[第一の参考例]
本発明の第一の参考例を図1ないし図8に基づいて説明する。本参考例は、商品の売上処理を実行する商品販売データ処理装置であるPOS端末(図示せず)に接続して使用される硬貨入出金装置への適用例である。
ここで、図1は本参考例の硬貨入出金装置の外観を示す斜視図、図2は回収袋が装置本体のハウジングに取り付けられた状態の硬貨入出金装置の外観を示す斜視図、図3は設置台上に設置され入出金機構ユニットがユニット保持ケースから引き出された状態の硬貨入出金装置を示す側面図である。
硬貨入出金装置1は、図1ないし図3に示すように、その概略構造として、硬貨C(図5参照)の入金及び払い出し処理を行なう入出金機構ユニット2aがユニット保持ケース2bに引き出し及び収納自在に保持されて構成される装置本体2と、この装置本体2の入出金機構ユニット2aに着脱自在に取り付けられる回収体であって移動手段である回収袋101とから構成されている。
入出金機構ユニット2aは、スライドレール機構2cによってユニット保持ケース2bに対して引き出し及び収納自在に保持されており、その引き出し方向は装置手前側である。
回収袋101は、装置本体2のハウジング2dに収納されている全ての硬貨Cを収納可能な上面開口の袋部102と、この袋部102の上端を支持するフレーム枠103とから構成されている。フレーム枠103には取っ手104が設けられている。
次に入出金機構ユニット2aについて図1、図4、図5及び図6に基づいて詳しく説明する。ここで、図4は入出金機構ユニット2aの内部構造を示す平面図、図5は入出金機構ユニット2aの内部構造を示す縦断側面図、図6は回収袋101が取付部に取り付けられた状態の入出金機構ユニット2aの内部構造を示す縦断側面図である。
図1及び図4に示すように、入出金機構ユニット2aは、以下に説明する各部がハウジング2dによりユニット化されて構成されている。入出金機構ユニット2aのハウジング2dの右側手前には、上面が開口され硬貨Cが一括して投入される硬貨投入口3が設けられ、ハウジング2dの左側手前には、上面が開口され硬貨Cが払い出される硬貨払出口4が設けられ、この硬貨払出口4の下のハウジング2dには、回収袋101を着脱自在に保持する回収袋取付部5が設けられている。このハウジング2dには、硬貨投入口3から投入された硬貨Cを選別収納しPOS端末からの払出指令に応じて硬貨Cを硬貨投入口3に払い出す硬貨入出金機構Aが設けられている。
硬貨投入口3には、光電的に硬貨Cの有無を検出する複数組の投入センサ6が設けられている。
回収袋取付部5には、装置手前側から装置奥側へ向かって形成された一対のレール5a,5bが形成されている。これらのレール5a,5bが回収袋101のフレーム枠103の両側部を両側から挟み込んで装置前後方向にスライド移動自在に支持する。
硬貨入出金機構Aは、硬貨Cを選別して落下させる硬貨選別部7、硬貨選別部7の下方に配置され硬貨選別部7により落下された硬貨Cを金種毎に収納する硬貨収納部8、硬貨投入口3に投入された硬貨Cを硬貨選別部7へ搬送する硬貨搬送部9、硬貨収納部8に収納された硬貨Cを硬貨払出口4に払い出す硬貨払出搬送部10などから構成されている。
硬貨搬送部9は、図4に示すように、硬貨投入口3の底から硬貨収納部8よりも高い位置に硬貨Cを搬送する第一の硬貨搬送部11、第一の硬貨搬送部11によって搬送された硬貨Cを硬貨選別部7へ搬送する第二の硬貨搬送部12から構成されている。
第一の硬貨搬送部11には、硬貨投入口3の底を搬送面13によって形成しモータM(図7参照)に連結されて、硬貨投入口3に投入された搬送面13上の硬貨Cを装置の奥へ搬送する入金搬送ベルト14が設けられている。ここで、搬送面13によって搬送路20が形成されている。
この入金搬送ベルト14上には、硬貨投入口3の一端に位置させて不規則に投入された硬貨Cを一枚ずつ送り出すための投入口ローラ21が設けられている。
入金搬送ベルト14の終端部分には、搬送方向を略直角に屈曲する硬貨案内部22が設けられ、この入金搬送ベルト14の終端部分に、第二の硬貨搬送部12が連設されている。
第二の硬貨搬送部12は、硬貨入出金装置1の幅方向に略平行に設けられ、硬貨案内部22によって搬送方向が略直角に屈曲された硬貨Cを硬貨選別部7に搬送する。第二の硬貨搬送部12には、硬貨Cを底板23の水平な搬送面23aに圧接させて硬貨選別部7へ搬送する搬送ベルト24が設けられている。この搬送面23aは、搬送路25を形成している。
搬送ベルト24は、エンドレスベルトであって、駆動ローラ26と従動ローラ27とに掛け渡されて設けられ、駆動ローラ26に連結されたモータM(図7参照)により駆動される。そして、搬送ベルト24は、硬貨入出金装置1が水平に設置された状態で、図示しない付勢部材により下方に向けて付勢されている。これにより、搬送ベルト24は、搬送面23a上の硬貨Cを押圧し、硬貨Cを搬送面23aに圧接させる。
なお、底板23には、基準面28が設けられている。この基準面28は、搬送路25を搬送される硬貨Cの側面を支持して、硬貨選別部7の後述する選別穴29から硬貨Cを正しく落下させる為に必要な硬貨Cの搬送基準を得る為の案内面である。このような第二の硬貨搬送部12の搬送ベルト24の下方に、硬貨選別部7が設けられている。
硬貨選別部7を構成する底板23には、搬送ベルト24に沿わせて、即ち、搬送路25に沿わせて順次穴幅寸法が拡大する金種毎の選別穴29が形成されており、この選別穴29により硬貨Cを金種別に選別する。
選別穴29は、図4において右から1円・50円・5円・100円・10円・500円のそれぞれの金種に対応するように6個設けられている。本参考例では、硬貨搬送方向で隣り合う選別穴29同士はそれぞれ連続して形成されており、外見上、一つの穴を形成している。硬貨選別部7は、硬貨Cが搬送されて、所定の外径の選別穴29に到達した際に、金種毎に硬貨収納部8に落下させる。
このような選別穴29には、図5に示すように、選別穴29から落下する硬貨Cを硬貨収納部8の内部の奥側に案内する傾斜ガイド30が設けられている。そして、各選別穴29には、金種毎に計数センサ31が設けられており、金種毎に硬貨Cの枚数がカウントされる。
次に、硬貨収納部8、硬貨払出搬送部10などについて説明する。
図4及び図5に示すように、硬貨収納部8は、仕切板32により仕切られ、これにより、選別穴29のそれぞれに連通された上方開口の硬貨収納部8a〜8fが並列に形成されている。
この硬貨収納部8a〜8fのそれぞれの底部には、硬貨払出搬送部10が設けられている。
硬貨払出搬送部10には、図5に示すように、駆動ローラ33と従動ローラ34とに掛け渡されたエンドレスベルトである払出ベルト35が設けられている。
この払出ベルト35は、駆動ローラ33に連結されたモータM(図7参照)によって駆動され、搬送面35a上の硬貨Cを硬貨払出口4へ向けて搬送する。ここで、搬送面35aは硬貨収納部8の奥側から硬貨払出口4近傍に至る搬送路35bを形成している。
硬貨収納部8の出口部には、硬貨Cを一枚毎に分離する分離ローラ36が、払出ベルト35に対して硬貨C一枚が通過し得る間隔を隔てて配設され、かつ、全ての金種の出口部をそれらの金種毎に横断するように配設されている。この分離ローラはモータMにより払出ベルト35とは逆回転駆動されることにより、この分離ローラ36に接触した硬貨Cを回転方向に払いのける。
さらに、硬貨収納部8の出口部には、硬貨Cの搬送所定枚数の硬貨Cを一列に整列させて、待機させる硬貨待機部37が金種毎に設けられている。
各硬貨待機部37には、シャッタソレノイド38に連結され、それぞれ金種別に搬送路35b上を搬送される硬貨Cを一時的に停止させるとともに必要枚数の硬貨Cを送り出すような開閉動作制御がなされる硬貨シャッタ39がそれぞれ設けられている。
硬貨シャッタ39の直後には、金種毎に払い出された硬貨Cの枚数を計数する光センサである払出センサ40や、硬貨Cの材質を検出するための発振コイルである材質センサ41がそれぞれ設けられている。
払出ベルト35の終端部分には、図5及び図6に示すように、払出ベルト35の終端まで搬送され払出ベルト35から落下する硬貨Cの落下経路を払出経路51(図5参照)又は回収経路52(図6参照)に切り替える経路切替機構53が設けられている。払出経路51は、図5に示すように、回収袋101が装置本体2のハウジング2dに取り付けられていない場合に設定され硬貨Cを硬貨払出口4へ案内する経路である。回収経路52は、図6に示すように、回収袋101が装置本体2のハウジング2dに取り付けられた場合に設定され硬貨Cを硬貨払出口4とは異なる場所となる回収袋101に落下させる経路である。
経路切替機構53は、払出経路51を形成する硬貨案内面54と回収経路52を形成する硬貨案内孔55とが設けられ支軸56により回転自在に支持された経路切替部材57を備えている。硬貨案内面54と硬貨案内孔55とのそれぞれの横幅は、硬貨収納部8の横幅以上に設定されている。硬貨案内孔55は、硬貨Cが落下可能な大きさに形成されている。
この経路切替部材57は、位置付け手段であって引っ張りバネとして機能する付勢部材であるコイルバネ58の付勢力により、装置右側からみて支軸56を中心として時計回り方向に回転するように引っ張られている。そして、経路切替部材57は、ストッパピン59によりその時計回りの回転を阻止され払出位置(図5参照)に位置決めされる。このとき、経路切替部材57は、硬貨案内面54が払出ベルト35の終端部に連設された状態となり、これにより、落下経路が払出経路51に設定される。
この状態で、回収袋101が回収袋取付部5に取り付けられる際には、支軸56よりも下側に位置する経路切替部材57の下端部が回収袋取付部5のレール5a,5bに沿ってスライド移動する回収袋101のフレーム枠103に押され、その力により経路切替部材57は、コイルバネ58の付勢力に抗して支軸56を中心として反時計回りに回転する。そして、最終的に、経路切替部材57はストッパピン60によりその反時計回りの回転を阻止される。このとき、回収袋101は、回収袋取付部5との間の摩擦力によりコイルバネ58の付勢力に抗して位置保持されており、経路切替部材57は、回収位置(図6参照)に位置決めされる。この状態で、硬貨案内孔55が払い出しベルトの終端部に連設された状態となり、これにより、落下経路が回収経路52に設定される。ここで、この状態から、回収袋101が回収袋取付部5から取り外されることにより、経路切替部材57は、コイルバネ58の付勢力により払出位置に復帰する。
この経路切替部材57の装置奥側には、経路切替部材57に押されることによりこの経路切替部材57の位置を検出するマイクロスイッチ61が設けられている。このマイクロスイッチ61は、経路切替部材57が払出位置に位置しているときには、経路切替部材57とは接触しない位置であって、経路切替部材57が回収位置に位置しているときに経路切替部材57に押される位置に位置付けられている。
そして、払出ベルト35から金種別に落下した硬貨Cが経路切替部材57の硬貨案内面54に沿って落下する位置であって、ハウジング2dの左側手前に、硬貨払出口4が配置されている。また、図1に示すように、硬貨払出口4の上方には、表示器62、回収キー63aや終了キー63bなどの各種の操作キー63が設けられている。回収キー63aは、押下されることにより硬貨Cの金種別払出処理の開始を宣言する宣言信号を出力し、宣言手段として機能する。
次に、硬貨入出金装置1に内蔵される各部の電気的接続について図7を参照して説明する。硬貨入出金装置1は、各部の制御を受け持つ制御部64を備え、この制御部64にインターフェース(I/F)65を介してPOS端末が接続されている。制御部64は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)64a、制御プログラム等の固定的データを予め格納するROM(Read Only Memory)64b、金種別の硬貨Cの枚数等の可変的なデータを書換え自在に格納するRAM(Random Access Memory)64c等により構成されている。また、制御部64には、表示器62や操作キー63も接続されている。操作キー63のうちの回収キー63aは、前述した宣言信号を制御部64に入力する。
さらに、制御部64には、投入センサ6、計数センサ31、払出センサ40、材質センサ41等のセンサ類66、シャッタソレノイド38、各モータM、マイクロスイッチ61等が接続されている。ここで、投入センサ6、計数センサ31、払出センサ40、材質センサ41等のセンサ類66は、例えば硬貨Cを光学的に検出した信号やコイルの電圧の変動等を制御部64に入力するものであり、この検出信号に基づいて制御部64が各モータMを駆動制御する。また、マイクロスイッチ61は経路切替部材57に押されることにより検出信号を制御部64に入力する。また、シャッタソレノイド38は、制御部64から出力される信号に基づき駆動制御され、通電(ON)されることで硬貨シャッタ39を払出ベルト35から離反する方向に変位させ、指定された枚数だけ硬貨Cを払い出す。なお、シャッタソレノイド38は、ここでは1つしか図示しないが、実際には各金種毎に個々に制御部64によって制御される。
制御部64のRAM64cには、マイクロスイッチ61から入力された検出信号をカウントする取付回数カウンタ(図示せず)が設けられている。これにより、回収袋101が装置本体2のハウジング2dに取り付けられた回数がカウントされる。
このような構成において、回収袋101が装置本体2のハウジング2dの回収袋取付部5に取り付けられていない状態で、硬貨Cが硬貨投入口3に投入されると、投入センサ6がその硬貨Cを検出し、この検出信号により入金搬送ベルト14、投入口ローラ21、搬送ベルト24が駆動される。そして、硬貨投入口3に投入された硬貨Cは、入金搬送ベルト14と投入口ローラ21との間で1枚ずつ分離されて搬送される。入金搬送ベルト14により搬送される硬貨Cは、硬貨案内部22によって搬送方向が略直角に屈曲され、入金搬送ベルト14から搬送ベルト24に受け渡され、硬貨選別部7で金種毎の選別がなされる。すなわち、硬貨Cは、金種に応じて選別穴29から落下し、硬貨収納部8a〜8fに金種別に収納される。そして、選別穴29から落下した硬貨Cは、計数センサ31によりその数がカウントされる。
また、硬貨待機部37に硬貨Cがない場合には、払出ベルト35が駆動されて硬貨待機部37に所定枚数(例えば4枚)の硬貨Cが常に存在するように動作制御がなされる。
ついで、POS端末において締め処理がなされ、POS端末より硬貨Cの払出命令があった場合には、払出ベルト35が駆動されるとともに、金種毎に硬貨シャッタ39がシャッタソレノイド38によって駆動されるため、必要枚数の硬貨Cが送り出される。このとき、回収袋101が装置本体2のハウジング2dに取り付けられていないので、経路切替部材57は払出位置に位置付けられており落下経路が払出経路51に設定されていることにより、払出ベルト35により送り出された硬貨Cは、硬貨案内面54に案内されて硬貨払出口4に払い出される。
次に、制御部64が行なう硬貨Cの金種別払出処理について図8を参照しつつ各部の動作とともに説明する。ここで、図8は硬貨Cの金種別払出処理の流れを示すフローチャートである。なお、必要に応じて図5及び図6も適宜参照する。
まず、回収キー63aが押下されるまで待機する(ステップS1のN)。回収キー63aが押され、金種別払出処理の開始が宣言されたと判断した場合には(ステップS1のY)、RAM64cの取付回数カウンタを「0」に設定し(ステップS2)、表示器62に装置本体2への回収袋101の取り付けを促すガイダンス(例えば、「回収袋を装置本体へ取り付けて下さい」)を表示させる(ステップS3)。
そして、回収袋101の装置本体2のハウジング2dへの取り付けの有無を検出する(ステップS4)。ここに、回収袋101のハウジング2dへの取り付けの有無を検出する取付検出手段の機能が実行される。回収袋101が取り付けられていない場合は、回収袋101が取り付けられるまで待機する(ステップS4のN)。
オペレータにより回収袋101が装置本体2の回収袋取付部5に差し込まれて、回収袋101によりマイクロスイッチ61が押され(図6参照)、これにより、回収袋101が装置本体2のハウジング2dに取り付けられたと判断した場合には(ステップS4のY)、回収袋101の取り付け回数をカウントする(ステップS5)。具体的には、RAM64cの取付回数カウンタの回数に1を加える。
そして、そのRAM64cの取付回数カウンタがカウントした回数に応じた金種の硬貨を全て払い出させる(ステップS6)。具体的には、RAM64cの取付回数カウンタがカウントした回数に応じた金種に対応する払出ベルト35を駆動させてその金種の硬貨Cを全て払い出させる。この払出は、回収袋101によってマイクロスイッチ61が押されてから、直ちに開始しても良いし、規定時間(例えば、2秒)後に開始してもよい。ここで、本参考例では、RAM64cの取付回数カウンタがカウントした回数(つまり、回収キー63aが押下されてから、回収袋101が装置本体2のハウジング2dに取り付けられた回数)が「1」の場合には1円硬貨、回数が「2」の場合には5円硬貨というように、回数が多くなるに応じて高額の金種を払い出すように設定されており、したがって、回数が「6」の場合に500円硬貨を払い出す設定である。ここに、回収袋101がハウジング2dへ取り付けられたことを取付検出手段が検出し、かつ、宣言手段により回収袋101への硬貨Cの払い出しが宣言された場合に、ハウジング2dに収納されている硬貨Cのうちの特定の金種の硬貨Cを全て払い出させる特定金種払出手段の機能が実行される。
そして、このとき、回収袋101が装置本体2のハウジング2dに取り付けられることにより経路切替部材57が払出位置から回収位置へ回動され、回収経路52が回収袋101に連通する。これにより、払出ベルト35により送り出される硬貨Cは、硬貨案内孔55によって形成された回収経路52に沿って落下し、回収袋101に収納される。
ステップS6において、回収袋101の取り付け回数に応じた金種の硬貨Cを全て払い出した後、表示器62に装置本体2からの回収袋101の取り外しを促すガイダンス(例えば、「回収袋を装置本体から取り外して下さい」)を表示させる(ステップS7)。
そして、オペレータの操作により回収袋101が装置本体2のハウジング2dから取り外され、回収袋101によるマイクロスイッチ61の押し状態が解除され(図5参照)、これにより、回収袋101が装置本体2のハウジング2dから取り外されたと判断した場合には(ステップS8のY)、RAM64cの取付回数カウンタの回数が規定回数に達したか否かを判定する(ステップS9)。本参考例では、硬貨Cの金種が6種類であるので規定回数は6回に設定されている。RAM64cの取付回数カウンタの回数が規定回数に達していないと判断した場合には(ステップS9のN)、ステップS3に戻る。そして、ステップS3からステップS9までの処理を、RAM64cの取付回数カウンタの回数が規定回数(本参考例では6回)に達するまで繰り返し実行する。つまり、ステップS3〜ステップS9までの処理を6回行なうこととなり、これにより全ての金種(本参考例では6金種)の硬貨Cが金額の低い金種から高い金種の順に金種別に払い出される。このとき、オペレータが、予め用意しておいた6個の回収袋101を装置本体2のハウジング2dに順次付け替えることにより、オペレータは硬貨Cを金種毎に回収することができる。
その後、ステップS9において、RAM64cの取付回数カウンタの回数が規定回数に達したと判断した場合には(ステップS9のY)、6種類全ての金種に対して硬貨Cの払出を行なったこととなるので、処理を終了する。
なお、このような硬貨Cの金種別払出処理において、硬貨Cの払出中に終了キー63bが操作された場合には、硬貨Cの払い出しを中止するようにしても良い。
以上説明したように、本参考例では、装置本体のハウジング2d内に収納されている硬貨のうちの特定の硬貨だけを全て払い出すことができ、これにより、回収した硬貨Cをオペレータが手作業で選別する必要が無くなるので、従来の装置でかかっていた回収した硬貨Cの選別にかかる手間を省くことができる。
また、本参考例においては、特定金種払出手段は、回収体である回収袋101がハウジング2dに付け替えられる毎にハウジング2dに収納されている硬貨Cのうちの特定の金種の硬貨Cを全て払い出させることにより、宣言手段としての回収キー63aを一回だけ押下した後には、装置本体2のハウジング2dへの回収袋101の取り付け毎に、装置本体2のハウジング2dに収納されている硬貨Cのうちの特定の金種の硬貨Cが回収袋101に払いだされるので、予め用意しておいた金種数(本参考例では6個)の回収袋101をオペレータが順次付け替えることにより、オペレータは硬貨Cを金種毎に回収することができ、これにより、回収した全金種の硬貨Cをオペレータが手作業で選別する必要が無くなるので、従来の装置でかかっていた回収した硬貨Cの選別にかかる手間を省くことができる。
また、従来の硬貨入出金装置では例えば硬貨払出口を装置本体から取り外しその硬貨払出口が取り付けられていた部位に硬貨の回収部材を取り付けなければならず硬貨の回収作業が面倒であるのに比べて、本参考例では、回収袋101を装置本体2のハウジング2dに取り付けるだけで、回収経路52が回収袋101に連通され、払い出される硬貨Cが回収袋101に落下するようになり、硬貨払出口を取り外す作業が不要であるので、硬貨入出金装置1のハウジング2d内に収納されている回収する際の作業を容易化することができる。
また、本参考例では、回収袋101に取っ手104が設けられているので、装置本体2から払い出された硬貨Cを収納し重たくなった回収袋101でも楽に持ち運びをすることができる。
また、本参考例では、入出金機構ユニット2aをユニット保持ケース2bから引き出すことができるので、例えば、装置本体2がハウジング2dの前端を設置台200(図3参照)の端に揃えられて設置台200上に設置された場合でも、図3に示すように、入出金機構ユニット2aをユニット保持ケース2bから引き出すことによって、回収袋取付部5の下方に空間ができるので、回収袋101を回収袋取付部5に取り付けることができる。
なお、本参考例では、宣言手段として、押下された回収キー63aから制御部64への宣言信号の入力を例に説明したが、これに限るものではなく、例えば、装置本体2のハウジング2dに取り付けられた回収袋101を検出したマイクロスイッチ61からの制御部64への検出信号の入力によるものであってもよい。
このように、本参考例においては、位置付け手段は、経路切替部材57が払出位置に位置するように経路切替部材57を付勢する付勢部材であるコイルバネ58であり、移動手段は、回収体である回収袋101であって、回収袋101は、ハウジング2dに対してスライド移動自在に設けられハウジング2dにスライド移動で取り付けられるのに連動して経路切替部材57が回収位置に位置するように経路切替部材57を押すことにより、コイルバネ58の力に抗して回収袋101をスライド移動でハウジング2dに取り付けるだけで、回収経路52をハウジング2dに取り付けられた回収袋101に連通させることができる。
[第二の参考例]
次に、本発明の第二の参考例を図9及び図10に基づいて説明する。なお、前述した参考例と同じ部分は同一符号で示し説明も省略する(以降に説明する本発明の実施の一形態でも同じ)。ここで、図9は本参考例の硬貨入出金装置の経路切替部材及びその周囲を示す縦断側面図、図10は回収袋が装置本体のハウジングに取り付けられた状態の硬貨入出金装置の経路切替部材及びその周囲を示す縦断側面図である。
本参考例の硬貨入出金装置301は、払出ベルト35により送り出される硬貨Cの落下経路に関わる部分が第一の参考例と異なる。
硬貨入出金装置301の硬貨払出口302の底部には、回収経路303を形成する孔304が形成されている。回収経路303は、払出ベルト35の終端を始点とし孔304を貫通する経路である。
経路切替機構305には、装置本体2のハウジング2dに対して装置の前後方向にスライド移動自在に設けられ経路切替部材であって孔304の開放及び閉塞を行なう蓋体306が設けられている。この蓋体306は、位置付け手段であって圧縮バネとして機能する付勢部材であるコイルバネ307により孔304を閉塞するように装置の手前側に向けて付勢されている。そして、蓋体306は、孔304を閉塞する孔閉塞位置でストッパ壁308により装置手前側への移動を阻止され位置決めされる。これにより、蓋体306は孔304を閉塞して硬貨払出口302の底部を形成する。これにより払出ベルト35の終端から硬貨払出口302までの払出経路309が形成される。
この状態で、回収袋101が回収袋取付部5に取り付けられる際には、蓋体306は回収袋取付部5のレール5a,5bをスライド移動する回収袋101のフレーム枠103に押され、その力によりコイルバネ307の付勢力に抗して装置奥側へ移動する。そして、最終的に、孔304が開放された位置で蓋体306はストッパ壁310によりその装置奥側への移動を阻止される。このとき、回収袋101は、回収袋取付部5との間の摩擦力によりコイルバネ307の付勢力に抗して位置保持されており、これにより、蓋体306は、孔304により回収経路303が形成される回収位置に位置決めされる。この状態で、孔304により形成された回収経路303が回収袋101に連通する。この状態から、回収袋101が回収袋取付部5から取り外されることにより、蓋体306は、コイルバネ307の付勢力により孔閉塞位置に復帰する。
この経路切替部材57の装置奥側には、蓋体306に押されることによりこの蓋体306の位置を検出するマイクロスイッチ311が設けられている。このマイクロスイッチ311は、蓋体306が孔閉塞位置に位置しているときには、蓋体306とは接触しない位置であって、蓋体306が回収位置に位置しているときに蓋体306に押される位置に位置付けられている。
このような構成により、回収袋101を回収袋取付部5に取り付けることにより、蓋体306が押されて、孔304が開放され、回収袋取付部5に取り付けられた回収袋101に回収経路303が連通する。これにより、上述した参考例と同様の作用効果を奏することができる。
[実施の一形態]
次に、本発明の実施の一形態を図11ないし図14に基づいて説明する。
ここで、図11は本実施の形態の硬貨入出金装置の回収袋をフォトセンサとともに示し、(a)は全金種の回収袋を説明するための模式図、(b)は1円硬貨用の回収袋を示す平面図、図12は各金種の回収袋の金種指定部の各ピンの組み合わせを示す説明図、図13は金種判別テーブルを示す模式図である。
本実施の形態は、前述した参考例とは異なり、図11に示すように、硬貨Cの金種ごとに専用の回収袋151が設けられており、装置本体351では、取り付けられた回収袋151に対応する金種の硬貨Cを回収袋151に払い出させる金種別払出処理を実行する。なお、本実施の形態は、装置本体351の機構的な構造としては、前述した第一の参考例の構造が適用されている。
図11(a)に示すように、回収袋151には、その回収袋151がどの金種用であるか、つまり、その回収袋151に収納すべき硬貨Cの金種を指定する金種指定部152がフレーム枠103の取っ手104側とは反対側に設けられている。
各金種の回収袋151のそれぞれの金種指定部152は、第一ピン153、第二ピン154、第三ピン155の有無の組み合わせにより構成されている。ここで、一例として1円硬貨用の回収袋151を図11(b)に示す。図11(b)に示すように、1円硬貨用の回収袋151の金種指定部152は、第三ピン155のみを有している。各金種用の回収袋151の各ピン153,154,155の有無の組み合わせを図12に示す。
図11に示すように、装置本体351側には、第一ピン検出用の第一フォトセンサ352、第二ピン検出用の第二フォトセンサ353、第三ピン検出用の第三フォトセンサ354が設けられている。これらのフォトセンサ352,353,354は、回収袋151が装置本体351のハウジング2dの回収袋取付部5に取り付けられた状態で、回収袋151の第一ピン153、第二ピン154、第三ピン155の有無を検出する。
これらの第一フォトセンサ352、第二フォトセンサ353、第三フォトセンサ354は、特に図示しないが、制御部64に接続されており、各ピン153,154,155を検出した場合には、検出信号を制御部64に入力する。
また、宣言手段である回収キー63a(図1参照)は、押下されることにより硬貨Cの金種別払出処理の開始を宣言し、終了キー63b(図1参照)は、押下されることによりその処理の終了を宣言する。
また、制御部64のROM64bには、図13に示すように、金種判別テーブルTが設けられている。この金種判別テーブルTは、装置本体351のハウジング2dに回収袋151が取り付けられた場合に、制御部64が各フォトセンサ352,353,354から入力される検出信号に基づいてその回収袋151の金種を判別するためのものである。金種判別テーブルT中の「1」は各フォトセンサ352,353,354やマイクロスイッチ61からの検出信号の入力の有りの場合を示し、「0」はその検出信号の入力の無しの場合を示す。
次に、制御部64が行なう硬貨Cの金種別払出処理について図14を参照しつつ各部の動作とともに説明する。ここで、図14は硬貨Cの金種別払出処理の流れを示すフローチャートである。なお、必要に応じて図5及び図6も適宜参照する。
まず、回収キー63aが押下されるまで待機する(ステップS11のN)。回収キー63aが押され、金種別払出処理の開始が宣言されたと判断した場合には(ステップS11のY)、表示器62に装置本体351への回収袋151の取り付けを促すガイダンス(例えば、「回収袋を装置本体へ取り付けて下さい」)を表示させる(ステップS12)。
そして、回収袋151の装置本体351のハウジング2dへの取り付けの有無を検出する(ステップS13)。ここに、回収袋151のハウジング2dへの取り付けの有無を検出する取付検出手段の機能が実行される。回収袋151が取り付けられていない場合は、回収袋151が取り付けられるまで待機する(ステップS13のN)。
オペレータにより回収袋151が装置本体351の回収袋取付部5に差し込まれて、回収袋151によりマイクロスイッチ61が押され(図6参照)、これにより、回収袋151が装置本体351のハウジング2dに取り付けられたと判断した場合には(ステップS13のY)、その回収袋151が指定する硬貨Cの金種を取得する(ステップS14)。具体的には、回収袋151が装置本体351のハウジング2dに取り付けられた際のフォトセンサ352,353,354からの検出信号の入力結果とROM64bの金種判別テーブルTとを照合してその回収袋151が指定する硬貨Cの金種を特定する。ここに、ハウジング2dに取り付けられた回収袋151の金種指定部152が指定する硬貨Cの金種を取得する金種取得手段の機能が実行される。
ステップS14において、回収袋151が指定する硬貨Cの金種を取得した後に、その金種の硬貨Cを全て払い出させる(ステップS15)。具体的には、その金種に対応する払出ベルト35を駆動させてその金種の硬貨Cを全て払い出させる。ここに、回収袋151がハウジング2dへ取り付けられたことを取付検出手段が検出し、かつ、宣言手段により回収袋151への硬貨Cの払い出しが宣言された場合に、ハウジング2dに収納されている硬貨Cのうち、金種取得手段が取得した金種の硬貨Cを全て払い出させる特定金種払出手段の機能が実行される。
そして、このとき、回収経路52が回収袋151に連通し、これにより、払出ベルト35により送り出される硬貨Cは、硬貨案内孔55によって形成された回収経路52に沿って落下し、回収袋151に収納される。
ステップS15において、回収袋151が指定する金種の硬貨Cを全て払い出した後、表示器62に装置本体351からの回収袋151の取り外しを促すガイダンス(例えば、「回収袋を装置本体から取り外して下さい」)を表示させる(ステップS16)。
そして、オペレータの操作により回収袋151が装置本体351のハウジング2dから取り外され、回収袋151によるマイクロスイッチ61の押し状態が解除され(図5参照)、これにより、回収袋151が装置本体351のハウジング2dから取り外されたと判断した場合には(ステップS17のY)、処理を終了するか否かを判断する(ステップS18)。具体的には、終了キー63bの押下があった場合に処理を終了する。終了キー63bの押下が無く処理を終了しない場合には(ステップS18のN)、再びステップS12に戻る。そして、ステップS12からステップS18までの処理を、繰り返し実行する。ここで、オペレータは、それぞれの金種用の回収袋151を装置本体351のハウジング2dに順次付け替えることにより、硬貨Cを金種毎に回収することができる。
このように本実施の形態においては、回収体である回収袋151は、収納すべき硬貨Cの金種を指定する金種指定部152を有し、ハウジング2dに取り付けられた回収袋151の金種指定部152が指定する硬貨Cの金種を取得する金種取得手段を備え、特定金種払出手段は、特定の金種の硬貨として金種取得手段が取得した金種の硬貨Cを全て払い出させることにより、回収袋151をハウジング2dに取り付けることにより、その回収袋151が指定する金種の硬貨Cが回収袋151に払い出されるので、オペレータは、宣言手段である回収キー63aを一回だけ押下した後に、金種毎の回収袋151をハウジング2dに順次付け替えることにより、硬貨Cを金種毎に回収することができ、これにより、回収した硬貨Cをオペレータが手作業で選別する必要が無くなるので、従来の装置でかかっていた回収した硬貨Cの選別にかかる手間を省くことができる。
また、回収袋151をハウジング2dに取り付けることにより、その回収袋151が指定する金種の硬貨Cが回収袋151に払い出されるので、オペレータは、回収したい金種の回収袋151をハウジング2dに取り付けることにより、その金種の硬貨Cを回収することができる。
1…硬貨入出金装置、2d…ハウジング、4…硬貨払出口、10…硬貨払出搬送部、51…払出経路、52…回収経路、57…経路切替部材、58…コイルバネ(位置付け手段、付勢部材)、63a…回収キー(宣言手段)、101…回収袋(回収体)、151…回収袋(回収体)、152…金種指定部、301…硬貨入出金装置、302…硬貨払出口、303…回収経路、306…蓋体(経路切替部材)、309…払出経路、ステップS4…取付検出手段、ステップS6…特定金種払出手段、ステップS13…取付検出手段、ステップS14…金種取得手段、ステップS15…特定金種払出手段、C…硬貨