JP4110887B2 - 電圧非直線抵抗体の製造方法 - Google Patents

電圧非直線抵抗体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化亜鉛形避雷器に組み込まれる酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電圧非直線抵抗体(非直線抵抗体)には、酸化亜鉛(以下、ZnOと称する)を主成分とするもの(以下、ZnO素子と称する)が多く、その副添加物成分(添加物スラリー)として、酸化ビスマス、酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化ケイ素等の複数個の金属酸化物を添加し、第二副添加物成分として、硝酸アルミ、ガラス質(ホウケイ酸 ガラス)を微量添加し、非直線性が高く熱損失の少ない組成配合から成っている。
【0003】
通常、前記添加物スラリーをボールミル等で湿式予備粉砕した後、有機バインダー(結合剤)及び主原料であるZnOと十分混合して混合物(原料スラリー)を得、その原料スラリーをスプレー・ドライヤー等により噴霧乾燥して流動性の良好な造粒粉を得る。なお、前記有機バインダーには水系の有機バインダー、例えばポリビニルアルコール(PVA)が用いられている。前記造粒粉を金型プレス機により、例えば円盤等の形状に成形し成形体を得、この成形体を脱脂した後、800〜1000℃の温度で仮焼成して仮焼体を形成する。
【0004】
前記仮焼体の側面部分に一次絶縁材である絶縁性セラミック材料(セラミック絶縁材:第1絶縁材)を塗布し、約1100〜1300℃の温度で数時間焼成して、側面部分に絶縁層を形成した焼結体を得る。さらに放電耐量を向上させる為に、前記焼結体の側面部分に形成された絶縁層の表面に二次絶縁材である低融点ガラス材(第2絶縁材)を塗布し、焼き付けし、その焼結体の両端面を平面研削した後、その焼結体の両端面にアルミニウムから成る電極材料を溶射して電圧非直線抵抗体を完成させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記電圧非直線抵抗体は、避雷器用電圧−電流非直線抵抗体に使用されるが、一般の弱電用サージアブソーバに比べると、吸収しなければならないエネルギーが大きいため、大きな体積、または大口径サイズのZnO素子が必要となる。
【0006】
前記ZnO素子の製造方法は、PVA(ポリビニルアルコール)等から成る有機バインダー溶液に主成分であるZnOと、その添加物スラリーとして酸化ビスマス,酸化アンチモン,酸化コバルト,酸化マンガン,酸化クロム,酸化ニッケル,酸化珪素等の金属酸化物を添加し、非直線性が高く、熱損失の小さい組成配合から成る原料スラリーを得、その原料スラリーを十分混合し、スプレー・ドライヤー等で噴霧乾燥して造粒粉を得る。
【0007】
前記造粒粉を金型成形プレス機により、例えば円盤状等に成形し、脱脂後、800〜1000℃で仮焼する。この仮焼体の側面部分に絶縁性セラミック材料(一次絶縁材)を塗布し、1000〜1300℃で数時間焼成する。更に、焼結体の側面部分に低融点ガラス材料(二次絶縁材)を塗布し、焼き付けを行う。その後、前記焼結体の両端面を研磨し、アルミニウムの電極を溶射して電圧非直線抵抗体を完成させる。
【0008】
前記ZnO素子において、電力機器を雷インパルス等の異常電圧から保護するという避雷器が担う本質的な性能を向上させるため、ZnO素子の制限電圧特性を改良すること、及び過大な雷インパルス、開閉インパルスに対してZnO素子の放電耐量を増強すること等が、ZnO素子の重要な課題である。
【0009】
ここで、当社の避雷器用ZnO素子は側面絶縁構造には特徴があり、上記焼結体の側面部分に絶縁層を形成する工程において、内側の第1絶縁層には絶縁性セラミック材料により絶縁層を形成し、外側の第2絶縁層には低融点ガラス材料から成る絶縁層を形成している。その第2絶縁層である低融点ガラス材料はZnO素子の側面絶縁性能を補強すると共に、第1絶縁層を外的な衝撃から保護する役割を担っている。また、第2絶縁層を焼結体の側面に焼き付ける温度はZnO素子の各電気的特性の要求により550〜750℃で行われている。
【0010】
前記第2絶縁層を形成するのに使用される材料は鉛酸化物を主成分とする低融点ガラスを適用しているが、近年の世界的な環境問題から代替品の検討が重要視されている。また、避雷器用ZnO素子のニーズとしてコンパクト化、低コスト化が望まれており、側面絶縁性能の増強が技術的な課題としてある。
【0011】
本発明は、前記課題に基づいて成されたものであり、焼結体の側面部分にLi2OとZnOを主成分とする低融点ガラスによる絶縁層を形成することにより、避雷器用ZnO素子のコンパクト化及び低コスト化を図ると共に、ZnO素子の側面絶縁性能を増強し、かつ作業環境を良好にし、ZnO素子の制限電圧特性を向上させ、過大な雷インパルス及び開閉インパルスに対してZnO素子の放電耐量を増強させる電圧非直線抵抗体の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題の解決を図るために、第1発明は、Cr23,Bi23,Co23,Sb23,MnO2,NiO,SiO2等の複数個の金属酸化物を混合・粉砕して得た添加物スラリーと、有機バインダー溶液と、主原料であるZnOとを混合して原料スラリーを形成した後、その原料スラリーを脱泡してから噴霧乾燥して造粒粉を得、その造粒粉を円盤状等の成形体に成形し、脱脂してから、仮焼して仮焼体を形成した後、その仮焼体の側面部分にセラミック絶縁材を塗布し、焼成して焼結体を得る。なお、前記セラミック絶縁材は、ZnO,Bi23,Sb23,SiO2から成る混合粉体と、所定量の純水と、分散剤を添加し混合粉砕して混合スラリーを形成し、その混合スラリーを水分除去して得た乾燥粉体を焙焼し、微粉砕して焙焼粉体を得た後、その焙焼粉体に対して所定量の純水、分散剤、結合剤を添加し混合粉砕して得たペースト状のセラミック絶縁材を形成している。前記セラミック絶縁層を形成した焼結体の側面部分に低融点ガラス絶縁材を塗布して再び焼成し、低融点ガラス絶縁層を形成した焼結体を得てから、その焼結体の両端面に電極を設けて構成された電圧非直線抵抗体の製造方法において、前記低融点ガラス絶縁層を形成する工程は、有機溶媒に有機バインダーを使用し、その有機バインダーとともにLi2OとZnOを主成分とする低融点ガラスを混合してガラスペーストを調整し、そのガラスペーストを焼結体の側面部分に塗布した後、550〜700℃の温度で焼き付けることを特徴とする。
【0013】
第2発明は、前記第1発明の絶縁層において、仮焼体の側面部分にセラミック絶縁処理をしないまま焼成して焼結体を得、この焼結体の側面部分にLi2OとZnOを主成分とする低融点ガラスペーストを塗布した後、550〜700℃の温度で焼き付けて焼結体を得、この焼結体の絶縁層は低融点ガラス絶縁層の1層構造で形成したことを特徴とする。
【0014】
第3発明は、前記第1発明の絶縁層において、仮焼体の側面部分にセラミック絶縁材を塗布し、焼成してセラミック絶縁層を第1絶縁層とする焼結体を得、この焼結体の側面部分にLi2OとZnOを主成分とする低融点ガラスペーストを塗布した後、550〜700℃の温度で焼き付けて低融点ガラス絶縁層を第2絶縁層とする焼結体を得、この焼結体の絶縁層はセラミック絶縁層と低融点ガラス絶縁層の2層構造で形成したことを特徴とする。
【0015】
第4発明は、前記第1発明〜第3発明の絶縁層において、焼結体の側面部分にLi2OとZnOを主成分とする低融点ガラスペーストを焼き付け、その焼き付け後の絶縁層の厚さが40μm以上となるように、前記低融点ガラスペーストを焼結体の側面部分に所定量塗布した後、550〜700℃の温度で焼き付け、前記塗布にはローラー塗布もしくはスプレー塗布を使用することを特徴とする。
【0017】
第5発明は、ZnOを主原料とする焼結体の側面部分に低融点ガラス絶縁層形成する工程において、低融点ガラス絶縁材は、有機バインダーとともにLi2OとZnOを主成分とする低融点ガラスを混合し混合物スラリーを得た後、この混合物スラリーに充填剤を添加し、その充填剤としてAl23,ZrO2,TiO2を少なくとも1種類添加し、その添加量はAl23において1〜60wt%以下,ZrO2において1〜50wt%以下,TiO2において1〜40wt%以下を混合し、調整されたガラスペーストを得た後、そのガラスペーストを焼結体の側面部分に塗布し、焼き付けることを特徴とする。
【0018】
上記第1発明〜第5発明によれば、焼結体の側面部分にLi2OとZnOを主成分とする低融点ガラスにより絶縁層を形成し、ZnO素子を得た後、そのZnO素子の制限電圧特性を向上させることができると共に、過大な雷インパルス及び開閉インパルスに対しても、ZnO素子による放電耐量を増強させる電圧非直線抵抗体を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を基に説明する。電圧非直線抵抗体の製造方法における側面絶縁処理工程において、焼結体の側面絶縁材料として低融点ガラス絶縁材料があり、従来の低融点ガラス絶縁材料には、鉛酸化物を主成分とするガラス材料が使用されていたが、その鉛酸化物を主成分とするガラス材料の代替絶縁材料として、Li2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料を使用している。
【0020】
(実施の形態1)
ここで、本発明の実施の形態1について説明する。図1に、本発明の実施の形態における電圧非直線抵抗体の製造工程図を示す。図1において、ステップST1は添加物製造工程を示すものであり、この工程では添加金属酸化物粉体であるCr23,Bi23,Co23,Sb23,MnO2,NiO,SiO2等の添加物原料を所定の配合量で、それぞれ計量し、この添加物原料の粉体総質量と同量の純水を加え、バイプロ・ミル等により2時間湿式混合し、粉砕して添加物スラリーを得た後、その添加物スラリーはステップST2に示す乳化混合工程に送られ、その添加物スラリーと,主原料であるZnOと,結合剤と分散剤から成る有機バインダー溶液を所定の配合量で、それぞれ計量し、ディスパー・ミル等により十分に混合し、原料スラリーを得た後、その原料スラリーはステップST3に示す造粒粉工程に送られ、その原料スラリーを十分に脱泡し、スプレー・ドライヤー等で噴霧乾燥し造粒粉を得る。
【0021】
前記造粒粉は、ステップST4に示す成形工程に送られ、その造粒粉を金型プレス機により一定の成形密度となるように成形圧力を調整し、例えば、直径40mm、厚さ40mm(φ40−t40)の円盤状の成形体に成形する。その後、ステップST5に示す仮焼工程にて、その成形体を800〜1000℃の温度で6時間仮焼して仮焼体を得る。
【0022】
前記仮焼体は、側面部分に絶縁処理をしないままステップST7aに示す焼成工程に送られ、その仮焼体を1100〜1200℃の温度で約10時間焼成して焼結体を得る。
【0023】
一方、ステップST5にて得られた仮焼体を、ステップST6に示すセラミック絶縁材塗布工程に送り、ZnO,Bi23,Sb23,SiO2を十分に粉砕し、混合して混合物スラリーを形成し、その混合物スラリーを乾燥し850〜950℃の温度で焙焼して絶縁粉体を得た後、この絶縁粉体と有機バインダーを混練して得られたペースト状のセラミック絶縁材を得、そのセラミック絶縁材ペーストをスプレー塗布により仮焼体の側面部分に塗布する。その後、ステップST7bに示す焼成工程に送り、この仮焼体を1100〜1200℃の温度で約10時間焼成して焼結体を得る。
【0024】
前記それぞれの焼結体は、ステップST8に示す低融点ガラス絶縁材塗布工程に送られ、低融点ガラス材料として鉛酸化物を主成分とする従来のガラス材料と、Li2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料を用意し、この各材料を有機溶媒の有機バインダーと有機溶剤と共に所定量混合し、ペースト状に調整し、従来のガラス絶縁材及び無鉛ガラス絶縁材を得、その従来のガラス絶縁材及び無鉛ガラス絶縁材を前記セラミック絶縁処理の有る焼結体の側面部分及びセラミック絶縁処理の無い焼結体の側面部分にローラー塗布し、その焼結体にガラス絶縁材を付着する。その焼結体の側面部分にセラミック絶縁処理の有無と従来のガラス絶縁材及び無鉛ガラス絶縁材の組み合わせ及び塗布質量は、試料S1においてセラミック絶縁処理の無い焼結体に従来のガラス絶縁材を0.60〜0.75g/コ塗布し,試料S2においてセラミック絶縁処理の有る焼結体に従来のガラス絶縁材を0.64〜0.76g/コ塗布し,試料S3においてセラミック絶縁処理の無い焼結体に無鉛ガラス絶縁材を0.68〜0.81g/コ塗布し,試料S4においてセラミック絶縁処理の有る焼結体に無鉛ガラス絶縁材を0.71〜0.79g/コ塗布する。
【0025】
前記それぞれの焼結体は、ステップST9に示す焼き付け工程に送られ、それぞれの焼結体を600℃で熱処理することにより、ガラス層が形成された焼結体を得る。ステップST10に示す研磨工程にて、前記それぞれの焼結体の両端面を研磨した後、そのそれぞれの焼結体はステップST11に示す電極付け工程にて、焼結体の表面に対してアルミニウムから成る電極を溶射してZnO素子を完成させる。
【0026】
なお、ステップST8に示す低融点ガラス絶縁材塗布工程において、従来のガラス絶縁材には旭テクノグラス(株)製のCode No.7578を使用し、無鉛ガラス絶縁材には旭テクノグラス(株)製のCode No.SK−360を使用している。
【0027】
次に、本発明の実施の形態における電圧非直線抵抗体の側断面図を図2に示す。図2の(a)は、絶縁層を低融点ガラス絶縁層のみとする1層構造の電圧非直線抵抗体の側断面図であり、符号1はZnO焼結体で、このZnO焼結体1の側面部分に低融点ガラスペーストを塗布し、焼き付けし、低融点ガラス絶縁層2を形成する。その後、ZnO焼結体1の両端面を研磨し、アルミニウムから成る電極を溶射してアルミニウム電極4を形成する。また、図2の(b)は、セラミック絶縁層を第1絶縁層とし、低融点ガラス絶縁層を第2絶縁層とする2層構造の電圧非直線抵抗体の側断面図であり、符号1はZnO焼結体で、このZnO焼結体1の側面部分に絶縁性セラミック材料を塗布し、焼き付けし、セラミック絶縁層3を形成し、そのセラミック絶縁層を形成したZnO焼結体の側面部分に低融点ガラスペーストを塗布し、焼き付けし、低融点ガラス絶縁層2を形成する。その後、ZnO焼結体1の両端面を研磨し、アルミニウムから成る電極を溶射してアルミニウム電極4を形成する。
【0028】
ここで、上記電圧非直線抵抗体の製造工程から得られた各試料のZnO素子に対するセラミック絶縁処理の有無と従来のガラス絶縁材及び無鉛ガラス絶縁材の組み合わせ,従来のガラス絶縁材及び無鉛ガラス絶縁材の塗布量を下記表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0004110887
【0030】
上記のようにして得られた本発明の実施の形態1における各試料S1〜S 4の電圧非直線抵抗体に対して電気特性試験を実施し、その電気特性試験結果を表2に示す。この電気特性試験の測定結果としては、ZnO素子の制限電圧比・ワットロスを求めたもので、DC小電流試験(V1mA,V0.1mA)を実施し、ZnO素子のα値(電圧非直線係数・α=1/{log(V1mA)−log(V0.1mA)})を求め、8/20μsで5kAの制限電圧とV1mAとの比較試験及びワットロス試験(ワットロスの測定条件は温度115℃、課電率85%)を実施し、4/10μsで40kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,4/10μsで50kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,4/10μsで65kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,2msで150Aの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を20回実施している。
【0031】
【表2】
Figure 0004110887
【0032】
上記表2の電気特性試験の測定結果から、焼結体の側面絶縁材料として低融点ガラス材料があり、その低融点ガラスとしてLi2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料、もしくは鉛酸化物を主成分とする従来のガラス材料とがある。前記Li2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料を焼結体の側面部分にローラー塗布し、焼き付け、無鉛ガラス絶縁層を形成し、完成された電圧非直線抵抗体を得る。その電圧非直線抵抗体の放電耐量特性は、鉛酸化物を主成分とする従来のガラス材料から絶縁層を形成する電圧非直線抵抗体の放電耐量特性と比べて、飛躍的に向上している。
【0033】
また、低融点ガラス絶縁層を1層構造とする電圧非直線抵抗体、及びセラミック絶縁層を第1絶縁層とし、低融点ガラス絶縁層を第2絶縁層とする2層構造の電圧非直線抵抗体において、鉛酸化物を主成分とする従来のガラス材料からガラス絶縁層を形成し、そのガラス絶縁層を1層構造もしくはセラミック絶縁層を第1絶縁層とし、ガラス絶縁層を第2絶縁層とする2層構造の電圧非直線抵抗体の放電耐量特性に比べて、Li2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料から絶縁層を形成し、その無鉛ガラス絶縁層を1層構造もしくはセラミック絶縁層を第1絶縁層とし、無鉛ガラス絶縁層を第2絶縁層とする2層構造の電圧非直線抵抗体の放電耐量特性の方が飛躍的に向上している。
【0034】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。上記本発明の実施の形態1と同様に、図1に、本発明の実施の形態における電圧非直線抵抗体の製造工程図を示す。図1において、ステップST1に示す添加物製造工程〜ステップST5に示す仮焼工程は、上記本発明の実施の形態1と同様の工程であり、その各工程から仮焼体を得ている。
【0035】
次に、ステップST6に示すセラミック絶縁材塗布工程は、本発明の実施の形態2において、仮焼体の側面部分にセラミック絶縁処理をせずにZnO素子を形成するため、ステップST6は不要である。
【0036】
前記仮焼体は、セラミック絶縁処理をしないままステップST7aに示す焼成工程に送られ、1100〜1200℃の温度で約10時間焼成して焼結体を得る。その焼結体は、ステップST8に示す低融点ガラス絶縁材塗布工程に送られ、低融点ガラス材料としてLi2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料を用意し、この無鉛ガラス材料を有機溶媒の有機バインダーと有機溶剤と共に混合し、ペースト状に調整し、無鉛ガラス絶縁材を得、その無鉛ガラス絶縁材を焼結体の側面部分にローラー塗布し、もしくはスプレー塗布する。そのローラー塗布及びスプレー塗布は無鉛ガラス絶縁材の塗布質量を変えて塗布し、その焼結体の側面部分に無鉛ガラス絶縁材を付着する。その焼結体の側面部分に無鉛ガラス絶縁材をローラー塗布するときの塗布質量は、試料SR1:0.36〜0.45g/コ,SR2:0.51〜0.58g/コ,SR3:0.68〜0.81g/コ,SR4:1.01〜1.15g/コであり、焼結体の側面部分に無鉛ガラス絶縁材をスプレー塗布するときの塗布質量は、試料SS1:0.33〜0.45g/コ,SS2:0.52〜0.59g/コ,SS3:0.66〜0.74g/コ,SS4:1.02〜1.18g/コである。
【0037】
前記それぞれの焼結体は、ステップST9に示す焼き付け工程に送られ、この焼結体を600℃で熱処理することにより、無鉛ガラス絶縁層が形成された焼結体を得る。その焼結体の側面部分にローラー塗布により形成された無鉛ガラス絶縁層の厚さは、試料SR1:30μm,SR2:40μm,SR3:50μm,SR4:80μmであり、焼結体の側面部分にスプレー塗布により形成された無鉛ガラス絶縁層の厚さは、試料SS1:30μm,SS2:40μm,SS3:50μm,SS4:80μmである。
【0038】
ここで、ステップST10に示す研磨工程及びステップST11に示す電極付け工程は、上記本発明の実施の形態1と同様であり、それぞれの焼結体の両端面を研磨し、アルミニウムから成る電極を溶射してZnO素子を完成させる。
【0039】
なお、ステップST8に示す塗布工程において、無鉛ガラス絶縁材には旭テクノグラス(株)製のCode No.SK−360を使用している。
【0040】
次に、電圧非直線抵抗体の側断面図を図2の(a)に示す。図2の(a)は、上記本発明の実施の形態1と同様であり、絶縁層を低融点ガラス絶縁層のみとする1層構造の電圧非直線抵抗体の側断面図である。符号1はZnO素子,符号2は低融点ガラス絶縁層及び符号4はアルミニウム電極を示している。
【0041】
ここで、上記電圧非直線抵抗体の製造工程から得られた各試料のZnO素子に対する焼結体の側面部分に無鉛ガラス絶縁材をローラー塗布による塗布質量及び無鉛ガラス絶縁層の厚さ,焼結体の側面部分に無鉛ガラス絶縁材をスプレー塗布による塗布質量及び無鉛ガラス絶縁層の厚さを下記表3に示す。
【0042】
【表3】
Figure 0004110887
【0043】
なお、表3における試料SR3は、上記本発明の実施の形態における試料S3と同様の焼結体である。
【0044】
上記のようにして得られた本発明の実施の形態2における試料SR1〜SR4及び試料SS1〜SS4の電圧非直線抵抗体に対して電気特性試験を実施し、その電気特性試験結果を表4に示す。この電気特性試験の測定結果としては、ZnO素子の制限電圧比・ワットロスを求めたもので、DC小電流試験(V1mA,V0.1mA)を実施し、ZnO素子のα値(電圧非直線係数・α=1/{log(V1mA)−log(V0.1mA)})を求め、8/20μsで5kAの制限電圧とV1mAとの比較試験及びワットロス試験(ワットロスの測定条件は温度115℃、課電率85%)を実施し、4/10μsで40kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,4/10μsで50kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,4/10μsで65kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,2msで150Aの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を20回実施している。
【0045】
【表4】
Figure 0004110887
【0046】
なお、表4における試料SR1及びSS1は、4/10μsにおける放電耐量試験の測定結果が試料SR3と比べて、電気的特性が悪化している。
【0047】
上記表4の電気特性試験の測定結果から、Li2OとZnOを主成分とする低融点ガラス絶縁材(無鉛ガラス絶縁材)を焼結体の側面部分に無鉛ガラス絶縁層の厚さが40μm以上となるように、所定量の無鉛ガラス絶縁材をローラー塗布、もしくはスプレー塗布することにより、無鉛ガラス絶縁層を形成し、完成された電圧非直線抵抗体を得る。その電圧非直線抵抗体の放電耐量特性は、鉛酸化物を主成分とする従来のガラス材料から絶縁層を形成する電圧非直線抵抗体の放電耐量特性と比べて、飛躍的に向上している。
【0048】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。上記本発明の実施の形態1及び2と同様に、図1に、本発明の実施の形態における電圧非直線抵抗体の製造工程図を示す。図1において、ステップST1に示す添加物製造工程〜ステップST7aに示す焼成工程は、上記本発明の実施の形態1及び2と同様の工程であり、その各工程から焼結体を得ている。
【0049】
ここで、前記焼結体は、仮焼体の側面部分にセラミック絶縁処理をしないまま1100〜1200℃の温度で約10時間焼成して焼結体を得る。
【0050】
前記焼結体は、ステップST8に示す低融点ガラス絶縁材塗布工程に送られ、低融点ガラス材料としてLi2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料を用意し、この無鉛ガラス材料を有機溶媒の有機バインダーと有機溶剤と共に所定量混合し、ペースト状に調整し、無鉛ガラス絶縁材を得、その無鉛ガラス絶縁材を焼結体の側面部分にローラー塗布し、その焼結体に無鉛ガラス絶縁材を付着する。その焼結体は、ステップST9に示す焼き付け工程に送られ、この焼結体を試料SH1:500℃,SH2:550℃,SH3:600℃,SH4:650℃,SH5:700℃,SH6:750℃の焼成温度により熱処理し、無鉛ガラス絶縁層が形成された焼結体を得る。
【0051】
ここで、ステップST10に示す研磨工程及びステップST11に示す電極付け工程は、上記本発明の実施の形態1と同様であり、それぞれの焼結体の両端面を研磨し、アルミニウムから成る電極を溶射してZnO素子を完成させる。
【0052】
なお、ステップST8に示す塗布工程において、無鉛ガラス絶縁材には旭テクノグラス(株)製のCode No.SK−360を使用している。
【0053】
次に、電圧非直線抵抗体の側断面図を図2の(a)に示す。図2の(a)は、上記本発明の実施の形態1と同様であり、低融点ガラス絶縁層を絶縁層とする1層構造の電圧非直線抵抗体の側断面図である。符号1はZnO素子,符号2は低融点ガラス絶縁層及び符号4はアルミニウム電極を示している。
【0054】
ここで、上記電圧非直線抵抗体の製造工程から得られた各試料のZnO素子に対する焼成温度を下記表5に示す。
【0055】
【表5】
Figure 0004110887
【0056】
なお、表5における試料SH6において、焼成温度が750℃の高温であるため、無鉛ガラス絶縁材は焼結体から剥離する。また、表5における試料SH3は、上記本発明の実施の形態1における試料S3と同様の焼結体である。
【0057】
上記のようにして得られた本発明の実施の形態3における各試料SH1〜SH6の電圧非直線抵抗体に対して電気特性試験を実施し、その電気特性試験結果を表6に示す。この電気特性試験の測定結果としては、ZnO素子の制限電圧比・ワットロスを求めたもので、DC小電流試験(V1mA,V0.1mA)を実施し、ZnO素子のα値(電圧非直線係数・α=1/{log(V1mA)−log(V0.1mA)})を求め、8/20μsで5kAの制限電圧とV1mAとの比較試験及びワットロス試験(ワットロスの測定条件は温度115℃、課電率85%)を実施し、4/10μsで40kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,4/10μsで50kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,4/10μsで65kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,2msで150Aの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を20回実施している。
【0058】
【表6】
Figure 0004110887
【0059】
上記表6の電気特性試験の測定結果から、Li2OとZnOを主成分とする低融点ガラス絶縁材(無鉛ガラス絶縁材)を焼結体の側面部分に所定量塗布し、550〜700℃の焼成温度で焼き付けることにより無鉛ガラス絶縁層を形成し、完成された電圧非直線抵抗体を得る。その電圧非直線抵抗体の電気的特性は、適正な電圧−電流特性があり、かつ、電圧非直線抵抗の放電耐量特性は、鉛酸化物を主成分とする従来のガラス材料から絶縁層を形成する電圧非直線抵抗体の放電耐量特性と比べて、優れている。
【0060】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。上記本発明の実施の形態1〜3と同様に、図1に、本発明の実施の形態における電圧非直線抵抗体の製造工程図を示す。図1において、ステップST1に示す添加物製造工程〜ステップST7aに示す焼成工程は、上記本発明の実施の形態1〜3と同様の工程であり、その各工程から焼結体を得ている。
【0061】
ここで、前記焼結体は、仮焼体の側面部分にセラミック絶縁処理をしないまま1100〜1200℃の温度で約10時間焼成して焼結体を得る。
【0062】
前記焼結体は、ステップST8に示す低融点ガラス絶縁材塗布工程に送られ、低融点ガラス材料としてLi2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料にAl23(酸化アルミニウム),ZrO2(酸化ジルコニウム),TiO2(酸化チタン)のパウダーを充填剤として所定量添加する。ここで、無鉛ガラス材料に充填剤を添加する添加量は、充填剤が酸化アルミニウムのとき、試料SFA1:無,SFA2:2wt%,SFA3:5wt%,SFA4:10wt%,SFA5:20wt%,SFA6:30wt%,SFA7:40wt%,SFA8:50wt%であり、充填剤が酸化ジルコニウムのとき、試料SFZ1:無,SFZ2:2wt%,SFZ3:5wt%,SFZ4:10wt%,SFZ5:20wt%,SFZ6:30wt%,SFZ7:40wt%,SFZ8:50wt%であり,充填剤が酸化チタンのとき、試料SFT1:無,SFT2:2wt%,SFT3:5wt%,SFT4:10wt%,SFT5:20wt%,SFT6:30wt%,SFT7:40wt%,SFT8:50wt%である。この充填剤を添加した無鉛ガラス材料を有機溶媒の有機バインダーと有機溶剤と共に所定量混合し、ペースト状に調整し、無鉛ガラス絶縁材を得、その無鉛ガラス絶縁材を焼結体の側面部分にローラー塗布する。そのローラー塗布は無鉛ガラス絶縁材の塗布質量を変えて塗布し、その焼結体の側面部分に無鉛ガラス絶縁材を付着する。その焼結体の側面部分に無鉛ガラス絶縁材をローラー塗布するときの塗布質量は、充填剤が酸化アルミニウムのとき、試料SFA1:0.68〜0.81g/コ,SFA2:0.65〜0.70g/コ,SFA3:0.62〜0.72g/コ,SFA4:0.70〜0.76g/コ,SFA5:0.71〜0.82g/コ,SFA6:0.72〜0.81g/コ,SFA7:0.69〜0.77g/コ,SFA8:0.75〜0.85g/コであり、充填剤が酸化ジルコニウムのとき、試料SFZ1:0.68〜0.81g/コ,SFZ2:0.59〜0.67g/コ,SFZ3:0.66〜0.78g/コ,SFZ4:0.61〜0.70g/コ,SFZ5:0.64〜0.72g/コ,SFZ6:0.60〜0.69g/コ,SFZ7:0.67〜0.74g/コ,SFZ8:0.65〜0.74g/コであり、充填剤が酸化チタンのとき、試料SFT1:0.68〜0.75g/コ,SFT2:0.64〜0.72g/コ,SFT3:0.71〜0.79g/コ,SFT4:0.69〜0.77g/コ,SFT5:0.64〜0.72g/コ,SFT6:0.64〜0.71g/コ,SFT7:0.66〜0.76g/コ,SFT8:0.74〜0.81g/コである。
【0063】
前記それぞれの焼結体は、ステップST9に示す焼き付け工程に送られ、この焼結体を600℃で熱処理することにより、無鉛ガラス絶縁層が形成された焼結体を得る。
【0064】
ここで、ステップST10に示す研磨工程及びステップST11に示す電極付け工程は、上記本発明の実施の形態1〜3と同様であり、それぞれ焼結体の両端面を研磨し、アルミニウムから成る電極を溶射してZnO素子を完成させる。
【0065】
なお、ステップST8に示す塗布工程において、無鉛ガラス絶縁材には旭テクノグラス(株)製のCode No.SK−360を使用している。
【0066】
次に、電圧非直線抵抗体の側断面図を図2の(a)に示す。図2の(a)は、上記本発明の実施の形態1と同様であり、低融点ガラス絶縁層を絶縁層とする1層構造の電圧非直線抵抗体の側断面図である。符号1はZnO素子,符号2は低融点ガラス絶縁層及び符号4はアルミニウム電極を示している。
【0067】
ここで、上記電圧非直線抵抗体の製造工程から得られた各試料のZnO素子に対し、酸化アルミニウムを充填剤としたときの充填剤添加量及び焼結体の側面部分に無鉛ガラス絶縁材をローラー塗布するときの塗布質量を下記表7に示す。
【0068】
【表7】
Figure 0004110887
【0069】
なお、表7における試料SFA1は、上記本発明の実施の形態1における試料S3と同様の焼結体である。
【0070】
また、上記電圧非直線抵抗体の製造工程から得られた各試料のZnO素子に対し、酸化ジルコニウムを充填剤としたときの充填剤添加量及び焼結体の側面部分に無鉛ガラス絶縁材をローラー塗布するときの塗布質量を下記表8に示す。
【0071】
【表8】
Figure 0004110887
【0072】
なお、表8における試料SFZ1は、上記本発明の実施の形態1における試料S3と同様の焼結体である。
【0073】
次に、上記電圧非直線抵抗体の製造工程から得られた各試料のZnO素子に対し、酸化チタンを充填剤としたときの充填剤添加量及び焼結体の側面部分に無鉛ガラス絶縁材をローラー塗布するときの塗布質量を下記表9に示す。
【0074】
【表9】
Figure 0004110887
【0075】
なお、表9における試料SFT1は、上記本発明の実施の形態1における試料S3と同様の焼結体である。また、試料SFT8は、絶縁材である無鉛ガラス絶縁材(低融点ガラス絶縁材)が焼結体に形成せずに、剥離してしまう。
【0076】
上記のようにして得られた本発明の実施の形態4における試料SFA1〜SFA8,試料SFZ1〜SFZ8及び試料SFT1〜SFT8の電圧非直線抵抗体に対して電気特性試験を実施し、表10に充填剤として酸化アルミニウムを使用したときの電気特性試験結果を示し、表11に充填剤として酸化ジルコニウムを使用したときの電気特性試験結果を示し、表12に充填剤として酸化チタンを使用したときの電気特性試験結果を示す。この電気特性試験の測定結果としては、ZnO素子の制限電圧比・ワットロスを求めたもので、DC小電流試験(V1mA,V0.1mA)を実施し、ZnO素子のα値(電圧非直線係数・α=1/{log(V1mA)−log(V0.1mA)})を求め、8/20μsで5kAの制限電圧とV1mAとの比較試験及びワットロス試験(ワットロスの測定条件は温度115℃、課電率85%)を実施し、4/10μsで40kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,4/10μsで50kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,4/10μsで65kAの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を2回実施し,2msで150Aの時の供試素子20個の破壊率における放電耐量試験を20回実施している。
【0077】
【表10】
Figure 0004110887
【0078】
【表11】
Figure 0004110887
【0079】
なお、表11における試料SFZ8は、4/10μs及び2msでの放電耐量試験の測定結果が試料SFZ1と比べて、悪化している。
【0080】
【表12】
Figure 0004110887
【0081】
また、表12における試料SFT7は、4/10μs及び2msでの放電耐量試験の測定結果が試料SFT1と比べて、悪化している。試料SFT8は、絶縁材である無鉛ガラス絶縁材(低融点ガラス絶縁材)が焼結体に形成せずに、剥離してしまう。
【0082】
上記表10,11,12の電気特性試験の測定結果から、低融点ガラス材料としてLi2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料に、充填材として酸化アルミニウム(Al23),酸化ジルコニウム(ZrO2)及び酸化チタン(TiO2)のパウダーを所定量添加する。この充填材は少なくとも1種類を、例えば酸化アルミニウムであれば2〜50wt%,酸化ジルコニウムであれば2〜40wt%,酸化チタンであれば2〜30wt%を添加し、この充填剤を添加した無鉛ガラス材料を有機溶媒の有機バインダーと有機溶剤と共に所定量混合し、ペースト状に調整し、無鉛ガラス絶縁材を得た後、焼結体の側面部分に所定量ローラー塗布し、焼き付け、無鉛ガラス絶縁層を形成し、完成された電圧非直線抵抗体を得る。その電圧非直線抵抗体の放電耐量特性は、鉛酸化物を主成分とする従来のガラス材料から絶縁層を形成された電圧非直線抵抗体の放電耐量特性と比べて、優れている。
【0083】
【発明の効果】
以上示したように本発明によれば、電圧非直線抵抗体の製造方法における側面絶縁処理工程において、焼結体の側面絶縁材料として低融点ガラス絶縁材料があり、従来の低融点ガラス絶縁材料には、鉛酸化物を主成分とするガラス材料が使用されていたが、その鉛酸化物を主成分とするガラス材料の代替絶縁材料として、Li2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料を使用するものである。
【0084】
前記Li2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料は、この無鉛ガラス材料を有機溶媒の有機バインダーと有機溶剤と共に所定量混合し、ペースト状に調整し、無鉛ガラス絶縁材を得た後、その無鉛ガラス絶縁材を焼結体の側面部分に塗布し、任意の焼成温度により熱処理し、無鉛ガラス絶縁層が形成された焼結体を得る。その焼結体を用いたZnO素子を使用し、完成された電圧非直線抵抗体を得る。
【0085】
前記焼結体の側面部分にLi2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料をローラー塗布し、焼き付けることにより絶縁層を形成し、完成された電圧非直線抵抗体を得る。その電圧非直線抵抗体の放電耐量特性は、従来の電圧非直線抵抗体の放電耐量特性に比べて、飛躍的に向上している。
【0086】
また、低融点ガラス絶縁層を1層構造とする電圧非直線抵抗体、及びセラミック絶縁層を第1絶縁層とし、低融点ガラス絶縁層を第2絶縁層とする2層構造の電圧非直線抵抗体において、鉛酸化物を主成分とする従来のガラス材料からガラス絶縁層を形成し、そのガラス絶縁層を1層構造もしくはセラミック絶縁層を第1絶縁層とし、ガラス絶縁層を第2絶縁層とする2層構造の電圧非直線抵抗体の放電耐量特性に比べて、Li2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料から絶縁層を形成し、その無鉛ガラス絶縁層を1層構造もしくはセラミック絶縁層を第1絶縁層とし、無鉛ガラス絶縁層を第2絶縁層とする2層構造の電圧非直線抵抗体の放電耐量特性の方が飛躍的に向上している。
【0087】
また、無鉛ガラス絶縁層の厚さが40μm以上となるように、所定量の無鉛ガラス絶縁材をローラー塗布、もしくはスプレー塗布することにより無鉛ガラス絶縁層を形成し、完成された電圧非直線抵抗体を得る。その電圧非直線抵抗体の放電耐量特性は、従来の電圧非直線抵抗体の放電耐量特性に比べて、飛躍的に向上している。
【0088】
なお、無鉛ガラス絶縁層の厚さが40μm以下の場合、従来の電圧非直線抵抗の放電耐量特性と比べて、電圧非直線抵抗の放電耐量特性は悪化する。
【0089】
また、無鉛ガラス絶縁材を付着した焼結体を焼成するときの焼成温度は550〜700℃で焼き付け、無鉛ガラス絶縁層を形成し、完成された電圧非直線抵抗体を得る。その電圧非直線抵抗体の電気的特性は、適正な電圧−電流特性があり、かつ、電圧非直線抵抗の放電耐量特性は、従来の電圧非直線抵抗体と比べて、放電耐量特性が優れている。
【0090】
なお、焼成温度が750℃以上のとき、Li2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス絶縁材は焼結体から剥離する。
【0091】
次に、Li2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料に、充填材として酸化アルミニウム,酸化ジルコニウム及び酸化チタンのパウダーを所定量添加する。この充填材は少なくとも1種類を、例えば酸化アルミニウムであれば2〜50wt%,酸化ジルコニウムであれば2〜40wt%,酸化チタンであれば2〜30wt%を所定量添加し、この無鉛ガラス材料と有機溶媒の有機バインダーと有機溶剤と共に所定量混合し、ペースト状に調整し、無鉛ガラス絶縁材を得た後、焼結体の側面部分にローラー塗布し、焼き付けることにより絶縁層を形成し、完成された電圧非直線抵抗体を得る。その電圧非直線抵抗体の放電耐量特性は、従来の電圧非直線抵抗と比べて、放電耐量特性が優れている。
【0092】
なお、Li2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料に、酸化ジルコニウムを50wt%添加された電圧非直線抵抗は、4/10μs及び2msでの放電耐量特性が、従来の電圧非直線抵抗と比べて、放電耐量特性が悪化している。
【0093】
また、Li2OとZnOを主成分とする無鉛ガラス材料に、酸化チタンを40wt%添加された電圧非直線抵抗は、4/10μs及び2msでの放電耐量特性が、従来の電圧非直線抵抗と比べて、放電耐量特性が悪化し、かつ、酸化チタンを50wt%添加した場合、絶縁材である無鉛ガラス絶縁材(低融点ガラス絶縁材)が焼結体に付着せず剥離してしまう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における電圧非直線抵抗体の製造工程図。
【図2】本発明の実施の形態における電圧非直線抵抗体の側断面図であり、(a)は絶縁層を低融点ガラス絶縁層のみとする1層構造の電圧非直線抵抗体の側断面図、(b)セラミック絶縁層を第1絶縁層とし、低融点ガラス絶縁層を第2絶縁層とする2層構造の電圧非直線抵抗体の側断面図。
【符号の説明】
ST1…添加物製造工程
ST2…乳化混合工程
ST3…造粒粉工程
ST4…成形工程
ST5…仮焼工程
ST6…セラミック絶縁材塗布工程
ST7a,b…焼成工程
ST8…低融点ガラス絶縁材塗布工程
ST9…焼き付け工程
ST10…研磨工程
ST11…電極付け工程
1…ZnO焼結体
2…低融点ガラス絶縁層
3…セラミック絶縁層
4…アルミニウム電極

Claims (5)

  1. Cr23,Bi23,Co23,Sb23,MnO2,NiO,SiO2等の複数個の金属酸化物を混合して添加物成分を得た後、原料スラリーとしての主成分であるZnO,有機バインダーとともに添加物成分を湿式混合し、乾燥し、粉砕して造粒粉を得、その造粒粉を円盤状等の成形体に成形し、脱脂してから、仮焼して仮焼体を形成した後、その仮焼体の側面部分にセラミック絶縁材を塗布し、焼成してセラミック絶縁層を形成した焼結体を得、その後、この焼結体の側面部分に低融点ガラス絶縁材を塗布して再び焼成し、低融点ガラス絶縁層を形成した焼結体を得てから、その焼結体の両端面に電極を設けて構成された電圧非直線抵抗体の製造方法において、
    前記低融点ガラス絶縁層を形成する工程は、有機溶媒に有機バインダーを使用し、その有機バインダーとともにLi2OとZnOを主成分とする低融点ガラスを混合してガラスペーストを調整し、そのガラスペーストを焼結体の側面部分に塗布した後、550〜700℃の温度で焼き付けることを特徴とする電圧非直線抵抗体の製造方法。
  2. 前記絶縁層は、仮焼体の側面部分にセラミック絶縁処理をしないまま焼成して焼結体を得、この焼結体の側面部分にLi2OとZnOを主成分とする低融点ガラスペーストを塗布した後、550〜700℃の温度で焼き付けて焼結体を得、この焼結体の絶縁層は低融点ガラス絶縁層の1層構造で形成したことを特徴とする前記請求項1記載の電圧非直線抵抗体の製造方法。
  3. 前記絶縁層は、仮焼体の側面部分にセラミック絶縁材を塗布し、焼成してセラミック絶縁層を第1絶縁層とする焼結体を得、この焼結体の側面部分にLi2OとZnOを主成分とする低融点ガラスペーストを塗布した後、550〜700℃の温度で焼き付けて低融点ガラス絶縁層を第2絶縁層とする焼結体を得、この焼結体の絶縁層はセラミック絶縁層と低融点ガラス絶縁層の2層構造で形成したことを特徴とする請求項1記載の電圧非直線抵抗体の製造方法。
  4. 前記絶縁層は、焼き付け後の絶縁層の厚さが40μm以上となるように、低融点ガラスペーストを焼結体の側面部分に塗布した後、550〜700℃の温度で焼き付け、前記塗布にはローラー塗布もしくはスプレー塗布を使用することを特徴とする請求項1〜3記載の電圧非直線抵抗体の製造方法。
  5. ZnOを主原料とする焼結体の側面部分に低融点ガラス絶縁層形成する工程からなる電圧非直線抵抗体の製造方法において、
    前記低融点ガラス絶縁層を形成する工程は、有機バインダーとともにLi2OとZnOを主成分とする低融点ガラスを混合し混合物スラリーを得た後、この混合物スラリーに充填剤を添加し、その充填剤としてAl23,ZrO2 TiO2を少なくとも1種類添加し、その添加量はAl23において1〜60wt%以下,ZrO2において1〜50wt%以下,TiO2において1〜40wt%以下を混合し、調整されたガラスペーストを得た後、そのガラスペーストを焼結体の側面部分に塗布し、焼き付けることを特徴とする電圧非直線抵抗体の製造方法。
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