JP2000240501A - ハイブリッド型車両の多気筒内燃機関失火検出装置 - Google Patents

ハイブリッド型車両の多気筒内燃機関失火検出装置

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JP2000240501A
JP2000240501A JP11044916A JP4491699A JP2000240501A JP 2000240501 A JP2000240501 A JP 2000240501A JP 11044916 A JP11044916 A JP 11044916A JP 4491699 A JP4491699 A JP 4491699A JP 2000240501 A JP2000240501 A JP 2000240501A
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cylinder
combustion engine
internal combustion
misfire
cylinder internal
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Toshihiko Takeda
敏彦 武田
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Denso Corp
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  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 制振制御を実行しているハイブリッド型車両
において多気筒内燃機関の失火を精度よく検出できる失
火検出装置を提供する。 【解決手段】 M/G・ECUは、エンジンのクランク
軸に対する第1M/Gの負荷につき、エンジンの瞬時回
転数が各気筒の爆発タイミングに同期して周期的に変動
するのを抑制するように制御している。このため、第1
M/Gの出力トルクは各気筒の爆発タイミングに同期し
て周期的に変動する。ここで、エンジンの2番気筒でG
O信号が発生したときに開始される失火検出について、
各気筒とも失火していない場合には今回の出力トルク指
令値gtrqと前回の出力トルク指令値gtrqoは大きく変動
しないことから前回の気筒即ち4番気筒は失火していな
いと判断される。一方、4番気筒で失火した場合にはgt
rqはgtrqoに比べて大きく落ち込むことから4番気筒は
失火している可能性があると判断される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド型車
両に搭載された多気筒内燃機関の失火検出装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車の多気筒内燃機関において、ある
気筒が何らかの原因で失火すると、その気筒では爆発燃
焼が行われず未燃焼ガスがそのまま排出されてしまうこ
とから、環境上好ましくないという問題があった。この
ため、従来より多気筒内燃機関の失火を検出するための
装置がいくつか開発されている。
【0003】例えば、特開平2−112646号公報で
は、多気筒内燃機関の各気筒の1サイクルのうちの特定
タイミングごとに瞬時回転数(=瞬時回転速度)を検出
し、検出した瞬時回転数変動から失火を検出するように
したものが開示されている。一般に、多気筒内燃機関の
各気筒は、吸入行程→圧縮行程→爆発行程→排気行程を
1サイクルとしてピストンの上下運動をクランク軸の回
転運動に変換している。このことから、多気筒内燃機関
のクランク軸の瞬時回転数は、ある気筒の爆発行程直前
の上死点(以下TDCともいう)付近で最も落ち込み、
その後その気筒で混合気が爆発燃焼することによりクラ
ンク軸が加速されて回転数(=回転速度)が上昇し、そ
の後回転負荷により加速度が正から負になり回転数が降
下し、再び次の気筒の爆発行程直前の上死点近辺で最も
落ち込むという周期性を有している。ここで、多気筒内
燃機関のうちある気筒が失火したとすると、その気筒に
よるクランク軸の加速が行われないので、その気筒の爆
発行程直前の上死点近辺から瞬時回転数が降下し続ける
ことになる。上述の特開平2−112646号公報に開
示された失火検出装置は、この点に着目したものであ
り、各気筒の上死点付近におけるクランク軸の瞬時回転
数を検出し、その瞬時回転数の変動分が小さければ正
常、大きければ失火と判別する。なお、同様の失火検出
装置は特許第2701186号にも開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年、エンジン
に発電機やモータを併用したいわゆるハイブリッド型車
両が提案されている。このようなハイブリッド型車両と
しては、例えば、図9(a)のように、エンジン101
を駆動することによって発生させた動力を発電機103
に伝達して発電機103を駆動して発電させ、その発電
電力をインバータ113を介して直流電流に変換してバ
ッテリ112を充電し、更にこのバッテリ112の電力
をインバータ113を介して交流電流に交換してモータ
105を駆動し、このモータ105の駆動力を車輪の駆
動軸に伝達するようにしたシリーズ(直列)型ハイブリ
ッドシステムや、図9(b)のように、エンジン201
とモータ205の駆動力を同時に車輪の駆動軸に伝達し
たり選択的にどちらか一方の駆動力のみを車輪の駆動軸
に伝達したりするパラレル(並列)型ハイブリッドシス
テムなどが知られている。なお、212,213はそれ
ぞれバッテリ、インバータを表す。このほか、図9
(c)に示すように、遊星ギヤ307の3軸にエンジン
301、発電機303、モータ305を配置してそれら
を協調制御し、例えば通常走行時にはエンジン301の
動力を2経路に分けて一方の経路で直接車輪の駆動軸を
回転駆動し、他方の経路で発電機303を駆動して発電
させ、その発電電力でモータ305も車輪の駆動軸を駆
動するシステムも知られている。なお、312,313
はそれぞれバッテリ、インバータを表す。
【0005】ところで、ハイブリッド型車両において
も、エンジンの瞬時回転数は[従来の技術]の欄で述べ
たような周期性を有している。しかし、このように瞬時
回転数が周期的に変化すると振動が発生し、この振動が
車体に伝わり、乗り心地を悪化させる要因となるため好
ましくないという問題がある。この点に鑑み、ハイブリ
ッド型車両ではエンジンのクランク軸に発電機あるいは
モータが接続されていることから、発電機あるいはモー
タがクランク軸に及ぼす負荷を制御することでエンジン
の瞬時回転数が周期的に変化することを抑制することが
提案されている(以下、この制御を制振制御と称す
る)。
【0006】しかしながら、このような制振制御を実行
している場合には、エンジンのある気筒が何らかの原因
により失火したとしても、エンジンのクランク軸の瞬時
回転数が周期的に変化しないように発電機あるいはモー
タが作用するため、失火した気筒であってもその爆発行
程直前の上死点近辺から瞬時回転数が降下し続けること
はない。したがって、制振制御を実行している場合に
は、[従来の技術]の欄で説明した失火検出装置を適用
したとしても失火を検出するのは困難である。
【0007】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
り、制振制御を実行しているハイブリッド型車両におい
て多気筒内燃機関の失火を精度よく検出できる失火検出
装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】本発明の
第1のハイブリッド型車両の多気筒内燃機関失火検出装
置では、内燃機関制御手段は、多気筒内燃機関の運転を
制御している。また、発電機制御手段は、内燃機関制御
手段により運転が制御されている多気筒内燃機関の出力
軸に対する発電機の負荷につき、多気筒内燃機関の瞬時
回転数が各気筒の爆発タイミングに同期して周期的に変
動するのを抑制するように制御する。つまり、発電機制
御手段は制振制御を実行する。そして、失火判別手段
は、発電機制御手段から発電機に出力する発電機負荷に
関する信号、又は、発電機から検出した発電機負荷に関
する信号に基づいて、多気筒内燃機関の失火を判別す
る。
【0009】つまり、この失火検出装置では、従来のよ
うに多気筒内燃機関の瞬時回転数に基づいて失火を検出
するのではなく、制振制御を実行する際に発電機に出力
する発電機負荷に関する信号、又は、発電機から検出し
た発電機負荷に関する信号に基づいて失火を検出するよ
うにしている。
【0010】ここで、制振制御について詳述すると、例
えば多気筒内燃機関の瞬時回転数が目標回転数を上回っ
ている場合には、発電機の出力トルクを大きくして多気
筒内燃機関の出力軸にかかる負荷を大きくすることによ
り瞬時回転数が目標回転数と一致するように制御し、一
方、多気筒内燃機関の瞬時回転数が目標回転数を下回っ
ている場合には、発電機の出力トルクを小さくして多気
筒内燃機関の出力軸にかかる負荷を小さくすることによ
り瞬時回転数が目標回転数と一致するように制御する。
そして、多気筒内燃機関のうちある気筒が失火したとす
ると、本来その気筒の爆発タイミングで多気筒内燃機関
の出力軸が加速されて瞬時回転数が大きくなるため発電
機の出力トルクを大きくし出力軸に大きな負荷をかけて
対処するところを、ここではその気筒は失火しているの
で、爆発タイミングでも多気筒内燃機関の出力軸が加速
されず瞬時回転数が降下し続けるため発電機の出力トル
クを小さくし出力軸にかかる負荷を小さくして対処する
ことになる。つまり、発電機に出力する発電機負荷に関
する信号、及び、発電機から検出した発電機負荷に関す
る信号は、いずれも正常時と失火時を比べると大きく変
動する。このため、これらの信号に基づいて、多気筒内
燃機関の失火を判別できるのである。
【0011】よって、本発明の失火検出装置によれば、
制振制御を実行しているハイブリッド型車両において多
気筒内燃機関の失火を精度よく検出できる。このため、
失火を検出した後に例えばその失火気筒の燃料噴射をカ
ットする等の措置を採ることが可能となり、燃料をいた
ずらに消費せず、また排ガス成分を環境上より好ましい
ものにすることができる。
【0012】本発明の第2のハイブリッド型車両の多気
筒内燃機関失火検出装置では、内燃機関制御手段は、多
気筒内燃機関の運転を制御している。また、モータ制御
手段は、内燃機関制御手段により運転が制御されている
多気筒内燃機関の出力軸に対するモータの負荷につき、
多気筒内燃機関の瞬時回転数が各気筒の爆発タイミング
に同期して周期的に変動するのを抑制するように制御す
る。つまり、モータ制御手段は制振制御を実行する。そ
して、失火判別手段は、モータ制御手段からモータに出
力するモータ負荷に関する信号、又は、モータから検出
したモータ負荷に関する信号に基づいて、多気筒内燃機
関の失火を判別する。
【0013】つまり、この失火検出装置では、従来のよ
うに多気筒内燃機関の瞬時回転数に基づいて失火を検出
するのではなく、制振制御を実行する際にモータに出力
するモータ負荷に関する信号、又は、モータから検出し
たモータ負荷に関する信号に基づいて失火を検出するよ
うにしている。この場合も、制振制御に利用するモータ
負荷に関する信号(即ちモータに出力するモータ負荷に
関する信号、及び、モータから検出したモータ負荷に関
する信号)は、正常時と失火時を比べると大きく変動す
る。このため、これらの信号に基づいて、多気筒内燃機
関の失火を判別できるのである。
【0014】よって、本発明の失火検出装置によれば、
制振制御を実行しているハイブリッド型車両において多
気筒内燃機関の失火を精度よく検出できる。このため、
失火を検出した後に例えばその失火気筒の燃料噴射をカ
ットする等の措置を採ることが可能となり、燃料をいた
ずらに消費せず、また排ガス成分を環境上より好ましい
ものにすることができる。
【0015】本発明の第1又は第2の失火検出装置にお
いて、失火判別手段は、多気筒内燃機関の各気筒の1サ
イクルのうちの特定タイミングごとに多気筒内燃機関の
失火を判別することが好ましい。この場合、各気筒の失
火を判別する時期が統一されているため、例えば今回の
信号と前回の信号とを比較してその変動分が所定の変動
範囲を越えている場合に失火と判定したり、あるいは、
今回の信号が所定の負荷範囲を下回っている場合に失火
と判定したりすることが可能であり、失火検出の精度が
向上する。なお、所定の変動範囲や所定の負荷範囲は例
えば予め正常な場合と失火した場合とを対比して経験的
に求めた範囲とすればよい。
【0016】そして、この構成を採用した場合におい
て、特定タイミングを多気筒内燃機関の各気筒の混合気
に点火される直前のタイミング、言い換えれば各気筒の
上死点近辺とするのが好ましい。ある気筒が失火した場
合、多気筒内燃機関の瞬時回転数が最も落ち込むのは次
の気筒の混合気に点火される直前のタイミングであるた
め、このタイミングにおける発電機負荷に関する信号又
はモータ負荷に関する信号に基づいて失火検出の判別を
行えば、失火検出の精度が向上する。
【0017】また、本発明の第1又は第2の失火検出装
置において、発電機又はモータを永久磁石型とし、失火
判別手段は発電機負荷に関する信号又はモータ負荷に関
する信号として電流又は電圧をd軸成分である励磁成分
とこれに直交するq軸成分であるトルク成分とに分けた
ときのトルク成分を用いることが好ましい。発電機又は
モータの実際のトルクはトルク成分に依存するため、こ
のようにトルク成分を用いて制御した場合には失火検出
の精度が向上する。
【0018】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]図1は、本実施
形態のハイブリッド型車両を表わす概略構成図である。
本実施形態のハイブリッド型車両は、主として、多気筒
内燃機関としてのエンジン1と、モータあるいは発電機
として動作する2つのモータ/ジェネレータ3,5(以
下第1M/G3、第2M/G5という)と、エンジン1
からの動力や第1及び第2M/G3,5からの動力を分
割する動力分割機構としての遊星ギヤユニット7とを備
えている。このハイブリッド型車両は、更に、エンジン
制御装置19(以下エンジンECU19という)と、モ
ータ/ジェネレータ制御装置17(以下M/G・ECU
17という)を備えている。
【0019】エンジン1は、空気とガソリンの混合気を
各気筒の燃焼室に吸入し、この混合気の爆発により押し
下げられるピストンの上下運動を出力軸であるクランク
軸1aの回転運動に変換するという、周知の4気筒4サ
イクルエンジンである。このエンジン1には、エンジン
1の実際の回転数(以下、実回転数Neという)を検出
する実回転数検出手段、具体的にはエンジン1のクラン
ク軸1aが45°CA回転するごとに単位信号(Ne信
号ともいう)としてのパルスを発生する回転角センサ3
1が設けられており、この回転角センサ31からのNe
信号はエンジンECU19に入力されるようになってい
る。また、このエンジン1の吸気経路21には、エンジ
ン1の吸入空気量ひいてはエンジン1の出力を調節する
ためのスロットル弁23が設けられており、そのスロッ
トル弁23の開度はアクチュエータとしてのDCモータ
25により調節されるようになっている。
【0020】第1M/G3は、永久磁石を有するロータ
3bと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたス
テータ3cとを備えている。この第1M/G3は、永久
磁石による磁界と三相コイルによって形成される磁界と
の相互作用によりロータ3bを回転駆動するモータとし
て動作し、永久磁石による磁界とロータ3bの回転との
相互作用により三相コイルの両端に起電力を生じさせる
発電機として動作する。第2M/G5は、第1M/G3
と同様、永久磁石を有するロータ5bと、回転磁界を形
成する三相コイルが巻回されたステータ5cとを備え、
モータあるいは発電機として動作する。
【0021】遊星ギヤユニット7は、サンギヤSと、こ
のサンギヤSと同心に配置されたリングギヤRと、サン
ギヤSとリングギヤRとの間にてサンギヤSの周りを自
転しながら公転可能な複数のピニオンギヤPと、このピ
ニオンギヤPを支持するプラネタリキャリアCRとから
構成されている。このうち、サンギヤSは第1M/G3
のロータ3bから延び出した出力軸3aに連結され、リ
ングギヤRは第2M/G5のロータ5bから延び出した
出力軸5aに連結され、プラネタリキャリアCRはエン
ジン1のクランク軸1aに連結されている。そして第2
M/G5の出力軸5aは、ディファレンシャルギヤ9を
介して、この車両の車輪(駆動輪)11R,11Lに接
続されている。このように、エンジン1と第1M/G3
と第2M/G5はそれぞれ遊星ギヤユニット7を介して
ギヤ接続されているため、車輪11R,11Lへの駆動
力或いは車輪11R,11Lからの減速力はエンジン1
と第1M/G3と第2M/Gとエンジン1の3者に分担
される。例えば、エンジン1の動力は、プラネタリキャ
リアCRに支持されるピニオンギヤPを通じてその外周
に位置するリングギヤRと内周に位置するサンギヤSに
伝達され、リングギヤRを通じて第1M/G5の出力軸
5aに伝達され、更に車輪11R,11Lに伝達される
一方、サンギヤSを通じて第1M/G3の出力軸3aに
伝達される。また、第2M/G5のモータとしての動力
は、車輪11R,11Lに直接伝達される一方、リング
ギヤRを通じてピニオンギヤPとサンギヤSに伝達さ
れ、ピニオンギヤPを通じてエンジン1のクランク軸1
aに伝達され、サンギヤSを通じて第1M/G3に伝達
される。
【0022】エンジンECU19は、エンジン1の運転
を制御するものであり、周知のマイクロコンピュータや
各種駆動回路を含んで構成されている。このエンジンE
CU19には、エンジン1の運転状態を示す種々のセン
サ、例えば図示しないがスロットル弁23の開度を検出
するスロットル弁ポジションセンサ、エンジン1の負荷
を検出する吸気管負圧センサ、エンジン水温を検出する
水温センサ等が接続されている。また、エンジンECU
19は、M/G・ECU17と通信を行うための図示し
ない通信ポートを備えている。そして、このエンジンE
CU19は、各種センサからの入力に基づいて周知の燃
料噴射制御及び点火時期制御を実行する。なお、エンジ
ンECU19は、サブバッテリ29からの所定の電源電
圧(例えば12V)によって動作するようになってい
る。このサブバッテリ29は、メインバッテリ12の直
流電圧がDC/DCコンバータ27により降圧されて所
定の電源電圧として供給されている。
【0023】M/G・ECU17は、第1及び第2M/
G3,5をインバータ13,15を介して駆動制御する
ものであり、図示しないが、第1M/G3を駆動する駆
動回路、第2M/G5を駆動する駆動回路、両駆動回路
を制御する制御CPUなどから構成されている。このM
/G・ECU17は、図示しないが、車両運転者により
操作されるアクセルペダルの開度(アクセル開度)を検
出するアクセル開度センサ、車両のブレーキペダルが操
作されたことを検出するブレーキセンサ、シフトレバー
の位置を検出するシフトポジションセンサ、及び当該車
両の走行速度(車速)を検出する車速センサなど、当該
車両の運転状態を検出するための各種センサからの信号
が入力されるように構成されている。また、M/G・E
CU17は、エンジンECU19と通信を行う図示しな
い通信ポートを備えている。なお、M/G・ECU17
は、サブバッテリ29からの所定の電源電圧(例えば1
2V)によって動作するようになっている。
【0024】インバータ13は、M/G・ECU17か
らの指令に基づき、メインバッテリ12の直流電力を交
流電力に変換して第1M/G3をモータとして動作さ
せ、また、M/G・ECU17からの指令に基づき、第
1M/G3を発電機として動作させると共に、その発電
された交流電力を直流電力に変換してメインバッテリ1
2に充電させる。同様に、インバータ15は、M/G・
ECU17からの指令に基づき、メインバッテリ12の
直流電力を交流電力に変換して第2M/G5をモータと
して動作させ、また、M/G・ECU17からの指令に
基づき、第2M/G5を発電機として動作させると共
に、その発電された交流電力を直流電力に変換してメイ
ンバッテリ12に充電させる。但し、第1及び第2M/
G3,5のうちの一方がモータとして動作し、他方が発
電機として動作する場合には、モータとして動作する方
のM/Gは、メインバッテリ12のみならず発電機とし
て動作する方のM/Gからの電力によっても駆動され
る。
【0025】次に、本実施形態のハイブリッド型車両の
運転制御を以下に概説する。M/G・ECU17は、メ
インバッテリ12の充電状態及び遊星ギヤユニット7の
ギヤ比や、アクセル開度センサ及び車速センサから検出
される車両の走行負荷などに基づき、第1及び第2M/
G3,5の回転数と発生トルク(モータとして動作する
際の出力トルク及び発電機として動作する際の回生トル
ク)を決定して、第1及び第2M/G3,5をインバー
タ13,15により制御すると共に、エンジン1の目標
出力(即ち、目標トルク及び目標回転数)をこのエンジ
ン1の燃費及びエミッションが最良となるように決定
し、更に、M/G・ECU17は、エンジン1のクラン
ク軸1aに上記決定した目標トルクが負荷として加わる
ように、第1及び第2M/G3,5の出力を制御する。
一方、エンジンECU19は、エンジン1に対する燃料
噴射制御及び点火時期制御を行うと共に、回転角センサ
31からの信号に基づき検出されるエンジン1の実回転
数が、M/G・ECU17から指令される上記目標回転
数に収束するように、DCモータ25を駆動してスロッ
トル弁23の開度を制御し、これにより、エンジン1の
出力がM/G・ECU17により決定された目標出力に
制御される。そして、このようなM/G・ECU17及
びエンジンECU19の動作により、各M/G3,5及
びエンジン1は、様々な電力収支パターンで制御され
る。
【0026】例えば、メインバッテリ12が所定量以上
充電されている場合において、発進時や低速走行時等の
ように走行負荷が小さければ、エンジン1の燃料噴射を
カットして、メインバッテリ12に蓄えられた電力を使
って第2M/G5をモータとして動作させ、その出力に
より車輪11R,11Lを駆動する。また、通常走行時
のように走行負荷がある程度大きければ、エンジン1の
出力を2経路に分けて一方の経路は車輪11R,11L
を直接駆動し、他方の経路は第1M/G3を発電機とし
て駆動して電力を発生させ、その発生させた電力で第2
M/G5を駆動してこの第2M/G5によっても車輪1
1R,11Lを駆動する(但し、メインバッテリ12が
所定量以上放電して充電電力が減少している場合には、
第1M/G3の発生電力によりメインバッテリ12を充
電させる)。更に、全開加速時のように走行負荷がかな
り大きければ、エンジン1の出力によって車輪11R,
11Lを駆動すると共に、第1M/G3の発電電力のみ
ならずメインバッテリ12に蓄えられた電力も使って第
2M/G5によっても車輪11R,11Lを駆動する。
一方、減速時や制動時には、車輪11R,11Lが第2
M/G5を発電機として駆動させて回生発電を行うこと
によりメインバッテリ12を充電する。
【0027】ところで、本実施形態のハイブリッド型車
両では、M/G・ECU17は第1M/G3を用いてエ
ンジン1のクランク軸1aの制振制御を実行している。
この制振制御について説明すると、エンジン1の各気筒
は吸入行程→圧縮行程→爆発行程→排気行程によって1
サイクルを終了することから、本来、エンジン1の瞬時
回転数は、ある気筒の爆発行程直前の上死点近辺で最も
落ち込み、その後その気筒で混合気が爆発燃焼すること
によりクランク軸1aが加速されて回転数が上昇し、そ
の後回転負荷により加速度が正から負になり回転数が降
下し、再び次の気筒の爆発行程直前の上死点近辺で最も
落ち込むという周期性を有する。つまり、エンジン1の
運転中、クランク軸1aは、巨視的にはエンジンECU
19により平均回転数が目標回転数に一致するように制
御されているものの、微視的には瞬時回転数が周期的に
変化している。このような瞬時回転数が周期的に変化す
るのを抑制するのが制振制御である。具体的には、M/
G・ECU17は、第1M/G3の出力トルク指令値T
m1*をエンジン1の瞬時回転数に応じて演算し、その
出力トルク指令値Tm1*に応じた負荷を遊星ギヤユニ
ット7を介してエンジン1のクランク軸1aに加えるこ
とにより、エンジン1の瞬時回転数が周期的に変化する
ことを抑制している。
【0028】制振制御につき、更に詳しく説明すると、
M/G・ECU17はクランク軸1aが所定の微小角度
(例えば0.1°)回転するごとに図2に示す制振制御
のプログラムを割込処理にて実行する。このプログラム
が開始されると、M/G・ECU17は、ステップ(以
下Sという)101でエンジン1の目標回転数Ne*と
エンジン1の実回転数Neを取り込み、続くS102で
両回転数の差分△Ne(=Ne−Ne*)を求め、続く
S103でその差分△Neがゼロになるように第1M/
G3の出力トルク指令値を演算する。例えば、実回転数
Neが目標回転数Ne*よりも上回っていればその差分
△Neに応じて出力トルク指令値Tm1*を現在よりも
大きな値に更新し、逆に実回転数Neが目標回転数Ne
*よりも下回っていればその差分△Neに応じて出力ト
ルク指令値Tm1*を現在よりも小さな値に更新する。
そして、続くS104で出力トルク指令値Tm1*を電
機子電流値I*に換算し、S105で更に電機子電圧I
*に換算し、S106で更にこれをd軸成分である励磁
電圧とこれに直交するq軸成分であるトルク電圧に換算
し、S107で更に3相交流の相電圧指令値に変換し、
S108でこれをパルス幅変調(PWM)の演算を行っ
た上でインバータ13に送信する。
【0029】この制振制御において、エンジン1の各気
筒において混合気が正常に爆発燃焼している場合を図3
に基づいて説明する。第1M/G3への出力トルクは、
制振制御を実行していないときのエンジン1の実回転数
と同様の周期性を有する。即ち、各気筒の爆発工程直後
にはクランク軸1aに大きな正の加速度が働くが、この
ときには第1M/G3への出力トルクを大きくしてクラ
ンク軸1aに対する第1M/G3の負荷を大きくするこ
とにより、エンジン1の実回転数Neが目標回転数Ne
*と一致するように制御する。一方、各気筒の爆発行程
直前の上死点近辺では回転負荷によりクランク軸1aに
負の加速度が働くが、このときには第1M/G3への出
力トルクを小さくしてクランク軸1aに対する第1M/
G3の負荷を小さくすることにより、エンジン1の実回
転数Neが目標回転数Ne*と一致するように制御す
る。この結果、エンジン1のクランク軸1aの瞬時回転
数は概ねフラットな特性になる。
【0030】次に、本発明の特徴部分である失火検出に
ついて図4及び図5に基づいて説明する。図4は失火検
出において時間軸を横軸としたときの信号の発生状況を
表すタイムチャート、図5は失火検出のフローチャート
である。まず失火検出を説明する前に、失火検出を実行
するうえで使用するカウンタ等について説明する。クラ
ンクカウンタは、M/G・ECU17に設けられたカウ
ンタであり、所定の気筒(ここでは1番気筒)の上死点
に同期してカウントが開始され、回転角センサ31から
Ne信号が発生するごとに1つずつカウントアップさ
れ、エンジン1のクランク軸1aの2回転相当分だけN
e信号がカウントされた後、ゼロクリアされる。本実施
形態では、エンジン1は4気筒であり、回転角センサ3
1はNe信号をエンジン1のクランク軸1aが45°C
A回転するたびに発生するように設定されている。この
ため、クランクカウンタは1〜16の数値が用いられ
る。なお、説明の便宜上、クランクカウンタのカウント
値を「C」で表す。また、気筒番号は、クランクカウン
タのカウント値に基づいて算出される番号であり、本実
施形態ではエンジン1は1番気筒→3番気筒→4番気筒
→2番気筒という順に点火されるため、クランクカウン
タのカウント値Cが1〜4のとき1番気筒(#1ともい
う)、5〜8のとき3番気筒(#3ともいう)、9〜1
2のとき4番気筒(#4ともいう)、13〜16のとき
2番気筒(#2ともいう)と特定される。尚、説明の便
宜上、気筒番号の値を「i」又は「j」で表す。
【0031】さて、M/G・ECU17は、エンジンE
CU19を通じて入力される爆発行程信号(以下GO信
号という)のパルス立ち上がりエッジに同期して、図5
の失火検出プログラムを割込処理にて実行する。なお、
GO信号は混合気が爆発燃焼する直前のタイミングを表
す信号である。この割込処理がスタートすると、まずS
201において、GO信号のパルス立ち上がりエッジに
おける第1M/G3の出力トルク指令値gtrqを取り
込む(図4には4番気筒におけるGO信号によりこの割
込処理が実行された場合のgtrqを示す)。続くS2
02において、前回この割込処理を実行した際に取り込
んだ出力トルク指令値gtrqoを読み出し、これに係
数K(<1)を乗じる。ここで、前回の気筒が失火して
いた場合にはgtrqは正常時に比べてかなり小さな値
をとるはずであり、係数Kはこの点を考慮して経験的に
設定されている。例えば、各気筒で正常に混合気の爆発
燃焼が起こっているとすれば、gtrqo×Kの値が第
1M/G3の出力トルクとして取り得るはずのないほど
小さな値となるように、係数Kを設定してもよい。続く
S203において、今回の第1M/G3への出力トルク
指令値gtrqと前回の第1M/G3への出力トルク指
令値gtrqoに係数Kを乗じた値即ちgtrqo×K
とを比較し、前者が後者を上回っていれば(S203で
NO)、S207に進んでj番気筒(jは前回の気筒番
号を表す)の失火可能性の有無を表すフラグX(j)を
降ろし(つまり「0」にリセットし)、後述のS208
へと進む。一方、前者が後者以下であれば(S203で
YES)、S204に進んでフラグX(j)を立て(つ
まり「1」をセットし)、更にS205に進んでフラグ
X(j)が立てられた状態のまま所定時間が経過したか
否かを判断し、所定時間が経過していなければ(S20
5でNO)、後述のS208に進み、所定時間が経過し
ていれば(S205でYES)、S206に進んでj番
気筒の失火確定を表すフラグH(j)を立て(つまり
「1」をセットする)、S208に進む。そして、S2
08では、今回取り込んだ出力トルク指令値gtrqが
次回の割込処理のS202でgtrqoとして用いられ
るようにすべくgtrqoを更新した上で、この失火検
出を終了する。なお、S203で肯定判定されたあと直
ちにj番気筒につき失火確定を行わないのは、例えばノ
イズの発生等により一時的にS203で肯定判定される
ことを考慮したためである。このため、S205の所定
時間は、この失火検出が各気筒につき少なくとも2回実
行される時間(例えばエンジン1のクランク軸1aが少
なくとも10回転するのに要する時間)とする。
【0032】ここで、S203で肯定判定された場合
に、今回の気筒ではなく前回の気筒が失火している可能
性があると判断する理由について説明する。今回の気筒
が失火したとき、制振制御を実行していないとすればエ
ンジン1のクランク軸1aの瞬時回転数が最も落ち込む
のは次回の気筒で混合気が爆発燃焼する直前あるが、本
実施形態では制振制御を実行しているため、このタイミ
ングで第1M/G3がエンジン1のクランク軸1aへ及
ぼす負荷が最も小さくなるように出力トルク指令値Tm
1*が制御される。つまり、今回の気筒が失火したと
き、第1M/G3への出力トルク指令値Tm1*が正常
なときと比べて最も大きく変動するのは、次回の気筒で
混合気が爆発燃焼する直前(つまり次回のGO信号のパ
ルス立ち上がりエッジのタイミング)である。逆にいえ
ば、今回のGO信号のパルス立ち上がりエッジにおける
第1M/G3の出力トルク指令値gtrqが、前回のG
O信号のパルス立ち上がりエッジにおける第1M/G3
の出力トルク指令値gtrqoに比べて大きく落ち込ん
だとき、前回の気筒が失火している可能性があるといえ
る。したがって、S203で肯定判定された場合に前回
の気筒が失火している可能性があると判断しているので
ある。なお、クランクカウンタC、各フラグX,Hは、
イグニッションキーがオンされたときの初期化処理にお
いてリセットされる。
【0033】以上の制振制御及び失火検出の各プログラ
ムにつき、エンジン1の2番気筒でGO信号が発生した
ときの失火検出について、各気筒とも失火していない場
合と、4番気筒(2番気筒の1つ手前で爆発する気筒)
で失火した場合について説明する。まず、各気筒とも失
火していない場合には、図4の下から2つめのグラフに
示すように今回の出力トルク指令値gtrqと前回の出
力トルク指令値gtrqoは大きく変動しないため、S
203で否定判定され、S207に進んで前回の気筒即
ち4番気筒の失火可能性の有無を表すフラグX(4)を
降ろし、S209に進んでgtrqoを更新する。一
方、4番気筒で失火した場合には、図4の最下段のグラ
フに示すように今回の出力トルク指令値gtrqは前回
の出力トルク指令値gtrqoに比べて大きく落ち込む
ため、S203で肯定判定され、S204に進んで前回
の気筒即ち4番気筒の失火可能性の有無を表すフラグX
(4)を立てる。但し、4番気筒で失火した直後ではS
205で否定判定されるため、そのままS209でgr
tqoを更新し、この失火検出を終了する。その後、2
番気筒でGO信号が発生するごとにS203で肯定判定
されフラグX(4)が「1」の状態のまま所定時間経過
したとき、S205で肯定判定され、S206で4番気
筒の失火が確定される。
【0034】なお、失火が確定された気筒については、
例えば燃料噴射をカットし点火プラグの着火を停止する
のが、いたずらに燃料を消費せず排ガスをクリーンに保
つうえで好ましく、更に、正常な気筒に対する燃料増量
や点火進角により失火気筒の出力低下分を補ってもよ
い。また、失火が確定された気筒が複数存在する場合に
は、ハイブリッド型車両としてバッテリに電力の余裕が
ないならば、失火確定気筒に対して燃料噴射をカットし
点火を停止させ、更に失火確定気筒の爆発タイミングで
はエンジン1と第1M/G3とを切り離して第1M/G
3の出力トルクがゼロとなるように制御して余分な電力
消費を防止し、一方、ハイブリッド型車両としてバッテ
リに電力の余裕があるならば、全気筒の燃料噴射をカッ
トし点火を停止させるようにしてもよい。
【0035】ここで、本実施形態の構成要素と本発明の
構成要素を対比すると、本実施形態のエンジン1が本発
明の多気筒内燃機関に相当し、エンジンECU19が内
燃機関制御手段に相当し、M/G・ECU17が発電機
制御手段(又はモータ制御手段)及び失火判別手段に相
当する。また、図2の制振制御処理が発電機制御手段
(又はモータ制御手段)の処理に相当し、図5の失火検
出処理が失火判別手段の処理に相当する。
【0036】以上詳述した本実施形態によれば、以下の
効果が得られる。 エンジン1の実回転数が爆発タイミングに同期して周
期的に変化することのないように制振制御を実行するハ
イブリッド型車両において、制振制御を実行する際の第
1M/G3の出力トルク(クランク軸1aに及ぼす負荷
に関する信号)に基づいて失火を検出するため、失火を
精度よく検出できる。
【0037】本実施形態では、エンジン1の各気筒の
1サイクルのうちの特定タイミングごとに失火検出プロ
グラムを実行し、各気筒ごとに失火を検出する。この場
合、各気筒の失火を判別する時期が統一されているた
め、今回の出力トルク指令値gtrqと前回の出力トル
ク指令値gtrqoとを比較してその比較結果に基づい
て失火の判定をすることができ、失火検出の精度が向上
する。特に、特定タイミングとして各気筒の混合気が爆
発燃焼する直前のタイミングを選択しているが、このタ
イミングにおいて制振制御実行時の第1M/G3の出力
トルクが失火時と正常時で最も大きく変動するため、失
火検出の精度が向上する。
【0038】[第2実施形態]第2実施形態は、失火検
出プログラムが異なる以外は、第1実施形態と同様であ
るため、ここでは第1実施形態と同じ構成、作用につい
ては説明を省略する。第2実施形態の失火検出プログラ
ムは、点火順序(具体的にはエンジン1では1番気筒→
3番気筒→4番気筒→2番気筒→1番気筒……という点
火順序)が連続する2つの気筒(例えば1番気筒と3番
気筒、3番気筒と4番気筒、……)が共に失火した場合
を考慮したものである。この失火検出について図6及び
図7に基づいて説明する。図6は失火検出において時間
軸を横軸としたときの信号の発生状況を表すタイムチャ
ート、図7は失火検出のフローチャートである。なお、
クランクカウンタ、気筒番号については第1実施形態で
説明したとおりである。
【0039】さて、M/G・ECU17は、エンジンE
CU19を通じて入力される爆発行程信号(以下GO信
号という)のパルス立ち上がりエッジに同期して、図7
の失火検出プログラムを割込処理にて実行する。この割
込処理がスタートすると、まずS300において、前々
回の気筒は失火が確定しているかどうかをフラグHの状
態から判断し、前々回の気筒が失火確定していなければ
(S300でNO)、S310に進み、通常の失火検出
ルーチンを実行する。ここで、通常の失火検出ルーチン
とは図5のS201からS208までの処理であり、こ
れらの処理は既に第1実施形態で説明したとおりであ
る。一方、前々回の気筒が失火確定していなければ(S
300でYES)、S301に進み、GO信号のパルス
立ち上がりエッジにおける第1M/G3の出力トルク指
令値gtrqを取り込む。続くS302において、前回
この割込処理を実行した際に取り込んだ出力トルク指令
値gtrqoを読み出し、これに係数L(>1)を乗じ
る。ここで、前々回の気筒が失火していた場合にはgt
rqoは正常時に比べてかなり小さな値となっているこ
とから、もし前回の気筒が失火していなければgtrq
はgtrqoに比べて相当大きな値になるはずであり、
係数Lはこの点を考慮して経験的に設定されている。続
くS303において、今回の第1M/G3への出力トル
ク指令値gtrqと前回の第1M/G3への出力トルク
指令値gtrqoに係数Lを乗じた値とを比較し、前者
が後者を上回っていれば(S303でNO)、S307
に進んでj番気筒(jは前回の気筒番号を表す)の失火
可能性の有無を表すフラグX(j)を降ろし(つまり
「0」にリセットし)、後述のS308へと進む。一
方、前者が後者以下であれば(S303でYES)、S
304に進んでフラグX(j)を立て(つまり「1」を
セットし)、更にS305に進んでフラグX(j)が立
てられた状態のまま所定時間が経過したか否かを判断
し、所定時間が経過していなければ(S305でN
O)、後述のS308に進み、所定時間が経過していれ
ば(S305でYES)、S306に進んでj番気筒の
失火確定を表すフラグH(j)を立て(つまり「1」を
セットする)、S308に進む。そして、S308で
は、今回取り込んだ出力トルク指令値gtrqが次回の
この割込処理のS302でgtrqoとして用いられる
ようにすべくgtrqoを更新した上で、この失火検出
を終了する。以上の制振制御及び失火検出の各プログラ
ムにつき、エンジン1の1番気筒でGO信号が発生した
ときの失火検出につき、4番気筒のみが失火している場
合(図6の点線参照)と、4番気筒に続いて2番気筒も
失火している場合(図6の実線参照)について説明す
る。前者の場合、1番気筒のGO信号の立ち上がりエッ
ジに同期して割込処理が開始されると、S300で前々
回の気筒である4番気筒が失火確定しているためS30
1以降に進み、S303で2番気筒は正常なためgtr
qはgtrqo×Lよりも大きくなり否定判定され、そ
の後S307に進み、前回の気筒である2番気筒は失火
可能性なしと判断される。一方、後者の場合、同じく1
番気筒のGO信号の立ち上がりエッジに同期して割込処
理が開始されると、S300で前々回の気筒である4番
気筒が失火確定しているためS301以降に進み、S3
03で2番気筒は失火しているためgtrqはgtrq
oと同等かそれ以下のため肯定判定され、その後S30
4で2番気筒は失火可能性ありと判断される。
【0040】本実施形態によれば、第1実施形態と同様
の効果が得られるほか、更に、点火順序が連続する2つ
の気筒が失火した場合でも、それぞれの失火を精度よく
検出できる。なお、本発明は、上記実施形態に何ら限定
されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り
種々の形態を採り得ることはいうまでもない。例えば、
上記各実施形態では、GO信号を点火信号に同期させて
発生させてもよいが、点火信号に加えてエンジン1の出
力に影響を与えるパラメータ、例えば燃料噴射量や燃料
噴射時間や着火遅れや処理遅れ時間などのパラメータを
加味した上で発生させるのが好ましい。これは、第1M
/G3の出力トルクにつき正常時と失火時で最も差が顕
著になるのは爆発タイミングの直前であるが、点火信号
は必ずしも爆発タイミングと一致しないため、GO信号
を点火信号と同期させて発生させるよりもその他のパラ
メータを加味してできる限り爆発タイミングに近づけて
発生させるのが好ましいのである。
【0041】また、上記各実施形態では、第1M/G3
の出力トルク指令値Tm1*に基づいて失火検出を行っ
たが、出力トルク指令値Tm1*の代わりに、出力トル
ク指令値Tm1*から演算される目標電機子電流I*、
あるいは、目標電機子電流I*から演算される目標電機
子電圧V*、あるいは、第1M/G3からM/G・EC
U17に入力される実電流値I、のいずれかに基づいて
失火検出を行ってもよい。特に、永久磁石型のモータ/
ジェネレータにおいてはd軸及びこれに直交するq軸の
電流(d軸電流=励磁電流,q軸電流=トルク電流)
が、トルクを制御する上で本質的な量であることから、
このような2軸の電流値、あるいはこれを電圧に変換し
た電圧値に基づいて失火検出を行ってもよい。特に、実
際のトルクはこの2軸の電流値あるいは電圧値のうちト
ルク電流値又はトルク電圧値のみに依存することから、
トルク電流値又はトルク電圧値に基づいて失火検出を行
うことが好ましい。なお、図8は永久磁石型のモータ/
ジェネレータの制御量の関係を表す周知のd−q座標の
グラフであり、図中、IqR,IdRはモータ/ジェネ
レータの抵抗の電圧降下分を2軸に座標変換したもので
あり、IqXq,IdXdはインピーダンスの電圧降下
分を2軸に座標変換したものである。
【0042】更に、上記第1実施形態の失火検出プログ
ラムのS202の代わりに、前回この割込処理を実行し
た際に取り込んだ出力トルク指令値gtrqoを読み出
し、今回と前回の出力トルク指令値の差分△gtrq
(=gtrq−gtrqo)の絶対値を求める処理を行
い、その後、S203の代わりに、この差分△gtrq
の絶対値と予め定めた所定値Sとを比較し、前者が後者
を越えるならば前回の気筒が失火している可能性がある
と判断してもよい。ここで、所定値Sは、各気筒が正常
な場合には差分△gtrqの絶対値が決して越えること
のない値であるが、前回の気筒が失火している場合には
差分△gtrqの絶対値が必ず越える値となるように設
定する。また、S205の代わりに、フラグX(j)が
所定回数連続して立てられた場合にS206に進んで前
回の気筒jの失火確定を行ってもよい。
【0043】同様に、上記第2実施形態の失火検出プロ
グラムのS303の代わりに、今回の出力トルク指令値
gtrqと前回の出力トルク指令値gtrqoの差分△
gtrqの絶対値を求め、この差分△gtrqの絶対値
と予め定めた所定値Tとを比較し、前者が後者を下回る
ならば前回の気筒が失火している可能性があると判断し
てもよい。ここで、所定値Tは、前々回の気筒が失火し
ているものの前回の気筒が正常な場合には差分△gtr
qの絶対値が必ず越える値であるが、前々回の気筒に加
えて前回の気筒も失火している場合には差分△gtrq
の絶対値が決して越えない値となるように設定する。ま
た、S306の代わりに、フラグX(j)が所定回数連
続して立てられた場合にS307に進んで前回の気筒j
の失火確定を行ってもよい。
【0044】更にまた、第1実施形態において、点火順
序が連続する2つの気筒が失火したときにそれぞれの失
火を精度よく検出することを目的として、失火検出を次
のようにしてもよい。即ち、S206で前回の気筒つま
りj番気筒の失火確定を表すフラグH(j)を立てた
後、S208に進まず直ちに失火検出を終了するように
してもよい。この場合、gtrqoは更新されない。こ
れは、gtrqoをgtrqに更新してしまうと、次回
のこの割込処理が実行される際、S203において今回
の気筒の失火可能性が判断されるが、その際gtrqo
は正常時に比べてかなり小さな数値となっており、これ
に係数K(<1)を乗じた値即ちgtrqo×Kは一層
小さな数値となるため、仮に今回の気筒も連続して失火
していた場合にS203で肯定判定されず否定判定され
てしまう(つまり失火可能性なしと判定されてしまう)
おそれがあるからである。これにより点火順序が連続す
る2つの気筒が失火したときでもそれぞれの失火を精度
よく検出できる。
【0045】そして、上記各実施形態では第1M/G3
を用いて制振制御を行ったが、第2M/G5を用いて制
振制御を行い、失火検出において第2M/G5の出力ト
ルク指令値等に基づいて失火検出を行ってもよい。この
場合も上記と同様の効果が得られる。そしてまた、上記
各実施形態は、シリーズ型やパラレル型のハイブリッド
型車両などにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のハイブリッド型車両を表わす
概略構成図である。
【図2】 第1実施形態の制振制御のフローチャートで
ある。
【図3】 第1実施形態の制振制御実行時の第1M/G
の出力トルク及びエンジン実回転数の様子を表す説明図
である。
【図4】 第1実施形態の失火検出において時間軸を横
軸としたときの信号の発生状況を表すタイムチャートで
ある。
【図5】 第1実施形態の失火検出のフローチャートで
ある。
【図6】 第2実施形態の失火検出において時間軸を横
軸としたときの信号の発生状況を表すタイムチャートで
ある。
【図7】 第2実施形態の失火検出のフローチャートで
ある。
【図8】 永久磁石型のモータ/ジェネレータの制御量
の関係を表す周知のd−q座標のグラフである。
【図9】 従来知られているハイブリッド型車両の構成
を表す説明図である。
【符号の説明】
1・・・エンジン、1a・・・クランク軸、3・・・第
1モータ/ジェネレータ、3a・・・出力軸、3b・・
・ロータ、3c・・・ステータ、5・・・第2モータ/
ジェネレータ、5a・・・出力軸、5b・・・ロータ、
5c・・・ステータ、7・・・遊星ギヤユニット、9・
・・ディファレンシャルギヤ、11R,11L・・・車
輪、12・・・メインバッテリ、13,15・・・イン
バータ、17・・・モータ/ジェネレータ制御装置、1
9・・・エンジン制御装置、21・・・吸気経路、23
・・・スロットル弁、25・・・DCモータ、27・・
・DC/DCコンバータ、29・・・サブバッテリ、3
1・・・回転角センサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B60L 11/14 B60K 9/00 Z F02D 29/02 Fターム(参考) 3G084 AA00 BA02 BA03 BA13 DA27 DA28 EA05 EA07 EA11 EB03 EB06 EB22 EC02 EC03 FA24 FA32 FA33 FA34 FA38 3G093 AA07 BA04 DA01 DA07 DB00 DB28 EA02 EA03 EB09 EC02 FA02 FA11 FA12 5H115 PG04 PI15 PI16 PI24 PI29 PO17 PU10 PU24 PU28 PV10 QE10 QI04 QN02 QN12 RB08 RB26 RE02 RE05 RE06 RE20 SE04 SE05 TB01 TE03 TE06 TE08 TO23 TO30

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多気筒内燃機関と、この多気筒内燃機関
    の出力軸に接続されて該多気筒内燃機関の動力を電力に
    変換する発電機とを備えたハイブリッド型車両におい
    て、 前記多気筒内燃機関の運転を制御する内燃機関制御手段
    と、 前記内燃機関制御手段により運転が制御されている前記
    多気筒内燃機関の出力軸に対する前記発電機の負荷につ
    き、前記多気筒内燃機関の瞬時回転数が各気筒の爆発タ
    イミングに同期して周期的に変動するのを抑制するよう
    に制御する発電機制御手段と、 前記発電機制御手段から前記発電機に出力する発電機負
    荷に関する信号、又は、前記発電機から検出した発電機
    負荷に関する信号に基づいて、前記多気筒内燃機関の失
    火を判別する失火判別手段とを備えたことを特徴とする
    ハイブリッド型車両の多気筒内燃機関失火検出装置。
  2. 【請求項2】 多気筒内燃機関と、この多気筒内燃機関
    の出力軸に接続されて該多気筒内燃機関の動力を調整す
    るモータとを備えたハイブリッド型車両において、 前記多気筒内燃機関の運転を制御する内燃機関制御手段
    と、 前記内燃機関制御手段により運転が制御されている前記
    多気筒内燃機関の出力軸に対する前記モータの負荷につ
    き、前記多気筒内燃機関の瞬時回転数が各気筒の爆発タ
    イミングに同期して周期的に変動するのを抑制するよう
    に制御するモータ制御手段と、 前記モータ制御手段から前記モータに出力するモータ負
    荷に関する信号、又は、前記モータから検出したモータ
    負荷に関する信号に基づいて、前記多気筒内燃機関の失
    火を判別する失火判別手段とを備えたことを特徴とする
    ハイブリッド型車両の多気筒内燃機関失火検出装置。
  3. 【請求項3】 前記失火判別手段は、前記多気筒内燃機
    関の各気筒の1サイクルのうちの特定タイミングごとに
    前記多気筒内燃機関の失火を判別する請求項1又は2記
    載のハイブリッド型車両の多気筒内燃機関失火検出装
    置。
  4. 【請求項4】 前記特定タイミングは、前記多気筒内燃
    機関の各気筒の混合気に点火される直前のタイミングで
    ある請求項3記載のハイブリッド型車両の多気筒内燃機
    関失火検出装置。
  5. 【請求項5】 前記発電機又は前記モータは永久磁石型
    であり、前記失火判別手段は前記信号として電流又は電
    圧をd軸成分である励磁成分とこれに直交するq軸成分
    であるトルク成分とに分けたときのトルク成分を用いる
    請求項1〜4のいずれかに記載のハイブリッド型車両の
    多気筒内燃機関失火検出装置。
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