以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本実施の形態による貨幣処理システムおよびこのような貨幣処理システムに設けられたカセット保管装置、貨幣釣銭機および貨幣入出金機等を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における貨幣処理システムの構成の一例を概略的に説明するための概略構成図であり、図2および図3は、それぞれ、図1に示す貨幣処理システムにおけるカセット保管装置の正面図および側面図である。また、図4は、図1に示す貨幣処理システムにおける貨幣釣銭機および貨幣釣銭機に設けられるPOSレジスタの構成を示す斜視図である。また、図5は、図2等に示すカセット保管装置における制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図6は、本実施の形態における貨幣処理システムの構成の他の例を概略的に説明するための概略構成図であり、図7は、図6に示す貨幣処理システムにおける貨幣入出金機の構成を示す斜視図であり、図8は、図7に示す貨幣入出金機における制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図9は、図1や図6に示す貨幣処理システムにおいて用いることができる、貨幣以外の媒体(例えば、商品券)を収納する媒体収納カセットの構成を概略的に示す斜視図である。
図1に示すように、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商業施設の店舗において、顧客が立ち入ることができるフロント領域12には様々な商品が陳列された商品棚が設置されているとともに、このフロント領域12の精算所(具体的には、対面式レジカウンター)には貨幣釣銭機20やPOSレジスタ28(図4参照)が設置されている。ここで、フロント領域12に複数の精算所が設けられる場合には、各精算所にそれぞれ貨幣釣銭機20およびPOSレジスタ28が設置されるようになる。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣を貨幣釣銭機20に入金したり、釣銭としての貨幣を貨幣釣銭機20から出金して顧客に返却したりするようになっている。また、POSレジスタ28により、顧客が購入した商品に係る情報や貨幣釣銭機20に収納されている貨幣に係る情報等の管理が行われるようになっている。
また、このような店舗における顧客の立ち入りが禁止されたバックヤード領域14(具体的には、例えば出納室)には、紙幣を収納する紙幣収納カセット80や硬貨を収納する硬貨収納カセット82を保管するためのカセット保管装置30が設置されている。ここで、紙幣収納カセット80および硬貨収納カセット82は略同一の大きさの略直方体形状のケーシングを有しており、ケーシングの内部に紙幣や硬貨が収納されるようになっている。また、紙幣収納カセット80および硬貨収納カセット82には、それぞれ、これらの紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨に関する情報等の様々な情報を記憶するICタグ等の記憶媒体80a、82aが設けられている。また、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82は、貨幣釣銭機20およびカセット保管装置30にそれぞれ着脱自在に装着されるようになっている。
また、バックヤード領域14において、フロント領域12に設置される各貨幣釣銭機20から回収された貨幣や貨幣以外の媒体(例えば、商品券等)の精算を出納担当者60が行うようになっている。
また、本実施の形態では、貨幣以外の媒体(例えば、貨幣釣銭機20から回収される貨幣の情報が印字されたレシート(ジャーナル)や商品券等)が収納される媒体収納袋84が用いられるようになっており、このような媒体収納袋84もカセット保管装置30により管理することができるようになっている。なお、媒体収納袋84には、当該媒体収納袋84の識別情報を示すICタグやバーコード等の識別部材84aが設けられている。
また、図1に示すように、フロント領域12に設置される各貨幣釣銭機20およびバックヤード領域14に設置されるカセット保管装置30はローカルエリアネットワークにより通信可能に接続されるようになっている。具体的には、フロント領域12の各精算所において貨幣釣銭機20およびPOSレジスタ28が通信可能に接続されるとともに、各精算所のPOSレジスタ28が有線または無線のLAN16によりカセット保管装置30に通信可能に接続されている。また、各精算所のPOSレジスタ28が有線または無線のLAN16によりカセット保管装置30に通信可能に接続されることに加えて、あるいは各精算所のPOSレジスタ28が有線または無線のLAN16によりカセット保管装置30に通信可能に接続される代わりに、各精算所の貨幣釣銭機20が有線または無線のLAN16によりカセット保管装置30に通信可能に接続されるようになっていてもよい。本実施の形態では、このような貨幣釣銭機20およびカセット保管装置30を組み合わせることにより本発明に係る貨幣処理システム10が構成されている。なお、以下の説明では、フロント領域12に設置される各貨幣釣銭機20およびバックヤード領域14に設置されるカセット保管装置30の管理権限が全て店舗側にある場合について述べる。
カセット保管装置30の構成の詳細について図2および図3を用いて説明する。図2は、カセット保管装置30の正面図であり、図3は、図2に示すカセット保管装置30を左側方から見たときの構成を概略的に示す側面図である。図2および図3に示すように、カセット保管装置30は、ベースユニット30aと、追加ユニット30bと、媒体収納袋保管ユニット30cとから構成されており、これらのベースユニット30a、追加ユニット30b、媒体収納袋保管ユニット30cは鉛直方向に沿って積み重ねられるよう配置されている。具体的には、各ユニット30a、30b、30cの上面または下面には他のユニット30a、30b、30cと連結するための連結具(図示せず)が設けられており、このような連結具により各ユニット30a、30b、30cは鉛直方向に連結されるようになる。
ベースユニット30aおよび追加ユニット30bはそれぞれ紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を管理するようになっている。より詳細には、ベースユニット30aや追加ユニット30bは、それぞれ、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82が収容されるカセット収容部32と、カセット収容部32に収容された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82をロックするカセットロック機構44と、カセット収容部32に収容された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aから情報を読み取ったりこれらの記憶媒体80a、82aに情報を書き込んだりするリーダライタ42とを有している。また、ベースユニット30aの前面には、タッチパネル等の操作表示部34およびバラ硬貨を投入するための硬貨投入部36がそれぞれ設けられている。操作表示部34には、各カセット収容部32に収容されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に関する情報、および後述する媒体収納袋保管ユニット30cの袋収容部31に収容されている媒体収納袋84に関する情報等の様々な情報が表示されるようになっている。また、操作者は操作表示部34によりカセット保管装置30の制御部50(後述)に様々な指令を入力することができるようになっている。また、ベースユニット30aの内部には、硬貨投入部36により投入されたバラ硬貨を計数する硬貨計数部37(図5参照)および硬貨計数部37により計数された硬貨が集積される硬貨集積部38がそれぞれ設けられている。なお、追加ユニット30bにはこのような操作表示部34、硬貨投入部36、硬貨計数部37、硬貨集積部38は設けられていない。これらのベースユニット30aおよび追加ユニット30bは、紙幣や硬貨等の貨幣を収納する貨幣収納カセットを保管するためのカセット保管手段として機能する。
上述したように、媒体収納袋保管ユニット30cは媒体収納袋84を管理するようになっている。より詳細には、媒体収納袋保管ユニット30cの内部には、媒体収納袋84が収容される袋収容部31が設けられており、また、媒体収納袋保管ユニット30cの前面には、媒体収納袋84を投入するための袋投入部40(具体的には、カセット保管装置30の幅方向に延びる細長い投入口)が設けられている。また、袋収容部31には、袋投入部40により袋収容部31に投入された媒体収納袋84に設けられている識別部材84aにおける識別情報を読み取る読取部46が設けられている。具体的には、識別部材84aとして媒体収納袋84にICタグが設けられている場合には読取部46としてこのようなICタグから情報を読み取るICタグリーダが用いられる。また、識別部材84aとして媒体収納袋84にバーコードが設けられている場合には読取部46としてこのようなバーコードから情報を読み取るバーコードリーダが用いられる。なお、媒体収納袋84の識別部材84aにおける識別情報を読み取る読取部46が媒体収納袋保管ユニット30cに設けられる代わりに、袋投入部40により袋収容部31に投入された媒体収納袋84を検知する光センサ等の検知センサが媒体収納袋保管ユニット30cに設けられてもよい。この場合には、媒体収納袋84に識別部材84aを設ける必要がなくなる。なお、媒体収納袋84に識別部材84aが設けられていなくても、レジ担当者が媒体収納袋保管ユニット30cの袋投入部40に媒体収納袋84を投入する前に当該レジ担当者の識別情報を後述する認証手段56により認証させることにより、認証手段56により認証されたレジ担当者の識別情報および光センサ等の検知センサによる媒体収納袋84の検知情報に基づいて媒体収納袋84の識別情報をカセット保管装置30の制御部50(後述)は認識することができるようになる。また、更に他の例として、媒体収納袋84に設けられている識別部材84aにおける識別情報を読み取る読取部46が袋収容部31に設けられる代わりに、袋投入部40の近傍に読取部46が設けられるようになっていてもよい。この場合には、レジ担当者は、袋投入部40により袋収容部31に投入される前の媒体収納袋84の識別部材84aを読取部46に読み取らせた後、袋投入部40により媒体収納袋84を袋収容部31に投入するようになる。
また、媒体収納袋保管ユニット30cの前面には扉48が設けられるとともに、当該扉48を閉状態でロックする扉ロック機構49(図5参照)が設けられている。このような扉ロック機構49による扉48のロックが解除されないと、操作者は扉48を開いて袋収容部31の内部に収容されている媒体収納袋84を取り出すことができないようになっている。なお、媒体収納袋保管ユニット30cの前面に扉48が設けられる代わりに、開閉シャッタが媒体収納袋保管ユニット30cの前面に設けられるようになっていてもよい。この場合には、開閉シャッタにより媒体収納袋保管ユニット30cの前面が開かれることにより、操作者は袋収容部31の内部に収容されている媒体収納袋84を取り出すことができるようになる。また、このような開閉シャッタは、後述する認証手段56により認証された操作者の権限が所定の権限(例えば、出納担当者60)である場合のみにおいて開くようになる。
図2および図3では、1つの袋収容部31に複数の媒体収納袋84が収容されるような例が示されている。しかしながら、本実施の形態ではこのような態様に限定されることはない。別の例として、媒体収納袋保管ユニット30cに複数の袋収容部31および各袋収容部31に対応する袋投入部40が設けられ、1つの袋収容部31に1つの媒体収納袋84が収容されるようになっていてもよい。より詳細には、フロント領域12に複数の精算所が設けられ、各精算所にそれぞれ貨幣釣銭機20が設置される場合には、複数の精算所にそれぞれ対応するよう複数の袋収容部31が媒体収納袋保管ユニット30cに設けられるようになる。このことにより、各袋収容部31にそれぞれ精算所を割り当てることができるようになる。
本実施の形態では、カセット保管装置30は、少なくとも、1つのベースユニット30aおよび1つの媒体収納袋保管ユニット30cを組み合わせることにより構成することができるようになっている。また、このようなベースユニット30aおよび媒体収納袋保管ユニット30cの組合せ体に対して追加ユニット30bを増設することができるようになっている。なお、ベースユニット30aおよび媒体収納袋保管ユニット30cの組合せ体に対して、追加ユニット30bを増設することに加えて、あるいは追加ユニット30bを増設する代わりに、媒体収納袋保管ユニット30cを増設してもよい。
次に、このようなカセット保管装置30における制御系の構成について図5を用いて説明する。図5に示すように、カセット保管装置30にはCPU(中央演算処理ユニット)等の制御部50が設けられており、カセットロック機構44、リーダライタ42、読取部46、扉ロック機構49、操作表示部34および硬貨計数部37がそれぞれ当該制御部50に接続されている。このことにより、リーダライタ42や読取部46により読み取られた情報や硬貨計数部37による硬貨の計数結果に係る情報、操作表示部34に入力された情報は制御部50に送られるようになる。また、制御部50はカセットロック機構44や扉ロック機構49に指令信号を与えることによりこれらのカセットロック機構44や扉ロック機構49を制御したり、操作表示部34に信号を送ることにより当該操作表示部34における表示内容を決めたりするようになっている。
また、図5に示すように、制御部50には記憶部52、通信インターフェース部54および認証手段56がそれぞれ接続されている。ここで、記憶部52は、ベースユニット30aや追加ユニット30bにより管理される紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に関する情報を記憶したり、媒体収納袋保管ユニット30cにより管理される媒体収納袋84に関する情報を記憶したりするようになっている。また、制御部50は通信インターフェース部54により外部装置と信号の送受信を行うことができるようになっている。具体的には、制御部50は通信インターフェース部54によりLAN16を介して各貨幣釣銭機20と様々な信号の送受信を行うようになっている。また、認証手段56は、カセット保管装置30を操作する操作者の識別情報や権限等を認証するようになっている。具体的には、例えば操作表示部34により操作者が自分の識別番号およびパスワードを入力するような形式となっている場合には、認証手段56は、操作表示部34により入力された操作者の識別番号およびパスワードに基づいて当該操作者の識別情報や権限等を認証する。また、別の例として、認証手段56として、操作者が所持するIDカード等の読み取りを行うカードリーダがカセット保管装置30に設けられていてもよい。この場合には、認証手段56は、カードリーダによりIDカード等から読み取られた情報に基づいて操作者の識別情報や権限等を認証するようになる。また、更に別の例として、認証手段56として、操作者の生体認証(具体的には、顔認証や静脈認証)を行うものが用いられてもよい。
次に、店舗のフロント領域12に設けられた貨幣釣銭機20の構成の詳細について図4を用いて簡単に説明する。図4に示すように、本実施の形態による貨幣釣銭機20は、上下に並ぶよう配置された硬貨処理装置24および包装硬貨収納装置26と、これらの硬貨処理装置24や包装硬貨収納装置26の隣に並ぶよう配置された紙幣処理装置22とを備えており、紙幣処理装置22や硬貨処理装置24の上方にはPOSレジスタ28が載置されるようになっている。紙幣処理装置22および硬貨処理装置24は、それぞれ、紙幣や硬貨の入出金処理を行うようになっている。また、包装硬貨収納装置26は、各金種の包装硬貨(同一金種の硬貨を一定枚数(例えば、20枚や50枚)だけ棒状にまとめてフィルムや包装紙等により包装したもの)を取り出し可能に収納するようになっている。また、紙幣や硬貨以外の媒体(例えば、商品券等)を包装硬貨収納装置26に収納することができるようになっている。また、POSレジスタ28は、貨幣釣銭機20の管理を行う管理装置として用いられるようになっている。
本実施の形態では、紙幣処理装置22には、紙幣収納カセット80が装着されるカセット装着部(図示せず)が設けられている。また、紙幣収納カセット80の側面には開口80b(図1参照)が設けられており、紙幣収納カセット80が紙幣処理装置22のカセット装着部に装着されているときに、紙幣処理装置22に設けられた搬送部(図示せず)から当該開口80bを介して紙幣が紙幣収納カセット80の内部に送られたり、紙幣収納カセット80に収納されている紙幣が開口80bを介して紙幣処理装置22の搬送部に繰り出されたりするようになっている。より詳細には、紙幣収納カセット80の内部には、当該紙幣収納カセット80に収納されている紙幣を開口80bから外部に繰り出す紙幣繰出機構が設けられている。また、紙幣収納カセット80が紙幣処理装置22のカセット装着部に装着されているときに、紙幣処理装置22側から紙幣収納カセット80の紙幣繰出機構に動力が伝達されるようになっている。このように、紙幣収納カセット80が紙幣処理装置22のカセット装着部から取り出された状態では当該紙幣収納カセット80に収納されている紙幣を外部に繰り出させることができないため、紙幣収納カセット80に収納されている紙幣のセキュリティ性を向上させることができる。なお、本実施の形態では、バックヤード領域14において特定の権限を有する操作者(具体的には、出納担当者60)のみが紙幣収納カセット80から紙幣を取り出して当該紙幣の精算を行うことができるようになっている。また、紙幣処理装置22には、カセット装着部に装着されている紙幣収納カセット80の記憶媒体80aから情報を読み取ったり当該記憶媒体80aに情報を書き込んだりするリーダライタ(図示せず)が設けられている。
同様に、硬貨処理装置24にも、硬貨収納カセット82が装着されるカセット装着部(図示せず)が設けられている。そして、硬貨収納カセット82が硬貨処理装置24のカセット装着部から取り出された状態では当該硬貨収納カセット82に収納されている硬貨を外部に繰り出させることができないようになっている。このことにより、硬貨収納カセット82に収納されている硬貨のセキュリティ性を向上させることができる。なお、本実施の形態では、バックヤード領域14において特定の権限を有する操作者(具体的には、出納担当者60)のみが硬貨収納カセット82から硬貨を取り出して当該硬貨の精算を行うことができるようになっている。また、硬貨処理装置24には、カセット装着部に装着されている硬貨収納カセット82の記憶媒体82aから情報を読み取ったり当該記憶媒体82aに情報を書き込んだりするリーダライタ(図示せず)が設けられている。
次に、店舗における貨幣等の運用方法について説明する。店舗の営業時間が終了すると、精算所で商品の精算業務を行っていたレジ担当者は貨幣釣銭機20から貨幣や貨幣以外の媒体(例えば、商品券等)を回収する。具体的には、レジ担当者は、紙幣収納カセット80を紙幣処理装置22のカセット装着部に装着することにより、紙幣処理装置22の内部に収納されている売上金としての紙幣を紙幣収納カセット80に収納させる。また、レジ担当者は、硬貨収納カセット82を硬貨処理装置24のカセット装着部に装着することにより、硬貨処理装置24の内部に収納されている売上金としての硬貨を硬貨収納カセット82に収納させる。また、紙幣処理装置22や硬貨処理装置24においてカセット装着部に装着されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に紙幣や硬貨が収納されると、収納された紙幣や硬貨に係る情報(具体的には、金種毎の枚数)等が紙幣処理装置22や硬貨処理装置24に設けられているリーダライタにより紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aに書き込まれるようになる。また、貨幣釣銭機20が設置されている精算所の識別番号や、レジ担当者の識別番号等の情報が紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aに書き込まれるようになっていてもよい。また、レジ担当者は、貨幣釣銭機20(具体的には、包装硬貨収納装置26)に収納されている、貨幣以外の媒体(例えば、商品券等)を手で取りだし、この取り出された媒体を媒体収納袋84に手で収納する。また、レジ担当者が貨幣釣銭機20から貨幣や貨幣以外の媒体を回収する際に、回収された貨幣等に関する情報がプリンタ等の印字部によりレシートに印字される。このような情報が印字されたレシートをジャーナルともいう。レジ担当者は、プリンタ等の印字部により印字されたレシートも媒体収納袋84に手で収納する。
フロント領域12において貨幣釣銭機20から貨幣や貨幣以外の媒体を回収したレジ担当者は、紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84をまとめてフロント領域12からバックヤード領域14に運搬する。そして、バックヤード領域14に出納担当者60がまだ残っていた場合にはこれらの紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84を出納担当者60に手渡す。このことにより、出納担当者60は、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82から紙幣や硬貨を取り出してこれらの紙幣や硬貨の精算を行うことができるようになる。また、この際に、出納担当者60は媒体収納袋84から貨幣以外の媒体を取り出して当該媒体の処理を行う。具体的には、出納担当者60により媒体収納袋84から商品券等の有価媒体が取り出された場合には、出納担当者60は有価媒体の精算を行う。一方、出納担当者60により媒体収納袋84からレシート(ジャーナル)が取り出された場合には、出納担当者60は、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82から取り出された紙幣や硬貨の金種毎の枚数と、レシートの印字内容とが一致するか否かを調べるようになる。
一方、レジ担当者による貨幣釣銭機20からの貨幣の回収作業は営業時間後に行われるため、紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84がバックヤード領域14に運搬された時刻が遅い場合には、出納担当者60が既に退社していることがある。この場合には、レジ担当者は紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84をそれぞれカセット保管装置30により保管させる。具体的には、レジ担当者は、ベースユニット30aや追加ユニット30bに設けられているカセット収容部32に紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を収容する。カセット収容部32に収容された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82はカセットロック機構44によりロックされるため、当該カセット収容部32から取り出すことができなくなる。また、カセット収容部32に収容された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aに記憶されている情報がリーダライタ42により読み取られ、この読み取られた情報が制御部50に送られる。また、レジ担当者は、媒体収納袋保管ユニット30cの袋投入部40に媒体収納袋84を投入する。このことにより、媒体収納袋84に投入された媒体収納袋84は袋収容部31に収容される。また、媒体収納袋84に投入された媒体収納袋84の識別部材84aにおける識別情報が読取部46により読み取られ、この読み取られた情報が制御部50に送られる。このことにより、制御部50は、ベースユニット30aや追加ユニット30bのカセット収容部32に収容されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に関する情報、および媒体収納袋保管ユニット30cの袋収容部31に収容されている媒体収納袋84に関する情報をそれぞれ管理することができるようになる。
また、本実施の形態のカセット保管装置30では、ベースユニット30aや追加ユニット30bのカセット収容部32に紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82が収容されると、各々のカセット収容部32に収容されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に関する情報が操作表示部34に表示されるようになる。具体的には、操作表示部34には、各カセット収容部32におけるカセット80、82の有無や、収容されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82が空状態(すなわち、紙幣や硬貨が収納されていない状態)であるか否かという情報が表示される。また、後述するように、各カセット収容部32に収容されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨について、出納担当者60によって精算が終了したものであるか否かという情報や、貨幣釣銭機20に補充されるべき釣銭準備金としての紙幣や硬貨であるか否かという情報が操作表示部34に表示されるようになっていてもよい。
そして、翌営業日に出納担当者60はカセット保管装置30から紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84を取り出してこれらの紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84に収納されている貨幣や貨幣以外の媒体の精算を行う。具体的には、出納担当者60はまず操作表示部34に識別番号およびパスワードを入力したりIDカード等をカードリーダに読み取らせたりすることによって、当該出納担当者60の識別情報および権限を認証手段56により認証させる。そして、認証手段56により認証された操作者の権限が所定の権限(ここでは、出納担当者)である場合には、制御部50はカセットロック機構44による各カセット80、82のロックを解除するとともに扉ロック機構49による扉48のロックを解除する。このことにより、出納担当者60は各カセット収容部32から紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を取り出すとともに扉48を開くことによって袋収容部31から媒体収納袋84を取り出すことができるようになる。このようにして、出納担当者60は紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84から紙幣、硬貨、貨幣以外の媒体を取り出してこれらの精算を行う。
また、出納担当者60は、営業時間の開始前に、貨幣釣銭機20において釣銭として用いられる紙幣や硬貨(釣銭準備金)を紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納する。その後、出納担当者60は各精算所に対応するレジ担当者に紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および空の媒体収納袋84を手渡す。そして、レジ担当者は、紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および空の媒体収納袋84をバックヤード領域14からフロント領域12に運搬する。その後、レジ担当者により紙幣収納カセット80が紙幣処理装置22のカセット装着部に装着されたり硬貨収納カセット82が硬貨処理装置24のカセット装着部に装着されたりすると、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が紙幣処理装置22や硬貨処理装置24に収納されるようになる。
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣処理システム10によれば、カセット保管装置30には、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82(貨幣収納カセット)に収納される紙幣や硬貨等の貨幣以外の媒体を収納する媒体収納袋84(媒体収納具)を保管する媒体収納具保管手段として媒体収納袋保管ユニット30cが設けられている。このことにより、貨幣収納カセットに収納される貨幣以外の媒体の処理をいつでも行うことができるようになり、よってカセット保管装置30の利便性を向上させることができる。より詳細に説明すると、従来のカセット保管装置では、貨幣収納カセットを保管することができるものの、貨幣以外の媒体を収納する媒体収納袋の保管を行うことができなかった。このため、営業時間後に貨幣釣銭機から硬貨や貨幣以外の媒体(例えば、商品券等)を回収したり、貨幣釣銭機のプリンタ等により印刷されたレシート(ジャーナル)をバックヤード領域で管理したりする場合には、レジ担当者は営業時間後に媒体収納袋に収納されている硬貨や貨幣以外の媒体の処理を行うようになり、出納担当者が夜遅くまで店舗に残らなければならないという問題があった。これに対し、本実施の形態の貨幣処理システム10によれば、貨幣以外の媒体を収納する媒体収納袋84を媒体収納袋保管ユニット30cに保管させることにより、翌営業日に媒体収納袋84に収納されている媒体の処理を行うことができるため、利便性の高いものとなる。
なお、本実施の形態の貨幣処理システム10において、硬貨収納カセット82が用いられず、紙幣収納カセット80のみが用いられる場合がある。この場合には、フロント領域12に設置されている貨幣釣銭機20からレジ担当者が貨幣等の回収を行う際に、紙幣については紙幣処理装置22のカセット装着部に紙幣収納カセット80を装着させることにより紙幣処理装置22から紙幣収納カセット80に収納させることができるが、硬貨については硬貨処理装置24の出金口に出金された硬貨をレジ担当者が当該出金口から手で取り出し、この取り出された硬貨を手で媒体収納袋84に収納させるようになる。その後、レジ担当者は紙幣収納カセット80および媒体収納袋84をまとめてフロント領域12からバックヤード領域14に運搬する。そして、バックヤード領域14に出納担当者60が不在の場合は、レジ担当者は紙幣収納カセット80をカセット保管装置30に保管させるとともに媒体収納袋84から硬貨を取り出し、この硬貨をベースユニット30aの硬貨投入部36に投入する。硬貨投入部36に投入された硬貨は硬貨計数部37により計数された後、硬貨集積部38に集積されるようになる。そして、レジ担当者は、硬貨が取り出された媒体収納袋84を媒体収納袋保管ユニット30cの袋収容部31に収容する。
本実施の形態のカセット保管装置30では、翌営業日に出納担当者60が識別情報および権限を認証手段56により認証させると、カセットロック機構44による紙幣収納カセット80のロックが解除されるとともに扉ロック機構49による扉48のロックが解除されることに加えて、硬貨集積部38の手前側に設けられているシャッタ(図示せず)が開くことにより当該出納担当者60は硬貨集積部38から硬貨を取り出すことができるようになっている。このことにより、出納担当者60は紙幣収納カセット80に収納されている紙幣や媒体収納袋84に収納されている商品券等の媒体に加えて、硬貨集積部38から取り出された硬貨の精算を行うことができるようになる。
なお、紙幣収納カセット80および媒体収納袋84をまとめてフロント領域12からバックヤード領域14に運搬したレジ担当者は、媒体収納袋84から硬貨を取り出して硬貨投入部36に投入する代わりに、硬貨が収納されている媒体収納袋84を媒体収納袋保管ユニット30cの袋収容部31に収容してもよい。この場合には、出納担当者60は、袋収容部31から媒体収納袋84を取り出した後、この媒体収納袋84から取り出された硬貨の精算を行うようになる。
以上のように、本実施の形態に係る貨幣処理システム10において貨幣収納カセットとして紙幣収納カセット80のみが用いられる場合には、すなわち貨幣収納カセットに収納される貨幣に硬貨が含まれない場合には、本発明に係る媒体収納具(具体的には、媒体収納袋84)には、貨幣収納カセットに収納される貨幣以外の媒体として、硬貨も収納されるようになる。すなわち、本発明においては、「貨幣収納カセットに収納される貨幣」とは、あくまで貨幣収納カセットに収納することができる種類の貨幣(ここでは、紙幣)のことをいい、「貨幣収納カセットに収納される貨幣以外の媒体」として貨幣収納カセットに収納することができない貨幣(ここでは、硬貨)が含まれる場合がある。同様に、本実施の形態に係る貨幣処理システム10において貨幣収納カセットとして硬貨収納カセット82のみが用いられる場合には、すなわち貨幣収納カセットに紙幣を収納することができない場合には、本発明に係る媒体収納具(具体的には、媒体収納袋84)には、貨幣収納カセットに収納される貨幣以外の媒体として、紙幣も収納されるようになる。また、本実施の形態では、貨幣収納カセットに収納される貨幣以外の媒体、すなわち本発明に係る媒体収納具に収納される媒体として、損券や損貨(すなわち、所定の損傷レベルよりも損傷している紙幣や硬貨)が含まれるようになっていてもよい。
また、上記の説明では、フロント領域12に設置される各貨幣釣銭機20およびバックヤード領域14に設置されるカセット保管装置30がローカルエリアネットワークにより通信可能に接続されるとともに、紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84にそれぞれ記憶媒体80a、82aや識別部材84aが設けられる場合について述べたが、このような態様に限定されることはない。変形例に係る貨幣処理システム10において、フロント領域12に設置される各貨幣釣銭機20およびバックヤード領域14に設置されるカセット保管装置30がローカルエリアネットワークにより通信可能に接続されるが、紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84に記憶媒体80a、82aや識別部材84aが設けられていなくてもよい。この場合には、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨の在高に係る情報はローカルエリアネットワークにより各貨幣釣銭機20からカセット保管装置30に送信されるようになる。また、この場合には、ベースユニット30aや追加ユニット30bのカセット収容部32には紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を検知するための検知センサ(図示せず)が設けられるようになり、カセット保管装置30のベースユニット30aや追加ユニット30bに対する紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の着脱は当該検知センサにより検知されるようになる。また、袋投入部40により袋収容部31に投入された媒体収納袋84を検知する光センサ等の検知センサが媒体収納袋保管ユニット30cに設けられるようになり、媒体収納袋保管ユニット30cへの媒体収納袋84の投入は当該検知センサにより検知されるようになる。一方、媒体収納袋保管ユニット30cからの媒体収納袋84の取り出しは扉48が開閉されたことに基づいてみなし判断が行われるようになる。
また、別の変形例に係る貨幣処理システム10において、紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84にそれぞれ記憶媒体80a、82aや識別部材84aが設けられるが、フロント領域12に設置される各貨幣釣銭機20およびバックヤード領域14に設置されるカセット保管装置30がローカルエリアネットワークにより通信可能に接続されないようになっていてもよい。この場合には、カセット保管装置30にタグリーダを設け、紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84にそれぞれ設けられたタグの情報をタグリーダによって読み取らせることにより、制御部50は、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨の在高に係る情報を取得するとともに、紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84がカセット保管装置30に戻されたと判断する。このようなタグリーダはベースユニット30aや追加ユニット30bの各カセット収容部32および媒体収納袋保管ユニット30cの袋収容部31にそれぞれ設けてもよいし、あるいはカセット保管装置30にタグリーダを1つだけ設けてもよい。後者の場合には、レジ担当者は、ベースユニット30aや追加ユニット30bの各カセット収容部32や媒体収納袋保管ユニット30cの袋収容部31に紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84を収容する前に、紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84に設けられているタグの情報をタグリーダにより読み取らせるようにする。
また、上記の説明では、フロント領域12に設置される各貨幣釣銭機20およびバックヤード領域14に設置されるカセット保管装置30の管理権限が全て店舗側にある場合について述べたが、このような態様に限定されることはない。変形例に係る貨幣処理システム10において、フロント領域12に設置される各貨幣釣銭機20の管理権限は店舗側であるが、バックヤード領域14に設置されるカセット保管装置30の管理権限が店舗側ではなく警送会社側となっていてもよい。ここで、警送会社とは、店舗から売上金としての貨幣を回収し、自社の管理センターに運搬したり、管理センターから釣銭補充金としての貨幣を店舗に運搬したりするような会社のことをいい、売上金としての貨幣が店舗から警送会社の管理センターに運搬されると、この貨幣の金額に相当する相当額が警送会社により立て替えられて店舗の銀行口座に振り込まれるようになる。また、売上金としての貨幣が店舗から警送会社の管理センターに運搬されて当該管理センターで計数される代わりに、カセット保管装置30と警送会社のサーバーとを通信可能に接続し、売上金としての貨幣に係る情報をカセット保管装置30から警送会社のサーバーに送信するようにしてもよい。この場合には、ベースユニット30aや追加ユニット30bのカセット収容部32に紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82が収容され、これらの紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨の在高に係る情報がリーダライタ42により紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aから読み取られた時点で、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨を警送会社のものとする。そして、売上金としての紙幣や硬貨が収納されている全ての紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82がカセット保管装置30に保管された時点で、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨の金額に相当する相当額が警送会社により立て替えられて店舗の銀行口座に振り込まれるようになる。
警送会社によりカセット保管装置30が管理される場合には、貨幣釣銭機20から回収された売上金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82、および貨幣以外の媒体が収納されている媒体収納袋84をレジ担当者がカセット保管装置30に保管した後、警送会社の収集担当者がカセット保管装置30から売上金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を取り出すようになる。より詳細に説明すると、貨幣釣銭機20の紙幣処理装置22や硬貨処理装置24に紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82が装着される際に、これらの紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納された紙幣や硬貨が売上金である旨の情報が各紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aに書き込まれる。また、制御部50は、認証手段56により認証された操作者の権限が警送会社の収集担当者である場合には、リーダライタ42により紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aから読み取られた情報に基づいて、カセットロック機構44による、売上金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82のロックのみを解除するよう制御を行う。このことにより、警送会社の収集担当者以外の操作者(例えば、レジ担当者や出納担当者60)は、売上金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82をカセット保管装置30から取り出すことができなくなる。そして、警送会社の収集担当者は、売上金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82をカセット保管装置30から取り出した後、これらの紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を警送会社の管理センターに運搬する。また、警送会社の収集担当者は、貨幣以外の媒体(例えば、商品券等)が収納される媒体収納袋84を媒体収納袋保管ユニット30cから回収して警送会社の管理センターに運搬してもよい。このことにより、店舗における売上金としての貨幣や貨幣以外の媒体が警送会社の収集担当者により回収されるようになる。
また、貨幣釣銭機20において、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aには、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数等に係る情報も書き込まれるため、警送会社の収集担当者は例えば管理センターにおいて紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82から実際に取り出された紙幣や硬貨の金種毎の枚数と記憶媒体80a、82aから読み取られた情報とが一致するか否かを比べることができるようになる。また、硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aから情報を読み取るハンディタイプの読取装置を警送会社の収集担当者が所持している場合には、当該収集担当者はカセット保管装置30から取り出された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている売上金としての紙幣や硬貨の情報(具体的には、収納されている紙幣や硬貨の金種毎の枚数)をすぐに確認することができるようになる。
また、警送会社の収集担当者は、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を予め自社の管理センターで準備しておき、店舗から売上金としての貨幣を回収する際に、このような釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を管理センターから店舗に運搬する。なお、この際に、警送会社の管理センターにおいて、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨が釣銭準備金である旨の情報が各紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aに書き込まれる。そして、売上金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を警送会社の収集担当者がカセット保管装置30から取り出す際に、この収集担当者は釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82をカセット保管装置30に保管させる。その後、レジ担当者がカセット保管装置30から釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を取り出し、この取り出された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82をバックヤード領域14からフロント領域12に運搬することにより貨幣釣銭機20の紙幣処理装置22や硬貨処理装置24に釣銭準備金としての紙幣や硬貨を補充する。具体的には、制御部50は、認証手段56により認証された操作者の権限がレジ担当者である場合には、リーダライタ42により紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aから読み取られた情報に基づいて、カセットロック機構44による、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82のロックのみを解除するよう制御を行う。この際に、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82がそれぞれカセット保管装置30に複数保管されている場合には、1つの紙幣収納カセット80および1つの硬貨収納カセット82のロックのみが解除されるようになる。このことにより、レジ担当者は、釣銭準備金としての紙幣が収納されている1つの紙幣収納カセット80および釣銭準備金としての硬貨が収納されている1つの硬貨収納カセット82のみをカセット保管装置30から取り出すことができるようになる。
また、制御部50は、認証手段56により認証された操作者の権限が出納担当者60である場合には、扉ロック機構49による扉48のロックのみを解除するようになっている。このことにより、出納担当者60は扉48を開くことによって袋収容部31から媒体収納袋84を取り出すことができるようになる。このようにして、出納担当者60は媒体収納袋84から貨幣以外の媒体を取り出してこの媒体の処理を行うことができるようになる。出納担当者60により貨幣以外の媒体が取り出された空の媒体収納袋84はレジ担当者によってフロント領域12に戻されるようになる。なお、他の例として、制御部50は、認証手段56により認証された操作者の権限が出納担当者60である場合には、扉ロック機構49による扉48のロックを解除することに加えて、カセットロック機構44による、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82のロックを解除するようになっていてもよい。この場合には、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82を出納担当者60がカセット保管装置30から取り出してこれらの紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨を確認した後にレジ担当者に渡すことができるようになる。
なお、本発明による貨幣処理システムは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、フロント領域12の各精算所に設置される貨幣釣銭機20に紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82が着脱自在に装着される代わりに、フロント領域12のセルフチェックアウトに設けられたセルフレジや電子マネーチャージ機に紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82が着脱自在に装着されるようになっていてもよい。この場合には、セルフチェックアウトに設けられたセルフレジや電子マネーチャージ機から回収された紙幣や硬貨が紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納された後、これらの紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82がカセット保管装置30により保管されるようになる。
また、貨幣収納カセットに収納される貨幣以外の媒体を収納する媒体収納具は媒体収納袋84に限定されることはない。媒体収納具として、袋以外のもの(例えば、プラスチックケース等)が用いられてもよい。この場合には、カセット保管装置には、このような袋以外の媒体収納具を保管する媒体収納具保管手段(例えば、プラスチックケース保管棚)が設けられるようになる。
また、本発明による貨幣処理システムとして図6に示すようなものが用いられてもよい。図6に示すような貨幣処理システム10aでは、店舗のバックヤード領域14においてカセット保管装置30に加えて貨幣入出金機70(具体的には、例えば出納機)が設置されている。ここで、バックヤード領域14に設置される貨幣入出金機70は、貨幣釣銭機20から回収された店舗の売上金としての貨幣の入金処理を行うことができるようになっている。また、貨幣釣銭機20において釣銭としての貨幣が不足する場合には、貨幣入出金機70から釣銭補充金としての貨幣を出金し、この貨幣入出金機70から出金された釣銭補充金としての貨幣を貨幣釣銭機20に補充することができるようになっている。また、図6に示すように、貨幣入出金機70はLAN16により各貨幣釣銭機20およびカセット保管装置30に通信可能に接続されている。
このような貨幣入出金機70の構成について図7および図8を用いて簡単に説明する。図7は、貨幣入出金機70の構成を示す斜視図であり、図8は、図7に示す貨幣入出金機70における制御系の構成を示す機能ブロック図である。図7に示すように、貨幣入出金機70は、紙幣の入金処理および出金処理を行う紙幣入出金装置72、硬貨の入金処理および出金処理を行う硬貨入出金装置74、および包装硬貨を収納する包装硬貨収納装置76を備えている。図7に示すように、紙幣入出金装置72および硬貨入出金装置74は貨幣入出金機70を手前側から見て左右に並ぶよう配置されており、これらの紙幣入出金装置72および硬貨入出金装置74の下方に包装硬貨収納装置76が配置されている。また、硬貨入出金装置74の上部にはタッチパネル等の操作表示部79aが設けられている。
また、図7に示す貨幣入出金機70において、紙幣入出金装置72には、紙幣収納カセット80が装着されるカセット装着部72a(図8参照)が設けられている。また、紙幣収納カセット80の側面には開口80b(図6参照)が設けられており、紙幣収納カセット80が紙幣入出金装置72のカセット装着部72aに装着されているときに、紙幣入出金装置72に設けられた搬送部(図示せず)から当該開口80bを介して紙幣が紙幣収納カセット80の内部に送られたり、紙幣収納カセット80に収納されている紙幣が開口80bを介して紙幣入出金装置72の搬送部に繰り出されたりするようになっている。また、紙幣入出金装置72には、カセット装着部72aに装着されている紙幣収納カセット80の記憶媒体80aから情報を読み取ったり当該記憶媒体80aに情報を書き込んだりするリーダライタ72b(図8参照)が設けられている。
また、硬貨入出金装置74には、硬貨収納カセット82が装着されるカセット装着部74a(図8参照)が設けられている。また、硬貨収納カセット82が硬貨入出金装置74のカセット装着部74aに装着されているときに、硬貨入出金装置74から硬貨が硬貨収納カセット82の内部に送られたり、硬貨収納カセット82に収納されている硬貨が硬貨入出金装置74の内部に送られたりするようになっている。また、硬貨入出金装置74には、カセット装着部74aに装着されている硬貨収納カセット82の記憶媒体82aから情報を読み取ったり当該記憶媒体82aに情報を書き込んだりするリーダライタ74b(図8参照)が設けられている。
次に、このような貨幣入出金機70における制御系の構成について図8を用いて説明する。図8に示すように、貨幣入出金機70にはCPU(中央演算処理ユニット)等の制御部78が設けられており、紙幣入出金装置72、硬貨入出金装置74および包装硬貨収納装置76がそれぞれ当該制御部78に接続されている。このことにより、リーダライタ72b、74bにより紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aから読み取られた情報は制御部50に送られるようになる。また、図8に示すように、制御部78には操作表示部79a、記憶部79b、通信インターフェース部79cおよび印字部79dがそれぞれ設けられている。操作表示部79aには、紙幣入出金装置72、硬貨入出金装置74に収納されている紙幣や硬貨の在高等に関する情報や、紙幣や硬貨の処理状況に係る情報等が表示されるようになっている。また、操作者は操作表示部79aにより貨幣入出金機70の制御部78に様々な指令を入力することができるようになっている。また、記憶部79bには、紙幣入出金装置72、硬貨入出金装置74に収納されている紙幣や硬貨の在高等に関する情報や、紙幣や硬貨の処理履歴に係る情報等が記憶されるようになっている。また、制御部78は通信インターフェース部79cにより外部装置と信号の送受信を行うことができるようになっている。具体的には、制御部78は通信インターフェース部79cによりLAN16を介して各貨幣釣銭機20やカセット保管装置30と様々な信号の送受信を行うようになっている。また、印字部79dは、紙幣入出金装置72、硬貨入出金装置74に収納されている紙幣や硬貨の在高等に関する情報や、紙幣や硬貨の処理履歴に係る情報等をレシートに印字するようになっている。
次に、図6乃至図8に示すような貨幣処理システム10aが設けられた店舗における貨幣等の運用方法について説明する。店舗の営業時間が終了すると、精算所で商品の精算業務を行っていたレジ担当者は貨幣釣銭機20から貨幣や貨幣以外の媒体(例えば、商品券等)を回収する。具体的には、レジ担当者は、紙幣収納カセット80を紙幣処理装置22のカセット装着部に装着することにより、紙幣処理装置22の内部に収納されている売上金としての紙幣を紙幣収納カセット80に収納させる。また、レジ担当者は、硬貨収納カセット82を硬貨処理装置24のカセット装着部に装着することにより、硬貨処理装置24の内部に収納されている売上金としての硬貨を硬貨収納カセット82に収納させる。また、紙幣処理装置22や硬貨処理装置24においてカセット装着部に装着されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に紙幣や硬貨が収納されると、収納された紙幣や硬貨に係る情報(具体的には、金種毎の枚数)等が紙幣処理装置22や硬貨処理装置24に設けられているリーダライタにより紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aに書き込まれるようになる。また、貨幣釣銭機20が設置されている精算所の識別番号や、レジ担当者の識別番号が紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aに書き込まれるようになっていてもよい。また、レジ担当者は、貨幣釣銭機20(具体的には、包装硬貨収納装置26)に収納されている紙幣や硬貨以外の媒体(例えば、商品券等)を手で取りだし、この取り出された媒体を媒体収納袋84に手で収納する。また、レジ担当者が貨幣釣銭機20から貨幣や貨幣以外の媒体を回収する際に、回収された貨幣等に関する情報がプリンタ等の印字部によりレシートに印字される。レジ担当者は、プリンタ等の印字部により印字されたレシートも媒体収納袋84に手で収納する。
フロント領域12において貨幣釣銭機20から貨幣や貨幣以外の媒体を回収したレジ担当者は、紙幣収納カセット80、硬貨収納カセット82および媒体収納袋84をまとめてフロント領域12からバックヤード領域14に運搬する。ここで、図6等に示すような貨幣処理システム10aでは、バックヤード領域14に運搬された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨を当日に貨幣入出金機70に入金するか翌日に貨幣入出金機70に入金するかを選択することができるようになっている。紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨を当日に貨幣入出金機70に入金する場合には、レジ担当者は紙幣収納カセット80を貨幣入出金機70の紙幣入出金装置72におけるカセット装着部72aに装着することにより、紙幣収納カセット80に収納されている売上金としての紙幣を紙幣入出金装置72に入金する。また、紙幣収納カセット80の記憶媒体80aに記憶されている情報がリーダライタ72bにより読み取られる。このことにより、紙幣収納カセット80に収納されていた売上金としての紙幣の情報(具体的には、紙幣の金種毎の枚数)が貨幣入出金機70の制御部78により管理されるようになる。また、レジ担当者は硬貨収納カセット82を貨幣入出金機70の硬貨入出金装置74におけるカセット装着部74aに装着することにより、硬貨収納カセット82に収納されている売上金としての硬貨を硬貨入出金装置74に入金する。また、硬貨収納カセット82の記憶媒体82aに記憶されている情報がリーダライタ74bにより読み取られる。このことにより、硬貨収納カセット82に収納されていた売上金としての硬貨の情報(具体的には、硬貨の金種毎の枚数)が貨幣入出金機70の制御部78により管理されるようになる。
また、制御部78は、カセット装着部72a、74aに装着された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の処理状態に係る情報を出力する。すなわち、制御部78は、貨幣入出金機70の紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74に装着された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の処理状態に係る情報を出力する出力手段として機能する。制御部78により出力された情報は、リーダライタ72b、74bにより紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aに書き込まれる。具体的には、制御部78は、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の処理状態として、当該紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨の精算が終了したか否かに係る情報を出力し、この出力された情報をリーダライタ72b、74bにより記憶媒体80a、82aに書き込む。ここで、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている売上金としての紙幣や硬貨が全て紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74に入金された場合には、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨の精算が終了したと判断されるようになっている。この場合には、収納されている紙幣や硬貨の精算が終了した旨の情報がリーダライタ72b、74bにより記憶媒体80a、82aに書き込まれる。あるいは、制御部78は、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の処理状態として、当該紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨の情報(具体的には、紙幣や硬貨の金種毎の枚数)を出力し、この出力された情報をリーダライタ72b、74bにより記憶媒体80a、82aに書き込むようになっていてもよい。その後、紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74に紙幣や硬貨を収納させることにより空状態となった紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82をレジ担当者はカセット保管装置30により保管させる。また、レジ担当者はフロント領域12からバックヤード領域14に運搬された媒体収納袋84もカセット保管装置30により保管させる。
一方、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨を翌日に貨幣入出金機70に入金する場合には、レジ担当者は、フロント領域12からバックヤード領域14に運搬された、売上金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82(すなわち、収納されている紙幣や硬貨の精算が終了していない紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82)をカセット保管装置30により保管させる。ここで、カセット収容部32に収容された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aに記憶されている情報がリーダライタ42により読み取られ、この読み取られた情報が制御部50に送られる。このことにより、制御部50は、カセット収容部32に収容された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の処理状態を識別することができるようになる。そして、制御部50により識別された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の処理状態は操作表示部34に表示される。具体的には、操作表示部34には、カセット収容部32に収容されている各カセット80、82について、収納されている紙幣や硬貨の精算が終了しているか否かという情報(あるいは、空状態であるか否かという情報)が表示される。また、レジ担当者はフロント領域12からバックヤード領域14に運搬された媒体収納袋84もカセット保管装置30により保管させる。
図6等に示す貨幣処理システム10aでは、認証手段56により認証された操作者の権限がレジ担当者である場合でも、制御部50はカセットロック機構44によるレジ担当者自身が担当する貨幣釣銭機20に対応する各カセット80、82のロックを解除するようになっている。このことにより、貨幣釣銭機20に釣銭準備金としての貨幣を補充しようとするレジ担当者は、まずカセット保管装置30から紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を取り出す。ここで、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82が空状態である場合には(すなわち、売上金としての紙幣や硬貨が既に紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74に入金されている場合には)、レジ担当者はこのような紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74のカセット装着部72a、74aに装着させる。このことにより、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74から紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されるようになる。また、カセット保管装置30から取り出された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に売上金としての紙幣や硬貨がまだ収納されている場合にも、レジ担当者はこのような紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74のカセット装着部72a、74aに装着させる。この場合には、まず、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている売上金としての紙幣や硬貨が紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74に入金される。その後、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74から紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されるようになる。そして、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されると、レジ担当者は紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82をバックヤード領域14からフロント領域12に運搬する。その後、レジ担当者により紙幣収納カセット80が紙幣処理装置22のカセット装着部に装着されたり硬貨収納カセット82が硬貨処理装置24のカセット装着部に装着されたりすると、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が紙幣処理装置22や硬貨処理装置24に収納されるようになる。
また、図6等に示すような貨幣処理システム10aでは、カセット保管装置30に紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82を保管させる前にこれらの紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されている紙幣や硬貨を紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74に入金する場合において、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82から紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74に紙幣や硬貨が入金された後、引き続き釣銭準備金としての紙幣や硬貨が紙幣入出金装置72や硬貨入出金装置74から紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に収納されるような運用が行われてもよい。この場合には、制御部78は、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の処理状態として、当該紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納されている旨の情報を出力し、この出力された情報がリーダライタ72b、74bにより記憶媒体80a、82aに書き込まれる。また、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82がカセット保管装置30に保管されると、リーダライタ42により紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82の記憶媒体80a、82aから読み取られた情報に基づいて、カセット収容部32に収容されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82に釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納されている旨の情報が操作表示部34に表示されるようになる。この場合には、貨幣釣銭機20に釣銭準備金としての貨幣を補充しようとするレジ担当者は、釣銭準備金としての紙幣や硬貨が収納されている紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82をカセット保管装置30から取り出した後、貨幣入出金機70を経由することなくそのままカセット保管装置30から取り出された紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82をバックヤード領域14からフロント領域12に運搬し、貨幣釣銭機20の紙幣処理装置22や硬貨処理装置24に装着させることにより釣銭準備金としての紙幣や硬貨の補充を行うことができるようになる。
また、本実施の形態では、貨幣釣銭機20の包装硬貨収納装置26に、図9に示すような媒体収納カセット86が着脱自在に取り付けられるようになっていてもよい。このような媒体収納カセット86には、包装硬貨以外の媒体(例えば、商品券やレシート等の紙葉類)が収納されるようになっている。具体的には、媒体収納カセット86の前面には開口86bが設けられており、媒体収納カセット86が貨幣釣銭機20の包装硬貨収納装置26に装着されているときに、この媒体収納カセット86の開口86bが包装硬貨収納装置26の手前側に露出するようになっている。この場合には、媒体収納カセット86が貨幣釣銭機20の包装硬貨収納装置26に装着されているときでも、操作者は商品券やレシート等の紙葉類を開口86bに投入することにより媒体収納カセット86の内部に収納させることができるようになる。なお、図9の上下方向における開口86bの長さは、包装硬貨を通過させることができないような大きさとなっている。このことにより、媒体収納カセット86に包装硬貨が誤って収納されてしまうことを防止することができるようになる。また、媒体収納カセット86は、紙幣収納カセット80や硬貨収納カセット82と略同一の大きさの略直方体形状のケーシングを有している。このことにより、カセット保管装置30のカセット収容部32に媒体収納カセット86も収容させることができるようになる。
また、媒体収納カセット86には、ICタグ等の記憶媒体86aが設けられていてもよい。この場合には、貨幣釣銭機20の包装硬貨収納装置26に媒体収納カセット86が装着されているときに当該媒体収納カセット86の記憶媒体86aから情報を読み取ったり当該記憶媒体86aに情報を書き込んだりするリーダライタ(図示せず)が包装硬貨収納装置26に設けられることが好ましい。このことにより、操作者が貨幣釣銭機20の操作表示部やPOSレジスタ28によって媒体収納カセット86に収納された商品券等の媒体の情報を入力することにより、当該情報をリーダライタによって媒体収納カセット86の記憶媒体86aに書き込むことができるようになる。また、カセット保管装置30のカセット収容部32に媒体収納カセット86が収容されたときに、この媒体収納カセット86の記憶媒体86aに記憶されている情報をリーダライタ42が読み取ることにより、カセット保管装置30の制御部50は媒体収納カセット86に収納されている媒体に関する情報を管理することができるようになる。