以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態による貨幣入出金機およびこのような貨幣入出金機を備えた貨幣管理システムを示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における貨幣管理システムの構成を概略的に説明するための概略構成図である。また、図2は、図1に示す貨幣管理システムにおける貨幣入出金機の外観を示す斜視図であり、図3乃至図5は、それぞれ、図2に示す貨幣入出金機における紙幣処理ユニット、硬貨処理ユニットおよび包装硬貨収納ユニットの構成を示す図である。また、図6は、図2に示す貨幣入出金機における制御系の構成を示す機能ブロック図であり、図7は、図1に示す貨幣管理システムにおいて警送会社の警備員が貨幣入出金機に釣銭準備金としての貨幣を補充する際の動作を示すフローチャートである。
図1に示すように、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商業施設の店舗20において、顧客が立ち入ることができるフロント領域には様々な商品が陳列された商品棚が設置されているとともに、このフロント領域の精算所には貨幣釣銭機200やPOSレジスタ290が設置されている。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣を貨幣釣銭機200に入金したり、釣銭としての貨幣を貨幣釣銭機200から出金して顧客に返却したりするようになっている。また、POSレジスタ290により、顧客が購入した商品に係る情報や貨幣釣銭機200に収納されている貨幣に係る情報等の管理が行われるようになっている。また、このような店舗20における顧客の立ち入りが禁止されたバックヤード領域(具体的には、例えば入金室)には、貨幣釣銭機200から回収された売上金としての貨幣を入金する出納機等の貨幣入出金機100が設置されている。また、貨幣釣銭機200において釣銭としての貨幣が不足する場合には、貨幣入出金機100から釣銭補充金としての貨幣を出金し、この貨幣入出金機100から出金された釣銭補充金としての貨幣を貨幣釣銭機200に補充することができるようになっている。本実施の形態では、このような貨幣入出金機100および貨幣釣銭機200を組み合わせることにより貨幣管理システム1が構成されている。
また、図1に示すように、本実施の形態による貨幣管理システム1では、警送会社10の警備員により、貨幣入出金機100から、紙幣や硬貨が収納されている回収カセット140、170(後述)が取り出され、これらの回収カセット140、170ごと紙幣や硬貨が貨幣入出金機100から警送会社に回収されるようになっている。また、警送会社10の警備員は、貨幣釣銭機200で用いられる釣銭準備金としての貨幣(具体的には、紙幣)を後述する収納カセット30に収納させた状態で警送会社10から店舗20に運搬し、この店舗20のバックヤード領域に設けられた貨幣入出金機100に入金するようになっている。
また、図1に示すように、本実施の形態による貨幣管理システム1では、貨幣入出金機100はLAN44を介して店舗20の外部に設けられたターミナル40やユーザーサーバー42に通信可能に接続されており、これらのターミナル40やユーザーサーバー42により、貨幣入出金機100における貨幣の在高や、警送会社10の警備員や店舗20の店員等の操作者の情報が管理されるようになっている。
次に、このような貨幣管理システム1における貨幣入出金機100および貨幣釣銭機200の構成の詳細について説明する。
まず、店舗20のバックヤード領域に設けられた貨幣入出金機100の構成の詳細について図2乃至図6を用いて説明する。図2等に示すように、本実施の形態による貨幣入出金機100は、略直方体形状の筐体101を備えており、この筐体101の内部には、紙幣の入金処理および出金処理を行う紙幣処理ユニット110、硬貨の入金処理および出金処理を行う硬貨処理ユニット150、および包装硬貨(同一金種の硬貨を一定枚数(例えば、20枚や50枚)だけ棒状にまとめてフィルムや包装紙等により包装したもの)を収納する包装硬貨収納ユニット180がそれぞれ収容されている。図2に示すように、紙幣処理ユニット110および硬貨処理ユニット150は貨幣入出金機100を手前側から見て左右に並ぶよう配置されており、これらの紙幣処理ユニット110および硬貨処理ユニット150の下方に包装硬貨収納ユニット180が配置されている。
図2および図3に示すように、紙幣処理ユニット110は、筐体101の前面側の右側領域に設けられた紙幣受入部120と、筐体101の前面側において紙幣受入部120の下方に設けられた紙幣払出部122と、筐体101の内部で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部130と、筐体101の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数の収納繰出部134、136とを備えている。なお、図3において、筐体101の右側の側面が紙幣処理ユニット110の手前側の面となっており、図3における左向きの方向が紙幣処理ユニット110の奥行き方向となっている。図3に示すように、搬送部130は、筐体101の上部における中央位置に配置された周回搬送部130aおよび複数の接続搬送部130bから構成されている。また、紙幣受入部120、紙幣払出部122、出金リジェクト部124、後述する収納カセット30を着脱自在に装着可能なカセット装着部126、回収カセット140および2つの収納繰出部134、136が、それぞれ、周回搬送部130aを取り囲むよう配置されている。また、図3に示すように、複数の接続搬送部130bの各々により、紙幣受入部120、紙幣払出部122、出金リジェクト部124、カセット装着部126、回収カセット140および2つの収納繰出部134、136の各々と、周回搬送部130aとの間をそれぞれ接続するようになっている。また、周回搬送部130aには識別部132が設けられており、この識別部132は、周回搬送部130aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行うようになっている。
周回搬送部130aは、図3における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができるようになっている。また、搬送部130において、周回搬送部130aと各接続搬送部130bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部130aに沿って配置されている。
図2および図3に示すように、筐体101の前面には、紙幣受入部120の紙幣受入口120aと、紙幣払出部122の紙幣取出口122aとがそれぞれ設けられている。また、カセット装着部126の前面側には扉126aが設けられており、この扉126aを開くことにより収納カセット30をカセット装着部126に装着させたりこのカセット装着部126から収納カセット30を取り出したりすることができるようになっている。また、図6に示すように、カセット装着部126には、当該カセット装着部126に装着された収納カセット30に設けられているICタグ等の記憶媒体32(後述)に様々な情報を書き込む書込部128および当該記憶媒体32から様々な情報を読み取る読取部129がそれぞれ設けられている。書込部128により記憶媒体32に書き込まれる情報や読取部129により記憶媒体32から読み取られる情報の詳細については後述する。
紙幣受入部120には紙幣繰出機構121が設けられており、紙幣受入口120aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると紙幣繰出機構121が駆動されることにより紙幣が接続搬送部130bを介して周回搬送部130a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
紙幣払出部122は、各収納繰出部134、136から周回搬送部130aに繰り出された紙幣を紙幣取出口122aにより筐体101の外部へ放出するようになっている。
出金リジェクト部124は、出金処理時において各収納繰出部134、136から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部132で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納するようになっている。また、紙幣受入部120から筐体101の内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により識別部132で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部122に返却されるようになっている。
各収納繰出部134、136は、識別部132の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納するようになっている。これらの収納繰出部134、136には、貨幣釣銭機200への釣銭補充金の紙幣として貨幣入出金機100から出金されるべき紙幣が収納されるようになっている。具体的には、例えば収納繰出部134には千円札が収納され、収納繰出部136には五千円札が収納されるようになっている。なお、一万円札は後述する回収カセット140に収納されるようになっている。また、各収納繰出部134、136はそれぞれ紙幣繰出機構135、137を有しており、これらの収納繰出部134、136に収納されている紙幣は各紙幣繰出機構135、137により接続搬送部130bを介して周回搬送部130a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
筐体101の内部における下部領域には回収カセット140が収容されており、警送会社10により回収されるべき紙幣が回収カセット140に収納されるようになっている。具体的には、識別部132により識別された紙幣が周回搬送部130aから接続搬送部130bを経て回収カセット140に送られるようになっている。また、回収カセット140の前面側には扉140aが設けられており、この扉140aを開くことにより回収カセット140を筐体101の内部に収容させたり筐体101の内部から回収カセット140を取り出したりすることができるようになっている。
次に、硬貨処理ユニット150の構成について説明する。図2および図4に示すように、硬貨処理ユニット150は、筐体101の前面側の左側領域に設けられた硬貨受入部152と、筐体101の前面側において硬貨受入部152の下方に設けられた硬貨払出部166と、筐体101の内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の収納繰出部160とを備えている。
硬貨受入部152は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体101内に取り込むようになっている。より詳細には、硬貨受入部152には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構153(図6参照)が設けられており、硬貨受入部152に受け入れられた硬貨を検知するとこの硬貨繰出機構153が駆動されることにより当該硬貨繰出機構153によって硬貨が筐体101の内部に1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、図4に示すように、硬貨受入部152には、当該硬貨受入部152により筐体101の内部に繰り出された硬貨を搬送する入金搬送部154が接続されている。
図4に示すように、入金搬送部154の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、搬送状態等の識別を行う識別部156と、第1分岐部158とがそれぞれ設けられている。第1分岐部158は、識別部156による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部166から払い出されるべき硬貨を入金搬送部154から分岐させて出金搬送部162へ案内するようになっている。
一方、正常硬貨等の筐体101内に収納されるべき硬貨は入金搬送部154により各収納繰出部160へ搬送されるようになっている。収納繰出部160は硬貨を金種別に収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能となるよう構成されている。具体的には、例えば日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨および1円硬貨)に対応して6つの収納繰出部160が設けられており、入金搬送部154の上流側(すなわち、図4における下側)から低額順に各収納繰出部160に硬貨が金種毎に収納されるようになっている。また、収納繰出部160には、当該収納繰出部160に収納された硬貨を1枚ずつ出金搬送部162に繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。
出金搬送部162は、収納繰出部160から繰り出された硬貨を硬貨払出部166へ搬送するようになっている。また、出金搬送部162は、第1分岐部158により入金搬送部154から分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部166へ搬送するようになっている。
筐体101の内部における下部領域には回収カセット170が収容されており、警送会社10により回収されるべき硬貨が回収カセット170に収納されるようになっている。具体的には、図4に示すように、出金搬送部162の途中箇所には第2分岐部164が設けられており、当該第2分岐部164により出金搬送部162から分岐させられた硬貨は回収カセット170に送られてこの回収カセット170に収納されるようになっている。また、回収カセット170の前面側には扉170aが設けられており、この扉170aを開くことにより回収カセット170を筐体101の内部に収容させたり筐体101の内部から回収カセット170を取り出したりすることができるようになっている。
次に、包装硬貨収納ユニット180の構成について説明する。図5に示すように、包装硬貨収納ユニット180は、包装硬貨が金種毎に収納される複数の収納領域180a〜180fが設けられた引出部182を有しており、当該引出部182は貨幣入出金機100の筐体101の内部から手前側に引き出し可能となっている。なお、図5に示すように、各収納領域180a〜180fに包装硬貨が収納されたときに当該包装硬貨の長手方向が鉛直方向を向くようになっている。そして、引出部182を貨幣入出金機100の筐体101の内部から手前側に引き出すことにより、各収納領域180a〜180fに包装硬貨を収納したりこれらの収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨を取り出したりすることができるようになっている。また、図6に示すように、包装硬貨収納ユニット180は、引出部182を筐体101の内部にロックするロック機構184が設けられており、引出部182が筐体101の内部にロックされている状態では当該引出部182を筐体101の内部から手前側に引き出すことができないようになっている。また、包装硬貨収納ユニット180には、引出部182の各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の重量を測定する重量計186が設けられている。このような重量計186により測定される包装硬貨の重量に基づいて、後述する制御部102において引出部182の各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数が検知されるようになっている。
なお、各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数を検知するにあたり、重量計186により包装硬貨の重量を測定する代わりに、あるいは重量計186により包装硬貨の重量を測定することに加えて、ラインセンサまたは磁気センサを用いて各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数を検知してもよく、あるいはこれらのラインセンサや磁気センサを組み合わせることにより各収納領域180a〜180fに収納されている包装硬貨の数を検知してもよい。また、収納領域180a〜180f毎にラインセンサや磁気センサが設けられていてもよい。
次に、このような貨幣入出金機100における制御系の構成について図6を用いて説明する。図6に示すように、本実施の形態による貨幣入出金機100の筐体101の内部には制御部102が設けられており、当該制御部102により紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150および包装硬貨収納ユニット180の各々の構成部材が制御されるようになっている。具体的には、制御部102には、紙幣処理ユニット110の紙幣繰出機構121、搬送部130、識別部132、各収納繰出部134、136、カセット装着部126、書込部128、読取部129等が接続されており、識別部132による紙幣の識別情報や、収納カセット30に設けられた記憶媒体32から読取部129により読み取られた情報が制御部102に送られるとともに、制御部102は紙幣処理ユニット110の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。また、制御部102には、硬貨処理ユニット150の硬貨繰出機構153、入金搬送部154、識別部156、第1分岐部158、各収納繰出部160、出金搬送部162および第2分岐部164等が接続されており、識別部156による硬貨の識別情報が制御部102に送られるとともに、制御部102は硬貨処理ユニット150の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。また、制御部102には、包装硬貨収納ユニット180のロック機構184および重量計186等が接続されており、重量計186による包装硬貨の測定結果が制御部102に送られるとともに、制御部102はロック機構184に指令信号を送ることにより当該ロック機構184の制御を行うようになっている。
また、図6に示すように、制御部102には、操作表示部104、通信部105、記憶部106、印字部107および識別情報受付部108がそれぞれ接続されている。操作表示部104は筐体101の上部に設けられたタッチパネル等からなり、操作者が操作するための操作画面や、紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150および包装硬貨収納ユニット180の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報が操作表示部104に表示されるようになっている。また、このような操作表示部104において操作者は操作画面における操作ボタンに指を触れることによって制御部102に様々な指令を入力することができるようになっている。通信部105はターミナル40やユーザーサーバー42に対してLAN44を介して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。記憶部106には、紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150および包装硬貨収納ユニット180の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報や、貨幣入出金機100における貨幣の処理履歴等の様々な情報が記憶されるようになっている。印字部107は、紙幣処理ユニット110、硬貨処理ユニット150および包装硬貨収納ユニット180の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報や、貨幣入出金機100における貨幣の処理履歴等の様々な情報をレシート等に印字するようになっている。また、識別情報受付部108は、操作者によって操作表示部104により入力された当該操作者の識別情報等に基づいて、収納カセット30に収納されている紙幣の授受を行った操作者の識別情報を受け付けるようになっている。このような識別情報受付部108の機能の詳細については後述する。
図1に示すように、貨幣釣銭機200は、紙幣の入金処理および出金処理を行う紙幣処理ユニット210と、硬貨の入金処理および出金処理を行う硬貨処理ユニット250と、包装硬貨を収納する包装硬貨収納ユニット280とを備えている。これらの紙幣処理ユニット210、硬貨処理ユニット250および包装硬貨収納ユニット280の構成の詳細については省略する。
次に、貨幣入出金機100と貨幣釣銭機200との間で紙幣の受け渡しを行うための収納カセット30の構成について説明する。収納カセット30は略直方体形状のケーシングを有しており、当該ケーシングの内部に紙幣が積層状態で収納されるようになっている。また、上述したように、収納カセット30は貨幣入出金機100のカセット装着部126および貨幣釣銭機200のカセット装着部(図示せず)にそれぞれ着脱自在に装着されるようになっている。また、収納カセット30のケーシングの側面には開口が形成されており、収納カセット30が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部に装着されているときに、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に設けられた搬送部130や貨幣釣銭機200の紙幣処理ユニット210に設けられた搬送部から当該開口を介して紙幣が収納カセット30の内部に送られたり、収納カセット30に収納されている紙幣が開口を介して貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110の搬送部130や貨幣釣銭機200の紙幣処理ユニット210の搬送部に繰り出されたりするようになっている。
より詳細には、収納カセット30の内部には、当該収納カセット30に収納されている紙幣を開口からケーシングの外部に1枚ずつ繰り出す紙幣繰出機構が設けられている。また、収納カセット30が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部に装着されているときに、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110側や貨幣釣銭機200の紙幣処理ユニット210側から収納カセット30の紙幣繰出機構に動力が伝達されるようになっている。このように、収納カセット30が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部から取り出された状態では当該収納カセット30に収納されている紙幣をケーシングの外部に繰り出させることができないため、収納カセット30に収納されている紙幣のセキュリティ性を向上させることができる。
また、収納カセット30のケーシングの側面にはICタグ等の記憶媒体32が設けられている。そして、収納カセット30が貨幣入出金機100のカセット装着部126や貨幣釣銭機200のカセット装着部に装着されているときに、貨幣入出金機100のカセット装着部126に設けられた書込部128や貨幣釣銭機200のカセット装着部に設けられた書込部により記憶媒体32に様々な情報を書き込んだり、貨幣入出金機100のカセット装着部126に設けられた読取部129や貨幣釣銭機200のカセット装着部に設けられた読取部により記憶媒体32から様々な情報を読み取ったりすることができるようになっている。
また、このような収納カセット30は、警送会社10の警備員が貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に釣銭準備金としての紙幣を補充する際にも用いられるようになっている。具体的には、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に警備員が釣銭準備金としての紙幣を補充する際に、この釣銭準備金としての紙幣が収納されている収納カセット30を警送会社10から店舗20に警備員が運搬する。そして、後述するように警備員が収納カセット30を貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に設けられているカセット装着部126に装着すると、カセット装着部126に装着された収納カセット30から紙幣が繰り出されて紙幣処理ユニット110の内部に収納されるようになる。また、収納カセット30に設けられた記憶媒体32には、釣銭準備金としての紙幣が補充されるべき貨幣入出金機100が設置されている店舗の識別情報である店舗情報が記憶されるようになっている。
次に、警送会社の警備員が本実施の形態の貨幣入出金機100に貨幣(具体的には、紙幣)を補充したり当該貨幣入出金機100から売上金としての貨幣を回収したりする動作について図7に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、警送会社の警備員は、貨幣釣銭機で用いられる釣銭準備金としての紙幣が収納されている状態で収納カセット30を警送会社の管理センターから店舗に運搬する。次に、警備員は操作表示部104によって自分の識別番号およびパスワードを入力する。このことにより、警備員の識別情報が識別情報受付部108により受け付けられ、当該警備員の認証が制御部102により行われる。なお、操作表示部104によって識別番号およびパスワードを入力することにより警備員の識別情報が識別情報受付部108により受け付けられる代わりに、ICカードの読み取りを行うカードリーダが貨幣入出金機100に設けられており、警備員は所持するICカードをカードリーダによって読み取らせることにより当該警備員の識別情報が識別情報受付部108により受け付けられるようになっていてもよい。制御部102において警備員の認証が行われると、扉140a、170aのロックが解除されてこれらの扉140a、170aを開くことができるようになる。このことにより、警備員は筐体101の内部から回収カセット140、170を取り出してこれらの回収カセット140、170に収納されている貨幣を回収カセット140、170ごと回収することができるようになる。
また、警備員が貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に釣銭準備金としての紙幣を補充する場合には、制御部102において警備員の認証が行われた後、釣銭補充金としての紙幣が収納されている収納カセット30を貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に設けられているカセット装着部126に装着させる(STEP1の「YES」)。収納カセット30がカセット装着部126に装着されると、この収納カセット30に設けられている記憶媒体32から店舗情報を含む情報が読取部129により読み取られる(STEP2)。そして、制御部102は、読取部129により読み取られた店舗情報に基づいて、カセット装着部126に装着された収納カセット30が自店(すなわち、貨幣入出金機100が設置されている店舗20)で使用されるべきものであるか否かを判定する(STEP3)。具体的には、貨幣入出金機100の記憶部106には、この貨幣入出金機100が設置されている店舗20の識別情報である店舗情報が記憶されており、制御部102は、読取部129により読み取られた店舗情報と、記憶部106に記憶されている店舗情報とが一致するか否かを判定する。
読取部129により読み取られた店舗情報と、記憶部106に記憶されている店舗情報とが一致し、カセット装着部126に装着された収納カセット30が自店で使用されるべきものであると制御部102により判定された場合には(STEP3の「YES」)、収納カセット30に収納されている紙幣の授受を操作者に促す旨の情報が操作表示部104に表示される。具体的には、操作表示部104に「受取ボタン」および「取消ボタン」が表示されるようになる(STEP4)。そして、警備員によって「受取ボタン」が押下されると(STEP5「YES」)、収納カセット30に収納されている紙幣の授受の認証を操作表示部104により行うことができるようになる。そして、収納カセット30に収納されている紙幣の授受の認証を警備員が操作表示部104により行うと(STEP7)、カセット装着部126に装着された収納カセット30から紙幣が1枚ずつ貨幣入出金機100の筐体101の内部に繰り出され、搬送部130により搬送されるようになる。そして、搬送部130により搬送される紙幣は識別部132によりその金種等が識別された後、各収納繰出部134、136に金種毎に収納される(STEP8)。
また、収納カセット30に収納されている紙幣の授受が行われたことが印字部107によりレシートに印字される(STEP9)。このことにより、警備員は印字部107により印字されたレシートを持ち帰ることによって貨幣入出金機100に釣銭補充金としての紙幣を補充したことを証明することができるようになる。また、収納カセット30に収納されている紙幣の授受が行われたことが印字部107によりレシートに印字される際に、収納カセット30に収納されている紙幣の授受を行った操作者の識別情報(すなわち、識別情報受付部108により受け付けられた警備員の識別情報)も印字部107によりレシートに印字される。このことにより、誰が収納カセット30に収納されている紙幣を貨幣入出金機100に補充したかがより明確となる。
また、収納カセット30に収納されている紙幣の授受が行われた旨の情報や、収納カセット30に収納されている紙幣の授受を行った操作者の識別情報等の情報が通信部105により上位端末等の外部装置(例えば、ターミナル40やユーザーサーバー42)に送信されるようになっていてもよい。さらに、収納カセット30に収納されている紙幣の授受が行われた旨の情報や、収納カセット30に収納されている紙幣の授受を行った操作者の識別情報等の情報が書込部128により収納カセット30の記憶媒体32に書き込まれるようになっていてもよい。
一方、カセット装着部126に装着された収納カセット30が自店で使用されるべきものであると制御部102により判定され、操作表示部104に「受取ボタン」および「取消ボタン」が表示されたときに、警備員によって「受取ボタン」ではなく「取消ボタン」が押下されると(STEP6「YES」)、貨幣入出金機100への紙幣の補充動作が取り消されるようになる。
なお、他の態様として、カセット装着部126に装着された収納カセット30が自店で使用されるべきものであると制御部102により判定された場合には、収納カセット30に収納されている紙幣の授受の認証が行われなくても、カセット装着部126に装着された収納カセット30から紙幣が1枚ずつ貨幣入出金機100の筐体101の内部に自動的に繰り出されて各収納繰出部134、136に金種毎に収納されるようになっていてもよい。
また、読取部129により読み取られた店舗情報と、記憶部106に記憶されている店舗情報とが一致せず、カセット装着部126に装着された収納カセット30が自店で使用されるべきものではないと制御部102により判定された場合には(STEP3の「NO」)、誤った収納カセット30がカセット装着部126に装着された旨の警告メッセージが操作表示部104に表示される(STEP10)。このことにより、警備員は、収納カセット30に収納されている紙幣が補充されるべき貨幣入出金機100が設置されている店舗20とは別の店舗20の貨幣入出金機100に紙幣を誤って収納しようとしていたことに気づくことができるようになる。
また、本実施の形態の貨幣入出金機100では、紙幣処理ユニット110において紙幣の少なくとも表裏の向きを反転させることができる反転機構が搬送部130に接続されていてもよい。また、この反転機構は、紙幣の表裏の向きに加えて紙幣の天地の向きを反転させることができるようになっていてもよい。また、このような紙幣処理ユニット110において各収納繰出部134、136に収納されている紙幣が警送会社の警備員によって回収される際に、通常回収モード、時短回収モードおよび表裏方向揃え回収モードのうちいずれの回収モードで処理を行うかを操作表示部104により選択することができるようになっていてもよい。ここで、警備員によって操作表示部104により通常回収モードが選択された場合には、各収納繰出部134、136から紙幣が1枚ずつ搬送部130に繰り出され、当該搬送部130により搬送される間に識別部132により識別され、そして識別部132により識別された紙幣が搬送部130により回収カセット140に送られるようになる。一方、警備員によって操作表示部104により時短回収モードが選択された場合には、各収納繰出部134、136から紙幣が1枚ずつ搬送部130に繰り出されるがこの繰り出された紙幣は識別部132により識別されることなく搬送部130により回収カセット140に送られるようになる。ここで、搬送部130により紙幣が搬送される間に識別部132により識別される場合には、周回搬送部130aにおいて紙幣を少なくとも一周させる必要があるが、識別部132により紙幣が識別されない場合には紙幣を周回搬送部130aにおいて一周させる必要がなくなるため各収納繰出部134、136から回収カセット140に紙幣を送る時間を短縮することができるようになる。
また、警備員によって操作表示部104により表裏方向揃え回収モードが選択された場合には、各収納繰出部134、136から紙幣が1枚ずつ搬送部130に繰り出され、識別部132により識別された後に搬送部130により反転機構に送られることによって当該反転機構において紙幣の表裏の向きが選択的に反転させられた後に回収カセット140に送られる。具体的には、各収納繰出部134、136から繰り出された2枚目以降の紙幣について、各収納繰出部134、136から繰り出された1枚目の紙幣の表裏の向きと異なるものは反転機構においてその表裏の向きが反転させられるようになる。このことにより、回収カセット140に集積される複数の紙幣はその表裏の向きが揃ったものとなる。また、反転機構が紙幣の表裏の向きに加えて紙幣の天地の向きを反転させることができるものである場合には、各収納繰出部134、136から繰り出された2枚目以降の紙幣について、各収納繰出部134、136から繰り出された1枚目の紙幣の表裏の向きおよび天地の向きのうち少なくとも一方が異なるものは反転機構においてその表裏の向きおよび天地の向きのうち少なくとも一方または両方が反転させられるようになる。このことにより、回収カセット140に集積される複数の紙幣はその表裏および天地の向きの両方が揃ったものとなる。なお、このような表裏方向揃え回収モードが実行される場合には、反転機構において少なくとも紙幣の表裏の向きを選択的に反転させるのに時間がかかるため、上述した通常回収モードや時短回収モードと比較して各収納繰出部134、136から回収カセット140に紙幣を送る時間が長くなる。しかしながら、表裏方向揃え回収モードが実行される場合には、回収カセット140に集積される複数の紙幣は少なくともその表裏の向きが揃ったものとなるため、回収された紙幣が収納されている回収カセット140が店舗20から警送会社10の運搬された後、警送会社10にて回収カセット140から取り出された紙幣の整理にかかる時間を短縮することができ、よって警送会社10における紙幣の整理に係る作業費用等の節約が可能となる。
また、反転機構が設けられていない場合でも、操作表示部104により表裏方向揃え回収モードを選択することができるようになっていてもよい。この場合には、各収納繰出部134、136から繰り出された2枚目以降の紙幣について、各収納繰出部134、136から繰り出された1枚目の紙幣の表裏の向きと異なるものは搬送部130により紙幣払出部122や出金リジェクト部124に搬送され、回収カセット140には送られない。このため、回収カセット140に集積される複数の紙幣はその表裏の向きが揃ったものとなる。
また、本実施の形態では、複数の貨幣入出金機100において回収カセット140、170が共通化されておりこれらの回収カセット140、170は様々な貨幣入出金機100において使い回されるようになっている。このため、従来では、各々の貨幣入出金機100において、回収カセット140、170の管理を行うのが難しいという問題があった。これに対し、本実施の形態では、回収カセット140、170のケーシングの側面にICタグ等の記憶媒体が設けられるようになっている。また、紙幣処理ユニット110や硬貨処理ユニット150において各回収カセット140、170が収容される箇所には、紙幣処理ユニット110や硬貨処理ユニット150に収容された各回収カセット140、170の記憶媒体から情報を読み取る読取部や当該記憶媒体に情報を書き込む書込部が設けられている。また、各回収カセット140、170に設けられている記憶媒体には、これらの回収カセット140、170の識別番号が記憶されるようになっている。また、この場合、貨幣入出金機100において紙幣や硬貨の回収処理が警送会社10の警備員によって行われて回収カセット140や回収カセット170が使用される度に、回収カセット140や回収カセット170の使用回数が上記の書込部によって回収カセット140や回収カセット170に設けられている記憶媒体に書き込まれるようになっている。
また、長期間の使用により回収カセット140、170が損傷、摩耗等すると、これらの回収カセット140、170を紙幣処理ユニット110や硬貨処理ユニット150に収容したときや搬送部130や出金搬送部162から回収カセット140、170に紙幣や硬貨を送ったときにエラーが発生する場合がある。ここで、このようなエラーが発生した場合には、エラーが発生した日時や内容等の履歴が上記の書込部によって回収カセット140や回収カセット170に設けられている記憶媒体に書き込まれる。
このように、紙幣処理ユニット110や硬貨処理ユニット150に収容された各回収カセット140、170の記憶媒体から読取部によって情報を読み取ることにより、回収カセット140、170の使用頻度が多い場合には交換時期が近づいていると判断されるため回収カセット140、170の交換を行う。具体的には、操作表示部104において回収処理開始の指令が警備員により入力されたときに、回収カセット140、170の使用回数が所定の閾値よりも多い場合には、回収カセット140、170の交換を促す旨のメッセージが操作表示部104に表示されるようになる。このことにより、回収カセット140、170に関する上記のトラブルを事前に防止することができるようになる。また、読取部により各回収カセット140、170の記憶媒体から読み取られた情報に基づいて、エラーが発生する頻度が高い回収カセット140、170については他の回収カセット140、170と交換するようにする。この場合にも、回収カセット140、170に関する上記のエラーを事前に防止することができるようになる。
また、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110や硬貨処理ユニット150と回収カセット140、170との間には相性があり、例えばある貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110には回収カセット140を収容させても問題ないが別の貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に同じ回収カセット140を収容させたときにはエラーが発生しやすくなる場合がある。このため、本実施の形態では、各貨幣入出金機100の識別情報と、各回収カセット140、170の識別情報とを関連付けて管理するようにしてもよい。この場合には、各貨幣入出金機100において、相性の良い回収カセット140、170を紙幣処理ユニット110や硬貨処理ユニット150に収容させることを操作者に促すメッセージ等を操作表示部104に表示させることができるようになる。
また、回収カセット140、170として、材料が互いに異なる複数の種類のものが用いられる場合には、回収カセット140、170の記憶媒体に当該回収カセット140、170の材質(例えば、金属やプラスチック等)に係る情報が記憶されるようになっていてもよい。このことにより、読取部により各回収カセット140、170の記憶媒体から読み取られた情報に基づいて、回収カセット140、170の材質と、エラーが発生する頻度との関係に係る情報を取得することができるようになるため、今後の貨幣入出金機100の開発の指針とすることができるようになる。また、回収カセット140、170に限定されることなく、貨幣入出金機100において共通して用いられる部品にICタグ等の記憶媒体を設けることにより、これらの部品の材質等の情報と、これらの部品に関するエラーが発生する頻度との関係に係る情報を取得するようにしてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣入出金機100およびこのような貨幣入出金機100による貨幣処理方法によれば、読取部129は、貨幣入出金機100の処理部(例えば、搬送部130)により処理される貨幣(具体的には、紙幣)を収納するための持ち運び可能な収納カセット30(収納部)に設けられている記憶媒体32から店舗情報を含む情報を読み取り、操作表示部104(報知部)は、読取部129により読み取られた店舗情報に基づいて、収納カセット30が自店で使用されるべきものであるか否かを報知するようになっている。このことにより、収納カセット30が自店で使用されるべきものであるか否かをチェックするための専用の器具を持たなくても操作者(具体的には、例えば警送会社10の警備員)は収納カセット30が自店で使用されるべきものであるか否かを知ることができる。
より詳細に説明すると、従来では、店舗のバックヤード領域に設置される貨幣入出金機に貨幣を補充するにあたり、補充されるべき貨幣が収納されているカセットを警送会社の警備員が輸送車により警送会社の現金処理センターから店舗に輸送し、店舗において警送会社の警備員から店舗の店員等にカセットが引き渡されていた。また、このようなカセットの授受が行われる際に、警備員が所持しているハンディターミナル等によってカセットに付けられているバーコード等が読み取られることにより、警送会社の警備員から店舗の店員等に引き渡されるカセットが店舗に適合しているか否かの確認が行われていた。具体的には、カセットに付けられているバーコード等には、当該カセットに収納されている貨幣が補充されるべき貨幣入出金機の店舗情報が記憶されており、このバーコード等がハンディターミナル等によって読み取られると、読み取られた貨幣入出金機の店舗情報と、実際にカセットが警送会社の警備員から店舗の店員等に引き渡された店舗の情報とが比較されるようになっていた。しかしながら、このような確認方法では、専用のハンディターミナル等を警送会社の警備員に持たせる必要があるため費用がかかったり、ハンディターミナル等の持ち運びの際に破損や紛失等のトラブルが生じてしまうおそれがあったりするという問題があった。また、カセットからバーコード等が剥がれた場合には、カセットに収納されている貨幣が自店の貨幣入出金機に補充されるべきものであるか否かを確認することができないという問題があった。これに対し、本実施の形態では、収納カセット30に設けられている記憶媒体32から読取部129によって店舗情報を含む情報を読み取り、この読み取られた店舗情報に基づいて、収納カセット30が自店で使用されるべきものであるか否かを操作表示部104により報知するため、上述した従来技術の問題点を解消することができる。
なお、本実施の形態において、貨幣を収納するための持ち運び可能な収納部は、紙幣を収納する収納カセット30に限定されることはない。本実施の形態において、貨幣を収納するための持ち運び可能な収納部として、硬貨を収納する収納カセットが用いられ、この収納カセットに、店舗情報を含む情報を記憶する記憶媒体が設けられていてもよい。この場合には、硬貨を収納する収納カセットが硬貨処理ユニット150に装着されたときに、当該収納カセットに設けられている記憶媒体から店舗情報が読み取られることにより、この読み取られた店舗情報に基づいて、収納カセットが自店で使用されるべきものであるか否かが操作表示部104により報知されるようになっていてもよい。また、収納カセット30等の収納部が自店で使用されるべきものであるか否かを報知する報知部は、収納カセット30等の収納部が自店で使用されるべきものであるか否かに係る情報を視覚的に表示する操作表示部104に限定されることはない。このような報知部として、収納カセット30等の収納部が自店で使用されるべきものであるか否かに係る情報を音声により操作者に報知するスピーカ等が用いられてもよい。
また、本実施の形態において、収納カセット30に設けられている記憶媒体32から情報を読み取る読取部がカセット装着部126に設けられるのではなく、筐体101の表面に読取部が設けられたり、筐体101とは別に読取部が設けられたりしてもよい。この場合には、収納カセット30をカセット装着部126に装着させなくても、カセット装着部126とは別の場所に設けられた読取部によって収納カセット30に設けられた記憶媒体32から情報を読み取らせることにより、この読み取られた店舗情報に基づいて、収納カセット30が自店で使用されるべきものであるか否かが操作表示部104により報知されるようになる。
また、貨幣を収納するための持ち運び可能な収納部として、カセットではなく麻袋等の収納袋が用いられ、紙幣や硬貨がこの収納袋に収納されるようになっていてもよい。この場合には、このような収納袋に店舗情報を含む情報を記憶するICタグ等の記憶媒体が設けられるようになる。このことにより、警送会社10の警備員が釣銭補充金としての紙幣や硬貨を貨幣入出金機100に補充する際に、釣銭補充金としての紙幣や硬貨が収納されている収納袋を警送会社10から店舗20に運搬した後、この収納袋に設けられた記憶媒体から読取部によって情報を読み取らせることにより、この読み取られた店舗情報に基づいて、収納袋が自店で使用されるべきものであるか否かが操作表示部104により報知される。
また、本実施の形態の貨幣入出金機100においては、上述したように、操作表示部104は、収納カセット30に収納されている紙幣の授受の認証を行うための操作部としても機能するようになっており、操作表示部104により収納カセット30が自店で使用されるべきものであることが報知されたときにおいてのみ、収納カセット30に収納されている紙幣の授受の認証を操作部により行うことができるようになっている。また、貨幣入出金機100には、収納カセット30に収納されている紙幣の授受の認証が行われた旨の情報を印字するための印字部107が設けられている。この場合には、収納カセット30に収納されている紙幣の授受の認証が行われた旨の情報を例えばレシート等に印字することによって、警送会社10の警備員は貨幣入出金機100に釣銭補充金としての紙幣を補充したことを証明することができるようになる。また、貨幣入出金機100には、収納カセット30に収納されている紙幣の授受を行った操作者の識別情報を受け付ける識別情報受付部108が設けられており、印字部107は、収納カセット30に収納されている紙幣の授受の認証が行われた旨の情報を印字する際に、識別情報受付部108により受け付けられた当該紙幣の授受を行った操作者の識別情報も印字するようになっている。この場合には、印字部107によりレシート等に操作者の識別情報も印字されるため、特定の操作者が貨幣入出金機100に釣銭補充金としての紙幣を補充したことを証明することができるようになる。
また、本実施の形態の貨幣入出金機100においては、上述したように、収納カセット30に収納されている紙幣の授受の認証が行われた旨の情報を当該収納カセット30の記憶媒体32に書き込むための書込部128、および収納カセット30に収納されている紙幣の授受の認証が行われた旨の情報を外部装置に送信するための通信部105がそれぞれ設けられている。また、本実施の形態の貨幣入出金機100においては、上述したように、読取部129により読み取られた店舗情報に基づいて、収納カセット30が自店で使用されるべきものであると判定されたときに、収納カセット30に収納されている紙幣の授受を操作者に促す旨の情報が操作表示部104に表示されるようになっている。
また、本実施の形態の貨幣入出金機100においては、上述したように、読取部129により読み取られた店舗情報に基づいて、収納カセット30が自店で使用されるべきものであると判定されたときに、収納カセット30から搬送部130等の処理部に紙幣が自動で送られるようになっていてもよい。この場合には、収納カセット30に収納されている紙幣の授受の認証を行わなくても、収納カセット30から搬送部130等の処理部に紙幣を自動で送ることができる。
また、本実施の形態による貨幣入出金機100は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、上述した貨幣入出金機100と、この貨幣入出金機100に通信可能に接続され、当該貨幣入出金機100の管理を行う管理装置(例えば、上位端末)とにより、本発明に係る貨幣処理システムが構成されるようになっていてもよい。この場合は、貨幣入出金機100の制御部102ではなく、上位端末等の管理装置に設けられた制御部が、読取部129により収納カセット30の記憶媒体32から読み取られた店舗情報に基づいて、収納カセット30が自店で使用されるべきものであるか否かを判定するようになっていてもよい。また、このような制御部による判定結果に基づいて、収納カセット30が自店で使用されるべきものであるか否かが報知部により報知されるが、本発明に係る貨幣処理システムでは、このような報知部は操作表示部104に限定されることはなく、貨幣入出金機100とは別に設けられたモニタ等によって収納カセット30が自店で使用されるべきものであるか否かが報知されるようになっていてもよい。
また、収納カセット30に設けられた記憶媒体32に、当該収納カセット30に収納されている、警送会社の警備員によって貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に補充されるべき釣銭準備金としての紙幣に係る情報(具体的には、例えば紙幣の金種毎の枚数に係る情報)が記憶されるようになっていてもよい。この場合には、警送会社の警備員によって収納カセット30がカセット装着部126に装着されたときに、読取部129によって記憶媒体32から釣銭準備金としての紙幣に係る情報も読み取られ、この読み取られた情報が操作表示部104に表示されるようになる。このことにより、警備員は、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に補充される釣銭準備金としての紙幣に係る情報をチェックすることができるようになる。また、操作表示部104に表示された、釣銭準備金としての紙幣に係る情報と、収納カセット30に収納されている紙幣が各収納繰出部134、136に収納される際に識別部132により識別された情報とが一致しない場合には、警備員は操作表示部104により各収納繰出部134、136に収納された紙幣の情報を訂正することができるようになっていてもよい。この場合には、訂正された紙幣の情報が印字部107により印字されるようになっていてもよい。また、紙幣処理ユニット110に補充されるべき釣銭準備金としての紙幣が収納されている収納カセット30がカセット装着部126に装着された後、この収納カセット30に収納されている紙幣が自動的に紙幣処理ユニット110に補充されるのではなく、収納カセット30から搬送部130に繰り出された紙幣を10枚ずつ紙幣払出部122の紙幣取出口122aから筐体101の外部に払い出し、警備員がこの払い出された紙幣を手動で計数するようになっていてもよい。
また、図1乃至図7に示すような貨幣管理システム1が、自社の資金を複数の店舗に配金する運用を行っている会社に適用されるようになっていてもよい。この場合には、警送会社の警備員ではなく、自社における特定の権限を有する操作者が、貨幣入出金機100の紙幣処理ユニット110に補充されるべき釣銭準備金としての紙幣が収納されている収納カセット30を自社の管理センターから各店舗に運搬し、各店舗においてこの操作者が収納カセット30を紙幣処理ユニット110のカセット装着部126に装着するようになる。
また、本発明に係る貨幣処理機として、図8乃至図10に示す貨幣処理装置301が用いられてもよい。ここで、図8は、本実施の形態による他の構成の貨幣処理装置301の外観を示す斜視図であり、図9は、図8に示す貨幣処理装置301における紙幣処理部400の内部構成を側方から見たときの構成図である。また、図10は、図8に示す貨幣処理装置301における制御系の構成を示す機能ブロック図である。
図8に示すように、貨幣処理装置301は、紙幣の入金処理および出金処理を行う紙幣処理部400と、硬貨の入金処理および出金処理を行う硬貨処理部500と、包装硬貨の出金処理を行う包装硬貨処理部600とを備えている。
図9に示すように、紙幣処理部400の筐体前面側上部には、入金する紙幣の投入および出金する紙幣の排出を行う紙幣入出金口420が設けられている。紙幣入出金口420は、紙幣入金口および紙幣出金口として機能する。また、紙幣入出金口420には、開閉可能なシャッタ機構401が設けられており、通常は、紙幣入出金口420がシャッタによって閉止されている。一方、紙幣を入出金する際には、シャッタ機構401によってシャッタが開いて紙幣入出金口420が開放され、紙幣を入出金できるようになっている。
このような紙幣処理部400における紙幣の入金処理について説明する。操作部312(後述)を操作して入金処理を開始すると、シャッタ機構401によってシャッタが開かれ、紙幣入出金口420が開放される。入金する紙幣を紙幣入出金口420に投入すると、再びシャッタが閉じて、紙幣入出金口420に投入された紙幣が、紙幣繰出機構421によって、1枚ずつ紙幣搬送部430を構成する紙幣搬送路上に繰り出される。紙幣搬送路上に繰り出された紙幣は、時計回りに紙幣を搬送するループ状の紙幣搬送路を紙幣識別部431に向けて搬送される。紙幣搬送部430は、紙幣搬送路と、紙幣搬送路の複数箇所に設けられた分岐部材436とを含み、紙幣搬送路上を搬送する紙幣を分岐部材436によって分岐搬送路へ送ることにより、紙幣の搬送先を制御できるようになっている。
紙幣識別部431は、紙幣搬送部430によって搬送される紙幣の金種、正損、真偽等を識別して計数する機能を有する。紙幣識別部431を経て、ループ状の紙幣搬送路を時計回りに搬送される紙幣のうち、紙幣識別部431によって識別できない紙幣、正常な紙幣ではないと識別された紙幣、搬送異常(斜行、重送、連鎖等)が検出された紙幣等は、入金できないリジェクト紙幣として返却するため、装置前方へ向けて搬送され、入金リジェクト部424に集積される。一方、入金可能な正常紙幣は、紙幣一時保留部442に一時保留される。
紙幣入出金口420に投入された全ての紙幣を紙幣識別部431によって識別して、紙幣一時保留部442または入金リジェクト部424に集積した後、表示部311には、入金紙幣の識別計数結果が表示される。表示を確認した利用者が操作部312により入金処理をキャンセルすると、紙幣一時保留部442に一時保留されていた紙幣が紙幣繰出機構443によって紙幣搬送路上へ繰り出されて紙幣入出金口420へ返却される。一方、利用者が入金処理を確定する操作を行うと、紙幣一時保留部442に一時保留されていた紙幣は、紙幣搬送路上へ繰り出されて、対応する金種別紙幣収納部440に収納される。例えば、金種別紙幣収納部440aに一万円札を収納して、金種別紙幣収納部440bに五千円札を収納して、金種別紙幣収納部440cに千円札を収納する。
このとき、各金種別紙幣収納部440に割り当てられていない二千円札等の紙幣、金種別紙幣収納部440に割り当てられている金種の紙幣であるが出金処理に利用できない傷んだ紙幣(損券)等は、紙幣回収カセット444に収納される。紙幣回収カセット444は、装置前面の扉403を開いて装置外へ取り外せるように、装置に対して脱着可能に設けられており、金種別紙幣収納部440から回収する紙幣の収納にも利用することができる。具体的には、回収する紙幣を金種別紙幣収納部440から繰り出して、紙幣回収カセット444に収納した後、紙幣回収カセット444を装置から取り外して回収する。また、紙幣回収カセット444にも紙幣繰出機構445が設けられており、紙幣回収カセット444に補充用の紙幣を収納しておいて、補充用の紙幣を紙幣搬送路に繰り出して金種別紙幣収納部440に補充することも可能となっている。
次に、紙幣処理部400における紙幣の出金処理について説明する。表示部311に表示される情報を確認しながら操作部312を操作して出金処理開始の指示を入力し、出金する紙幣の金種および枚数を指定すると、指定された金種および枚数の紙幣が、対応する金種別紙幣収納部440から1枚ずつ繰り出されて、ループ状の紙幣搬送路上を紙幣識別部431に向けて反時計回りに搬送される。紙幣の繰り出しは、各金種別紙幣収納部440に設けられている紙幣繰出機構441によって行われる。紙幣識別部431で金種等を識別された紙幣は、引き続き反時計回りに紙幣入出金口420へ向けて搬送される。そして、紙幣識別部431によって出金できないと判定された紙幣は、紙幣入出金口420へ搬送されることなく途中で分岐され、リジェクト紙幣として出金リジェクト部426に集積される。一方、出金可能と識別された紙幣は、紙幣入出金口420に集積される。全ての出金紙幣を紙幣入出金口420に集積し終えると、シャッタ機構401によってシャッタが開かれる。利用者が、紙幣入出金口420の全ての紙幣を抜き取ると、シャッタ機構401が再びシャッタを閉じて出金処理を完了する。
また、図8および図9に示すように、紙幣搬送部430にはカセット装着部450が接続されている。カセット装着部450は紙幣処理部400の前面側に設けられており、紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰り出し可能な収納カセットをカセット装着部450に装着させたりこのカセット装着部450から収納カセットを取り出したりすることができるようになっている。ここで、カセット装着部450に装着可能な収納カセットは、図1乃至図7に示す貨幣管理システム1で用いられる収納カセット30と略同一の構成となっている。また、カセット装着部450には、当該カセット装着部450に装着された収納カセットに設けられているICタグ等の記憶媒体に様々な情報を書き込む書込部および当該記憶媒体から様々な情報を読み取る読取部がそれぞれ設けられている。
図8に示すように、硬貨処理部500は略直方体形状の筐体を有し、筐体上面には、硬貨を投入するための硬貨入金口501が設けられている。硬貨入金口501は、シャッタ機構および供給ホッパ(図示せず)を含み、通常は供給ホッパがシャッタにより閉止された状態にあり、硬貨を入金する際には、シャッタが開いて、上面が開放された供給ホッパ内に多数の硬貨を投入できるようになっている。また、硬貨処理部500の筐体下部には硬貨出金箱504が設けられている。このような硬貨処理部500の詳細については説明を省略する。
図8に示すように、包装硬貨処理部600の筐体前面側の上部には、シャッタ機構を有する包装硬貨出金口601が設けられており、通常は、包装硬貨出金口601がシャッタによって閉止されている。また、包装硬貨処理部600の筐体内には、包装硬貨を整列状態で収納するための複数の包装硬貨収納トレイ(図示せず)が設けられている。そして、包装硬貨を出金する際には、シャッタが開いて、包装硬貨収納トレイから繰り出された包装硬貨を包装硬貨出金口601から出金できるようになっている。このような包装硬貨処理部600の詳細については説明を省略する。
図10は、貨幣処理装置301における制御系の構成を示すブロック図である。貨幣処理装置301は、図8および図9に示す表示部311、操作部312、プリンタ320、紙幣処理部400、硬貨処理部500および包装硬貨処理部600の他に、通信部330と、記憶部340と、これら各部を制御する制御部310とを有している。
操作部312はキーボード等からなり、貨幣処理に関する設定情報や指示情報等、各種情報を入力するために利用する。また、表示部311は、液晶表示部等からなり、貨幣処理に関する各種情報を出力して表示するために利用する。プリンタ320は、入金処理や出金処理等、貨幣処理装置301で行われた貨幣処理に関する情報を印字するために利用する。
通信部330は、POSサーバ等の外部装置との間でデータを送受信する機能を有する。また、記憶部340は半導体メモリやハードディスク等からなる不揮発性の記憶装置であり、制御部310が各部を制御するために必要なプログラムや、入金処理に関する設定、補充処理に関する設定等、各種設定情報の保存に利用する。その他、記憶部340には、出金処理に関する情報、入金処理に関する情報、レジ係の認証処理に必要な情報等、各種情報が保存されている。
また、図8乃至図10に示す貨幣処理装置301でも、紙幣処理部400のカセット装着部450に装着可能となっている収納カセットは、警送会社の警備員が貨幣処理装置301の紙幣処理部400に釣銭準備金としての紙幣を補充する際に用いられるようになっている。具体的には、貨幣処理装置301の紙幣処理部400に警備員が釣銭準備金としての紙幣を補充する際に、この釣銭準備金としての紙幣が収納されている収納カセットを警送会社から店舗に警備員が運搬する。そして、警備員が収納カセットを貨幣処理装置301の紙幣処理部400に設けられているカセット装着部450に装着すると、カセット装着部450に装着された収納カセットから紙幣が繰り出されて紙幣処理部400の内部に収納されるようになる。また、収納カセットに設けられた記憶媒体には、釣銭準備金としての紙幣が補充されるべき貨幣処理装置301が設置されている店舗の識別情報である店舗情報が記憶されるようになっている。
次に、警送会社の警備員が本実施の形態の貨幣処理装置301に貨幣(具体的には、紙幣)を補充したり当該貨幣処理装置301から売上金としての貨幣を回収したりする動作の詳細について以下に説明する。
まず、警送会社の警備員は、貨幣釣銭機で用いられる釣銭準備金としての紙幣が収納されている状態で収納カセットを警送会社の管理センターから店舗に運搬する。次に、警備員は操作部312によって自分の識別番号およびパスワードを入力する。このことにより、警備員の識別情報が受け付けられ、当該警備員の認証が制御部310により行われる。なお、操作部312によって識別番号およびパスワードを入力することにより警備員の識別情報が受け付けられる代わりに、ICカードの読み取りを行うカードリーダが貨幣処理装置301に設けられており、警備員は所持するICカードをカードリーダによって読み取らせることにより当該警備員の識別情報が受け付けられるようになっていてもよい。制御部310において警備員の認証が行われると、扉403のロックが解除されてこの扉403を開くことができるようになる。このことにより、警備員は紙幣処理部400の筐体の内部から紙幣回収カセット444を取り出してこの紙幣回収カセット444に収納されている紙幣を紙幣回収カセット444ごと回収することができるようになる。
また、警備員が貨幣処理装置301の紙幣処理部400に釣銭準備金としての紙幣を補充する場合には、制御部310において警備員の認証が行われた後、釣銭補充金としての紙幣が収納されている収納カセットを貨幣処理装置301の紙幣処理部400に設けられているカセット装着部450に装着させる。収納カセットがカセット装着部450に装着されると、この収納カセットに設けられている記憶媒体から店舗情報を含む情報が読取部により読み取られる。そして、制御部310は、読取部により読み取られた店舗情報に基づいて、カセット装着部450に装着された収納カセットが自店(すなわち、貨幣処理装置301が設置されている店舗)で使用されるべきものであるか否かを判定する。具体的には、貨幣処理装置301の記憶部340には、この貨幣処理装置301が設置されている店舗の識別情報である店舗情報が記憶されており、制御部310は、読取部により読み取られた店舗情報と、記憶部340に記憶されている店舗情報とが一致するか否かを判定する。
カセット装着部450に設けられた読取部により読み取られた店舗情報と、記憶部340に記憶されている店舗情報とが一致し、カセット装着部450に装着された収納カセットが自店で使用されるべきものであると制御部310により判定された場合には、収納カセットに収納されている紙幣の授受を操作者に促す旨の情報が表示部311に表示される。そして、警備員によって操作部312により収納カセットに収納されている紙幣の授受を行う旨の指令が入力されると、収納カセットに収納されている紙幣の授受の認証が行われる。収納カセットに収納されている紙幣の授受の認証が警備員により行われると、カセット装着部450に装着された収納カセットから紙幣が1枚ずつ紙幣処理部400の筐体の内部に繰り出され、紙幣搬送部430により搬送されるようになる。そして、紙幣搬送部430により搬送される紙幣は紙幣識別部431によりその金種等が識別された後、紙幣一時保留部442に一時保留される。収納カセットから繰り出された紙幣を紙幣識別部431によって識別して、紙幣一時保留部442に集積した後、表示部311には、入金紙幣の識別計数結果が表示される。表示を確認した警備員が操作部312により入金処理をキャンセルすると、紙幣一時保留部442に一時保留されていた紙幣が紙幣繰出機構443によって紙幣搬送路上へ繰り出されて収納カセットに返却される。一方、警備員が入金処理を確定する操作を行うと、紙幣一時保留部442に一時保留されていた紙幣は、紙幣搬送路上へ繰り出されて、対応する金種別紙幣収納部440に収納される。
その後、収納カセットに収納されている紙幣の授受が行われたことがプリンタ320によりレシートに印字される。このことにより、警備員はプリンタ320により印字されたレシートを持ち帰ることによって貨幣処理装置301の紙幣処理部400に釣銭補充金としての紙幣を補充したことを証明することができるようになる。また、収納カセットに収納されている紙幣の授受が行われたことがプリンタ320によりレシートに印字される際に、収納カセットに収納されている紙幣の授受を行った操作者の識別情報(すなわち、操作部312等により入力された警備員の識別情報)もプリンタ320によりレシートに印字される。このことにより、誰が収納カセットに収納されている紙幣を貨幣処理装置301の紙幣処理部400に補充したかがより明確となる。また、収納カセットに収納されている紙幣の授受が行われた旨の情報や、収納カセットに収納されている紙幣の授受を行った操作者の識別情報等の情報が通信部330により上位端末等の外部装置に送信されるようになっていてもよい。さらに、収納カセットに収納されている紙幣の授受が行われた旨の情報や、収納カセットに収納されている紙幣の授受を行った操作者の識別情報等の情報が書込部により収納カセットの記憶媒体に書き込まれるようになっていてもよい。一方、カセット装着部450に装着された収納カセットが自店で使用されるべきものであると制御部310により判定されたときに、警備員によって操作部312により紙幣の授受を取り消す旨の指令が入力されると、貨幣処理装置301の紙幣処理部400への紙幣の補充動作が取り消されるようになる。
なお、他の態様として、カセット装着部450に装着された収納カセットが自店で使用されるべきものであると制御部310により判定された場合には、収納カセットに収納されている紙幣の授受の認証が行われなくても、カセット装着部450に装着された収納カセットから紙幣が1枚ずつ貨幣処理装置301の紙幣処理部400の内部に自動的に繰り出されるようになっていてもよい。
また、カセット装着部450に設けられた読取部により読み取られた店舗情報と、記憶部340に記憶されている店舗情報とが一致せず、カセット装着部450に装着された収納カセットが自店で使用されるべきものではないと制御部310により判定された場合には、誤った収納カセットがカセット装着部450に装着された旨の警告メッセージが表示部311に表示される。このことにより、警備員は、収納カセットに収納されている紙幣が補充されるべき貨幣処理装置301が設置されている店舗とは別の店舗の貨幣処理装置301に誤って紙幣を収納しようとしていたことに気づくことができるようになる。
以上のような構成からなる貨幣処理装置301によれば、カセット装着部450に設けられている読取部は、処理部(例えば、紙幣搬送部430)により処理される貨幣(具体的には、紙幣)を収納するための持ち運び可能な収納カセット(収納部)に設けられている記憶媒体から店舗情報を含む情報を読み取り、表示部311(報知部)は、読取部により読み取られた店舗情報に基づいて、収納カセットが自店で使用されるべきものであるか否かを報知するようになっている。このことにより、収納カセットが自店で使用されるべきものであるか否かをチェックするための専用の器具を持たなくても操作者(具体的には、例えば警送会社の警備員)は収納カセットが自店で使用されるべきものであるか否かを知ることができる。
また、本発明に係る貨幣処理機として、図11乃至図13に示す有価媒体処理装置710が用いられてもよい。ここで、図11は、本実施の形態による更に他の構成の有価媒体処理装置710の外観を示す斜視図であり、図12は、図11に示す有価媒体処理装置710における紙葉類処理機構720および硬貨処理機構750の内部構成を側方から見たときの構成図である。また、図13は、図11に示す有価媒体処理装置710における制御系の構成を示す機能ブロック図である。
図11および図12に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置710は略直方体形状の筐体712を有しており、この筐体712内には、紙幣や商品券等の紙葉類の処理を行う紙葉類処理機構720および硬貨の処理を行う硬貨処理機構750がそれぞれ設けられている。また、図11等に示すように、有価媒体処理装置710を正面から見て右側部分には上方から順に紙葉類投入部722、リジェクト部730、およびカセット装着部732(後述)の前面開口を開閉するためのシャッタ733がそれぞれ配設されている。また、有価媒体処理装置710を正面から見て左側部分には硬貨投入部752が配設されている。また、有価媒体処理装置710の上側部分には例えばタッチパネル等からなる操作表示部782が配設されている。また、有価媒体処理装置710の前面下部には下部扉714が設けられており、この下部扉714を開くことにより、筐体712内に収容された紙葉類回収カセット738、740(後述)や硬貨回収カセット768、770(後述)を筐体712の外部に引き出すことができるようになっている。
次に、このような有価媒体処理装置710における紙葉類処理機構720および硬貨処理機構750の構成の詳細についてそれぞれ図12を用いて以下に説明する。なお、図12においては、紙葉類処理機構720の構成と硬貨処理機構750の構成とを1枚の図面に表示するため、両処理機構が前後に位置するように模式的に示されている。図12に示すように、紙葉類処理機構720において、紙葉類投入部722には紙葉類繰出部723が設けられており、この紙葉類投入部722に積層状態で投入された紙幣や商品券等の紙葉類は紙葉類繰出部723により1枚ずつ有価媒体処理装置710の筐体712内に繰り出されるようになっている。また、紙葉類投入部722には紙葉類搬送部724が接続されており、紙葉類繰出部723により紙葉類投入部722から繰り出された紙幣や商品券等の紙葉類は紙葉類搬送部724により1枚ずつ搬送されるようになっている。また、紙葉類搬送部724には紙葉類識別部726が介設されており、紙葉類搬送部724により搬送される紙幣や商品券等の紙葉類は紙葉類識別部726によりその種類や金種等について識別が行われるようになっている。より詳細には、紙葉類識別部726には撮像部としてイメージセンサ727が設けられており、このイメージセンサ727により紙幣や商品券等の紙葉類の表面が撮像されてその画像データが取得されるようになっている。また、紙葉類識別部726は、イメージセンサ727により取得された紙幣や商品券の画像データに基づいて、紙幣の記番号や商品券の券番号(以下、これらをまとめて有価媒体の識別番号ともいう)を取得するようになっている。
また、紙葉類搬送部724における紙葉類識別部726よりも下流側には消し込み部728が設けられている。消し込み部728は例えばインクジェットプリンタ等からなり、紙葉類識別部726により識別が行われた紙葉類が商品券である場合には、このような商品券の表面に対して消し込み部728により「済」印等の所定の内容が印字されるようになっている。このことにより、有価媒体処理装置710の筐体712内に投入されて紙葉類識別部726により識別が行われた商品券について、所定の内容が印字されることにより、操作者はこのような商品券が紙葉類処理機構720で処理済のものであることを視認することができるようになる。なお、消し込み部728により商品券に印字される内容や位置は任意に設定することができるようになっている。また、商品券の種類に応じて、消し込み部728による印字を行うか否かの設定を行うことができるようになっている。
また、図12に示すように、紙葉類搬送部724にはリジェクト部730が接続されており、紙葉類識別部726により識別された紙葉類のうち、正常な紙幣ではないと識別された紙幣や予め設定された所定の種類のものではない商品券がリジェクト券として紙葉類搬送部724からリジェクト部730に送られてこのリジェクト部730に集積されるようになっている。リジェクト部730は有価媒体処理装置710の筐体712の外部から操作者がアクセス可能となっており、リジェクト部730に集積されたリジェクト券は操作者により筐体712の外部に取り出されるようになっている。
また、図12に示すように、紙葉類搬送部724にはカセット装着部732が接続されている。カセット装着部732は筐体712の前面側に設けられており、紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰り出し可能な収納カセットをカセット装着部732に装着させたりこのカセット装着部732から収納カセットを取り出したりすることができるようになっている。ここで、カセット装着部732に装着可能な収納カセットは、図1乃至図7に示す貨幣管理システム1で用いられる収納カセット30と略同一の構成となっている。また、カセット装着部732には、当該カセット装着部732に装着された収納カセットに設けられているICタグ等の記憶媒体に様々な情報を書き込んだり当該記憶媒体から様々な情報を読み取ったりするリーダライタ732a(図13参照)が設けられている。また、図11および図12に示すように、カセット装着部732には、このカセット装着部732の前面開口の開閉を行うシャッタ733が設けられており、このシャッタ733を開くことにより、操作者はカセット装着部732に収納カセットを装着したりカセット装着部732から収納カセットを取り出したりすることができるようになっている。このようなシャッタ733の開閉は後述する制御部780により制御されるようになっている。なお、カセット装着部732の前面開口にシャッタ733を設置することを省略することもでき、この場合には、カセット装着部732は有価媒体処理装置710の筐体712の外部から操作者がいつでもアクセス可能となる。
また、図12に示すように、紙葉類搬送部724には第1の紙葉類一時保留部734および第2の紙葉類一時保留部736がそれぞれ接続されており、紙葉類識別部726により識別された紙葉類のうち予め設定された所定の種類の紙葉類が紙葉類搬送部724から第1の紙葉類一時保留部734や第2の紙葉類一時保留部736に送られてこれらの第1の紙葉類一時保留部734や第2の紙葉類一時保留部736に一時的に保留されるようになっている。また、第1の紙葉類一時保留部734の下方には第1の紙葉類回収カセット738が設けられているとともに、第2の紙葉類一時保留部736の下方には第2の紙葉類回収カセット740が設けられている。そして、第1の紙葉類一時保留部734や第2の紙葉類一時保留部736に紙葉類が一時的に保留された後、有価媒体処理装置710の制御部780(後述)に対して操作表示部782(後述)により入金確定の指令が与えられると、第1の紙葉類一時保留部734や第2の紙葉類一時保留部736の底面が開放されてこれらの第1の紙葉類一時保留部734や第2の紙葉類一時保留部736に一時的に保留されている紙葉類が第1の紙葉類回収カセット738や第2の紙葉類回収カセット740に収納されるようになっている。これらの第1の紙葉類回収カセット738や第2の紙葉類回収カセット740は、有価媒体処理装置710の筐体712から取り外し可能となっており、第1の紙葉類回収カセット738や第2の紙葉類回収カセット740を筐体712から取り外すことによりこれらの第1の紙葉類回収カセット738や第2の紙葉類回収カセット740に収納されている紙葉類を取り出すことができるようになっている。
また、第1の紙葉類一時保留部734や第2の紙葉類一時保留部736に紙葉類が一時的に保留された後、有価媒体処理装置710の制御部780(後述)に対して操作表示部782(後述)により返却指令が与えられると、第1の紙葉類一時保留部734や第2の紙葉類一時保留部736に一時的に保留された紙葉類が有価媒体処理装置710の筐体712の外部に返却されるようになっている。ここで、第1の紙葉類一時保留部734や第2の紙葉類一時保留部736は、第1の紙葉類回収カセット738や第2の紙葉類回収カセット740から独立して有価媒体処理装置710の筐体712から手前側に引き出し可能となっている。具体的には、図11に示すように、有価媒体処理装置710の前面において下部扉714の右上箇所に一時保留部用扉716が設けられており、第1の紙葉類一時保留部734内の保留紙幣を回収する際には、この一時保留部用扉716を開くことで第1の紙葉類一時保留部734内の保留紙幣を取り出すことができるようになっている。一方、第2の紙葉類一時保留部736内の保留紙幣を回収する際には、この一時保留部用扉716を開き、第1の紙葉類一時保留部734および第2の紙葉類一時保留部736をそれぞれ筐体712から手前側に引き出すことで第2の紙葉類一時保留部736の上面から保留紙幣を取り出すことができるようになる。
次に、硬貨処理機構750の構成について以下に説明する。図11および図12に示すように、硬貨処理機構750には例えばホッパ等からなる硬貨投入部752が設けられており、この硬貨投入部752には硬貨搬送部754が接続されている。ここで、硬貨投入部752に投入された硬貨は硬貨搬送部754により一層一列状態で1枚ずつ搬送されるようになっている。また、硬貨搬送部754には硬貨識別部756が設けられており、硬貨搬送部754により搬送される硬貨は硬貨識別部756によりその真偽や金種等について識別が行われるようになっている。また、硬貨識別部756よりも硬貨の搬送方向における下流側において、硬貨搬送部754の搬送面には硬貨リジェクト口および2つの分岐口がそれぞれ設けられており、これらの硬貨リジェクト口や各分岐口にはソレノイド付き選別部材(図示せず)がそれぞれ設けられている。そして、各ソレノイド付き選別部材により、硬貨搬送部754により搬送される硬貨が硬貨リジェクト口や各分岐口に選択的に入れられ、硬貨搬送部754から分岐されるようになっている。
図12に示すように、硬貨搬送部754における硬貨リジェクト口の下方には硬貨リジェクトシュート758を介して硬貨リジェクト部760が設けられている。ここで、硬貨識別部756により識別された硬貨のうち、正常な硬貨ではないリジェクト硬貨は硬貨リジェクト口により硬貨搬送部754から分岐されて硬貨リジェクトシュート758に送られ、この硬貨リジェクトシュート758により硬貨リジェクト部760に導かれるようになっている。このような硬貨リジェクト部760は有価媒体処理装置710の筐体712の外部に取り出し可能となっており、操作者は、硬貨リジェクト部760を筐体712の外部に取り出した後、この硬貨リジェクト部760からリジェクト硬貨を取り出すようになっている。
また、硬貨搬送部754に設けられた2つの分岐口の各々の下方には第1の硬貨搬送シュート761および第2の硬貨搬送シュート763を介して第1の硬貨一時保留部762および第2の硬貨一時保留部764がそれぞれ設けられており、所定の金種の硬貨がそれぞれ硬貨搬送部754から分岐口により分岐されて第1の硬貨搬送シュート761や第2の硬貨搬送シュート763に送られ、第1の硬貨一時保留部762や第2の硬貨一時保留部764に一時的に保留されるようになっている。ここで、第1の硬貨一時保留部762および第2の硬貨一時保留部764はそれぞれ、上方および下方が開口された枠体と、この枠体の下方開口を選択的に閉じる底板とを有しており、枠体の下方開口を底板が閉じた状態で、第1の硬貨一時保留部762や第2の硬貨一時保留部764に硬貨が一時的に保留されるようになっている。
また、図12に示すように、第1の硬貨一時保留部762や第2の硬貨一時保留部764の下方には、硬貨返却箱766、第1の硬貨回収カセット768および第2の硬貨回収カセット770がそれぞれ設けられており、第1の硬貨一時保留部762や第2の硬貨一時保留部764に一時的に保留された硬貨は、これらの硬貨返却箱766、第1の硬貨回収カセット768および第2の硬貨回収カセット770のうち何れかに送られるようになっている。ここで、第1の硬貨回収カセット768には第1の硬貨一時保留部762に一時的に保留された硬貨が送られるようになっており、また、第2の硬貨回収カセット770には第2の硬貨一時保留部764に一時的に保留された硬貨が送られるようになっている。また、硬貨返却箱766は2つの領域に区分けされている。そして、第1の硬貨一時保留部762や第2の硬貨一時保留部764に硬貨が一時的に保留された後、有価媒体処理装置710の制御部780(後述)に対して操作表示部782(後述)により入金確定の指令が与えられると、第1の硬貨一時保留部762や第2の硬貨一時保留部764の枠体が水平方向に移動して、この枠体内にある硬貨がそれぞれ第1の硬貨回収カセット768や第2の硬貨回収カセット770に収納されるようになる。これらの第1の硬貨回収カセット768や第2の硬貨回収カセット770は、有価媒体処理装置710の筐体712から取り外し可能となっており、第1の硬貨回収カセット768や第2の硬貨回収カセット770を筐体712から取り外すことによりこれらの第1の硬貨回収カセット768や第2の硬貨回収カセット770に収納されている硬貨を取り出すことができるようになっている。
また、第1の硬貨一時保留部762や第2の硬貨一時保留部764に硬貨が一時的に保留された後、有価媒体処理装置710の制御部780(後述)に対して操作表示部782(後述)により返却指令が与えられると、第1の硬貨一時保留部762や第2の硬貨一時保留部764の底板が水平方向に移動して枠体の下部開口が開くことにより、この枠体内にある硬貨が硬貨返却箱766に収納される。ここで、前述したように硬貨返却箱766は2つの領域に区分けされており、第1の硬貨一時保留部762および第2の硬貨一時保留部764からそれぞれ送られた硬貨が、2つに区分けされた各領域に収納されるようになる。硬貨返却箱766は有価媒体処理装置710の筐体712から前方に引き出し可能となっており、硬貨返却箱766を筐体712から前方に引き出すことにより操作者はこの硬貨返却箱766から返却硬貨を取り出すことができるようになる。
また、本実施の形態では、カセット装着部732、第1の紙葉類回収カセット738、第2の紙葉類回収カセット740、第1の硬貨回収カセット768および第2の硬貨回収カセット770からなる各有価媒体収納部へのアクセスが規制部775(図13参照)により有価媒体収納部毎に規制されるようになっている。より詳細には、紙葉類回収カセット738、740や硬貨回収カセット768、770については、各収納カセットに対応してカセットロック部(図示せず)がそれぞれ設けられており、これらのカセットロック部により有価媒体処理装置710の筐体712内に各収納カセットを選択的にロックして取出不可とするようになっている。そして、このような規制部775によるロックを解除することにより、有価媒体処理装置710の筐体712内から第1の紙葉類回収カセット738のみを取り出す動作や、有価媒体処理装置710の筐体712内から第1の紙葉類回収カセット738、第2の紙葉類回収カセット740、第1の硬貨回収カセット768、第2の硬貨回収カセット770を一体的に取り出す動作等を選択的に行うことができるようになる。
また、図13に示すように、本実施の形態の有価媒体処理装置710では、この有価媒体処理装置710における各構成要素の制御を行う制御部780が設けられている。より詳細には、制御部780には紙葉類処理機構720、硬貨処理機構750、規制部775等がそれぞれ接続されており、この制御部780から各構成要素に指令信号が送られることにより、これらの各構成要素が制御されるようになっている。また、前述したように、有価媒体処理装置710の上側部分には例えばタッチパネル等からなる操作表示部782が配設されているが、この操作表示部782も制御部780に接続されており、このことにより、操作者は操作表示部782によって制御部780に対して様々な指令を与えたり、あるいは操作表示部782における表示内容が制御部780により制御されたりするようになっている。このような操作表示部782には、例えば操作ガイダンスや入金処理時の取引データ、あるいは各回収カセット738、740、768、770に収納された貨幣や商品券の在高等のデータが表示されるようになっている。
また、制御部780には記憶部784が接続されており、この記憶部784には、入金処理時の取引データや、各回収カセット738、740、768、770に収納された貨幣や商品券の在高等のデータが記憶されるようになっている。また、本実施の形態では、制御部780は、紙葉類投入部722により筐体712内に投入され、紙葉類識別部726により識別が行われた紙幣や商品券等の有価媒体について、当該紙葉類識別部726においてイメージセンサ727により取得された有価媒体の画像データに基づいて取得された有価媒体の識別番号(具体的には、紙幣の記番号や商品券の券番号)を記憶部784に記憶させるようになっている。
また、制御部780には、操作者の管理権限を認証するための認証部786が設けられている。認証部786は、例えば有価媒体処理装置710の上側部分における操作表示部782の右側に配置され、操作者が携帯するICカードの読み取りを行うICカードリーダ783(図11参照)からなり、このようなICカードリーダ783で操作者が携帯するICカードの読み取りを行うことによりこの操作者の管理権限が店舗側の管理権限および警送会社側の管理権限のうち何れかを判定するようになっている。なお、認証部786としては、ICカードリーダ783の代わりに、操作者が携帯する磁気カードの読み取りを行う磁気カードリーダが用いられてもよい。また、操作者は、ICカードをICカードリーダ783に読み取らせる代わりに、操作表示部782や別途設けられたキーボード等(図示せず)により操作者の識別番号やパスワードを入力し、この入力された操作者の識別番号やパスワードに基づいて認証部786が操作者の管理権限を認証するようになっていてもよい。また、認証部786は、操作者の指紋や網膜をチェックするような生体認証を行うようになっていてもよい。
また、制御部780にはプリンタ788が接続されており、このプリンタ788により、入金処理時の取引データや、有価媒体処理装置710の締め処理や回収処理の際における各回収カセット738、740、768、770やカセット装着部732に収納された貨幣や商品券の在高等のデータ等の印字が行われるようになっている。
また、制御部780には通信部790が接続されており、この通信部790により、有価媒体処理装置710の制御部780は上位装置等の外部装置に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。具体的には、有価媒体処理装置710の入金処理時の取引データが通信部790を介して外部装置に送信されたり、有価媒体処理装置710の様々な設定情報等が通信部790により外部装置から受信されたりするようになっている。
また、図11乃至図13に示す有価媒体処理装置710でも、紙葉類処理機構720のカセット装着部732に装着可能となっている収納カセットは、警送会社の警備員が有価媒体処理装置710の紙葉類処理機構720に紙幣を補充する際に用いられるようになっている。具体的には、紙葉類処理機構720のカセット装着部732に警備員が紙幣を補充する際に、紙幣が収納されている収納カセットを警送会社から店舗に警備員が運搬する。そして、警備員が収納カセットを紙葉類処理機構720のカセット装着部732に設けられているカセット装着部732に装着すると、カセット装着部732に装着された収納カセットから紙幣が繰り出されて紙葉類処理機構720の内部に収納されるようになる。また、収納カセットに設けられた記憶媒体には、紙幣が補充されるべき有価媒体処理装置710が設置されている店舗の識別情報である店舗情報が記憶されるようになっている。
次に、警送会社の警備員が本実施の形態の有価媒体処理装置710に貨幣(具体的には、紙幣)を補充する動作の詳細について以下に説明する。
まず、警送会社の警備員は、有価媒体処理装置710に補充されるべき紙幣が収納されている収納カセットを警送会社の管理センターから店舗に運搬する。次に、警備員は自分のICカードをICカードリーダ783によって読み取らせることにより当該警備員の認証が認証部786により行われる。なお、警備員は自分のICカードをICカードリーダ783によって読み取らせることにより当該警備員の認証を行う代わりに、操作表示部782によって自分の識別番号およびパスワードを入力することにより当該警備員の認証を認証部786により行うようにしてもよい。そして、認証部786において警備員の認証が行われると、警備員はシャッタ733を開いてカセット装着部732に紙幣が収納されている収納カセットを装着する。収納カセットがカセット装着部732に装着されると、この収納カセットに設けられている記憶媒体から店舗情報を含む情報がリーダライタ732aにより読み取られる。そして、制御部780は、リーダライタ732aにより読み取られた店舗情報に基づいて、カセット装着部732に装着された収納カセットが自店(すなわち、有価媒体処理装置710が設置されている店舗)で使用されるべきものであるか否かを判定する。具体的には、有価媒体処理装置710の記憶部784には、この有価媒体処理装置710が設置されている店舗の識別情報である店舗情報が記憶されており、制御部780は、リーダライタ732aにより読み取られた店舗情報と、記憶部784に記憶されている店舗情報とが一致するか否かを判定する。
カセット装着部732に設けられたリーダライタ732aにより読み取られた店舗情報と、記憶部784に記憶されている店舗情報とが一致し、カセット装着部732に装着された収納カセットが自店で使用されるべきものであると制御部780により判定された場合には、収納カセットに収納されている紙幣の授受を操作者に促す旨の情報が操作表示部782に表示される。そして、警備員によって操作表示部782により収納カセットに収納されている紙幣の授受を行う旨の指令が入力されると、収納カセットに収納されている紙幣の授受の認証が行われる。そして、収納カセットに収納されている紙幣の授受の認証が警備員により行われると、カセット装着部732に装着された収納カセットから紙幣が1枚ずつ紙葉類処理機構720の内部に繰り出され、この紙葉類処理機構720(例えば、各紙葉類一時保留部734、736)に収納されるようになる。
その後、収納カセットに収納されている紙幣の授受が行われたことがプリンタ788によりレシートに印字される。このことにより、警備員はプリンタ788により印字されたレシートを持ち帰ることによって有価媒体処理装置710の紙葉類処理機構720に紙幣を補充したことを証明することができるようになる。また、収納カセットに収納されている紙幣の授受が行われたことがプリンタ788によりレシートに印字される際に、収納カセットに収納されている紙幣の授受を行った操作者の識別情報(すなわち、認証部786により認証された警備員の識別情報)もプリンタ788によりレシートに印字される。このことにより、誰が収納カセットに収納されている紙幣を有価媒体処理装置710の紙葉類処理機構720に補充したかがより明確となる。また、収納カセットに収納されている紙幣の授受が行われた旨の情報や、収納カセットに収納されている紙幣の授受を行った操作者の識別情報等の情報が通信部790により上位端末等の外部装置に送信されるようになっていてもよい。さらに、収納カセットに収納されている紙幣の授受が行われた旨の情報や、収納カセットに収納されている紙幣の授受を行った操作者の識別情報等の情報がリーダライタ732aにより収納カセットの記憶媒体に書き込まれるようになっていてもよい。一方、カセット装着部732に装着された収納カセットが自店で使用されるべきものであると制御部780により判定されたときに、警備員によって操作表示部782により紙幣の授受を取り消す旨の指令が入力されると、有価媒体処理装置710の紙葉類処理機構720への紙幣の補充動作が取り消されるようになる。
なお、他の態様として、カセット装着部732に装着された収納カセットが自店で使用されるべきものであると制御部780により判定された場合には、収納カセットに収納されている紙幣の授受の認証が行われなくても、カセット装着部732に装着された収納カセットから紙幣が1枚ずつ有価媒体処理装置710の紙葉類処理機構720の内部に自動的に繰り出されるようになっていてもよい。
また、カセット装着部732に設けられたリーダライタ732aにより読み取られた店舗情報と、記憶部784に記憶されている店舗情報とが一致せず、カセット装着部732に装着された収納カセットが自店で使用されるべきものではないと制御部780により判定された場合には、誤った収納カセットがカセット装着部732に装着された旨の警告メッセージが操作表示部782に表示される。このことにより、警備員は、収納カセットに収納されている紙幣が補充されるべき有価媒体処理装置710が設置されている店舗とは別の店舗の有価媒体処理装置710に誤って紙幣を収納しようとしていたことに気づくことができるようになる。
以上のような構成からなる有価媒体処理装置710によれば、カセット装着部732に設けられているリーダライタ732a(読取部)は、処理部(例えば、紙葉類搬送部724)により処理される貨幣(具体的には、紙幣)を収納するための持ち運び可能な収納カセット(収納部)に設けられている記憶媒体から店舗情報を含む情報を読み取り、操作表示部782(報知部)は、読取部により読み取られた店舗情報に基づいて、収納カセットが自店で使用されるべきものであるか否かを報知するようになっている。このことにより、収納カセットが自店で使用されるべきものであるか否かをチェックするための専用の器具を持たなくても操作者(具体的には、例えば警送会社の警備員)は収納カセットが自店で使用されるべきものであるか否かを知ることができる。
なお、図11乃至図13に示す有価媒体処理装置710において、貨幣を収納するための持ち運び可能な収納部は、紙幣を収納する収納カセットに限定されることはない。図11乃至図13に示す有価媒体処理装置710において、貨幣を収納するための持ち運び可能な収納部として、硬貨を収納する収納カセットが用いられ、この収納カセットに、店舗情報を含む情報を記憶する記憶媒体が設けられていてもよい。この場合には、硬貨を収納する収納カセットが硬貨処理機構750に装着されたときに、当該収納カセットに設けられている記憶媒体から店舗情報が読み取られることにより、この読み取られた店舗情報に基づいて、収納カセットが自店で使用されるべきものであるか否かが操作表示部782により報知されるようになっていてもよい。