JP2002217005A - 非直線抵抗体およびその製造方法 - Google Patents

非直線抵抗体およびその製造方法

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JP2002217005A
JP2002217005A JP2001009847A JP2001009847A JP2002217005A JP 2002217005 A JP2002217005 A JP 2002217005A JP 2001009847 A JP2001009847 A JP 2001009847A JP 2001009847 A JP2001009847 A JP 2001009847A JP 2002217005 A JP2002217005 A JP 2002217005A
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mol
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Takeshi Udagawa
剛 宇田川
Hideyasu Ando
秀泰 安藤
Takahiko Shindou
尊彦 新藤
Akiko Suyama
章子 須山
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】厚さが厚く、大型化することができ、大型化し
ても抵抗値のバラツキが少なく、動作開始電圧が低く、
放電耐量特性や課電寿命特性に優れた非直線抵抗体およ
びその製造方法を提供する。 【解決手段】酸化亜鉛を主成分とし、副成分として、ビ
スマス、アンチモン、コバルト、マンガン、ニッケルを
それぞれ、酸化ビスマス(Bi23)に換算して0.1
〜5.0mol%、酸化アンチモン(Sb23)に換算
して0.1〜2.0mol%、酸化コバルト(CoO)
に換算して0.1〜2.0mol%、酸化マンガン(M
nO)に換算して0.1〜2.0mol%、酸化ニッケ
ル(NiO)に換算して0.1〜2.0mol%含有
し、ビスマスとアンチモン及び、ビスマスとニッケルの
相対比がそれぞれ酸化物に換算してSb23/Bi23
<0.5、NiO/Bi23<0.5である構成とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化亜鉛(Zn
O)を主成分として構成され避雷器、サージアブソーバ
等に設けられる非直線抵抗体およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、電力系統や電子機器回路におけ
る異常電圧を抑制し、電力系統や電子機器を保護するた
めに避雷器やサージアブソーバが設けられている。そし
て、この避雷器やサージアブソーバには、正常な電圧で
絶縁特性を示し、異常電圧が印加されたときに低抵抗特
性を示すことにより、系統や回路を保護する非直線抵抗
体が採用されている。
【0003】この非直線抵抗体の製造方法は、概略以下
の通りである。原料は、ZnOを主成分とし、副成分と
して、例えば、特開平5−234716号公報に記載さ
れているように、Bi23、Sb23、CoO、Mn
O、Cr23等を加えている。これらの原料を水及び有
機バインダーとともに十分混合した後にスプレードライ
ヤーなどで造粒し、成形及び焼結される。この後、焼結
体の側面に沿面閃絡を防止するための高抵抗物質を塗布
し再焼成して側面の高抵抗層が形成される。そして、焼
結体の両端面を研磨し電極を取付けて、非直線抵抗体が
製造される。
【0004】最近の電子機器は、サージ耐量の低下が原
因で特に誘導雷被害が激増傾向にあり、産業用サージ吸
収装置の需要は年々増加している。特に、北陸地方な
ど、雷発生の多い地域では、低電圧系統避雷器素子に気
中で200kA以上の耐インパルス特性が必要とされて
いる。しかし、現行の素子では抵抗値が高く、動作開始
電圧V1mAが180〜200V/mmであり、これを
100Vクラスの低圧系統に使用すると素子1枚の厚さ
は0.5〜数mmとなり、耐量特性の低下や、製造プロ
セス上の問題が生じる。
【0005】素子の抵抗値を低くすることができれば、
非直線抵抗体の厚さを増加することができ、エネルギー
処理量の増加が図れる。このため、動作開始電圧V1m
Aの低い非直線抵抗体が望まれている。しかしながら非
直線抵抗体の厚さを厚くする場合、別の問題が生じる。
すなわち、大型の非直線抵抗体に使用される焼結体は、
焼結時の部分的な焼成温度の不均一等の影響により、Z
nO結晶粒子の異常粒成長が起こり、抵抗値のバラツキ
が生じ易くなる。さらに、抵抗の低い部分に電流が集中
し、耐量特性の低下・寿命特性の低下を招くという問題
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
非直線抵抗体は動作開始電圧V1mAが高く、避雷器の
制限電圧による制約から、非直線抵抗体の厚さの増加が
困難である。また、大型化すると、焼結体に部分的な抵
抗値のバラツキが生じ、放電耐量特性や課電寿命特性が
低下するという問題がある。
【0007】本発明は上記の問題を解決するためになさ
れたもので、厚さが厚く、大型化することができ、大型
化しても抵抗値のバラツキが少なく、動作開始電圧が低
く、放電耐量特性や課電寿命特性に優れた非直線抵抗体
およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明は、板状をなす焼結体と、この焼結体
の側面に形成された高抵抗層と、前記焼結体の端面に形
成された電極とを備え、前記焼結体は、酸化亜鉛を主成
分とし、副成分として、ビスマス、アンチモン、コバル
ト、マンガン、ニッケルをそれぞれ、酸化ビスマス(B
23)に換算して0.1〜5.0mol%、酸化アン
チモン(Sb23)に換算して0.1〜2.0mol
%、酸化コバルト(CoO)に換算して0.1〜2.0
mol%、酸化マンガン(MnO)に換算して0.1〜
2.0mol%、酸化ニッケル(NiO)に換算して
0.1〜2.0mol%含有し、ビスマスとアンチモン
及び、ビスマスとニッケルの相対比がそれぞれ酸化ビス
マス(Bi23)、酸化アンチモン(Sb23)、酸化
ニッケル(NiO)に換算してSb23/Bi23
0.5、NiO/Bi23<0.5である構成とする。
【0009】この発明によれば、副成分の作用によって
ZnO結晶粒子の成長を均一に促進し、過剰の粒成長や
異常粒成長や粒子径のばらつきを抑えることができると
推定される。その結果、非直線抵抗体のバリスタ電圧
(動作開始電圧V1mA)を低くすることができるとと
もに、放電耐量が優れた非直線抵抗体が得られる。
【0010】請求項2の発明は、焼結体の焼成温度は1
050〜1250℃であり、1000℃から750℃ま
での降温速度は25〜100℃/hである構成とする。
この発明によれば、おそらく電界強度に強い結晶相が増
加するために、DC課電寿命特性の良好な非直線抵抗体
が得られる。
【0011】請求項3の発明は、焼結体の気孔率は15
%以下である構成とする。この発明によれば、放電耐量
特性の良好な非直線抵抗体を得ることができる。請求項
4の発明は、焼結体の端面の表面粗さは中心線平均粗さ
Raで1〜2μmである構成とする。この発明によれ
ば、焼結体と電極の密着強さの高い非直線抵抗体が得ら
れる。
【0012】請求項5の発明は、焼結体の端面はスピネ
ル粒子で覆われている構成とする。この発明によれば、
焼結体と電極の密着強さの高い非直線抵抗体が得られ
る。請求項6の発明は、高抵抗層はオルトリン酸アルミ
ニウム(AlPO3)を主成分とする無機絶縁材からな
る構成とする。この発明によれば、放電耐量特性の良好
な非直線抵抗体を得ることができる。
【0013】請求項7の発明は、高抵抗層は絶縁性弾性
部材からなる構成とする。この発明によれば、放電耐量
特性の良好な非直線抵抗体を得ることができる。請求項
8の発明は、絶縁性弾性部材はフッ素系樹脂である構成
とする。この発明によれば、放電耐量特性およびDC課
電寿命特性の優れた非直線抵抗体が得られる。
【0014】請求項9の発明は、電極はAlまたはAl
合金からなる層とCuまたはCu合金からなる層を有す
る構成とする。この発明によれば、放電耐量特性の良好
な非直線抵抗体を得ることができる。
【0015】請求項10の発明は、電極の厚さは300
μm以下である構成とする。この発明によれば、放電耐
量特性の良好な非直線抵抗体を得ることができる。請求
項11の発明は、電極は、アーク溶射法またはプラズマ
溶射法または高速ガス炎溶射法または高速吹き付け法で
形成させる構成とする。この発明によれば、放電耐量特
性の良好な非直線抵抗体を得ることができる。
【0016】請求項12の発明は、電極の上に、導電性
樹脂材料、または錫(Sn)および銀(Ag)を主成分
とし融点が210℃以上の特性をもつ材料で接合された
端子電極を備えた構成とする。この発明によれば、放電
耐量特性の良好な非直線抵抗体を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下本発明のいくつかの実施例
を、図を参照して説明する。第1の実施例は、主成分Z
nO、および副成分Bi23、Sb23、CoO、Mn
O、NiOを所定量秤量し、図1の表に示す試料No.
1〜24の原料とした。この原料を水及び分散剤などの
有機バインダーとともに混合装置にて混合した。次に、
この混合物を例えばスプレードライヤーで所定の粒径例
えば100μmに噴霧造粒した。そして、この造粒粉を
金型に入れ加圧し、円板等所定の形状に成形して成形体
を得た。こうして得られた成形体は、添加した有機バイ
ンダー類を除去するために空気中で例えば500℃で焼
成し、さらに空気中で1200℃で2時間で焼成するこ
とにより、図2に示す非直線抵抗体の焼結体1が得られ
た。
【0018】次に、焼結体1の側面に焼成して高抵抗と
なる絶縁物を塗布した後に焼成して高抵抗層2を形成し
た。この後、焼結体1の両端面を研磨し、この両端面に
アルミニウムを溶射して電極3を形成した。こうして図
2に示す非直線抵抗体が得られた。以上のようにして得
られた非直線抵抗体の電気特性を次に説明する。
【0019】これらの非直線抵抗体のバリスタ電圧(動
作開始電圧V1mA)と放電耐量特性を図1の表に示
す。放電耐量特性は、非直線抵抗体に雷インパルス(波
形:4/10μs)電流を、順次電流値を増加させなが
ら印加し、非直線抵抗体が耐えた電流値の平均値で示し
た。なお、非直線抵抗体はその厚さを調整し、非直線抵
抗体1個の動作開始電圧V1mAを同じにして、放電耐
量試験を行った。図1の表に示したデータから、本実施
例の非直線抵抗体は、従来のものに比べ、バリスタ電圧
1mAが20〜100V/mmとなり、放電耐量特性
も良好であることがわかる。
【0020】このように、この第1の実施例において、
放電耐量特性が従来のものに比べて良好な非直線抵抗体
が得られる理由は、次のように考えられる。すなわち、
ZnOを主成分とする非直線抵抗体の抵抗は、ZnO粒
子の粒界において発現する。したがって、非直線抵抗体
の抵抗は、粒界の数の逆数、すなわちZnO粒子の粒径
によって決定される。ZnO粒子の成長は添加された副
成分により影響される。副成分のうち、Bi23は、焼
結中液相になり、ZnOを溶解し、その移動を促進する
ことによりZnO結晶粒子の成長を促進する。一方、S
23は、焼成中、スピネル粒子を形成させ、ZnO結
晶粒子の成長を制御する。またNiOはZnO結晶粒子
の成長を抑制し、制限電圧を向上させる働きがある。
【0021】本実施例ではこれらの組成比を最適に制御
することにより、ZnO結晶粒子の成長を均一に促進
し、過剰の粒成長や異常粒成長や粒子径のばらつきを抑
えることができる。その結果、非直線抵抗体のバリスタ
電圧(動作開始電圧V1mA)を低くすることができる
とともに、放電耐量が優れた非直線抵抗体が得られると
考えられる。
【0022】次に、本発明の第2の実施例を説明する。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi23、Sb2
3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で、焼成温度を1050℃、1
100℃、1200℃あるいは1250℃とし、100
0℃から750℃までの降温速度を50℃/h、100
℃/hあるいは200℃/hとして焼結体を得た。ま
た、比較のために、降温速度を250℃/hとして焼結
体を得た。続いて、側面の高抵抗層形成以下第1の実施
例と同様の製造方法により、非直線抵抗体を製造した。
【0023】本実施例の非直線抵抗体は、第1の実施例
と同様、バリスタ電圧は20〜100V/mmであり、
非直線特性も良好であった。
【0024】以上のようにして得られた非直線抵抗体の
DC課電寿命特性(ΔV1μA(%))を図3の表に示
す。DC課電寿命特性は、大気中、120℃で、課電率
はバリスタ電圧に対して100%で行った。図3の表に
は、500時間課電した後の、1μAの電流が流れる電
圧V1μAの変化率を示した。図3の表に示したデータ
から、本実施例の非直線抵抗体は、比較例に比べ、DC
課電寿命特性が良好であることがわかる。
【0025】このように本実施例において、DC課電寿
命特性が比較例に比べて良好な非直線抵抗体が得られる
理由は、概略次のように考えられる。すなわち、本実施
例における非直線抵抗体は、Bi23を含んでおり、焼
成の降温過程において、Bi 23は、825℃において
液相から固相に変わるが、この過程において、降温速度
を50〜200℃/hとすることにより、焼結体中のB
23結晶相に変化が起こり、その結果、電界強度に強
い結晶相が増加するためと考えられる。
【0026】なお、本実施例では、Bi23、Sb
23、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%、0.75mol%、0.75mo
l%、3.0mol%含み、焼成温度を1050℃〜1
250℃とし、1000℃から750℃までの降温速度
を50℃/h〜200℃/hとした例について示した
が、請求項1の組成比のもの、すなわち、酸化亜鉛を主
成分とし、副成分として、ビスマス、アンチモン、コバ
ルト、マンガン、ニッケルをそれぞれ、酸化ビスマス
(Bi23)に換算して0.1〜5.0mol%、酸化
アンチモン(Sb23)に換算して0.1〜2.0mo
l%、酸化コバルト(CoO)に換算して0.1〜2.
0mol%、酸化マンガン(MnO)に換算して0.1
〜2.0mol%、酸化ニッケル(NiO)に換算して
0.1〜2.0mol%含有し、ビスマスとアンチモン
及び、ビスマスとニッケルの相対比がそれぞれ酸化ビス
マス(Bi 23)、酸化アンチモン(Sb23)、酸化
ニッケル(NiO)に換算してSb 23/Bi23
0.5、NiO/Bi23<0.5であるものを用い、
焼成温度を1050℃〜1250℃とし、1000℃か
ら750℃までの降温速度を50℃/h〜200℃/h
とした場合についても同様の効果が得られることが確認
されている。
【0027】次に、本発明の第3の実施例を説明する。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi23、Sb2
3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で、噴霧造粒し、この造粒粉を
金型に入れ加圧し、圧力を変えて成形し、それぞれの成
形体を得た。この後は第1の実施例と同様の製造方法で
非直線抵抗体を製造した。
【0028】得られた非直線抵抗体の電流−電圧特性、
放電耐量特性を評価し、同時にそれぞれの非直線抵抗体
の気孔率を調査した。非直線抵抗体のバリスタ電圧は2
0〜100V/mmであることを確認した。
【0029】図4に非直線抵抗体の気孔率と放電耐量の
関係を示す。放電耐量は、雷インパルス(波形:4/1
0μs)電流を、順次電流値を増加させながら印加し、
非直線抵抗体が耐えた電流値の平均値で示した。図4に
示した結果から明らかなように、放電耐量特性は気孔率
が15%以下にあるとき第1の実施例(図1の表)に比
べてさらに改善されている。
【0030】なお、本実施例では、ZnOにたいして、
Bi23、Sb23、CoO、MnO、NiOをそれぞ
れ5.0mol%、1.0mol%0.75mol%、
0.75mol%、3.0mol%含む場合について示
したが、前記の請求項1の組成範囲にある場合について
も同様の効果が得られることが確認されている。
【0031】次に、本発明の第4の実施例を説明する。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi23、Sb2
3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で噴霧造粒、成形、焼成を行っ
た後、アルミ溶射で電極皮膜を設ける際、焼結体の表面
粗さを砥石の粗さを変えて調整した。同時に研磨をしな
い状態すなわち焼成後の表面状態がスピネル粒子で覆わ
れている状態で電極皮膜を形成した非直線抵抗体も作製
した。
【0032】これらの非直線抵抗体の電極皮膜と焼結体
の密着力を調べるため電極皮膜側に冶具を接着し、引っ
張り強度を調べた。電極皮膜と焼結体表面の密着強さと
表面粗さとの関係を図5に示す。図5から明らかなよう
に、電極皮膜と焼結体表面の密着強さは、表面粗さが中
心線平均粗さRaで1〜2μmの時が最も高い。
【0033】焼結体の表面状態がスピネル粒子で覆われ
ている状態では表面粗さが中心線平均粗さRaで1〜2
μmの範囲に入るが、その表面は粒界相が消失している
ため、焼結体自身の強度が強く、脱粒が起こりにくくな
っており、そのため密着力も高いと考えられる。
【0034】なお、本実施例では、主成分ZnOにたい
して、Bi23、Sb23、CoO、MnO、NiOを
それぞれ5.0mol%、1.0mol%0.75mo
l%、0.75mol%、3.0mol%含む場合につ
いて示したが、前記の請求項1の組成範囲にある場合に
ついても同様の効果が得られることが確認されている。
【0035】次に、本発明の第5の実施例を説明する。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi23、Sb2
3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で、噴霧造粒から焼成を行い、
種々の材質からなる側面の高抵抗層を作製した。一つは
側面円周部に第1リン酸アルミニウム、ムライト、酸化
鉄からなるスラリーを塗布し、約500℃で焼付けを行
ない、所定の表面粗さに研磨し、その表面に電極皮膜を
形成させた。焼付け後の高抵抗層の分析の結果、オルト
リン酸アルミニウム(AlPO3)とムライトが検出さ
れた。
【0036】他の一つはエポキシ樹脂を流動浸積法で積
層させ、200℃で焼き付け、その表面に電極皮膜を形
成させた。さらに他の一つはフッ素樹脂を同様に流動浸
積法で積層させ、350℃で焼き付けその表面に電極皮
膜を形成させた。比較例としてコーティングを施さない
非直線抵抗体を作製した。これらの得られた4種類の非
直線抵抗体の電流−電圧特性、放電耐量特性、DC課電
寿命特性を評価した結果を図6の表に示す。
【0037】それぞれの非直線抵抗体のバリスタ電圧は
20〜100V/mmであることを確認した。放電耐量
特性は、雷インパルス(波形:4/10μs)電流を、
順次電流値を増加させながら印加し、非直線抵抗体が耐
えた電流値の平均値で示した。DC課電寿命特性は、大
気中、120℃で、課電率はV1mAに対して100%
で行った。図6の表には、500時間課電した後の、V
1μAの変化率を示した。
【0038】図6の表に示したデータから明らかなよう
に、放電耐量特性はコーティングを施したものが特性が
良く、特にフッ素樹脂を用いたものはDC寿命特性が最
も良好であった。
【0039】次に、本発明の第6の実施例を説明する。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi23、Sb2
3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で噴霧造粒、成形、焼成を行っ
た後、所定の表面粗さで研磨した後、種々の電極皮膜を
形成させた後、さらに端子電極を電極皮膜上に半田を用
いて接合した。
【0040】電極皮膜は図7の表に示すように2層構造
とし、第1層にアルミ(Al)、第二層に銅(Cu)を
用いたもの、第1層にアルミ(Al)、第二層に銅と亜
鉛の合金(Cu/Zn)を用いたもの、比較例として第
1層に銅(Cu)を用いたもの、第1層に銅と亜鉛の合
金(Cu/Zn)を用いたものを作製し、非直線抵抗体
の電流-電圧特性、放電耐量特性、DC課電寿命特性を
評価した。
【0041】それぞれの非直線抵抗体のバリスタ電圧は
20〜100V/mmであることを確認した。放電耐量
特性は、雷インパルス(波形:4/10μs)電流を、
順次電流値を増加させながら印加し、非直線抵抗体が耐
えた電流値の平均値で示した。
【0042】図7の表に示したデータから明らかなよう
に、放電耐量特性は電極皮膜が2層構造のものが特性が
よい。この理由は次のように考えられる。すなわち、雷
インパルスのような大きな電流が非直線抵抗体に流れる
時、短時間に急激な発熱が生じ、熱応力が発生する。こ
の熱応力によって電極皮膜と焼結体の間に剥離が生じ、
ついには破壊に至るが、電極皮膜を2層化すると電極皮
膜と焼結体の密着力が向上し、放電耐量特性が向上する
ためと考えられる。
【0043】電極皮膜はアーク溶射により形成させてい
るが、このとき溶射時間や溶射距離を変化させることに
よって電極皮膜の膜厚さを変化させることができる。図
8に、第1層にアルミ(Al)第二層に銅(Cu)を用
い、電極皮膜の厚さを種々に変化させた非直線抵抗体に
雷インパルス(波形:4/10μs)電流を、順次電流
値を増加させながら印加し、非直線抵抗体が耐えた電流
の平均値を示した。図8に示したデータから明らかなよ
うに、電極皮膜が300μm以下であるとき良好な特性
を示す。
【0044】なお、本実施例では電極皮膜の形成はアー
ク溶射で行ったが、アーク溶射以外の電極形成法、すな
わち、プラズマ溶射や、高速ガス炎溶射、高速吹き付け
溶射で電極皮膜を形成させた場合も良好な特性を示すこ
とが確認されている。
【0045】次に、本発明の第7の実施例を説明する。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi23、Sb2
3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で噴霧造粒、成形、焼成を行っ
た後、所定の表面粗さで研磨した後、第1層にアルミ
(Al)を溶射し、さらに第二層に銅と亜鉛の合金(C
u/Zn)を溶射して電極皮膜を形成させた。その後、
さらに端子電極を電極皮膜上に密着させ、錫(Sn)、
銀(Ag)を主成分とする低融点金属を用いて260℃
で焼き付け接合した。比較例として一般的なPb半田を用
いた非直線抵抗体も作製し、放電耐量特性を評価した。
図9の表に結果を示す。
【0046】放電耐量特性は、雷インパルス(波形:4
/10μs)電流を、順次電流値を増加させながら印加
し、非直線抵抗体が耐えた電流の平均値で示した。図9
の表に示したデータから、放電耐量特性は錫(Sn)、
銀(Ag)を主成分とする低融点金属を用いたものが特
性が良ことが判る。この理由は錫(Sn)、銀(Ag)
を主成分とする低融点金属は融点が高いため、雷インパ
ルスのような大きな電流が非直線抵抗体に流れる時、短
時間に急激な発熱が生じても安定な特性を示すためであ
ると考えられる。
【0047】以上、非直線抵抗体の表面に電極皮膜を形
成させ、低融点金属で端子電極を接合したが、電極皮膜
や低融点金属を用いず、導電性樹脂を塗布し、端子電極
を密着させ、200℃で焼き付け接合させる方法もあ
る。この方法では電極皮膜を形成させ、低融点金属で接
合させる場合に比べ工程数を低減することができ、コス
トメリットのある非直線抵抗体を提供することができ
る。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、厚さが厚く、大型化す
ることができ、大型化しても抵抗値のバラツキが少な
く、動作開始電圧が低く、放電耐量特性や課電寿命特性
に優れた非直線抵抗体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る非直線抵抗体の組
成と電特特性を示す表。
【図2】本発明の第1の実施例に係る非直線抵抗体を示
す断面図。
【図3】本発明の第2の実施例に係る非直線抵抗体の製
造条件と電気特性を示す表。
【図4】本発明の第3の実施例に係る非直線抵抗体の気
孔率と放電耐量の関係を示すグラフ。
【図5】本発明の第4の実施例に係る非直線抵抗体の表
面粗さと電極の密着強さの関係を示すグラフ。
【図6】本発明の第6の実施例に係る非直線抵抗体の高
抵抗層の材質と電気特性を示す表。
【図7】本発明の第6の実施例に係る非直線抵抗体の電
極の材質・構造と電気特性を示す表。
【図8】本発明の第6の実施例に係る非直線抵抗体の電
極皮膜厚さと放電耐量の関係を示すグラフ。
【図9】本発明の第7の実施例に係る非直線抵抗体の端
子電極の取付け方法と電気特性を示す表。
【符号の説明】
1…焼結体、2…高抵抗層、3…電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新藤 尊彦 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 須山 章子 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 Fターム(参考) 5E034 CA09 CB01 CC05 DA03 DB13 DB16 DC03 DC09 DE08 EA07

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状をなす焼結体と、この焼結体の側面
    に形成された高抵抗層と、前記焼結体の端面に形成され
    た電極とを備え、前記焼結体は、酸化亜鉛を主成分と
    し、副成分として、ビスマス、アンチモン、コバルト、
    マンガン、ニッケルをそれぞれ、酸化ビスマス(Bi2
    3)に換算して0.1〜5.0mol%、酸化アンチ
    モン(Sb23)に換算して0.1〜2.0mol%、
    酸化コバルト(CoO)に換算して0.1〜2.0mo
    l%、酸化マンガン(MnO)に換算して0.1〜2.
    0mol%、酸化ニッケル(NiO)に換算して0.1
    〜2.0mol%含有し、ビスマスとアンチモン及び、
    ビスマスとニッケルの相対比がそれぞれ酸化ビスマス
    (Bi23)、酸化アンチモン(Sb23)、酸化ニッ
    ケル(NiO)に換算してSb23/Bi23<0.
    5、NiO/Bi23<0.5であることを特徴とする
    非直線抵抗体。
  2. 【請求項2】 焼結体の焼成温度は1050〜1250
    ℃であり、1000℃から750℃までの降温速度は2
    5〜100℃/hであることを特徴とする請求項1記載
    の非直線抵抗体の製造方法。
  3. 【請求項3】 焼結体の気孔率は15%以下であること
    を特徴とする請求項1記載の非直線抵抗体。
  4. 【請求項4】 焼結体の端面の表面粗さは中心線平均粗
    さRaで1〜2μmであることを特徴とする請求項1記
    載の非直線抵抗体。
  5. 【請求項5】 焼結体の端面はスピネル粒子で覆われて
    いることを特徴とする請求項1記載の非直線抵抗体。
  6. 【請求項6】 高抵抗層はオルトリン酸アルミニウム
    (AlPO3)を主成分とする無機絶縁材からなること
    を特徴とする請求項1記載の非直線抵抗体。
  7. 【請求項7】 高抵抗層は絶縁性弾性部材からなること
    を特徴とする請求項1記載の非直線抵抗体。
  8. 【請求項8】 絶縁性弾性部材はフッ素系樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項7記載の非直線抵抗体。
  9. 【請求項9】 電極はAlまたはAl合金からなる層と
    CuまたはCu合金からなる層を有することを特徴とす
    る請求項1記載の非直線抵抗体。
  10. 【請求項10】 電極の厚さは300μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の電圧非直線抵抗体。
  11. 【請求項11】 電極は、アーク溶射法またはプラズマ
    溶射法または高速ガス炎溶射法または高速吹き付け法で
    形成させることを特徴とする請求項1記載の非直線抵抗
    体の製造方法。
  12. 【請求項12】 電極の上に、導電性樹脂材料、または
    錫(Sn)および銀(Ag)を主成分とし融点が210
    ℃以上の特性をもつ材料で接合された端子電極を備えた
    ことを特徴とする請求項1記載の非直線抵抗体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011171665A (ja) * 2010-02-22 2011-09-01 Toshiba Corp 電流−電圧非直線抵抗体およびその製造方法
JP2014224302A (ja) * 2013-05-14 2014-12-04 隆科電子(恵陽)有限公司Longke Electronics (Huiyang) Co., Ltd. 電子セラミックスエレメントの卑金属複合電極、及びその製造方法

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