JP4116195B2 - 板状洗剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状洗剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常使用されている洗剤の形態として、粉末洗剤や液体洗剤が挙げられ、特に現在では粉末洗剤が多く利用されている。しかし、粉末洗剤は、使用量を一定に測ることが難しく、また使用時に粉が飛び散る場合があり、使用者に不快感を与えるおそれがあった。この問題を解決するため、従来より粉末洗剤を錠剤洗剤又は水溶性基体に入れたワンパック洗剤の開発が進められた。錠剤洗剤としては、米国特許第3231506 号等が知られている。これら錠剤洗剤は、粉末洗剤と比べて、使用時の粉の飛び散りもなく使いやすい反面、溶解性の面で充分ではなく、また、溶解性を満足させるために錠剤硬度を低くすると、使用時のハンドリング性も充分ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶解性が著しく向上し、輸送時に形状を維持できる板状洗剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕洗剤用粒子群及び常温(20℃程度)において固体または粉末状で、融点40〜100℃の熱溶融性の水溶性結合剤を含んでなる粉末洗剤を水溶性基体で分包し、該粉末洗剤を含む層の重量の5%以上、90%以下が固形化されてなる板状洗剤、並びに
〔2〕洗剤用粒子群及び常温(20℃程度)において固体または粉末状で、融点40〜100℃の熱溶融性の水溶性結合剤を含んでなる粉末洗剤を水溶性基体で分包し、該粉末洗剤を含む層の重量の5%以上、90%以下が固形化する工程を有する板状洗剤の製造方法
に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の板状洗剤は、粉末洗剤を含む層(以下、洗剤層という)の表層部の少なくとも一部が固形化されている事を特徴とする。本発明において、該洗剤層の表層部の少なくとも一部を固形化することによって、溶解性を維持又は向上させた板状洗剤を得ることができる。なお、本発明において、「固形化」とは、粉末もしくは顆粒洗剤の成分の一部が熱及び/又は圧力によって凝集、もしくは結合して固形化物になることをいう。
【0006】
前記洗剤層の表層部の固形化は、その固形化率により評価することができる。該固形化率は、優れた溶解性を得る点から、洗剤層重量の好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下、特に好ましくは30%以下が望ましく、形態を維持する上で、固形化分が好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上が望ましい。
【0007】
固形化率は、以下のようにして測定することができる。即ち、板状洗剤の水溶性基体の一部を切断し、洗剤層を篩(JIS Z 8801規定の目開き4760μm)上に静かにあけ、通過しなかった固形物の重量を計り、試験後の試料に対する固形化率を以下の式に基づいて求める。
【0008】
固形化率(%)=〔通過しなかった粉末の重量(g)/試料全体の重量(g)〕×100
【0009】
また、本発明の板状洗剤は、以下の物性を有することが好ましい。
板状洗剤の溶解率は、50%以上が好ましく、75%以上がより好ましい。なお、溶解率は以下のようにして測定できる。
板状洗剤10gを5℃、30Lの水道水を入れた洗濯機(東芝(株)製銀河(VH360S1))に投入する。「強回転」で5分間攪拌後、脱水及び排水を行う。500μmの篩いを装着した排水口及び洗濯機中の洗剤残渣を回収して室温風乾後にその重量を測定して、下式に従い溶解率とした。
【0010】
溶解率(%)=〔(投入前の重量−残渣重量)/(投入前の重量)〕×100
【0011】
板状洗剤の強度は、10gf以上が好ましく、35gf以上がより好ましい。なお、該強度は以下のようにして測定することができる。
図1(イ)〜(ハ)は、強度の測定方法を示す概略図でありAは歯形押棒、Bは板状洗剤、C,C’は支持体、D,D’は支点である。本測定には、株式会社レオテック製FUDOH RHEO METERと、その専用アダプターである歯形押棒A、(本測定の歯形押棒A)と、折芯JIS用(折試験用)アダプター(本測定の支持体C,C’)とを用いる。長さ方向の中心部の位置になるように静置する〔図1(ロ)〕。次いで、板状洗剤Bの幅方向に対して歯形押し棒Aを支持体上のL/2の位置で2cm/分の速度で降下させて荷重をかけ〔図1(ハ)〕、歯形押棒Aにかかった最大の荷重を測定し、これを強度(gf)とする。
【0012】
また、板状洗剤の厚さは、溶解性、可撓性、使い易さの点で、好ましくは1cm以下、より好ましくは0.1〜0.7cm、より好ましくは0.2〜0.5cm、更に好ましくは0.25〜0.45cmであり、また、その面積密度は、好ましくは0.005〜1.8g/cm2 、より好ましくは0.02〜0.7g/cm2 である。
【0013】
次に、板状洗剤の製造方法について述べる。板状洗剤の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、粉末洗剤を水溶性基体で分包し、該粉末洗剤を含む層の表層部の少なくとも一部を固形化する方法等が挙げられる。具体的には、水溶性基体に、粉末洗剤を予め充填後、まずシート形態に成形後、この成形体を圧力若しくは熱等によって固形化するか、又は洗浄剤組成物を型枠に予め充填後、まず、圧密若しくは加熱成形を行い、次いで水溶性基体で外装をシールすることによって製造することができる。この際、あまり荷重をかけると洗剤が変形をおこし、該洗剤層が全て固形化してしまうため、溶解性が著しく損なわれることがあるので、洗剤が変形しない程度の加重で成形する。ここで圧密成形する際のプレス圧は1〜50kgf/cm2 が好ましく、2〜10kgf/cm2 がより好ましい。また、プレス時間は0.1〜60秒程度が好ましい。
【0014】
また、予め粉末洗剤に例えば熱溶融性の水溶性結合剤を配合し、成形する際に、表層部分のみを加熱して、表層部のみを固形化することにより、形態維持に必要な充分な硬度と溶解性を両立させることができる。ここで、加熱温度としては、60〜200℃が好ましく、80〜150℃がより好ましい。この加熱時間としては、0.1〜60秒程度が好ましい。
また、粉末洗剤を水溶性基体で分包する場合には、熱溶融を利用して基体同士を溶融固化させて接着する。その際、熱伝導体やインパルスシーラー等を用いることが出来る。また、特開昭52−98782号公報、特開平9−272504号公報記載の方法も利用できる。
【0015】
また、板状洗剤は、水溶性基体でヒートシールし、また、破断し易くする為にミシン目処理を施したりすることができる。
【0016】
また、本発明の板状洗剤は、洗浄剤組成物を含む層と該層をシールする水溶性基体とからなるものである。
本発明において、洗剤は、洗剤用粒子群及び水溶性結合剤を含有し、さらに必要に応じて別途添加された洗剤成分(例えば、ビルダー顆粒、蛍光染料、酵素、香料、消泡剤、漂白剤、漂白活性化剤等)を含有する洗剤を意味する。
【0017】
洗剤用粒子群について説明する。洗剤用粒子群には、水溶性又は水崩壊性粒子群等が含有され、中でも、平均粒径60〜2000μmの水溶性又は水崩壊性粒子が好ましい。
前記平均粒径は、JIS Z 8801の標準篩から求められ、その値は、好ましくは60〜2000μm、より好ましくは88〜1410μm、特に好ましくは125〜1000μmである。該平均粒径は、溶解性向上の点から、60μm以上が好ましく、また、洗濯終了後に衣類や洗濯機内に残留しない点から、2000μm以下が好ましい。ここで、粒径の下限値未満の粒子群が全粒子群中の5重量%未満、上限値を越える粒子群が全粒子群中の5重量%未満であることが好ましい。
【0018】
水溶性又は水崩壊性粒子群の配合量は、洗剤を含有する層中に、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%である。該配合量は、洗剤の溶解性の点から、5重量%以上が好ましい。
【0019】
また、前記水溶性又は水崩壊性粒子群としては、界面活性剤担持用ベース顆粒群(以下、ベース顆粒群という)及び/又はこれに界面活性剤を担持させた粒子群(以下、洗剤粒子群)であることが好ましい。ここで、ベース顆粒群と洗剤粒子群とを総称して粒子群という。
【0020】
本発明において、界面活性剤担持用ベース顆粒(以下、ベース顆粒という)とは、主に水不溶性無機物、水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する粒子であって界面活性剤を担持させることのできる顆粒をいい、ベース顆粒群とはその集合体を意味する。
【0021】
水不溶性無機物としては、1次粒子の平均粒径が0.1〜20μmのものが好ましく、例えば、結晶性又は非晶質のアルミノ珪酸塩、二酸化珪素、水和珪酸化合物、パーライト、ベントナイト等の粘土化合物等が挙げられ、結晶性又は非晶質のアルミノ珪酸塩、二酸化珪素及び水和珪酸化合物が好適であり、中でも結晶性アルミノ珪酸塩が好ましい。
【0022】
水溶性ポリマーとしては、カルボン酸系ポリマー、カルボキシメチルセルロース、可溶性澱粉、糖類等が挙げられるが、中でもカルボン酸系ポリマーが好ましい。カルボン酸系ポリマーの中でアクリル酸−マレイン酸コポリマーの塩とポリアクリル酸塩(Na、K、NH4 等)が特に優れている。分子量は千〜8万が好ましい。
上記カルボン酸系ポリマー以外に、ポリグリオキシル酸塩等のポリマー、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体並びにポリアスパラギン酸塩等のアミノカルボン酸系のポリマーも使用することができる。
【0023】
水溶性塩類としては、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、亜硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、ハロゲン化物等の水溶性の無機塩類や、クエン酸塩やフマル酸塩等の低分子量の水溶性有機酸塩類を挙げることが出来る。特に炭酸塩、硫酸塩及び亜硫酸塩が好ましい。該無機塩類はベース顆粒群調製後さらに水との反応により水和熱、溶解熱を生じることで粒子中の気泡を熱膨張させ、粒子の自己崩壊を促進することから好ましい。
ここで、炭酸ナトリウムは洗濯液中で好適なpH緩衝領域を示すアルカリ剤として好ましい。炭酸ナトリウム以外のアルカリ剤としては、非晶質及び結晶質の珪酸塩がある。
【0024】
ベース顆粒の組成としては、水不溶性無機物は20〜90重量%が好ましく、30〜75重量%がより好ましく、40〜70重量%が最も好ましい。水溶性ポリマーは2〜30重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましく、5〜20重量%が最も好ましい。水溶性塩類は5〜78重量%が好ましく、10〜70重量%がより好ましく、10〜67重量%がさらに好ましく、20〜60重量%が特に好ましく、20〜55重量%が最も好ましい。これらの範囲内であれば、ベース顆粒はその表面近傍が水溶性成分で被覆された構造をとる上で好適であり、粒子表面の被覆層が十分に形成され、粒子強度が十分となる。また、洗剤の溶解性の点でも好ましい。
【0025】
また、ベース顆粒中に、前記3成分以外に、界面活性剤や、洗剤に好適な蛍光染料、顔料、染料等の補助成分を含んでも構わない。
中でも界面活性剤は、所望の粒子強度、嵩密度を得るためには本質的にはベース顆粒の必須成分として必要ではないが、後述のスラリー中へ添加することにより乾燥効率の向上のために添加してもよい。添加量としてはスラリー中に10重量%以下が好ましく、1〜10重量%がより好ましく、2〜8重量%が最も好ましい。なお、これらの配合量はスラリーの固形分を基準にした値である。
【0026】
ベース顆粒の界面活性剤の担持能は、高ければ高いほど多量の界面活性剤を添加しても優れた高速溶解性が発現されるため、好適である。ベース顆粒の担持能を向上させる方法としては、例えば、水不溶性無機物として担持能(吸油能)の大きい基剤を用いることが挙げられる。好適な基剤は、例えば、A型ゼオライト(例えば、商品名:トヨビルダー;東ソー(株)社製 JIS K 5101法による吸油能の値は40〜50mL/100gである)、P型ゼオライト(例えば商品名Doucil A24やZSE064等;Crosfield社製;吸油能60〜150mL/100g)やX型ゼオライト(例えば商品名:WessalithXD;Degussa社製;吸油能80〜100mL/100g)が挙げられる。また、非晶質シリカや非晶質アルミノシリケート等も用いることができる。例えば、特開平5−5100号公報第4欄第34行〜第6欄第16行(特に、第4欄第43〜49行の吸油担体)や特開平6−179899号公報第12欄第12行〜第13欄第17行、第17欄第34行〜第19欄第17行に記載のものが挙げられる。
【0027】
また、ベース顆粒は、その内部よりも表面近傍に水溶性ポリマー及び/又は水溶性塩類が多く存在する偏在性構造(以下、ベース顆粒の偏在性という)を有することが好ましい。
本発明において、このように表面近傍に水溶性物質が多く偏在したベース顆粒群は、水中で表面近傍の水溶性成分がより早く溶解して、該粒子群の粒子表面からの崩壊が促進される溶解挙動を示すことにより、高速溶解性を発現することができる。
【0028】
ベース顆粒の偏在性の確認方法として、例えばフーリエ変換赤外分光法(FT−IR)や光音響分光法(PAS)を併用する方法(「FT−IR/PAS」と略記する)を用いることができる。この方法はAPPLIED SPECTROSCOPY vol.47 1311−1316(1993)に記載のように、試料の表面から深さ方向における物質の分布状態を確認することができる。
【0029】
本発明に用いられるベース顆粒の構造を特定するための測定方法を以下に例示する。
2種類の状態の異なるベース顆粒をセルに充填してFT−IR/PAS測定を行い、それを比較することによりベース顆粒の構造を特定することができる。つまり、1つはベース顆粒を目的の構造を保持した状態でFT−IR/PAS測定を行い、比較試料はメノウ乳鉢等で十分に粉砕して均一な状態にしたベース顆粒のFT−IR/PAS測定を行う。FT−IR/PASの測定は例えばBio−Rad Laboratories社製FTS−60A/896型赤外分光光度計を用い、PASセルとしてMTEC社製300型光音響検出器を使用して行う。測定条件は分解能8cm-1、スキャン速度0.63cm/s、積算128回とする。この測定条件はベース顆粒の表面から約10μmまでの情報が含まれている。ベース顆粒のPASスペクトルにおいて、例えば、炭酸ナトリウム及び硫酸ナトリウム、ゼオライト、ポリアクリル酸ナトリウムの特性ピークをそれぞれ1434cm-1(CO3 2-の縮重伸縮振動)、1149cm-1(SO4 2-の縮重伸縮振動)、1009cm-1(Si−O−Siの逆対称伸縮振動)、及び1576cm-1(CO2 - の逆対称伸縮振動)として、そのピークの面積強度を読み取る。ベース顆粒の構造を保持した状態で測定した場合と粉砕して均一な状態で測定した場合のそれぞれについて求めたゼオライトの特性ピークに対する炭酸ナトリウムや硫酸ナトリウム等の水溶性塩類の特性ピークの相対面積強度及びゼオライトの特性ピークに対する水溶性ポリマーの特性ピークの相対面積強度を比較することによってベース顆粒の構造上の特徴を特定することができる。具体的には、内部よりも表面近傍に水溶性ポリマー及び/又は水溶性塩類を多く含有すると共に表面近傍よりも内部に水不溶性無機物を多く含有するという偏在性を証明することが可能である。
該測定法によれば、ベース顆粒に関しては、成分の偏在性構造を保持した状態で測定した場合のゼオライトの特性ピークに対する相対面積強度は、粉砕して均一な状態として測定した場合のゼオライトの特性ピークに対する相対面積強度に対してその比を求めると、水溶性塩類に関しては1.1以上、好ましくは1.3以上であり、水溶性ポリマーについては1.3以上、好ましくは1.5以上である。これらの相対面積強度を有する場合、即ち、表面近傍に水溶性塩類及び水溶性ポリマーの含有量が相対的に多く、より内部では水不溶性無機物の含有量が相対的に多い場合、偏在性構造を有すると言える。
【0030】
その他のベース顆粒の偏在性の確認方法として、エネルギー分散型X線分光法(EDS)や電子プローブ微小部分析法(EPMA)を用いることができる。これらの解析方法は、試料面を電子線で走査することによって元素の2次元分布を解析することができる。
【0031】
また、ベース顆粒は、単核性粒子でも、多核性粒子であってもよいが、単核性粒子であることが好ましい。ここで、「単核性粒子」とは、ベース顆粒に界面活性剤が担持された粒子であって、1個の粒子の中に1個のベース顆粒を核として有する粒子をいう。また、多核性粒子とは、前述の単核性粒子を構成するベース顆粒を凝集させたものでも、又は水溶性塩類、例えば炭酸ナトリウム等を核として凝集させて構成したものでもよく、所定の大きさの気泡が発生し得るものがより好ましい。
【0032】
単核性を表現する因子として、次式で定義される粒子成長度を用いることができ、好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.3以下である。
粒子成長度=(最終の洗剤粒子群の平均粒径)/(ベース顆粒群の平均粒径)
尚、最終の洗剤粒子群とは、ベース顆粒群に界面活性剤を担持させた後の洗剤粒子群、又は該粒子群に表面改質処理を施した洗剤粒子群のいずれかをいう。
【0033】
また、単核性は下記(a)法、(b)法、(c)法のうち少なくとも一つの方法により確認できる。
(a)法:粒子群の平均粒径付近から任意にサンプリングした粒子を切断し、粒子内におけるベース顆粒の有無及びその個数を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する方法。
(b)法:ベース顆粒中の水溶性ポリマーを溶解しない有機溶媒(例えば、ベース顆粒中に、ポリアクリル酸塩、陰イオン性界面活性剤(LAS)や非イオン性界面活性剤が存在する場合、エタノールを好適に用いることができる)により、粒子中の有機溶媒可溶分を抽出し、その後の有機溶媒不溶分をSEM観察によって観察する方法。
(c)法:樹脂で包理した洗剤粒子の切断面の2次元の元素分布をEDSやEPMAによって検出する方法。
【0034】
本発明において、ベース顆粒群に担持させる界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤等を挙げられるが、好ましくは陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤である。
【0035】
陰イオン界面活性剤としては、アルコールの硫酸エステル塩、アルコールのアルコキシル化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩若しくはこのエステル又は脂肪酸塩等があげられる。特に、アルキル鎖の炭素数が10〜14の、より好ましくは12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が望ましい。
【0036】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー及びポリオキシアルキレンアルキロールアミド等が挙げられる。
特に、炭素数10〜18のアルコールにアルキレンオキシドを4〜20モル付加した〔HLB値(グリフィン法で算出)が10.5〜15.0、好ましくは11.0〜14.5であるような〕ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0037】
該界面活性剤の担持量は、洗浄力を発揮させる点から、ベース顆粒群100重量部に対して5〜80重量部が好ましく、5〜60重量部がより好ましく、10〜60重量部がより好ましく、20〜60重量部が特に好ましい。ここで、陰イオン界面活性剤の担持量は1〜60重量部が好ましく、1〜50重量部がより好ましく、3〜40重量部が特に好ましい。非イオン界面活性剤の担持量は1〜45重量部が好ましく、1〜35重量部がより好ましく、4〜25重量部が特に好ましい。ここでいう界面活性剤の担持量とは、後述するスラリー調製時に界面活性剤が添加される場合、その界面活性剤の添加量を含まないものである。
【0038】
また、このようなベース顆粒及び/又はこれに界面活性剤を担持させた粒子は、水に溶解する過程において粒子径の1/10以上の径の気泡を粒子内部から放出する特性を有することが好ましい(以下、この特性を有する粒子を気泡放出洗剤粒子という)。
【0039】
気泡放出洗剤粒子は、水に溶解する過程において、まず、粒子内部に少量の水が浸入すると粒子内部から所定の大きさの気泡が放出され、次いで、該粒子内部に大量の水が浸入することによって粒子自体が崩壊(粒子の自己崩壊)し、表面近傍からの溶解のみならず、粒子内部からの溶解及び崩壊が起こるため、発生する殆どの気泡の大きさは洗剤粒子径の1/10未満に過ぎず、粒子自体を自己崩壊させるには至らないような従来のコンパクト洗剤粒子とは著しく異なり、優れた高速溶解性が発現される。
【0040】
このような溶解挙動は、気泡放出洗剤粒子を水に溶解した場合に、該粒子の粒子径の1/10以上、好ましくは1/5以上、より好ましくは1/4以上、さらに好ましくは1/3以上の径の気泡を放出する現象として、デジタルマイクロスコープや光学顕微鏡等で確認することができる。尚、気泡放出洗剤粒子は、水に静置状態にて溶解させた場合、120秒以内に所定の大きさの気泡が発生することが好ましく、60秒以内がより好ましく、45秒以内がさらに好ましい。
【0041】
また、気泡径は、以下のように測定することができる。即ち、ガラスシャーレ(内径50mm)の底面中心に両面テープを装着する。ベース顆粒群又は洗剤粒子群を両面テープ上に付着させる。先ずデジタルマイクロスコープを用いて得られる画像から個々の該粒子についての円相当径(αμm)を測定する。デジタルマイクロスコープとしては例えばKEYENCE社製「VH−6300」を用いることができる。
続いてガラスシャーレに20℃のイオン交換水を5mL注入し、測定対象の個々の粒子についての溶解挙動を観察する。粒子内部から気泡が放出される場合、気泡が粒子から離脱する瞬間の画像から気泡の円相当径(βμm)を測定する。尚、粒子内部から複数個の気泡が放出される場合にはそれぞれの気泡について測定した円相当径の最大値をβμmとする。そして粒子径に対する気泡径の比(β/α)をそれぞれの粒子について求める。
【0042】
好ましい気泡放出洗剤粒子では、該粒子の内部に粒子径の1/10〜4/5の、好ましくは1/5〜4/5の径の気孔が存在することが好ましい。
気孔径は次のように測定することができる。
選択された粒子を壊さない様にメス等で最大粒子径を含む面で切断する。切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、切断粒子の切断面の円相当径(粒子径)(γμm)及び粒子内部で気孔の存在が確認された場合には気孔の円相当径(気孔径)(δμm)を測定する。なお、複数個の気孔が確認される場合には、その中で最も大きい気孔についての円相当径をδμmとする。そして粒子径に対する気孔径の比(δ/γ)を求める。
【0043】
また、前記気泡放出洗剤粒子群の溶解性は60秒間溶解率で評価することができる。本発明において洗剤粒子群の60秒間溶解率とは、以下の方法で算出される。洗剤粒子群の溶解率としては90%以上が好ましく、94%以上がより好ましく、97%以上が特に好ましい。
【0044】
前述の溶解条件を具体的に説明する。5℃に冷却した71.2mgCaCO3 /Lに相当する1Lの硬水(Ca/Mgのモル比7/3)を1Lビーカー(内径105mm、高さ150mmの円筒型、例えば岩城硝子社製1Lガラスビーカー)の中に満たし、5℃の水温をウォーターバスにて一定に保った状態で、攪拌子(長さ35mm、直径8mm、例えば型式:ADVANTEC社製、テフロンSA(丸型細型))にて水深に対する渦巻きの深さが略1/3となる回転数(800rpm)で攪拌する。1.0000±0.0010gとなるように縮分・秤量したベース顆粒群又は洗剤粒子群を攪拌下に水中に投入・分散させ攪拌を続ける。投入から60秒後にビーカー中の該粒子群分散液を、重量既知のJIS Z 8801に規定の目開き74μmの標準篩(直径100mm)で濾過し、篩上に残留した含水状態の該粒子群を篩と共に重量既知の開放容器に回収する。尚、濾過開始から篩を回収するまでの操作時間を10±2秒とする。回収した該粒子群の溶残物を105℃に加熱した電気乾燥機にて1時間乾燥し、その後、シリカゲルを入れたデシケーター(25℃)内で30分間保持して冷却する。冷却後、乾燥した該粒子群の溶残物と篩と回収容器の合計の重量を測定し、以下の式(1)によって洗剤粒子群の溶解率(%)を算出する。
【0045】
溶解率(%)={1−(T/S)}×100 (1)
S : 該粒子群の投入重量(g)
T : 上記攪拌条件にて得られた水溶液を上記篩に供したときに、篩上の残存する粒子群の溶残物の乾燥重量(g)。
【0046】
以上のようなベース顆粒群又は洗剤粒子群(特に単核性粒子を含有する)の好適な物性としては、以下の通りである。
嵩密度:好ましくは500g/L以上であり、500〜1000g/Lがより好ましく、600〜1000g/Lがより好ましく、650〜850g/Lが特に好ましい。嵩密度は、JIS K 3362により規定された方法で測定する。
平均粒径:好ましくは150〜500μmであり、180〜300μmがより好ましい。平均粒径は、JIS Z 8801の標準篩(目開き2000〜125μm)を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率からメジアン径を算出する。
【0047】
ベース顆粒群又は洗剤粒子群の配合量は、洗剤中に10〜95重量%が好ましく、20〜90重量%がより好ましい。
【0048】
また、ベース顆粒群又は洗剤粒子群は、特開平9−67592号公報記載の製造法に準じて製造するこができる。即ち、例えば、前記各成分を含有する水分量30〜80重量%、好ましくは35〜60重量%の水性スラリーを噴霧乾燥させて得られるベース顆粒群、好ましくはこれを造粒し高嵩密度化する方法が挙げられる。非晶性珪酸塩はスラリー中に配合することが好ましい。結晶性珪酸塩はスラリー中に配合せずに造粒時に添加することが好ましい。また、界面活性剤の未中和物に、アルカリ金属の水酸化物等のアルカリ剤で直接中和混合し、他の洗浄ビルダーと共に捏和、混合後に冷却し、粉砕する方法を用いてもよい。また、得られた洗剤粒子群は、ゼオライト等の水不溶性物質で被覆することが好ましい。
【0049】
次に、水溶性結合剤(以下、結合剤という)について説明する。結合剤としては、本発明の板状洗剤が水に侵されたときに溶解して崩壊するようにするために、常温(20℃程度)において固体または粉末状で、水溶性を呈し、融点40〜100℃を有するものが好ましい。
【0050】
結合剤としては、例えば、水溶性ポリマーが挙げられる。具体例として、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ポリアクリレート、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの中では、ポリエチレングリコールが好ましい。かかるポリエチレングリコールの中では重量平均分子量1300〜20000を有するものが特に好ましい。該ポリエチレングリコールは、JIS K8001「試薬試験方法通則」に記載されている凝固点測定法によって融点を測定した場合、融点40〜100℃を有するものが好ましい。
【0051】
また、結合剤の添加方法は、粉末又は顆粒状の結合剤と洗剤用粒子群を乾式で混合する方法、溶融させた結合剤を洗剤用粒子群の表面にスプレーする方法、又は結合剤水溶液と洗剤用粒子群を流動層にて乾燥させる方法等が挙げられる。
【0052】
結合剤の配合量は、洗剤中に0.5〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。該配合量は、板状形態を維持する観点から0.5重量%以上が好ましく、溶解性を維持する観点から、20重量%以下が好ましい。
【0053】
また、本発明の板状洗剤は、該結合剤が水と接触する際に、速やかに溶解又は崩壊して、更なる溶解特性を達成するために、崩壊剤を含有することが好ましい。好ましい崩壊剤は、膨潤によって作用する物理的崩壊剤である。これらの例として、澱粉、カルボキシメチル澱粉等のような澱粉誘導体、セルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、微結晶セルロース、糖(特にソルビトール)及び層状シリケート(特に、ベントナイト又はスメタイト型の微粒子状膨潤性層状シリケート)がある。また、溶解性の向上に効果のある水溶性塩類、例えば、酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩等、特に酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等を配合することもできる。トリポリリン酸ナトリウム等の有機塩類も使用可能である。起泡性の崩壊剤として、クエン酸又は酒石酸等の弱酸を、アルカリ金属炭酸塩又は重炭酸塩と組み合わせて用いることもできる。
該崩壊剤の配合量は、洗剤中に1〜20重量%が好ましく、2〜10重量%がより好ましい。
【0054】
また、洗剤には、さらに界面活性剤及びビルダーを含有してもよい。界面活性剤としては、ベース顆粒群に担持させる界面活性剤と同じものが挙げられる。
【0055】
該界面活性剤の配合量は、洗剤中に5〜60重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましい。該配合量は、十分な洗浄性を付与するために、5重量%以上が好ましく、また十分な溶解性を付与するために、60重量%以下が好ましい。なお、該配合量は、前述のベース顆粒群に配合したり、担持させた界面活性剤の量とは別のものである。
【0056】
また、ビルダーとしては、無機ビルダー及び有機ビルダーが挙げられる。
無機ビルダーとしては、例えば、炭酸塩、重炭酸塩、亜硫酸塩、硫酸塩、トリポリリン酸塩、無定形アルミノケイ酸塩等が挙げられ、これらの中では、炭酸塩、硫酸塩等が好ましい。また、有機ビルダーとしては、クエン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸マレイン酸コポリマー又はその塩およびポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0057】
ビルダーの配合量は、十分な洗浄性を付与するために、洗剤中に25重量%以上、好ましくは30重量%以上が望ましく、また十分な溶解性を付与するために、洗剤中に80重量%以下、好ましくは70重量%以下が望ましい。
【0058】
このような構成を有する洗剤層の厚さとしては、0.08〜0.6cmが好ましく、0.1〜0.9cmがより好ましい。
【0059】
本発明の板状洗剤は、前記洗剤層が水溶性基体によりシールされている。水溶性基体としては、(i)水溶性フィルム、(ii)水溶性不織布若しくは織布、(iii) 水溶性フィルムと該水溶性不織布若しくは織布からなる水溶性積層基体、(iv)水溶性繊維からなるウェブと水溶性フィルムとから形成される積層材等が挙げられる。
【0060】
本発明に用いられる水溶性基体には、例えば、ポリビニルアルコール(以下、PVAともいう)等の耐アルカリ性水溶性高分子化合物を含む水溶性基体が挙げられる。
特に、ケン化度が96モル%未満の部分ケン化PVA、又はケン化度が96モル%以上、好ましくは98モル%以上であり、平均重合度が250〜3000、好ましくは500〜2500であるケン化アニオン基変性PVAが好ましい。アニオン基を有するモノマーとしては、マレイン酸、イタコン酸、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸が好ましい。アニオン基の変性率は、全分子中のモノマー単位の総量に対して0.1〜8モル%、好ましくは2〜5モル%である。
【0061】
その他の水溶性基体には、特開平10−72599号公報第5欄第47行〜第6欄第31行に記載のものが挙げられる。また、エチレングリコール、プロピレングリコールやグリセリン等の多価アルコール系可塑剤や陰イオン及び/又は陽イオン界面活性剤を含む水溶性基体も挙げられる。水溶性基体の膜厚は、洗浄剤組成物の種類、特性、量にもよるが、柔軟性、可撓性及び使用簡便性の点で、好ましくは5〜200μm、特に10〜100μmである。
【0062】
また、上記(iv)の水溶性繊維からなるウェブと水溶性フィルムとから形成される積層材としては、少なくとも融点が140〜220℃の水溶性PVA系繊維からなるウェブと、融点が140〜220℃の水溶性PVA系フィルムとから形成される、坪量が50g/m2 以下の積層材〔以下、積層材(iv)という場合もある〕が挙げられる。該積層材(iv)のウェブを構成する繊維としては、例えば特開平8−118559号公報に記載されている低温水溶性PVA系繊維が好適例である。ウェブを構成する繊維としては、積層材とした後の溶解性と経済性の点で、部分ケン化PVA系繊維がより好ましい。部分ケン化PVAとは、ケン化度が70モル%以上、96モル%未満で、平均重合度が50〜3000、好ましくは250〜2500のものを意味する。
【0063】
また、該積層材(iv)の水溶性フィルムには、種々の変性PVA系フィルムを使用することができる。特に、板状洗剤を長期間保存した場合に洗剤成分と接触しても積層材の水溶解性が劣化しない点で、洗浄剤組成物の接触面は完全ケン化PVA系フィルムであることが好ましい。ここで、完全ケン化PVAとしては、ケン化度が96モル%以上、好ましくは98モル%以上で水溶性のものが使用できる。特に、平均重合度が50〜3000、好ましくは250〜2500である完全ケン化アニオン基変性PVAが好ましい。
完全ケン化アニオン基変性PVAを形成するモノマーとしては、冷水溶解性、耐アルカリ性の点で、例えばマレイン酸、イタコン酸、特にマレイン酸が好ましい。アニオン基の変性率は、全分子中のモノマー単位の総量に対して0.1〜8モル%、好ましくは2〜5モル%である。
【0064】
積層材(iv)は、例えば、ウェブとフィルムとを重ね合わせ、その状態で熱圧着することにより得ることができる。とりわけ、圧着面積比率が好ましくは10〜50%の熱エンボスロールで熱圧着して積層材を形成する方法は、ウェブ内での繊維の固定とウェブ全体のフィルムへの固定を同時に行うことができるので、製造工程の容易さ及び経済性の点で好ましい。また加工性とともに、触ったときの感触、濡れた手に対する溶解性耐性等が向上する点でも、上記の熱圧着方法は好ましい。
積層材(iv)には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の水溶性高分子、例えば、ポリビニルピロリドン等の耐アルカリ性水溶性高分子を原料として使用しても良い。
【0065】
また、積層材(iv)の坪量は、冷水溶解性及び製造コストの観点から、好ましくは50g/m2 以下、より好ましくは10〜50g/m2 、特に好ましくは30〜45g/m2 である。また、濡れた手に対する強度と加工適性の観点から、坪量は10g/m2 以上が望ましい。積層材の膜厚は、洗浄剤組成物の種類、特性、量にもよるが、柔軟性及び使用簡便性の点で、好ましくは5〜200μm、特に10〜110μmである。
【0066】
また、積層材(iv)は、10℃の蒸留水1Lに積層材(3cm×3cm、4枚)を投入して8分間混合攪拌(全長35mm、最大直径7.5mmの攪拌子を用いて550rpmにて攪拌を行う。)した後に、目開き125μmのふるいに通して残留物が認められない状態、若しくは残留物が積層材に対して2重量%未満の状態であることが好ましい。即ち、該積層材の溶解率は好ましくは98%以上である。ここで積層材(iv)は、溶解性やブロッキング防止性の点で、エンボス加工処理等で格子状や亀甲状等の凹凸を設けても良い。
【0067】
【実施例】
〔水溶性基体の調製〕
平均重合度1700、ケン化度99.9%のマレイン酸基変性PVA(変性度2モル%)を用いてグリセリンを2重量%含む15重量%の水溶液を調製後、薄膜温風乾燥により膜厚20μmの水溶性フィルムを作製した。
また、同一のPVAを用いて特開平8−3848号公報の実施例2に準じて目付30g/m2 の水溶性不織布を作製した。該不織布と前記水溶性フィルムを張り合わせヒートエンボス処理を施して積層水溶性基体を作製した。
【0068】
〔洗剤の調製〕
表1に示された各組成のうち、非イオン性界面活性剤配合量の50重量%、結晶性アルミノ珪酸塩配合量の50重量%、結晶性珪酸塩及び酵素の全配合量を除く成分を含む含水率50重量%のスラリーを調製し、それを噴霧乾燥することで嵩密度0.26〜0.3g/cm3 の粉末を得た。次にこれら粉末をハイスピードミキサー(攪拌転動造粒機、深江工業社製)に投入し、結晶性アルミノ珪酸塩の配合量の20重量%、残りの非イオン性界面活性剤及び結晶性珪酸塩の全配合量を加えて造粒し、更に、結晶性アルミノ珪酸塩の配合量の30重量%を加えて造粒した後、得られた粒子に残りの結晶性アルミノ珪酸塩と酵素の全配合量を乾式混合することにより、洗剤を得た。
【0069】
【表1】
【0070】
〔ベース顆粒群1〜3の製造〕
下記の手順にてベース顆粒群1を作製した。
水465kgを攪拌翼を有した1m3 の混合槽に加え、水温が55℃に達した後に、50重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液48kg、40重量%のポリアクリル酸ナトリウム水溶液135kgを添加した。15分間攪拌した後に、炭酸ナトリウム120kg、硫酸ナトリウム60kg、亜硫酸ナトリウム9kg、染料3kgを添加した。更に15分間攪拌した後に、ゼオライト300kgを添加し、30分間攪拌して均質なスラリーを得た。このスラリーの最終温度は58℃であった。また、このスラリー中の水分は50重量%であり、水溶性成分(ポリアクリル酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム)の溶解率は100%であった。
【0071】
このスラリーを噴霧乾燥塔の塔頂付近に設置した圧力噴霧ノズルから噴霧圧力25kg/cm2 で噴霧を行った。噴霧乾燥塔に供給する高温ガスは塔下部より温度が225℃で供給され、塔頂より105℃で排出された。得られたベース顆粒群1の組成及び物性を表2に示す。尚、SEMによってベース顆粒群1においては、気孔径が粒子径の1/10〜4/5である気孔が88%の粒子において確認された(尚、上記88%の粒子における気孔径/粒子径の平均値は3.1/5であった。)。
また、ベース顆粒群1をFT−IR/PAS、SEM観察、EDSにて解析した結果、粒子内側にゼオライトの比率が高く、水溶性ポリマー及び水溶性塩類は粒子表面近くに多く存在した粒子構造を有していることが確認された。
また、同様にベース顆粒群2〜3をそれぞれ表2に示した組成となるように表2の各条件で製造した。得られたベース顆粒群2〜3の物性を表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
〔洗剤粒子群1〜5の製造〕
ベース顆粒群1に表3に記載の比率にて界面活性剤組成物を添加して担持させることにより、洗剤粒子群1を得た。まず表3記載の非イオン性界面活性剤23重量部を50℃になるように加熱した。次に、レディデミキサー(松坂技研(株)製、容量20L、ジャケット付)に上記ベース顆粒群100重量部を投入し、主軸(150rpm)とチョッパー(4000rpm)の攪拌を開始した。尚、ジャケットに60℃の温水を10L/分で流した。そこに、上記非イオン性界面活性剤を2分間で投入し、その後4分間攪拌を行い排出した。得られた洗剤粒子群1の物性を表3に示す。
【0074】
洗剤粒子群1の中空性を測定した結果、86%の粒子において気孔径が粒子径の1/10〜4/5である気孔が存在した。
更に洗剤粒子群1の溶解挙動をデジタルマイクロスコープで観察した結果、87%の粒子から粒子径の1/10以上の径の気泡の放出が確認された(尚、上記87%の粒子から放出された気泡径/粒子径の平均値は3/5であった。)。更にこの洗剤粒子群の表面に10重量部の結晶性アルミノ珪酸塩で表面被覆を行った。得られた洗剤粒子群の物性は、溶解性を保持し、流動性が改善された。
また、同様に洗剤粒子群2〜5をそれぞれ表3に示した組成となるように製造した。得られた洗剤粒子群2〜5の物性を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
実施例1〜10及び比較例1〜2〔板状洗剤の製造〕
得られた洗剤にベース顆粒群1〜2、洗剤粒子群1〜5、結合剤を表4の組成となるようそれぞれ添加混合して洗剤を得た。次いで、得られた水溶性基体を5×10cmに切断し、2枚をヒートシールによって袋状にし、特定組成の洗剤30gを充填後、内部の空気をなるべく抜き、ヒートシールによって封入する。封入後、袋内で偏りが無いように均一にならし、加圧加熱プレス機(東邦マシナリー、油圧成型機)によって、所定の加圧/ 加熱を行い、成形して板状洗剤を得た。得られた板状洗剤の組成、成形条件及び物性を表4に示す。
【0077】
〔耐衝撃性〕
実施例1〜10及び比較例1〜2で得られた板状洗剤をそれぞれ20枚ずつを重ねて内部での移動が無いようにビニール袋に充填し、高さ20cmからリノリウム製の床に落下させた後にその状態を観察し、以下の評価点に基づいて評価した。その結果を表4に示す。
【0078】
評価点
○;全て破損なし、△;ひび割れした洗剤が3枚以上、×;ひび割れした洗剤が5枚以上。なお、ひび割れした洗剤が3枚未満を合格とする。
【0079】
【表4】
【0080】
表4の結果から、実施例1〜10で得られた板状洗剤は、いずれも洗剤層表面の一部が固形化されており、シート強度が十分で且つ溶解率の高いものであることがわかる。
【0081】
【発明の効果】
本発明の板状洗剤は、溶解性が著しく向上し、輸送時に形状を維持できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(イ)〜(ハ)は、強度の測定方法を示す概略図を示す。
Claims (6)
- 洗剤用粒子群及び常温(20℃程度)において固体または粉末状で、融点40〜100℃の熱溶融性の水溶性結合剤を含んでなる粉末洗剤を水溶性基体で分包し、該粉末洗剤を含む層の重量の5%以上、90%以下が固形化されてなる板状洗剤であって、前記洗剤用粒子群が、下記特性aおよびbを有するベース顆粒群及び該ベース顆粒群に界面活性剤を担持させた粒子群からなる群より選ばれる水溶性又は水崩壊性粒子群を含有する、板状洗剤。
a:水に溶解する過程において粒子径の1/10以上の径の気泡を、粒子径の1/10〜4/5の径の気孔が存在する粒子内部から放出すること;
b:5℃の水に投入し以下に示す攪拌条件にて60秒間攪拌してJIS Z 8801規定の標準篩(目開き74μm)に供した場合、式(1)で算出される水溶性又は水崩壊性粒子群の溶解率が90%以上であること。
攪拌条件:1Lの硬水(71.2mgCaCO 3 /L、Ca/Mgのモル比7/3)に該粒子群1gを投入し、1Lビーカー(内径105mm)内で攪拌子(長さ35mm、直径8mm)にて攪拌、回転数800rpm
溶解率(%)={1−(T/S)}×100 (1)
S : 水溶性又は水崩壊性粒子群の投入重量(g)
T : 上記攪拌条件にて得られた水溶液を上記篩に供したときに、篩上の残存する粒子群の溶残物の乾燥重量(g)、
〔但し、該ベース顆粒群が水不溶性無機物20〜90重量%、水溶性ポリマー2〜30重量%、水溶性塩類5〜78重量%を含有してなり、これらの成分を含有する水分量30〜80重量%の水性スラリーを噴霧乾燥させて得られる粒子群であり、界面活性剤を担持させた粒子群が該ベース顆粒群100重量部に対して界面活性剤5〜80重量部を担持させてなるものである〕 - 水溶性又は水崩壊性粒子群の平均粒径が60〜2000μmである請求項1記載の板状洗剤。
- ベース顆粒群が水不溶性無機物、水溶性ポリマー及び水溶性塩類を含有する粒子群であって、その構造においてその内部よりも表面近傍に水溶性ポリマー及び/又は水溶性塩類が多く存在する偏在性を有する、請求項1又は2記載の板状洗剤。
- 板状洗剤の厚さが0.1〜1cmである、請求項1〜3いずれか記載の板状洗剤。
- 洗剤用粒子群及び常温(20℃程度)において固体または粉末状で、融点40〜100℃の熱溶融性の水溶性結合剤を含んでなる粉末洗剤を水溶性基体で分包し、該粉末洗剤を含む層の重量の5%以上、90%以下が固形化する工程を有する板状洗剤の製造方法であって、前記洗剤用粒子群が、下記特性aおよびbを有するベース顆粒群及び該ベース顆粒群に界面活性剤を担持させた粒子群からなる群より選ばれる水溶性又は水崩壊性粒子群を含有する、製造方法。
a:水に溶解する過程において粒子径の1/10以上の径の気泡を、粒子径の1/10〜4/5の径の気孔が存在する粒子内部から放出すること;
b:5℃の水に投入し以下に示す攪拌条件にて60秒間攪拌してJIS Z 8801規定の標準篩(目開き74μm)に供した場合、式(1)で算出される水溶性又は水崩壊性粒子群の溶解率が90%以上であること。
攪拌条件:1Lの硬水(71.2mgCaCO 3 /L、Ca/Mgのモル比7/3)に該粒子群1gを投入し、1Lビーカー(内径105mm)内で攪拌子(長さ35mm、直径8mm)にて攪拌、回転数800rpm
溶解率(%)={1−(T/S)}×100 (1)
S : 水溶性又は水崩壊性粒子群の投入重量(g)
T : 上記攪拌条件にて得られた水溶液を上記篩に供したときに、篩上の残存する粒子群の溶残物の乾燥重量(g)、
〔但し、該ベース顆粒群が水不溶性無機物20〜90重量%、水溶性ポリマー2〜30重 量%、水溶性塩類5〜78重量%を含有してなり、これらの成分を含有する水分量30〜80重量%の水性スラリーを噴霧乾燥させて得られる粒子群であり、界面活性剤を担持させた粒子群が該ベース顆粒群100重量部に対して界面活性剤5〜80重量部を担持させてなるものである〕 - 固形化する工程が、熱及び/又は圧力によって凝集、もしくは結合させて固形化する工程である、請求項5記載の製造方法。
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