃焼室に設けた排気バルブを開いてやると、その瞬間に、燃焼室内で膨張しきらずに残っていた排気ガスが排気バルブから放出され、燃焼室圧力は排気管の排圧相当まで急激に低下する。続いて、クランクシャフトを回転させてピストンを上昇させると、燃焼室内に対流していた排気ガスがピストンに押し出されるようにして排気バルブから排出されていく。こうしてピストンが最上端の位置(上死点)に達したら排気バルブを閉じてやる。このように、排気バルブを開いて、燃焼室内の排気ガスを排出する行程が排気行程である。排気行程は、ピストンが最下端にある位置(下死点)から最上端の位置(上死点)に達するまでの、クランク角度で180度の期間であり、図4に示すように、排気行程中の1番気筒の燃焼室内圧力は排気管の排圧相当の圧力となっている。
【0056】
以上に説明したように、エンジンは、吸気・圧縮・膨張・排気の4つの行程を繰り返し、これに伴って燃焼室内圧力の上下を繰り返しながら、膨張行程中の燃焼室内圧力でピストンを押し下げる力をクランクシャフトから回転動力として取り出している。各工程は、いずれもクランク角度で180度に相当するから、クランクシャフト2回転に1回の割合で、間欠的に動力を取り出していることになる。このように間欠的な動力ではエンジンを滑らかに回転させることができないので、複数の気筒を設けておき、各気筒の位相を少しずつずらしておく。こうすれば、各気筒は少しずつ位相をずらしてクランクシャフトに動力を伝えるので、エンジンをより滑らかに回転させることができる。図4に示したエンジンは4つの気筒を有しているので、エンジン2回転の間に4つの気筒が等間隔で動力を発生させるためには、各気筒の位相を180度ずらしておけばよい。仮に、エンジンが6つの気筒を有する場合は、120度ずつ位相をずらしておくことになる。尚、図4に示した例では、1番気筒に続いて動力を発生させる気筒は3番気筒であり、3番気筒に続く気筒は4番気筒、4番気筒に続く気筒は2番気筒となっており、数字の順番に、すなわち前から順番に動力を発生させているわけではない。これは、数字の順番に燃焼させると、エンジンがクランクシャフトを中心に振れ回るような振動が発生する場合があるので、これを避けるためのものである。
【0057】
図4の最下段には、エンジンの回転速度、すなわちクランクシャフトが回転する角速度を示している。図示するように、エンジンの回転速度は、一定ではなく変動している。これは次の理由によるものである。例えば、1番気筒が膨張行程の場合を考えると、3番気筒は圧縮行程となっている。1番気筒の膨張行程では、ピストンが燃焼室内圧力で押し下げられ、クランクシャフトの回転速度を増大させようとする。3番気筒では逆に燃焼室内に吸入した混合気を圧縮するので、クランクシャフトの回転速度を低下させようとする。更に、クランクシャフトを回転させようとすると摩擦力が発生するので、これも回転速度を低下させる方向に作用する。しかし、膨張行程前半は燃焼室内圧力は非常に高く、一方で、圧縮行程前半は燃焼室内圧力は未だ高くないので、行程の前半では膨張行程がクランクシャフトを回転させようとする力が打ち勝って、エンジンの回転速度は上昇していく。
【0058】
膨張が進むと燃焼室内圧力は低下する一方で、圧縮が進むと燃焼室内圧力は増加するので、行程後半では、圧縮行程がクランクシャフトの回転速度を低下させようとする力が強くなり、エンジンの回転速度は次第に減速していく。このため、1番気筒の膨張行程中、エンジンの回転速度は前半で増加し後半では減少する波形となる。各気筒はちょうどクランク角度で180度ずつ位相がずれているから、1番気筒が他の行程、すなわち吸気・圧縮・排気行程中も、他のいずれか1つの気筒が膨張行程中であり、いずれか1つの気筒が圧縮行程中となるので、結局、各気筒で全く同じ燃焼圧力が得られるならば、4つの行程中で同じ波形が繰り返されることになる。逆に言えば、仮にある気筒で失火が発生し、燃焼圧力が得られなければ、その気筒の膨張行程でエンジン回転速度の波形が大きく低下することになる。本実施例の失火検出装置は、このようなエンジン回転速度の急激な低下を検出して失火を検出している。
【0059】
具体的には、次のようにしてエンジン回転速度から失火を検出する。例えば、各気筒の膨張行程後の下死点(BDC)でのエンジン回転速度を検出する場合を考える。エンジン回転速度は、クランクポジションセンサ118から取り込んだクランク角度の微分値を算出して求めることができる。仮に、1番気筒が失火したとすると、1番気筒の膨張行程ではエンジン回転速度を増加させることができないので、膨張行程後の下死点でエンジン回転速度を計測すれば、1番気筒の膨張行程後の下死点でのエンジン回転速度(図4中の#1Ne )は大幅に低下しているはずである。このように、エンジン回転速度を計測することによって、失火が発生したことを検出することができる。エンジン回転速度は、各気筒で同じタイミングで計測しさえすれば、必ずしも下死点で計測する必要はなく、例えば上死点で計測しても良い。また、ある瞬間でのエンジン回転速度ではなく、所定期間に回転したクランク角を用いても良い。例えば、膨張行程後の下死点から1msec間にクランク角が回転した角度を計測して、エンジン回転速度の代わりに用いることもできる。
【0060】
図5は、クランク角180度毎に計測したエンジン回転速度が時間とともに変化している様子を概念的に示した説明図である。車両が加速中にはエンジン回転速度は次第に増加していき、車両の減速中にはエンジン回転速度は次第に減少していく。通常の車両ではエンジンは車軸に直接つながっており、車両は大きな慣性を有するために、ゆっくりと加速あるいは減速する。また、通常の車両ではエンジンのクランクシャフトは変速機構は介在するものの車軸と直接つながっているので、車両がゆっくりと加速あるいは減速することから、エンジンの回転速度もゆっくりと増加あるいは減少する。このように、エンジン回転速度は車両の運転状態に応じてゆっくりと大きく変動するが、失火が発生すると、図5中の矢印Aで示した箇所のように、瞬間的なエンジン回転速度の落ち込みが発生する。このようなエンジン回転速度の急激な変動を検出して失火を検出することができる。例えば、エンジン回転速度の落ち込み量を閾値として予め設定しておき、この閾値以上にエンジン回転速度が落ち込んだら失火が発生したと判断するのである。閾値の設定値が小さくなるほど、僅かな失火すなわち、燃料混合気が全く燃焼しないわけではないが、燃焼が緩慢で多くの燃料が燃え残って排出されるような状態も検出することができる。その反面、何らかの原因で失火を誤検出する可能性も増大するので、閾値の値は、適切な値を予め実験的に求めて設定しておく。
【0061】
B−4.失火検出マスク処理:
図2を用いて前述したように、本実施例のハイブリッド車両100においては、エンジン110はプラネタリギア140を介して車軸170につながっており、また、図3を用いて説明したように、車軸に出力される動力(すなわちトルクおよび回転速度)は、エンジン110および2つのモータ・ジェネレータ120,130の動作条件によって決定される。このことから、本実施例のハイブリッド車両100においては、モータ・ジェネレータ120あるいはモータ・ジェネレータ130の動作条件が急変すると、それに伴ってエンジンの運転条件が急変することになる。例えば、走行中にモータ・ジェネレータ130の発生トルクを急増させたとする。車両は大きな慣性を有するために、モータ・ジェネレータ130の発生トルクを急増させたとしても、車両の走行速度は比較的ゆっくりと増加するに過ぎないが、モータ・ジェネレータ130で発生した反力トルクがエンジン110を振動させ、あるいはモータ・ジェネレータ120の回転速度を急変させてエンジンの回転速度を急変させる。このように、いずれかのモータ・ジェネレータ120,130の動作状態が急変してエンジンが振動したり、エンジンの回転速度が急変すると、これを失火によるものと誤判断してしまう。ハイブリッド車両に特有のこのような失火の誤検出を回避するために、本実施例のハイブリッド車両に設けられた失火検出装置は、失火を誤検出してしまう可能性のある運転条件、例えば、モータ・ジェネレータ120あるいはモータ・ジェネレータ130の発生トルクが急変する可能性のある条件を検出して、失火判定を中止してしまう。こうすれば、失火を誤検出するおそれがないので、その分、失火判定に用いる閾値の設定を小さくするなど、失火検出感度を上げることができる。以下、このように、直ちに失火を誤検出するわけではないが、失火を誤検出する条件が成立する前提となる運転条件を検出し、このような運転条件を検出したら失火検出をマスクする処理について説明する。
【0062】
図6は、本実施例のハイブリッド車両に備えられた失火検出装置が行う失火検出マスク処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、ハイブリッドECUが、所定時間(代表的には10msec程度)毎に定期的に割り込みを発生させて行う処理である。以下、図6に従って、本実施例の失火検出装置が行う失火検出マスク処理について説明する。
【0063】
失火検出マスク処理を開始すると、先ず初めにハイブリッドECUはECU内部に設けられた仮フラグをOFFにする(ステップS100)。続いてハイブリッド車両の運転条件を取得する(ステップS102)。図7は、モータ・ジェネレータ120,130の運転状態や車両側の運転状態を検出して、ハイブリッド車両の運転条件を取得する様子を概念的に示した説明図である。モータ・ジェネレータの運転状態としては、モータ・ジェネレータ120(図7ではMG1と表示),モータ・ジェネレータ130(図7ではMG2と表示)の電流値,MG1のレゾルバ126(図2参照)の出力,MG2のレゾルバ136(図2参照)の出力,モータ温度を検出する。MG1電流値およびMG2電流値は、モータ・ジェネレータを制御するためのモータECU156より取得する。モータ温度は、モータ・ジェネレータに内蔵されているサーミスタの出力を取り込んで検出する。車両側の運転状態としては、アクセル開度およびブレーキスイッチの接点情報を取得する。アクセル開度は、アクセルポジションセンサ162からアクセルペダルの踏み込み量に相当する電圧値が出力されるので、この電圧値を取り込んで検出する。ブレーキスイッチの接点情報とは、ブレーキペダルが踏まれているか否かを示す情報であり、ブレーキペダルに連動するブレーキスイッチ164の接点が閉じているか否かを検出することでブレーキペダルが踏まれているか否かを検出することができる。
【0064】
ハイブリッドECU160は、取り込んだこれらのデータから、次のようにして車両の運転条件を取得する。先ず、MG2レゾルバの出力から、車両の走行速度を算出することができる。すなわち、図2を用いて説明したように、MG2(モータ・ジェネレータ130)のロータ133はリングギア148およびチェーンベルト174を介して車軸170につながっているので、MG2の回転速度に所定係数を乗算することでハイブリッド車両の車速を算出することができる。
【0065】
MG1レゾルバ126の出力およびMG2レゾルバ136の出力からは、エンジン回転速度を求めることができる。すなわち、図3を用いて説明したように、MG1レゾルバ126の出力(サンギア142の回転速度Ns )とMG2レゾルバ136の出力(リングギア148の回転速度Nr )とエンジン回転速度(プラネタリキャリアの回転速度Ne )とは、共線図上の動作共線で示される関係にある。従って、MG1レゾルバ出力およびMG2レゾルバ出力が判れば、エンジン回転速度を算出することができる。
【0066】
MG2レゾルバ136の出力およびアクセル開度からは、車両の要求トルクを知ることができる。つまり、運転者は出力トルクが足りないと感じたときにアクセルペダルを踏み込むから、アクセルペダルの踏み込み量は運転者が要求するトルクを表していると考えることができる。そこで、アクセルペダルの踏み込み量をアクセルポジションセンサ162で検出すれば、要求トルクを知ることができる。実際には、要求トルク値とMG2回転速度(MG2レゾルバ出力)とアクセル開度との関係を図8に示すようなマップとして予め記憶しておき、MG2の回転速度およびアクセル開度からマップを参照することによって要求トルク値を算出している。
【0067】
尚、以上の説明では、MG1のロータ回転速度はMG1のレゾルバ126の出力から求め、MG2のロータ回転速度はMG2のレゾルバ136の出力から求めるものとした。もっとも、本実施例ではMG1およびMG2はいずれも同期電動機を使用しており、同期電動機のロータの回転速度はコイルに流す交流電流の周波数によって決まる。従って、レゾルバ出力からロータ回転速度を検出する代わりに、コイルに流す交流電流の周波数からロータ回転速度を求めるようにしても良いのはもちろんである。
【0068】
また、MG1の電流値、MG2の電流値、および要求トルクからは、エンジンの出力トルクを求めることができる。すなわち、図3の共線図を用いて前述したように、MG1の発生トルクTm1,MG2の発生トルクTm2,エンジンの出力トルクTe ,リングギアにかかるトルクTr は動作共線上で釣り合う関係にある。MG1およびMG2に流す電流値はそれぞれMG1およびMG2の発生トルクに対応するから、動作共線上での釣り合いの式を解けば、エンジンの出力トルクを算出することができる。尚、エンジンの出力トルクはクランクシャフトにトルクセンサを設けておき、トルクセンサの出力から求めるようにしても良い。あるいは、エンジンの回転速度とエンジンのスロットル開度と出力トルクとの関係をマップに記憶しておき、マップを参照して、エンジン回転速度およびスロットル開度からエンジンの出力トルクを求めても構わない。
【0069】
図6のステップS102では、ハイブリッドECUは以上のようにして車両の運転条件を取得する。こうして車両の運転条件を取得すると、失火を誤検出する条件が成立する可能性のある運転条件で車両が運転されているか否かを判断する(ステップS104)。すなわち、直ちに失火を誤検出するわけではないが、失火を誤検出する条件が現れる前提となる運転条件(本明細書では、この条件を失火誤検出想定条件と呼ぶ)か否かを判断するのである。具体的には、図7に示した様にして取得した車両の運転条件に基づき、図9に示すようにして、失火誤検出想定条件か否かを判断する。以下、図9に従って、上から順番に説明する。
【0070】
(1)低速登坂条件:
エンジン出力トルクおよびエンジン回転速度に基づいて車両が低速登坂条件か否かを判断する。低速登坂条件とは、エンジンの出力トルクが所定値以上で、かつエンジン回転速度が所定値以下の運転条件である。ちょうど、車両が低速で登坂している条件に相当するので低速登坂条件と呼ぶ。このような低速登坂条件を続けていると、パワープラント系(すなわち、エンジン110と2つのモータ・ジェネレータ120,130)およびパワー伝達系(すなわち、プラネタリギア140とチェーンベルト174と車軸170と駆動輪172)を含めた動力が伝わる経路の中で振動が発生し、この影響でエンジン110が振動してエンジン回転速度にノイズがのって失火と誤検出する場合がある。そこで、エンジン出力トルクおよびエンジン回転速度から低速登坂条件と判断された場合は、車両が失火誤検出想定条件で運転されていると判断する。
【0071】
低速登坂条件を維持するとパワープラント系からパワー伝達系で振動が発生するメカニズムについては、今後の詳細な解析と検証が必要であるが、現時点では発明者らは次のように考えている。図4を用いて前述したように、エンジンは、クランクシャフトが2回転する間に、各気筒が1回ずつ燃焼室内で混合気を爆発させて、間欠的にクランクシャフトからトルクを出力する。気筒数が4つの4気筒エンジンでは、クランクシャフトが2回転する間に4回の割合でトルクを発生する。エンジン回転速度が低ければ、トルクが発生してから次にトルクを発生するまでの時間は長くなる。また、エンジンの出力トルクを高くすると、トルクとトルクとの間隔はそのままで、1回のトルクの値が大きくなる。従って、エンジン回転速度が低く、かつエンジン出力が高い条件では、エンジンは間欠的にしかも衝撃的に大きなトルクでパワープラント系およびパワー伝達系を揺すっているような状態となって、部分的な共振現象が発生しているものと予想される。
【0072】
(2)アイドル惰行条件:
エンジン出力トルクとエンジン回転速度と車速とに基づいて車両がアイドル惰行条件か否かを判断する。アイドル惰行条件とは、エンジンがアイドル運転、すなわち無負荷状態で、かつ車速が10km/hから50km/hの範囲で減速している状態をいう。このような運転条件で1気筒だけ失火すると、悪路を走行していると誤検出する場合があるので、失火検出処理を中止する。悪路を走行していると誤検出するので失火検出処理を中止するのは、次のような理由による。
【0073】
前述したように、エンジンで失火が発生したら運転者にこれを報知して、車両の整備をうながしてやる必要があるが、運転中に1回でも失火が発生したら報知しなければならないわけではなく、ある程度頻繁に失火が発生して多量の大気汚染物質を排出するような場合に報知すればよい。すなわち、一定期間あるいは一定回数クランクシャフトが回転する間に、予め設定しておいた回数だけ失火が発生した場合に、これを運転者に報知すれば十分である。そこで、実際には、失火回数を失火カウンタで積算しておき、クランクシャフトが所定回数回転する度に失火カウンタの積算値をチェックして、積算値が所定値を越えていたら失火が発生している旨を運転者に報知し、積算値が所定値に達していなければ失火カウンタをクリアした後、クランクシャフトが所定回数回転したら再び失火カウンタの積算値をチェックすることを繰り返している。ところで、車両がでこぼこ道、すなわち悪路を走行する場合には、車両の激しい振動でエンジンも振動し、その結果、エンジン回転速度が急激に変動して非常に高い頻度で失火を誤検出してしまう。このため少し悪路を走行しただけで、たちまち所定回数以上の失火を誤検出して、失火が発生している旨を非常に高い確率で報知してしまう。このようなことを回避するために、悪路走行を検知したら、失火カウンタの積算値をクリアすることが広く行われている。悪路の検出方法には、種々の方法を適用可能である。例えば、路面からサスペンションへの入力スペクトルを解析して悪路を検出したり、車体に設けた加速度センサで車体振動を検出して悪路を検出することもできる。あるいは、車輪の回転速度にスペクトル解析を施して、悪路を検出することもできる。これらの方法により悪路を走行していると判断された場合、実際に悪路を走行しているのであれば、失火カウンタをクリアしても全く構わないが、悪路走行と誤検出した結果、失火カウンタをクリアしたのでは、失火の検出精度が大きく低下してしまう。そこで、失火の検出精度が低下することを回避するために、失火検出処理を中止して失火カウンタがクリアされないようにしているのである。尚、アイドル惰行条件で悪路走行と誤検出してしまう理由については、未だ明確になっていないが、1気筒が失火したときのエンジンの振動が、車体の剛性あるいはエンジンを車体に取り付けるためのゴムブッシュ(エンジンマウントと呼ばれる)などの、いずれかの要素と共振しているものと予想される。
【0074】
(3)波状路走行条件:
車速のデータに基づいて波状路走行条件か否かを判断する。波状路走行条件とは、車両が所定周波数で加速と減速とを繰り返しているような走行条件をいう。ちょうど、所定周期でなだらかな凹凸があるような路面(このような路面を波状路と呼ぶ)を走行しているために、路面の勾配が周期的に変化し、それに応じて車両が加速と減速とを周期的に繰り返しているような状態に相当する。このような運転条件でしばらく走行していると、失火を誤検出してしまうことがある。そこで、車速データにフィルタ処理を施して所定周波数を抽出することによって、波状路走行条件を検出し、波状路走行条件が検出されたら、車両が失火誤検出想定条件で運転されていると判断する。尚、波状路走行を続けていると、やがて失火を誤検出してしまう理由については、未だ明確になっていないが、周期的に加減速を繰り返すことによって車両が路面から受ける入力と、車体の剛性あるいはエンジンマウントなどの、いずれかの要素とが共振しているものと考えられる。
【0075】
(4)クリープ開始条件:
車速とブレーキスイッチの設定情報とに基づいて、クリープ開始条件か否かを判断する。クリープとは、オートマチックトランスミッション(AT)車が、アクセルを踏まずにブレーキを離しただけで、きわめてゆっくりと前進しようとする現象をいう。通常は、ブレーキを踏んで車両が前進するのを抑えているが、車両を発進させる場合には、ブレーキを離すだけでゆっくりと前進し始めるので便利である。本実施例のハイブリッド車両では、プレーキペダルが踏まれている間は、無駄なトルクを発生させて電力を浪費させないためにクリープトルクを0にしているが、ブレーキペダルから足を離したときには、モータ・ジェネレータ130からごく僅かなトルクを車軸に伝えて、あたかもクリープのように車両がきわめてゆっくりと前進する様にしている。ブレーキペダルが踏まれているか否かは、ブレーキスイッチの接点が閉じているか開いているかよって知ることができる。すなわち、接点が閉じていればブレーキペダルが踏まれており、接点が開いていればプレーキペダルから足が離されたと判断することができる。このことから、車両の停止状態でブレーキスイッチの接点が開いたら、車両の発進に備えてクリープ現象を生じさせるために、モータ・ジェネレータ130で急にトルクを発生させる。このときに、反力トルクでエンジンが振動して、失火が発生したと誤検出してしまう場合がある。そこで、車両が停止している状態で、ブレーキスイッチの接点が開いたことを検出したら、その時点でクリープ開始条件と判断して、車両が失火誤検出想定条件に入ったと判断する。
【0076】
(5)回生制御終了条件:
回生制御とは、減速時に車両の運動エネルギを用いて、いずれかのモータ・ジェネレータで発電して、電気エネルギとして回収する制御をいう。通常の車両では減速時はブレーキを踏むことで車両に負荷をかけて減速させるが、ハイブリッド車両では、回生制御を行えば発電するための負荷によって車両が減速するので、ブレーキ操作によって負荷をかける必要がない。車両の発進時や低速走行時などには、回生制御によって蓄えた電力を利用すれば、車両全体としてのエネルギ効率を向上させることができる。そこで、本実施例のハイブリッド車両では、車両減速時にプレーキペダルが踏まれても、実際にはプレーキを操作せずに、回生制御を行って発電することで減速している。
【0077】
しかし、車両が停止する直前(代表的には車速10km/h以下)では、十分な制動力を確保しつつも、運転者に不快な感じを持たせることなく自然に停車するために、回生制御を終了して通常の車両と同様にブレーキ操作によって車両を停止させる。その結果、発電していたモータ・ジェネレータの負荷が急に抜けるので、エンジンが振動して失火を誤検出してしまう。このようなことを考慮して、ブレーキスイッチの接点が閉じていて、車両が減速中で、かつ所定車速以下となったら、その時点で回生制御終了が近いと判断し、車両の運転条件が失火誤検出想定条件に入ったと判断する。
【0078】
(6)急加速条件:
急加速条件とは、所定車速以下で、かつアクセルペダルが急に大きく踏み込まれた条件をいう。アクセルペダルが急に大きく踏み込まれると言うことは、運転者は速やかな加速を望んでいると思われる。そこで、車速が低い場合には、低回転時に高いトルクを発生する電動機の特性を活かすべく、先ずモータ・ジェネレータ130の発生トルクを急増させる。その後、車速の増加に伴ってリングギア148の回転速度が上昇してきたら、それに伴ってエンジン回転速度を増加させる。こうすれば、車両を速やかに加速させることができる。この際に、モータ・ジェネレータ130の発生トルクを急増させると、反力トルクでエンジンが振動して失火を誤検出してしまう。そこで、車速とアクセル開度とを検出し、車速が所定車速以下で、かつアクセル開度の変化量が所定値以上の場合には、その時点で、車両の運転条件が失火誤検出想定条件で運転されていると判断する。
【0079】
(7)モータ保護条件:
モータ・ジェネレータ120,130のコイルには電流が流れるので、内部抵抗によってジュール熱が発生する。通常は、発生した熱は雰囲気に自然に放出されてモータ温度は所定温度範囲に保たれるが、定格以上の電流値が流れたり、雰囲気温度が上昇すると行った理由から周囲に熱を放出し難くなると、モータ温度が上昇する。モータ温度が高い状態でモータを使い続けるとモータの劣化を速めるので、所定温度以上に上昇したら、モータの保護のために電流値を急に低下させる場合がある。モータ・ジェネレータ120,130に流す電流値を急に低下させると、モータ・ジェネレータ120,130の発生トルクも急に低下するので、エンジンが振動して失火を誤検出してしまう。そこで、モータ温度を検出して、モータ温度が所定値以上に昇温したら、その時点で失火誤検出想定条件に入ったと判断する。
【0080】
図6のステップS104では、先に取得した車両運転条件に基づいて、以上に説明した種々の条件を検出して、車両が失火誤検出想定条件で運転されているか否かを判断するのである。失火誤検出想定条件に該当すると判断した場合(ステップS104:yes)は、ハイブリッドECU160内の仮フラグをONにする(ステップS106)。続いて、仮フラグがONとなっているか否かを判断する(ステップS108)。仮フラグがONとなっていれば、タイマをセットするとともに、確定フラグをONにする(ステップS110)。エンジンECU112は、ハイブリッドECU160内部の確定フラグを常に参照していて、確定フラグがONになると、エンジンECU112は失火検出処理を中止(マスク)する。タイマは後述するように、失火誤検出想定条件でなくなった後も、しばらく確定フラグをONにしておくためのフラグである。
【0081】
続いてタイマにセットした所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS112)、所定時間経過していなければ(ステップS112:no)、そのまま失火検出マスク処理を終了する。前述したように、失火検出マスク処理は、所定時間経過する毎に行われる。従って、一旦、失火検出マスク処理を終了しても、所定時間後には再び同じ処理を繰り返す。すなわち、仮フラグをOFFにした後(ステップS100)、車両運転条件を取得して(ステップS102)、取得した運転条件に基づいて失火誤検出想定条件か否かを判断し(ステップS104)、未だ失火誤検出想定条件と判断した場合は、仮フラグをONにする(ステップS106)。こうして、仮フラグがONになっていると、ステップS110においてタイマが再びセットされ直して、確定フラグがONにセットされ直す。続いて、所定時間経過したか否かを判断し(ステップS112)、経過していなければ何もせずにそのまま失火検出マスク処理を終了する。
【0082】
こうして、何回か処理を繰り返している中に、失火誤検出想定条件が成立しなくなると(ステップS104:no)、ステップS100で仮フラグはOFFにされているので、タイマをセットし直すことなく、所定時間経過したか否かを判断する(ステップS112)。失火誤検出想定条件が成立しなくなってから何度か処理を繰り返すと、やがてタイマにセットした所定時間が経過して(ステップS112:yes)、確定フラグがOFFに戻される(ステップS114)。確定フラグがOFFになると、エンジンECU112はこれを検出して、確定フラグがONの間、中止していた失火検出処理を再開する。以上のようにして、車両が失火誤検出想定条件で運転されている間、および失火誤検出想定条件から抜けて所定時間の間は、ハイブリッドECU160の確定フラグがONとなっているので、エンジンECU112では失火検出処理がマスクされることになる。
【0083】
このように、本実施例のハイブリッド車両においては、直ちに失火を誤検出するわけではないが、失火を誤検出する条件が成立する前提となる運転条件を検出し、このような運転条件を検出したら失火検出をマスクしてしまう。こうすれば、失火を誤検出することが無くなるので、エンジンECU112の失火の検出感度を高めて却って確実に失火を検出することが可能となる。
【0084】
また、失火の発生する条件を予測して予め失火検出処理をマスクしてしまうので、例えば、いずれかのモータ・ジェネレータ120,130での発生トルクの急変といったような、失火を引き起こす条件を検出してから失火検出処理を中止する場合に比べて、失火の誤検出を確実に回避することが可能である。更に、失火検出処理を中止する処理も簡素化することができる。
【0085】
以上では説明の便宜上、いずれの失火誤検出想定条件も、1つの処理ルーチン中で検出するものとして説明した。しかし、低速登坂条件や、アイドル惰行条件、波状路走行条件、モータ保護条件といった失火誤検出想定条件は、これら条件が検出されてから実際に失火を誤検出する条件が成立するまでに比較的時間がかかる。これに比べれば、クリープ開始条件や、回生制御終了条件、急加速条件については、これら失火誤検出想定条件を検出してから実際に失火を誤検出する条件となるまでの時間はたいへんに短いと言える。このことから、失火検出マスク処理を2つの処理ルーチンに分けて、低速登坂条件や、アイドル惰行条件、波状路走行条件、モータ保護条件といった比較的時間の余裕のある条件については、処理を開始する時間間隔を長くし、クリープ開始条件や、回生制御終了条件、急加速条件といった比較的時間の余裕のない条件については、処理を開始する時間間隔を短く設定するようにしても良い。
【0086】
また、以上の説明では、車両の運転条件が、失火誤検出想定条件に入ったと判断されたら、エンジンECU112の失火検出処理を中止してしまうものとして説明した。もちろん、失火検出処理を中止するのではなく、失火が検出され難くなるようにして、失火の検出を抑制するものとしても良い。失火の検出を抑制するには、例えば、失火検出のためのエンジン回転速度の閾値の設定を大きくして、エンジン回転速度が多少落ち込んだ程度では失火として検出しないようにすることで実現することができる。
【0087】
C.変形例:
以上に説明した本実施例の失火検出装置には、種々の変形例が存在する。以下、これら変形例について簡単に説明する。
【0088】
(1)第1の変形例:
上述の実施例では、失火を誤検出する懸念のある運転条件をハイブリッドECU160で検出したら、エンジンECU112での失火検出処理を中止することで、失火の誤検出を回避していた。もっとも、失火の検出を中止するのではなく、検出した失火の妥当性を判断して、妥当と判断された失火だけを積算するようにしても良い。すなわち、エンジンECU112では、全ての失火を検出し、失火をする度に、ハイブリッドECU160に対して、失火誤検出想定条件に該当しているか否かを問い合わせる。こうして、失火誤検出想定条件に該当していない時期に発生した失火だけを妥当な失火として失火カウンタで積算し、失火誤検出想定条件中に検出された失火は、疑わしいとして失火カウンタに積算せずにおくのである。こうしても、失火を誤検出するおそれが無くなるので、エンジンECU112の失火の検出感度を高めて却って確実に失火を検出することが可能となる。
【0089】
(2)第2の変形例:
上述の実施例では、エンジン110がプラネタリギア140を介して車軸170につながっているものとして説明したが、これに限らず、図10に示すように、エンジンの出力軸が車軸につながっていて、車軸170にモータ・ジェネレータ130が接続されているものとしても良い。あるいは、図11に示すように、エンジンの出力軸がクラッチ180を介して車軸170につながっていて、車軸170にモータ・ジェネレータ130が接続されているものとしても良い。このようなハイブリッド車両においても、モータ・ジェネレータ130の発生トルクが急変する場合に、エンジンの失火を誤検出してしまうので、失火を誤検出する条件となり得る条件を検出して失火検出を中止すれば、失火を誤検出するおそれが無くなるので好適である。
【0090】
以上、各種の実施例について説明してきたが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
【0091】
例えば、以上の実施例においては、失火検出装置は電動車両に搭載されているものとして説明したが、内燃機関と電動機とを備えた動力出力装置に搭載しても良い。また、以上の実施例においては、内燃機関はガソリンエンジンであるとして説明したが、これに限定されるものではなく、ディーゼルエンジンなどの他の内燃機関であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す構成概要図である。
【図2】本実施例の失火検出装置を備えたハイブリッド車両の構成を示す説明図である。
【図3】エンジンが出力する動力と2つのモータ・ジェネレータで発生する動力との関係を示す共線図である。
【図4】本実施例の失火検出装置が失火を検出する原理を示す説明図である。
【図5】本実施例の失火検出装置がエンジン回転速度に基づいて失火を検出する様子を示す説明図である。
【図6】本実施例の失火検出装置が行う失火検出マスク処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】失火検出マスク処理中で各種センサから車両の運転状態を検出する様子を概念的に示す説明図である。
【図8】モータ・ジェネレータの回転速度とアクセル開度とから要求トルクを求める方法を示す説明図である。
【図9】本実施例の失火検出マスク処理中で車両の運転条件から失火誤検出想定条件を検出する様子を概念的に示す説明図である。
【図10】本実施例の変形例の構成を概念的に示す説明図である。
【図11】本実施例の他の変形例の構成を概念的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…エンジン
2…ジェネレータ
3…エンジン制御用ECU
4…コントローラ
5…ハイブリッドECU
6…バッテリ
7…車軸
8…駆動輪
9…クランク角センサ
10…ハイブリッド車両
11…アクセルペダル
12…ブレーキペダル
100…ハイブリッド車両
110…エンジン
112…エンジンECU
114…クランクシャフト
118…クランクポジションセンサ
120,130…ジェネレータ
122…永久磁石
123…ロータ
124…三相コイル
125…ステータ
126…レゾルバ
130…ジェネレータ
132…永久磁石
133…ロータ
134…三相コイル
135…ステータ
136…レゾルバ
138…ケース
140…プラネタリギア
141…サンギア軸
142…サンギア
144…プラネタリピニオンギア
146…プラネタリキャリア
147…リングギア軸
148…リングギア
150…バッテリ
152…インバータ
154…インバータ
156…モータECU
160…ハイブリッドECU
162…アクセルポジションセンサ
164…ブレーキスイッチ
170…車軸
172…駆動輪
174…チェーンベルト
180…クラッチ
Claims (11)
- 車軸に動力を出力可能な内燃機関と該車軸に接続された電動機とを備えた電動車両に設けられ、該内燃機関の失火を検出する失火検出装置であって、
前記電動機の動作状態を検出する電動機動作状態検出手段と、
前記内燃機関の失火を誤検出する条件が成立するおそれのある所定の誤検出想定条件で前記電動車両が運転されているか否かを、前記電動機の動作状態に基づいて判断する誤検出想定条件判断手段と、
前記所定の誤検出想定条件で運転されている場合には前記内燃機関の失火検出を抑制する失火検出抑制手段と、を備え、
前記電動機動作状態検出手段は、前記電動機の温度を検出する手段であり、
前記誤検出想定条件判断手段は、前記電動機の温度が所定温度以上の場合に、前記電動車両が前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断する手段である、失火検出装置。 - 車軸に動力を出力可能な内燃機関と該車軸に接続された電動機とを備えた電動車両に設けられ、該内燃機関の失火を検出する失火検出装置であって、
前記電動機の動作状態を検出する電動機動作状態検出手段と、
前記内燃機関の失火を誤検出する条件が成立するおそれのある所定の誤検出想定条件で前記電動車両が運転されているか否かを、前記電動機の動作状態に基づいて判断する誤検出想定条件判断手段と、
前記所定の誤検出想定条件で運転されている場合には前記内燃機関の失火検出を抑制する失火検出抑制手段と、
前記電動車両の運転状態を検出する車両運転状態検出手段と、を備え、
前記誤検出想定条件判断手段は、前記電動車両が前記所定の誤検出想定条件で運転されているか否かを、前記電動機の動作状態と該電動車両の運転状態とに基づいて判断する手段である失火検出装置。 - 請求項2記載の失火検出装置であって、
前記車両運転状態検出手段は、前記電動車両の駆動トルクの要求値に関する情報を検出する手段である失火検出装置。 - 請求項3記載の失火検出装置であって、
前記誤検出想定条件判断手段は、前記電動車両の駆動トルクの要求値が所定速度以上で増加した場合に、前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断する手段である失火検出装置。 - 請求項3記載の失火検出装置であって、
前記電動機動作状態検出手段は、前記電動機の回転速度を検出する手段であり、
前記誤検出想定条件判断手段は、前記電動機の回転速度に基づいて前記電動車両の走行速度を検出するとともに、該電動車両の速度が所定速度以下で、かつ該電動車両の駆動トルクの要求値が所定値以上の場合に、前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断する手段である失火検出装置。 - 請求項2記載の失火検出装置であって、
前記電動機動作状態検出手段は、前記電動機の回転速度を検出する手段であり、
前記車両運転状態検出手段は、前記電動車両のブレーキ操作状態を検出する手段であり、
前記誤検出想定条件判断手段は、前記電動機の回転速度に基づいて前記電動車両が停止している状態を検出するとともに、該電動車両の停止時に前記ブレーキが解除された場合に、前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断する手段である失火検出装置。 - 請求項2記載の失火検出装置であって、
前記電動機動作状態検出手段は、前記電動機の回転速度を検出する手段であり、
前記誤検出想定条件判断手段は、前記電動機の回転速度に基づいて前記電動車両の走行速度を検出するとともに、該電動車両の加速と減速とが所定の間隔で繰り返されている場合に、前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断する手段である失火検出装置。 - 請求項2記載の失火検出装置であって、
前記電動機動作状態検出手段は、前記電動機の回転速度を検出する手段であり、
前記車両運転状態検出手段は、前記内燃機関が無負荷状態で運転されているか否かを検出する手段であり、
前記誤検出想定条件判断手段は、前記電動機の回転速度に基づいて前記電動車両の走行速度を検出するとともに、該電動車両が所定速度範囲で減速中であり、かつ前記内燃機関が無負荷状態で運転している場合に、前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断する手段である失火検出装置。 - 車軸に動力を出力可能な内燃機関と該車軸に接続された電動機とを備えた電動車両に設けられ、該内燃機関の失火を検出する失火検出方法であって、
前記内燃機関の失火を誤検出する条件が成立するおそれのある所定の誤検出想定条件で前記電動車両が運転されているか否かを、前記電動機の動作状態に基づいて判断し、
前記所定の誤検出想定条件で運転されている場合には前記内燃機関の失火検出を抑制し、
前記判断においては、前記電動機の温度が所定温度以上の場合に、前記電動車両が前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断することを特徴とする失火検出方法。 - 車軸に動力を出力可能な内燃機関と該車軸に接続された電動機とを備えた電動車両に設けられ、該内燃機関の失火を検出する失火検出装置であって、
前記電動機の動作状態を検出する電動機動作状態検出手段と、
前記内燃機関の失火を暫定的に検出する暫定失火検出手段と、
前記暫定的に失火が検出された場合に、前記電動機の動作状態を検出して、前記内燃機関の失火を誤検出する所定の動作状態に該当するか否かを判断する動作条件判断手段と、
前記所定の動作状態に該当しない場合に、前記暫定的に検出された失火を確定的な失火として検出する失火検出手段とを備え、
前記電動機動作状態検出手段は、前記電動機の温度を検出する手段であり、
前記動作条件判断手段は、前記電動機の温度が所定温度以上の場合に、前記所定の動作状態に該当すると判断する手段である、失火検出装置。 - 出力軸に動力を伝達可能な内燃機関と該出力軸に接続された電動機とを備えた動力出力装置に設けられ、該内燃機関の失火を検出する失火検出装置であって、
前記電動機の動作状態を検出する電動機動作状態検出手段と、
前記内燃機関の失火を誤検出する条件が成立するおそれのある所定の誤検出想定条件で前記動力出力装置が運転されているか否かを、前記電動機の動作状態に基づいて判断する誤検出想定条件判断手段と、
前記所定の誤検出想定条件で運転されている場合には前記内燃機関の失火検出を抑制する失火検出抑制手段と、を備え、
前記電動機動作状態検出手段は、前記電動機の温度を検出する手段であり、
前記誤検出想定条件判断手段は、前記電動機の温度が所定温度以上の場合に、前記電動車両が前記所定の誤検出想定条件で運転されていると判断する手段である、失火検出装置。
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