JP2002217005A - 非直線抵抗体およびその製造方法 - Google Patents
非直線抵抗体およびその製造方法Info
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Abstract
ても抵抗値のバラツキが少なく、動作開始電圧が低く、
放電耐量特性や課電寿命特性に優れた非直線抵抗体およ
びその製造方法を提供する。 【解決手段】酸化亜鉛を主成分とし、副成分として、ビ
スマス、アンチモン、コバルト、マンガン、ニッケルを
それぞれ、酸化ビスマス(Bi2O3)に換算して0.1
〜5.0mol%、酸化アンチモン(Sb2O3)に換算
して0.1〜2.0mol%、酸化コバルト(CoO)
に換算して0.1〜2.0mol%、酸化マンガン(M
nO)に換算して0.1〜2.0mol%、酸化ニッケ
ル(NiO)に換算して0.1〜2.0mol%含有
し、ビスマスとアンチモン及び、ビスマスとニッケルの
相対比がそれぞれ酸化物に換算してSb2O3/Bi2O3
<0.5、NiO/Bi2O3<0.5である構成とす
る。
Description
O)を主成分として構成され避雷器、サージアブソーバ
等に設けられる非直線抵抗体およびその製造方法に関す
る。
る異常電圧を抑制し、電力系統や電子機器を保護するた
めに避雷器やサージアブソーバが設けられている。そし
て、この避雷器やサージアブソーバには、正常な電圧で
絶縁特性を示し、異常電圧が印加されたときに低抵抗特
性を示すことにより、系統や回路を保護する非直線抵抗
体が採用されている。
の通りである。原料は、ZnOを主成分とし、副成分と
して、例えば、特開平5−234716号公報に記載さ
れているように、Bi2O3、Sb2O3、CoO、Mn
O、Cr2O3等を加えている。これらの原料を水及び有
機バインダーとともに十分混合した後にスプレードライ
ヤーなどで造粒し、成形及び焼結される。この後、焼結
体の側面に沿面閃絡を防止するための高抵抗物質を塗布
し再焼成して側面の高抵抗層が形成される。そして、焼
結体の両端面を研磨し電極を取付けて、非直線抵抗体が
製造される。
因で特に誘導雷被害が激増傾向にあり、産業用サージ吸
収装置の需要は年々増加している。特に、北陸地方な
ど、雷発生の多い地域では、低電圧系統避雷器素子に気
中で200kA以上の耐インパルス特性が必要とされて
いる。しかし、現行の素子では抵抗値が高く、動作開始
電圧V1mAが180〜200V/mmであり、これを
100Vクラスの低圧系統に使用すると素子1枚の厚さ
は0.5〜数mmとなり、耐量特性の低下や、製造プロ
セス上の問題が生じる。
非直線抵抗体の厚さを増加することができ、エネルギー
処理量の増加が図れる。このため、動作開始電圧V1m
Aの低い非直線抵抗体が望まれている。しかしながら非
直線抵抗体の厚さを厚くする場合、別の問題が生じる。
すなわち、大型の非直線抵抗体に使用される焼結体は、
焼結時の部分的な焼成温度の不均一等の影響により、Z
nO結晶粒子の異常粒成長が起こり、抵抗値のバラツキ
が生じ易くなる。さらに、抵抗の低い部分に電流が集中
し、耐量特性の低下・寿命特性の低下を招くという問題
がある。
非直線抵抗体は動作開始電圧V1mAが高く、避雷器の
制限電圧による制約から、非直線抵抗体の厚さの増加が
困難である。また、大型化すると、焼結体に部分的な抵
抗値のバラツキが生じ、放電耐量特性や課電寿命特性が
低下するという問題がある。
れたもので、厚さが厚く、大型化することができ、大型
化しても抵抗値のバラツキが少なく、動作開始電圧が低
く、放電耐量特性や課電寿命特性に優れた非直線抵抗体
およびその製造方法を提供することを目的とする。
に請求項1の発明は、板状をなす焼結体と、この焼結体
の側面に形成された高抵抗層と、前記焼結体の端面に形
成された電極とを備え、前記焼結体は、酸化亜鉛を主成
分とし、副成分として、ビスマス、アンチモン、コバル
ト、マンガン、ニッケルをそれぞれ、酸化ビスマス(B
i2O3)に換算して0.1〜5.0mol%、酸化アン
チモン(Sb2O3)に換算して0.1〜2.0mol
%、酸化コバルト(CoO)に換算して0.1〜2.0
mol%、酸化マンガン(MnO)に換算して0.1〜
2.0mol%、酸化ニッケル(NiO)に換算して
0.1〜2.0mol%含有し、ビスマスとアンチモン
及び、ビスマスとニッケルの相対比がそれぞれ酸化ビス
マス(Bi2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化
ニッケル(NiO)に換算してSb2O3/Bi2O3<
0.5、NiO/Bi2O3<0.5である構成とする。
ZnO結晶粒子の成長を均一に促進し、過剰の粒成長や
異常粒成長や粒子径のばらつきを抑えることができると
推定される。その結果、非直線抵抗体のバリスタ電圧
(動作開始電圧V1mA)を低くすることができるとと
もに、放電耐量が優れた非直線抵抗体が得られる。
050〜1250℃であり、1000℃から750℃ま
での降温速度は25〜100℃/hである構成とする。
この発明によれば、おそらく電界強度に強い結晶相が増
加するために、DC課電寿命特性の良好な非直線抵抗体
が得られる。
%以下である構成とする。この発明によれば、放電耐量
特性の良好な非直線抵抗体を得ることができる。請求項
4の発明は、焼結体の端面の表面粗さは中心線平均粗さ
Raで1〜2μmである構成とする。この発明によれ
ば、焼結体と電極の密着強さの高い非直線抵抗体が得ら
れる。
ル粒子で覆われている構成とする。この発明によれば、
焼結体と電極の密着強さの高い非直線抵抗体が得られ
る。請求項6の発明は、高抵抗層はオルトリン酸アルミ
ニウム(AlPO3)を主成分とする無機絶縁材からな
る構成とする。この発明によれば、放電耐量特性の良好
な非直線抵抗体を得ることができる。
部材からなる構成とする。この発明によれば、放電耐量
特性の良好な非直線抵抗体を得ることができる。請求項
8の発明は、絶縁性弾性部材はフッ素系樹脂である構成
とする。この発明によれば、放電耐量特性およびDC課
電寿命特性の優れた非直線抵抗体が得られる。
合金からなる層とCuまたはCu合金からなる層を有す
る構成とする。この発明によれば、放電耐量特性の良好
な非直線抵抗体を得ることができる。
μm以下である構成とする。この発明によれば、放電耐
量特性の良好な非直線抵抗体を得ることができる。請求
項11の発明は、電極は、アーク溶射法またはプラズマ
溶射法または高速ガス炎溶射法または高速吹き付け法で
形成させる構成とする。この発明によれば、放電耐量特
性の良好な非直線抵抗体を得ることができる。
樹脂材料、または錫(Sn)および銀(Ag)を主成分
とし融点が210℃以上の特性をもつ材料で接合された
端子電極を備えた構成とする。この発明によれば、放電
耐量特性の良好な非直線抵抗体を得ることができる。
を、図を参照して説明する。第1の実施例は、主成分Z
nO、および副成分Bi2O3、Sb2O3、CoO、Mn
O、NiOを所定量秤量し、図1の表に示す試料No.
1〜24の原料とした。この原料を水及び分散剤などの
有機バインダーとともに混合装置にて混合した。次に、
この混合物を例えばスプレードライヤーで所定の粒径例
えば100μmに噴霧造粒した。そして、この造粒粉を
金型に入れ加圧し、円板等所定の形状に成形して成形体
を得た。こうして得られた成形体は、添加した有機バイ
ンダー類を除去するために空気中で例えば500℃で焼
成し、さらに空気中で1200℃で2時間で焼成するこ
とにより、図2に示す非直線抵抗体の焼結体1が得られ
た。
なる絶縁物を塗布した後に焼成して高抵抗層2を形成し
た。この後、焼結体1の両端面を研磨し、この両端面に
アルミニウムを溶射して電極3を形成した。こうして図
2に示す非直線抵抗体が得られた。以上のようにして得
られた非直線抵抗体の電気特性を次に説明する。
作開始電圧V1mA)と放電耐量特性を図1の表に示
す。放電耐量特性は、非直線抵抗体に雷インパルス(波
形:4/10μs)電流を、順次電流値を増加させなが
ら印加し、非直線抵抗体が耐えた電流値の平均値で示し
た。なお、非直線抵抗体はその厚さを調整し、非直線抵
抗体1個の動作開始電圧V1mAを同じにして、放電耐
量試験を行った。図1の表に示したデータから、本実施
例の非直線抵抗体は、従来のものに比べ、バリスタ電圧
V1mAが20〜100V/mmとなり、放電耐量特性
も良好であることがわかる。
放電耐量特性が従来のものに比べて良好な非直線抵抗体
が得られる理由は、次のように考えられる。すなわち、
ZnOを主成分とする非直線抵抗体の抵抗は、ZnO粒
子の粒界において発現する。したがって、非直線抵抗体
の抵抗は、粒界の数の逆数、すなわちZnO粒子の粒径
によって決定される。ZnO粒子の成長は添加された副
成分により影響される。副成分のうち、Bi2O3は、焼
結中液相になり、ZnOを溶解し、その移動を促進する
ことによりZnO結晶粒子の成長を促進する。一方、S
b2O3は、焼成中、スピネル粒子を形成させ、ZnO結
晶粒子の成長を制御する。またNiOはZnO結晶粒子
の成長を抑制し、制限電圧を向上させる働きがある。
することにより、ZnO結晶粒子の成長を均一に促進
し、過剰の粒成長や異常粒成長や粒子径のばらつきを抑
えることができる。その結果、非直線抵抗体のバリスタ
電圧(動作開始電圧V1mA)を低くすることができる
とともに、放電耐量が優れた非直線抵抗体が得られると
考えられる。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi2O3、Sb2
O3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で、焼成温度を1050℃、1
100℃、1200℃あるいは1250℃とし、100
0℃から750℃までの降温速度を50℃/h、100
℃/hあるいは200℃/hとして焼結体を得た。ま
た、比較のために、降温速度を250℃/hとして焼結
体を得た。続いて、側面の高抵抗層形成以下第1の実施
例と同様の製造方法により、非直線抵抗体を製造した。
と同様、バリスタ電圧は20〜100V/mmであり、
非直線特性も良好であった。
DC課電寿命特性(ΔV1μA(%))を図3の表に示
す。DC課電寿命特性は、大気中、120℃で、課電率
はバリスタ電圧に対して100%で行った。図3の表に
は、500時間課電した後の、1μAの電流が流れる電
圧V1μAの変化率を示した。図3の表に示したデータ
から、本実施例の非直線抵抗体は、比較例に比べ、DC
課電寿命特性が良好であることがわかる。
命特性が比較例に比べて良好な非直線抵抗体が得られる
理由は、概略次のように考えられる。すなわち、本実施
例における非直線抵抗体は、Bi2O3を含んでおり、焼
成の降温過程において、Bi 2O3は、825℃において
液相から固相に変わるが、この過程において、降温速度
を50〜200℃/hとすることにより、焼結体中のB
i2O3結晶相に変化が起こり、その結果、電界強度に強
い結晶相が増加するためと考えられる。
2O3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%、0.75mol%、0.75mo
l%、3.0mol%含み、焼成温度を1050℃〜1
250℃とし、1000℃から750℃までの降温速度
を50℃/h〜200℃/hとした例について示した
が、請求項1の組成比のもの、すなわち、酸化亜鉛を主
成分とし、副成分として、ビスマス、アンチモン、コバ
ルト、マンガン、ニッケルをそれぞれ、酸化ビスマス
(Bi2O3)に換算して0.1〜5.0mol%、酸化
アンチモン(Sb2O3)に換算して0.1〜2.0mo
l%、酸化コバルト(CoO)に換算して0.1〜2.
0mol%、酸化マンガン(MnO)に換算して0.1
〜2.0mol%、酸化ニッケル(NiO)に換算して
0.1〜2.0mol%含有し、ビスマスとアンチモン
及び、ビスマスとニッケルの相対比がそれぞれ酸化ビス
マス(Bi 2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化
ニッケル(NiO)に換算してSb 2O3/Bi2O3<
0.5、NiO/Bi2O3<0.5であるものを用い、
焼成温度を1050℃〜1250℃とし、1000℃か
ら750℃までの降温速度を50℃/h〜200℃/h
とした場合についても同様の効果が得られることが確認
されている。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi2O3、Sb2
O3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で、噴霧造粒し、この造粒粉を
金型に入れ加圧し、圧力を変えて成形し、それぞれの成
形体を得た。この後は第1の実施例と同様の製造方法で
非直線抵抗体を製造した。
放電耐量特性を評価し、同時にそれぞれの非直線抵抗体
の気孔率を調査した。非直線抵抗体のバリスタ電圧は2
0〜100V/mmであることを確認した。
関係を示す。放電耐量は、雷インパルス(波形:4/1
0μs)電流を、順次電流値を増加させながら印加し、
非直線抵抗体が耐えた電流値の平均値で示した。図4に
示した結果から明らかなように、放電耐量特性は気孔率
が15%以下にあるとき第1の実施例(図1の表)に比
べてさらに改善されている。
Bi2O3、Sb2O3、CoO、MnO、NiOをそれぞ
れ5.0mol%、1.0mol%0.75mol%、
0.75mol%、3.0mol%含む場合について示
したが、前記の請求項1の組成範囲にある場合について
も同様の効果が得られることが確認されている。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi2O3、Sb2
O3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で噴霧造粒、成形、焼成を行っ
た後、アルミ溶射で電極皮膜を設ける際、焼結体の表面
粗さを砥石の粗さを変えて調整した。同時に研磨をしな
い状態すなわち焼成後の表面状態がスピネル粒子で覆わ
れている状態で電極皮膜を形成した非直線抵抗体も作製
した。
の密着力を調べるため電極皮膜側に冶具を接着し、引っ
張り強度を調べた。電極皮膜と焼結体表面の密着強さと
表面粗さとの関係を図5に示す。図5から明らかなよう
に、電極皮膜と焼結体表面の密着強さは、表面粗さが中
心線平均粗さRaで1〜2μmの時が最も高い。
ている状態では表面粗さが中心線平均粗さRaで1〜2
μmの範囲に入るが、その表面は粒界相が消失している
ため、焼結体自身の強度が強く、脱粒が起こりにくくな
っており、そのため密着力も高いと考えられる。
して、Bi2O3、Sb2O3、CoO、MnO、NiOを
それぞれ5.0mol%、1.0mol%0.75mo
l%、0.75mol%、3.0mol%含む場合につ
いて示したが、前記の請求項1の組成範囲にある場合に
ついても同様の効果が得られることが確認されている。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi2O3、Sb2
O3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で、噴霧造粒から焼成を行い、
種々の材質からなる側面の高抵抗層を作製した。一つは
側面円周部に第1リン酸アルミニウム、ムライト、酸化
鉄からなるスラリーを塗布し、約500℃で焼付けを行
ない、所定の表面粗さに研磨し、その表面に電極皮膜を
形成させた。焼付け後の高抵抗層の分析の結果、オルト
リン酸アルミニウム(AlPO3)とムライトが検出さ
れた。
層させ、200℃で焼き付け、その表面に電極皮膜を形
成させた。さらに他の一つはフッ素樹脂を同様に流動浸
積法で積層させ、350℃で焼き付けその表面に電極皮
膜を形成させた。比較例としてコーティングを施さない
非直線抵抗体を作製した。これらの得られた4種類の非
直線抵抗体の電流−電圧特性、放電耐量特性、DC課電
寿命特性を評価した結果を図6の表に示す。
20〜100V/mmであることを確認した。放電耐量
特性は、雷インパルス(波形:4/10μs)電流を、
順次電流値を増加させながら印加し、非直線抵抗体が耐
えた電流値の平均値で示した。DC課電寿命特性は、大
気中、120℃で、課電率はV1mAに対して100%
で行った。図6の表には、500時間課電した後の、V
1μAの変化率を示した。
に、放電耐量特性はコーティングを施したものが特性が
良く、特にフッ素樹脂を用いたものはDC寿命特性が最
も良好であった。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi2O3、Sb2
O3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で噴霧造粒、成形、焼成を行っ
た後、所定の表面粗さで研磨した後、種々の電極皮膜を
形成させた後、さらに端子電極を電極皮膜上に半田を用
いて接合した。
とし、第1層にアルミ(Al)、第二層に銅(Cu)を
用いたもの、第1層にアルミ(Al)、第二層に銅と亜
鉛の合金(Cu/Zn)を用いたもの、比較例として第
1層に銅(Cu)を用いたもの、第1層に銅と亜鉛の合
金(Cu/Zn)を用いたものを作製し、非直線抵抗体
の電流-電圧特性、放電耐量特性、DC課電寿命特性を
評価した。
20〜100V/mmであることを確認した。放電耐量
特性は、雷インパルス(波形:4/10μs)電流を、
順次電流値を増加させながら印加し、非直線抵抗体が耐
えた電流値の平均値で示した。
に、放電耐量特性は電極皮膜が2層構造のものが特性が
よい。この理由は次のように考えられる。すなわち、雷
インパルスのような大きな電流が非直線抵抗体に流れる
時、短時間に急激な発熱が生じ、熱応力が発生する。こ
の熱応力によって電極皮膜と焼結体の間に剥離が生じ、
ついには破壊に至るが、電極皮膜を2層化すると電極皮
膜と焼結体の密着力が向上し、放電耐量特性が向上する
ためと考えられる。
るが、このとき溶射時間や溶射距離を変化させることに
よって電極皮膜の膜厚さを変化させることができる。図
8に、第1層にアルミ(Al)第二層に銅(Cu)を用
い、電極皮膜の厚さを種々に変化させた非直線抵抗体に
雷インパルス(波形:4/10μs)電流を、順次電流
値を増加させながら印加し、非直線抵抗体が耐えた電流
の平均値を示した。図8に示したデータから明らかなよ
うに、電極皮膜が300μm以下であるとき良好な特性
を示す。
ク溶射で行ったが、アーク溶射以外の電極形成法、すな
わち、プラズマ溶射や、高速ガス炎溶射、高速吹き付け
溶射で電極皮膜を形成させた場合も良好な特性を示すこ
とが確認されている。
すなわち、主成分ZnOにたいして、Bi2O3、Sb2
O3、CoO、MnO、NiOをそれぞれ5.0mol
%、1.0mol%0.75mol%、0.75mol
%、3.0mol%秤量し、原料とした。以下、第1の
実施例と同様の製造方法で噴霧造粒、成形、焼成を行っ
た後、所定の表面粗さで研磨した後、第1層にアルミ
(Al)を溶射し、さらに第二層に銅と亜鉛の合金(C
u/Zn)を溶射して電極皮膜を形成させた。その後、
さらに端子電極を電極皮膜上に密着させ、錫(Sn)、
銀(Ag)を主成分とする低融点金属を用いて260℃
で焼き付け接合した。比較例として一般的なPb半田を用
いた非直線抵抗体も作製し、放電耐量特性を評価した。
図9の表に結果を示す。
/10μs)電流を、順次電流値を増加させながら印加
し、非直線抵抗体が耐えた電流の平均値で示した。図9
の表に示したデータから、放電耐量特性は錫(Sn)、
銀(Ag)を主成分とする低融点金属を用いたものが特
性が良ことが判る。この理由は錫(Sn)、銀(Ag)
を主成分とする低融点金属は融点が高いため、雷インパ
ルスのような大きな電流が非直線抵抗体に流れる時、短
時間に急激な発熱が生じても安定な特性を示すためであ
ると考えられる。
成させ、低融点金属で端子電極を接合したが、電極皮膜
や低融点金属を用いず、導電性樹脂を塗布し、端子電極
を密着させ、200℃で焼き付け接合させる方法もあ
る。この方法では電極皮膜を形成させ、低融点金属で接
合させる場合に比べ工程数を低減することができ、コス
トメリットのある非直線抵抗体を提供することができ
る。
ることができ、大型化しても抵抗値のバラツキが少な
く、動作開始電圧が低く、放電耐量特性や課電寿命特性
に優れた非直線抵抗体を得ることができる。
成と電特特性を示す表。
す断面図。
造条件と電気特性を示す表。
孔率と放電耐量の関係を示すグラフ。
面粗さと電極の密着強さの関係を示すグラフ。
抵抗層の材質と電気特性を示す表。
極の材質・構造と電気特性を示す表。
極皮膜厚さと放電耐量の関係を示すグラフ。
子電極の取付け方法と電気特性を示す表。
Claims (12)
- 【請求項1】 板状をなす焼結体と、この焼結体の側面
に形成された高抵抗層と、前記焼結体の端面に形成され
た電極とを備え、前記焼結体は、酸化亜鉛を主成分と
し、副成分として、ビスマス、アンチモン、コバルト、
マンガン、ニッケルをそれぞれ、酸化ビスマス(Bi2
O3)に換算して0.1〜5.0mol%、酸化アンチ
モン(Sb2O3)に換算して0.1〜2.0mol%、
酸化コバルト(CoO)に換算して0.1〜2.0mo
l%、酸化マンガン(MnO)に換算して0.1〜2.
0mol%、酸化ニッケル(NiO)に換算して0.1
〜2.0mol%含有し、ビスマスとアンチモン及び、
ビスマスとニッケルの相対比がそれぞれ酸化ビスマス
(Bi2O3)、酸化アンチモン(Sb2O3)、酸化ニッ
ケル(NiO)に換算してSb2O3/Bi2O3<0.
5、NiO/Bi2O3<0.5であることを特徴とする
非直線抵抗体。 - 【請求項2】 焼結体の焼成温度は1050〜1250
℃であり、1000℃から750℃までの降温速度は2
5〜100℃/hであることを特徴とする請求項1記載
の非直線抵抗体の製造方法。 - 【請求項3】 焼結体の気孔率は15%以下であること
を特徴とする請求項1記載の非直線抵抗体。 - 【請求項4】 焼結体の端面の表面粗さは中心線平均粗
さRaで1〜2μmであることを特徴とする請求項1記
載の非直線抵抗体。 - 【請求項5】 焼結体の端面はスピネル粒子で覆われて
いることを特徴とする請求項1記載の非直線抵抗体。 - 【請求項6】 高抵抗層はオルトリン酸アルミニウム
(AlPO3)を主成分とする無機絶縁材からなること
を特徴とする請求項1記載の非直線抵抗体。 - 【請求項7】 高抵抗層は絶縁性弾性部材からなること
を特徴とする請求項1記載の非直線抵抗体。 - 【請求項8】 絶縁性弾性部材はフッ素系樹脂であるこ
とを特徴とする請求項7記載の非直線抵抗体。 - 【請求項9】 電極はAlまたはAl合金からなる層と
CuまたはCu合金からなる層を有することを特徴とす
る請求項1記載の非直線抵抗体。 - 【請求項10】 電極の厚さは300μm以下であるこ
とを特徴とする請求項1記載の電圧非直線抵抗体。 - 【請求項11】 電極は、アーク溶射法またはプラズマ
溶射法または高速ガス炎溶射法または高速吹き付け法で
形成させることを特徴とする請求項1記載の非直線抵抗
体の製造方法。 - 【請求項12】 電極の上に、導電性樹脂材料、または
錫(Sn)および銀(Ag)を主成分とし融点が210
℃以上の特性をもつ材料で接合された端子電極を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の非直線抵抗体。
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JP2001009847A JP2002217005A (ja) | 2001-01-18 | 2001-01-18 | 非直線抵抗体およびその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011171665A (ja) * | 2010-02-22 | 2011-09-01 | Toshiba Corp | 電流−電圧非直線抵抗体およびその製造方法 |
JP2014224302A (ja) * | 2013-05-14 | 2014-12-04 | 隆科電子(恵陽)有限公司Longke Electronics (Huiyang) Co., Ltd. | 電子セラミックスエレメントの卑金属複合電極、及びその製造方法 |
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2001
- 2001-01-18 JP JP2001009847A patent/JP2002217005A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011171665A (ja) * | 2010-02-22 | 2011-09-01 | Toshiba Corp | 電流−電圧非直線抵抗体およびその製造方法 |
JP2014224302A (ja) * | 2013-05-14 | 2014-12-04 | 隆科電子(恵陽)有限公司Longke Electronics (Huiyang) Co., Ltd. | 電子セラミックスエレメントの卑金属複合電極、及びその製造方法 |
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