JP2004071660A - 電圧非直線抵抗体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体の側面絶縁として絶縁セラミック材を塗布するとき有機溶剤が使用されて環境上好ましくない。
【解決手段】絶縁セラミックス材料のコーティング時に、塗布する絶縁材の溶液に水を用い、且つ、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いる。
また、絶縁材溶液の調製時には、絶縁セラミックス材料の固形分として50wt%〜70wt%とし、ポリビニルアルコールをバインダーの成分として絶縁材セラミックス材料に対して5wt%〜24wt%とすることにより、溶液への水の使用を可能とした。
【選択図】 図1
【解決手段】絶縁セラミックス材料のコーティング時に、塗布する絶縁材の溶液に水を用い、且つ、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いる。
また、絶縁材溶液の調製時には、絶縁セラミックス材料の固形分として50wt%〜70wt%とし、ポリビニルアルコールをバインダーの成分として絶縁材セラミックス材料に対して5wt%〜24wt%とすることにより、溶液への水の使用を可能とした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体に係わり、特に非直線抵抗体の側面絶縁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸化亜鉛(以下ZnOと称す)を主成分とする電圧非直線抵抗体は、添加物成分として酸化ビスマス、酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化ケイ素等の副成分を添加して、非直線性が高く熱損失の小さい組成配分よりなっている。
通常、これら副成分は、ボールミル等で予備混合した後、有機バインダーとZnOを混合し、スプレードライヤーにて噴霧乾燥して流動性の良い造粒粉とする。
この造粒粉を金型プレスにて円柱状に形成し、脱脂を行った後、1000〜1300℃の温度で数時間焼成する。
次に、側面に絶縁材をコーティングし、両平面を研磨後にアルミニュウムの電極を溶射して非直線抵抗体を作っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにして製造される非直線抵抗体を避雷器に組み込んで使用する場合には、その非直線抵抗体は、規格上雷サージ等の急峻波に対して絶縁性が必要であり、且つ、所定の電流において耐えなければならない。そのため、非直線抵抗体の側面部には絶縁材をコーティングし、雷サージ等よりの絶縁破壊を防止している。
【0004】
従来、そのために絶縁材は図8で示すように2層構造を取っており、焼結体(素子素体)1に第1層絶縁として絶縁セラミクス材2を塗布し、その上にさらに第2層絶縁としてガラス絶縁材3をコーティングしている。
この絶縁セラミクス材及びガラス絶縁材のコーティングは、まず絶縁材となる固形成分とバインダーを有機溶剤に溶かし、この溶液をローラー式塗布器によって側面部に塗布し、乾燥,焼成が行われてコーティングされる。
【0005】
ところが、この方法では次のような問題点を有している。
(1)溶液に用いられる有機溶剤は、その性質上作業環境に好ましくない。
(2)塗布工程では塗布する量を安定させるために絶縁材溶液の粘度管理が重要であるが、有機溶剤が揮発性のために絶縁材溶液の粘度管理が難しい。
(3)有機溶剤は高価である。
このような問題から絶縁材の溶剤として、有機溶剤に代えて純水を使用することが好ましいが、しかし、水を溶剤として絶縁材をコーティングすると、非直線抵抗体の耐水性、電気特性への影響等という新たな問題が生じる。
【0006】
本発明のが目的とするとこは、溶剤として水を使用しても上記問題を解決できる非直線抵抗体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体素子の側面に絶縁セラミックス材料よりなるコーティングを施したものにおいて、
前記絶縁セラミックス材料のコーティング時に、塗布する絶縁材の溶液に水を用い、且つ、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いることを特徴としたものである。
【0008】
本発明の第2は、前記絶縁材溶液の調製時には、絶縁セラミックス材料の固形分として50wt%〜70wt%とし、ポリビニルアルコールをバインダーの成分として絶縁材セラミックス材料に対して5wt%〜24wt%としたことを特徴としたものである。
【0009】
本発明の第3は、前記絶縁材の側面塗布は、絶縁材を素子に塗布して乾燥後の塗布量が、素子表面当たりで16mg/cm2以上であることを特徴としたものである。
【0010】
本発明の第4は、前記絶縁材溶液の調製時に、分散剤を入れることを特徴としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は絶縁セラミックス材の溶剤を調製する方法として、現在、溶剤に用いられている有機溶剤の代わりに純水を用い、バインダーに使用しているエチルセルロースに代え水溶性のポリビニールアルコール(PVA)を用いて絶縁材の溶液を調製した。調製した溶液はローラー塗布器により素子にコーティングしその素子の特性を評価した。
【0012】
先ず、焼結体(素子素体と称す)の製造を以下のようにして行った。
(1)主原料であるZnOと所定の配合で混合、粉砕した添加物原料(Bi203,Sb203,C0203,Cr203,NiO,Si02,Mn02等)を有機バインダー溶液(カオチン系分散材、PVA)に加え、ボールミルで混合した。得られた原料スラリーを十分に脱泡した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥し造粒紛を得た。
(2)乾式金型プレスにて上記造粒粉を所定の大きさに成形し、脱脂後800〜1000℃で仮焼した。
(3)得られた仮焼体の側面に第1層絶縁として絶縁セラミック材料(ZnO,Bi203,Sb203,Si02等)を塗布し乾燥した。絶縁セラミック材料を仮焼体に塗布する際の溶液は、以下の溶液を調製し塗布を行った。
【0013】
【実施の形態1】
図1は絶縁セラミック材料溶液の成分と配合量を示したものである。
絶縁セラミック材料の仮焼粉体に、その重量比が50%、60%、65%、及び70%(溶液1〜4)、またバインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)が絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比でそれぞれ10%になるように純水及びPVA水溶液を加え4種類調製した。更に、分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比で約1%添加した。分散剤は、必ずしも必要とはしないが、粘度の高い絶縁材溶液を調製する場合にはこの分散剤をいれた方がより効果的である。これらの配合量を図1に示したものである。。そして、この調製した絶縁材溶液を、ローラー式塗布器を使い素子素体側面に塗布し、乾燥させた。
【0014】
【実施の形態2】
絶縁セラミック材料の粉体に、その重量比が62.5%、またポリビニルアルコール(PVA)が絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比で5%、10%、15%、20%及び24%になるように純水及びPVA水溶液を加え5種類調製した。更に、分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比で約1%添加した。この時の配合を図2に示す。
また、素子に塗布した絶縁材の塗布量(乾燥処理後)を測定した。
【0015】
【実施の形態3】
絶縁セラミック材料の粉体に、その重量比が62.5%、またポリビニルアルコール(PVA)が絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比で15%になるように純水及びPVA水溶液を加え、分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比で約1%添加した場合と、添加しない場合との2種類調製した。この時の配合を図3に示す。
そして、この調製した絶縁材溶液を、ローラー式塗布器を使い素子素体側面に塗布し、乾燥させた。また、素子に塗布した絶縁材の塗布量(乾燥処理後)を測定した。
【0016】
上記各実施の形態1〜3による絶縁セラミック材溶液に基づく絶縁セラミック材を仮焼体に塗布し、その仮焼体を1000〜1300℃で焼成した。
得られた焼成体の側面に、第2層絶縁として絶縁ガラス材料を塗布した。
このガラス材料を塗布した焼成体を約600℃で焼き付けを行い、両端面を研磨した後アルミニウムの溶射電極を施して非直線抵抗体を構成した。完成した非直線抵抗体のサンプルに対し4/10μs放電耐量試験を実施した。
【0017】
図4〜6は実施の形態1〜3の条件で製造した素子について、4/10μs耐量試験(65kA)の結果を示したもので、各10サンプルずつ抜取りそれぞれ2回繰り返した。
【0018】
図4で示す実施の形態1においては、絶縁セラミックス材固形分が50〜70%の比較であるが破壊した素子はなかった。
【0019】
図5で示す実施の形態2では、フラッシオーバーの不合格が溶液1,2,4,5において確率10%で生じた。
【0020】
図6で示す実施の形態3では、分散剤を添加しなかった溶液2が、確率80%でフラッシオーバーとなった。
【0021】
図7は絶縁材塗布量と4/1Oμs耐量試験(65kA)の結果との関係を示したものである。この図7は、実施の形態2と実施の形態3の素子のうち、4/10μs放電耐量試験を行った素子の絶縁材塗布量とその4/10μs放電耐量試験で合格及び不合格の素子の全素子数に対する割合を示したものである。
但し、この不合格はフラッシオーバーのみの個数で熱破壊は含まない。4/10μs放電耐量試験の合否は、素子に塗布された絶縁剤の塗布量に相関があり、素子表面当りの塗布量が16mg/cm2以下では、フラッシオーバーになる確率が高いことが図1からわかる。
【0022】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、絶縁セラミックス材のコーティングに絶縁材溶液の溶剤として水用いても、従来の有機溶剤を用いてコーティングした素子と変わらない特性が得られることが判った。これにより、素子に絶縁セラミックス材をコーティングする場合に、絶縁材溶液の溶剤として水を用いることで次のような利点が得られる。
(1)溶媒が水のため、有機溶剤による揮発性・有毒性という問題がなく作業環境が改善される。
(2)水は有機溶剤に比べ沸点が低いため揮発しにくく絶縁材溶液の粘度管理が容易となる。
(3)高価な有機溶剤にかわり安価な水にすることでコストが下がる。
(4)絶縁材溶液が水溶性になるため、機器のメンテナンス・清掃が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す絶縁セラミック材料溶液の成分と配合量図。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す絶縁セラミック材料溶液の成分と配合量図。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す絶縁セラミック材料溶液の成分と配合量図。
【図4】第1実施形態時における4/10μs耐量試験結果図。
【図5】第2実施形態時における4/10μs耐量試験結果図。
【図6】第3実施形態時における4/10μs耐量試験結果図。
【図7】絶縁材塗布量と4/10μs耐量試験結果との関係図。
【図8】電圧非直線抵抗体の断面図。
【符号の説明】
1…素子素体
2…絶縁セラミック層
3…ガラス絶縁層
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体に係わり、特に非直線抵抗体の側面絶縁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
酸化亜鉛(以下ZnOと称す)を主成分とする電圧非直線抵抗体は、添加物成分として酸化ビスマス、酸化アンチモン、酸化コバルト、酸化マンガン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化ケイ素等の副成分を添加して、非直線性が高く熱損失の小さい組成配分よりなっている。
通常、これら副成分は、ボールミル等で予備混合した後、有機バインダーとZnOを混合し、スプレードライヤーにて噴霧乾燥して流動性の良い造粒粉とする。
この造粒粉を金型プレスにて円柱状に形成し、脱脂を行った後、1000〜1300℃の温度で数時間焼成する。
次に、側面に絶縁材をコーティングし、両平面を研磨後にアルミニュウムの電極を溶射して非直線抵抗体を作っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようにして製造される非直線抵抗体を避雷器に組み込んで使用する場合には、その非直線抵抗体は、規格上雷サージ等の急峻波に対して絶縁性が必要であり、且つ、所定の電流において耐えなければならない。そのため、非直線抵抗体の側面部には絶縁材をコーティングし、雷サージ等よりの絶縁破壊を防止している。
【0004】
従来、そのために絶縁材は図8で示すように2層構造を取っており、焼結体(素子素体)1に第1層絶縁として絶縁セラミクス材2を塗布し、その上にさらに第2層絶縁としてガラス絶縁材3をコーティングしている。
この絶縁セラミクス材及びガラス絶縁材のコーティングは、まず絶縁材となる固形成分とバインダーを有機溶剤に溶かし、この溶液をローラー式塗布器によって側面部に塗布し、乾燥,焼成が行われてコーティングされる。
【0005】
ところが、この方法では次のような問題点を有している。
(1)溶液に用いられる有機溶剤は、その性質上作業環境に好ましくない。
(2)塗布工程では塗布する量を安定させるために絶縁材溶液の粘度管理が重要であるが、有機溶剤が揮発性のために絶縁材溶液の粘度管理が難しい。
(3)有機溶剤は高価である。
このような問題から絶縁材の溶剤として、有機溶剤に代えて純水を使用することが好ましいが、しかし、水を溶剤として絶縁材をコーティングすると、非直線抵抗体の耐水性、電気特性への影響等という新たな問題が生じる。
【0006】
本発明のが目的とするとこは、溶剤として水を使用しても上記問題を解決できる非直線抵抗体の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体素子の側面に絶縁セラミックス材料よりなるコーティングを施したものにおいて、
前記絶縁セラミックス材料のコーティング時に、塗布する絶縁材の溶液に水を用い、且つ、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いることを特徴としたものである。
【0008】
本発明の第2は、前記絶縁材溶液の調製時には、絶縁セラミックス材料の固形分として50wt%〜70wt%とし、ポリビニルアルコールをバインダーの成分として絶縁材セラミックス材料に対して5wt%〜24wt%としたことを特徴としたものである。
【0009】
本発明の第3は、前記絶縁材の側面塗布は、絶縁材を素子に塗布して乾燥後の塗布量が、素子表面当たりで16mg/cm2以上であることを特徴としたものである。
【0010】
本発明の第4は、前記絶縁材溶液の調製時に、分散剤を入れることを特徴としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は絶縁セラミックス材の溶剤を調製する方法として、現在、溶剤に用いられている有機溶剤の代わりに純水を用い、バインダーに使用しているエチルセルロースに代え水溶性のポリビニールアルコール(PVA)を用いて絶縁材の溶液を調製した。調製した溶液はローラー塗布器により素子にコーティングしその素子の特性を評価した。
【0012】
先ず、焼結体(素子素体と称す)の製造を以下のようにして行った。
(1)主原料であるZnOと所定の配合で混合、粉砕した添加物原料(Bi203,Sb203,C0203,Cr203,NiO,Si02,Mn02等)を有機バインダー溶液(カオチン系分散材、PVA)に加え、ボールミルで混合した。得られた原料スラリーを十分に脱泡した後、スプレードライヤーで噴霧乾燥し造粒紛を得た。
(2)乾式金型プレスにて上記造粒粉を所定の大きさに成形し、脱脂後800〜1000℃で仮焼した。
(3)得られた仮焼体の側面に第1層絶縁として絶縁セラミック材料(ZnO,Bi203,Sb203,Si02等)を塗布し乾燥した。絶縁セラミック材料を仮焼体に塗布する際の溶液は、以下の溶液を調製し塗布を行った。
【0013】
【実施の形態1】
図1は絶縁セラミック材料溶液の成分と配合量を示したものである。
絶縁セラミック材料の仮焼粉体に、その重量比が50%、60%、65%、及び70%(溶液1〜4)、またバインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)が絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比でそれぞれ10%になるように純水及びPVA水溶液を加え4種類調製した。更に、分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比で約1%添加した。分散剤は、必ずしも必要とはしないが、粘度の高い絶縁材溶液を調製する場合にはこの分散剤をいれた方がより効果的である。これらの配合量を図1に示したものである。。そして、この調製した絶縁材溶液を、ローラー式塗布器を使い素子素体側面に塗布し、乾燥させた。
【0014】
【実施の形態2】
絶縁セラミック材料の粉体に、その重量比が62.5%、またポリビニルアルコール(PVA)が絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比で5%、10%、15%、20%及び24%になるように純水及びPVA水溶液を加え5種類調製した。更に、分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比で約1%添加した。この時の配合を図2に示す。
また、素子に塗布した絶縁材の塗布量(乾燥処理後)を測定した。
【0015】
【実施の形態3】
絶縁セラミック材料の粉体に、その重量比が62.5%、またポリビニルアルコール(PVA)が絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比で15%になるように純水及びPVA水溶液を加え、分散剤(ポリカルボン酸アンモニウム塩)を絶縁セラミック材料の粉体に対して重量比で約1%添加した場合と、添加しない場合との2種類調製した。この時の配合を図3に示す。
そして、この調製した絶縁材溶液を、ローラー式塗布器を使い素子素体側面に塗布し、乾燥させた。また、素子に塗布した絶縁材の塗布量(乾燥処理後)を測定した。
【0016】
上記各実施の形態1〜3による絶縁セラミック材溶液に基づく絶縁セラミック材を仮焼体に塗布し、その仮焼体を1000〜1300℃で焼成した。
得られた焼成体の側面に、第2層絶縁として絶縁ガラス材料を塗布した。
このガラス材料を塗布した焼成体を約600℃で焼き付けを行い、両端面を研磨した後アルミニウムの溶射電極を施して非直線抵抗体を構成した。完成した非直線抵抗体のサンプルに対し4/10μs放電耐量試験を実施した。
【0017】
図4〜6は実施の形態1〜3の条件で製造した素子について、4/10μs耐量試験(65kA)の結果を示したもので、各10サンプルずつ抜取りそれぞれ2回繰り返した。
【0018】
図4で示す実施の形態1においては、絶縁セラミックス材固形分が50〜70%の比較であるが破壊した素子はなかった。
【0019】
図5で示す実施の形態2では、フラッシオーバーの不合格が溶液1,2,4,5において確率10%で生じた。
【0020】
図6で示す実施の形態3では、分散剤を添加しなかった溶液2が、確率80%でフラッシオーバーとなった。
【0021】
図7は絶縁材塗布量と4/1Oμs耐量試験(65kA)の結果との関係を示したものである。この図7は、実施の形態2と実施の形態3の素子のうち、4/10μs放電耐量試験を行った素子の絶縁材塗布量とその4/10μs放電耐量試験で合格及び不合格の素子の全素子数に対する割合を示したものである。
但し、この不合格はフラッシオーバーのみの個数で熱破壊は含まない。4/10μs放電耐量試験の合否は、素子に塗布された絶縁剤の塗布量に相関があり、素子表面当りの塗布量が16mg/cm2以下では、フラッシオーバーになる確率が高いことが図1からわかる。
【0022】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、絶縁セラミックス材のコーティングに絶縁材溶液の溶剤として水用いても、従来の有機溶剤を用いてコーティングした素子と変わらない特性が得られることが判った。これにより、素子に絶縁セラミックス材をコーティングする場合に、絶縁材溶液の溶剤として水を用いることで次のような利点が得られる。
(1)溶媒が水のため、有機溶剤による揮発性・有毒性という問題がなく作業環境が改善される。
(2)水は有機溶剤に比べ沸点が低いため揮発しにくく絶縁材溶液の粘度管理が容易となる。
(3)高価な有機溶剤にかわり安価な水にすることでコストが下がる。
(4)絶縁材溶液が水溶性になるため、機器のメンテナンス・清掃が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す絶縁セラミック材料溶液の成分と配合量図。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す絶縁セラミック材料溶液の成分と配合量図。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す絶縁セラミック材料溶液の成分と配合量図。
【図4】第1実施形態時における4/10μs耐量試験結果図。
【図5】第2実施形態時における4/10μs耐量試験結果図。
【図6】第3実施形態時における4/10μs耐量試験結果図。
【図7】絶縁材塗布量と4/10μs耐量試験結果との関係図。
【図8】電圧非直線抵抗体の断面図。
【符号の説明】
1…素子素体
2…絶縁セラミック層
3…ガラス絶縁層
Claims (4)
- 酸化亜鉛を主成分とする電圧非直線抵抗体素子の側面に絶縁セラミックス材料よりなるコーティングを施したものにおいて、
前記絶縁セラミックス材料のコーティング時に、塗布する絶縁材の溶液に水を用い、且つ、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いることを特徴とした電圧非直線抵抗体の製造方法。 - 前記絶縁材溶液の調製時には、絶縁セラミックス材料の固形分として50wt%〜70wt%とし、ポリビニルアルコールをバインダーの成分として絶縁材セラミックス材料に対して5wt%〜24wt%としたことを特徴とした請求項1記載の電圧非直線抵抗体の製造方法。
- 前記絶縁材の側面塗布は、絶縁材を素子に塗布して乾燥後の塗布量が、素子表面当たりで16mg/cm2以上であることを特徴とした請求項1又は2記載の電圧非直線抵抗体の製造方法。
- 前記絶縁材溶液の調製時に、分散剤を入れることを特徴とした請求項1乃至3記載の電圧非直線抵抗体の製造方法。
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