以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図8は、本実施の形態による有価媒体処理装置や流通統合ターミナルを示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による有価媒体処理装置や流通統合ターミナルが商業施設の入金室や出納室に設置されたときの構成を概略的に示す構成図であり、図2は、図1に示す有価媒体処理装置や流通統合ターミナルの通信接続関係を概略的に示すブロック図である。また、図3は、本実施の形態における有価媒体処理装置の外観を示す斜視図であり、図4は、図3に示す有価媒体処理装置の内部構成を模式的に示す構成図である。また、図5は、本実施の形態における有価媒体処理装置および流通統合ターミナルの制御系の構成を示す機能ブロック図であり、図6は、本実施の形態における有価媒体処理装置による紙葉類の入金処理方法を示すフローチャートである。また、図7および図8は、それぞれ、本実施の形態による流通統合ターミナルにおいて商品券の情報を入力する際に表示部に表示される画面の様々な例を示す図である。なお、本実施の形態による有価媒体処理装置は、紙幣、硬貨、商品券等の有価媒体の入金処理や計数処理を行うものであり、このような有価媒体処理装置はスーパーマーケットやショッピングモール等の商業施設における入金室に設置されるようになっている。また、本実施の形態による流通統合ターミナルは、例えばデスクトップ型のコンピュータ等からなり、このような流通統合ターミナルは商業施設における出納室に設置されるようになっている。
まず、本実施の形態による有価媒体処理装置1や流通統合ターミナル120が設置されるスーパーマーケットやショッピングモール等の商業施設100の構成について図1を用いて説明する。商業施設100の店舗において、顧客が立ち入ることができる売場領域101(フロント領域)には、様々な商品が陳列される商品棚102や、商品の精算時に店員が顧客から商品の代金としての貨幣や商品券を受け取るためのレジカウンター104が設置されている。また、各々のレジカウンター104には、店員が顧客から受け取った商品の代金としての貨幣の入金処理および釣銭としての貨幣の出金処理を行うことができる貨幣釣銭機106や、貨幣釣銭機106に通信可能に接続され、顧客が購入した商品に係る情報や貨幣釣銭機106に収納されている貨幣に係る情報等の管理を行うPOSレジスタ(図示せず)が設けられている。顧客がこのようなレジカウンター104で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣を貨幣釣銭機106に入金したり、釣銭としての貨幣を貨幣釣銭機106から出金して顧客に返却したりするようになっている。また、このような店舗における顧客の立ち入りが禁止されたバックヤード領域(具体的には、例えば入金室110)には、貨幣釣銭機106から回収された売上金としての貨幣を入金する売上入金機が設置されている。また、このような商業施設100において、売場領域101以外にテナント150が設置されている場合には、営業時間が終了した後に、テナント150から回収された貨幣も入金室110に設けられた売上入金機に入金されるようになる。売上入金機に入金された売上金としての貨幣は、警送会社の収集担当者により回収されて当該警送会社の管理センターに運搬されるようになっている。本実施の形態では、このような売上入金機として、紙幣および硬貨に加えて商品券等を含む有価媒体の処理を一つの装置で行うような有価媒体処理装置1が用いられるようになっている。
また、図1に示すように、商業施設100の店舗における顧客の立ち入りが禁止されたバックヤード領域には出納室112が設けられており、このような出納室112には、デスクトップ型のコンピュータ等からなる流通統合ターミナル120が設けられている。ここで、図2に示すように、入金室110に設けられた有価媒体処理装置1および出納室112に設けられた流通統合ターミナル120はLAN142により互いに通信可能に接続されている。また、商業施設100の有価媒体処理装置1や流通統合ターミナル120の管理を行う上位サーバ140が商業施設100の本部に設けられており、インターネット回線等を介して当該上位サーバ140は有価媒体処理装置1や流通統合ターミナル120と通信可能に接続されている。
本実施の形態による有価媒体処理装置1において、後述する識別部20により正常に識別された紙幣や商品券は、当該有価媒体処理装置1の紙葉類収納部53、54(後述)に収納されるようになるが、汚れや破れが原因で識別部20により正常に識別されなかった紙幣や商品券は、リジェクト部として機能する第1の集積部41(後述)からリジェクト券として有価媒体処理装置1の筐体2の外部に排出される。その場合、有価媒体処理装置1で入金処理を行った入金担当者とは別の担当者が、有価媒体処理装置1から排出された紙幣や商品券を入金室110から出納室112に運搬する。そして、出納室112の係員は、入金室110から出納室112に運搬された紙幣や商品券の情報を、流通統合ターミナル120を使って入力する。ここで、有価媒体処理装置1に入金された紙幣は警送会社の収集担当者によって当該有価媒体処理装置1の筐体2内から紙葉類収納部53、54ごと回収され、当該警送会社の管理センターに運搬される。また、入金室110から出納室112に運搬されてその情報が流通統合ターミナル120で入力された紙幣も警送会社の収集担当者によって回収され、当該警送会社の管理センターに運搬される。一方、有価媒体処理装置1に入金された商品券や、入金室110から出納室112に運搬されてその情報が流通統合ターミナル120で入力された商品券は、出納室112に設けられた段ボール箱等に収納されて数ヶ月間保管され、その後、商品券は段ボール箱ごと廃棄される。また、有価媒体処理装置1の識別部20による紙幣や商品券の識別結果に係る情報は流通統合ターミナル120に送信されるようになっており、当該流通統合ターミナル120において紙幣や商品券の情報の管理が行われるようになっている。また、流通統合ターミナル120により管理される紙幣や商品券の情報は上位サーバ140に送信されるようになっている。また、上位サーバ140は商品券の発行元と通信可能に接続されており、有価媒体処理装置1に入金された商品券や、流通統合ターミナル120を使ってその情報が入力された商品券の金額が商品券の発行元等により、銀行等の金融機関における店舗の口座に入金されるようになる。
次に、本有価媒体処理装置1の構成の概略について図3乃至図5を用いて説明する。図3および図4に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置1は略直方体形状の筐体2を有しており、この筐体2内には、紙幣や商品券等の紙葉類の処理を行う紙葉類処理ユニットおよび硬貨の処理を行う硬貨処理ユニットがそれぞれ設けられている。また、有価媒体処理装置1の前面下部には下部扉4が設けられており、この下部扉4を開くことにより、筐体2内に収容された紙葉類収納部53、54(後述)や硬貨収納部93、94(後述)を筐体2の外部に引き出すことができるようになっている。
図3および図4に示すように、本実施の形態による有価媒体処理装置1は、紙葉類処理ユニットとして、紙幣や商品券を含む紙葉類が投入される投入部10と、投入された紙葉類の各々の真偽および金種や券種を識別する識別部20と、識別された紙葉類を搬送しながら4種別に分類する搬送分類機構30と、分類された紙葉類が一時的に集積される4つの集積部41〜44と、4つの集積部41〜44の一部である2つの集積部43、44にそれぞれ対応して設けられた2つの紙葉類収納部53、54とを備えている。
投入部10は、紙葉類ホッパとして構成されており、投入された紙葉類(紙幣/商品券)を受け入れて1枚ずつ繰出するようになっている。また、投入部10には、当該投入部10に残留する紙葉類を検知するための残留検知センサ(図示せず)が設けられている。
識別部20は、イメージセンサや磁気センサを有しており、紙幣/商品券の区別の他、各紙幣の真偽および金種や、各商品券の種別等を識別するようになっている。商品券の種別の識別とは、当該店舗(およびそのチェーン店舗)で発行された商品券/他社で発行された商品券の区別や、当該店舗において処分可能な商品券/他の管理センターへの回収が必要な商品券の区別や、使用期限内の有効な商品券/使用期限切れの無効な商品券の区別等である。そして、有効な商品券については金額を特定することができる。
搬送分類機構30は、紙葉類を搬送する搬送ベルト機構35と、搬送路を切り換えるための3つの切換機構31〜33と、これらの搬送ベルト機構35や3つの切換機構31〜33を制御する紙葉類制御部36とを有している。そして、紙葉類制御部36が識別部20による識別結果に基づいて3つの切換機構31〜33を制御することによって、識別された紙葉類をそれぞれ対応する4つの集積部41〜44に分類して搬送するようになっている。
第1の集積部41は、リジェクト部として構成されており、リジェクト対象の紙葉類が集積されるようになっている。第1の集積部41(リジェクト部)は、常時外部に開放されており、常時外部からリジェクト対象の紙葉類を取り出し可能となっている。
第2の集積部42は、スタッカ部として構成されており、100枚程度までの紙葉類が集積されるようになっている。第2の集積部42(スタッカ部)には、開閉可能なシャッタ42sが設けられており、シャッタ42sの開放時に外部から紙葉類を取り出し可能となっている。より詳細には、シャッタ42sは電磁ロック部(図示せず)によりロックされており、当該電磁ロック部によるロックが解除されたときに操作者はシャッタ42sを開くことができるようになっている。もっとも、シャッタ42sの設置を省略することも可能である。その場合は、第1の集積部41(リジェクト部)と同様に、常時外部からアクセス可能(紙葉類を取り出し可能)となる。
第3の集積部43および第4の集積部44は、それぞれ入金一時保留部として構成されており、100枚程度の紙葉類が集積されるようになっている。そして、有価媒体処理装置1の操作者による承認の後には、入金一時保留部としての各集積部43、44の底面が開放されるようになっており、これらの集積部43、44に一時保留されていた紙葉類が対応する紙葉類収納部53、54に送り込まれるようになっている。また、有価媒体処理装置1の操作者によって非承認とされた後には、各集積部43、44に一時保留されていた紙葉類を有価媒体処理装置1の前方から取り出し可能となっている。より詳細には、図3に示すように、第3の集積部43の前面には返却扉6が設けられており、当該返却扉6を開くことにより第3の集積部43から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。ここで、返却扉6は電磁ロック部(図示せず)によりロックされており、当該電磁ロック部によるロックが解除されたときに操作者は返却扉6を開いて第3の集積部43から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。また、図3および図4に示すように、第1の集積部41、第2の集積部42および第3の集積部43は、筐体2から横方向に回動可能な回動部8に設けられており、当該回動部8を筐体2から横方向に回動させてこの回動部8を第4の集積部44の前方から退避させることによりこの第4の集積部44から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。ここで、回動部8は電磁ロック部(図示せず)によりロックされており、当該電磁ロック部によるロックが解除されたときに操作者は回動部8を筐体2から横方向に回動させて第4の集積部44から紙葉類を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。
また、各集積部41〜44には、それぞれ、これらの集積部41〜44に紙葉類が集積されているときに当該紙葉類を検知するための残留検知センサ(図示せず)が設けられている。
2つの紙葉類収納部53、54は、2つの集積部43、44に対応して設けられており、紙葉類を収納可能なカセットから構成されている。各カセットは、収納された紙葉類の回収条件(例えば、回収作業者の権限等)を個別に設定可能となっており、設定された回収条件が満たされた場合にのみ有価媒体処理装置1の筐体2の外部からアクセス可能(すなわち、紙葉類を取り出し可能)となっている。
例えば、2つの紙葉類収納部53、54の少なくとも一つに対して設定される回収条件は、有価媒体処理装置1が設置される店舗(の操作者)が紙葉類の回収を許可されているという条件とされ、2つの紙葉類収納部53、54の少なくとも他の一つに対して設定される回収条件は、紙葉類の回収業務を委託される警送会社が紙葉類の回収を許可されているという条件とされ得る。このように回収条件が設定されることにより、店舗自身による回収作業と、警送会社による回収作業とを、それぞれ個別に設定して管理することが可能である。
本実施の形態による有価媒体処理装置1では、各紙葉類収納部53、54への有価媒体処理装置1の筐体2の外側からのアクセスを制限する構成として、図4および図5に示すように、公知のロック機構63、64、97と、これらのロック機構63、64、97を制御するロック制御部65とが用いられるようになっている。ロック制御部65には、ターミナル70に内蔵された全体制御部73を介してICカードリーダ71が接続されており、店舗所属の操作者が保有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、店舗が紙葉類の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている紙葉類収納部53、54に対するアクセスが解放される。具体的には、ロック機構97によるロックが解除されることにより下部ユニットが引き出し可能となり、さらにロック機構63、64によるロックが解除されることにより、紙葉類収納部53、54が筐体2の外部へ取出し可能となる。一方、警送会社の収集担当者が保有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、当該警送会社が紙葉類の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている紙葉類収納部53、54に対するアクセスが解放される。具体的には、ロック機構97によるロックが解除されることにより下部ユニットが引き出し可能となり、さらにロック機構63、64によるロックが解除されることにより、紙葉類収納部53、54が筐体2の外部へ取出し可能となる。そして、ロック機構63、64によるロックが解除された状態で下部扉4を開くことにより、店舗所属の操作者あるいは警送会社の収集担当者は、回収権限が設定された紙葉類収納部53、54を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。
ターミナル70には、全体制御部73およびICカードリーダ71に加えて、タッチパネル等で構成された操作表示部72が設けられている。操作表示部72は、操作ガイダンスや入金処理時の取引データ等を表示するとともに、操作者の指示入力を受け付けるようになっている。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1の搬送分類機構30において、紙葉類の搬送方向における識別部20の下流側には、商品券を無効化するための消し込みの印刷処理を行う印刷部75が設けられている。印刷部75は例えばインクジェットプリンタから構成されており、様々な印刷パターンにより商品券に対して消し込みの印刷処理を行うことができるようになっている。印刷部75は、有価媒体処理装置1の操作面に近接する位置に配置されており、筐体2のカバー(図示せず)を開放することにより、インクカートリッジの交換を容易に行うことができる。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1は、硬貨処理ユニットとして、硬貨が投入される硬貨投入部80と、投入された硬貨の各々を識別する硬貨識別部82と、識別された硬貨を搬送しながら3種別に分類する硬貨搬送分類機構84と、分類された硬貨が一時的に集積される3つの硬貨集積部86、88、90と、3つの硬貨集積部86、88、90の一部である2つの硬貨集積部88、90にそれぞれ対応して設けられた2つの硬貨収納部93、94とを備えている。
硬貨投入部80は硬貨ホッパとして構成されており、投入された硬貨を受け入れて1枚ずつ繰り出すようになっている。また、硬貨識別部82は磁気センサ等を有しており、硬貨の真偽の区別の他、各硬貨の金種を識別するようになっている。また、硬貨搬送分類機構84は、硬貨制御部98によって制御されるソレノイド付き選別部材を有する強制選別機構によって構成されており、選別された硬貨を3つの硬貨集積部86、88、90に分類して搬送するようになっている。ここで、硬貨搬送分類機構84は、振り分ける硬貨の種別を任意に設定できるようになっている。
第1の硬貨集積部86は、リジェクト部として構成されており、リジェクト対象の硬貨が集積されるようになっている。第1の硬貨集積部86(リジェクト部)に集積された硬貨は、常時外部から取り出し可能となっている。また、第2の硬貨集積部88および第3の硬貨集積部90は、それぞれ入金一時保留部として構成されており、それぞれに100枚程度までの硬貨が集積されるようになっている。そして、有価媒体処理装置1の操作者による承認の後には、入金一時保留部の枠体が移動されるようになっており、一時保留されていた硬貨が対応する硬貨収納部93、94に送り込まれるようになっている。また、有価媒体処理装置1の操作者によって非承認とされた後には、入金一時保留部の底板が退避し、一時保留されていた硬貨が当該入金一時保留部の下方の硬貨返却箱91、92に送り込まれ、当該硬貨返却箱91、92が筐体2外へ引き出されることにより硬貨が取り出し可能となっている。
2つの硬貨収納部93、94は、2つの硬貨集積部88、90に対応して設けられており、硬貨を収納可能なカセットから構成されている。各硬貨カセットは、収納された硬貨の回収条件(例えば、回収作業者の権限等)を個別に設定可能となっており、設定された回収条件が満たされた場合にのみ有価媒体処理装置1の筐体2の外側へ取り出し可能となっている。
例えば、2つの硬貨収納部93、94の少なくとも一つに対して設定される回収条件は、有価媒体処理装置1が設置される店舗(の操作者)が硬貨の回収を許可されているという条件とされ、2つの硬貨収納部93、94の少なくとも他の一つに対して設定される回収条件は、硬貨の回収業務を委託される警送会社が硬貨の回収を許可されているという条件とされ得る。このように回収条件が設定されることにより、店舗自身による回収作業と、警送会社による回収作業とを、それぞれ個別に設定して管理することが可能である。
各硬貨収納部93、94への有価媒体処理装置1の筐体2の外側からのアクセスを制限する構成として、図4および図5に示すように、公知のロック機構95、96、97と、これらのロック機構95、96、97を制御するロック制御部65とが用いられるようになっている。前述のように、ロック制御部65にはICカードリーダ71が接続されており、店舗所属の操作者が所有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、店舗が硬貨の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている硬貨収納部93、94に対するアクセスが解放される。具体的には、ロック機構97によるロックが解除されることにより下部ユニットが引き出し可能となり、さらにロック機構95、96によるロックが解除されることにより、硬貨収納部93、94を筐体2の外部へ取出し可能となる。一方、警送会社の収集担当者が所有するICカードをICカードリーダ71が読み取ったときに、警送会社が硬貨の回収を許可されていると判断し、そのような回収条件が設定されている硬貨収納部93、94に対するアクセスが解放される。具体的には、ロック機構97によるロックが解除されることにより下部ユニットが引き出し可能となり、さらにロック機構95、96によるロックが解除されることにより、硬貨収納部93、94を筐体2の外部へ取出し可能となる。そして、ロック機構95、96によるロックが解除された状態で下部扉4を開くことにより、店舗所属の操作者あるいは警送会社の収集担当者は、回収権限が設定された硬貨収納部93、94を筐体2の外部に取り出すことができるようになる。
以上のように、本実施の形態による有価媒体処理装置1では、ロック制御部65は、5つのロック機構63、64、95、96、97を制御するようになっている。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1には、識別された紙葉類ないし硬貨の各集積部41〜44ないし各硬貨集積部86、88、90への分類条件(分類パターン)を記憶しておく記憶部74がターミナル70内に設けられている。記憶部74に記憶された分類条件は、搬送分類機構30による紙葉類の搬送ないし分類を制御するための紙葉類制御部36、および硬貨搬送分類機構84による硬貨の搬送ないし分類を制御するための硬貨制御部98に適時に読み出されるようになっている。
また、記憶部74は、各紙葉類収納部53、54および各硬貨収納部93、94に対して設定される回収条件(例えば、回収作業者の権限等)も記憶するようになっており、各紙葉類収納部53、54および各硬貨収納部93、94への有価媒体処理装置1の筐体2の外側からのアクセスの制限/許容を判別して制御するためにロック制御部65に適時に読み出されるようになっている。
また、記憶部74は、識別部20による紙葉類の識別のための詳細情報(例えば、識別処理に用いる辞書データ等)を記憶しており、識別部20に適時に読み出されるようになっている。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1には、入金処理時の取引データや、締め時/回収時等における集計データをプリントアウトするプリンタ装置76が設けられている。
さらに、本実施の形態による有価媒体処理装置1には、外部機器(具体的には、流通統合ターミナル120)と通信可能であり、当該流通統合ターミナル120から識別情報や分類条件(分類パターン)を取得したり、入金結果等を流通統合ターミナル120に送信可能な通信インターフェース部78が設けられている。
図5に示すように、本実施の形態による流通統合ターミナル120は、CPU等の制御部122と、液晶ディスプレイからなるモニタ等の表示部124と、キーボードやマウス等の操作部126と、ハードディスク等の記憶部128とを有するコンピュータ等からなる。このような流通統合ターミナル120において、表示部124および操作部126が別々に設けられる代わりに、表示部124および操作部126の両方の機能を有するタッチパネル等が用いられるようになっていてもよい。また、記憶部128は、コンピュータ等に内蔵されるものに限定されることはなく、外付けのハードディスクやUSBメモリ等のコンピュータ等から取り外し可能なものが用いられてもよい。ここで、本実施の形態による流通統合ターミナル120において、記憶部128は、商品券に付与される識別符号(具体的には、商品券の券番号やバーコードの数字)の少なくとも一部と、商品券の種類(具体的には、商品券の発行元と金額との組合せ)とを紐付けて記憶するようになっている。このような記憶部128における記憶内容の詳細については後述する。また、本実施の形態による流通統合ターミナル120において、レーザープリンタ等のプリンタ装置130がコンピュータ等(厳密には、制御部122)に接続されており、貨幣や商品券等の情報をプリンタ装置130によりプリントアウトすることができるようになっている。
次に、このような構成からなる有価媒体処理装置1による紙幣や硬貨、商品券等の有価媒体の処理方法、具体的には有価媒体の入金方法について以下に説明する。なお、以下に示すような有価媒体処理装置1の動作は、全体制御部73が紙葉類制御部36や硬貨制御部98を介して有価媒体処理装置1の各構成要素の制御を行うことにより行われるようになっている。また、本実施の形態の有価媒体処理装置1による硬貨の入金処理方法については本発明の原理と直接的な関係がないためその説明を省略する。
本実施の形態の有価媒体処理装置1による紙葉類の入金処理方法について図6に示すフローチャートを用いて説明する。
有価媒体処理装置1が待機状態となっているときに操作者が携帯するICカードをICカードリーダ71により読み取らせると、操作者の特定または回収元であるレジカウンター104等の特定が行われる。操作者等の特定が行われた後、当該操作者が投入部10に紙葉類を投入すると(STEP1の「YES」)、投入部10から紙葉類が1枚ずつ有価媒体処理装置1の機体内に繰り出され(STEP2)、搬送分類機構30により搬送される紙葉類は識別部20により識別される(STEP3)。ここで、識別部20により識別された紙葉類が商品券である場合には(STEP4の「商品券」)、当該商品券の計数データ(種類別の入金枚数、合計金額等)がレジカウンター104毎に加算される(STEP5)。また、識別部20により識別された紙葉類が商品券である場合には、印刷部75により当該商品券に対して消し込みの印刷処理が行われる(STEP6)。なお、識別部20により識別された商品券が有効期限切れ券、もぎり券、受け付け対象外券等であり印刷対象外条件に一致する場合には、商品券に対して消し込みの印刷処理は行われない。また、印刷部75を通過した商品券は、記憶部74に記憶された搬送収納先に係る情報に基づいて、対応する集積部41〜44へ振り分けられる(STEP8)。例えば、識別部20により正常に識別された商品券は入金一時保留部としての第4の集積部44に振り分けられる。
一方、識別部20により識別された紙葉類が紙幣である場合には(STEP4の「紙幣」)、当該紙幣の計数データ(金種別の入金枚数、合計金額等)がレジカウンター104毎に加算される(STEP7)。なお、識別部20により識別された紙葉類の種類が紙幣であるときには、印刷部75により当該紙幣に対して消し込みの印刷処理は行われない。また、識別部20により識別された紙幣は、記憶部74に記憶された搬送収納先に係る情報に基づいて、対応する集積部41〜44へ振り分けられる(STEP8)。例えば、識別部20により正常に識別された紙幣は入金一時保留部としての第3の集積部43に振り分けられる。なお、識別部20により識別された紙葉類が正常な紙幣や商品券ではないリジェクト券である場合には(STEP4の「リジェクト券」)、当該リジェクト券の計数データは加算されることなく、また、印刷部75により当該リジェクト券に対して消し込みの印刷処理が行われることなく、リジェクト部としての集積部41に送られるようになる(STEP9)。
投入部10に紙葉類が残っている場合には(STEP10の「YES」)、図6のSTEP2〜STEP9に示す動作が繰り返し行われるようになる。一方、投入部10に投入された紙葉類が全て有価媒体処理装置1の機体内に繰り出された後(STEP10の「NO」)、操作者によって操作表示部72により承認入力が行われると(STEP11の「YES」)、集積部43、44に一時保留されていた紙葉類が対応する紙葉類収納部53、54に送り込まれて収納される(STEP12)。このことにより、例えば、識別部20により正常に識別された紙幣は紙葉類収納部53に収納され、また、識別部20により正常に識別された商品券は紙葉類収納部54に収納される。一方、操作者によって操作表示部72により承認入力が行われず代わりに返却入力が行われると(STEP11の「NO」)、各集積部43、44に一時保留されていた紙葉類を有価媒体処理装置1の前方から取り出し可能となる(STEP13)。このようにして、有価媒体処理装置1における一連の紙葉類の入金処理が完了する。
また、本実施の形態による有価媒体処理装置1において、汚れや破れが原因で識別部20により正常に識別されなかった紙幣や商品券は、リジェクト部として機能する第1の集積部41から有価媒体処理装置1の筐体2の外部に排出される。その場合、有価媒体処理装置1で入金処理を行った入金担当者とは別の担当者が、有価媒体処理装置1から排出された紙幣や商品券を入金室110から出納室112に運搬する。そして、出納室112の係員は、入金室110から出納室112に運搬された紙幣や商品券の情報を、流通統合ターミナル120を使って入力する。ここで、本実施の形態では、流通統合ターミナル120は、商品券のデータを処理する商品券データ処理機として機能するようになっている。流通統合ターミナル120により商品券の情報を入力する方法について以下に説明する。なお、流通統合ターミナル120により紙幣の情報を入力する方法については本発明の原理と直接的な関係がないためその説明を省略する。
図7は、本実施の形態による流通統合ターミナル120において商品券の情報を入力する際にモニタ等の表示部124に表示される画面の一例を示す図である。図7に示すように、流通統合ターミナル120において商品券の情報を入力する際に表示部124に表示される画面において、商品券の識別符号(具体的には、券番号やバーコードの数字)を入力する券番号入力欄124aが表示されており、操作者(具体的には、出納室112の係員)はキーボードやマウス等の操作部126によって商品券の識別符号としての券番号等をこの券番号入力欄124aに入力する。以下の説明では、商品券の識別符号として券番号が券番号入力欄124aに入力される場合について述べるが、商品券の識別符号として券番号以外のもの(例えば、商品券のバーコードの数字等)が入力された場合でも同様の処理が行われる。
制御部122は、券番号入力欄124aに入力された商品券の券番号と、記憶部128に記憶されている情報とに基づいて、商品券の種類に関する情報を検索する。具体的には、上述したように、記憶部128は、商品券に付与される券番号の少なくとも一部と、商品券の種類とを紐付けて記憶するようになっている。そして、制御部122は、券番号入力欄124aに入力された商品券の複数桁の券番号のうち商品券の種類の特定に用いられる1または複数の桁の券番号を抽出し、抽出された桁の券番号を用いて商品券の種類(具体的には、商品券の発行元と金額との組合せ)に関する情報を検索する。例えば、図7に示すように、券番号入力欄124aに入力された商品券の20桁の券番号のうち下3桁の券番号(図7に示す例では、「890」という数字)が商品券の種類の特定用に用いられるようになっている。また、記憶部128には、商品券に付与される20桁の券番号のうち下3桁の券番号と、商品券の種類とを紐付けて記憶するようになっている。このように、制御部122は、券番号入力欄124aに入力された商品券の券番号のうち商品券の種類の特定に用いられる1または複数の桁の券番号と、記憶部128に記憶されている情報とに基づいて、商品券の種類に関する情報を検索する。また、制御部122は、検索結果を出力し、出力された検索結果を表示部124に表示される。制御部122により出力されて表示部124に表示された検索結果を図7において参照符号124bで示す。
このように、本実施の形態による流通統合ターミナル120では、操作部126は、商品券に付与される識別符号としての券番号を入力するための入力手段として機能し、制御部122は、入力手段により入力された商品券の券番号と、記憶部128に記憶されている情報とに基づいて、商品券の種類に関する情報を検索する検索手段として機能するようになっている。また、制御部122は、検索手段による検索結果を出力する出力手段としても機能するようになっている。
なお、図7では、検索結果として2つの種類の商品券が表示部124に示されている。このように、制御部122による検索結果が複数存在する場合には、当該制御部122は全ての検索結果を一度に出力し、出力された検索結果を全て表示部124に表示させる。そして、操作者は検索結果として表示部124に表示される2つの種類の商品券のうちいずれか一方の商品券を選択する。このことにより、表示部124における「今回追加券」の欄(図7において参照符号124cで表示)に、選択された商品券の種類および券番号が追加される。このように、本実施の形態による流通統合ターミナル120では、制御部122による検索結果が複数存在する場合には、全ての検索結果を一度に出力し、出力された複数の検索結果のうちある一つの検索結果を選択可能となっている。なお、制御部122による検索結果が1つしか存在しない場合には、この検索結果に係る商品券の種類および券番号が表示部124における「今回追加券」の欄に直接的に追加されるようになっていてもよい。
また、操作者がキーボードやマウス等の操作部126によって商品券の識別符号としての券番号をこの券番号入力欄124aに入力したときに、制御部122による検索においてこの券番号入力欄124aに入力された券番号に該当する商品券の種類が存在しない場合には、入力された券番号に該当する商品券の種類が存在しない旨のメッセージが表示部124に表示される。この際に、入力された券番号を再確認することを操作者に促す旨のメッセージが表示部124に表示されてもよい。また、券番号入力欄124aに入力された券番号に該当する商品券の種類が存在しない場合に、操作者が操作部126によって商品券の種類(具体的には、商品券の発行元および金額の組合せ)を手入力することができるようになっていてもよい。
そして、有価媒体処理装置1の筐体2の外部に排出され、入金室110から出納室112に運搬された商品券の情報が全て流通統合ターミナル120に入力されると、操作者は表示部124に表示される画面における「確定」ボタン(図7において参照符号124dで表示)を押す。このことにより、流通統合ターミナル120に入力された商品券の情報(具体的には、図7において参照符号124cで表示される「今回追加券」の欄の情報)が確定する。その後、流通統合ターミナル120により管理される商品券の情報が上位サーバ140に送信される。
なお、流通統合ターミナル120により商品券の情報を入力する方法は上記の態様のものに限定されることはない。本実施の形態による流通統合ターミナル120において商品券の情報を入力する際にモニタ等の表示部124に表示される画面の他の例を図8に示す。なお、図8に示すような表示部124の表示画面において、図7に示す表示部124の表示画面と同じ表示部分については同じ参照符号を付けてその説明を省略する。
図8に示すような表示部124の表示画面において、制御部122による検索結果を表示する箇所(図8において参照符号124bで表示)の近傍には、複数の検索結果が表示部124に表示されているときにこれらの複数の検索結果の表示順をソートするソート内容の選択欄(図8において参照符号124eで表示)が設けられている。このような選択欄によりソート内容を選択することによって、複数の検索結果の表示順をソートすることができるようになる。
また、図8に示すような表示部124の表示画面において、制御部122による検索結果を表示する箇所(図8において参照符号124bで表示)の右側には、制御部122による検索結果に係る商品券の種類に対応する商品券の画像も表示されるようになっている(図8において参照符号124fで表示)。具体的には、記憶部128は、商品券に付与される識別符号(具体的には、商品券の券番号)の少なくとも一部と、商品券の種類(具体的には、商品券の発行元と金額との組合せ)および当該種類の商品券の画像とを紐付けて記憶するようになっている。そして、制御部122は、検索結果を出力する際に、この検索結果に係る商品券の種類に対応する商品券の画像に係る情報も出力し、出力された商品券の画像を表示部124に表示させる。このことにより、操作者は表示部124に表示される商品券の画像と手入力しようとする商品券(実物)とを見比べることによって当該商品券の種類をより明確に判別することができるようになる。なお、制御部122により複数の検索結果が出力される場合には、複数の検索結果に係る商品券の種類のうちある一つの商品券の種類に対応する画像が表示部124に表示される。そして、図8において参照符号124bで示されるような、表示部124に表示される複数の検索結果のうち別の検索結果にカーソルを当てると、表示部124に表示される商品券の画像がこのカーソルが当てられた検索結果に係る商品券の種類に対応する画像に切り替わるようになる。
また、本実施の形態では、制御部122により出力される検索結果が複数存在する場合に、これらの複数の検索結果が全て表示部124に一度に表示される代わりに、各々の検索結果が交互に表示部124に表示されるようになっていてもよい。具体的には、制御部122は、検索結果が複数存在する場合には、全ての検索結果を交互に出力し、表示部124には、制御部122により出力された各々の検索結果が交互に表示されるようになる。この場合でも、制御部122により出力された複数の検索結果のうちある一つの検索結果を選択可能となっている。
また、上述したように、本実施の形態では、有価媒体処理装置1から紙幣や商品券の情報が流通統合ターミナル120に送信されるようになっている。具体的には、識別部20による紙幣や商品券の識別結果が流通統合ターミナル120に送信されるようになっている。この場合には、流通統合ターミナル120は、一の取引において、制御部122による検索結果が複数存在する場合において全ての検索結果を出力する際に、有価媒体処理装置1から送信された商品券の識別結果に係る商品券の種類が検索結果に含まれるときにはこの商品券の種類を優先して出力するようになっている。より詳細には、制御部122により出力される複数の検索結果が全て表示部124に一度に表示される場合には、有価媒体処理装置1から送信された商品券の識別結果に係る商品券の種類が検索結果に含まれるときにはこの商品券の種類が検索結果の表示欄における一番上に表示されるようになる。また、制御部122により出力される複数の検索結果が表示部124に交互に表示される場合には、有価媒体処理装置1から送信された商品券の識別結果に係る商品券の種類が検索結果に含まれるときにはこの商品券の種類が最初に表示されるようになる。
このように、本実施の形態では、制御部122は、商品券の識別を行う識別部20による商品券の識別結果を受け付ける識別結果受付手段としても機能するようになっており、一の取引において、制御部122による検索結果が複数存在する場合において全ての検索結果を出力する際に、識別結果受付手段により受け付けられた商品券の識別結果に係る商品券の種類が検索結果に含まれるときにはこの商品券の種類を優先して出力するようになっている。ここで、一般的に有価媒体処理装置1において商品券の入金処理を行う際には概ね同じ種類の商品券が投入部10に投入される場合が多く、識別部20により正常に識別された商品券の種類と、リジェクト部としての第1の集積部41から有価媒体処理装置1の筐体2の外部に排出されるリジェクト券としての商品券の種類とが同じである蓋然性が高いため、有価媒体処理装置1の識別部20により正常に識別された商品券の種類を参照することにより、流通統合ターミナル120において表示部124に表示される複数の検索結果のうちある一つの検索結果を選択する際の作業性を向上させることができるようになる。
以上のような構成からなる本実施の形態の流通統合ターミナル120(商品券データ処理機)およびこのような流通統合ターミナル120による商品券データ処理方法によれば、商品券に付与される識別符号(具体的には、券番号やバーコードの数字)を入力するための入力手段(具体的には、操作部126)と、商品券に付与される識別符号の少なくとも一部と、商品券の種類とを紐付けて記憶する記憶部128と、入力手段により入力された商品券の識別符号と、記憶部128に記憶されている情報とに基づいて、商品券の種類に関する情報を検索する検索手段(具体的には、制御部122)と、検索手段による検索結果を出力する出力手段(具体的には、制御部122)とがそれぞれ設けられている。このことにより、操作者により入力された商品券の識別符号と、記憶部128に記憶されている情報とに基づいて、商品券の種類に関する情報を検索し、検索結果を出力することができるため、商品券の情報の入力作業における作業性を向上させるとともに商品券の種類の選択ミスが生じることを防止することができる。
より詳細に説明すると、従来技術の商品券データ処理機では、まず、操作者は商品券の種類(具体的には、商品券の発行元や金額等の組合せ)を目視にて確認し、モニタ等の表示部に表示される商品券の様々な種類のリストの中から適切な商品券の種類を選択し、その後、商品券の券番号をテンキー等により手入力するようになっていた。しかしながら、このような商品券の券番号の入力方法では、表示部に表示される商品券の様々な種類のリストとして数百種類もの商品券が登録されていることがあるため、その中から適切な商品券の種類を選択するのは面倒であるとともに選択ミスが生じるおそれがあった。また、操作者が誤った商品券を選択してしまうと、商品券データ処理機に入力された商品券の情報と商品券の現物とが一致しなくなってしまい、商品券の確認作業や入力された情報の修正作業が必要となるため時間がかかるという問題があった。これに対し、本実施の形態による流通統合ターミナル120では、表示部に表示される商品券の様々な種類のリストの中から適切な商品券の種類を選択するという動作を省略することができ、商品券の識別符号(具体的には、商品券の券番号等)を入力するだけで適切な商品券の種類が検索されるため、商品券の情報の入力作業における作業性を向上させるとともに商品券の種類の選択ミスが生じることを防止することができるようになる。
また、本実施の形態の流通統合ターミナル120においては、上述したように、出力手段として機能する制御部122により出力された検索結果を表示する表示部124が設けられている。この場合には、検索結果を表示部124に表示させることにより操作者は検索結果を目視にて確認することができるようになる。
また、本実施の形態の流通統合ターミナル120においては、上述したように、検索手段として機能する制御部122は、入力手段として機能する操作部126により入力された商品券の複数桁の識別符号のうち商品券の種類の特定に用いられる1または複数の桁の識別符号を抽出し、抽出された桁の識別符号を用いて商品券の種類に関する情報を検索するようになっている。
また、本実施の形態の流通統合ターミナル120においては、上述したように、検索手段として機能する制御部122による検索結果が複数存在する場合には、当該制御部122は全ての検索結果を一度にまたは交互に出力し、制御部122により出力された複数の検索結果のうちある一つの検索結果を選択可能となっている。また、制御部122は、商品券の識別を行う識別部20による商品券の識別結果を受け付ける識別結果受付手段としても機能するようになっており、一の取引において、制御部122による検索結果が複数存在する場合において全ての検索結果を出力する際に、識別結果受付手段により受け付けられた商品券の識別結果に係る商品券の種類が検索結果に含まれるときにはこの商品券の種類を優先して出力するようになっている。ここで、上述したように、一般的に有価媒体処理装置1において商品券の入金処理を行う際には概ね同じ種類の商品券が投入部10に投入される場合が多く、識別部20により正常に識別された商品券の種類と、リジェクト部としての第1の集積部41から有価媒体処理装置1の筐体2の外部に排出される商品券の種類とが同じである蓋然性が高いため、有価媒体処理装置1の識別部20により正常に識別された商品券の種類を参照することにより、流通統合ターミナル120において表示部124に表示される複数の検索結果のうちある一つの検索結果を選択する際の作業性を向上させることができるようになる。
また、本実施の形態の流通統合ターミナル120においては、上述したように、出力手段として機能する制御部122は、検索結果を出力する際に、この検索結果に係る商品券の種類に対応する商品券の画像に係る情報も出力するようになっている。この場合には、操作者は表示部124に表示される商品券の画像と手入力しようとする商品券(実物)とを見比べることによって当該商品券の種類をより明確に判別することができるようになる。
また、本実施の形態では、商品券データ処理機としての流通統合ターミナル120は、検索手段および出力手段として機能する制御部122、出力手段としての制御部122により出力された検索結果を表示する表示部124、ならびに入力手段として機能する操作部126を有するコンピュータを含んでいる。
なお、本実施の形態による商品券データ処理機やこのような商品券データ処理機による商品券データ処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、流通統合ターミナル120が本実施の形態による商品券データ処理機として用いられる代わりに、有価媒体処理装置1が本実施の形態による商品券データ処理機として用いられるようになっていてもよい。有価媒体処理装置1が商品券データ処理機として用いられる場合の当該有価媒体処理装置1による紙葉類の入金処理方法について以下に説明する。
まず、操作者は売場領域101(フロント領域)のレジカウンター104から回収された紙幣や商品券を有価媒体処理装置1の投入部10に投入し、当該有価媒体処理装置1において図6のフローチャートに示すような入金処理を行わせる。その後、操作者はリジェクト部としての第1の集積部41に送られたリジェクト券としての商品券や紙幣を取り出し、取り出された商品券や紙幣の情報を有価媒体処理装置1の操作表示部72で手入力した後、これらの商品券や紙幣を有価媒体処理装置1に強制入金させる。ここで、リジェクト部としての第1の集積部41から取り出されたリジェクト券としての紙幣の処理方法については本発明の原理と直接的な関係がないため説明を省略する。リジェクト部としての第1の集積部41から取り出されたリジェクト券としての商品券の処理方法について以下に説明する。
操作者は、リジェクト部としての第1の集積部41から取り出されたリジェクト券としての商品券の情報を有価媒体処理装置1の操作表示部72で手入力する。具体的には、リジェクト券の手入力を行う旨のメニューを選択すると、有価媒体処理装置1の操作表示部72には、図7や図8に示すような流通統合ターミナル120の表示部124における表示画面と同様の表示画面が表示される。そして、有価媒体処理装置1の操作表示部72で商品券の情報を手入力する方法は、上述したような流通統合ターミナル120で商品券の情報を手入力する方法と略同一となっている。すなわち、記憶部74には、商品券に付与される識別符号(具体的には、券番号やバーコードの数字)の少なくとも一部と、商品券の種類とが紐付けて記憶されるようになっている。そして、操作者が操作表示部72において商品券の識別符号として例えば券番号を入力すると、全体制御部73は、操作表示部72により入力された商品券の複数桁の券番号のうち商品券の種類の特定に用いられる1または複数の桁の券番号を抽出し、記憶部74に記憶されている情報に基づいて、抽出された桁の券番号を用いて商品券の種類(具体的には、商品券の発行元と金額との組合せ)に関する情報を検索する。また、全体制御部73は、検索結果を出力し、出力された検索結果を操作表示部72に表示される。このように、有価媒体処理装置1が商品券データ処理機として機能する場合には、操作表示部72は、商品券に付与される識別符号を入力するための入力手段として機能し、全体制御部73は、入力手段により入力された商品券の識別符号と、記憶部74に記憶されている情報とに基づいて、商品券の種類に関する情報を検索する検索手段として機能するようになっている。また、全体制御部73は、検索手段による検索結果を出力する出力手段としても機能するようになっている。
また、全体制御部73による検索結果が複数存在する場合には、当該全体制御部73は全ての検索結果を一度にまたは交互に出力し、出力された検索結果を一度にまたは交互に操作表示部72に表示させる。この際に、全体制御部73は、検索結果を出力する際に、この検索結果に係る商品券の種類に対応する商品券の画像に係る情報も出力し、出力された商品券の画像を操作表示部72に表示させるようになっていてもよい。そして、操作者は検索結果として操作表示部72に表示される複数の種類の商品券のうちいずれかの商品券を選択する。
リジェクト部としての第1の集積部41から取り出されたリジェクト券としての商品券の情報が全て有価媒体処理装置1に入力されると、操作者は操作表示部72に表示される画面における「確定」ボタンを押す。このことにより、リジェクト券としての商品券の情報が確定する。その後、操作者はリジェクト券としての商品券を有価媒体処理装置1に強制入金させる。このような有価媒体処理装置1における商品券の強制入金処理では、識別部20により商品券の識別は行われず、当該識別部20により単に商品券の枚数の計数のみが行われる。また、有価媒体処理装置1に強制入金された商品券は例えば第4の集積部44に送られ、操作表示部72に表示される「確定」ボタンが押下されるとこの商品券は第4の集積部44から紙葉類収納部54に送られる。このことにより、紙葉類収納部54には、識別部20により正常に識別された商品券およびリジェクト券としての商品券が混合状態で収納されるようになる。あるいは、有価媒体処理装置1において、識別部20により正常に識別された商品券およびリジェクト券としての商品券が互いに異なる集積部41〜44や紙葉類収納部53、54に収納されるようになっていてもよい。また、有価媒体処理装置1における商品券の強制入金処理が完了すると、識別部20による商品券の計数結果(すなわち、識別部20により計数された商品券の枚数)と、操作表示部72により手入力された商品券の枚数とが比較され、両者の枚数が異なっている場合には操作表示部72に警告メッセージ等が表示される。なお、有価媒体処理装置1に強制入金されたリジェクト券としての商品券の情報は、レジカウンター104別の入金データには反映されない。
このように、有価媒体処理装置1が本発明に係る商品券データ処理機として機能する場合には、操作表示部72が、商品券に付与される識別符号(具体的には、券番号やバーコードの数字)を入力するための入力手段として機能し、また、記憶部74が、商品券に付与される識別符号の少なくとも一部と、商品券の種類とを紐付けて記憶するようになる。また、全体制御部73は、入力手段により入力された商品券の識別符号と、記憶部74に記憶されている情報とに基づいて、商品券の種類に関する情報を検索する検索手段、およびこのような検索手段による検索結果を出力する出力手段として機能するようになる。このような有価媒体処理装置1によれば、操作者により入力された商品券の識別符号と、記憶部74に記憶されている情報とに基づいて、商品券の種類に関する情報を検索し、検索結果を出力することができるため、商品券の情報の入力作業における作業性を向上させるとともに商品券の種類の選択ミスが生じることを防止することができる。また、上記のような流通統合ターミナル120が本発明に係る商品券データ処理機として用いられる場合の様々な技術的特徴を、有価媒体処理装置1が本発明に係る商品券データ処理機として用いられる場合に適用することができるようになっている。
なお、上記の説明では、紙幣および商品券の入金処理を行うことができる有価媒体処理装置1が本発明に係る商品券データ処理機として用いられる場合について述べたが、更に他の例として、商品券のみの入金処理を行う商品券入金機や、商品券のみの入金処理および出金処理を行う商品券入出金機を本発明に係る商品券データ処理機として用いてもよい。
また、流通統合ターミナル120や有価媒体処理装置1等が商品券データ処理機として機能する場合、このような商品券データ処理機に入力される商品券の識別符号としてバーコードの数字が用いられるときには、このようなバーコードの数字を手入力する代わりに、商品券データ処理機に設けられたバーコードリーダによりバーコードの数字を読み取るようになっていてもよい。