まず、回収カセット207に付けたICタグ207cを利用して入出金機400での取り扱いを制限する方式の概要を図1を用いて説明する。図1は、ショッピングモールなどの複数の店舗が入居する複合商業施設において、営業終了後に売上金を入金する入出金機400が複数台導入されていて、それぞれのレジに対応する入出金機400が決まっている場合に、誤った入出金機400に入金されることを制限することを可能とした有価媒体処理システムの概要を説明するための説明図である。
複合商業施設の店舗にはPOSレジスタ300と硬貨釣銭機100と紙幣釣銭機200とが導入されており、売上金額の管理や貨幣の現物の管理を行っている。店舗では当日の営業が終了すると、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200から当日の売上金を取り出して出納室に設置されている入出金機400に入金を行う。硬貨釣銭機100からは当日の売上金に応じた硬貨に対応する金額を取り出して、紙幣釣銭機200からは当日の売上金に応じた紙幣に対応する金額を取り出すこととなるが、紙幣については回収カセット207に当日の売上金に応じた紙幣に対応する金額を収納させて、回収カセット207自体を紙幣釣銭機200から取り外して出納室に持ち込むことが可能である。
当該回収カセット207は施錠された状態で取り出されて、回収カセット207の解錠は入出金機400に接続されたカセット解錠機405を使用することによって解錠することができる。また、回収カセット207にはICタグ207cが取り付けられており、当該ICタグ207cにはレジの識別情報である企業コード、店舗コード、部門コード及びレジ番号の情報を有している。また、入出金機400は、自装置で取り扱うことのできるレジの識別情報の一覧を有しており、ICタグ207cから読み取ったレジの識別情報によって取り扱い対象のレジなのか取り扱い対象ではないレンジなのかの判定を行うことが可能である。
入出金機400に接続されるカセット解錠機405は、上位装置からの指示で回収カセット207の解錠を行える状態と、回収カセット207の解錠を行えない状態とを切り替えることが可能である。また、カセット解錠機405は、装填した回収カセット207のICタグ207cの内容を読み取ることができるICタグリーダ405eを備えている。
次に、レジの識別情報が記憶されたICタグ207cが取り付けられた回収カセット207を持ち込んで入出金機400で売上金の入金を行う場合に、取り扱い対象ではない入出金機400での入金を排除する処理の概要を説明する。まず、入出金機400に接続されたカセット解錠機405に回収カセット207が装填されたならば、カセット解錠機405は回収カセット207に取り付けられたICタグ207cから、レジの識別情報を読み取って入出金機400に通知する。入出金機400は、受け付けたレジの識別情報と自装置で取り扱うことのできるレジの識別情報の一覧から、当該識別情報に対するレジの売上金の入金を受け付けるか否かの判定を行い、当該識別情報に対するレジの売上金の入金を受け付け不可の場合には入金が行えないように制御する。
また、当該識別情報に対するレジの売上金の入金を受け付けが可能な場合には、カセット解錠機405を使用可能な状態に変更する。これによって、カセット解錠機405を用いて回収カセット207を解錠することが可能となり、回収カセット207が解錠されたならば回収カセット207から紙幣の取り出しを行うことができるようになる。次に、入出金機400は、入金する紙幣及び硬貨を投入する投入口のシャッタを開放し、紙幣及び硬貨の投入を受け付ける。
このようにして開放された、紙幣及び硬貨を投入する投入口に回収カセット207から取り出した紙幣や、持ち込んだ硬貨を投入された後に入金処理の開始の操作を受け付けたならば、入出金機400は、受け付けた紙幣及び硬貨を計数、収納して、入金内容をジャーナル若しくは通帳に出力して入金処理を終了する。
このように、売上金の回収時に使用するカセットにレジの識別情報を持たせて、当該カセットに対して売上金の回収を行い、売上金の入金を行う入出金機400において当該カセットが有するレジの識別情報を取得して、取得したレジの識別情報に基づいて当該入出金機400における取り扱いの可否を判定し、取り扱いが可と判定された場合のみ当該入出金機400で入金を行えるようにしたので、取り扱い対象外のレジから持ち込まれた売上金の入金を適切に制限することができる。
次に、有価媒体処理システムのシステム構成を説明する。図2は、有価媒体処理システムのシステム構成を示す図である。図2は、有価媒体処理システムを複数の店舗の入ったショッピングモールのような複合商業施設へ適用した例である。当該複合商業施設には複数の店舗が入っており、図2に示す企業aのように同一企業が複数店舗を出店しているようなケースもある。当該複合商業施設に入っている店舗には、店舗の売上金の管理を行うPOSレジスタ300、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200が設置されている。それぞれの店舗には、店舗の規模に応じた台数のPOSレジスタ300、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200が設置されている。
また、当該複合商業施設内には出納室があって、出納室には売上金を入金したり、釣銭準備金を出金することができる入出金機400が設置されている。また、規模の大きな複合商業施設には図2に示すように複数の出納室を設置することが可能で、その場合には店舗をエリアなどによってグループ分けを行い、1つのグループに対して1つの出納室を対応付けるようにしている。また、当該複合商業施設内には店舗サーバ500が設置されていて、当該店舗サーバ500は通信回線によって複合商業施設内の全てのPOSレジスタ300と接続されており、当該POSレジスタ300から送信されてくる売上情報の管理を行う。
図2の例は、当該複合商業施設には、企業a、企業b、企業c、企業g及び企業hが出店しており、企業aは店舗a、店舗d、店舗e及び店舗fを出店し、企業bは店舗bを出店し、企業cは店舗cを出店し、企業gは店舗gを出店し、企業hは店舗hを出店していることを示している。また、図2の例は、当該複合施設は2つのグループに分けられていて、出納室aに対応するグループaには店舗a、店舗b、店舗c及び店舗dが含まれていて、出納室bに対応するグループbには店舗e、店舗f、店舗g及び店舗hが含まれていることを示している。
それぞれの店舗には1セット若しくは複数セットのPOSレジスタ300、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200が設置されている。POSレジスタ300は、商品の販売時に販売した商品の識別情報と数量を受け付けて顧客へ請求する合計金額を算出するとともに、算出した合計金額の表示やレシートの発行を行う。硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200は、顧客から預かった硬貨及び紙幣を受け付けて計数を行い、金種別の枚数若しくは金額をPOSレジスタ300に通知する。また、POSレジスタ300は、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200から受け付けた顧客からの預かった金額と、POSレジスタ300が算出した顧客へ請求する合計金額とを用いて、釣銭を算出して、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200に釣銭の払い出しの指示を送信する。POSレジスタ300からの払い出しの指示を受け付けた硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200は、受け付けた指示内容に応じて釣銭の払い出しを行う。
次に、閉店時などに行う店舗の売上金の回収について説明する。POSレジスタ300からの売上金の回収の操作を行うと、POSレジスタ300から硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200に対して売上金回収の指示が通知される。売上金回収の指示を受け付けると硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200は当日の売上金に対応する金額の回収動作を実行する。
具体的には、硬貨釣銭機100は、当日の売上金の硬貨に対応する金額の払い出しを行う。紙幣釣銭機200は、当日の売上金の硬貨に対応する端数金額を除いた金額を紙幣釣銭機200の取り外し可能な回収カセット207に搬送して収納する。また、本回収動作については硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200の設定によっては、金種ごとに所定の適切な枚数を翌日の釣銭準備金として残すものとしてもよい。そのような設定がされている場合には、売上金回収の指示を受け付けた硬貨釣銭機100は、内部に収納されている硬貨のうち金種ごとに所定の枚数を残して、これを超える硬貨の払い出しを行う。また、売上金回収の指示を受け付けた紙幣釣銭機200は、内部に収納されている紙幣のうち金種ごとの所定の枚数を残して、これを超える紙幣を取り外し可能な回収カセット207に搬送することとなる。
当該店舗の店員は、硬貨釣銭機100から払い出された硬貨と、紙幣釣銭機200から取り外した回収カセット207とを店舗に応じた出納室に持ち込んで、入出金機400において持ち込んだ硬貨及び紙幣の入金を行う。入出金機400では、持ち込んだ店員や店舗及びレジを識別及び認証して、硬貨及び紙幣を受け付けて収納するとともに、受け付けた内容をジャーナルとして出力する。また、入出金機400は、紙幣釣銭機200から取り出した回収カセット207の解錠を行うカセット解錠機405が接続されており、カセット解錠機405を用いて回収カセット207の解錠を行うことによって、回収カセット207に収納された紙幣を取り出すことが可能となる。
次に、図2に示したPOSレジスタ300、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200の外観構成を説明する。図3は、POSレジスタ300、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200の外観構成を示す図である。
店舗には1セット又は複数セットの硬貨釣銭機100と、紙幣釣銭機200と、POSレジスタ300とを備えている。硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行う。図3に示すように、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200は左右方向に並べて配置される。また、POSレジスタ300は、並べて配置された硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200の上面に載置される。
図3に示すようにPOSレジスタ300は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高を表示する表示部302と、POSレジスタ300に対する様々な入力操作を受け付ける操作部304と、表示部302に表示する内容の一部や表示部302とは異なる内容を表示する追加表示部302aとを有する。
また、硬貨釣銭機100は、前部上面にタッチパネル等の操作表示部112を有する筐体110を備えている。筐体110の前部には硬貨受入部114及び硬貨払出部116が設けられている。硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機体内に取り込む。
また、紙幣釣銭機200は、筐体210の前面には、紙幣受入口214aと、紙幣取出口216aとを備えている。また、売上金の回収時に使用する回収カセット207は筐体210に対して着脱自在に取り付けられている。また、払い出そうとした紙幣のうち、識別することができなかった紙幣を収納する出金リジェクト部204を備える。また、紙幣受入口214aから機体内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣取出口216aに返却される。
次に、図2に示したPOSレジスタ300、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200の本実施例に係る装置内部の物理構成を図4を用いて説明する。
POSレジスタ300は、表示部302、操作部304及びPOSレジスタ全体を制御する制御部330を有している。制御部330は、通信回線を介して店舗サーバ500に接続されており、売上金情報等が送信されるようになっている。また、POSレジスタ300の制御部330は、紙幣釣銭機200の制御部230と通信回線によって接続されている。また、硬貨釣銭機100の制御部130と紙幣釣銭機200の制御部230も互いに通信回線によって接続されている。POSレジスタ300は、紙幣釣銭機200との通信回線を通して、紙幣釣銭機200からの情報及び紙幣釣銭機200を経由して硬貨釣銭機100からの情報を取得する。また、POSレジスタ300は、通信回線を通して紙幣釣銭機200及び紙幣釣銭機200を通して硬貨釣銭機100に対する指示を行うことができる。
硬貨釣銭機100の筐体110の前部に設けられている硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機体内に取り込むようになっている。硬貨受入部114には、当該硬貨受入部114により機体内に取り込まれた硬貨を搬送する入金搬送部103が接続されている。
この入金搬送部103の途中には、硬貨の識別を行う硬貨識別部101と、分岐部104とがそれぞれ設けられている。分岐部104は、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨を出金搬送部108へ搬送する。
一方、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨は入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送されるようになっている。硬貨収納部106は硬貨を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば入金搬送部103の上流側から高額順に硬貨が収納される。出金搬送部108は、硬貨収納部106から繰り出された硬貨を硬貨払出部116へ搬送する。また、出金搬送部108は、分岐部104から搬送されたリジェクト硬貨等を硬貨払出部116へ搬送する。
紙幣釣銭機200は、筐体210と、この筐体210内の略中央部に設けられた環状の周回搬送部203aとを備えている。また、紙幣受入部214、3つの紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、及び回収カセット207が、周回搬送部203aから外周を取り囲むように配置されている。
また、紙幣釣銭機200の筐体210の内部には、紙幣受入部214、紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、及び回収カセット207と、周回搬送部203aとの間をそれぞれ接続する複数の接続搬送部203bが形成されている。また、周回搬送部203aには紙幣識別部201が設けられており、この紙幣識別部201は、当該紙幣識別部201を通過する紙幣の識別を行う。また、周回搬送部203aと接続搬送部203bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部203aに沿って配置されている。
紙幣受入部214は、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を1枚ずつ取り込んで、周回搬送部203a側へ繰り出すようになっている。紙幣収納部206は、紙幣識別部201の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。紙幣払出部216は、紙幣収納部206から周回搬送部203aに繰り出された紙幣を紙幣取出口216aより機外へ放出する。
出金リジェクト部204は、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部214から機体内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却される。
次に、図2に示したPOSレジスタ300、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200の本実施例に係る内部構成を説明する。図5は、POSレジスタ300、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200の本実施例に係る内部構成を示すブロック図である。
図5に示すように、硬貨釣銭機100は、通信部132、硬貨受入部114、入金搬送部103、硬貨識別部101、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116、操作表示部112、記憶部134及び制御部130を備えている。通信部132は、通信回線を通して紙幣釣銭機200とのデータ通信を行うためのインタフェース部である。紙幣釣銭機200は、同様にしてPOSレジスタ300とも通信回線を通してデータ通信を行っており、紙幣釣銭機200を経由することによって、硬貨釣銭機100は、POSレジスタ300とのデータ通信を行うこともできる。
硬貨受入部114は、入金する硬貨の受付を行う。入金搬送部103は、硬貨受入部114で受け付けた硬貨を硬貨識別部101、分岐部104を経由して硬貨収納部106への搬送を行う。硬貨識別部101は、入金搬送部103によって搬送されてきた硬貨の真偽及び正損の判定を行う。分岐部104は、硬貨識別部101の真偽及び正損の識別結果に応じて、搬送されてきた硬貨を硬貨払出部116に続く出金搬送部108若しくは硬貨収納部106に続く入金搬送部103のいずれかに分岐させる。真貨であり且つ正貨と識別された場合には、分岐部104は搬送されてきた硬貨を硬貨収納部106に続く入金搬送部103に振り分ける。また、偽貨若しくは損貨と識別された場合には、分岐部104は搬送されてきた硬貨を硬貨払出部116に続く出金搬送部108に振り分ける。
硬貨収納部106は、硬貨の入金処理で真貨であり且つ正貨と識別された硬貨を収納する収納部である。また、硬貨の出金処理では、当該硬貨収納部106から硬貨を繰り出して払い出しを行う。出金搬送部108は、硬貨の出金処理において硬貨収納部106から繰り出された硬貨を硬貨払出部116に搬送する。また、出金搬送部108は、硬貨識別部101によって偽貨若しくは損貨と識別された場合に、分岐部104から分岐により受け付けた偽貨若しくは損貨と識別された硬貨を硬貨払出部116に搬送する。硬貨払出部116は、釣銭として出金する硬貨若しくは硬貨識別部101によって偽貨若しくは損貨と識別された返却する硬貨を払い出す口である。
操作表示部112は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高などの情報を表示する出力部である。
記憶部134は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、硬貨設定データ134a及び硬貨処理実績データ134bを有する。硬貨設定データ134aは、硬貨釣銭機100の処理に係るパラメータである。硬貨処理実績データ134bは、当該硬貨釣銭機100の過去の処理実績を蓄積したデータである。
制御部130は、硬貨釣銭機100の全体を制御する制御部であり、入出金処理部130a、設定データ受付部130b及び回収処理部130cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、それぞれ対応するプロセスを実行させることになる。入出金処理部130aは、硬貨の入金処理及び出金処理全体を制御する処理部である。また、入出金処理部130aは、硬貨入出金の実績を硬貨処理実績データ134bに蓄積する。設定データ受付部130bは、紙幣釣銭機200から硬貨釣銭機100の処理に係るパラメータを受け付けたならば、受け付けた内容で硬貨設定データ134aを更新する。回収処理部130cは、紙幣釣銭機200を経由してPOSレジスタ300から回収の指示を受け付けた場合、若しくは操作表示部112の操作による回収の指示を受け付けた場合に硬貨の回収処理を行う。
図5に示すように、紙幣釣銭機200は、通信部232、紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣識別部201、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216、回収カセット207、ICタグリーダライタ209、記憶部234及び制御部230を備えている。通信部232は、通信回線を通してPOSレジスタ300及び硬貨釣銭機100とのデータ通信を行うためのインタフェース部である。
紙幣受入部214は、入金する紙幣の受付を行う。周回搬送部203aは、紙幣受入部214から繰り出した紙幣を紙幣収納部206に続く接続搬送部203bか、回収カセット207に続く接続搬送部203bか、紙幣払出部216に続く接続搬送部203bのいずれかに選択的に搬送する。また、周回搬送部203aは、紙幣収納部206から繰り出した紙幣を出金リジェクト部204に続く接続搬送部203bか、回収カセット207に続く接続搬送部203bか、紙幣払出部216に続く接続搬送部203bのいずれかに選択的に搬送する。接続搬送部203bは、周回搬送部203aと紙幣収納部206、回収カセット207、紙幣払出部216、出金リジェクト部204若しくは紙幣受入部214とを結ぶ紙幣の搬送処理部である。
紙幣識別部201は、周回搬送部203a上にあって、紙幣の真偽及び正損の識別を行う。紙幣収納部206は、紙幣の入金処理で真券であり且つ正券と識別された紙幣を収納する収納部である。また、紙幣の出金処理では、当該紙幣収納部206から紙幣を繰り出して払い出しを行う。出金リジェクト部204は、紙幣の出金処理において紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、紙幣識別部201で偽券若しくは損券と識別された紙幣を収納するボックスである。紙幣払出部216は、紙幣の出金処理において紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、紙幣識別部201で真券であり且つ正券と識別された紙幣を払い出す口である。また、紙幣払出部216は、紙幣の入金処理において紙幣識別部201で偽券若しくは損券と識別された紙幣を返却する口である。
回収カセット207は、POSレジスタ300から回収の指示を受け付けた場合、若しくは硬貨釣銭機100の操作表示部112の操作による回収の指示を受け付けた場合に、紙幣収納部206に収納されている紙幣を搬送する先である。当該回収指示によって、紙幣釣銭機200内の売上金は回収カセット207に集められ、当該回収カセット207を抜き取ることによって売上金の回収を行うことができる。また、回収カセット207の底部にはICタグ207cが取り付けられており、当該ICタグ207cの中にはICデータ207dが記憶されている。ICタグリーダライタ209は、回収カセット207の底部に取り付けられたICタグ207cのICデータ207dに対する読み書きを行うための入出力部である。
記憶部234は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、紙幣設定データ234a及び紙幣処理実績データ234bを有する。紙幣設定データ234aは、紙幣釣銭機200の処理に係るパラメータである。紙幣処理実績データ234bは、当該紙幣釣銭機200の過去の処理実績を蓄積したデータである。
制御部230は、紙幣釣銭機200の全体を制御する制御部であり、入出金処理部230a、設定データ受付部230b及び回収処理部230cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、それぞれ対応するプロセスを実行させることになる。入出金処理部230aは、紙幣の入金処理及び出金処理全体を制御する処理部である。また、入出金処理部230aは、紙幣入出金の実績を紙幣処理実績データ234bに蓄積する。設定データ受付部230bは、回収カセット207のICデータ207dを読むことによって紙幣釣銭機200及び硬貨釣銭機100の処理に係るパラメータを受け付けたならば、受け付けた紙幣釣銭機200の処理に係るパラメータで紙幣設定データ234aを更新し、硬貨釣銭機100の処理に係るパラメータは硬貨釣銭機100に送信する。回収処理部230cは、POSレジスタ300から回収の指示を受け付けた場合、若しくは硬貨釣銭機100の操作表示部112の操作による回収の指示を受け付けた場合に紙幣の回収処理を行う。
次に、硬貨釣銭機100に硬貨を入金する場合の動作について以下に説明する。入出金処理部130aは、硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に硬貨が受け入れられると、硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機体内に取り込み、取り込まれた硬貨は入金搬送部103により搬送される。そして、入金搬送部103により搬送される硬貨は硬貨識別部101により硬貨の識別が行われる。入出金処理部130aは、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨であると識別された硬貨は、分岐部104により出金搬送部108へ搬送し、出金搬送部108により硬貨払出部116に搬送する。一方、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨であると識別された硬貨は、入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送し、当該硬貨収納部106に金種別に収納する。
また、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき硬貨の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300から紙幣釣銭機200経由で出金指示が硬貨釣銭機100に送られると、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨が出金される。硬貨釣銭機100の入出金処理部130aに対して出金指示が与えられると、硬貨収納部106に収納されている硬貨が繰り出され、繰り出された硬貨は出金搬送部108により硬貨払出部116へ搬送される。このようにして、操作者は、硬貨払出部116から硬貨を取り出すことができるようになる。
次に、紙幣釣銭機200に紙幣を入金する場合の動作について以下に説明する。入出金処理部230aは、紙幣受入部214の紙幣受入口214aに紙幣が挿入されると、紙幣受入部214は、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を1枚ずつ取り込んで、周回搬送部203a側へ繰り出す。そして、周回搬送部203a側へ繰り出された紙幣は当該周回搬送部203aにより搬送され、この際に紙幣識別部201により紙幣の識別が行われる。紙幣識別部201により正常な紙幣であると識別された紙幣は、各紙幣収納部206に金種別に収納する。一方、紙幣受入部214から取り込まれた紙幣のうち、汚損や搬送異常等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却される。
また、紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき紙幣の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300から出金指示が紙幣釣銭機200に送られると、紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣が出金される。紙幣釣銭機200の入出金処理部230aに対して出金指示が与えられると、紙幣収納部206に収納されている紙幣が繰り出され、繰り出された紙幣は紙幣識別部201により識別された後、周回搬送部203aにより紙幣払出部216に送られる。そして、紙幣払出部216は、紙幣収納部206から送られた紙幣を紙幣取出口216aより筐体210外へ放出する。このようにして、操作者は、紙幣釣銭機200から出金された紙幣を得ることができるようになる。なお、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は、出金リジェクト紙幣として出金リジェクト部204に収納される。
次に、店舗の営業終了後、あるいは営業中の所定のタイミングに行われる精算処理時において硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から売上金としての紙幣や硬貨を回収する際の動作について説明する。
精算処理時において硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から売上金としての紙幣や硬貨を回収する際には、操作者はPOSレジスタ300の操作部304により売上金の回収を行うことを指示する。また、POSレジスタ300の操作部304を操作する代わりに、操作者が硬貨釣銭機100の操作表示部112を操作することにより、売上金の回収を行うことを指示することができるようになっていてもよい。POSレジスタ300の操作部304若しくは硬貨釣銭機100の操作表示部112による売上金の回収の指示を受け付けると、硬貨釣銭機100の回収処理部130cは、硬貨設定データ134aに設定されている残置枚数を超える硬貨を全て硬貨払出部116に払い出す。また、紙幣釣銭機200の回収処理部230cは、紙幣設定データ234aに設定されている残置枚数を超える紙幣を全て回収カセット207に搬送する。本実施例では、硬貨設定データ134a及び紙幣設定データ234aに売上金回収処理に係るパラメータに予め残置する金種ごとの枚数を設定し、当該パラメータに応じた回収処理を行うものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、回収処理に複数の回収パターンを設け、それぞれの回収パターンに対する処理内容を事前に設定しておいて、POSレジスタ300の操作部304若しくは硬貨釣銭機100の操作表示部112から回収処理の処理パターンを指定できるようにしてもよい。
次に、図2に示した硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200の本実施例に係るデータ構成について説明する。図6は、硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200の本実施例に係るデータ構成について説明するための説明図である。
硬貨設定データ134aは、硬貨のニアエンプティ閾値枚数と残置枚数とを有する。ニアエンプティ閾値枚数は、ニアエンプティであることの注意メッセージの表示を行う硬貨の金種ごとの下限枚数である。また、残置枚数は、回収処理時に硬貨釣銭機100に残す硬貨の金種ごとの枚数である。
図6の硬貨設定データ134aの例は、ニアエンプティ閾値枚数は、500円貨が「25」枚で、100円貨が「100」枚で、50円貨が「25」枚で、10円貨が「100」枚で、5円貨が「25」枚で、1円貨が「100」枚で、残置枚数は、500円貨が「50」枚で、100円貨が「200」枚で、50円貨が「50」枚で、10円貨が「200」枚で、5円貨が「50」枚で、1円貨が「200」枚であることを示している。
硬貨処理実績データ134bは、硬貨の入金実績枚数と出金実績枚数とを有する。入金実績枚数とは、当該硬貨釣銭機100で導入以降に入金された金種ごとの枚数である。出金実績枚数とは、当該硬貨釣銭機100で導入以降に出金された金種ごとの枚数である。
図6の硬貨処理実績データ134bは、入金実績枚数は、500円貨が「900」枚で、100円貨が「4800」枚で、50円貨が「1200」枚で、10円貨が「5100」枚で、5円貨が「1300」枚で、1円貨が「4900」枚で、出金実績枚数は、500円貨が「1700」枚で、100円貨が「9500」枚で、50円貨が「2500」枚で、10円貨が「10100」枚で、5円貨が「2500」枚で、1円貨が「9600」枚であることを示している。
紙幣設定データ234aは、紙幣のニアエンプティ閾値枚数と残置枚数とを有する。ニアエンプティ閾値枚数は、ニアエンプティであることの注意メッセージの表示を行う紙幣の金種ごとの下限枚数である。また、残置枚数は、回収処理時に紙幣釣銭機200に残す紙幣の金種ごとの枚数である。
図6の紙幣設定データ234aの例は、ニアエンプティ閾値枚数は、万円券が「0」枚で、五千円券が「10」枚で、千円券が「50」枚で、残置枚数は、万円券が「0」枚で、五千円券が「20」枚で、千円券が「100」枚であることを示している。
紙幣処理実績データ234bは、紙幣の入金実績枚数と出金実績枚数とを有する。入金実績枚数とは、当該紙幣釣銭機200で導入以降に入金された金種ごとの枚数である。出金実績枚数とは、当該紙幣釣銭機200で導入以降に出金された金種ごとの枚数である。
図6の紙幣処理実績データ234bは、入金実績枚数は、万円券が「2300」枚で、五千円券が「800」枚で、千円券が「3800」枚で、出金実績枚数は、万円券が「10」枚で、五千円券が「650」枚で、千円券が「2900」枚であることを示している。
次に、図2に示した紙幣釣銭機200の本実施例に係るICデータ207dのデータ構成を説明する。図7は、紙幣釣銭機200の本実施例に係るICデータ207dのデータ構成を示す図である。
ICデータ207dは、レジ識別情報、設定データ及び処理実績枚数を有する。レジ識別データは、当該回収カセット207に対応するレジを識別する情報であり、当該レジの企業コード、店舗コード、部門コード及びレジ番号を有する。また、設定データは、当該回収カセット207が、入出金機400にセットされた時に書き込まれる情報であり、当該回収カセット207が、紙幣釣銭機200にセットされた場合には、ICデータ207dの内容が読み込まれて紙幣釣銭機200の紙幣設定データ234aと硬貨釣銭機100の硬貨設定データ134aとに反映される。設定データには、金種別のニアエンプティ閾値枚数と、回収処理時の金種別の残置枚数とを有する。また、処理実績枚数は、回収処理が行われた時に硬貨釣銭機100の硬貨処理実績データ134bと、紙幣釣銭機200の紙幣処理実績データ234bとを吸い上げたデータであり、入出金機400に持ち込んだ時には、当該ICデータ207dを読み込むことによって入出金機400に取り込まれるデータである。
図7のICデータ207dの例は、レジ識別情報は、企業コードが「001」で、店舗コードが「010」で、部門コードが「002」で、レジ番号が「10」であることを示している。また、設定データの金種ごとのニアエンプティ閾値枚数は、万円券が「0」枚で、五千円券が「10」枚で、千円券が「50」枚で、500円貨が「25」枚で、100円貨が「100」枚で、50円貨が「25」枚で、10円貨が「100」枚で、5円貨が「25」枚で、1円貨が「100」枚であることを示している。また、回収処理時の金種ごとの残置枚数は、万円券が「0」枚で、五千円券が「20」枚で、千円券が「100」枚で、500円貨が「50」枚で、100円貨が「200」枚で、50円貨が「50」枚で、10円貨が「200」枚で、5円貨が「50」枚で、1円貨が「200」枚であることを示している。また、処理実績枚数の入金実績枚数は、万円券が「2300」枚で、五千円券が「800」枚で、千円券が「3800」枚で、500円貨が「900」枚で、100円貨が「4800」枚で、50円貨が「1200」枚で、10円貨が「5100」枚で、5円貨が「1300」枚で、1円貨が「4900」枚であることを示している。また、処理実績枚数の出金実績枚数は、万円券が「10」枚で、五千円券が「650」枚で、千円券が「2900」枚で、500円貨が「1700」枚で、100円貨が「9500」枚で、50円貨が「2500」枚で、10円貨が「10100」枚で、5円貨が「2500」枚で、1円貨が「9600」枚であることを示している。
次に、図2に示した入出金機400の外観構成を説明する。図8は、入出金機400の外観構成を示す図である。
表示部401は、液晶ディスプレイなどの表示部であり、入出金機400の操作に係るメニューや画面の表示等を行う。操作部402は、キーボードなどの入力部である。IDカードリーダ403は、入出金操作を行う人を識別するIDカードの磁気テープを読み込む入力部である。ジャーナル印字部404は、入出金機400で行った処理内容を示すジャーナルを印刷する出力部である。カセット解錠機405は、閉店後などに店舗から持ち込まれた売上金が収集された回収カセット207をセットすることによって回収カセット207の鍵を解錠する機器である。通帳プリンタ409は、入出金機400で行った処理内容を通帳の形状をした出力媒体に印刷する出力部である。
紙幣受付部421は、入金する紙幣を投入する口である。硬貨受付部431は、入金する紙幣を投入する口である。また、包装硬貨受付部441は、入金する包装硬貨を投入する口である。
次に、図2に示した入出金機400の本実施例に係る内部構成を説明する。図9は、入出金機400の本実施例に係る内部構成を示すブロック図である。図9に示すように、入出金機400には、レジの売上金を回収する回収カセット207の鍵を解錠するカセット解錠機405と、通帳の印字を行う通帳プリンタ409とを接続することが可能である。
また、入出金機400は、表示部401、操作部402、IDカードリーダ403、ジャーナル印字部404、通信部406、紙幣制御部420、硬貨制御部430、包装硬貨制御部440、記憶部407及び制御部408を有する。通信部406は、他の入出金機400とデータ通信を行うためのインタフェース部である。
紙幣制御部420は、図8に示した紙幣受付部421と、紙幣受付部421で受け付けた紙幣を搬送する紙幣搬送部422と、紙幣搬送部422によって搬送された紙幣の真偽及び正損の判定を行う紙幣判別部423とを有する。また、硬貨制御部430は、図8に示した硬貨受付部431と、硬貨受付部431で受け付けた硬貨を搬送する硬貨搬送部432と、硬貨搬送部432によって搬送された硬貨の真偽及び正損の判定を行う硬貨判別部433とを有する。また、包装硬貨制御部440は、図8に示した包装硬貨受付部441と、包装硬貨受付部441で受け付けた包装硬貨を搬送する包装硬貨搬送部442と、包装硬貨搬送部442によって搬送された包装硬貨の真偽の判定を行う包装硬貨判別部443とを有する。
記憶部407は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスである。記憶部407は、入出金機番号407a、取扱レジデータ407b、レジ設定データ407c及びレジ稼働状況データ407dを有する。
入金機番号407aは、複合商業施設内に設置される複数の入出金機400を識別する自装置の識別情報である。取扱レジデータ407bは当該入出金機400で取り扱うことのできるレジの識別情報の一覧データである。レジ設定データ407cは、レジごとの設定データである硬貨設定データ134a及び紙幣設定データ234aの、全てのレジに対応するデータである。レジ稼働状況データ407dは、レジごとの稼働実績データであり、回収カセット207のICタグ207cを通じて硬貨処理実績データ134b及び紙幣処理実績データ234bを吸い上げたデータである。
制御部408は、入出金機400を全体制御する制御部であり、入出金機情報設定部408a、レジ情報設定部408b、入金処理部408c及びレジ稼働状況管理部408dを有する。実際には、この機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、それぞれに対応するプロセスを実行させることになる。
入出金機情報設定部408aは、当該入出金機400で取り扱うことのできるレジの識別情報の一覧データである取扱レジデータ407bの設定及び管理を行う処理部である。
レジ情報設定部408bは、複合商業施設内の全てのレジの設定データであるレジ設定データ407cの登録管理を行う処理部である。親機の入出金機400のレジ情報設定部408bによって、レジ設定データ407cの登録が行われ、さらにレジ情報設定部408bは登録したレジ設定データ407cを子機の入出金機400に配信する。子機の入出金機400のレジ情報設定部408bは、親機から受け付けた登録されたレジの設定データを受け付けて自装置内のレジ設定データ407cの更新を行う。また、レジ情報設定部408bは、入金処理時等にカセット解錠機405に回収カセット207がセットされると、回収カセット207のICデータ207dから回収カセット207に対応するレジの識別情報を取得して、取得した識別情報に対するレジ設定データ407cのレコードでICデータ207dの中の設定データを更新する。
入金処理部408cは、入金処理の全体を制御する処理部である。入金処理部408cは、まずIDカードリーダ403による担当者カードの読み込みの受付を行う。担当者の認証が行われたならば、次にレジの識別情報の受付を行う。レジの識別情報は、操作部402の入力でも受け付けることができるが、回収カセット207を持ち込んでいる場合は、回収カセット207をカセット解錠機405にセットすることによって、回収カセット207の底部に取り付けられたICタグ207cのICデータ207dに含まれるレジ識別情報を読み取ることによってレジの識別情報の受付を行うことができる。
入金処理部408cは、レジの識別情報を受け付けると、受け付けた識別情報のレジが当該入出金機400の取り扱い対象のレジか否かを取扱レジデータ407bを参照することによって判定する。入金処理部408cは、受け付けた識別情報のレジが取り扱い対象のレジであると判定した場合には、カセット解錠機405を使用可能な状態にするとともに、入出金機400の紙幣受付部421、硬貨受付部431及び包装硬貨受付部441のシャッタを開けて、紙幣、硬貨及び包装硬貨の投入が可能な状態にする。カセット解錠機405は、回収カセット207をセットして、奥側に回収カセット207を手動で押し込むことによって回収カセット207の解錠が行えるが、待機中の状態では奥側に押し込むことができないように電磁ロックがかかった状態となっている。「カセット解錠機405を使用可能な状態にする」とは、この電磁ロックを解除することによって奥側に押し込むことができる状態にすることを示している。
操作者はカセット解錠機405を利用して回収カセット207に収められた紙幣を取り出して、取り出した紙幣を紙幣受付部421に投入して、持ち込んだ硬貨及び包装硬貨を硬貨受付部431及び包装硬貨受付部441に投入して入金処理開始の指示操作を行う。入金処理部408cは、入金処理開始の指示を受け付けると、投入された紙幣、硬貨及び包装硬貨の計数を行って、入出金機400の内部の収納部に収納する。入金処理部408cは、受け付けた紙幣、硬貨及び包装硬貨の収納が行われると、入金された金額などの情報をジャーナルとしてジャーナル印字部404で出力する。また、通帳プリンタ409が接続されている場合には、通帳プリンタ409にて入金された金額の情報などを通帳に印字する。
レジ稼働状況管理部408dは、入金処理時等にカセット解錠機405に回収カセット207がセットされると、回収カセット207のICデータ207dからレジ識別情報と処理実績枚数とを読み取って、レジ稼働状況データ407dのICデータ207dから読み取ったレジ識別情報に対応するレジの稼働状況の更新を行う。これによって、レジ稼働状況データ407dには、取り扱い対象の全てのレジの稼働状況が収集される。レジ稼働状況管理部408dは、レジ稼働状況データ407dに基づいてレジの稼働状況を出力することが可能である。さらに、レジ稼働状況データ407dは、レジ稼働状況データ407dの情報を活用することによって、例えば同一店舗、同一部門内に複数のレジが設置されている場合などに、レジ稼働率の平準化のために翌日稼働させるレジを自動で選定して、その結果を出力することも可能である。
次に、図2に示した入出金機400の本実施例に係るデータ構成について説明する。図10は、入出金機400の本実施例に係るデータ構成について説明するための説明図である。
取扱レジデータ407bは、レジの識別情報である企業コード、店舗コード、部門コード及びレジ番号と、当該識別情報のレジを取り扱う入出金機400の入出金機番号と、当該入出金機番号以外の入出金機400で例外的に取り扱うことの可否の情報とを1レコードの項目とするデータである。図10の取扱レジデータ407bの例は、企業コードが「001」で、店舗コードが「010」で、部門コードが「002」で、レジ番号が「10」のレジは、入出金機番号が「01」の入出金機400で取り扱うこととなっており、入出金機番号が「01」以外の入出金機400での例外取り扱いが「可」であることを示している。また、企業コードが「005」で、店舗コードが「001」で、部門コードが「001」で、レジ番号が「01」のレジは、入出金機番号が「02」の入出金機400で取り扱うこととなっており、入出金機番号が「02」以外の入出金機400での例外取り扱いが「不可」であることを示している。
レジ設定データ407cは、レジの識別情報である企業コード、店舗コード、部門コード及びレジ番号に対応付けて、当該識別情報のレジに対する設定データを1レコードの項目とするデータである。設定データは、当該レジにおける金種ごとのニアエンプティを判定する下限閾値であるニアエンプティ閾値枚数と、当該レジにおける売上金回収時に翌日の釣銭用に硬貨釣銭機100及び紙幣釣銭機200に残置する金種ごとの残置枚数とを有する。
図10のレジ設定データ407cの例は、企業コードが「001」で、店舗コードが「010」で、部門コードが「002」で、レジ番号が「10」のレジは、ニアエンプティ閾値枚数は、万円券が「0」枚で、五千円券が「10」枚で、千円券が「50」枚で、500円貨が「25」枚で、100円貨が「100」枚で、50円貨が「25」枚で、10円貨が「100」枚で、5円貨が「25」枚で、1円が「100」枚であり、残置枚数は、万円券が「0」枚で、五千円券が「20」枚で、千円券が「100」枚で、500円貨が「50」枚で、100円貨が「200」枚で、50円貨が「50」枚で、10円貨が「200」枚で、5円貨が「50」枚で、1円貨が「200」枚であることを示している。
レジ稼働状況データ407dは、レジの識別情報である企業コード、店舗コード、部門コード及びレジ番号に対応付けて、当該識別情報のレジに対する処理実績データを1レコードの項目とするデータである。処理実績データは、当該レジにおける金種ごとの入金実績枚数と金種ごとの出金実績枚数とを有する。
図10のレジ稼働状況データ407dの例は、企業コードが「001」で、店舗コードが「010」で、部門コードが「002」で、レジ番号が「10」のレジは、入金実績枚数は、万円券が「2300」枚で、五千円券が「800」枚で、千円券が「3800」枚で、500円貨が「900」枚で、100円貨が「4800」枚で、50円貨が「1200」枚で、10円貨が「5100」枚で、5円貨が「1300」枚で、1円が「4900」枚であり、出金実績枚数は、万円券が「10」枚で、五千円券が「650」枚で、千円券が「2900」枚で、500円貨が「1700」枚で、100円貨が「9500」枚で、50円貨が「2500」枚で、10円貨が「10100」枚で、5円貨が「2500」枚で、1円貨が「9600」枚であることを示している。
次に、カセット解錠機405及び回収カセット207の外観構成を説明する。図11は、カセット解錠機405及び回収カセット207の外観構成を示す図である。
図11(a)に示すように、カセット解錠機405は、回収カセット207を装填することができ、当該回収カセット207をセットして奥側に押し込むことができるスライドベース部405aと、回収カセット207の押し込みを規制したりその規制を解除したりすることができ、スライド可能なカバー部405bと、回収カセット207を解錠するためのロック解錠部405cと、回収カセット207の状態等の所定の情報を表示する表示部405dと、回収カセット207の底面に取り付けられたICタグ207cの内容を読み込むことのできるICタグリーダ405eを有している。ロック解錠部405cは、その内部にキーを有しており、回収カセット207を奥側に押し込むことに連動してキーが回動されて、回収カセット207のロック部のロックが解錠されることとなる。
また、待機状態ではカバー部405bは電磁ロックがかかった状態であり、スライドベース部405aを奥側に押し込むことはできない。カセット解錠機405は、制御部408からの電磁ロック解除の信号を受け付けるとカバー部405bの電磁ロックの解除を行う、これによってスライドベース部405aを奥側に押し込むことができるようになる。
回収カセット207は、短手方向であって水平方向に延在する揺動軸を有し、回収カセット207の上方筐体部207aは下方筐体部207bに対して当該搖動軸を中心に上下方向に搖動自在となっている(図12(d)参照)。なお、回収カセット207は、施錠されているときには、回収カセット207の上方筐体部207aは下方筐体部207bに対して搖動軸を中心として搖動することができないが、解錠されることで上方筐体部207aが搖動軸を中心として上下方向に搖動することができるようになる。そして、上方筐体部207aが上方に搖動されることで、回収カセット207内に収容された紙幣を取り出すことができるようになる。
次に、カセット解錠機405を使用して回収カセット207を解錠する手順を図12を用いて説明する。
図12(a)は、カセット解錠機405に回収カセット207を装填する位置関係を示した図である。カセット解錠機405のスライドベース部405aに回収カセット207の下方筐体部207bの底面が接するようにセットすることによって回収カセット207をカセット解錠機405に装填する。そのようにして装填した図が、図12(b)である。
図12(b)に示すように回収カセット207がカセット解錠機405のスライドベース部405aに装填されると、ICタグリーダ405eによってICタグ207cのICデータ207dが読み込まれる。入金処理部408cは、ICタグリーダ405eによって読み込んだICデータ207d中のレジの識別情報と取扱レジデータ407bの情報とに基づいて、取り扱うことのできるレジであるか否かの判定を行う。当該判定の結果が取り扱うことのできるレジに対する回収カセット207であるとの判定の場合には、入金処理部408cは、カセット解錠機405に使用許可の信号を送る。使用許可の信号を受け付けたカセット解錠機405は、カバー部405bの電磁ロックを解除することによってカセット解錠機405を使用可能な状態とし、回収カセット207を奥側に押し込むことができるようになる。
次に、図12(c)に示すように、スライドベース部405aに装填された回収カセット207を奥側に押し込むと、この押し込む動作によって回収カセット207のロック部にロック解錠部405cの内部にあるキーが挿入され、さらに押し込む動作と連動してキーが回動されてロック部のロックが解錠される。ロックが解錠されることによって、図12(d)に示すように、回収カセット207の上方筐体部207aを上方に搖動することが可能となる。回収カセット207の上方筐体部207aを上方に搖動することによって、回収カセット207内に収容された貨幣を取り出すことができるようになる。なお、このようにして回収カセット207が奥側に押し込まれて回収カセット207が解錠されると、表示部405dには解錠中の旨の表示が行われる。
次に、図2に示した入出金機400における入金の取り扱い可否の判定処理の処理手順を説明する。図13は、入出金機400における入金の取り扱い可否の判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
入金処理部408cは、入金を行う担当者の認証として担当者のIDカードの読み取りを行う(ステップS101)。IDカードから読み取った情報に基づいて担当者の認証及び当該担当者の入金を行う権限の有無の判定を行って、担当者の認証ができない場合若しくは認証ができたとしても当該担当者が入金を行う権限がないと判定された場合(ステップS102;No)にはステップ101に戻る。
担当者の認証ができて入金を行う権限もあると判定された場合(ステップS102;Yes)には、入金処理部408cは、カセット解錠機405に回収カセット207をセットするか、操作部402を使用してレジの識別情報を入力するか、いずれかの操作によってレジの識別情報の入力を行う旨のメッセージ表示を行う(ステップS103)。回収カセット207がカセット解錠機405に装填された場合(ステップS104;Yes)には、入金処理部408cは、カセット解錠機405に指示することによってICタグリーダ405eによって回収カセット207のICデータ207dのレジ識別情報の読み取りを行う(ステップS105)。回収カセット207がカセット解錠機405に装填されなくて(ステップS104;No)、操作部402によるレジの識別情報の入力を受け付けた場合(ステップS106;Yes)には、ステップS107に移行する。回収カセット207がカセット解錠機405に装填されなくて(ステップS104;No)、操作部402によるレジの識別情報の入力も受け付けていない場合(ステップS106;No)には、ステップS104に戻る。
次に、回収カセット207のICタグ207cの読み込み若しくは操作部402による入力によって受け付けたレジの識別情報で、取扱レジデータ407bを検索して受け付けた識別情報に対応するレジが当該入出金機400で取り扱い対象のレジか否かの判定を行い(ステップS107)、取り扱い対象のレジである場合(ステップS107;Yes)で、カセット解錠機405に回収カセット207が装填されている場合(ステップS108;Yes)には、レジ情報設定部408bは、レジ設定データ407cの当該レジに対するレコードの情報で、回収カセット207のICデータ207dの設定データの情報を更新する(ステップS109)。また、レジ稼働状況管理部408dは、回収カセット207のICデータ207dの処理実績枚数の情報を読み込んで、レジ稼働状況データ407dの当該レジに対応するレコードの内容を更新する(ステップS110)。また、入金処理部408cは、カセット解錠機405に対して使用可能な状態への移行の指示を行うことによってカバー部405bの電磁ロックを解除する(ステップS111)。また、カセット解錠機405に回収カセット207が装填されていない場合(ステップS108;No)には、ステップS109〜ステップS111の処理をスキップしてステップS112に移行する。
入金処理部408cは、紙幣受付部421、硬貨受付部431及び包装硬貨受付部441のシャッタを開放して、紙幣受付部421、硬貨受付部431及び包装硬貨受付部441への貨幣の投入が可能な状態にする(ステップS112)。入金処理部408cは、紙幣受付部421、硬貨受付部431及び包装硬貨受付部441へ投入された貨幣の計数を行って、入出金機400の内部の収納部に収納し、入金された金額などの情報をジャーナル及び通帳に出力して(ステップS113)、処理を終了する。
また、ステップS107の判定において当該レジが取り扱い対象のレジではない場合(ステップS107;No)には、取扱レジデータ407bの情報から当該レジが本来の入出金機400以外の他の入出金機400で例外的に取り扱うことが可能なレジであるか否かの判定を行い(ステップS114)、本来の入出金機400以外の他の入出金機400で例外的に取り扱うことの可能なレジである場合(ステップS114;Yes)には、入金処理部408cは、例外的な取り扱いを行うための他の条件を満たしているかどうかの判定を行って(ステップS115)、例外的な取り扱いを行うための他の条件を満たしている場合(ステップS116;Yes)にはステップS108に移行する。また、取扱レジデータ407bの情報から当該レジが本来の入出金機400以外の他の入出金機400で例外的に取り扱うことが不可能なレジである場合(ステップS114;No)、及び例外的に取り扱うことが可能なレジであっても例外的な取り扱いを行うための他の条件を満たしていない場合(ステップS116;No)には、入金処理部408cは、当該レジの入金は取り扱うことができない旨のメッセージを表示して(ステップS117)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例では、売上金の回収時に使用するカセットにレジの識別情報を持たせて、当該カセットに対して売上金の回収を行い、売上金の入金を行う入金機において当該カセットが有するレジの識別情報を取得して、取得したレジの識別情報に基づいて当該入金機における取り扱いの可否を判定し、取り扱いが可と判定された場合のみ当該入金機で入金を行えるよう構成したので、取り扱い対象外のレジから持ち込まれた売上金の入金を適切に制限することができる。
なお、上述の本実施例では、回収カセット207は、入出金機400のカセット解錠機405に装填することによってロック部の解錠のみを行って内部に収納されている紙幣の入出金機400への投入は、人の手で実施するものとしたが本発明はこれに限定するものではない。例えば、回収カセット207には内部に収納されている紙幣を繰り出すことのできる機構を備えて、入出金機400は回収カセット207が繰り出した紙幣を受け付けて入金処理が行えるようになっていてもよい。また、回収カセット207は回収する紙幣のみを収納するものとしたが、例えば紙幣と硬貨の両方を収納できるような回収カセットで有ってもかまわない。また、例えば硬貨用の回収カセットを設けてもよい。
また、上述の本実施例では、入出金機400おいて売上金の入金処理を行う際には入金処理だけを行う例の説明をしてきたが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、売上金の入金処理に引き続いて翌日の釣銭準備金の出金処理を行ってもよい。また、回収カセット207が紙幣の取込の機能を備えている場合には、回収カセット207に釣銭準備金の出金を行うようにしてもよい。
また、上述の本実施例では、回収カセット207にICタグ207cを取り付けて当該ICタグ207cに記憶させたレジの識別情報を読み込むことによって、レジの識別情報を取得するものとして説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えばレジカードのICに記憶させたレジの識別情報若しくは通帳の磁気ストライプに記憶させたレジの識別情報を読み込むことによって、レジの識別情報を取得するものとしてもよい。
また、上述の本実施例では、レジの識別情報を取得して取得した識別情報に対応するレジの入金の可否の判定を行って、入金の受付可能な場合にはカセット解錠機405を使用可能な状態にするとともに入出金機400の紙幣受付部421、硬貨受付部431及び包装硬貨受付部441のシャッタを開放するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、入金処理が不可であることのメッセージを表示部401に表示して、入金操作ができないように画面制御してもよい。
また、上述の実施例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成であることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。