以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態に係る貨幣処理機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による貨幣処理機の構成を示す斜視図であり、図2は、図1に示す貨幣処理装置に設けられた硬貨処理装置の内部を上方から鉛直方向下方に向かって見たときの構成を示す構成図である。また、図3は、図2に示す硬貨処理装置におけるリジェクト部および硬貨収納部の構成を示す側面図であり、図4は、図2に示す硬貨処理装置の内側筐体を第1引出位置まで引き出した時の構成を示す斜視図である。また、図5は、図2に示す硬貨処理装置の内側筐体の収容位置、第1引出位置および第2引出位置を説明するための説明図であり、図6は、図2に示す硬貨処理装置における制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図7は、図2に示す硬貨処理装置の他の例における制御系の構成を示す機能ブロック図である。なお、図3において、本実施の形態による硬貨処理装置により処理される硬貨を参照符合Cで示す。
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商業施設の店舗において、顧客が立ち入ることができるフロント領域には様々な商品が陳列された商品棚が設置されているとともに、このフロント領域の精算所には図1に示すような貨幣処理機1(貨幣釣銭機)やPOSレジスタが設置されている。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣を貨幣釣銭機としての貨幣処理機1に入金したり、釣銭としての貨幣を貨幣処理機1から出金して顧客に返却したりするようになっている。また、POSレジスタにより、顧客が購入した商品に係る情報や貨幣処理機1に収納されている貨幣に係る情報等の管理が行われるようになっている。また、このような店舗における顧客の立ち入りが禁止されたバックヤード領域(具体的には、例えば入金室)には、貨幣処理機1から回収された売上金としての貨幣を入金する出納機等の貨幣入出金機が設置されている。また、貨幣処理機1において釣銭としての貨幣が不足する場合には、貨幣入出金機から釣銭補充金としての貨幣を出金し、この貨幣入出金機から出金された釣銭補充金としての貨幣を貨幣処理機1に補充することができるようになっている。このような貨幣処理機1および当該貨幣処理機1を構成する硬貨処理装置2の詳細について図1乃至図3を用いて説明する。
図1等に示すように、本実施の形態による貨幣処理機1は、略直方体形状の外側筐体1aと、左右に並ぶよう配置され、外側筐体1aからそれぞれ手前側に引出可能となっている硬貨処理装置2および紙幣処理装置3とを備えており、硬貨処理装置2や紙幣処理装置3の上方にはPOSレジスタ(図示せず)が載置されるようになっている。硬貨処理装置2および紙幣処理装置3は、それぞれ、硬貨や紙幣の入金処理および出金処理を行うようになっている。以下、硬貨処理装置2の構成の詳細について述べる。なお、紙幣処理装置3の詳細については説明を省略する。
図2等に示すように、硬貨処理装置2は、略直方体形状の内側筐体10と、内側筐体10の前面側に設けられ、硬貨の入金処理を行う際に操作者によって硬貨が投入される硬貨受入部12と、内側筐体10の前面側に設けられ、硬貨の出金処理を行う際に硬貨が払い出される硬貨払出部36と、内側筐体10の内部で硬貨を金種毎に収納する複数の硬貨収納部30a〜30fとを備えている。また、硬貨処理装置2の内側筐体10は外側筐体1aから手前側に引き出し可能となっている。このように、内側筐体10は、外側筐体1aから引き出し可能な引出部として機能する。また、複数の硬貨収納部30a〜30fは内側筐体10の幅方向(すなわち、図2の左右方向)に沿って並列に並ぶよう配置されており、各硬貨収納部30a〜30fにはそれぞれ50円硬貨、5円硬貨、500円硬貨、100円硬貨、10円硬貨および1円硬貨がこの順で収納されるようになっている。
硬貨受入部12は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ内側筐体10内に取り込むようになっている。また、硬貨受入部12には残留検知センサ13が設けられており、硬貨受入部12に受け入れられた硬貨は残留検知センサ13によって検知されるようになっている。また、硬貨受入部12には、図2における左方向に移動する繰出ベルト14a等からなる繰出部14が設けられており、硬貨受入部12に受け入れられた硬貨が残留検知センサ13によって検知されるとこの繰出部14が駆動されることにより当該繰出部14によって硬貨が内側筐体10の内部に1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、図2に示すように、硬貨受入部12には、繰出部14により内側筐体10の内部に繰り出された硬貨を1層1列状態で搬送する入金搬送部16が接続されている。
図3に示すように、入金搬送部16は、略水平方向に延びる搬送面16cを有しており、この搬送面16c上で硬貨は略水平方向の姿勢で搬送されるようになっている。また、入金搬送部16は、複数のプーリ16bにより張架された循環ベルト16aを有しており、繰出部14により内側筐体10の内部に繰り出された硬貨は循環ベルト16aとの間で働く摩擦力により内側筐体10の内部で搬送されるようになっている。具体的には、循環ベルト16aは搬送面16cからわずかな大きさの隙間(具体的には、概ね硬貨1枚分の厚さと略同一の大きさの隙間)を隔てて搬送面16cの上方に配置されている。また、複数のプーリ16bのうちある一つのプーリ16bには駆動モータが接続されており、当該駆動モータによりプーリ16bが回転させられることにより循環ベルト16aは図2における反時計回りの方向に循環移動するようになっている。また、循環ベルト16aの下端部には搬送面16c上の硬貨を押動するための押動ピン(図示せず)が等間隔で複数設けられており、循環ベルト16aが図2における反時計回りの方向に循環移動すると、搬送面16c上の硬貨が押動ピンにより内側筐体10の奥行き方向に押動されるようになる。このようにして、繰出部14により内側筐体10の内部に繰り出された硬貨は内側筐体10の内部における右側の領域において搬送面16c上で略水平方向の姿勢で当該内側筐体10の奥行き方向に搬送されるようになる。
図2に示すように、入金搬送部16の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、新旧、搬送状態等の識別を行う識別部18が設けられている。また、識別部18により正常な硬貨ではないと識別された硬貨や識別部18により識別することができなかった硬貨を入金搬送部16の搬送面16cから分岐させて後述するリジェクト口26により内側筐体10の外部に排出するリジェクト部24が設けられている。図3に示すように、リジェクト部24は、硬貨を立位状態で自重により送るリジェクトシュート24aを有している。なお、図3において、入金搬送部16により搬送される硬貨やリジェクトシュート24aによりリジェクト口26に立位状態で送られる硬貨を参照符合Cで示している。ここで、リジェクトシュート24aは水平方向に対して斜め下方に傾斜しており、このリジェクトシュート24aの下流側の端部には、内側筐体10の前面側に設けられたリジェクト口26が設けられている。リジェクト口26は内側筐体10の前面側からアクセス可能となっており、リジェクトシュート24aからリジェクト口26に送られた硬貨(リジェクト硬貨)を操作者は内側筐体10の前面側から当該内側筐体10の外部に取り出して硬貨受入部12に再投入等することができるようになる。また、リジェクトシュート24aの上流側端部には、入金搬送部16からリジェクトシュート24aへの硬貨の入口が設けられている。また、リジェクト部24は、識別部18により正常な硬貨ではないと識別された硬貨や識別部18により識別することができなかった硬貨を入金搬送部16の搬送面16cから分岐させるためのゲート部材25を有している。
図3に示すように、ゲート部材25は略水平方向に延びる軸25aを有しており、この軸25aを中心として揺動するようになっている。このような軸25aは、入金搬送部16による硬貨の搬送方向の下流側の端部に配置されている。また、ゲート部材25は、図3において実線で示すような、略水平方向の姿勢となる閉止位置と、図3において二点鎖線で示すような、このような閉止位置から上方に突出する分岐位置との間で軸25aを中心として揺動するようになっており、ゲート部材25が閉止位置に位置しているときには、このゲート部材25の上面25bは入金搬送部16の搬送面16cと略同一平面上に位置するようになる。このことにより、ゲート部材25が閉止位置に位置しているときには、入金搬送部16における搬送面16c上で搬送される硬貨は当該ゲート部材25によりリジェクト部24のリジェクトシュート24aに分岐されずにゲート部材25の上面25bを通って各金種別分岐部22に送られるようになる。一方、ゲート部材25が分岐位置に位置しているときには、入金搬送部16における搬送面16c上で搬送される硬貨は当該ゲート部材25によって入金搬送部16からリジェクト部24のリジェクトシュート24aに分岐され、このリジェクトシュート24aによりリジェクト口26に送られるようになる。
図2に示すように、入金搬送部16による硬貨の搬送方向におけるゲート部材25の更に下流側には複数の金種別分岐部22が各硬貨収納部30a〜30eに対応して直列に並ぶよう設けられている。具体的には、識別部18により識別された硬貨の金種が50円である場合には、図2における最も右側に位置する金種別分岐部22により入金搬送部16から当該50円硬貨が分岐させられて硬貨収納部30aに送られるようになる。同様に、識別部18により識別された硬貨の金種が5円である場合には、図2における右側から2番目に位置する金種別分岐部22により入金搬送部16から当該5円硬貨が分岐させられて硬貨収納部30bに送られるようになる。また、識別部18により識別された硬貨の金種が500円である場合には、図2における右側から3番目に位置する金種別分岐部22により入金搬送部16から当該500円硬貨が分岐させられて硬貨収納部30cに送られるようになる。また、識別部18により識別された硬貨の金種が100円である場合には、図2における右側から4番目に位置する金種別分岐部22により入金搬送部16から当該100円硬貨が分岐させられて硬貨収納部30dに送られるようになる。また、識別部18により識別された硬貨の金種が10円である場合には、図2における右側から5番目に位置する金種別分岐部22により入金搬送部16から当該10円硬貨が分岐させられて硬貨収納部30eに送られるようになる。また、識別部18により識別された硬貨の金種が1円である場合には、図2における右側から6番目に位置する金種別分岐部22により入金搬送部16から当該1円硬貨が分岐させられて硬貨収納部30fに送られるようになる。このようにして識別部18により識別された硬貨が各硬貨収納部30a〜30fに金種別に振り分けられてこれらの硬貨収納部30a〜30fに収納されるようになる。
また、図2に示すように、入金搬送部16による硬貨の搬送方向における各金種別分岐部22の上流側には通過検知センサ23が設けられており、入金搬送部16により搬送される硬貨は当該通過検知センサ23により検知されるようになっている。また、入金搬送部16における奥行き方向に延びる搬送路にも通過検知センサ23が設けられている。また、金種別分岐部22は、当該金種別分岐部22により入金搬送部16から分岐されるべき硬貨が、金種別分岐部22よりも2つ前に位置する通過検知センサ23により検知されたときに、入金搬送部16から硬貨を分岐させる動作を開始するようになっている。
図3に示すように、各硬貨収納部30a〜30fは、複数の硬貨が収納される硬貨収納領域30mを有している。また、各硬貨収納部30a〜30fには、硬貨収納領域30mに収容されている硬貨を当該硬貨収納領域30mから1枚ずつ繰り出す繰出部40が設けられている。繰出部40により各硬貨収納部30a〜30fの硬貨収納領域30mから繰り出された硬貨は硬貨払出部36に送られ、この硬貨払出部36に集積されるようになっている。より詳細には、図2に示すように、6つの硬貨収納部30a〜30fのうち右から3つの硬貨収納部30a〜30cの手前側には、硬貨払出部36に向かって斜め下方にわずかに傾斜している硬貨案内溝34が形成されており、繰出部40により硬貨収納部30a〜30cの硬貨収納領域30mから繰り出された硬貨はこの硬貨案内溝34に立位状態で入り、硬貨案内溝34において図2における左方向に硬貨が立位状態で転がりながら移動することにより硬貨払出部36に送られるようになる。一方、6つの硬貨収納部30a〜30fのうち左から3つの硬貨収納部30d〜30fの硬貨収納領域30mから繰出部40により繰り出された硬貨は硬貨払出部36に直接送られるようになる。また、硬貨払出部36は内側筐体10の外部に露出しており、操作者はこの硬貨払出部36に集積されている硬貨を手で掴んで内側筐体10の外部に取り出すことができるようになっている。
また、図2に示すように、硬貨払出部36には略正円形状の貫通孔36aが設けられているとともに、貫通孔36aには、当該貫通孔36aと略同一の直径を有する蓋部材36bが着脱自在に取り付けられている。より詳細には、蓋部材36bが硬貨払出部36に取り付けられているときには、貫通孔36aは蓋部材36bにより塞がれるようになっており、蓋部材36bが硬貨払出部36から取り外されているときには、貫通孔36aは露出するようになっている。また、貫通孔36aは、各硬貨収納部30a〜30fに収納されている硬貨の直径よりも大きな直径を有している。このことにより、硬貨払出部36から蓋部材36bを取り外すことにより、硬貨の回収処理を行う際に、硬貨払出部36に払い出された硬貨を貫通孔36aを通して回収部60(後述)に送ることができるようになっている。
回収部60は、硬貨処理装置2から回収されるべき硬貨(すなわち、各硬貨収納部30a〜30fに収納されている硬貨)が収納されるものである。また、硬貨の回収処理とは、各硬貨収納部30a〜30fから繰り出され、回収部60に収納された硬貨が、回収部60ごと警送会社の警備員等により回収されて管理センター等に運搬される処理のことをいう。図4に示すように、回収部60は、樹脂等から構成される枠部62と、当該枠部62に取り付けられた布等からなる袋部64とを有している。また、枠部62には取手62aが設けられている。また、袋部64には、貫通孔36aを通して回収部60に送られた硬貨が収納されるようになっている。
また、回収部60には、当該回収部60を硬貨処理装置2の内側筐体10に取り付けるための取付部66が設けられている(図4参照)。一方で、硬貨処理装置2の内側筐体10における硬貨払出部36の下方には被取付部38(図5(b)参照)が設けられている。そして、取付部66を被取付部38に取り付けることにより、引出部として機能する内側筐体10に回収部60を取り付けることができるようになっている(図5(b)参照)。
なお、図示しないレール等のスライド部材により被取付部38を手前側にスライド可能となるように構成してもよい。この場合には、被取付部38を手前側にスライドさせた後に、回収部60に設けられた取付部66を被取付部38に取り付けることができるようになり、よって硬貨の回収処理を行う際の利便性をより向上させることができるようになる。
また、硬貨払出部36に払い出された硬貨を回収部60に送る経路を作るその他の方法として、硬貨払出部36に貫通孔36aを設ける代わりに、各硬貨収納部30a〜30fから払い出された硬貨を直接回収部60に送るようにしてもよい。この場合には、硬貨が払い出される経路を硬貨払出部36から回収部60に切り替える切替部材を設けるとともに、回収部60が内側筐体10に取り付けられたときにこの切替部材が動作することにより硬貨が払い出される経路を変更するようにしてもよい。
また、本実施の形態の硬貨処理装置2には、当該硬貨処理装置2の各構成部材の制御を行う制御部50が設けられている。より詳細には、図6に示すように、制御部50には、繰出部14、残留検知センサ13、入金搬送部16、識別部18、各金種別分岐部22、各通過検知センサ23、リジェクト部24、各繰出部40等がそれぞれ接続されている。そして、識別部18による硬貨の識別結果に係る信号や残留検知センサ13による硬貨の検知結果に係る信号、各通過検知センサ23による硬貨の検知結果に係る信号等が制御部50に送られるとともに、制御部50は硬貨処理装置2の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御するようになっている。
また、図6に示すように、制御部50には操作表示部52、記憶部54、印字部56および通信インターフェース部58がそれぞれ接続されている。操作表示部52は例えばタッチパネル等からなり、硬貨処理装置2における硬貨の入金処理や出金処理等の処理状況や、各硬貨収納部30a〜30fに収納されている硬貨の在高等に関する情報が操作表示部52に表示されるようになっている。また、操作者は操作表示部52を操作することにより制御部50に対して様々な指令を与えることができるようになっている。記憶部54には、硬貨処理装置2における硬貨の入金処理や出金処理等の処理履歴や、各硬貨収納部30a〜30fに収納されている硬貨の在高等に関する情報が記憶されるようになっている。また、印字部56は、硬貨処理装置2における硬貨の入金処理や出金処理等の処理履歴や、各硬貨収納部30a〜30fに収納されている硬貨の在高等に関する情報をレシート等に印字するようになっている。また、制御部50は通信インターフェース部58を介して本実施の形態による硬貨処理装置2とは別に設けられた外部装置(具体的には、例えばPOSレジスタや紙幣処理装置3)に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。
また、図6に示すように、硬貨処理装置2には、回収部60が内側筐体10に取り付けられたことを検知するための装着検知部39が設けられている。装着検知部39は、例えば光学センサから構成されており、この光学センサの光軸が回収部60の構成部材によって遮られることによって回収部60が内側筐体10に装着されたことが検知されるようになっている。
また、図6に示すように、硬貨処理装置2には、回収部60に取り付けられたICタグ68(図4参照)から情報を読み取るための読取部39aが設けられており、当該読取部39aにより読み取られた情報に基づいて、内側筐体10に取り付けられた回収部60が硬貨処理装置2の機種に適合する回収部60であるか否か(すなわち、互換性の無い他の機種(例えば、旧機種)に用いられる回収部60が内側筐体10に取り付けられているか否か)と、内側筐体10に取り付けられた回収部60に収納されるべき硬貨の金種等とが検知されるようになっている。具体的には、回収部60に取り付けられたICタグ68に、回収部60に適合する硬貨処理装置2の機種の情報と、回収部60に収納されるべき硬貨の金種に関する情報等とが記憶されている。また、読取部39aは、回収部60に取り付けられたICタグ68に書き込まれた情報を読み取るようになっており、読取部39aにより読み取られた情報は制御部50に送られるようになっている。なお、硬貨処理装置2による硬貨の回収処理は各金種毎に行う態様に限定されることはなく、全ての金種の硬貨を一括して回収することもできるようになっている。
また、硬貨処理装置2には、回収部60に硬貨を収納させている間は回収部60を取り外すことを規制する回収部ロック機構90が設けられており、回収部60に硬貨を収納させている間は、回収部60を内側筐体10から取り外すことができないようになっている。このことにより、硬貨を回収部60に収納させている間に操作者が誤って回収部60にぶつかってしまった場合等であっても、回収部60が内側筐体10から取り外されてしまうことが防止できるようになる。
また、ICタグ68に情報を書き込むための書込部(図示せず)が設けられていてもよい。この場合には、硬貨の回収処理の際に回収部60に収納された硬貨の金種毎の枚数等の情報を書込部がICタグ68に書き込むようになっていてもよい。また、ICタグ68に書き込まれた情報が読取部39aにより読み取られたときに、回収部60が内側筐体10に取り付けられたことが検知されるようになっていてもよい。
また、回収部60にICタグ68を取り付ける代わりに、回収部60の外面にバーコードや二次元コード等を形成し、読取部39aとしてバーコードリーダ等を設けることにより、内側筐体10に取り付けられた回収部60に適合する硬貨処理装置2の機種の情報と、内側筐体10に取り付けられた回収部60に収納されるべき硬貨の金種についての情報等とを読取部39aに読み取らせるようにしてもよい。この場合には、回収部60にICタグ等を設ける必要が無くなるため、回収部60をより低コストで作製することができるようになる。
また、回収部60に複数の穴等を設けるとともに、読取部39aを複数の光学センサから構成することにより、回収部60に関する上記の情報を検知するようにしてもよい。具体的には、例えば各金種に対応する回収部60に1または複数の穴を設け、発光素子により発せられた光が受光素子により受けられたか否かにより、回収部60に関する上記の情報を検知するようにする。より詳細には、回収部60の所定の箇所に位置する穴に対応する光学センサの受光素子のみが光を受けた場合に、回収部60に収納されるべき硬貨が1円硬貨であることを検知するようにする。また、例えば、回収部60の所定の箇所に位置する2つの穴に対応する光学センサの受光素子のみが光を受けた場合に、回収部60に収納されるべき硬貨が5円硬貨であることを検知するようにする。このことにより、回収部60にICタグ68やバーコード等を設けることなく、回収部60に関する上記の情報を検知することができるようになる。
なお、硬貨の金種は全部で6種類(具体的には、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨)であるため、回収部60の所定箇所に3つの穴を設けることにより、穴の位置や数の組み合わせで、6通りの金種を割り当てることができる。また、硬貨処理装置2から一度に全ての金種の硬貨を回収する場合には、全ての金種の硬貨を収納可能な回収部60として、例えば穴のない回収部60を割り当てるようにしてもよい。
上記のような機能は、回収部60の所定の箇所に複数の突起等の遮光物を設けた場合であっても同様である。すなわち、回収部60の所定の箇所に位置する遮光物に対応する光学センサの受光素子のみが光を受けなかった場合に、回収部60に収納されるべき硬貨が例えば1円硬貨であることを検知するようにする。この場合であっても、回収部60にICタグ68やバーコード等を設けることなく、回収部60に関する上記の情報を検知することができるようになる。また、回収部60に穴を複数設けるのと同様に、回収部60の所定箇所に3つの遮光物を設けることにより、遮光物の位置や数の組み合わせで、6通りの金種を割り当てることができる。また、硬貨処理装置2から一度に全ての金種の硬貨を回収する場合には、全ての金種の硬貨を収納可能な回収部60として、例えば遮光物のない回収部60を割り当てるようにしてもよい。
また、本実施の形態による硬貨処理装置2は、読取部39aによりICタグ68から読み取られた情報に基づいて、内側筐体10に取り付けられた回収部60が硬貨処理装置2の機種に適合する回収部60でないことが検知されたときに、このことを操作者に報知するようになっている。具体的には、この報知は、硬貨処理装置2に設けられた操作表示部52による警告メッセージの表示やスピーカーから発せられる音により行われるようになっている。このことにより、硬貨処理装置2に適合しない回収部60が内側筐体10に取り付けられた状態において、硬貨の回収処理が行われてしまうことを防ぐことができるようになる。なお、硬貨処理装置2に適合しない回収部60が内側筐体10に取り付けられたときに、硬貨の回収処理の指令を受け付けないようにしてもよい。この場合には、操作者が、硬貨処理装置2に適合しない回収部60が内側筐体10に取り付けられた旨の報知に気が付かない場合であっても、硬貨処理装置2に適合しない回収部60が内側筐体10に取り付けられた状態において、硬貨の回収処理が行われてしまうことを防ぐことができるようになる。
ここで、従来の硬貨処理装置においては、旧機種の硬貨処理装置のための回収部を、旧機種の回収部には適合しない硬貨処理装置(例えば、新機種の硬貨処理装置)に取り付けた場合であっても、硬貨の回収処理を行うことができるようになっていた。また、このとき、旧機種の回収部の形状によっては、硬貨の回収処理を行う際に全ての硬貨が回収部に収納されず、一部の硬貨が硬貨払出部からこぼれ落ちてしまうことも起こりうる状況であった。そして、硬貨の回収処理時に回収部に収納されずに床にこぼれ落ちた硬貨があった場合には、操作者は、この床にこぼれ落ちた硬貨を手で拾った後に回収部に収納しなければならないため、硬貨の回収処理の効率が悪くなってしまうという問題があった。さらに、操作者がこぼれ落ちた硬貨に気が付かずに硬貨の回収処理を終えてしまった場合には、違算等が発生してしまうという問題があった。これに対し、本実施の形態による硬貨処理装置2においては、例えば旧機種の回収部など、硬貨処理装置2に適合しない回収部が内側筐体10に取り付けられた場合には、その旨を操作者に報知するようになっているため、上述したような問題を解決することができ、よって硬貨の回収処理をより効率化することができるようになっている。
また、操作者に対して報知を行うために操作表示部52やスピーカーを用いる代わりに、あるいは操作表示部52やスピーカーを用いるとともに、硬貨処理装置2にLEDランプ等を設け、このLEDランプ等の点灯・点滅等により操作者に対して報知が行われるようになっていてもよい。また、貨幣処理機1がPOSレジスタ等と接続された状態において用いられる場合には、硬貨処理装置2に適合しない回収部60が取り付けられた旨をPOSレジスタ等に設けられたディスプレイ等の表示部にも表示するようになっていてもよい。
また、図1に示すように、硬貨処理装置2には錠部2aが設けられており、当該錠部2aの鍵穴2bには鍵を差し込むことができるようになっている。また、鍵穴2bに差し込んだ鍵を水平方向(すなわち、貨幣処理機1の奥行き方向)に延びる軸を中心として回転させることにより、硬貨処理装置2の機能を切り替えることができるようになっている。具体的には、硬貨処理装置2を貨幣釣銭機として動作させるときの登録モードと、硬貨の回収処理等を行うときの管理モードと、硬貨処理装置2の保守・点検等を行うときの保守・点検モードとの間で硬貨処理装置2の機能を変更することができるようになっている。
また、上述したように、硬貨処理装置2の内側筐体10は外側筐体1aから手前側に引き出し可能となっている。より詳細には、図5に示すように、内側筐体10は、外側筐体1aの内部に内側筐体10が最奥まで収容された位置である収容位置(図5(a))と、外側筐体1aの途中まで引き出され、外側筐体1aの外部から各硬貨収納部30a〜30fにアクセスすることができない第1引出位置(図5(b))と、この第1引出位置から更に外側筐体1aの外部に引き出され、外側筐体1aの外部から各硬貨収納部30a〜30fにアクセスすることが可能な第2引出位置(図5(c))との間でスライド可能となるよう構成されている。このような構成は、例えば、図示しないレール部材等を用いて内側筐体10をスライド自在となるよう外側筐体1aに取り付けることにより実現することができる。
なお、硬貨処理装置2から硬貨を回収する際には、通常、内側筐体10を第1引出位置まで引き出してから回収部60を内側筐体10に取り付け、硬貨の回収処理を行うようになっている(図5(b)参照)。このことについて、図4を用いて具体的に説明する。
本実施の形態による貨幣処理機1は、レジカウンター等の平らな載置面を有する載置板(図4において参照符号Aで表示)に載置されて用いられることが多い。このため、内側筐体10が収容位置に位置している状態においては、レジカウンター等の載置板が妨げとなり、そのままでは硬貨払出部36の下方に回収部60を取り付けることができない。このため、通常は、内側筐体10を外側筐体1aから第1引出位置まで引き出した後に回収部60を内側筐体10に取り付けて硬貨の回収処理を行うようになっている。一方で、レジカウンター等の載置板に回収部60を取り付けるための切り欠き等が設けられている場合には、内側筐体10が収容位置にある場合であっても、回収部60を内側筐体10に取り付け、硬貨の回収処理を行うことができるようになっている。すなわち、本実施の形態による貨幣処理機1は、内側筐体10を第1引出位置まで引き出さなければ硬貨の回収処理等を行えないようになっているのではなく、内側筐体10が収容位置に位置している場合であっても、第1引出位置に位置している場合であっても、硬貨の回収処理を行うことができるようになっている。
また、図6に示すように、硬貨処理装置2には第1規制手段70が設けられており、当該第1規制手段70は、内側筐体10が外側筐体1aに対して引き出されてしまうことを規制するとともに、内側筐体10が外側筐体1aに対して押し込まれてしまうことを規制するようになっている。具体的には、第1規制手段70は、ロック機構72を有しており、当該ロック機構72は、内側筐体10を外側筐体1aに対してロックするようになっている。また、ロック機構72による内側筐体10のロックは、硬貨処理装置2に設けられた錠部2aの鍵穴2bに差し込まれた鍵により解除することができるようになっている。なお、後述するように、ロック機構72による内側筐体10のロックは、鍵により選択される硬貨処理装置2の機能(具体的には、モード)によって異なった態様で解除されるようになっている。
また、ロック機構72は、例えばリモコン等の外部装置により硬貨処理装置2の外部からロック機構72によるロックを解除する旨の指令が与えられたときに内側筐体10のロックを解除するようになっていてもよい。
また、本実施の形態による硬貨処理装置2においては、ロック機構72による内側筐体10のロックが解除されたときに、内側筐体10を外側筐体1aに対して移動させることができるようになっている。このことについて、登録モードが選択されている硬貨処理装置2において内側筐体10が収容位置にある場合を例として以下に説明する。
硬貨処理装置2において登録モードが選択されているとともに、内側筐体10が外側筐体1a内において収容位置にあるとき(図5(a)参照)、内側筐体10は、外側筐体1aの内部でロック機構72によりロックされている。そして、このロック機構72による内側筐体10のロックは、硬貨処理装置2の状態を鍵により登録モードから他のモード(すなわち、管理モードあるいは保守・点検モード)に切り替えたときに解除されるようになっている。
より詳細には、硬貨の回収処理を行うため、鍵を回すことにより硬貨処理装置2を登録モードから硬貨の回収処理を行う管理モードに切り替えたときに、内側筐体10に対するロック機構72によるロックが解除される。このことにより、操作者は、内側筐体10を第1引出位置まで引き出すことができるようになる。また、このとき、内側筐体10を引き出せるのは第1引出位置までであり、当該内側筐体10を第2引出位置まで引き出せるようにはなっていない。すなわち、管理モードにある硬貨処理装置2は、硬貨の回収処理を行うときにレジカウンター等の載置板に妨げられることなく回収部60を内側筐体10に取り付けるために内側筐体10を引き出すことができるようになっているのであって、各硬貨収納部30a〜30fに収納されている硬貨に直接アクセスすることができる第2引出位置まで内側筐体10を引き出すことができるようにはなっていない。
これに対し、鍵を回すことにより硬貨処理装置2を登録モードから保守・点検モードに切り替えることによりロック機構72によるロックが解除されたときには、操作者は、内側筐体10を第2引出位置まで引き出すことができるようになる。保守・点検モードは、硬貨処理装置2の硬貨詰まり等のエラーが発生した場合のエラー解除や、硬貨処理装置2のメンテナンス等を行うときに用いるモードであり、このモードにおいては、硬貨処理装置2の各硬貨収納部30a〜30fにアクセスする必要がある場合があるからである。
また、硬貨処理装置2に収納されている硬貨を回収部60に収納させている間は、内側筐体10に対するロック機構72によるロックが解除されないようになっている。具体的には、硬貨処理装置2に収納されている硬貨を回収部60に収納させている間に、鍵により硬貨処理装置2を保守・点検モードに切り替えた場合であっても、ロック機構72による内側筐体10のロックは解除されるようにはなっていない。また、硬貨処理装置2に収納されている硬貨を回収部60に収納させている間に、リモコン等の外部装置から硬貨処理装置2に対しロック機構72によるロックを解除する旨の指令を与えた場合であっても、ロック機構72による内側筐体10のロックは解除されるようにはなっていない。すなわち、第1規制手段70は、硬貨処理装置2に収納されている硬貨を回収部60に収納させている間は、外側筐体1aに対する内側筐体10の動作を規制するようになっている。このことにより、硬貨の回収処理を行う際に、各硬貨収納部30a〜30fから硬貨が抜き取られるような不正行為が行われたり各硬貨収納部30a〜30fの内部から硬貨が抜き取られることにより違算が発生したりすることを防止することができるようになる。
また、硬貨処理装置2に収納されている硬貨を回収部60に収納させている間に硬貨詰まり等のエラーが発生した場合には、硬貨処理装置2は、ロック機構72による内側筐体10のロックを解除する旨の指令を受け付けるようになっている。具体的には、硬貨の回収処理中に硬貨詰まり等のエラーが発生した場合には、鍵により硬貨処理装置2を保守・点検モードに切り替えるか、リモコン等の外部装置によりロックを解除する旨の解除の指令を硬貨処理装置2に与えることにより、内側筐体10のロックを解除することができ、よって内側筐体10を外側筐体1aから引き出すことができるようになっている。
なお、上述したように、硬貨処理装置2に収納されている硬貨を回収部60に収納させている間は、回収部ロック機構90により回収部60を取り外すことができないようになっている。一方で、硬貨詰まり等のエラーが発生した場合には、回収部ロック機構90に回収部60のロックを解除する旨の指令を与えることにより、回収部60を内側筐体10から取り外すことができるようになっている。
次に、本実施の形態の貨幣処理機1から貨幣を回収する際の回収処理について説明する。なお、例として硬貨処理装置2から硬貨を回収する際の動作について説明する。また、以下において、内側筐体10を収容位置に位置させたまま硬貨の回収処理を行う場合と、内側筐体10を第1引出位置まで引き出した後に硬貨の回収処理を行う場合とに分けて説明する。
内側筐体10を収容位置に位置させたまま硬貨の回収処理を行う場合には、操作者は、まず、鍵を回すことにより硬貨処理装置2の機能を登録モードから管理モードに切り替える。なお、このとき、ロック機構72による内側筐体10のロックが解除され、当該内側筐体10は第1引出位置まで引き出し可能となる。次に、操作者は、回収部60の取付部66を内側筐体10の被取付部38に取り付ける。このときに、硬貨処理装置2に設けられた装着検知部39により、回収部60が内側筐体10に取り付けられたことが検知される。また、このとき、回収部60に取り付けられたICタグ68に書き込まれている情報が読取部39aにより読み取られ、制御部50に送られる。具体的には、内側筐体10に取り付けられた回収部60に適合する硬貨処理装置2の機種の情報と、回収部60に収納されるべき硬貨の金種とが読み取られるようになっている。そして、内側筐体10に取り付けられた回収部60が硬貨処理装置2に適合するものであるか否かが検知される。なお、被取付部38が手前側にスライド可能となるよう構成されている場合には、被取付部38を手前側に引き出してから回収部60の取付部66を内側筐体10の被取付部38に取り付けた後、被取付部38を元の位置(すなわち、硬貨払出部36に設けられた貫通孔36aの真下)に戻すようにしてもよい。
そして、読取部39aによりICタグ68から読み取られた情報に基づいて、内側筐体10に取り付けられた回収部60が硬貨処理装置2に適合する回収部60であること、および回収部60に収納すべき金種が検知されると、硬貨処理装置2は、硬貨の回収処理の指令を受け付けるようになる。次に、操作者は、硬貨払出部36に取り付けられた蓋部材36bを取り外すことにより、貫通孔36aを露出させる。そして、硬貨の回収処理を行う旨の指令を操作表示部52やPOSレジスタ等によって硬貨処理装置2に与えることにより、各硬貨収納部30a〜30fから硬貨を繰り出させて回収部60に送るようにする。
なお、内側筐体10に取り付けられた回収部60が硬貨処理装置2に適合する回収部60でないことが検知された場合には、硬貨処理装置2は、操作表示部52やスピーカーによりこのことを操作者に報知するようになっている。また、上述したように、硬貨が回収部60に収納されている間は、ロック機構72により内側筐体10がロックされるため、内側筐体10を外側筐体1aに対して移動させることができないようになっている。
そして、回収部60に収納されるべき硬貨がすべて収納された後に、操作者は、内側筐体10から回収部60を取り外す。このようにして、硬貨処理装置2からの硬貨の回収処理が終了する。
次に、内側筐体10を第1引出位置まで引き出した後に硬貨の回収処理を行う場合について説明する。
まず、操作者は、鍵を用いて硬貨処理装置2の機能を登録モードから管理モードに切り替える。このことにより、ロック機構72による内側筐体10のロックが解除され、内側筐体10を外側筐体1aから第1引出位置まで引き出すことができるようになる。次に、内側筐体10を第1引出位置まで引き出し、その後、回収部60を内側筐体10に取り付ける。このときに、硬貨処理装置2に設けられた装着検知部39により、回収部60が内側筐体10に取り付けられたことが検知される。また、このとき、読取部39aによりICタグ68から読み取られた情報に基づいて、内側筐体10に取り付けられた回収部60が硬貨処理装置2に適合する回収部60であることと、回収部60に収納すべき硬貨の金種とが検知されると、硬貨処理装置2は、硬貨の回収処理の指令を受け付けることができるようになる。なお、被取付部38が手前側にスライド可能となるよう構成されている場合には、被取付部38を手前側に引き出してから回収部60の取付部66を内側筐体10の被取付部38に取り付けた後、被取付部38を元の位置(すなわち、硬貨払出部36に設けられた貫通孔36aの真下)に戻すようにしてもよい。
次に、操作者は、硬貨払出部36に取り付けられた蓋部材36bを取り外すことにより貫通孔36aを露出させる。その後、操作表示部52やPOSレジスタ等により、硬貨の回収処理を行う旨の指令を硬貨処理装置2に与え、各硬貨収納部30a〜30fから硬貨を繰り出させて回収部60に硬貨を送るようにする。上述したように、硬貨が回収部60に収納されている間は、ロック機構72により内側筐体10がロックされるため、内側筐体10を外側筐体1aに対して移動させることができないようになっている。
そして、回収部60に収納されるべき硬貨がすべて収納された後に、操作者は、内側筐体10から回収部60を取り外す。このようにして、硬貨処理装置2からの硬貨の回収処理が終了する。
また、図7に示すように、本実施の形態による他の例の硬貨処理装置2は、第2規制手段80を有しており、当該第2規制手段80は、回収部60が内側筐体10に装着されていることが装着検知部39により検知されると、引出部として機能する内側筐体10の動作を規制するようになっている。具体的には、第2規制手段80は、ロック機構82を有しており、当該ロック機構82は、回収部60が内側筐体10に装着されていることが装着検知部39により検知されたときに内側筐体10を外側筐体1aに対してロックするようになっている。このため、本実施の形態による他の例の硬貨処理装置2においては、硬貨の回収処理を行っているか否かにかかわらず(すなわち、回収部60に硬貨を収納させているか否かにかかわらず)、外側筐体1aに対して内側筐体10を移動させることができなくなる。この場合であっても、硬貨の回収処理が行われるときに、各硬貨収納部30a〜30fから硬貨が抜き取られるような不正行為が行われたり各硬貨収納部30a〜30fから硬貨が抜き取られることにより違算が発生したりすることを防止することができる。なお、上述したロック機構72と同様に、ロック機構82による内側筐体10のロックは、鍵やリモコン等の外部装置からの指令により解除することができるようになっている。
また、図7に示す他の例の硬貨処理装置2において、第1引出位置まで内側筐体10を引き出してから硬貨の回収処理を行う際には、回収されるべき硬貨が回収部60に収納された後、回収部60が取り外されたことが装着検知部39により検知されたときに、ロック機構82によるロックが自動的に解除され、内側筐体10を収容位置まで戻すことができるようになっていてもよい。この場合には、回収部60を取り外した後に、鍵やリモコン等の外部装置により内側筐体10のロックを解除する手間が省くことができるようになる。また、このように内側筐体10のロックを自動で解除した場合であっても、硬貨の回収処理を行うときに硬貨処理装置2は管理モードにあり、このとき内側筐体10を第1引出位置よりも更に引き出すことができないようになっている。このことにより、各硬貨収納部30a〜30fに収納された硬貨に対する不正行為等が行われたり各硬貨収納部30a〜30fの内部から硬貨が抜き取られることにより違算が発生したりすることを防ぐことができるようになる。
なお、図7に示す他の例の硬貨処理装置2においても、エラー検知部(図示せず)により硬貨詰まり等のエラーが発生したことが検知された場合には、鍵およびリモコン等の外部装置による、ロック機構82による内側筐体10のロックを解除する旨の指令を受けつけるようになっている。
また、図7に示す他の例の硬貨処理装置2に収納されている硬貨を回収部60に収納させている間は、回収部ロック機構90により回収部60を取り外すことができないようになっている。一方で、硬貨詰まり等のエラーが発生した場合には、図7に示す他の例の硬貨処理装置2に回収部60のロックを解除する旨の指令を与えることにより、回収部60を内側筐体10から取り外すことができるようになっている。
また、これまでは、貨幣処理機1における硬貨の回収処理について、主に貨幣処理機1から回収される貨幣が硬貨である場合について説明したが、貨幣処理機1により処理される貨幣が紙幣であるときにも、上述した硬貨処理装置2における硬貨の回収処理と同様の原理を適用することができる。すなわち、紙幣処理装置3に硬貨処理装置2の錠部2aに相当する錠部が設けられ、紙幣払出口に紙幣の回収を行う紙幣回収部等の回収部が取り付け可能になっており、第1規制手段70または第2規制手段80が設定されていれば、紙幣処理装置3からの紙幣の回収処理を行う際にも、上述した硬貨処理装置2における硬貨の回収処理と同様の原理を適用することができる。
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣処理機1によれば、硬貨を収納する各硬貨収納部30a〜30fが設けられ、外側筐体1aから引き出し可能となっている内側筐体10(引出部)と、内側筐体10に取り付け可能となっており、回収されるべき硬貨が収納される回収部60と、回収部60に硬貨を収納させている間は引出部としての内側筐体10の動作を規制する第1規制手段70とを備えているため、回収部60に硬貨を収納させている間は内側筐体10の動作を規制することにより、内側筐体10に設けられた各硬貨収納部30a〜30fから硬貨が抜き取られるような不正行為が行われたり各硬貨収納部30a〜30fの内部から硬貨が抜き取られることにより違算が発生したりすることを防止することができる。また、第1規制手段70は、内側筐体10を外側筐体1aの内部でロックするロック機構72を含んでいるため、第1規制手段70により内側筐体10を外側筐体1aの内部でロックすることができる。
また、本実施の形態の貨幣処理機1においては、内側筐体10は、外側筐体1aの内部に完全に収容された位置である収容位置(具体的には、図5(a)参照)、外側筐体1aの外部に途中まで引き出され、外側筐体1aの外部から各硬貨収納部30a〜30fにアクセスすることができない第1引出位置(具体的には、図5(b)参照)、および第1引出位置から更に外側筐体1aの外部に引き出され、外側筐体1aの外部から各硬貨収納部30a〜30fにアクセスすることが可能な第2引出位置(具体的には、図5(c)参照)の間で移動可能となっており、第1規制手段70は、内側筐体10が第1引出位置に位置しているときに当該第1引出位置から移動することを規制するようになっている。このことにより、内側筐体10を第1引出位置まで引き出して硬貨の回収処理等を行う際に内側筐体10が更に引き出されてしまい、内側筐体10に設けられた各硬貨収納部30a〜30fから硬貨が抜き取られるような不正行為が行われたり各硬貨収納部30a〜30fの内部から硬貨が抜き取られることにより違算が発生したりすることを防止することができるようになる。
また、本実施の形態の貨幣処理機1は、回収部60が内側筐体10に装着されているか否かを検知する装着検知部39を更に備えている。このことにより、装着検知部39により検知された情報を活用することによって操作者に回収部60が内側筐体10に装着されているか否かを報知することができるようになる。また、第1規制手段70は、回収部60が内側筐体10に装着されていることが装着検知部39により検知された場合に、回収部60に硬貨を収納させている間は内側筐体10の動作を規制するようになっている。このことにより、回収部60に硬貨を収納させている間に内側筐体10が引き出されてしまい、内側筐体10に設けられた各硬貨収納部30a〜30fから硬貨が抜き取られるような不正行為が行われたり各硬貨収納部30a〜30fの内部から硬貨が抜き取られることにより違算が発生したりすることを防止することができるようになる。また、回収部60に硬貨を収納させている途中でこれらの硬貨が回収部60に収納されず、床等にこぼれ落ちてしまうことを防止することができるようになる。
また、本実施の形態による他の例の貨幣処理機1においては、硬貨を収納する各硬貨収納部30a〜30fが設けられ、外側筐体1aから引き出し可能となっている内側筐体10(引出部)と、内側筐体10に取り付け可能となっており、回収されるべき硬貨が収納される回収部60と、回収部60が内側筐体10に装着されているか否かを検知する装着検知部39と、回収部60が内側筐体10に装着されていることが装着検知部39により検知されると内側筐体10の動作を規制する第2規制手段80と、を備えている。このことにより、回収部60が内側筐体10に装着されている間は内側筐体10に設けられた各硬貨収納部30a〜30fから硬貨が抜き取られるような不正行為が行われたり各硬貨収納部30a〜30fの内部から硬貨が抜き取られることにより違算が発生したりすることを防止することができる。
なお、本実施の形態による貨幣処理機1は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、貨幣処理機1に紙幣処理装置3が設けられておらず、硬貨処理装置2のみが設けられていてもよい。この場合であっても、回収部60に硬貨を収納させている間に内側筐体10の動作を規制することにより、回収部60に硬貨を収納させている途中で内側筐体10に設けられた各硬貨収納部30a〜30fから硬貨が抜き取られるような不正行為が行われたり各硬貨収納部30a〜30fの内部から硬貨が抜き取られることにより違算が発生したりすることを防止することができる。
また、硬貨処理装置2の硬貨払出部36に設けられた貫通孔36aおよび蓋部材36bの形状は、略正円形状に限られることはない。各硬貨収納部30a〜30fに収納された硬貨を貫通孔を通して回収部60に送ることができるような大きさを有していれば、硬貨払出部36に設けられる貫通孔は略半円形状であってもよいし、楕円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
また、貫通孔36aを露出させるときの態様は、着脱自在に設けられた蓋部材36bを取り外すような態様に限定されることはない。例えば、蓋部材36bを貫通孔36aに対してスライド可能となるよう硬貨払出部36に設けるようにしてもよい。この場合であっても、蓋部材36bが、貫通孔36aを塞ぐ第1位置と、貫通孔36aを露出させる第2位置との間でスライド可能となっていれば、硬貨の回収処理を行う際に貫通孔36aを通して硬貨を回収部60に送ることができるようになる。なお、この場合には、蓋部材36bを取り外す必要がなくなるため、操作者が誤って蓋部材36bを紛失してしまうことを防ぐことができるようになる。
また、上述のように蓋部材36bを貫通孔36aに対してスライド可能となるよう硬貨払出部36に設ける場合には、回収部60が硬貨処理装置2に取り付けられたときに蓋部材36bがスライドし、貫通孔36aが露出するようになっていてもよい。この場合には、硬貨の回収処理を行う際に、操作者が蓋部材36bをスライドさせる手間を省略することができる。
また、リモコン等の外部装置に、ロック機構72による内側筐体10のロックを解除するための開錠ボタン等が2つ設けられており、1つ目の開錠ボタンを押したときに内側筐体10を収容位置から第1引出位置まで引き出せるようになり、2つ目の開錠ボタンを押したときに内側筐体10を収容位置から第2引出位置まで引き出せるようになっていてもよい。
また、上述した貨幣処理機1における回収処理の方法は、回収部として機能する回収カセットを装着して貨幣や有価媒体を回収する貨幣処理機や有価媒体処理装置に用いられるようになっていてもよい。この場合であっても、本発明の原理を適用することができ、よって上述した貨幣処理機1と同等の効果を奏することができるようになる。