本発明の一実施の形態を図1ないし図9に基づいて説明する。本実施の形態は、商品の売上処理を実行する商品販売データ処理装置であるPOS端末(図示せず)に接続して使用される硬貨入出金装置への適用例である。ここで、図1は本実施の形態の硬貨入出金装置の外観を示す斜視図である。
図1を用いて硬貨入出金装置1を説明する。硬貨入出金装置1は、その概略構造として、硬貨C(図5参照)の入金及び払い出し処理を行なう入出金機構ユニット2aがユニット保持ケース2bに引き出し及び収納自在に保持されて構成される装置本体2と、この装置本体2の入出金機構ユニット2aに着脱自在に取り付けられる回収体であって移動手段である回収袋101とから構成されている。回収袋101が装置本体2に取り付けられた状態の硬貨入出金装置1を図2に示す。
回収袋101は、図1に示すように、装置本体2に収納されている全ての硬貨Cを収納可能な上面開口の袋部102と、この袋部102の上端を支持するフレーム枠103とから構成されている。フレーム枠103には取っ手104が設けられている。また、フレーム枠103の取っ手104とは反対側には、回収袋101を装置本体2側に取り付けるための嵌合部105が形成されている。
次に入出金機構ユニット2aについて説明する。ここで、図3は設置台上に設置され入出金機構ユニットがユニット保持ケースから引き出された状態の硬貨入出金装置を示す側面図、図4は入出金機構ユニット2aの内部構造を示す平面図、図5は入出金機構ユニット2aの内部構造を示す縦断側面図、図6は回収袋101が取付部に取り付けられた状態の入出金機構ユニット2aの内部構造を示す縦断側面図である。
図3に示すように、入出金機構ユニット2aは、スライドレール機構2cによってユニット保持ケース2bに対して引き出し及び収納自在に保持されており、その引き出し方向は装置手前側である。この入出金機構ユニット2aは、以下に説明する各部がハウジング2dによりユニット化されて構成されている。
図1に示すように、入出金機構ユニット2aのハウジング2dの右側手前には、上面が開口され硬貨Cが一括して投入される硬貨投入口3が設けられ、ハウジング2dの左側手前には、上面が開口され硬貨Cが払い出される硬貨払出口4が設けられ、この硬貨払出口4よりも下のハウジング2dには、回収袋101をハウジング2dに対してスライド自在かつ着脱自在に保持する回収袋取付部5が設けられている。このハウジング2dには、略全体がユニット保持ケース2bに覆われ、硬貨投入口3から投入された硬貨Cを選別収納しPOS端末などからの払出指令に応じて硬貨Cを硬貨投入口3に払い出す硬貨入出金機構A(図4参照)が設けられている。
図5に示すように、回収袋取付部5は、装置の前後方向に長く形成された第一の位置付け手段であるスライド部材71がハウジング2dに固定されたスライド部材保持部72によって装置の前後方向にスライド自在に保持されて構成されている。スライド部材71の前端には、図1に示すように、回収袋101を着脱自在に保持する溝形状の回収袋保持部73が形成されている。即ち、溝形状の回収袋保持部73に回収袋101の嵌合部105が嵌合することにより回収袋101がスライド部材71に保持される。このスライド部材71は、図5に示す、回収袋保持部73への回収袋101の着脱を可能とする着脱位置と、図6に示す、取り付けられた回収袋101を硬貨払出口4の下方の回収位置に位置付ける回収位置との間でスライド自在に設けられている。
さらに、スライド部材71の前端には、図1に示すように、回収袋保持部73を覆うためのカバー74が取り付けられている。なお、図5及び図6ではカバー74を省略している。カバー74は、回収袋保持部73を覆う位置(図9参照)と回収袋保持部73を露出する位置(図1参照)との間で軸75によりスライド部材71に回動自在に設けられている。そして、スライド部材71を着脱位置に引き出した状態であってスライド部材71に回収袋101が取り付けられていない状態において、回収袋保持部73を覆う位置にカバー74を回動させてからカバー74を装置の奥側に向けて押すことにより、スライド部材71が装置の後方へ向けて移動し、回収位置よりも手前の位置であるカバー閉じ位置にスライド部材71が位置したときに、カバー74の内側に形成された溝部76がハウジング2dに設けられた係り止め部77に嵌ることにより位置保持され、カバー74はハウジング2dの前端部と一体化する。この状態では、スライド部材71は、回収位置に向かっての移動が規制される。
図4に示すように、硬貨入出金機構Aは、硬貨Cを選別して落下させる硬貨選別部7、硬貨選別部7の下方に配置され硬貨選別部7により落下された硬貨Cを金種毎に収納する硬貨収納部8、硬貨投入口3に投入された硬貨Cを硬貨選別部7へ搬送する硬貨搬送部9、硬貨収納部8に収納された硬貨Cを硬貨払出口4に払い出す硬貨払出搬送部10などから構成されている。
硬貨搬送部9は、硬貨投入口3の底から硬貨収納部8よりも高い位置に硬貨Cを搬送する第一の硬貨搬送部11、第一の硬貨搬送部11によって搬送された硬貨Cを硬貨選別部7へ搬送する第二の硬貨搬送部12から構成されている。
第一の硬貨搬送部11には、硬貨投入口3の底を搬送面13によって形成しモータM(図7参照)に連結されて、硬貨投入口3に投入された搬送面13上の硬貨Cを装置の奥へ搬送する入金搬送ベルト14が設けられている。ここで、搬送面13によって搬送路20が形成されている。硬貨投入口3には、入金搬送ベルト14の駆動制御において用いられる光電的に硬貨Cの有無を検出する複数組の投入センサ6が設けられている。
この入金搬送ベルト14上には、硬貨投入口3の一端に位置させて不規則に投入された硬貨Cを一枚ずつ送り出すための投入口ローラ21が設けられている。
入金搬送ベルト14の終端部分には、搬送方向を略直角に屈曲する硬貨案内部22が設けられ、この入金搬送ベルト14の終端部分に、第二の硬貨搬送部12が連設されている。
第二の硬貨搬送部12は、硬貨入出金装置1の幅方向に略平行に設けられ、硬貨案内部22によって搬送方向が略直角に屈曲された硬貨Cを硬貨選別部7に搬送する。第二の硬貨搬送部12には、硬貨Cを底板23の水平な搬送面23aに圧接させて硬貨選別部7へ搬送する搬送ベルト24が設けられている。この搬送面23aは、搬送路25を形成している。
搬送ベルト24は、エンドレスベルトであって、駆動ローラ26と従動ローラ27とに掛け渡されて設けられ、駆動ローラ26に連結されたモータM(図7参照)により駆動される。そして、搬送ベルト24は、硬貨入出金装置1が水平に設置された状態で、図示しない付勢部材により下方に向けて付勢されている。これにより、搬送ベルト24は、搬送面23a上の硬貨Cを押圧し、硬貨Cを搬送面23aに圧接させる。
なお、底板23には、基準面28が設けられている。この基準面28は、搬送路25を搬送される硬貨Cの側面を支持して、硬貨選別部7の後述する選別穴29から硬貨Cを正しく落下させる為に必要な硬貨Cの搬送基準を得る為の硬貨案内面54である。このような第二の硬貨搬送部12の搬送ベルト24の下方に、硬貨選別部7が設けられている。
硬貨選別部7を構成する底板23には、搬送ベルト24に沿わせて、即ち、搬送路25に沿わせて順次穴幅寸法が拡大する金種毎の選別穴29が形成されており、この選別穴29により硬貨Cを金種別に選別する。
選別穴29は、図4において右から1円・50円・5円・100円・10円・500円のそれぞれの金種に対応するように6個設けられている。本実施の形態では、硬貨搬送方向で隣り合う選別穴29同士はそれぞれ連続して形成されており、外見上、一つの穴を形成している。硬貨選別部7は、硬貨Cが搬送されて、所定の外径の選別穴29に到達した際に、金種毎に硬貨収納部8に落下させる。
そして、各選別穴29には、金種毎に計数センサ31が設けられており、金種毎に硬貨Cの枚数がカウントされる。
次に、硬貨収納部8、硬貨払出搬送部10などについて説明する。図4に示すように、硬貨収納部8は、仕切板32により仕切られ、これにより、選別穴29のそれぞれに連通された上方開口の硬貨収納部8a〜8fが並列に形成されている。
図5に示すように、この硬貨収納部8a〜8fのそれぞれの底部には、硬貨払出搬送部10が設けられている。硬貨払出搬送部10には、駆動ローラ33と従動ローラ34とに掛け渡されたエンドレスベルトである払出ベルト35が設けられている。この払出ベルト35は、駆動ローラ33に連結されたモータM(図7参照)によって回転駆動され、上側の外周面35aに形成される搬送面35b上の硬貨Cを硬貨払出口4へ向けて搬送する。ここで、搬送面35bは硬貨収納部8の奥側から硬貨払出口4近傍に至る搬送路35cを形成している。
硬貨収納部8の出口部には、硬貨Cを一枚毎に分離する分離ローラ36が、払出ベルト35に対して硬貨C一枚が通過し得る間隔を隔てて配設され、かつ、全ての金種の出口部をそれらの金種毎に横断するように配設されている。この分離ローラはモータMにより払出ベルト35とは逆回転駆動されることにより、この分離ローラ36に接触した硬貨Cを回転方向に払いのける。
さらに、硬貨収納部8の出口部には、硬貨Cの搬送所定枚数の硬貨Cを一列に整列させて、待機させる硬貨待機部37が金種毎に設けられている。
各硬貨待機部37には、シャッタソレノイド38に連結され、それぞれ金種別に搬送路35c上を搬送される硬貨Cを一時的に停止させるとともに必要枚数の硬貨Cを送り出すような開閉動作制御がなされる硬貨シャッタ39がそれぞれ設けられている。
硬貨シャッタ39の直後には、金種毎に払い出された硬貨Cの枚数を計数する光センサである払出センサ40や、硬貨Cの材質を検出するための発振コイルである材質センサ41がそれぞれ設けられている。
払出ベルト35の終端部分には、払出ベルト35の終端まで搬送され払出ベルト35から落下する硬貨Cの落下経路を払出経路51又は回収経路52(図6参照)に切り替える経路切替機構53が設けられている。払出経路51は、回収袋101が装置本体2のスライド部材71に取り付けられていない場合に設定され硬貨Cを硬貨払出口4へ案内する経路である。回収経路52は、図6に示すように、回収袋101が装置本体2のスライド部材71に取り付けられ回収位置に位置した場合に設定され硬貨Cを硬貨払出口4とは異なる場所である回収袋101に落下させる経路である。
経路切替機構53は、図5に示すように、払出経路51を形成する硬貨案内面54と回収経路52を形成する硬貨案内孔55とが設けられ支軸56により回転自在に支持された経路切替部材57を備えている。硬貨案内面54と硬貨案内孔55とのそれぞれの横幅は、硬貨収納部8の横幅以上に設定されている。硬貨案内孔55は、硬貨Cが落下可能な大きさに形成されている。
この経路切替部材57は、第三の位置付け手段であって引っ張りバネとして機能する付勢部材であるコイルバネ58の付勢力により、装置右側からみて支軸56を中心として時計回り方向に回転するように引っ張られている。そして、経路切替部材57は、ストッパピン59によりその時計回りの回転を阻止され払出位置に位置決めされる。このとき、経路切替部材57は、硬貨案内面54が払出ベルト35の終端部に連設された状態となり、これにより、落下経路が払出経路51に設定される。
この状態で、スライド部材71に取り付けられた回収袋101がスライド部材71と共に、装置後方に押し込まれ回収位置に位置付けられる際には、支軸56よりも下側に位置する経路切替部材57の下端部が回収袋101のフレーム枠103に押され、その力により経路切替部材57は、コイルバネ58の付勢力に抗して支軸56を中心として反時計回りに回転する。そして、最終的に、経路切替部材57はストッパピン60によりその反時計回りの回転を阻止される。このとき、回収袋101を保持したスライド部材71は、スライド部材保持部72との間の摩擦力によりコイルバネ58の付勢力に抗して位置保持されており、経路切替部材57は、回収位置(図6参照)に位置決めされる。この状態で、硬貨案内孔55が払出ベルト35の終端部に連設された状態となり、これにより、落下経路が回収経路52に設定される。このとき、回収位置に位置した回収体101の上面が回収経路52の下端側に連通する。この状態から、スライド部材71に保持された回収袋101が装置の手前側に引き出されることにより、経路切替部材57は、コイルバネ58の付勢力により払出位置に復帰する。
この経路切替部材57の装置奥側には、経路切替部材57に押されることによりこの経路切替部材57の位置を検出するマイクロスイッチ61が設けられている。このマイクロスイッチ61は、経路切替部材57が払出位置に位置しているときには、経路切替部材57とは接触しない位置であって、経路切替部材57が回収位置に位置しているときに経路切替部材57に押される位置に位置付けられている。
さらに、払出ベルト35の下方であって、スライド部材71の奥側には、清掃部材であるブラシ81が設けられている。このブラシ81は、支軸82を中心に回動自在に設けられた保持体83に保持されている。この保持体83は、ブラシ81を、払出ベルト35から離反する離反位置と、払出ベルト35の外周面35aに当接して外周面35aを清掃する清掃位置(図6参照)との間で移動自在に保持している。保持体83の前端には、スライド部材71の後端が当接する当接部84が形成されている。この保持体83は、スライド部材71が着脱位置やカバー閉じ位置に位置して当接部84に当たらない状態において、第二の位置付け手段である保持体83及びブラシ81の自重によりブラシ81を離反位置に位置付けるように回動しハウジング2dに設けられた位置決め部85により位置決めされる。この状態から、回収袋101を保持したスライド部材71が回収位置に移動することにより、スライド部材71の後端が当接部84に当たって保持体83を押す。これにより、保持体83は、ブラシ81を離反位置から清掃位置へ変位させるように回動する。即ち、回収袋の回収位置へのスライド移動に連動してブラシ81が清掃位置に位置付けられる(図6参照)。そして、保持体83は、回収位置に保持されたスライド部材71により位置保持され、これによりブラシ81が清掃位置に位置保持される。
そして、払出ベルト35から金種別に落下した硬貨Cが経路切替部材57の硬貨案内面54に沿って落下する位置であって、ハウジング2dの左側手前に、硬貨払出口4が配置されている。また、図1に示すように、硬貨払出口4の上方には、表示器62及び各種の操作キー63が設けられている。
次に、図7に基づいて硬貨入出金装置1に内蔵される各部の電気的接続を説明する。硬貨入出金装置1は、各部の制御を受け持つ制御部64を備え、この制御部64にインターフェース(I/F)65を介してPOS端末が接続されている。制御部64は、ここでは特に図示しないが、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)、制御プログラム等の固定的データを予め格納するROM(Read Only Memory)、金種別の硬貨Cの枚数等の可変的なデータを書換え自在に格納するRAM(Random Access Memory)等により構成されている。また、制御部64には、表示器62、スタートキーや終了キーなどの操作キー63も接続されている。
さらに、制御部64には、投入センサ6、計数センサ31、払出センサ40、材質センサ41等のセンサ類66、シャッタソレノイド38、各モータM、マイクロスイッチ61等が接続されている。ここで、投入センサ6、計数センサ31、払出センサ40、材質センサ41等のセンサ類66は、例えば硬貨Cを光学的に検出した信号やコイルの電圧の変動等を制御部64に伝達するものであり、この検出信号に基づいて制御部64が各モータMを駆動制御する。また、マイクロスイッチ61は経路切替部材57に押されることにより検出信号を制御部64に伝達する。また、シャッタソレノイド38は、制御部64から出力される信号に基づき駆動制御され、通電(ON)されることで硬貨シャッタ39を払出ベルト35から離反する方向に変位させ、指定された枚数だけ硬貨Cを払い出す。なお、シャッタソレノイド38は、ここでは1つしか図示しないが、実際には各金種毎に個々に制御部64によって制御される。
このような構成において、回収袋101が装置本体2の回収袋取付部5のスライド部材71に取り付けられていない状態で、硬貨Cが硬貨投入口3に投入されると、投入センサ6がその硬貨Cを検出し、この検出信号により入金搬送ベルト14、投入口ローラ21、搬送ベルト24が駆動される。そして、硬貨投入口3に投入された硬貨Cは、入金搬送ベルト14と投入口ローラ21との間で1枚ずつ分離されて搬送される。入金搬送ベルト14により搬送される硬貨Cは、硬貨案内部22によって搬送方向が略直角に屈曲され、入金搬送ベルト14から搬送ベルト24に受け渡され、硬貨選別部7で金種毎の選別がなされる。すなわち、硬貨Cは、金種に応じて選別穴29から落下し、硬貨収納部8a〜8fに金種別に収納される。そして、選別穴29から落下した硬貨Cは、計数センサ31によりその数がカウントされる。
また、硬貨待機部37に硬貨Cがない場合には、払出ベルト35が駆動されて硬貨待機部37に所定枚数(例えば4枚)の硬貨Cが常に存在するように動作制御がなされる。
ついで、POS端末において締め処理がなされ、POS端末より硬貨Cの払出指令があった場合には、払出ベルト35が駆動されるとともに、金種毎に硬貨シャッタ39がシャッタソレノイド38によって駆動されるため、必要枚数の硬貨Cが送り出される。このとき、回収袋101が装置本体2の回収袋取付部5のスライド部材71に取り付けられていないので、経路切替部材57は払出位置に位置付けられており落下経路が払出経路51に設定されていることにより、払出ベルト35により送り出された硬貨Cは、硬貨案内面54に案内されて硬貨払出口4に払い出される。
次に、装置本体のハウジング2d内に収納された全硬貨Cの一括回収作業の手順を説明する。まず、オペレータは、回収袋101を装置本体2のスライド部材71の嵌合部105に差し込んで回収袋101をスライド部材71に取り付け回収袋101を回収位置に移動させる。これにより、装置本体2において後述する硬貨Cの一括払出処理がなされ、硬貨Cが回収袋101に払い出される。オペレータは、回収袋101を装置手前に引き出し、装置本体2のハウジング2dに収納されていた全硬貨Cを収納した回収袋101をスライド部材71から取り外し硬貨Cを回収する。
次に、図8に基づいて、このような一括回収作業の際に制御部64が行なう硬貨Cの一括払出処理を各部の動作とともに説明する。ここで、図8は硬貨Cの一括払出処理の流れを示すフローチャートである。なお、必要に応じて図5及び図6も適宜参照する。
まず、回収袋101の装置本体2のハウジング2dへの取り付けの有無を検出する(ステップS1)。ここに、回収袋101のハウジング2dへの取り付けの有無を検出する取付検出手段の機能が実行される。回収袋101が取り付けられていない場合は、回収袋101が取り付けられるまで待機する(ステップS1のN)。
オペレータにより回収袋101がスライド部材71に保持されて回収位置に位置付けられて、マイクロスイッチ61が押され(図6参照)、マイクロスイッチ61から検出信号が入力され、これにより、回収袋101が装置本体2のハウジング2dに取り付けられたと判断した場合には(ステップS1のY)、払出ベルト35を回転駆動して装置本体2のハウジング2dに収納されている全硬貨Cの払出を開始する(ステップS2)。ここで、マイクロスイッチ61の検出信号が一括払出指令として機能する。なお、この払出は、回収袋101によってマイクロスイッチ61が押されてから、直ちに開始しても良いし、規定時間(例えば、2秒)後に開始してもよい。
このとき、回収袋101により経路切替部材57が払出位置から回収位置へ回動され、回収経路52が回収袋101に連通する。これにより、払出ベルト35により送り出される硬貨Cは、硬貨案内孔55によって形成された回収経路52に沿って落下し、回収袋101に収納される。
そして、装置本体2のハウジング2dに収納されている全硬貨Cの払出が完了した場合には(ステップS3のY)、払出ベルト35の駆動を停止して(ステップS4)、処理を終了する。ここに、ステップS2〜ステップS4によって、一括払出手段の機能が実行される。
ここで、硬貨Cの一括払出中に、オペレータの誤操作などにより回収袋101が回収位置から装置手前側に移動され回収袋101によるマイクロスイッチ61の押し状態が解除され(図5参照)、これにより、回収袋101が装置本体2のハウジング2dから取り外されたと判断した場合には(ステップS5)、払出ベルト35の駆動を停止して(ステップS4)、処理を終了する。これにより、硬貨Cの一括払出中に回収袋101が取り外された場合の装置外への硬貨Cの散乱が防止される。
なお、このような硬貨Cの一括払出処理において、硬貨Cの払出中に終了キーが操作された場合には、硬貨Cの払い出しを中止するようにしても良い。
このような硬貨Cの一括回収作業における硬貨Cの一括払出動作での払出ベルト35に対する清掃動作について説明する。硬貨Cの一括払出動作において、回収袋101がスライド部材71に取り付けられて回収位置に位置付けられると、スライド部材71により押された保持体83が回動してブラシ81が清掃位置に位置して払出ベルト35の下側の外周面35aに当接する。この状態で払出ベルト35が回転駆動されるので、ブラシ81に対して払出ベルト35が摺動し、払出ベルト35の外周面35aの清掃が行われる。
一括払出動作の終了とともに、回収袋101の取り外しのためにスライド部材71に取り付けられた回収袋101がスライド部材とともに装置手前に引き出されることにより、スライド部材71からの押圧が解除された保持体83は、保持体83とブラシ81との自重により回動し、これにより、ブラシ81が離反位置に位置し、ブラシ81が払出ベルト35から離反する。
そして、オペレータにより回収袋101が取り外されてカバー74が閉じ位置に位置付けられて作業が終了するが、この状態において、スライド部材71は保持体83に当接しないので、ブラシ81の払出ベルト35からの離反状態が維持される。
以上説明したように、本実施の形態では、硬貨Cの一括回収作業における硬貨Cの一括払出動作に連動させて、ブラシ81による払出ベルト35の清掃を実行するので、ユーザに払出ベルト35の清掃を意識させることなく払出ベルト35の清掃が実行される。また、硬貨Cの一括回収作業は、一般的に一日に一回程度定期的に行われるので、払出ベルト35の清掃が定期的に行われることになる。ここで、例えば、払出ベルト35を清掃するためにブラシ81を常時払出ベルト35に当接させた場合には、払出ベルト35及びブラシ81がすぐに傷んでしまい問題となるが、本実施の形態では、ブラシ81の払出ベルト35への当接は、硬貨Cの一括回収作業における硬貨の一括払出動作に連動させているので、上述したように一般的に一日に一回程度であり、払出ベルト35及びブラシ81の長寿命化が図られている。
また、本実施の形態においては、払出ベルト35は、硬貨払出口4に硬貨Cを落下させて払い出し、硬貨払出口4及び払出ベルト35が設けられたハウジング2dと、払出ベルト35から落下する硬貨Cの落下経路を払出ベルト35から落下する硬貨Cを硬貨払出口4に案内する払出経路51に設定する払出位置と、落下経路を払出ベルト35から落下する硬貨Cを硬貨払出口4とは異なる場所に案内する回収経路52に設定する回収位置と、の間でハウジング2dに対して移動自在に設けられた経路切替部材57と、上面開口であって、ハウジング2dに対して着脱自在に設けられ、ハウジング2dに取り付けられた状態で回収経路52の下端側に上面が連通する位置に位置付けられ硬貨Cを収納する回収体である回収袋101と、回収袋101がハウジング2dに取り付けられていない場合に、経路切替部材57を払出位置に位置付ける第三の位置付け手段であるコイルバネ58と、回収袋101がハウジング2dに取り付けられるのに連動して経路切替部材57を回収位置に移動させる移動手段と、回収袋101のハウジング2dへの取り付けの有無を検出する取付検出手段と、を備え、一括払出手段は、回収袋101がハウジング2dへ取り付けられたことを取付検出手段が検出し、かつ、一括払出指令が有った場合に硬貨Cを払い出すことにより、硬貨入出金装置1のハウジング2d内に収納されている全ての硬貨Cを回収袋101に一括回収する際には、回収袋101を装置本体2に取り付けるだけで、払い出される硬貨Cが回収袋101に落下するようになり、硬貨入出金装置1に収納されている硬貨Cを一括回収する際の一括回収作業を容易に行える。
また、本実施の形態においては、第三の位置付け手段は、経路切替部材57が払出位置に位置するように経路切替部材57を付勢する付勢部材であるコイルバネ58であり、移動手段は、回収体である回収袋101であって、回収袋101は、ハウジング2dに対してスライド移動自在に設けられハウジング2dにスライド移動で取り付けられるのに連動して経路切替部材57が回収位置に位置するように経路切替部材57を押すことにより、コイルバネ58の力に抗して回収袋101をスライド移動でハウジング2dに取り付けるだけで、回収経路52を回収袋101に連通させることができる。
また、本実施の形態においては、清掃部材であるブラシ81は、支軸82を中心に回動自在に設けられブラシ81を清掃位置と離反位置との間で移動自在とする保持体83に保持され、回収体である回収袋101のスライド移動に連動してハウジング2dに対してスライド移動し、回収袋101が回収経路52の下端側に上面が連通する位置に位置付けられるのに連動して保持体83を回動させてブラシ81を清掃位置に位置付け、第一の位置付け手段として機能するスライド部材71を備えることにより、回収袋101のセットに連動してブラシ81を払出ベルト35に当接させることができる。
また、本実施の形態においては、第二の位置付け手段は、清掃部材であるブラシ81と保持体83との自重であることにより、第二の位置付け手段を簡単に実現することができる。
また、本実施の形態においては、例えば、図9に示すように、装置本体2がハウジング2dの前端を設置台200の端に揃えられて設置台200上に設置された場合には、回収袋取付部5の下方に設置台200が位置するので、このままでは回収袋101を回収袋取付部5に取り付けることができないが、図3に示すように、入出金機構ユニット2aをユニット保持ケース2bから引き出すことによって、回収袋取付部5の下方に空間ができるので、回収袋101を回収袋取付部5に取り付けることができる。
なお、本実施の形態では、硬貨Cの一括払出処理において、回収袋101がハウジング2dに取り付けられたのを条件に硬貨Cの払い出しを開始したが、硬貨Cの払い出しの条件としては、次のような変形例を挙げることができる。即ち、回収袋101がハウジング2dに取り付けられたのを条件とし、その後、図示しないスタートキーが操作された場合に、硬貨Cの払い出しを開始するというものである。
また、本実施の形態では、硬貨Cの一括払出処理において、硬貨収納部8に収納されている全ての硬貨Cの払い出しを実行する例を説明したが、これに限るものではなく、硬貨収納部8に収納されている硬貨Cのうちの少なくとも一つの金種の硬貨Cを全て払い出すようにしてよい。このときには、例えば、一括払出をする硬貨Cの金種を指定する金種指定キー(図示せず)を設ける。そして、回収袋101がハウジング2dに取り付けられたのを条件とし、その後、金種指定キーが操作された場合に、操作された金種指定キーに対応する金種の硬貨Cを全て払い出すようにすればよい。
1…硬貨入出金装置、2d…ハウジング、4…硬貨払出口、8…硬貨収納部、35…払出ベルト、35a…外周面、51…払出経路、52…回収経路、57…経路切替部材、58…コイルバネ(第三の位置付け手段、付勢部材)、71…スライド部材(第一の位置付け手段)、81…ブラシ(清掃部材)、82…支軸、83…保持体、101…回収袋(回収体、移動手段)、C…硬貨、ステップS1…取付検出手段、ステップS2〜ステップS4…一括払出手段