まず、本実施例1に係る貨幣管理システムにおける釣銭補充及び売上回収について説明する。図1は、実施例1に係る貨幣管理システムにおける釣銭補充及び売上回収について説明するための説明図である。
図1(a)に示すように、釣銭機10、POS端末20及び電子マネー端末30はレジコーナーに設置され、互いに通信可能に接続されている。POS端末20は、商品の会計が行なわれた場合に、商品の種類、商品の数、商品の合計会計額、預り金額及び釣銭額を含む会計データを記憶するとともに、釣銭機10に対して入出金指示を送信する。この入出金指示には、預り金の合計金額と商品の購入合計金額が含まれ、差分を釣銭機10から出金する。但し、釣銭機10に入金された金額を預り金の合計金額として用いるモードでは、入出金指示は預り金の合計金額を含まない。
電子マネー端末30は、商品の会計を電子マネーにより行う場合に、かざされたカードや携帯端末と近距離無線通信し、指定された電子マネーの残高を減算することで決済を行う端末である。このとき、電子マネー端末30は、図示しないセンターサーバと通信して決済を行う。
釣銭機10は、貨幣(硬貨及び紙幣)を受け入れて金種別に収納するとともに、所定の金種及び枚数の貨幣を払い出す装置である。店員は、商品の会計が行なわれた場合に、預り金をこの釣銭機10に入金処理し、釣銭を釣銭機10から出金処理する。また、釣銭機10は、入出金処理を行った場合に在高データを更新する。在高データは、釣銭機10の内部に所在する貨幣の金種毎の数を示すデータである。
釣銭機10内部に所在する貨幣は、釣銭として使用されるため、釣銭準備金としてある程度の在高を保つことが必要である。在高が所定以下に減少し、釣銭準備金が不足しそうになると、店員は釣銭補充を行う。
釣銭補充を行う場合には、まず、店員は、図1(a)に示すように、POS端末20に対して釣銭補充操作を行う(1)。POS端末20は、釣銭補充操作を受け付けると、釣銭機10に対して釣銭補充操作の受付を通知する。釣銭機10は、釣銭補充操作の受付を通知されたならば、現在の在高を元に補充すべき金種と、その枚数とを示す釣銭補充データを生成する。この釣銭補充データには、少なくとも、補充する金種及び数の他、釣銭機10が設置されたレジを特定するためのレジIDと、釣銭補充を行うことを示す処理区分とが含まれる。
釣銭機10は、生成した釣銭補充データを電子マネー端末30に送信する(2)。電子マネー端末30は、店員によりICカード40がかざされたならば、このICカード40に釣銭補充データを書き込む(3)。店員がかざすICカード40は、店員に個別に付与された店員カードとすることが好適である。店員カードには、店員を識別するための店員IDが予め書き込まれているので、店員カードを使用することにより、補充処理を行う店員を特定できるためである。
店員は、釣銭補充データが書き込まれたICカード40を携行し、出納室等のバックヤードに設置される入出金機50まで移動する。入出金機50は、主に店舗に設置された各釣銭機10に補充するための貨幣の収納と、各釣銭機10から回収した貨幣の収納とを行なう装置である。この入出金機50には、リーダライタ60が接続されている。
店員がICカード40をリーダライタ60にかざすと、リーダライタ60はICカード40から釣銭補充データを読み取る(4)。入出金機50は、リーダライタ60により釣銭補充データ、すなわち、処理区分が「釣銭補充」であるデータが読み取られたならば、釣銭補充データに示された金種及び数の貨幣を釣銭準備金として出金処理する(5)。
店員は、入出金機50により出金処理された貨幣を釣銭機10まで携行し、釣銭機10に入金処理する(6)ことで、釣銭の補充を行う。
次に、売上回収を行う場合について説明する。売上回収を行う場合には、まず、店員は、図1(b)に示すように、POS端末20に対して売上回収操作を行う(1)。POS端末20は、売上回収操作を受け付けると、釣銭機10に対して売上回収操作の受付を通知する。
釣銭機10は、売上回収操作の受付を通知されたならば、内部に所在する貨幣を回収カセットに移動させ、回収カセットを取外す(2)。なお、内部に所在する貨幣のうち、紙幣のみを回収カセット70に移動させ、硬貨は硬貨払出口等へ払い出すこととしてもよい。また、貨幣の一部を翌日の釣銭準備金として機内に残置することとしてもよい。
釣銭機10は、回収カセット70に移動させた貨幣の金種と、その枚数とを示す回収金データを生成する。この回収金データには、回収する金種及び数の他、釣銭機10が設置されたレジを特定するためのレジIDと、売上回収を行うことを示す処理区分とが含まれる。なお、紙幣のみを回収カセット70に移動させ、硬貨は払い出すこととした場合であっても、回収金データには、紙幣と硬貨の双方について金種及び数を持たせることが好適である。
釣銭機10は、生成した回収金データを電子マネー端末30に送信する(3)。電子マネー端末30は、店員により回収カセット70がかざされたならば、回収カセット70に付されたICチップ80に回収金データを書き込む(4)。なお、釣銭補充の場合と同様に、ICカード40を用いてもよい。
店員は、回収カセット70を携行し、入出金機50まで移動する。店員が回収カセット70のICチップ80をリーダライタ60にかざすと、リーダライタ60はICチップ80から回収金データを読み取る(5)。また、入出金機50は、回収カセット70から取り出された回収金の入金を受け付ける(6)。ここで、回収カセット70に移動されず、払い出された硬貨がある場合には、硬貨の入金も受け付ける。入出金機50は、回収金データに示された金種及び数と、実際に入金された貨幣の金種及び数とを比較することにより、回収が適正に行われたかを判定することができる。
このように、実施例1に係る貨幣管理システムでは、釣銭の補充や売上の回収を行う際に、釣銭機10が入出金される貨幣の金種及び数を示すデータを生成し、ICカード40やICチップ80に書き込む。そして、入出金機50がICカード40やICチップ80から入出金される貨幣の金種及び数を読み取る。このため、店員は、入出金する貨幣の金種や数を確認し、記入し、入力するといった作業を行う必要がなくなり、作業負担が軽減されるとともに、ミスや不正の発生を防止することができる。
また、釣銭機10は、入出金される貨幣の金種及び数を示すデータの書込を電子マネー端末30に行わせるため、自装置にリーダライタを持つ必要が無い。
次に、図1に示した釣銭機10の外観構成について説明する。図2は、図1に示した釣銭機10の外観構成を示す外観構成図である。図2に示すように、釣銭機10には、POS端末20等を設置可能となるように上面にスペースを設け、店員操作側である前面及びその近傍に、表示操作部11、紙幣投入口14a、紙幣払出口14b、硬貨投入口12a及び硬貨払出口12bを設けている。また、釣銭機10の下部には、棒金ドロア13を設けている。
次に、図1に示した釣銭機10の内部構成について説明する。図3は、図1に示した釣銭機10の内部構成を示すブロック図である。図3に示すように、釣銭機10は、表示操作部11、硬貨処理ユニット12、棒金ドロア13、紙幣処理ユニット14、回収カセット部15、通信部16、記憶部17及び制御部18を有する。
表示操作部11は、タッチパネルディスプレイ、インジケータ、ボタン等の入出力装置である。表示操作部11は、金種別の在高等のデータ情報や各種メッセージを表示可能である。
硬貨処理ユニット12は、硬貨投入口12aに投入された硬貨を受入れて識別し、金種別に収納するとともに、制御部18から指定された金種及び枚数の硬貨を硬貨払出口12bから払い出す。棒金ドロア13は、硬貨を所定枚数重ねて包装した棒金を金種別に収納するとともに、取出し(出金)可能となっている。紙幣処理ユニット14は、紙幣投入口14aに投入された紙幣を受入れて識別し、金種別に収納するとともに、制御部18から指定された金種及び枚数の紙幣を繰出して紙幣払出口14bから払い出したり、回収カセットへ移動させる。
硬貨処理ユニット12、棒金ドロア13及び紙幣処理ユニット14には、開店前に予め釣銭準備金として所定数の貨幣が金種別に収納されている。商品の会計時に顧客が硬貨を支払いに用いたならば、該硬貨は硬貨処理ユニット12に入金処理される。また、商品の会計時に釣銭として硬貨を払い出す場合には、該硬貨は硬貨処理ユニット12から出金処理される。釣銭として払い出すことで硬貨が少なくなり、同一金種の棒金が棒金ドロア13に収納されているならば、棒金ドロア13から棒金を取り出して、包装を解いて硬貨処理ユニット12に入金処理する。
硬貨を回収する場合には、回収分の硬貨は硬貨処理ユニット12から出金処理され、容器等に回収される。また、硬貨を補充する場合には、補充分の硬貨が棒金であるならば棒金ドロア13に装填され、補充分の硬貨が棒金でなければ硬貨処理ユニット12に入金処理され、金種別に収納される。
また、商品の会計時に顧客が紙幣を支払いに用いたならば、該紙幣は紙幣処理ユニット14に入金処理される。また、商品の会計時に釣銭として紙幣を払い出す場合には、該紙幣は紙幣処理ユニット14から出金処理される。
回収カセット部15は、回収カセット70を収納する収納部である。釣銭機10から紙幣を回収する場合には、回収分の紙幣を回収カセット70に集め、該回収カセット70の取り外しを行なう。紙幣を補充する場合には、補充分の紙幣を紙幣投入口14aに投入すると、識別されて金種別に収納される。
通信部16は、POS端末20及び電子マネー端末30との通信を行うためのインターフェース部である。商品の会計が行われた場合には、POS端末20からの入出金指示を通信部16が受信する。また、POS端末20からの釣銭補充操作受付通知及び売上回収操作受付通知も、通信部16が受信する。そして、釣銭補充データ及び回収金データは、通信部16が電子マネー端末30に送信する。
記憶部17は、ハードディスク装置や不揮発性メモリなどからなる記憶デバイスである。記憶部17には、入出金履歴データ17aと、在高データ17bと、レジID17cと、釣銭準備金データ17dとが記憶される。
入出金履歴データ17aは、釣銭機10の入出金の履歴を示すデータである。在高データ17bは、金種別の在高を示すデータである。レジID17cは、釣銭機10が設置されたレジを特定する識別情報である。釣銭準備金データ17dは、釣銭機10に釣銭準備金として残しておくべき金種及び数を示すデータである。
制御部18は、釣銭機10の全体制御を行う制御部であり、入出金処理部18a、釣銭補充処理部18b及び売上回収処理部18cを有する。入出金処理部18aは、釣銭機10の入出金を管理する処理部である。
入出金処理部18aは、POS端末20からの入出金指示を受信した場合に、該入出金指示を入出金履歴データ17aに追加して格納するとともに、硬貨処理ユニット12及び紙幣処理ユニット14に入出金処理を行なわせる。また、入出金処理部18aは、入出金処理に応じて在高データ17bを更新する。具体的には、入金処理が行なわれた場合には、入金処理された金種に対し、入金処理された数を加算して、在高データ17bを更新する。そして、出金処理が行なわれた場合には、出金処理された金種に対し、出金処理された数を減算して、在高データ17bを更新する。
釣銭補充処理部18bは、POS端末20から釣銭補充操作の受付を通知された場合には、在高データ17bに示された各金種の枚数と、釣銭準備金データ17dに示された各金種の枚数とを比較する。釣銭補充処理部18bは、釣銭準備金に満たない金種と、その差分の枚数と、レジID17cとを含む釣銭補充データを生成する。このとき、処理区分を「釣銭補充」とする。釣銭補充処理部18bは、生成した釣銭補充データを電子マネー端末30に送信し、ICカード40に書き込ませる。
また、釣銭補充処理部18bは、釣銭補充入金が行われた場合には、釣銭補充入金の内容を入出金履歴データ17aに追加して格納するとともに、入金処理された金種に対し、入金処理された数を加算して、在高データ17bを更新する。
売上回収処理部18cは、POS端末20から売上回収操作の受付を通知された場合には、紙幣処理ユニット14内に所在する紙幣を回収カセット70に移動させる。また、硬貨処理ユニット12内に所在する硬貨を硬貨払出口12bから払い出す。売上回収処理部18cは、回収カセット70に移動させた紙幣、並びに硬貨払出口12bから払い出した硬貨について、その金種及び枚数を回収金とし、入出金履歴データ17aに追加して格納するとともに、出金処理された金種に対し、出金処理された数を減算して、在高データ17bを更新する。このとき、機内に所在する全ての貨幣を回収する場合(全額回収)と、一部の貨幣を釣銭準備金として残値して残りを回収する場合(残値回収)とがある。どちらを実行するかは、予め設定されていたり、操作時に選択されたりする。
そして、売上回収処理部18cは、回収金の金種及び枚数と、レジID17cとを含む回収金データを生成する。このとき、処理区分を「売上回収」とする。釣銭補充処理部18bは、生成した回収金データを電子マネー端末30に送信し、回収カセット70に書き込ませる。
次に、図1に示した電子マネー端末30の構成について説明する。図4は、図1に示した電子マネー端末30の構成を示すブロック図である。図4に示すように、電子マネー端末30は、通信部31、ICリーダライタ32、表示部33、操作部34及び制御部35を有する。
通信部31は、POS端末20及びセンターサーバとの通信を行うためのインターフェース部である。ICリーダライタ32は、ICカード40、客が電子マネー決済に用いるICカード又は携帯端末、回収カセット70のICチップ80等がかざされた場合に、データの読み書きを行う装置である。
表示部33は、ICリーダライタ32の状態等を表示するディスプレイやインジケータ等である。操作部34は、電子マネー端末30に対する操作入力を受け付けるボタン等である。
制御部35は、電子マネー端末30を全体制御する処理部であり、決済処理部35a及び決済外処理部35bを有する。決済処理部35aは、電子マネーによる商品の会計を行う処理部である。具体的には、決済処理部35aは、ICリーダライタ32にかざされた
ICカード又は携帯端末に関連づけられた電子マネー残高から、商品代金分を減算することで決済を行う。この決済時には、必要に応じてセンターサーバとの通信を行う。
決済外処理部35bは、釣銭補充や売上回収など、決済以外に関するデータ処理を行う処理部である。具体的は、決済外処理部35bは、釣銭補充データのICカード40への書込と、回収金データのICチップ80への書込とを行う。
次に、図1に示した入出金機50の構成について説明する。図5は、図1に示した入出金機50の構成を示すブロック図である。図5に示すように、入出金機50は、カセット受付ユニット90が設置され、リーダライタ60と接続されている。
カセット受付ユニット90は、回収カセット70を受け付けて、回収カセット70の解錠を行うユニットである。リーダライタ60は任意の位置に設けることができるが、カセット受付ユニット90が回収カセット70を受け付けた状態で、回収カセット70に付されたICチップ80からデータを読取り可能な位置に設けることが好適である。また、ICカード40からデータを読み取るためのリーダライタ60と、回収カセット70からデータを読み取るためのリーダライタ60とを個別に設けてもよい。
入出金機50は、その内部に表示操作部51、硬貨処理ユニット52、棒金処理ユニット53、紙幣処理ユニット54、記憶部56及び制御部57を有する。
表示操作部51は、タッチパネルディスプレイ等の入出力装置である。表示操作部51は、金種別の在高を表示可能である。また、表示操作部51は、入出金機50への補充のための入金操作の受付、並びに入出金機50からの回収のための出金操作の受付を行なう。
硬貨処理ユニット52は、硬貨を金種別に収納するとともに、指示された金種・枚数の硬貨を払い出す硬貨リサイクル部と、硬貨を回収する硬貨回収部を備えている。棒金処理ユニット53は、硬貨を所定枚数重ねて包装した棒金を金種別に収納する収納部である。紙幣処理ユニット54は、紙幣を金種別に収納するとともに、指示された金種・枚数の紙幣を払い出す紙幣リサイクル部と、紙幣を回収する紙幣回収部を備えている。
硬貨処理ユニット52、棒金処理ユニット53及び紙幣処理ユニット54には、開店前に予め補充準備金として所定数の貨幣が金種別に収納されている。釣銭機10に硬貨を補充する場合には、補充分の硬貨は硬貨処理ユニット52又は棒金処理ユニット53から出金処理される。また、釣銭機10から回収した硬貨は、硬貨処理ユニット52に入金処理される。
また、釣銭機10に紙幣を補充する場合には、補充分の紙幣は紙幣処理ユニット54から出金処理される。また、釣銭機10から回収した紙幣は、補充分の紙幣は紙幣処理ユニット54に入金処理される。
記憶部56は、ハードディスク装置や不揮発性メモリなどからなる記憶デバイスである。記憶部56には、入出金履歴データ56aと、在高データ56bとが記憶される。入出金履歴データ56aは、入出金機50の入出金の履歴を示すデータである。在高データ56bは、入出金機50の金種別の在高を示すデータである。
制御部57は、入出金機50の全体制御を行う制御部であり、入出金処理部57a及び在高管理部57bを有する。入出金処理部57aは、入出金機50の入出金を管理する処理部である。
入出金処理部57aは、リーダライタ60がICカード40又はICチップ80からデータを読み取った場合に、読み取ったデータの処理区分が「釣銭補充」である、すなわち読み取ったデータが釣銭補充データである場合には、釣銭補充データを入出金履歴データ56aに追加して格納するとともに、硬貨処理ユニット52、棒金処理ユニット53及び紙幣処理ユニット54に出金処理を行なわせる。このとき、リーダライタ60は、ICカード40又はICチップ80のICチップのデータを更新する(例えば、「出金済み」の情報を付加する)。
また、入出金処理部57aは、リーダライタ60がICカード40又はICチップ80からデータを読み取った場合に、読み取ったデータの処理区分が「売上回収」である、すなわち読み取ったデータが回収金データである場合には、回収金データを入出金履歴データ56aに追加して格納するとともに、硬貨処理ユニット52、棒金処理ユニット53及び紙幣処理ユニット54に入金処理を行なわせる。ここで、入金処理を行った貨幣の金種及び数と、回収金データに示された金種及び数とが一致すれば、売上回収処理が完了し、図示されないプリンタから明細レシートを発行するとともに、リーダライタ60がICチップのデータを更新する(例えば、「回収済み」の情報を付加する)。一方、一致しない場合は、エラー報知を行う。エラー報知としては、レジIDや一致しない金種及び数等の情報を表示操作部51に表示する等の手法がとられる。
在高管理部57bは、入出金処理部57aにより行なわれた入出金処理に応じて在高データ56bを更新する処理部である。具体的には、入金処理が行なわれた場合には、入金処理された金種に対し、入金処理された数を加算して、在高データ56bを更新する。そして、出金処理が行なわれた場合には、出金処理された金種に対し、出金処理された数を減算して、在高データ56bを更新する。
次に、釣銭機10による釣銭補充及び売上回収の処理手順について説明する。図6は、釣銭機10による釣銭補充及び売上回収の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、まず、釣銭補充処理部18bは、POS端末20が釣銭補充操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。
POS端末20が釣銭補充操作を受け付けたならば(ステップS101;Yes)、釣銭補充処理部18bは、在高データ17bに示された各金種の枚数と、釣銭準備金データ17dに示された各金種の枚数とを比較し、釣銭準備金に満たない金種と、その差分の枚数とを釣銭準備金の補充分として算出する(ステップS102)。
釣銭補充処理部18bは、算出した釣銭準備金の補充分と、レジID17cとを含み、処理区分が「釣銭補充」である釣銭補充データを生成する(ステップS103)。そして、釣銭補充処理部18bは、生成した釣銭補充データを電子マネー端末30に送信する(ステップS104)。
ステップS104の後、又はPOS端末20が釣銭補充操作を受け付けていない場合(ステップS101;No)、売上回収処理部18cは、POS端末20が売上回収操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS105)。POS端末20が売上回収操作を受け付けていなければ(ステップS105;No)、釣銭機10は、釣銭補充及び売上回収の処理を終了する。
POS端末20が売上回収操作を受け付けたならば(ステップS105;Yes)、売上回収処理部18cは、紙幣処理ユニット14内に所在する紙幣を回収カセット70に移動させる(ステップS106)。このとき、必要であれば、硬貨処理ユニット12内に所在する硬貨を硬貨払出口12bから払い出す。また、このとき、全額回収か残置回収のいずれかを実行する。
売上回収処理部18cは、回収カセット70に移動させた紙幣、並びに硬貨払出口12bから払い出した硬貨について、その合計金額や金種毎の枚数等を回収金情報として算出する(ステップS107)。
売上回収処理部18cは、算出された回収金情報と、レジID17cとを含み、処理区分が「売上回収」である回収金データを生成する(ステップS108)。そして、売上回収処理部18cは、生成した回収金データを電子マネー端末30に送信して(ステップS109)、回収カセットが取外されると(ステップS110)、処理を終了する。なお、営業途中に売上金の回収が行われた場合は、代わりの回収カセットが取り付けられて営業を継続する。
次に、入出金機50による釣銭補充及び売上回収の処理手順について説明する。図7は、入出金機50による釣銭補充及び売上回収の処理手順を示すフローチャートである。図7に示す処理手順は、リーダライタ60がICカード40又はICチップ80からデータを読み取った場合に開始する。
入出金処理部57aは、まず、リーダライタ60が読み取ったデータの処理区分が「釣銭補充」である、すなわち、リーダライタ60が読み取ったデータが釣銭補充データであるか否かを判定する(ステップS201)。
読み取ったデータが釣銭補充データならば(ステップS201;Yes)、入出金処理部57aは、釣銭補充データを入出金履歴データ56aに追加し、在高管理部57bは、在高データ56bを更新する(ステップS202)。その後、入出金処理部57aは、釣銭補充データに示された金種及び枚数を釣銭準備金として出金処理を行って(ステップS203)、ICカード40又はICチップ80のデータを更新し(ステップS212)、処理を終了する。
リーダライタ60が読み取ったデータの処理区分が「釣銭補充」でなければ(ステップS201;No)、入出金処理部57aは、処理区分が「売上回収」である、すなわち、リーダライタ60が読み取ったデータが回収金データであるか否かを判定する(ステップS204)。処理区分が「売上回収」でもない場合には(ステップS204;No)、入出金処理部57aは、不明なデータを読み取ったことを示すエラー報知を行い(ステップS211)、処理を終了する。
読み取ったデータが回収金データであるならば(ステップS204;Yes)、入出金処理部57aは、回収金の入金を受け付ける(ステップS205)。そして、入出金処理部57aは、入金された貨幣の金種及び数が、回収金データに示された金種及び数と一致するか否かを判定する(ステップS206)。
入出金処理部57aは、入金された貨幣の金種及び数が、回収金データに示された金種及び数と一致しなければ(ステップS206;No)、かかる不一致についてエラー報知を行う(ステップS208)。その後、強制確定操作を受け付けていなければ(ステップS209;No)、入出金処理部57aは、入金処理の再実行を行い(ステップS210)、ステップS206に移行する。
入金された貨幣の金種及び数が、回収金データに示された金種及び数と一致した場合(ステップS206;Yes)、もしくは、強制確定操作を受け付けた場合(ステップS209;Yes)、入出金処理部57aは、回収金データを入出金履歴データ56aに追加し、在高管理部57bは、在高データ56bを更新して(ステップS207)、ICカード40又はICチップ80のデータを更新し(ステップS212)、処理を終了する。
次に、釣銭補充操作及び売上回収操作の受付について説明する。図8は、釣銭補充操作及び売上回収操作の受付について説明するための説明図である。釣銭補充操作及び売上回収操作を受け付けるプログラムが起動されると、POS端末20は、初期画面D1を表示する。
初期画面D1は、「フロントリンク」及び「終了」のボタンを含む。「フロントリンク」ボタンは、店舗のレジ近傍(フロント)とバックヤードとが連携して行う釣銭補充及び売上回収に関する処理を行うためのボタンである。「終了」ボタンは、釣銭補充操作及び売上回収操作を受け付けるプログラムを終了させるためのボタンである。
初期画面D1において「フロントリンク」ボタンが操作されると、POS端末20は、メイン画面D2を表示する。メイン画面D2は、「釣銭補充」ボタン、「売上回収」ボタン及び「戻る」ボタンを含む。また、メイン画面D2は、リーダライタ60が使用可能な状態(オンライン)であるか否かの表示を含む。ここで、「戻る」ボタンが操作されると、POS端末20は初期画面D1の表示に戻る。
メイン画面D2において「釣銭補充」ボタンが操作されると、POS端末20は、釣銭機10に対して釣銭補充操作受付通知を送信する。釣銭機10は、釣銭補充操作受付通知を受けて釣銭補充データを生成し、電子マネー端末30に送信する。そして、POS端末20は、データ書込要求画面D3aを表示する。
データ書込要求画面D3aは、「釣銭補充データを書き込みます」及び「カードをかざしてください」のメッセージ表示と、リーダライタ60の状態と、「キャンセル」ボタンとを含む。「キャンセル」ボタンが操作されたならば、POS端末20は、メイン画面D2の表示に戻る。
電子マネー端末30は、ICカード40がかざされると、ICカード40に釣銭補充データを書き込み、書き込んだ釣銭補充データをPOS端末20に通知する。この通知を受けたPOS端末20は、データ書込通知画面D4aを表示する。
データ書込通知画面D4aは、書き込んだ釣銭補充データの内容と、「釣銭補充内容をご確認ください」のメッセージ表示と、「確認」ボタンとを含む。ここでは、釣銭補充データのレジ番号が「123」、処理区分が「釣銭補充(DSR:出金)」、金種及び枚数が「一万円札0枚、五千円札10枚、千円札30枚、二千円札0枚、五百円硬貨40枚、百円硬貨90枚、五十円硬貨40枚、十円硬貨100枚、五円硬貨20枚及び一円硬貨100枚」であり、入出金機50から出金される金額の合計が「112200円」である場合を示している。なお、処理区分の「DSR」は入出金機50を示し、処理区分が「DSR:出金」は、入出金機50から出金が行われることを示している。
データ書込通知画面D4aにおいて、「確認」ボタンが操作されたならば、POS端末20は、メイン画面D2を表示する。
メイン画面D2において「売上回収」ボタンが操作されると、POS端末20は、釣銭機10に対して売上回収操作受付通知を送信する。釣銭機10は、売上回収操作受付通知を受けて回収金データを生成し、電子マネー端末30に送信する。そして、POS端末20は、データ書込要求画面D3bを表示する。
データ書込要求画面D3bは、「回収金データを書き込みます」及び「カセットをかざしてください」のメッセージ表示と、リーダライタ60の状態と、「キャンセル」ボタンとを含む。「キャンセル」ボタンが操作されたならば、POS端末20は、メイン画面D2の表示に戻る。
電子マネー端末30は、回収カセット70がかざされると、ICチップ80に回収金データを書き込み、書き込んだ回収金データをPOS端末20に通知する。この通知を受けたPOS端末20は、データ書込通知画面D4bを表示する。
データ書込通知画面D4bは、書き込んだ回収金データの内容と、「回収金内容をご確認ください」のメッセージ表示と、「確認」ボタンとを含む。ここでは、回収金データのレジ番号が「123」、処理区分が「売上回収(DSR:入金)」、金種及び枚数が「一万円札100枚、五千円札101枚、千円札102枚、二千円札103枚、五百円硬貨104枚、百円硬貨105枚、五十円硬貨106枚、十円硬貨107枚、五円硬貨108枚及び一円硬貨109枚」であり、入出金機50に入金される金額の合計が「1882519円」である場合を示している。なお、処理区分の「DSR」は入出金機50を示し、処理区分が「DSR:入金」は、入出金機50に入金が行われることを示している。
データ書込通知画面D4bにおいて、「確認」ボタンが操作されたならば、POS端末20は、メイン画面D2を表示する。
次に、回収カセット70及びカセット受付ユニット90の構成について説明する。図9は、回収カセット70及びカセット受付ユニット90の構成について説明するための説明図である。図9(a)に示す回収カセット70は、短手方向であって水平方向に延在する揺動軸を有し、回収カセット70の上方筐体部71は、下方筐体部72に対して当該揺動軸を中心に上下方向に揺動自在となっている。
また、回収カセット70は、図示しないロック部を有し、ロック部によりロックされているときには、回収カセット70の上方筐体部71は、下方筐体部72に対して揺動軸を中心として揺動することができないが、ロック部のロックが解除されることで、上方筐体部71が揺動軸を中心として上下方向に揺動することができる。そして、上方筐体部71が上方に揺動されることで、回収カセット70内に収容された貨幣を取り出すことができるようになる。
図9(b)に示すカセット受付ユニット90は、回収カセット70を装填することができ、当該回収カセット70を奥側に押し込むことができるスライドベース部91と、回収カセット70の押し込みを規制したり、その規制を解除したりすることができ、スライド可能なカバー部材92と、回収カセット70のロック部を解除するためのロック解除部93と、回収カセット70の状態などを表示する表示部94とを有している。
ロック解除部93は、その内部に図示しないキーを有しており、回収カセット70を奥側に押し込むことに連動してキーが回動されて、回収カセット70のロック部のロックが解除される。なお、ロック解除部93には、キーを回動させるモータ部を有していてもよい。このようなモータ部を有する場合には、回収カセット70のロック部に当該キーが差し込まれ、モータ部でキーが回動されることで、ロック部のロックが解除されることとなる。
そして、回収カセット70は下面にICチップ80を備え、カセット受付ユニット90はスライドベース部91にリーダライタ60を備えている。このため回収カセット70をカセット受付ユニット90に装填すると、リーダライタ60にICチップ80がかざされた状態となる。
次に、回収カセット70のカセット受付ユニット90への装填について説明する。図10は、回収カセット70のカセット受付ユニット90への装填について説明するための説明図である。
図10(a)に示すように、まず、店員は、回収カセット70をスライドベース部91に設置する。図10(b)は、回収カセット70がスライドベース部91に設置された状態を示している。
回収カセット70がスライドベース部91に設置されると、リーダライタ60は、ICチップ80からデータを読み取る。カセット受付ユニット90は、リーダライタ60により読み取られたデータが回収金データであることを条件に、回収カセット70のロックを解除可能な状態とする。回収カセット70のロックが解除可能であることは、表示部94に表示する。なお、回収カセット70のロックを解除可能とする条件として、ICチップ80のデータが読み取られることに加えて、リーダライタによって係員のICカードが読み取られ、所定の入力操作が行われることを付加してもよい。
表示部94の表示により、ロックが解除可能であることを確認した店員は、図10(c)に示すようにスライドベース部91に設置された回収カセット70を奥側に押し込む。これにより、回収カセット70のロック部にキーが差し込まれる。そして、回収カセット70が更に押し込まれることに連動して、キーが回動されて、ロック部のロックが解除される。
この結果、図10(d)に示すように、店員は、上方筐体部71を下方筐体部72に対して上方に揺動し、回収カセット70の内部に収容された貨幣を取り出して、入出金機50に入金処理することができる。なお、回収カセット70が奥側に押し込まれてロック部のロックが解除されると、表示部94にはロック解除中を示す表示が行われる。
上述してきたように、本実施例1では、釣銭の補充や売上の回収を行う際に、釣銭機10が入出金される貨幣の金種及び数を示すデータを生成し、電子マネー端末30を利用してICカード40やICチップ80に書き込む。そして、入出金機50がICカード40やICチップ80から入出金される貨幣の金種及び数を読み取る。かかる構成により、入出金する貨幣の金種や数を確認し、記入し、入力するといった作業を店員が行う必要がなくなり、商取引以外に発生する釣銭機の入出金を効率化することができる。
本実施例2では、複数の釣銭機に対して一括して釣銭補充を行なう構成について説明する。また、状況に応じて釣銭準備金の枚数を変更する、釣銭補充金として入金処理された貨幣の枚数を確認する等の変形例についても併せて説明する。
図11は、実施例2に係る貨幣管理システムにおける釣銭補充について説明するための説明図である。図11に示すように、実施例2では、複数の釣銭機110がそれぞれPOS端末20及び電子マネー端末30と接続されている。これらの釣銭機110は、釣銭補充操作及び売上回収操作を店員から直接受け付けることが可能である。
釣銭機110は、店員から釣銭補充操作を受け付けると、実施例1と同様に、釣銭補充データを生成し、電子マネー端末30に送信する。電子マネー端末30は、店員によりICカード140がかざされたならば、このICカード140に釣銭補充データを書き込む。ここで、ICカード140は、複数の釣銭機110からの釣銭補充データをそれぞれ保持することができる。図11では、2台の釣銭機110からそれぞれ釣銭補充データを書き込まれた状態(3a及び3b)を示している。
この状態で入出金機150のリーダライタ160にICカード140をかざすと、リーダライタ160は、2つの釣銭補充データを読み取ることとなる(4a及び4b)。入出金機150は、このように複数の釣銭補充データを読み取った場合には、複数の釣銭補充データに示された金種及び枚数を合計し、合計分の貨幣を釣銭準備金として出金処理する(5)。
店員は、入出金機150により出金処理された貨幣を複数の釣銭機110まで携行し、順次入金処理することで、釣銭の補充を行う(6a及び6b)。各釣銭機110は、入金処理された貨幣の金種及び枚数と、自装置が釣銭補充データの生成時に算出した貨幣の金種及び枚数とが一致するか否かを判定する釣銭準備金確認処理(7a及び7b)を行なう。
このように、実施例2に係る貨幣管理システムでは、店員が複数の釣銭機110に対して順次釣銭補充操作を行なって、各釣銭機110が生成した釣銭補充データを単一のICカード140に書き込ませ、入出金機150から一括して釣銭準備金の払出を行なうことができるので、店員の作業負担をさらに軽減することができる。
釣銭準備金を一括して払い出す場合には、払い出した貨幣が各釣銭機110に適切に分配されるかが問題となるが、各釣銭機110は釣銭準備金確認処理を行なって自装置に入金処理された貨幣の金種及び枚数が適正か否かを判定するので、店員は、貨幣の適切な分配を簡易に行なうことができる。
次に、図11に示した釣銭機110の内部構成について説明する。図12は、図11に示した釣銭機110の内部構成を示すブロック図である。図12に示す釣銭機110は、表示操作部11が店員による釣銭補充操作及び売上回収操作を直接受け付け可能である点が実施例1に示した釣銭機10と異なる。また、記憶部17が、釣銭準備金データ17dに換えて釣銭準備金算出基準データ112を記憶する点が実施例1に示した釣銭機10と異なる。また、制御部18は、釣銭準備金算出処理部113a、補充確認処理部113c及び閉店確認処理部113dをさらに備え、釣銭補充処理部18bの動作が実施例1に示した釣銭機10と異なる。その他の構成及び動作は、実施例1に示した釣銭機10と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
釣銭準備金算出処理部113aは、釣銭準備金算出基準データ112を用いて補充すべき貨幣の金種及び枚数を算出する処理部である。準備するべき釣銭の金種及び枚数は、曜日や時間帯によって異なる。また、店員の権限によって、入出金機150から出金処理可能な金額に上限が設けられることもある。釣銭準備金算出基準データ112は、これらの曜日、時間帯、店員の権限などから補充入金の金種及び数を算出するための基準を示すデータである。例えば、週末には平日よりも釣銭準備金が多くなるように設定されたり、1日の中でも閉店近くには他の時間帯よりも釣銭準備金が少なくなるように設定される。
本実施例2では、釣銭補充処理部18bは、釣銭準備金算出処理部113aが算出した貨幣の金種及び枚数を使用して釣銭補充を行なう。このため、状況に適応した柔軟な釣銭補充が可能となる。
補充確認処理部113cは、釣銭補充において入金処理された貨幣の金種及び枚数と、釣銭準備金算出処理部113aが算出した貨幣の金種及び枚数とが一致するか否かを判定する処理部である。判定の結果、入金処理された貨幣に不足がある場合には、補充確認処理部113cは、入金の不足を店員に通知する。そして、過剰に貨幣が入金処理された場合には、過剰分の貨幣を払い出す処理を行なう。この作用により、複数台の釣銭機に補充すべき釣銭準備金が一括して持ち込まれた場合であっても、係員に負担を掛けることなく、各釣銭機に適切な量の釣銭準備金を補充できる。
閉店確認処理部113dは、売上回収処理部18cが売上回収処理を行なった場合に、回収金の金種及び枚数と、在高データ17bに示された金種及び枚数とを比較し、整合がとれているかを確認する処理部である。入出金が適正に行なわれていれば、売上回収時の回収金と、在高データ17bとは整合がとれているはずであり、不整合が生じている場合には、入出金が適正に行なわれていないことが示唆される。そこで、閉店確認処理部113dは、確認の結果、不整合が生じている場合には、所定の権限を有する店員に通知を行なう。なお、残置回収が実行された場合には、残置データを考慮した比較が行われる。
次に、図11に示した入出金機150の内部構成について説明する。図13は、図11に示した入出金機150の内部構成を示すブロック図である。図13に示す入出金機150は、カセット受付ユニット180が回収カセットを受け付けると、回収カセット内部の紙幣を紙幣処理ユニット151に搬送することができる。このため、店員は回収カセットから紙幣を取り出す必要がなく、回収カセットをカセット受付ユニット180に装填するのみで紙幣を入出金機150に入金処理することができる。具体的には、回収カセットあるいはカセット受付ユニット180に繰り出し機構が配置され、解錠後に紙幣が繰出されて、入出金機内へ送り込まれる構造になっている。また、リーダライタ160は、上述したように、複数の釣銭機110が書き込んだデータを順次読み出すことができる。また、制御部57は、リーダライタ160が複数の釣銭補充データを読み出した場合に、釣銭準備金の金種及び枚数を合算する釣銭準備金合算処理部152をさらに備え、入出金処理部57aは、釣銭準備金合算処理部152により合算された釣銭準備金の払出を行なう。その他の構成及び動作は、実施例1に示した入出金機150と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
次に、釣銭機110による釣銭補充及び売上回収の処理手順について説明する。図14は、釣銭機110による釣銭補充及び売上回収の処理手順を示すフローチャートである。図14に示すように、まず、釣銭補充処理部18bは、表示操作部11が釣銭補充操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS301)。
表示操作部11が釣銭補充操作を受け付けたならば(ステップS301;Yes)、釣銭準備金算出処理部113aは、釣銭準備金算出基準データ112を用いて補充すべき貨幣の金種及び枚数を算出する(ステップS302)。
釣銭補充処理部18bは、釣銭準備金算出処理部113aが算出した釣銭準備金の補充分と、レジID17cとを含み、処理区分が「釣銭補充」である釣銭補充データを生成する(ステップS303)。そして、釣銭補充処理部18bは、生成した釣銭補充データを電子マネー端末30に送信する(ステップS304)。電子マネー端末30にICカード140あるいは回収カセットがかざされると、釣銭機補充データが書き込まれる。このとき、複数台の釣銭機に対応する釣銭補充データを追加書き込み可能となっているものとする。
ステップS304の後、又は表示操作部11が釣銭補充操作を受け付けていない場合(ステップS301;No)。売上回収処理部18cは、表示操作部11が売上回収操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS305)。表示操作部11が売上回収操作を受け付けていなければ(ステップS305;No)、釣銭機110は、釣銭補充及び売上回収の処理を終了する。
表示操作部11が売上回収操作を受け付けたならば(ステップS305;Yes)、売上回収処理部18cは、紙幣処理ユニット14内に所在する紙幣を回収カセット70に移動させる(ステップS306)。このとき、必要であれば、硬貨処理ユニット12内に所在する硬貨を硬貨払出口12bから払い出す。また、このとき、全額回収か残置回収のいずれかを実行する。
売上回収処理部18cは、回収カセット70に移動させた紙幣、並びに硬貨払出口12bから払い出した硬貨について、その合計金額や金種毎の枚数等を回収金情報として算出する(ステップS307)。
ステップS307の後、閉店確認処理部113dは、回収金の金種及び枚数と、在高データ17bに示された金種及び枚数とを比較し、整合がとれているかを確認する閉店確認処理を行なう(ステップS308)。
ステップS308の後、売上回収処理部18cは、算出された回収金情報と、レジID17cとを含み、処理区分が「売上回収」である回収金データを生成する(ステップS309)。そして、売上回収処理部18cは、回収カセットが取外されると(ステップS310)、生成した回収金データを電子マネー端末30に送信して(ステップS311)、処理を終了する。
次に、釣銭機110に釣銭補充金が入金される際の補充確認処理の詳細について説明する。図15は、補充確認処理の詳細について説明するための説明図である。補充確認処理部113cは、まず、店員による釣銭補充入金が行なわれたかを判定する(ステップS401)。店員による釣銭補充入金を受け付けていない場合には(ステップS401;No)、補充確認処理部113cは、ステップS401に移行することで、釣銭補充入金の受け付けを待機する。
店員による釣銭補充入金を受け付けた場合には(ステップS401;Yes)、補充確認処理部113cは、入金された貨幣を計数する(ステップS402)。そして、入金された貨幣の金種及び枚数と、ステップS302で算出した貨幣の金種及び枚数とを比較する(ステップS403)。その結果、入金された貨幣の金種及び枚数と、ステップS302で算出した貨幣の金種及び枚数とが一致したならば(ステップS403;一致)、補充確認処理部113cは、そのまま処理を終了する。
ステップS403の比較の結果、入金処理された貨幣に不足がある場合には(ステップS403;不足)、補充確認処理部113cは、入金の不足を店員に通知する(ステップS404)。ステップS404の後、強制確定操作を受け付けていなければ(ステップS405;No)、補充確認処理部113cは、入金処理された貨幣を全て返却して(ステップS406)、ステップS402に移行する。一方、強制確定操作を受け付けたならば(ステップS405;Yes)、補充確認処理部113cは、そのまま処理を終了する。
ステップS403の比較の結果、入金処理された貨幣が過剰である場合には(ステップS403;過剰)、補充確認処理部113cは、入金過剰を店員に通知する(ステップS407)。ステップS407の後、強制確定操作を受け付けていなければ(ステップS408;No)、補充確認処理部113cは、過剰分の貨幣を払い出して(ステップS409)、処理を終了する。一方、強制確定操作を受け付けたならば(ステップS408;Yes)、補充確認処理部113cは、そのまま処理を終了する。
次に、入出金機150による釣銭補充及び売上回収の処理手順について説明する。図16は、入出金機150による釣銭補充及び売上回収の処理手順を示すフローチャートである。図16に示す処理手順は、リーダライタ160がICカード140又はICチップ80からデータを読み取った場合に開始する。
入出金処理部57aは、まず、リーダライタ60が読み取ったデータの処理区分が「釣銭補充」である、すなわち、リーダライタ60が読み取ったデータが釣銭補充データであるか否かを判定する(ステップS501)。
読み取ったデータが釣銭補充データならば(ステップS501;Yes)、釣銭準備金合算処理部152は、釣銭準備金の金種及び枚数を合算する処理を行なう(ステップS502)。但し、釣銭補充データが1台分しかない場合は、釣銭補充データをそのまま使用することになる。入出金処理部57aは、釣銭補充データを入出金履歴データ56aに追加し、在高管理部57bは、在高データ56bを更新する(ステップS503)。その後、入出金処理部57aは、釣銭準備金合算処理部152により合算された釣銭準備金を出金処理し(ステップS504)、ICカード140又はICチップ80のデータを更新し(ステップS513)、処理を終了する。
リーダライタ160が読み取ったデータの処理区分が「釣銭補充」でなければ(ステップS501;No)、入出金処理部57aは、処理区分が「売上回収」である、すなわち、リーダライタ60が読み取ったデータが回収金データであるか否かを判定する(ステップS505)。処理区分が「売上回収」でもない場合には(ステップS505;No)、入出金処理部57aは、不明なデータを読み取ったことを示すエラー報知を行い(ステップS512)、処理を終了する。
読み取ったデータが回収金データであるならば(ステップS505;Yes)、カセット受付ユニット180は、回収カセット内部の紙幣を紙幣処理ユニット151に搬送することで、回収金を入金して回収処理する(ステップS506)。そして、入出金処理部57aは、入金された貨幣の金種及び数が、回収金データに示された金種及び数と一致するか否かを判定する(ステップS507)。
入出金処理部57aは、入金された貨幣の金種及び数が、回収金データに示された金種及び数と一致しなければ(ステップS507;No)、かかる不一致についてエラー報知を行う(ステップS509)。その後、強制確定操作を受け付けていなければ(ステップS510;No)、入出金処理部57aは、入金処理の再実行を行い(ステップS511)、ステップS507に移行する。
入金された貨幣の金種及び数が、回収金データに示された金種及び数と一致した場合(ステップS507;Yes)、もしくは、強制確定操作を受け付けた場合(ステップS510;Yes)、入出金処理部57aは、回収金データを入出金履歴データ56aに追加し、在高管理部57bは、在高データ56bを更新して(ステップS508)、ICカード140又はICチップ80のデータを更新し(ステップS513)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例2では、店員が複数の釣銭機110に対して順次釣銭補充操作を行なって、各釣銭機110が生成した釣銭補充データを単一のICカード140に書き込ませ、入出金機150が一括して釣銭準備金の払出を行なうよう構成したので、店員の作業負担をさらに軽減することができる。
また、各釣銭機110は釣銭準備金確認処理を行なって自装置に入金処理された貨幣の金種及び枚数が適正か否かを判定するので、店員は、貨幣の適切な分配を簡易に行なうことができる。また、曜日、時間帯、店員の権限などに応じて釣銭準備金を変更することができるので、状況に適応した柔軟な釣銭補充が可能となる。また、カセット受付ユニット180に回収カセットを装填すると、回収カセットから紙幣処理ユニット151に貨幣を搬送するので、店員の作業負担をさらに軽減することができる。
なお、上記実施例1及び2では、本発明を釣銭機に適用した場合について説明を行ったが、本発明は、釣銭機に限定されるものではない。例えば、セルフレジシステムやセルフペイシステムにおける精算機に適用することも可能である。セルフレジシステムやセルフペイシステムにおける精算機は、精算処理を店員が行うか、客が行うかの違いはあるが、装置の構成、作用や、釣銭準備金の補充処理や売上金の回収処理を店員が行う点等については、釣銭機と共通する。
また、上記実施例1及び2で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
例えば、釣銭機と電子マネー端末とを一体に構成してもよい。また、実施例1及び2では、電子マネー端末を利用する構成について説明を行なったが、釣銭準備金データや回収金データを書き込むための専用のリーダライタを設けてもよい。
また、上記実施例1及び2では、売上回収時には回収カセットのICチップに回収金データを書き込む場合について説明を行なったが、売上げ回収時にもICカードを使用することとしてもよい。さらに、ICカードや回収カセットに限らず、任意の可搬記憶媒体を利用することができる。また、ICカードから店員IDを読み出し、釣銭機及び入出金機の入出金履歴データに格納してもよい。
また、入出金機50及び150に替えて、釣銭機10及び110から回収した貨幣の入金処理を行なう回収金入金装置と、釣銭機10へ補充する貨幣の出金処理を行なう補充金出金装置とを設けてもよい。また、入金機のみを設置して、売上金の回収処理は上記実施例と同様の方式を採用し、釣銭準備金の補充処理は別の方式を採用するようにしてもよい。同様に、出金機のみを設置して、釣銭準備金の補充処理は上記実施例と同様の方式を採用し、売上金の回収処理は別の方式を採用するようにしてもよい。
また、釣銭機が、別体の硬貨釣銭機及び紙幣釣銭機によって構成されてもよい。また、硬貨釣銭機のみをレジに設置してもよいし、紙幣釣銭機のみをレジに設置しても良い。
また、上記実施例1及び2では、釣銭機10又は110が補充すべき貨幣の金種及び枚数を決定する構成を例に説明を行なったが、補充すべき貨幣の金種及び枚数の決定は、入出金機50又は150等、他の装置が行なうように構成してもよい。