以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図8は、本実施の形態による貨幣管理システムおよびこのような貨幣管理システムに設けられた貨幣入出金機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における貨幣管理システムの構成を概略的に説明するための概略構成図であり、図2は、図1に示す貨幣管理システムにおける貨幣入出金機の外観を示す斜視図である。また、図3乃至図5は、ぞれぞれ、図2に示す貨幣入出金機における紙幣処理ユニット、硬貨処理ユニットおよび包装硬貨収納ユニットの構成を示す図である。また、図6は、図2に示す貨幣入出金機における制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図7は、図1に示す貨幣管理システムにおける貨幣釣銭機およびPOSレジスタの外観を示す斜視図であり、図8は、図1に示す貨幣管理システムにおいて貨幣入出金機のカセット装着部および貨幣釣銭機のカセット装着部にそれぞれ着脱自在に装着可能となっている収納カセットの外観を示す斜視図である。
図1に示すように、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商業施設の店舗420において、顧客が立ち入ることができるフロント領域には様々な商品が陳列された商品棚が設置されているとともに、このフロント領域の精算所には貨幣釣銭機200やPOSレジスタ290が設置されている。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣を貨幣釣銭機200に入金したり、釣銭としての貨幣を貨幣釣銭機200から出金して顧客に返却したりするようになっている。また、POSレジスタ290により、顧客が購入した商品に係る情報や貨幣釣銭機200に収納されている貨幣に係る情報等の管理が行われるようになっている。また、このような店舗420のフロント領域におけるサービスカウンターには、貨幣の入金処理や出金処理を行う貨幣入出金機100が設置されている。このような貨幣入出金機100は、貨幣釣銭機200から回収された売上金としての貨幣の入金処理を行うことができるようになっている。また、貨幣釣銭機200において釣銭としての貨幣が不足する場合には、貨幣入出金機100から釣銭補充金としての貨幣を出金し、この貨幣入出金機100から出金された釣銭補充金としての貨幣を貨幣釣銭機200に補充することができるようになっている。また、本実施の形態では、店舗420のフロント領域におけるサービスカウンターに設置される貨幣入出金機100は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣の入金処理や、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣の出金処理も行うことができるようになっている。また、サービスカウンターにおいて、顧客が購入しようとする商品の精算処理を行うことができるよう、当該サービスカウンターには貨幣入出金機100とともに上述したPOSレジスタ290と同様の構成のPOSレジスタ190が設置されるようになっており、これらの貨幣入出金機100およびPOSレジスタ190は無線LANまたは有線LANにより通信可能に接続されている。本実施の形態では、このような貨幣入出金機100および貨幣釣銭機200を組み合わせることにより貨幣管理システム1が構成されている。
また、図1に示すように、本実施の形態による貨幣管理システム1では、警送会社410の警備員等により、貨幣入出金機100から、紙幣や硬貨が収納されている回収カセット140、170(後述)が取り出され、これらの回収カセット140、170ごと紙幣や硬貨が貨幣入出金機100から警送会社に回収されるようになっている。また、警送会社410の警備員は、貨幣釣銭機200で用いられる釣銭準備金としての貨幣を警送会社410から店舗420に運搬し、この店舗420のフロント領域に設けられた貨幣入出金機100に釣銭準備金としての貨幣を入金するようになっている。
また、図1に示すように、本実施の形態による貨幣管理システム1では、貨幣入出金機100はLAN404を介して店舗420の外部に設けられたターミナル400やユーザーサーバー402に通信可能に接続されており、これらのターミナル400やユーザーサーバー402により、貨幣入出金機100における貨幣の在高や、警送会社410の警備員等や店舗420の店員等の操作者の情報が管理されるようになっている。
次に、このような貨幣管理システム1における貨幣入出金機100の構成の詳細について図2乃至図6を用いて説明する。
図2等に示すように、本実施の形態による貨幣入出金機100は、略直方体形状の筐体101を備えており、この筐体101の内部には、紙幣の入金処理および出金処理を行う紙幣処理ユニット110、硬貨の入金処理および出金処理を行う硬貨処理ユニット150、および包装硬貨(同一金種の硬貨を一定枚数(例えば、20枚や50枚)だけ棒状にまとめてフィルムや包装紙等により包装したもの)を収納する包装硬貨収納ユニット180がそれぞれ収容されている。図2に示すように、紙幣処理ユニット110および硬貨処理ユニット150は貨幣入出金機100を手前側から見て左右に並ぶよう配置されており、これらの紙幣処理ユニット110および硬貨処理ユニット150の下方に包装硬貨収納ユニット180が配置されている。
図2および図3に示すように、紙幣処理ユニット110は、筐体101の前面側の右側領域に設けられた紙幣受入部120と、筐体101の前面側において紙幣受入部120の下方に設けられた紙幣払出部122と、筐体101の内部で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部130と、筐体101の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数の紙幣収納部134、136とを備えている。なお、図3において、筐体101の右側の側面が紙幣処理ユニット110の手前側の面となっており、図3における左向きの方向が紙幣処理ユニット110の奥行き方向となっている。図3に示すように、搬送部130は、筐体101の上部における中央位置に配置された周回搬送部130aおよび複数の接続搬送部130bから構成されている。また、紙幣受入部120、紙幣払出部122、出金リジェクト部124、後述する収納カセット300を着脱自在に装着可能なカセット装着部126、回収カセット140および2つの紙幣収納部134、136が、それぞれ、周回搬送部130aを取り囲むよう配置されている。また、図3に示すように、複数の接続搬送部130bの各々により、紙幣受入部120、紙幣払出部122、出金リジェクト部124、カセット装着部126、回収カセット140および2つの紙幣収納部134、136の各々と、周回搬送部130aとの間をそれぞれ接続するようになっている。また、周回搬送部130aには識別部132が設けられており、この識別部132は、周回搬送部130aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、新旧、搬送状態等の識別を行うようになっている。
周回搬送部130aは、図3における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができるようになっている。また、搬送部130において、周回搬送部130aと各接続搬送部130bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部130aに沿って配置されている。
図2および図3に示すように、筐体101の前面には、紙幣受入部120の紙幣受入口120aと、紙幣払出部122の紙幣取出口122aとがそれぞれ設けられている。また、カセット装着部126の前面側には扉126aが設けられており、この扉126aを開くことにより収納カセット300をカセット装着部126に装着させたりこのカセット装着部126から収納カセット300を取り出したりすることができるようになっている。また、図3に示すように、カセット装着部126には、当該カセット装着部126に収納カセット300が装着されたときにこのことを検知する光センサ等のカセット装着検知部127が設けられている。また、図6に示すように、カセット装着部126には、当該カセット装着部126に装着された収納カセット300に設けられている記録媒体304(後述)に様々な情報を書き込む書込部128および当該記録媒体304から様々な情報を読み取る読取部129がそれぞれ設けられている。書込部128により記録媒体304に書き込まれる情報や読取部129により記録媒体304から読み取られる情報の詳細については後述する。
紙幣受入部120には紙幣繰出機構121が設けられており、紙幣受入口120aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると紙幣繰出機構121が駆動されることにより紙幣が接続搬送部130bを介して周回搬送部130a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
紙幣払出部122は、各紙幣収納部134、136から周回搬送部130aに繰り出された紙幣を紙幣取出口122aにより筐体101の外部へ投出するようになっている。
出金リジェクト部124は、出金処理時において各紙幣収納部134、136から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部132で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納するようになっている。また、紙幣受入部120から筐体101の内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により識別部132で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部122に返却されるようになっている。
各紙幣収納部134、136は、識別部132の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納するようになっている。これらの紙幣収納部134、136には、貨幣釣銭機200への釣銭補充金の紙幣として貨幣入出金機100から出金されるべき紙幣が収納されるようになっている。具体的には、例えば紙幣収納部134には千円札が収納され、紙幣収納部136には五千円札が収納されるようになっている。なお、一万円札は後述する回収カセット140に収納されるようになっている。また、各紙幣収納部134、136にはそれぞれ紙幣繰出機構135、137が設けられており、これらの紙幣収納部134、136に収納されている紙幣は各紙幣繰出機構135、137により接続搬送部130bを介して周回搬送部130a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
筐体101の内部における下部領域には回収カセット140が収容されており、警送会社410により回収されるべき紙幣が回収カセット140に収納されるようになっている。具体的には、識別部132により識別された紙幣が周回搬送部130aから接続搬送部130bを経て回収カセット140に送られるようになっている。また、回収カセット140の前面側には扉140aが設けられており、この扉140aを開くことにより回収カセット140を筐体101の内部に収容させたり筐体101の内部から回収カセット140を取り出したりすることができるようになっている。
なお、本実施の形態では、上述した紙幣繰出機構121、紙幣払出部122、搬送部130、各紙幣繰出機構135、137等により、紙幣の処理を行う紙幣処理部が構成されている。
次に、硬貨処理ユニット150の構成について説明する。図2および図4に示すように、硬貨処理ユニット150は、筐体101の前面側の左側領域に設けられた硬貨受入部152と、筐体101の前面側において硬貨受入部152の下方に設けられた硬貨払出部166と、筐体101の内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の収納繰出部160とを備えている。
硬貨受入部152は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体101内に取り込むようになっている。より詳細には、硬貨受入部152には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構153(図6参照)が設けられており、硬貨受入部152に受け入れられた硬貨を検知するとこの硬貨繰出機構153が駆動されることにより当該硬貨繰出機構153によって硬貨が筐体101の内部に1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、図4に示すように、硬貨受入部152には、当該硬貨受入部152により筐体101の内部に繰り出された硬貨を搬送する入金搬送部154が接続されている。
図4に示すように、入金搬送部154の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う識別部156と、第1分岐部158とがそれぞれ設けられている。第1分岐部158は、識別部156による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部166から払い出されるべき硬貨を入金搬送部154から分岐させて出金搬送部162へ案内するようになっている。
一方、正常硬貨等の筐体101内に収納されるべき硬貨は入金搬送部154により各収納繰出部160へ搬送されるようになっている。収納繰出部160は硬貨を金種別に収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能となるよう構成されている。具体的には、例えば日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨および1円硬貨)に対応して6つの収納繰出部160が設けられており、入金搬送部154の上流側(すなわち、図4における下側)から低額順に各収納繰出部160に硬貨が金種毎に収納されるようになっている。また、収納繰出部160には、当該収納繰出部160に収納された硬貨を1枚ずつ出金搬送部162に繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。
出金搬送部162は、収納繰出部160から繰り出された硬貨を硬貨払出部166へ搬送するようになっている。また、出金搬送部162は、第1分岐部158により入金搬送部154から分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部166へ搬送するようになっている。
筐体101の内部における下部領域には回収カセット170が収容されており、警送会社410により回収されるべき硬貨が回収カセット170に収納されるようになっている。具体的には、図4に示すように、出金搬送部162の途中箇所には第2分岐部164が設けられており、当該第2分岐部164により出金搬送部162から分岐させられた硬貨は回収カセット170に送られてこの回収カセット170に収納されるようになっている。また、回収カセット170の前面側には扉170aが設けられており、この扉170aを開くことにより回収カセット170を筐体101の内部に収容させたり筐体101の内部から回収カセット170を取り出したりすることができるようになっている。
なお、本実施の形態では、上述した硬貨繰出機構153、入金搬送部154、第1分岐部158、各収納繰出部160、出金搬送部162、第2分岐部164等により、硬貨の処理を行う硬貨処理部が構成されている。
次に、包装硬貨収納ユニット180の構成について説明する。図5に示すように、包装硬貨収納ユニット180は、包装硬貨が金種毎に収納される複数の収納領域180a〜180fが設けられた引出部182を有しており、当該引出部182は貨幣入出金機100の筐体101の内部から手前側に引き出し可能となっている。なお、図5に示すように、各収納領域180a〜180fに包装硬貨が収納されたときに当該包装硬貨の長手方向が鉛直方向を向くようになっている。そして、引出部182を貨幣入出金機100の筐体101の内部から手前側に引き出すことにより、各収納領域180a〜180fに包装硬貨を収納したりこれらの収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨を取り出したりすることができるようになっている。また、図6に示すように、包装硬貨収納ユニット180は、引出部182を筐体101の内部にロックするロック機構184が設けられており、引出部182が筐体101の内部にロックされている状態では当該引出部182を筐体101の内部から手前側に引き出すことができないようになっている。また、包装硬貨収納ユニット180には、引出部182の各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の重量を測定する重量計186が設けられている。このような重量計186により測定される包装硬貨の重量に基づいて、後述する制御部102において引出部182の各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数が検知されるようになっている。
なお、各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数を検知するにあたり、重量計186により包装硬貨の重量を測定する代わりに、あるいは重量計186により包装硬貨の重量を測定することに加えて、ラインセンサまたは磁気センサを用いて各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数を検知してもよく、あるいはこれらのラインセンサや磁気センサを組み合わせることにより各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数を検知してもよい。また、収納領域180a〜180f毎にラインセンサや磁気センサが設けられていてもよい。
次に、このような貨幣入出金機100における制御系の構成について図6を用いて説明する。図6に示すように、本実施の形態による貨幣入出金機100の筐体101の内部には制御部102が設けられており、当該制御部102により紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150および包装硬貨収納ユニット180の各々の構成部材が制御されるようになっている。具体的には、制御部102には、紙幣処理ユニット110の紙幣繰出機構121、搬送部130、識別部132、紙幣繰出機構135、137、カセット装着部126、カセット装着検知部127、書込部128、読取部129等が接続されており、識別部132による紙幣の識別情報や、カセット装着検知部127による収納カセット300の検知情報、収納カセット300に設けられた記録媒体304から読取部129により読み取られた情報等が制御部102に送られるとともに、制御部102は紙幣処理ユニット110の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材(すなわち、紙幣処理部)の制御を行うようになっている。また、制御部102には、硬貨処理ユニット150の硬貨繰出機構153、入金搬送部154、識別部156、第1分岐部158、各収納繰出部160、出金搬送部162および第2分岐部164等が接続されており、識別部156による硬貨の識別情報が制御部102に送られるとともに、制御部102は硬貨処理ユニット150の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材(すなわち、硬貨処理部)の制御を行うようになっている。また、制御部102には、包装硬貨収納ユニット180のロック機構184および重量計186等が接続されており、重量計186による包装硬貨の測定結果が制御部102に送られるとともに、制御部102はロック機構184に指令信号を送ることにより当該ロック機構184の制御を行うようになっている。
また、図6に示すように、制御部102には、操作表示部104、通信部105、記憶部106、指令受付手段107、情報読取手段108がそれぞれ接続されている。操作表示部104は筐体101の上部に設けられたタッチパネル等からなり、操作者が操作するための操作画面や、紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150および包装硬貨収納ユニット180の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報が操作表示部104に表示されるようになっている。また、このような操作表示部104において操作者は操作画面における操作ボタンに指を触れることによって制御部102に様々な指令を入力することができるようになっている。通信部105はターミナル400やユーザーサーバー402に対してLAN404を介して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。また、本実施の形態では、貨幣入出金機100は有線LANまたは無線LANによりサービスカウンターに設置されているPOSレジスタ190に通信可能に接続され、通信部105は当該POSレジスタ190に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。ここで、本実施の形態では、通信部105は、外部装置から送られた情報を受信する情報受信手段として機能するようになる。
また、記憶部106には、紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150および包装硬貨収納ユニット180の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報や、貨幣入出金機100における貨幣の処理履歴等の様々な情報が記憶されるようになっている。また、指令受付手段107は、通信部105によりPOSレジスタ190等の外部装置から受信した情報を参照して処理を行う第1処理モードおよび通信部105によりPOSレジスタ190等の外部装置から受信した情報を参照しないで処理を行う第2処理モードのうちいずれの処理モードで処理を行うかという指令を受け付けるようになっている。より詳細には、指令受付手段107は、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部127により検知されているときに第2処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになっている。一方、指令受付手段107は、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部127により検知されていないときには、第1処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになっている。このような第1処理モードおよび第2処理モードの詳細については後述する。
また、情報読取手段108は、例えば筐体101の前面や上面に設けられたカードリーダを含み、操作者が所持するIDカード(情報記憶部材)に記憶されている情報が当該カードリーダにより読み取られるようになっている。なお、情報読取手段108は、操作者が所持するIDカードに記憶されている情報を読み取るカードリーダに限定されることはない。情報読取手段108の他の例として、操作者が所持する無線ICタグ等のICタグ(情報記憶部材)から情報を読み取ったり当該ICタグに情報を書き込んだりするリーダライタが用いられてもよい。
次に、店舗420のフロント領域に設けられた貨幣釣銭機200の構成の詳細について図7を用いて簡単に説明する。図7に示すように、本実施の形態による貨幣釣銭機200は、上下に並ぶよう配置された硬貨処理ユニット250および包装硬貨収納ユニット280と、これらの硬貨処理ユニット250や包装硬貨収納ユニット280の隣に並ぶよう配置された紙幣処理ユニット210とを備えており、紙幣処理ユニット210や硬貨処理ユニット250の上方にはPOSレジスタ290が載置されるようになっている。紙幣処理ユニット210および硬貨処理ユニット250は、それぞれ、硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。また、包装硬貨収納ユニット280は、各金種の包装硬貨を取り出し可能に収納するようになっている。また、POSレジスタ290は、貨幣釣銭機200の管理を行う管理装置として用いられるようになっている。
次に、貨幣入出金機100と貨幣釣銭機200との間で紙幣の受け渡しを行うための収納カセット300の構成について図8を用いて説明する。図8に示すように、収納カセット300は略直方体形状のケーシング301を有しており、当該ケーシング301の内部に紙幣が積層状態で収納されるようになっている。また、上述したように、収納カセット300は貨幣入出金機100のカセット装着部126および貨幣釣銭機200のカセット装着部(図示せず)にそれぞれ着脱自在に装着されるようになっている。また、収納カセット300のケーシング301の側面には開口302が形成されており、収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部に装着されているときに、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に設けられた搬送部130や貨幣釣銭機200の紙幣処理ユニット210に設けられた搬送部(図示せず)から当該開口302を介して紙幣が収納カセット300の内部に送られたり、収納カセット300に収納されている紙幣が開口302を介して貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110の搬送部130や貨幣釣銭機200の紙幣処理ユニット210の搬送部に繰り出されたりするようになっている。
より詳細には、収納カセット300の内部には、当該収納カセット300に収納されている紙幣を開口302からケーシング301の外部に繰り出す紙幣繰出機構が設けられている。また、収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部(図示せず)に装着されているときに、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110側や貨幣釣銭機200の紙幣処理ユニット210側から収納カセット300の紙幣繰出機構に動力が伝達されるようになっている。このように、収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部から取り出された状態では当該収納カセット300に収納されている紙幣をケーシング301の外部に繰り出させることができないため、収納カセット300に収納されている紙幣のセキュリティ性を向上させることができる。
また、収納カセット300のケーシング301の側面にはICチップ等の記録媒体304が設けられている。そして、収納カセット300が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部(図示せず)に装着されているときに、貨幣入出金機100のカセット装着部126に設けられた書込部128や貨幣釣銭機200のカセット装着部に設けられた書込部(図示せず)により記録媒体304に様々な情報を書き込んだり、貨幣入出金機100のカセット装着部126に設けられた読取部129や貨幣釣銭機200のカセット装着部に設けられた読取部(図示せず)により記録媒体304から様々な情報を読み取ったりすることができるようになっている。
次に、このような構成からなる貨幣管理システム1の動作について説明する。具体的には、貨幣管理システム1の貨幣入出金機100において貨幣の入金処理や出金処理が行われる際の動作について説明する。
まず、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110におけるカセット装着部126に収納カセット300が装着されていない場合について説明する。ここで、本実施の形態では、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていない場合には、貨幣入出金機100は、商品と引き換えに顧客から店員に手渡された貨幣の入金処理を行うとともに、釣銭としての貨幣の出金処理を行うことができるような貨幣釣銭機として機能するようになる。より詳細には、紙幣処理ユニット110におけるカセット装着部126に収納カセット300が装着されていない場合には、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部127により検知されない。この場合には、指令受付手段107は、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部127により検知されていないという情報に基づいて、第1処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになる。ここで、上述したように、第1処理モードは、通信部105によりPOSレジスタ190等の外部装置から受信した情報を参照して処理を行う処理モードのことをいう。
貨幣入出金機100の制御部102は、第1処理モードで処理を行うという指令が指令受付手段107により受け付けられているときには、入金された貨幣の金額から、通信部105によりPOSレジスタ190等の外部装置から受信した情報における売上金としての金額を差し引いた金額の貨幣を紙幣処理ユニット110の紙幣払出部122や硬貨処理ユニット150の硬貨払出部166に払い出すよう紙幣処理ユニット110や硬貨処理ユニット150の各構成部材(すなわち、紙幣処理部や硬貨処理部)の制御を行うようになっている。より詳細には、本実施の形態による貨幣入出金機100が貨幣釣銭機として用いられる場合には、サービスカウンターにおいて、顧客から店員に商品が手渡されると、店員によってPOSレジスタ190に設けられたハンディスキャナ等により商品に付けられているバーコード等の情報が読み取られることにより商品の売上金に係る情報がPOSレジスタ190により取得されるようになる。ここで、POSレジスタ190により取得された商品の売上金に係る情報は当該POSレジスタ190から貨幣入出金機100に送信され、この情報は貨幣入出金機100の通信部105により受信されるようになる。また、顧客から店員に商品の代金としての貨幣が手渡されると、店員は顧客から受け取った貨幣を紙幣処理ユニット110の紙幣受入口120aや硬貨処理ユニット150の硬貨受入部152に投入する。このことにより、紙幣処理ユニット110や硬貨処理ユニット150において紙幣や硬貨の入金処理が行われる。また、紙幣処理ユニット110や硬貨処理ユニット150に入金された紙幣や硬貨の合計金額が、通信部105により受信された商品の売上金に係る金額よりも大きい場合には、入金された紙幣や硬貨の合計金額から、売上金としての金額を差し引いた金額の紙幣や硬貨が釣銭として紙幣処理ユニット110や硬貨処理ユニット150から出金される。
なお、本実施の形態では、本実施の形態による貨幣入出金機100が貨幣釣銭機として機能する場合に、当該貨幣入出金機100がセルフ機またはセミセルフ機として用いられるようになっていてもよい。ここで、貨幣入出金機100がセルフ機として用いられる場合には、POSレジスタ190に設けられたハンディスキャナ等により商品に付けられているバーコード等の情報を読み取る動作、および商品の代金としての貨幣を紙幣処理ユニット110の紙幣受入口120aや硬貨処理ユニット150の硬貨受入部152に投入する動作がそれぞれ店員ではなく顧客により行われるようになる。また、貨幣入出金機100がセミセルフ機として用いられる場合には、POSレジスタ190に設けられたハンディスキャナ等により商品に付けられているバーコード等の情報を読み取る動作は店員により行われるが、商品の代金としての貨幣を紙幣処理ユニット110の紙幣受入口120aや硬貨処理ユニット150の硬貨受入部152に投入する動作が顧客により行われるようになる。
次に、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110におけるカセット装着部126に収納カセット300が装着されている場合について説明する。ここで、本実施の形態では、カセット装着部126に収納カセット300が装着されている場合には、貨幣入出金機100は、精算所に設置されている貨幣釣銭機200から回収された売上金としての貨幣の入金処理を行うとともに、貨幣釣銭機200に補充されるべき釣銭補充金としての貨幣の出金処理を行う出納機として機能するようになる。より詳細には、紙幣処理ユニット110におけるカセット装着部126に収納カセット300が装着されている場合には、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部127により検知される。この場合には、指令受付手段107は、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部127により検知されているという情報に基づいて、第2処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになる。ここで、上述したように、第2処理モードは、通信部105によりPOSレジスタ190等の外部装置から受信した情報を参照しないで処理を行う処理モードのことをいう。また、制御部102は、第2処理モードで処理を行うという指令が指令受付手段107により受け付けられているときには、カセット装着部126に装着されている収納カセット300の記録媒体304から読取部129により読み取られた情報(より詳細には、収納カセット300に紙幣が収納されているか否かという情報)に基づいて、紙幣処理ユニット110において入金処理および出金処理のうちいずれの処理を行うかを決めるようになっている。このような制御部102による制御内容の詳細については後述する。
本実施の形態では、貨幣釣銭機200から回収された売上金としての貨幣の入金処理を貨幣入出金機100が行ったり、貨幣釣銭機200に補充されるべき釣銭補充金としての貨幣の出金処理を貨幣入出金機100が行ったりする際に、貨幣入出金機100と貨幣釣銭機200との間で収納カセット300により紙幣の受け渡しが行われるようになっている。すなわち、貨幣釣銭機200から回収された売上金としての貨幣の入金処理を貨幣入出金機100が行う場合には、貨幣釣銭機200の紙幣処理ユニット210においてカセット装着部(図示せず)に装着されている収納カセット300に紙幣が収納され、この収納カセット300が貨幣釣銭機200から取り出されて貨幣入出金機100に運搬される。また、貨幣釣銭機200の紙幣処理ユニット210においてカセット装着部に装着されている収納カセット300に紙幣が収納されると、当該収納カセット300に収納される紙幣に係る情報(具体的には、収納カセット300に収納される紙幣の金種毎の枚数や合計金額等に係る情報)が、紙幣処理ユニット210のカセット装着部に設けられている書込部によって収納カセット300の記録媒体304に書き込まれる。また、この際に、貨幣釣銭機200が設置されるレジ番号も書込部により記録媒体304に書き込まれるようになる。
そして、貨幣釣銭機200から貨幣入出金機100に運搬された収納カセット300が紙幣処理ユニット110のカセット装着部126に装着されると、当該カセット装着部126に収納カセット300が装着されたことがカセット装着検知部127により検知される。このことにより、指令受付手段107は、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部127により検知されているという情報に基づいて、第2処理モードで処理を行うという指令を受け付ける。また、カセット装着部126に収納カセット300が装着されたことがカセット装着検知部127により検知されると、収納カセット300の記録媒体304に記録されている情報が読取部129によって読み取られる。そして、読取部129によって読み取られた情報に基づいて、収納カセット300に紙幣が収納されていると判断された場合には、紙幣処理ユニット110において収納カセット300に収納されている紙幣の入金処理が行われるようになる。具体的には、収納カセット300から搬送部130に紙幣が繰り出され、この繰り出された紙幣は識別部132によりその金種等が識別された後に各紙幣収納部134、136や回収カセット140に収納されるようになる。このようにして、貨幣釣銭機200から回収された、店舗420における売上金としての紙幣が貨幣入出金機100に収納されるようになる。
なお、売上金としての貨幣として硬貨や包装硬貨を貨幣釣銭機200から回収して貨幣入出金機100に収納させる場合には、操作者は硬貨処理ユニット250から出金された硬貨や包装硬貨収納ユニット280から取り出した包装硬貨を例えば収納ケース等に手で収納して当該収納ケースごと貨幣釣銭機200から貨幣入出金機100に運搬し、この収納ケースから硬貨や包装硬貨を取り出して貨幣入出金機100の硬貨処理ユニット150に入金したり包装硬貨収納ユニット180に収納したりするようになる。このようにして、貨幣釣銭機200から回収された、店舗420における売上金としての硬貨や包装硬貨が貨幣入出金機100に収納されるようになる。
また、貨幣釣銭機200に補充されるべき釣銭補充金としての貨幣の出金処理を貨幣入出金機100が行う場合には、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110におけるカセット装着部126に空状態の収納カセット300を装着させる。この場合には、カセット装着部126に収納カセット300が装着されたことがカセット装着検知部127により検知される。このことにより、指令受付手段107は、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部127により検知されているという情報に基づいて、第2処理モードで処理を行うという指令を受け付ける。また、カセット装着部126に収納カセット300が装着されたことがカセット装着検知部127により検知されると、収納カセット300の記録媒体304に記録されている情報が読取部129によって読み取られる。ここで、カセット装着部126には空状態の収納カセット300が装着されるため、記録媒体304には、収納カセット300に紙幣が収納されていない旨の情報が記録されており、このような情報が読取部129によって読み取られるようになる。そして、読取部129によって読み取られた情報に基づいて、収納カセット300に紙幣が収納されていないと判断された場合には、紙幣処理ユニット110において紙幣の出金処理が行われるようになる。具体的には、各紙幣収納部134、136から搬送部130に紙幣が繰り出され、この繰り出された紙幣は識別部132によりその金種等が識別された後に収納カセット300に収納されるようになる。その後、紙幣処理ユニット110のカセット装着部126から収納カセット300が取り出され、この取り出された収納カセット300は貨幣入出金機100から貨幣釣銭機200に運搬される。そして、貨幣入出金機100から貨幣釣銭機200に運搬された収納カセット300が紙幣処理ユニット210のカセット装着部に装着されると、紙幣処理ユニット210において収納カセット300に収納されている紙幣の入金処理が行われるようになる。このようにして、貨幣釣銭機200に釣銭準備金として補充されるべき紙幣が貨幣入出金機100から出金されて当該貨幣釣銭機200に収納されるようになる。
なお、貨幣釣銭機200に釣銭準備金として補充されるべき貨幣として硬貨や包装硬貨を貨幣入出金機100から出金させて貨幣釣銭機200に収納させる場合には、操作者は硬貨処理ユニット150から出金された硬貨や包装硬貨収納ユニット180から取り出した包装硬貨を例えば収納ケース等に手で収納して当該収納ケースごと貨幣入出金機100から貨幣釣銭機200に運搬し、この収納ケースから硬貨や包装硬貨を取り出して貨幣釣銭機200の硬貨処理ユニット250に入金したり包装硬貨収納ユニット280に収納したりするようになる。このようにして、貨幣釣銭機200に釣銭準備金として補充されるべき硬貨や包装硬貨が貨幣入出金機100から出金されて当該貨幣釣銭機200に収納されるようになる。
なお、本実施の形態では、貨幣入出金機100において紙幣処理ユニット110のカセット装着部126に収納カセット300が装着されたことがカセット装着検知部127により検知されたときに、紙幣処理ユニット110において自動で紙幣の入金処理や出金処理が行われるような態様に限定されることはない。貨幣入出金機100において紙幣処理ユニット110のカセット装着部126に収納カセット300が装着されたことがカセット装着検知部127により検知されたときに、紙幣の入金処理や出金処理を行うか否かを操作者に確認する画面が操作表示部104に表示されるようになっていてもよい。この場合には、操作表示部104により紙幣の入金処理や出金処理を行う旨の指令が操作者によって入力されると、収納カセット300から搬送部130に紙幣が繰り出され、この繰り出された紙幣が識別部132により識別された後に各紙幣収納部134、136や回収カセット140に収納される動作や、各紙幣収納部134、136から搬送部130に紙幣が繰り出され、この繰り出された紙幣が識別部132により識別された後に収納カセット300に収納される動作が行われるようになる。
また、本実施の形態では、指令受付手段107は、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部127により検知されているか否かに基づいて第1処理モードおよび第2処理モードのうちいずれの処理モードで処理を行うかという指令を受け付けるような態様に限定されることはない。他の例として、指令受付手段107は、カードリーダ等の情報読取手段108により操作者が所持するIDカード等の情報記憶部材から読み取られた情報に基づいて、第1処理モードおよび第2処理モードのうちいずれの処理モードで処理を行うかという指令を受け付けるようになっていてもよい。例えば、操作者が所持するIDカードには操作者の権限に係る情報(具体的には、操作者が店員および管理者のいずれであるかという情報)が記憶されるようになっており、情報読取手段108によりIDカードから読み取られた情報に基づいて操作者が店員であると判別された場合には、指令受付手段107は第1処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになる。一方、情報読取手段108によりIDカードから読み取られた情報に基づいて操作者が管理者であると判別された場合には、指令受付手段107は第2処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになる。また、更に他の例として、操作者が所持する無線ICタグ等のICタグにレジ番号が任意で記憶されるようになっており、リーダライタ等の情報読取手段108によりICタグから読み取られた情報に基づいてレジ番号がICタグに記憶されていると判別された場合には、指令受付手段107は第1処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになっていてもよい。この場合には、リーダライタ等の情報読取手段108によりICタグから読み取られた情報に基づいてレジ番号がICタグに記憶されていないと判別された場合には、指令受付手段107は第2処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになる。
また、更に他の例として、収納カセット300がカセット装着部126に装着されたときに、当該収納カセット300に設けられている記録媒体304から読取部129により読み取られた情報に基づいて、指令受付手段107は第1処理モードおよび第2処理モードのうちいずれの処理モードで処理を行うかという指令を受け付けるようになっていてもよい。具体的には、収納カセット300に設けられている記録媒体304に、レジを識別するための情報であるレジ番号等が任意で記憶されるようになっており、収納カセット300がカセット装着部126に装着されたときに、当該収納カセット300に設けられている記録媒体304から読取部129により読み取られた情報に基づいてレジ番号等が記録媒体304に記憶されていると判別された場合には、指令受付手段107は第1処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになっていてもよい。この場合には、収納カセット300に設けられている記録媒体304から読取部129により読み取られた情報に基づいてレジ番号等が記録媒体304に記憶されていないと判別された場合には、指令受付手段107は第2処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになる。あるいは、収納カセット300がカセット装着部126に装着されたときに、当該収納カセット300に設けられている記録媒体304から読取部129により読み取られた情報に基づいてレジ番号等が記録媒体304に記憶されていると判別された場合には、指令受付手段107は第2処理モードで処理を行うという指令を受け付け、一方、収納カセット300に設けられている記録媒体304から読取部129により読み取られた情報に基づいてレジ番号等が記録媒体304に記憶されていないと判別された場合には、指令受付手段107は第1処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになっていてもよい。
また、本実施の形態による貨幣入出金機100に対応するPOSレジスタ190から当該POSレジスタ190の識別番号に係る情報がレジ番号として貨幣入出金機100に送られるようになっており、収納カセット300がカセット装着部126に装着されたときに、当該収納カセット300に設けられている記録媒体304から読取部129により読み取られたレジ番号が、POSレジスタ190から貨幣入出金機100に送られた情報に係るレジ番号と一致する場合には、指令受付手段107は第1処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになっていてもよい。この場合には、収納カセット300に設けられている記録媒体304から読取部129により読み取られたレジ番号が、POSレジスタ190から貨幣入出金機100に送られた情報に係るレジ番号と一致しない場合や、収納カセット300に設けられている記録媒体304から読取部129によりレジ番号に係る情報を読み取ることができなかった場合には、指令受付手段107は第2処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになる。
また、収納カセット300に設けられている記録媒体304にレジ番号ではなく紙幣の処理内容(具体的には、紙幣の補充処理、回収処理等)が記憶されている場合に、収納カセット300がカセット装着部126に装着され、収納カセット300に設けられている記録媒体304から読取部129により当該情報が読み取られると、指令受付手段107は第2処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになっていてもよい。
また、本実施の形態では、収納カセット300として、紙幣処理ユニット110のカセット装着部126に装着されたときに当該紙幣処理ユニット110において紙幣の入金処理のみを行うことができるようなものが用いられるようになっていてもよい。この場合には、収納カセット300が紙幣処理ユニット110のカセット装着部126に装着されたときに、当該収納カセット300に紙幣が収納されている場合には、収納カセット300から搬送部130に紙幣が繰り出され、この繰り出された紙幣が識別部132により識別された後に各紙幣収納部134、136や回収カセット140に収納される動作が行われるようになるが、収納カセット300に紙幣が収納されていない場合に、紙幣処理ユニット110において紙幣の出金処理が行われることはない。また、紙幣処理ユニット110のカセット装着部126に装着される収納カセット300として、紙幣を例えば金種毎に収納するような複数の種類のものが用いられるようになっていてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣入出金機100およびこのような貨幣入出金機100による貨幣処理方法によれば、指令受付手段107は、通信部105等の情報受信手段により受信した情報を参照して処理を行う第1処理モードおよび情報受信手段により受信した情報を参照しないで処理を行う第2処理モードのうちいずれの処理モードで処理を行うかという指令を受け付けるようになっており、制御部102は、指令受付手段107により受け付けた指令の内容に基づいて処理を行うよう紙幣処理ユニット110の紙幣処理部の制御を行うようになっている。このことにより、貨幣の処理を行う前に運用モードの設定を操作者が手動で行う必要がなくなるため、操作者にとっての手間を省くとともに誤操作が行われてしまうことを防止することができるようになる。
より詳細には、従来では、貨幣の入金処理および出金処理を行う貨幣入出金機をフロント領域における例えばサービスカウンターに設置し、この貨幣入出金機を、従来のフロント領域に設置される貨幣釣銭機として使用するとともに、従来のバックヤード領域に設置される出納機として使用する場合において、当該貨幣入出金機を貨幣釣銭機として使用するときには、操作者はタッチパネル等の操作表示部により手動でレジ運用設定に切り換えた後に当該貨幣入出金機で貨幣の処理を行う必要があった。一方、上記の貨幣入出金機を、精算所に設置されている貨幣釣銭機から回収された売上金としての貨幣の入金処理や、貨幣釣銭機に補充されるべき釣銭補充金としての貨幣の出金処理を行う出納機として使用するときには、操作者はタッチパネル等の操作表示部により手動で出納機運用設定に切り換えた後に当該貨幣入出金機で貨幣の処理を行う必要があった。このように、サービスカウンターに設置される貨幣入出金機で、従来のフロント領域に設置される貨幣釣銭機の機能および従来のバックヤード領域に設置される出納機の機能を兼用する場合には、貨幣の処理を行う前に運用モードの設定を操作者が手動で行う必要があるため、操作者にとって手間がかかったり誤操作が行われるおそれがあったりするという問題があった。これに対し、本実施の形態では、制御部102は、指令受付手段107により受け付けた指令の内容に基づいて処理を行うよう紙幣処理ユニット110の紙幣処理部の制御を行うため、上述した従来の貨幣入出金機の問題を解消することができるようになる。
また、本実施の形態では、指令受付手段107は、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部127により検知されているときに第2処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになっている。この場合には、カセット装着部126に収納カセット300を装着するだけで、紙幣処理ユニット110における処理モードを切り替えることができるようになる。
なお、本実施の形態では、指令受付手段107は、第1処理モードおよび第2処理モードのうちいずれの処理モードで処理を行うかという指令を受け付ける代わりに、特定処理を行うという指令を受け付けるようになっていてもよい。ここで、「特定処理を行う」とは、上述した第2処理モードで処理を行うことをいう。そして、制御部102は、通常時は通信部105によりPOSレジスタ190等の外部装置から受信した情報を参照して処理を行い(すなわち、通常時は第1処理モードで処理を行い)、指令受付手段107により特定処理を行うという指令が受け付けられたときに、通信部105によりPOSレジスタ190等の外部装置から受信した情報を参照しないで処理を行う(すなわち、第2処理モードで処理を行う)よう、紙幣処理ユニット110の各構成部材を制御するようになる。この場合でも、貨幣の処理を行う前に運用モードの設定を操作者が手動で行う必要がなくなるため、操作者にとっての手間を省くとともに誤操作が行われてしまうことを防止することができるようになる。なお、この場合、指令受付手段107は、カセット装着部126に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部127により検知されているときに特定処理を行うという指令を受け付けるようになる。
また、制御部102は、特定処理を行うという指令が指令受付手段107により受け付けられていないときには、紙幣処理ユニット110において、入金された紙幣の金額から、通信部105によりPOSレジスタ190等の外部装置から受信した情報における売上金としての金額を差し引いた金額の紙幣を紙幣払出部122に払い出すよう、紙幣処理ユニット110の各構成部材の制御を行う。一方、制御部102は、特定処理を行うという指令が指令受付手段107により受け付けられているときには、紙幣の入金処理を行う際に、カセット装着部126に装着されている収納カセット300から繰り出された紙幣を各紙幣収納部134、136や回収カセット140に収納し、また、紙幣の出金処理を行う際に、出金されるべき紙幣をカセット装着部126に装着されている収納カセット300に収納するよう、紙幣処理ユニット110の各構成部材の制御を行う。また、制御部102は、特定処理を行うという指令が指令受付手段107により受け付けられているときには、カセット装着部126に装着されている収納カセット300の記録媒体304から読取部129により読み取られた情報に基づいて、各構成部材による処理内容を決めるようになっている。具体的には、制御部102は、カセット装着部126に装着されている収納カセット300の記録媒体304から読取部129により読み取られた、収納カセット300に紙幣が収納されているか否かという情報に基づいて、紙幣の入金処理および出金処理のうちいずれかの処理を行うよう各構成部材を制御するようになる。
なお、本実施の形態による貨幣入出金機100やこのような貨幣入出金機100による貨幣処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、上述した貨幣入出金機100およびPOSレジスタ190を組み合わせることにより本発明に係る貨幣処理システムが構成されるようになっていてもよい。この場合には、POSレジスタ190は、貨幣入出金機100とは別に設けられた外部装置として機能するようになる。また、上記の説明では、指令受付手段107およびこの指令受付手段107により受け付けた指令の内容に基づいて紙幣処理ユニット110の紙幣処理部により処理を行うよう当該紙幣処理部の制御を行う制御部102がそれぞれ貨幣入出金機100に設けられるような態様について述べたが、指令受付手段107と同等の機能を有する指令受付手段が外部装置としてのPOSレジスタ190に設けられていてもよい。また、貨幣入出金機100に設けられた指令受付手段107またはPOSレジスタ190に設けられた指令受付手段により受け付けた指令に基づいて紙幣処理ユニット110の紙幣処理部により処理を行うよう当該紙幣処理部の制御を行う制御部がPOSレジスタ190に設けられていてもよい。
また、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニットとして、図9に示すような構成のものが用いられてもよい。図9に示す紙幣処理ユニット110aでは、収納カセット300が着脱自在に装着されるカセット装着部126や、回収カセット140の扉140aが筐体101の前面側ではなく背面側(すなわち、図3における左側)に設けられており、筐体101の背面側から収納カセット300や回収カセット140を筐体101の外部に取り出したり当該筐体101の内部に収容したりすることができるようになっている。図9に示すような構成の紙幣処理ユニット110aによれば、例えば顧客は筐体101の前面側に設けられた紙幣受入部120に紙幣を投入したり紙幣払出部122に払い出された紙幣を取り出したりすることができる一方、店員は筐体101の背面側から収納カセット300や回収カセット140を筐体101の外部に取り出したり当該筐体101の内部に収容したりすることができるようになる。
また、別の変形例に係る貨幣管理システム1の貨幣入出金機100において、収納カセット300をカセット装着部126に装着したときに、当該収納カセット300をリサイクル用の紙幣収納部として用いることができるようになっていてもよい。すなわち、カセット装着部126に装着された収納カセット300は、筐体101の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能となるため、各紙幣収納部134、136と同様の機能を果たすようになる。また、カセット装着部126に装着された収納カセット300をリサイクル用の紙幣収納部として用いる場合には、各紙幣収納部134、136と同様に、当該収納カセット300に収納される紙幣の金種を割り当てることができるようになっていてもよい。
また、更に別の変形例に係る貨幣管理システム1において、硬貨の収納および収納されている硬貨の繰り出しを行う硬貨収納カセットが貨幣入出金機100および貨幣釣銭機200にそれぞれ着脱自在に装着されるようになっていてもよい。この場合には、貨幣入出金機100と貨幣釣銭機200との間でこのような硬貨収納カセットにより硬貨の受け渡しを行うことができるようになるため、貨幣釣銭機200から回収された売上金としての硬貨や貨幣入出金機100から出金された貨幣釣銭機200に釣銭補充金として補充されるべき硬貨を操作者の手に触れさせないようにすることができるためセキュリティ性を高めることができる。また、このような硬貨の収納を行う硬貨収納カセットに上記の記録媒体304を設けるようにしてもよい。また、指令受付手段107は、硬貨処理ユニット150に設けられたカセット装着部(図示せず)に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部(図示せず)により検知されていないときに第1処理モードで処理を行うという指令を受け付ける一方、硬貨処理ユニット150に設けられたカセット装着部(図示せず)に収納カセット300が装着されていることがカセット装着検知部(図示せず)により検知されているときに第2処理モードで処理を行うという指令を受け付けるようになっている。そして、制御部102は、指令受付手段107により受け付けた指令の内容に基づいて処理を行うよう硬貨処理ユニット150の硬貨処理部の制御を行うようになっている。この場合には、カセット装着部126に収納カセット300を装着するだけで、硬貨処理ユニット150における処理モードを切り替えることができるようになる。
また、別の例として、貨幣入出金機100において、カセット装着部126に装着された収納カセット300から繰り出された紙幣を識別することなく枚数のみを計数するようになっていてもよい。この場合には、計数された紙幣の枚数と、収納カセット300に設けられた記録媒体304から読取部129により読み取られた情報における紙幣の枚数とを比較し、両者の枚数が一致しない場合に操作表示部104等において両者の枚数が一致しない旨を表示するようになっていてもよい。