JP4115933B2 - 4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−キシロースの酵素的製造方法、該方法によって得られる4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−キシロース、該キシロースを含有する組成物および腸ラクターゼの評価における該キシロースの使用 - Google Patents
4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−キシロースの酵素的製造方法、該方法によって得られる4−O−β−D−ガラクトピラノシル−D−キシロース、該キシロースを含有する組成物および腸ラクターゼの評価における該キシロースの使用 Download PDFInfo
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Description
本発明の別の課題は、D-キシロースとβ-D-ガラクトピラノシド基質との酵素反応とその後の単離精製段階を含む改良法であって、酵素反応の最終混合物中の4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースの割合を2-および3-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースに関して増加させると共に、最終混合物からの4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースの単離を簡単な操作で可能にする該改良法を提供することである。
また、本発明のさらに別の課題は、腸ラクターゼ活性の生体内評価において有用な組成物および溶液の調製における4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースの使用である。
(1)第1工程:D-キシロース2〜20重量%、β-D-ガラクトピラノシド基質0.5〜5重量%およびpHを5.0〜9.0に緩衝化された水を含む反応媒体75〜97.5重量%を含有する第1反応混合物を調製し、β-D-ガラクトピラノシド1gあたり10〜1000ユニットのβ-D-ガラクトシダーゼ酵素を第1反応混合物に添加して第2反応混合物を得る。
(2)第2工程:第2反応混合物を、第2反応混合物の凝固点よりも高い温度〜45℃の温度における反応に2〜48時間付すことによって第2反応混合物中に二糖を生成させる。
(3)第3工程:所望量の二糖が生成した後、第2反応混合物を20℃〜-170℃の温度で凝固させることによるβ-D-ガラクトシダーゼの失活、第2反応混合物を95℃〜110℃の温度に加熱することによるβ-D-ガラクトシダーゼの失活および限外濾過による第2反応混合物からのβ-D-ガラクトシダーゼの分離から選択される処理によって反応を停止させる。
(4)第4工程:第1工程で使用したβ-D-ガラクトピラノシド基質のアグリコンフラグメントを第3反応混合物から抽出または濾過により分離させることによって第4反応混合物を得る。
(5)第5工程:4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースを含有するフラクションを、(i)セライトを第4反応混合物に添加した後、該混合物を溶剤を用いる固体−液体抽出処理に付し、次いでカラム中での第1溶離液を用い溶出処理に付す操作および(ii)活性炭を第4反応混合物中へ直接添加した後、該混合物を濾過処理に付し、次いで第2溶離液を用いる溶出処理に付す操作から選択される処理操作によって分離させる。
(6)第6工程:4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースを含有するフラクションを、アセトン/メタノール混合物(混合比:5/1〜20/1)およびアセトン/水混合物(混合比:5/1〜20/1)から選択される晶出混合物中で晶出させる。
(実施例1)
反応温度の影響を測定するために、以下の試験をおこなった。D-キシロース125mg(500mM)、o-ニトロフェニルβ-D-ガラクトピラノシド25mg(50mM)および反応媒体[pHが7に緩衝化された水溶液(0.05M KH2PO4/K2HPO4、1mM MgCl2、5mMメルカプトエタノール)]1.75mlから成る反応混合物の試料を調製し、これらの試料に大腸菌β-ガラクトシダーゼ酵素を下記の所定のユニットで添加し、下記の反応温度に付した:
反応温度(℃) 酵素の添加ユニット(u)
45 1.6
37 1.6
25 1.6
5 10
-5 20
初期温度:160℃
初期時間:2分間
昇温速度:5℃/分
最終温度:250℃
ベンジルβ-D-キシロピラノシド:12.04分間
2-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース:18.46分間および19.50分間
3-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース:18.30分間
4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース:20.35分間および20.50分間
反応に対するpHの影響を測定するために、下記の配合処方に従って試料を調製し、37℃で反応させた。
(i)Gal-ONP(50mM):25mg
(ii)D-キシロース(500mM):125mg
(iii)大腸菌ガラクトシダーゼ:1.6u
(iv)pHが8.5、7および5に緩衝化された水溶液(リン酸カリウム50mM、MgCl2 1mM、メルカプトエタノール 5mM):各々1.6ml
反応は実施例1に記載の方法に従って進行させた。以下の表2は、得られた位置異性体2-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース(化合物II)および3-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース(化合物III)の全量に対する4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース(化合物I)の比を示す。
4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースを合成するために、pHを7に緩衝化した水(0.05M KH2PO4/K2HPO4、1mM MgCl2、5mM メルカプトエタノール)にo-ニトロフェニルβ-D-ガラクトピラノシド(Gal-ONP)6gおよびD-キシロース25gを溶解させ、得られた溶液に大腸菌β-ガラクトシダーゼ酵素2mg(640u)を添加し、得られた溶液をオービタルスターラー(orbital stirrer)内において、Gal-ONPが実質上消費されるまで(約4時間)、30℃におけるインキュベーション処理に付した。反応の追跡は、溶離液としてイソプロパノール/NH3(30%)/H2O混合物(混合比:7.5/0.5/2.5)を用いる薄層クロマトグラフィー(tlc)によっておこなった。この場合、基準としては下記のRf値を用いた。
Rf(Gal-ONP):0.58
Rf(D-キシロース):0.47
Rf(4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース):0.17
Rf(2-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース+3-O-β-D-ガラクトピラノシル-D
-キシロース):0.26
融点:171〜176℃
1H-NMR(D2O):δ5.17および4.58(2d、1H、J3.8および7.8Hz、H-1αおよびH-1β)、4.55および4.45(2d、1H、J7.8Hz、H-1')、4.05(dd、1H、J5.3および11.6Hz、H-5e)、3.38(dd、1H、J10.6および11.6Hz)、3.25(dd、1H、J7.8および9.4Hz、H-2')
活性炭(DARCO G-60)200gおよびセライト200gを乾式混合し、該混合物に対して、均質なペーストが形成されるまで水を添加することによって活性炭/セライトカラムを調製した。このペーストをHCl(35%)150mlで処理することによって活性炭を失活させると共に、鉄とアルカリ性灰分の残渣を洗い流し、次いで水洗した(水洗は洗液が中性になるまでおこなった)。洗浄後、ペーストをクロマトグラフィーカラム(直径:5cm、長さ:50cm)に充填して圧縮した。
活性炭(DARCO G-60)200gおよびセライト200gを乾式混合し、該混合物に対して、均質なペーストが形成されるまで水を添加することによって活性炭/セライトカラムを調製した。このペーストをHCl(35%)150mlで処理することによって活性炭を失活させると共に、鉄とアルカリ性灰分の残渣を洗い流し、次いで水洗した(水洗は洗液が中性になるまでおこなった)。洗浄後、ペーストをクロマトグラフィーカラム(直径:5cm、長さ:50cm)に充填して圧縮した。
活性炭(DARCO G-60)200gおよびセライト200gを乾式混合し、該混合物に対して、均質なペーストが形成されるまで水を添加することによって活性炭/セライトカラムを調製した。このペーストをHCl(35%)150mlで処理することによって活性炭を失活させると共に、鉄とアルカリ性灰分の残渣を洗い流し、次いで水洗した(水洗は洗液が中性になるまでおこなった)。洗浄後、ペーストをクロマトグラフィーカラム(直径:5cm、長さ:50cm)内へ充填して圧縮した。
Rf(Gal-ONP):0.58
Rf(D-キシロース):0.47
Rf(4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース):0.17
Rf(2-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース+3-O-β-D-ガラクトピラノシル-D
-キシロース):0.26
活性炭(DARCO G-60)200gおよびセライト200gを乾式混合し、該混合物に対して、均質なペーストが形成されるまで水を添加することによって活性炭/セライトカラムを調製した。このペーストをHCl(35%)150mlで処理することによって活性炭を失活させると共に、鉄とアルカリ性灰分の残渣を洗い流し、次いで水洗した(水洗は洗液が中性になるまでおこなった)。洗浄後、ペーストをクロマトグラフィーカラム(直径:5cm、長さ:50cm)内へ充填して圧縮した。
Rf(Gal-ONP):0.58
Rf(D-キシロース):0.47
Rf(4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース):0.17
Rf(2-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロース+3-O-β-D-ガラクトピラノシル-D
-キシロース):0.26
活性炭(DARCO G-60)24gおよびセライト24gを乾式混合し、該混合物に対して、均質なペーストが形成されるまで水を添加することによって活性炭/セライトカラムを調製した。このペーストをHCl(35%)18mlで処理することによって活性炭を失活させると共に、鉄とアルカリ性灰分の残渣を洗い流し、次いで水洗した(水洗は洗液が中性になるまでおこなった)。洗浄後、ペーストをクロマトグラフィーカラム内へ充填して圧縮した。
4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースを合成するために、pHを7に緩衝化した水(0.05M KH2PO4/K2HPO4、1mM MgCl2、5mM メルカプトエタノール)272mlにo-ニトロフェニルβ-D-ガラクトピラノシド(Gal-ONP)4.12gおよびD-キシロース20.6gを溶解させ、この溶液に大腸菌β-ガラクトシダーゼ酵素を添加し、得られた溶液をオービタルスターラー内において、Gal-ONPが実際上消費されるまで(21時間)、37℃でのインキュベーション処理に付した。反応混合物を0℃まで冷却させることによって反応を停止させ、o-ニトロフェノールを固体として濾別した。濾液に活性炭60gを添加し、得られた混合物を30分間攪拌させた。上澄みをtlcで調べたところ、溶液中には二糖が存在しないことが観測されたが、これは二糖が活性炭に吸着されたからである。混合物を濾過処理に付し、活性炭を水(400ml)、2%イソプロパノール(100ml)、4%イソプロパノール(200ml)および6%イソプロパノール(200ml)を用いて洗浄した。二糖4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースを含有するフラクションを濃縮させ、残渣をアセトン/水混合液からの晶出処理に付すことによって得られた固体(1.55g)を実施例7に記載の場合と同様にして同じ混合溶剤から再結晶させることによって純粋な二糖を1.32g(収率:32%)得た。
Claims (38)
- 下記の第1工程〜第5工程を含む4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースの酵素的入手法において、
(i)第5工程を、a)第4工程の反応混合物へセライトを添加した後、溶剤を用いる固体−液体抽出をおこない、次いでカラム中で第1溶離液を用いて溶離をおこなう工程およびb)第4工程の反応混合物へ活性炭を直接添加した後、濾過処理をおこない、次いで第2溶離液を用いる溶離をおこなう工程から選択すること、並びに、
(ii)第6工程において、4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースを含有するフラクションを、アセトン/メタノール混合物(混合比:5/1〜20/1)およびアセトン/水混合物(混合比:5/1〜20/1)から選択される晶出混合物中で晶出させること
を特徴とする該酵素的入手法:
第1工程:D-キシロース2〜20重量%、β-D-ガラクトピラノシド基質0.5〜5重量%およびpHが5.0〜9.0に緩衝化された水を含有する反応媒体75〜97.5重量%から成る第1反応混合物を調製し、次いでβ-D-ガラクトピラノシド1gあたり10〜1000ユニットのβ-D-ガラクトシダーゼを第1反応混合物へ添加して第2反応混合物を得る。
第2工程:第2反応混合物を該第2反応混合物の凝固点と45℃との間の温度での反応に2〜48時間付すことによって第2反応混合物中に二糖を生成させる。
第3工程:所望量の二糖の生成後、第2反応混合物を20℃〜-170℃の温度で凝固させることによってβ-D-ガラクトシダーゼの失活および第2反応混合物を95℃〜110℃の温度で加熱することによるβ-D-ガラクトシダーゼの失活から選択される処理によって二糖の生成反応を停止させ、次いで第2反応混合物からβ-D-ガラクトシダーゼを限外濾過によって分離させることによって第3反応混合物を得る。
第4工程:第1工程において使用したβ-D-ガラクトピラノシド基質のアグリコンフラグメントを抽出処理または濾過処理によって第3反応混合物から分離させることによって第4反応混合物を得る。
第5工程:4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースを含有するフラクションを単離させる。 - 第4反応混合物がカラム中での溶出に付される前に濃縮される請求項1記載の方法。
- アセトン/メタノール混合物の混合比が10/1である請求項1記載の方法。
- アセトン/水混合物の混合比が10/1である請求項1記載の方法。
- 第1溶離液が、イソプロパノールを1〜10%(v/v)含有する水/イソプロパノール混合物である請求項1記載の方法。
- 水/イソプロパノール混合物がイソプロパノールを2%(v/v)含有する請求項1記載の方法。
- 第5工程が次の過程を含む請求項1記載の方法:(i)第4反応混合物中へセライトを添加した後、該混合物を濃縮乾燥させ、これをソクスレ−抽出器中での有機溶剤を用いる固体−液体抽出処理に付し(該抽出器は該有機溶剤に対して適合性のある材料から製造されたカートリッジを具有する)、次いで(ii)架橋デキストランポリマーフィラーを有する濾過カラム、アクリルアミドポリマーフィラーを有する濾過カラム、活性炭製濾過カラムおよび活性炭−セライトカラムから選択されるカラム中において第1溶離液を用いる抽出処理をおこなう。
- 溶剤が酢酸エチルである請求項7記載の方法。
- 溶剤の使用量が当初のキシロース1gあたり10ml〜25mlである請求項7記載の方法。
- セライトの使用量が当初のキシロース1gあたり1g〜2gである請求項7記載の方法。
- カラムが活性炭−セライト製カラムであり、該活性炭が35%の塩酸の添加によって不活性化された請求項7記載の方法。
- セライトの使用量が当初のキシロース1gあたり0.5g〜2gである請求項11記載の方法。
- 活性炭の使用量が当初のキシロース1gあたり0.5g〜2gである請求項11記載の方法。
- 第1溶離液の使用量が当初のキシロース1gあたり5ml〜25mlである請求項7記載の方法。
- 塩酸の使用量が当初のキシロース1gあたり0.5ml〜1.5mlである請求項11記載の方法。
- 第5工程において、第4反応混合物を、4-O-β-D-ガラクトピラノシル-D-キシロースが吸着された活性炭上において少なくとも第2溶離液の直接的添加処理に付し、該第2溶離液がイソプロパノールの体積を逐次的段階で増加させてイソプロパノールで希釈させてゆく水である請求項1記載の方法。
- 第1段階、第2段階および第3段階におけるイソプロパノールの量が、それぞれ1〜3容量%、3〜5容量%および5〜7容量%である請求項16記載の方法。
- 活性炭の使用量が当初のキシロース1gあたり2g〜4gである請求項16記載の方法。
- 第2溶離液の全使用量が当初のキシロース1gあたり30ml〜50mlである請求項16記載の方法。
- 第2反応混合物を0℃で冷却させることによって反応を停止させる請求項1または16記載の方法。
- 第4反応混合物を、β-D-ガラクトピラノシド基質からアグリコンフラグメントを濾過により分離させることによって得る請求項1、16または20記載の方法。
- 第2反応混合物中のD-キシロースの量が7.5重量%である請求項1記載の方法。
- 第2反応混合物のβ-D-ガラクトピラノシドの量が1.5重量%である請求項1記載の方法。
- β-D-ガラクトピラノシド1gあたりβ-D-ガラクトシダーゼを20ユニット添加する請求項1記載の方法。
- 反応媒体が、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジオキサンおよびこれらの任意の混合物から選択される少なくとも1種の補助溶剤も含有する請求項1記載の方法。
- 反応媒体が補助溶剤を20重量%含有する請求項25記載の方法。
- 反応を一定の温度でおこなう請求項1記載の方法。
- 反応温度が、-5℃〜40℃である請求項1または27記載の方法。
- 反応温度が、第2反応混合物の凝固温度よりも高く、0℃よりも低い請求項1または27記載の方法。
- 反応温度が-5℃である請求項1、28または29記載の方法。
- 反応温度が室温である請求項1または28記載の方法。
- 反応媒体がpH7に緩衝化される請求項1、26または27記載の方法。
- 第3工程において、第2反応混合物を-78℃で凝固させることによって反応を停止させる請求項1記載の方法。
- 第3工程において、第2反応混合物を100℃まで加熱することによって反応を停止させる請求項1記載の方法。
- 第3工程において、β-D-ガラクトシダーゼを限外濾過により分離させることによって反応を停止させる請求項1記載の方法。
- β-D-ガラクトピラノシド基質がo-ニトロフェニルβ-D-ガラクトピラノシドおよびラクトースから選択される請求項1記載の方法。
- β-D-ガラクトシダーゼ酵素が大腸菌β-D-ガラクトシダーゼである請求項1記載の方法。
- β-D-ガラクトシダーゼ酵素がクリーベラマイセス・ラクチス( Kluyver amyces lactis )β-D-ガラクトシダーゼである請求項1記載の方法。
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