JP2815990B2 - 非直線抵抗体の製造方法 - Google Patents
非直線抵抗体の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、避雷器等に用いられる酸化亜鉛を主成分と
した非直線抵抗体の製造方法に係り、特に、酸化亜鉛素
子側面の高抵抗層の形成手段に改良を施した非直線抵抗
体の製造方法に関するものである。
した非直線抵抗体の製造方法に係り、特に、酸化亜鉛素
子側面の高抵抗層の形成手段に改良を施した非直線抵抗
体の製造方法に関するものである。
(従来の技術) 従来から、電力系統において発生する異常電圧を抑制
し、電力系統を保護するために、避雷器が用いられてい
る。また、この避雷器には、正常な電圧では絶縁特性を
示し、異常電圧が印加された時には低抵抗特性を示し
て、系統を保護する非直線抵抗体が用いられている。こ
の非直線抵抗体は、一般にはバリスタと呼ばれ、その代
表的なものとして酸化亜鉛を主成分としたものがある。
し、電力系統を保護するために、避雷器が用いられてい
る。また、この避雷器には、正常な電圧では絶縁特性を
示し、異常電圧が印加された時には低抵抗特性を示し
て、系統を保護する非直線抵抗体が用いられている。こ
の非直線抵抗体は、一般にはバリスタと呼ばれ、その代
表的なものとして酸化亜鉛を主成分としたものがある。
一般に、避雷器等に用いられる金属酸化物からなる非
直線抵抗体は、以下に述べるようにして形成される。即
ち、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、ビスマス(Bi)、
アンチモン(Sb)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、
ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、ケイ素(Si)などの酸
化物を副成分とする原料を、水及び有機バインダーと共
に十分混合した後、スプレードライヤーなどで造粒し、
成形及び焼結する。その後、この焼結体の側面に、沿面
閃絡を防止するための高抵抗物質を塗布し、再焼成して
高抵抗層を形成する。さらに、この焼結体の上下両端面
を研磨し、電極を取付けることにより、非直線抵抗体が
形成される。従来の非直線抵抗体の高抵抗層について、
さらに詳しく説明すると、例えば、二酸化ケイ素(Si
O2),酸化ビスマス(Bi2O3),酸化アンチモン(Sb
2O3)等を、水及び有機バインダーと共に混合し、焼結
体側面に塗布した後、1000〜1200℃で焼成して、高抵抗
層が形成されている。
直線抵抗体は、以下に述べるようにして形成される。即
ち、酸化亜鉛(ZnO)を主成分とし、ビスマス(Bi)、
アンチモン(Sb)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、
ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、ケイ素(Si)などの酸
化物を副成分とする原料を、水及び有機バインダーと共
に十分混合した後、スプレードライヤーなどで造粒し、
成形及び焼結する。その後、この焼結体の側面に、沿面
閃絡を防止するための高抵抗物質を塗布し、再焼成して
高抵抗層を形成する。さらに、この焼結体の上下両端面
を研磨し、電極を取付けることにより、非直線抵抗体が
形成される。従来の非直線抵抗体の高抵抗層について、
さらに詳しく説明すると、例えば、二酸化ケイ素(Si
O2),酸化ビスマス(Bi2O3),酸化アンチモン(Sb
2O3)等を、水及び有機バインダーと共に混合し、焼結
体側面に塗布した後、1000〜1200℃で焼成して、高抵抗
層が形成されている。
(発明が解決しようとする課題) ところで、近年、電力系統は大容量化、高電圧化が進
み、これに伴って、避雷器を構成する非直線抵抗体の大
容量化が図られ、非直線抵抗体の厚さ及び面積の増量が
成されている。
み、これに伴って、避雷器を構成する非直線抵抗体の大
容量化が図られ、非直線抵抗体の厚さ及び面積の増量が
成されている。
しかしながら、この様な大形の非直線抵抗体は、焼結
時の変形が大きく、所定の形状が得られないといった欠
点があった。また、非直線抵抗特性の低下やバラツキ、
放電耐量特性のバラツキ等の電気的特性の低下が併せて
発生するといった欠点があった。
時の変形が大きく、所定の形状が得られないといった欠
点があった。また、非直線抵抗特性の低下やバラツキ、
放電耐量特性のバラツキ等の電気的特性の低下が併せて
発生するといった欠点があった。
そこで、非直線抵抗体の側面に、ケイ素樹脂やエポキ
シ樹脂等を塗布する方法が考えられているが、この様な
有機材料の塗布では、連続通電に対し、非直線抵抗体を
十分に安定化することはできなかった。また、特公昭54
−26710号公報には、焼結体の側面に、熱膨脹係数が3.5
×10-6〜8.0×10-6/℃のガラスを塗布し、通電に対して
安定で、しかも沿面閃絡のない非直線抵抗体の製造方法
が示されている。しかし、この方法では、焼結体の側面
に塗布されるものがガラスであるため、割れやすく、ま
た、接着性がないため、焼結体側面の曲げ強度は小さ
く、さらに、放電耐量特性のバラツキが大きくなってい
た。また、リン酸マグネシウムの様な無機リン酸塩を主
成分とする高抵抗層が用いられているが、この場合も、
その厚さによって放電耐量特性のバラツキが大きくなっ
ていた。
シ樹脂等を塗布する方法が考えられているが、この様な
有機材料の塗布では、連続通電に対し、非直線抵抗体を
十分に安定化することはできなかった。また、特公昭54
−26710号公報には、焼結体の側面に、熱膨脹係数が3.5
×10-6〜8.0×10-6/℃のガラスを塗布し、通電に対して
安定で、しかも沿面閃絡のない非直線抵抗体の製造方法
が示されている。しかし、この方法では、焼結体の側面
に塗布されるものがガラスであるため、割れやすく、ま
た、接着性がないため、焼結体側面の曲げ強度は小さ
く、さらに、放電耐量特性のバラツキが大きくなってい
た。また、リン酸マグネシウムの様な無機リン酸塩を主
成分とする高抵抗層が用いられているが、この場合も、
その厚さによって放電耐量特性のバラツキが大きくなっ
ていた。
本発明は、上記の欠点を解消するために提案されたも
ので、その目的は、高抵抗層の形成時においても、電気
的特性を低下させることのない、信頼性の高い非直線抵
抗体の製造方法を提供することにある。
ので、その目的は、高抵抗層の形成時においても、電気
的特性を低下させることのない、信頼性の高い非直線抵
抗体の製造方法を提供することにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 請求項1記載の発明は、酸化亜鉛を主成分とする成形
体を焼成して焼結体とし、この焼結体の側面に、マグネ
シウムとリン、あるいはアルミニウムとリン、あるいは
アルミニウムとケイ素とリンを含むリン酸含有液を塗
布、焼成して、焼結体側面に厚さ10〜200μmの高抵抗
層を形成することを特徴とするものである。
体を焼成して焼結体とし、この焼結体の側面に、マグネ
シウムとリン、あるいはアルミニウムとリン、あるいは
アルミニウムとケイ素とリンを含むリン酸含有液を塗
布、焼成して、焼結体側面に厚さ10〜200μmの高抵抗
層を形成することを特徴とするものである。
(作用) 本発明の非直線抵抗体の製造方法によれば、酸化亜鉛
を主体とする薬結体の側面に、安定性の高い高抵抗層を
形成することができるので、焼結体の側面強度の低下を
防止することができ、放電耐量特性の向上が可能とな
る。
を主体とする薬結体の側面に、安定性の高い高抵抗層を
形成することができるので、焼結体の側面強度の低下を
防止することができ、放電耐量特性の向上が可能とな
る。
(実施例) 以下、本発明の実施例を第1図乃至第7図に基づいて
具体的に説明する。
具体的に説明する。
第1実施例 本実施例においては、酸化亜鉛(ZnO)に、酸化ビス
マス(Bi2O3)、二酸化マンガン(MnO2)、二酸化ケイ
素(SiO2)、酸化クロム(Cr2O3)をそれぞれ0.5mol
%、酸化コバルト(Co2O3)、酸化アンチモン(Sb
2O3)、酸化ニッケル(NiO)をそれぞれ1mol%添加す
る。これらの原料を、水や分散剤等の有機バインダー類
と共に混合装置に入れて混合する。次に、この混合物を
スプレードライヤーで所定の粒径、例えば100μmに噴
霧造粒する。そして、この造粒粉を金型に入れて加圧
し、円板等所定の形状に成形することで成形体が作られ
る。この様にして得られた成形体は、添加した有機バイ
ンダー類を除くため、空気中で焼成することによって、
第1図に示した様な焼結体1となる。
マス(Bi2O3)、二酸化マンガン(MnO2)、二酸化ケイ
素(SiO2)、酸化クロム(Cr2O3)をそれぞれ0.5mol
%、酸化コバルト(Co2O3)、酸化アンチモン(Sb
2O3)、酸化ニッケル(NiO)をそれぞれ1mol%添加す
る。これらの原料を、水や分散剤等の有機バインダー類
と共に混合装置に入れて混合する。次に、この混合物を
スプレードライヤーで所定の粒径、例えば100μmに噴
霧造粒する。そして、この造粒粉を金型に入れて加圧
し、円板等所定の形状に成形することで成形体が作られ
る。この様にして得られた成形体は、添加した有機バイ
ンダー類を除くため、空気中で焼成することによって、
第1図に示した様な焼結体1となる。
そして、焼結体1の側面に、Mg、PをそれぞれMgO、P
2O5に換算して40mol%、30mol%、及び残部水からなる
リン酸含有液を、スプレーガンを使用して所定量塗布す
る。次に、焼結体1を400℃で2時間焼成することで、
焼結体1の側面に高抵抗層2を形成する。さらに、この
焼結体の上下両端面を研磨し、アルミニウムを溶射して
電極3を形成することによって、非直線抵抗体を得るこ
とができる。なお、前記高抵抗層2の厚みは、リン酸含
有液の塗布量を適宜変えることによって、所定の厚みを
得ることができる。
2O5に換算して40mol%、30mol%、及び残部水からなる
リン酸含有液を、スプレーガンを使用して所定量塗布す
る。次に、焼結体1を400℃で2時間焼成することで、
焼結体1の側面に高抵抗層2を形成する。さらに、この
焼結体の上下両端面を研磨し、アルミニウムを溶射して
電極3を形成することによって、非直線抵抗体を得るこ
とができる。なお、前記高抵抗層2の厚みは、リン酸含
有液の塗布量を適宜変えることによって、所定の厚みを
得ることができる。
この様にして得られた非直線抵抗体の放電耐量特性を
第2図に示した。なお、第2図においては、横軸に高抵
抗層の厚さ(対数目盛)をとり縦軸に、2.5msの矩形波
電流を用いた場合に20個の試料についてそれらが耐え得
る放電耐量特性をとっている。第2図に示した結果か
ら、高抵抗層の厚さが10〜200μmの時、放電耐量特性
が良好であることがわかる。
第2図に示した。なお、第2図においては、横軸に高抵
抗層の厚さ(対数目盛)をとり縦軸に、2.5msの矩形波
電流を用いた場合に20個の試料についてそれらが耐え得
る放電耐量特性をとっている。第2図に示した結果か
ら、高抵抗層の厚さが10〜200μmの時、放電耐量特性
が良好であることがわかる。
このことから、優れた放電耐量特性を有する非直線抵
抗体が得られる理由は、Mg、Pを含むリン酸含有液を所
定量塗布し、焼成することにより形成された高抵抗層が
10μmに満たない場合には、高抵抗層としての効果がな
く、200μmを越えた場合には、放電電流が印加された
時に、高抵抗層の表面に発生する熱応力と、焼結体と高
抵抗層との界面付近に発生する熱応力との差が大きくな
り、焼結体が破損しやすくなるためと考えられる。
抗体が得られる理由は、Mg、Pを含むリン酸含有液を所
定量塗布し、焼成することにより形成された高抵抗層が
10μmに満たない場合には、高抵抗層としての効果がな
く、200μmを越えた場合には、放電電流が印加された
時に、高抵抗層の表面に発生する熱応力と、焼結体と高
抵抗層との界面付近に発生する熱応力との差が大きくな
り、焼結体が破損しやすくなるためと考えられる。
なお、Mg、Pを、それぞれMgO、P2O5に換算して30〜7
0mol%、10〜60mol%とした場合も、第2図に示した結
果と同様に放電耐量が向上されることが確認された。ま
た、上記の実施例においては、焼結体のスラリー原料と
して酸化物原料を使用したが、焼結して酸化物になるも
のであれば良く、例えば水酸化物、炭酸化物、シュウ酸
化物であっても同様の効果が得られる。さらに、上記の
実施例で示した以外の添加物を添加しても良い。
0mol%、10〜60mol%とした場合も、第2図に示した結
果と同様に放電耐量が向上されることが確認された。ま
た、上記の実施例においては、焼結体のスラリー原料と
して酸化物原料を使用したが、焼結して酸化物になるも
のであれば良く、例えば水酸化物、炭酸化物、シュウ酸
化物であっても同様の効果が得られる。さらに、上記の
実施例で示した以外の添加物を添加しても良い。
第2実施例 本実施例は、第1実施例のマグネシウムの代わりにア
ルミニウムを用いたものである。即ち、焼結体1の側面
に、Al、PをそれぞれAl2O3、P2O5に換算して40mol%、
30mol%、及び残部水からなるリン酸含有液を、スプレ
ーガンを使用して所定量塗布する。以下の工程は第1実
施例と同様である。
ルミニウムを用いたものである。即ち、焼結体1の側面
に、Al、PをそれぞれAl2O3、P2O5に換算して40mol%、
30mol%、及び残部水からなるリン酸含有液を、スプレ
ーガンを使用して所定量塗布する。以下の工程は第1実
施例と同様である。
この様にして得られた非直線抵抗体の放電耐量特性を
第3図に示した。第3図から、高抵抗層の厚さが10〜20
0μmの時、放電耐量特性が良好であることがわかる。
第3図に示した。第3図から、高抵抗層の厚さが10〜20
0μmの時、放電耐量特性が良好であることがわかる。
なお、Al、Pをそれぞれ、Al2O3、P2O5に換算して30
〜70mol%、10〜60mol%とした場合も、第3図に示した
結果と同様に放電耐量が向上されることが確認された。
〜70mol%、10〜60mol%とした場合も、第3図に示した
結果と同様に放電耐量が向上されることが確認された。
第3実施例 本実施例は、第1実施例のマグネシウムと代わりにア
ルミニウム及びケイ素を用いたものである。即ち、焼結
体1の側面に、Al、Si、PをそれぞれAl2O3、SiO2、P2O
5に換算して20mol%、20mol%、30mol%からなるリン酸
含有液を、スプレーガンを使用して所定量塗布する。以
下の工程は第1実施例と同様である。
ルミニウム及びケイ素を用いたものである。即ち、焼結
体1の側面に、Al、Si、PをそれぞれAl2O3、SiO2、P2O
5に換算して20mol%、20mol%、30mol%からなるリン酸
含有液を、スプレーガンを使用して所定量塗布する。以
下の工程は第1実施例と同様である。
この様にして得られた非直線抵抗体の放電耐量特性を
第4図に示した。第4図から、高抵抗層の厚さが10〜20
0μmの時、放電耐量特性が良好であることがわかる。
第4図に示した。第4図から、高抵抗層の厚さが10〜20
0μmの時、放電耐量特性が良好であることがわかる。
なお、Al、Si、Pを、それぞれ、Al2O3、SiO2、P2O5
に換算して10〜50mol%、10〜60mol%、10〜60mol%と
した場合も、第4図に示した結果と同様に放電耐量が向
上されることが確認された。
に換算して10〜50mol%、10〜60mol%、10〜60mol%と
した場合も、第4図に示した結果と同様に放電耐量が向
上されることが確認された。
第4実施例 第1実施例に示した方法によって形成された焼結体の
側面に、ZrO2、SiO2を主成分とする無機系接着剤(Zr
O2、40〜60wt%、SiO2:30〜50wt%,Al2O3:2〜4wt%、Na
2O:1.5〜3.5wt%、その他Ca,Fe,Cu,Ni等)をスプレーガ
ンを使用して所定量塗布し、焼成後の膜厚が30μmにな
るようにする。そして、無機系接着剤を塗布した後、焼
結体1を徐々に加熱していき、150℃で2時間、350℃1
時間焼成することで、焼結体1の側面に高抵抗層2を形
成する。さらに、この焼結体の上下両端面を研磨し、ア
ルミニウムを溶射して電極3を形成することによって、
非直線抵抗体を得ることができる。
側面に、ZrO2、SiO2を主成分とする無機系接着剤(Zr
O2、40〜60wt%、SiO2:30〜50wt%,Al2O3:2〜4wt%、Na
2O:1.5〜3.5wt%、その他Ca,Fe,Cu,Ni等)をスプレーガ
ンを使用して所定量塗布し、焼成後の膜厚が30μmにな
るようにする。そして、無機系接着剤を塗布した後、焼
結体1を徐々に加熱していき、150℃で2時間、350℃1
時間焼成することで、焼結体1の側面に高抵抗層2を形
成する。さらに、この焼結体の上下両端面を研磨し、ア
ルミニウムを溶射して電極3を形成することによって、
非直線抵抗体を得ることができる。
なお、無機系接着剤としては、その接着強度が50kg/c
m2〜300kg/cm2のものを用いることが望ましい。また、
無機系接着剤は、加熱硬化時に凹凸部を残すことがある
ため、膜厚を10μm以上とすることが望ましく、一方、
膜厚が厚すぎると、焼結体の冷熱サイクル時に亀裂が入
ったり剥離する危険性が高いため、150μm以下とする
ことが望ましい。さらに、無機系接着剤の塗布作業は、
電極3を形成する前でも、後でも良い。
m2〜300kg/cm2のものを用いることが望ましい。また、
無機系接着剤は、加熱硬化時に凹凸部を残すことがある
ため、膜厚を10μm以上とすることが望ましく、一方、
膜厚が厚すぎると、焼結体の冷熱サイクル時に亀裂が入
ったり剥離する危険性が高いため、150μm以下とする
ことが望ましい。さらに、無機系接着剤の塗布作業は、
電極3を形成する前でも、後でも良い。
また、本発明に使用することのできる無機系接着剤と
しては、種々のものが考えられるが、以下に述べる条件
を満たすものであることが必要である。即ち、焼結体と
無機系接着剤の密着性を良くし、また、無機接着剤の厚
みを10μm以上とするため、焼結体と無機系接着剤の熱
膨張係数が近いものであることが望ましい。具体的に
は、酸化亜鉛焼結体の熱膨張係数が5.7×10-6〜7.0×10
-6/℃であるため、無機系接着剤の熱膨張係数は3.0×10
-6〜9.0×10-6/℃が良い。これは、両者の熱膨張係数の
差が大きいと、熱処理して冷却する間に、焼結体または
無機系接着剤に応力が働き、無機系接着剤の亀裂、焼結
体と破壊あるいは無機系接着剤の剥離が生じ、連続通電
に対する安定化や沿面閃絡の防止に十分な効果が得られ
ないためである。また、無機系接着剤は保護被膜として
使用するため、それ自体が不安定で、吸湿性が高く、経
時変化するものであってはならない。さらに、無機系接
着剤塗布後の加熱硬化温度は、無機系接着剤の種類によ
って異なるが、約150℃以上の温度が要求される。ま
た、加熱硬化後の冷却は自然放冷が良い。
しては、種々のものが考えられるが、以下に述べる条件
を満たすものであることが必要である。即ち、焼結体と
無機系接着剤の密着性を良くし、また、無機接着剤の厚
みを10μm以上とするため、焼結体と無機系接着剤の熱
膨張係数が近いものであることが望ましい。具体的に
は、酸化亜鉛焼結体の熱膨張係数が5.7×10-6〜7.0×10
-6/℃であるため、無機系接着剤の熱膨張係数は3.0×10
-6〜9.0×10-6/℃が良い。これは、両者の熱膨張係数の
差が大きいと、熱処理して冷却する間に、焼結体または
無機系接着剤に応力が働き、無機系接着剤の亀裂、焼結
体と破壊あるいは無機系接着剤の剥離が生じ、連続通電
に対する安定化や沿面閃絡の防止に十分な効果が得られ
ないためである。また、無機系接着剤は保護被膜として
使用するため、それ自体が不安定で、吸湿性が高く、経
時変化するものであってはならない。さらに、無機系接
着剤塗布後の加熱硬化温度は、無機系接着剤の種類によ
って異なるが、約150℃以上の温度が要求される。ま
た、加熱硬化後の冷却は自然放冷が良い。
この様にして得られた非直線抵抗体の側面強度を、従
来例と比較して種々検討した結果を以下に示す。まず、
第5図は、無機系接着剤の熱膨張係数と焼結体の側面強
度との関係を示したものである。ここで、図中の本発明
品は熱膨張係数が3.0×10-6/℃の無機系接着剤を塗布
したもの、本発明品は熱膨張係数が9.0×10-6/℃の無
機系接着剤を塗布したもの、比較例は熱膨張係数が13.0
×10-6/℃の無機系接着剤を塗布したものである。ま
た、塗布の厚さは約100μmである。さらに、横軸の側
面強度は、塗布後及び塗布前の焼結体の側面からそれぞ
れ試験片を作製して、三点曲げにより強度を求め、塗布
後の側面強度を塗布前の側面強度で割った値で表してい
る。第5図から明らかな様に、従来例や比較例では、側
面強度は塗布前より低下したが本発明品,において
は低下しなかった。
来例と比較して種々検討した結果を以下に示す。まず、
第5図は、無機系接着剤の熱膨張係数と焼結体の側面強
度との関係を示したものである。ここで、図中の本発明
品は熱膨張係数が3.0×10-6/℃の無機系接着剤を塗布
したもの、本発明品は熱膨張係数が9.0×10-6/℃の無
機系接着剤を塗布したもの、比較例は熱膨張係数が13.0
×10-6/℃の無機系接着剤を塗布したものである。ま
た、塗布の厚さは約100μmである。さらに、横軸の側
面強度は、塗布後及び塗布前の焼結体の側面からそれぞ
れ試験片を作製して、三点曲げにより強度を求め、塗布
後の側面強度を塗布前の側面強度で割った値で表してい
る。第5図から明らかな様に、従来例や比較例では、側
面強度は塗布前より低下したが本発明品,において
は低下しなかった。
また、表−1は、無機系接着剤の熱膨張係数と耐量値
の関係を示したものである。
の関係を示したものである。
ここで、耐量値は、電流値65KA、波形4×10μsの衝
撃電流を5分間隔で印加した場合に、試験片の50%が破
壊する印加回数(以下、50%破壊回数と称す)で示し
た。即ち、耐量値が大きい程、安定性が高いことにな
る。表から明らかな様に、従来例では約3であったが、
本発明品では約11と大幅に向上している。
撃電流を5分間隔で印加した場合に、試験片の50%が破
壊する印加回数(以下、50%破壊回数と称す)で示し
た。即ち、耐量値が大きい程、安定性が高いことにな
る。表から明らかな様に、従来例では約3であったが、
本発明品では約11と大幅に向上している。
次に、熱膨張係数が3.0×10-6/℃の無機系接着剤の厚
さを変えて(5〜200μm)、側面強度と耐量値を調
べ、その結果を第6図及び表−2に示した。
さを変えて(5〜200μm)、側面強度と耐量値を調
べ、その結果を第6図及び表−2に示した。
即ち、第6図及び表−2に示した様に、無機系接着剤の
厚さが5μmと薄い場合や、200μmと厚い場合には、
側面強度が低下し、耐量値も低いが、厚さが10〜150μ
mの本発明品においては、側面強度の低下は認められ
ず、また、高い耐量値が得られた。
厚さが5μmと薄い場合や、200μmと厚い場合には、
側面強度が低下し、耐量値も低いが、厚さが10〜150μ
mの本発明品においては、側面強度の低下は認められ
ず、また、高い耐量値が得られた。
なお、第6図に示した結果は、無機系接着剤の成分
を、ZrO2:50wt%、SiO2:40wt%,Al2O3:3wt%、Na2O:3wt
%とした場合のものであるが、ZrO2:40〜60wt%、SiO2:
30〜50wt%,Al2O3:2〜4wt%、Na2O:1.5〜3.5wt%の場合
も、同様の効果が得られることが確認された。
を、ZrO2:50wt%、SiO2:40wt%,Al2O3:3wt%、Na2O:3wt
%とした場合のものであるが、ZrO2:40〜60wt%、SiO2:
30〜50wt%,Al2O3:2〜4wt%、Na2O:1.5〜3.5wt%の場合
も、同様の効果が得られることが確認された。
さらに、無機系接着剤の接着強度と、側面強度及び耐
量値の関係を調べ、その結果を第7図及び表−3に示し
た。
量値の関係を調べ、その結果を第7図及び表−3に示し
た。
即ち、第7図及び表−3に示した様に、無機系接着剤
の接着強度が50〜300kg/cm2のものは、側面強度の低下
は認められず、また、高い耐量値が得られた。
の接着強度が50〜300kg/cm2のものは、側面強度の低下
は認められず、また、高い耐量値が得られた。
なお、第7図に示した結果は、無機系接着剤の成分
を、Al2O3:60wt%、SiO2:20wt%、Na2O:5wt%とした場
合のものであるが、Al2O3:50〜70wt%、SiO2:10〜30wt
%、Na2O:3〜6wt%の場合も、同様の効果が得られるこ
とが確認された。
を、Al2O3:60wt%、SiO2:20wt%、Na2O:5wt%とした場
合のものであるが、Al2O3:50〜70wt%、SiO2:10〜30wt
%、Na2O:3〜6wt%の場合も、同様の効果が得られるこ
とが確認された。
[発明の効果] 以上述べた様に、本発明によれば、焼結体の側面に、
マグネシウムとリン、あるいはアルミニウムとリン、あ
るいはアルミニウムとケイ素とリンを含むリン酸含有液
を塗布、焼成して、焼結体側面に厚さ10〜200μmの高
抵抗層を形成することによって、高抵抗層の形成時にお
いても、電気的特性を低下させることのない、信頼性の
高い非直線抵抗体の製造方法を提供することができる。
マグネシウムとリン、あるいはアルミニウムとリン、あ
るいはアルミニウムとケイ素とリンを含むリン酸含有液
を塗布、焼成して、焼結体側面に厚さ10〜200μmの高
抵抗層を形成することによって、高抵抗層の形成時にお
いても、電気的特性を低下させることのない、信頼性の
高い非直線抵抗体の製造方法を提供することができる。
第1図は本発明により得られた非直線抵抗体の側面図、
第2図乃至第4図は第1実施例乃至第3実施例における
放電耐量特性を示す図、第5図は無機系接着剤の熱膨張
係数と焼結体の側面強度との関係を示す図、第6図は無
機系接着剤の厚さと側面強度との関係を示す図、第7図
は無機系接着剤の接着強度と側面強度との関係を示す図
である。 1……焼結体、2……高抵抗層、3……電極。
第2図乃至第4図は第1実施例乃至第3実施例における
放電耐量特性を示す図、第5図は無機系接着剤の熱膨張
係数と焼結体の側面強度との関係を示す図、第6図は無
機系接着剤の厚さと側面強度との関係を示す図、第7図
は無機系接着剤の接着強度と側面強度との関係を示す図
である。 1……焼結体、2……高抵抗層、3……電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01C 7/02 - 7/22
Claims (1)
- 【請求項1】酸化亜鉛を主成分とする成形体を焼成して
焼結体とし、この焼結体の側面にマグネシウム、リン
を、それぞれMgO、P2O5に換算して30〜70mol%、10〜60
mol%、あるいは、アルミニウム、リンを、それぞれAl2
O3、P2O5に換算して30〜70mol%、10〜60mol%、あるい
は、アルミニウム、ケイ素、リンをそれぞれAl2O3、SiO
2、P2O5に換算して10〜50mol%、10〜60mol%、10〜60m
ol%含むリン酸含有液を塗布、焼成して、焼結体側面に
厚さ10〜200μmの高抵抗層を形成することを特徴とす
る非直線抵抗体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2196224A JP2815990B2 (ja) | 1990-07-26 | 1990-07-26 | 非直線抵抗体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2196224A JP2815990B2 (ja) | 1990-07-26 | 1990-07-26 | 非直線抵抗体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0483302A JPH0483302A (ja) | 1992-03-17 |
JP2815990B2 true JP2815990B2 (ja) | 1998-10-27 |
Family
ID=16354267
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2196224A Expired - Fee Related JP2815990B2 (ja) | 1990-07-26 | 1990-07-26 | 非直線抵抗体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2815990B2 (ja) |
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US5614074A (en) * | 1994-12-09 | 1997-03-25 | Harris Corporation | Zinc phosphate coating for varistor and method |
EP0806780B1 (en) * | 1996-05-09 | 2000-08-02 | Littlefuse, Inc. | Zinc phosphate coating for varistor and method |
EP2538841A2 (en) | 2010-02-26 | 2013-01-02 | Myskin, Inc. | Analytic methods of tissue evaluation |
CN115410784B (zh) * | 2022-09-30 | 2023-09-01 | 深圳市辰驹电子科技有限公司 | 一种电子元器件的高分子复合材料一体化封装方法 |
Family Cites Families (1)
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---|---|---|---|---|
JPS51140153A (en) * | 1975-05-28 | 1976-12-02 | Kyosan Electric Mfg Co Ltd | Contact protective system |
-
1990
- 1990-07-26 JP JP2196224A patent/JP2815990B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0483302A (ja) | 1992-03-17 |
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